自動車を所有し、それを公道で乗るために必ず自動車検査登録制度による検査、通称「車検」を受けなければなりません。
一般的な乗用車でいえば、新車購入後3年目、それ以降は2年毎に「継続車検」といった形で受けることになるのですが、これがまたそれなりにお金がかかります。
車種によって金額はまちまちですが、軽自動車でも8万円以上、大型モデルや輸入車となると20万円も30万円もかかることもあります。
これが2年に一度やってくるわけですから、自動車を所有するだけで相当な出費となりますが、この車検費用、実はもっと安く抑えることができます。
それにはちょっとした知識とテクニックが必要になりますがたいして難しいことではなく、普通のドライバーであればできることですのでここで「車検費用を節約するコツ」としてお教えしたいと思います。
目次
車検費用を節約するコツ~車検費用とは
車検といっても一律な金額がかかるわけではなく、車検の受け方、車格、車の分類、車種などによってかかる費用が違います。
それにはそれぞれに要素においていろいろな理由があるのですが、それを知るためにも一度ここでその内容、車検費用の内訳を確認しておきましょう。
●車検基本料
車検基本料とは、車検を行う業者が実際に検査をするためにかかる工賃のようなものです。
車検と言っても車を上から眺めるだけではなく、リフトアップしてタイヤを取り外し、ブレーキ周りの検査やドライブシャフトブーツの破れ、ハブベアリングのガタ、油脂類の漏れの確認などをしたり、エンジンルーム内にあるカバーを取り外してエアクリーナーの汚れやオイル漏れ、冷却水漏れの確認などを行います。
場合によっては調整作業なども行うこともあるため、点検ほどではありませんが既定の箇所を確認するにはそれ相当の手間と設備が必要になるのです。
その工賃に該当する「検査費用」と法的な車検手続きを代行するという名目の「代行手数料」などをあわせたものを一般的に「車検基本料」と呼びます。
実はこの費用が業者にとっての「儲け」となる部分であり、そのため業者ごとで金額に大きな違いが出る部分でもあります。
そのため、車検費用の高い・安いを決める一つの要素となっていることから、この「車検基本料」が安いところを選ぶのが車検費用を安く抑える1つのコツとなります。
具体的な金額は業者によってまちまちですが、1万円から10万円のあいだであることがほとんどです。
●法定費用
法定費用とは車検を受けるために必ずかかる費用と、それを払わないと車検すら受けることができない費用の2つで構成されます。
まず「車検を受けるために必ずかかる費用」ですが、こちらは法的な車検手続きを行う際に運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に対して事務手数料で、印紙を購入して手続き用の書類に貼り付けて納付することから「印紙代」などのフワ~とした呼ばれ方をされることもあります。
金額はごく一般的な継続車検で、軽自動車、登録車問わず、1,100円となります。
次に「それを払わないと車検すら受けることができない費用」ですが、こちらは税金と自賠責保険料のことです。
税金とは自動車重量税のことで、次回の継続車検までの期間分(1年ないし2年分)をまとめて納める必要があります。
税額はその車の車両重量(商用車では車両総重量)によって決まります。
例…自家用乗用車(1年分)
○新車登録から13年未満
・軽自動車:6,600円
・0.5トン以下:4,100円
・0.5トンオーバー~1トン:8,200円
・1トンオーバー~1.5トン:12,300円
・1.5トンオーバー~2トン:16,400円
・2トンオーバー~2.5トン:20,500円
・2.5トンオーバー~3トン:24,600円
○新車登録から13年~18年未満
・軽自動車:8,200円
・0.5トン以下:5,700円
・0.5トンオーバー~1トン:11,400円
・1トンオーバー~1.5トン:17,100円
・1.5トンオーバー~2トン:22,800円
・2トンオーバー~2.5トン:28,500円
・2.5トンオーバー~3トン:34,200円
○新車登録から18年オーバー
・軽自動車:8,800円
・0.5トン以下:6,300円
・0.5トンオーバー~1トン:12,600円
・1トンオーバー~1.5トン:18,900円
・1.5トンオーバー~2トン:25,200円
・2トンオーバー~2.5トン:31,500円
・2.5トンオーバー~3トン:37,800円
次に自賠責保険料ですが、こちらも次回の継続車検までの期間分の保険料を支払わなければ、車検手続きそのものができないようになっています。
保険料は…
軽自動車:一律25,070円(2年分)
登録車:一律25,830円(2年分)
●法定24か月定期点検
これはいわゆる定期点検と呼ばれるものの1つである2年毎の継続車検時期に行わなければならない法定点検です。
内容的には1年毎の行う法定12か月点検よりも点検項目が多いといって程度のものでそれほど大げさなことではないのですが、ディーラーや整備工場などに車検をお願いすると何も言わずにこの法定24か月定期点検も行う形になります。
費用としては業者によってまちまちですが、だいたい20,000円から30,000円ぐらいといったところでしょうか。
●修理費用
車検をクリアするには最低限、保安基準に適合していなければなりません。
その保安基準に適合していない場合は、修理や調整をする必要があり、それには別途費用が掛かります。
例えば、タイヤの空気圧が低いからエアーを入れたとか、ヘッドライトの光軸がずれていたから調整した、サイドスリップがずれていたからトー調整を行ったといった程度のものは、いわゆる車検整備として車検基本料に含まれることがほとんですので別途費用はかなりませんが、ブレーキランプの電球が切れている・エンジンオイルが漏れている・ブレーキパッドが減っている・タイヤのスリップサインが出ている・排気ガスが汚い・排気音量が大きすぎるといった保安基準に適合していない部分ある場合はその部分を直して保安基準に適合させなければなりません。
日ごろからきちんと整備しているとか、車検用に完全なノーマル状態にして来たといった場合はこの費用は全く掛かりませんが、修理の内容によっては数十万円もかかる場合もあります。
車検費用を節約するコツ~払わなければならない費用とそうでない費用
車検を受けるためにはいろいろな費用や税金を支払ったり納めたりしなければならないことがお分かりいただけたかと思いますが、だからといって必ずしもその費用を払ってまでも何かしなければならないわけではありません。
実はこれらの費用の中で支払わなくてもいいものがあるのです。
では1つずつその可否を見ていきましょう。
●車検基本料(検査費用・代行手数料)
検査費用は実際にかかる工賃的な費用ですし、代行手数料もいわゆる業者の「儲け」であるためまるまるカットっといったとはできないでしょう。
ただ、交渉次第でははある程度の値引きは可能かもしれません。
●法定費用(自動車重量税・自賠責保険料)
この2つは法律で必ず納めるもの、支払うものと決められいているものですのでカットすることも値引きを求めることもできません。
●法定24か月定期点検
これはまるまるカットすることが可能です。
実はこの法定24か月定期点検のことを勘違いしている方が非常に多く、車検を受けるため必ず行わなければならないものだとと思いこんでいるようです。
車検と法定24か月定期点検は全く違うもので
・車検:当該車両が保安基準に適合しているいないかをチェックすること
・法定24か月定期点検:故障を未然に防ぐため点検
といった目的をそれぞれが持ちます。
なので、例えばエアコンコンプレッサーのプーリーが破損して冷房機能が全く使えない状態でも車検はクリアできますし、パワースライドドアが機能しなくても手動で開閉できれば、車検を難なくクリアすることができます。
逆にヘッドライトの光軸のズレやサイドマーカーランプの点灯する数が多いといった場合は、運転に全く支障がなく法定24か月定期点検でもなにも言われなくても、保安基準に適合していないということで車検をクリアすることができません。
素人目からすればどちらもやっていることは同じように見えますが、実は目的や基準が全く違うのです。
しかし、ディーラーや整備工場などに車検をお願いすると問答無用で法定24か月定期点検も同時にやってしまうので、「同じこと」あるいは「車検整備の一環」として理解してしまい、高い費用を払わなければならないのです。
法定24か月定期点検は「法定」という言葉がついていることからもわかるかと思いますが、法律で必ず受けなければならないものですので、ちょうど車検と同じタイミングでもあることですし、「ついで」だからということで何も言わずに業者に言われるがままに受けてしまいがちですが、実は法定定期点検は受けなければならないものではあるものの受けなかったからといって何か罰則があるとか逮捕されるということが全くないのです。
●修理費用
修理費用はカットできるものというよりかカットできるようにしたいものというべきでしょう。
車が複雑な構造を持つ工業製品である以上、故障することは避けられないため、絶対に故障しないようにしましょうとはいいませんが、そのリスクを極力減らして、車検の時の修理費用をできるだけ低くすることは可能です。
車検費用を節約するコツ~点検費用と修理費用をカットする
車検費用を節約するには業者を選んで車検基本料が安いところを選ぶのも重要ですが、大幅に節約するためには、前項でお話しした中でカットすることができるもの確実にカットする、業者にすすめられてもきっぱりと断ることが必要です。
法定24か月定期点検を断る・受けない
先ほども言いましたが通常では何の躊躇なく行われてしまう法定24か月定期点検は、法的には必ず受けなければならないものですが、受けなくても罰せられることはありません。
それはその車のオーナーだけでなく、車検を行う業者においても法定24か月定期点検をすすめた業者においても同じです、全くだれも法的は処罰を受けることはありません。
ならば、「やらない」という手もあるということです。
ただ勘違いしていただきたくないのですが、罰則があってもなくてもあくまでも点検ですから気になるようであれば受けるべきだと思いますし、受けることができるのであれば受けた方がいいと私も思います。
ただここでは「車検費用を節約するコツ」という観点でお話をすすめているのであえて法定24か月定期点検を無理して受ける必要はないということです。
法定24か月定期点検を断るだけで2万円以上の費用を節約することができます。
修理費用を発生させないようにする
車の故障や整備不良というのはオーナーの心がけ次第である程度は何とかなります。
例えばタイヤ溝が少なくなってきたとか偏摩耗しているということは事前に知ることができるわけで、事前に知ることでほぼ定価売りのディーラーや整備工場などでタイヤ交換をせずにインターネットなどで安く買えるところを見つけて購入して持ちこみで交換してもらうとか、近所のカー用品店でタイヤを交換してもらうといったような対策が取れるわけです。
それからエンジンオイル漏れやトランスミッションオイルの漏れ、ブレーキオイルの漏れ、冷却水の漏れなどは日ごろからエンジンルームを覗く癖をつけ、エンジンオイルやトランスミッションオイルの交換なども他人にすべて任せてしまうのではなく、自分で行うようにすれば早期発見ができ、自分で直したり、安く直してくれる業者などに修理をお願いすることができるわけです。
一番いいのはやはり自分で直せるところは自分で直す、そしてそれに繋がることなのですが、日ごろから自分の目と耳と手で点検を行うことで、常にメンテナンスに気をかけてあげることが重要です。
そのためには車の構造や整備の知識、最低限の整備をするテクニックを身に着けておく必要があります。
例えば
・エンジンオイルの交換
・タイヤの脱着
・ブレーキパッドの交換
・各灯火類のバルブなどの交換
・各種オイル、冷却水などの補充と残量の点検作業
・タイヤの空気圧の点検と調整作業
・バッテリーの交換
などといった軽作業ぐらいは、さっとできるようにしておきたいものです。
多分ここまでできるようになれば法定24か月定期点検に近い点検もできますし、根本的に構造的な欠陥がある車でない限り、車検の際に多額な修理費用を払わなくても済むはずです。