自動車というものは車体を購入しただけでは公道を乗り回すことができないもので、そのためにはいろいろなところにお金を払わなければなりません。
それがいわゆる「維持費」と呼ばれるものなのですが、皆さんもご存じ通りその維持費も馬鹿になりません。
場合によっては維持費を支払うことができないからといって車を手放してしまうことのあるぐらいです。
ならばどうにかして節約したい…ということで、ここでは自動車を所有していくにはどんな維持費がかかって、それをどれだけ節約することができるのかということをダイジェスト版でお伝えしたいと思います。
目次
自動車にかかる維持費と節約の可否
自動車にかかる維持費にはいろいろなものがあります。
自動車にかかる維持費~税金類は節約できるのか
まず税金類です。
自動車に関わる税金にはいろいろなものがあり、一時的に納める性質のものと、定期的または継続的に納めるものとに分けることができます。
一時的に納める自動車関連の税金
便宜上一時的と表現していますが、まず自動車を購入した時に納めるべき税金が2つあります。
●自動車取得税
自動車取得税は新車、中古車問わず車を購入した際に納めるべき税金で購入時点での価値が50万円以上となる車に対してかけられる税金です。
税額は車両価格やオプション品などの合計額に対して
・自家用車(登録車):3%
・自家用車(軽自動車):2%
・営業車:2%
(2019年6月時点)
といった税率をかけた形で算出されます。
納めるタイミングは、自動車を購入した時だけとなります。
ちなみにこの自動車取得税は、消費税増税に伴って2019年10月で廃止されました。
●消費税
普段あまり意識しないで物を買っているのでついつい忘れがちですが消費税も新車、中古車問わず車を購入した際に納める形を取ります。
税率は2019年6月時点では8%となっており、車両購入として支払った金額にかけらえる形になります。
この税金は、2019年10月の消費税増税に伴って10%へと増税されています。
定期的に納める自動車関連の税金
これについても2つの税金があります。
●自動車重量税
自動車重量税は、車の重さによって納める税額が決まっているもので、重量が大きければ大きいほど税額が高くなるといった仕組みを持つものです。
「車の重さ」とは乗用車は諸元表に書かれている「車両重量」、商用車は諸元表に書かれている「車両総重量」のことを指します。
税額は主に500kgごとに分けたランクに適用させる形で決めることになるのですが、それ以外にも新車登録からの経過年月(車齢)や車両区分などによっても違った税額が決められています。
○自動車重量税の年額税額例(乗用車)
・新車登録から13年未満
0.5トン以下:4,100円
0.5トンオーバー~1トン:8,200円
1トンオーバー~1.5トン:12,300円
1.5トンオーバー~2トン:16,400円
2トンオーバー~2.5トン:20,500円
2.5トンオーバー~3トン:24,600円
・新車登録から13年~18年未満
0.5トン以下:5,700円
0.5トンオーバー~1トン:11,400円
1トンオーバー~1.5トン:17,100円
1.5トンオーバー~2トン:22,800円
2トンオーバー~2.5トン:28,500円
2.5トンオーバー~3トン:34,200円
・新車登録から18年オーバー
0.5トン以下:6,300円
0.5トンオーバー~1トン:12,600円
1トンオーバー~1.5トン:18,900円
1.5トンオーバー~2トン:25,200円
2トンオーバー~2.5トン:31,500円
2.5トンオーバー~3トン:37,800円
(2019年6月時点)
○自動車重量税の年額税額例(8トン以下の商用車)
・新車登録から13年未満
1トン以下:3,300円
1トンオーバー~2トン:6,600円
2トンオーバー~2.5トン:9,900円
2.5トンオーバー~3トン:12,300円
3トンオーバー~4トン:16,400円
4トンオーバー~5トン:20,500円
5トンオーバー~6トン:24,600円
6トンオーバー~7トン:28,700円
7トンオーバー~8トン:32,800円
・新車登録から13年~18年未満
1トン以下:3,900円
1トンオーバー~2トン:7,800円
2トンオーバー~2.5トン:11,700円
2.5トンオーバー~3トン:16,200円
3トンオーバー~4トン:21,600円
4トンオーバー~5トン:27,000円
5トンオーバー~6トン:32,400円
6トンオーバー~7トン:37,800円
7トンオーバー~8トン:43,200円
・新車登録から18年オーバー
1トン以下:4,100円
1トンオーバー~2トン:8,200円
2トンオーバー~2.5トン:12,300円
2.5トンオーバー~3トン:17,100円
3トンオーバー~4トン:22,800円
4トンオーバー~5トン:28,500円
5トンオーバー~6トン:34,200円
6トンオーバー~7トン:39,900円
7トンオーバー~8トン:45,600円
(2019年6月時点)
納めるタイミングは、新車登録を行った際と継続車検の手続きを行った時で、次回の継続車検までの年数分を納めます。
●自動車税
自動車税は毎年4月1日の時点で所有者(信販系自動車ローンを使って車を購入した場合は使用者)となっている方が納めるべき税金で、搭載されているエンジンの排気量で分けた分類にあてはめる形で税額を算出します。
○自動車税の税額例(乗用車)
・新車登録から13年未満
排気量1リッター以下:29,500円
排気量1リッターオーバー~1.5リッター以下:34,500円
排気量1.5リッターオーバー~2リッター以下:39,500円
排気量2リッターオーバー~2.5リッター以下:45,000円
排気量2.5リッターオーバー~3リッター以下:51,000円
排気量3リッターオーバー~3.5リッター以下:58,000円
排気量3.5リッターオーバー~4リッター以下:66,500円
排気量4リッターオーバー~4.5リッター以下:76,500円
排気量4.5リッターオーバー~6リッター以下:88,000円
排気量6リッターオーバー~:111,000円
・新車登録から13年オーバー
排気量1リッター以下:33,900円
排気量1リッターオーバー~1.5リッター以下:39,600円
排気量1.5リッターオーバー~2リッター以下:45,400円
排気量2リッターオーバー~2.5リッター以下:51,700円
排気量2.5リッターオーバー~3リッター以下:58,600円
排気量3リッターオーバー~3.5リッター以下:66,700円
排気量3.5リッターオーバー~4リッター以下:76,400円
排気量4リッターオーバー~4.5リッター以下:87,900円
排気量4.5リッターオーバー~6リッター以下:101,200円
排気量6リッターオーバー~:127,600円
(2019年6月時点)
2019年10月に自動車税が以下のように引き下げとなりました。
排気量1リッター以下:マイナス4,500円
排気量1リッターオーバー~1.5リッター以下:マイナス4,000円
排気量1.5リッターオーバー~2リッター以下:マイナス3,500円
排気量2リッターオーバー~2.5リッター以下:マイナス1,500円
排気量2.5リッターオーバー~3リッター以下:マイナス1,000円
排気量3リッターオーバー~3.5リッター以下:マイナス1,000円
排気量3.5リッターオーバー~4リッター以下:マイナス1,000円
排気量4リッターオーバー~4.5リッター以下:マイナス1,000円
排気量4.5リッターオーバー~6リッター以下:マイナス1,000円
排気量6リッターオーバー~:マイナス1,000円
○自動車重量税の年額税額例(定員3人以下の商用車)
・自家用
最大積載量1トン以下:8,000円
最大積載量1トンオーバー~2トン以下:11,500円
最大積載量2トンオーバー~3トン以下:16,000円
最大積載量3トンオーバー~4トン以下:20,500円
最大積載量4トンオーバー~5トン以下:25,500円
最大積載量5トンオーバー~6トン以下:30,000円
最大積載量6トンオーバー~7トン以下:35,000円
最大積載量7トンオーバー~8トン以下:40,500円
最大積載量8トンオーバー~:40,500円+1トン増すごとに6,300円加算
・事業用
最大積載量1トン以下:6,500円
最大積載量1トンオーバー~2トン以下:9,000円
最大積載量2トンオーバー~3トン以下:12,000円
最大積載量3トンオーバー~4トン以下:15,000円
最大積載量4トンオーバー~5トン以下:18,500円
最大積載量5トンオーバー~6トン以下:22,000円
最大積載量6トンオーバー~7トン以下:25,500円
最大積載量7トンオーバー~8トン以下:29,500円
最大積載量8トンオーバー~:29,500円+1トン増すごとに4,700円加算
(2019年6月時点)
納税のタイミングは4月以降に送られてくる納税通知書によって5月31日までにしかるべき方法で年額を納めます。
税金は値引きも割引もなし
残念ながら税金はすべてにおいて決められた額を納めることになっていますので、これを節約することはできません。
ここまで明確に税額が決められてしまっているので、有効な対策が無いのです。
自動車にかかる維持費~自動車保険(損害保険)は節約できるのか
次に「もしも」の時に頼りになる損害保険について見ていきましょう。
自動車関連の損害保険には、自賠責保険と自動車保険があります。
●自賠責保険
自賠責保険は車を所有する人間すべてにおいて加入義務ある損害保険で、強制的に加入させられることから「強制保険」などと言われる場面もあります。
補償内容は対人保険だけで、補償能力が低く設定されている傾向にあります。
保険料は決まっており、どの損害保険会社でも同じ内容、同じ保険料が設定されています。
○自賠責保険の保険料
・軽自動車:一律25,070円(2年分)
・登録車:一律25,830円(2年分)
保険料を支払うタイミングは自動車重量税と同じで、新車登録時と継続車検の時、そして一時抹消登録をした車を再登録した時などです。
金額は次回の継続車検までの分となります。
自賠責保険料も実は国によって金額が決められているもので、一種の税金みたいな立ち位置となり値引きや割引などがされることはありません。
●自動車保険
自賠責保険の補償能力が低いことから、使用者が率先して加入する自動車保険。任意で加入することから「任意保険」とも呼ばれています。
自動車保険の場合は、被保険者となる人間の事故歴や車種、補償内容によって保険料がまちまちなので、節約をすることは大いに可能です。
自動車にかかる維持費~メンテナンス費用は節約できるのか
精密機械である自動車にはやはりメンテナンスが必要です。
メンテナンスというと定期点検が真っ先に出てきますが、それ以外にも各種オイルや冷却水などといった油液類の交換や補充、走るたびに減っていくブレーキパッドやブレーキシュー、タイヤのなどの交換、洗車なども含まれます。
これらのものはディーラーや専門の業者などに丸投げすることも可能ですが、そうなるとやはりそれなりのお金がかかるわけです。
しかし、こういったメンテナンス作業は素人でもできるものやちょっと勉強すればプロに任せる必要がないものがほとんどであるため、そうしたものを自分で行うようにすれば、最低限のお金だけで大幅に節約することが可能です。
自動車にかかる維持費~車検費用は節約できるのか
車検費用というと何十万円もかかるイメージがありますが、実は大幅に節約することができます。
車検費用の中には前述しましたように「自動車重量税」と「自賠責保険料」が含まれています。
この2つと運輸支局で支払う手数料だけは値引きや割引、カットすることはできませんが、それ以外のものは工夫次第で節約ができるのです。
車検基本料は車検を行う業者によってまちまちなので、安いところを探せば1万円ぐらいにできます。
車検整備においても、保安基準に適合している形で持ち込めばカットできます。
同時にやることが慣習となってしまっている24か月定期点検も、実は断ることができるので工夫の対象です。
極端な言い方をすれば、自動車重量税、自賠責保険料、車検手数料以外は、カットや節約を期待することができるということです。
自動車にかかる維持費~燃料費は節約できるのか
燃料費を節約するには車に乗らないことが一番効果的なのですが、そうもいかない場合は燃料が消費されにくい運転をすることでだいぶ抑えることができるでしょう。
他にも燃料単価の安いガソリンスタンドを見つける・提携クレジットカードをで支払って現金値引きやポイントをもらうといった、間接的な値引きを得る形も良い節約になります。
>車の維持費の節約はオーナーの心がけと知識次第
こうしてみると絶対に節約ができないものと、大幅カットと呼べるくらいの節約が可能であることがお分かりいただけたかと思います。
ただそうしたものでも、車に対する知識やちょっとした整備をするぐらいの器用さを持っていないと実行することができません。
自動車メーカーから車を買ってただ乗っているのも良いですが、維持費を賢く節約したいのであれば、それでは足りないのです。
自分の車のことを勉強して、知識と整備のテクニックを身につけていくことで、この先の節約額は大きなものになっていくのです。