キャッシュレスが騒がれている中、かなり昔からキャッシュレス決済の先駆けとして用いられてきたクレジットカード。クレジットカードはいわゆる支払い代行会社であるため、多少の金利や手数料の違いがあったところで、どのクレジットカードを使ってもメリットに差はありません。
しかし、クレジットカードを使って一時的に借金をしてくれる人がいなければクレジットカード会社は利益が出せなくなってしまうので、そういった本来の一時的な支払い代行業務の他に様々なサービスを付加して、それによる独自性を持たせることで商品価値を上げるという手段に出るようになりました。
その様々なサービスをうまく利用することでガソリンスタンドで支払うべきガソリン代をある程度節約することができるようになっています。
クレジットカードでガソリン代を節約できる2つのパターン
ガソリンスタンドでガソリン代を支払う時に、多くの場合は現金で支払いますが、それをクレジットカードで支払うことで、現場での手間が省けること、現金の出し入れをしないで済むこと以外に金銭的なメリットを得ることができる場合があります。
そのメリットには大きく分けて2つのものがあります。(※情報は全て2019年6月時点のものです)
●その場で直接、値引きがされるパターン
これは加入しているクレジットカードのカード会社、あるいは提携している企業が指定するガソリンスタンドだけに限定されるサービスなのですが、該当するガソリンスタンドでクレジットカードを使いガソリン代の支払いをすると「1リッターあたり○○円値引き」といった形で値引きを受けることができるというものです。
この値引きサービスを受けることができるのはクレジットカード会社、または提携企業と同グループであるか業務提携をしているガソリンスタンドだけで、値引きの金額も1リッターあたりでだいたい1円から15円程度となります。
下記に一例を示しておきますので参考にしてください。
○出光まいどプラスカード
・発行元:出光クレジット
・提携カード会社:セゾン、アメリカンエキスプレス、マスターカード、JCB、VISAなど
・ガソリン代値引き額(1リッターあたり):最大5円(通常2円)
○シェルスターレックスカード
・発行元:出光昭和シェル(旧・昭和シェル石油)
・提携カード会社:三菱UFJニコス、マスターカードなど
・ガソリン代値引き額(1リッターあたり):ハイオク=最大13円 レギュラー=最大8円
○ENEOSカード
・発行元:JXTGエネルギー(トヨタグループ)
・提携カード会社:トヨタTSキュービックカード、JCBなど
・ガソリン代値引き額(1リッターあたり):最大7円
○コスモ・ザ・カード・オーパス
・発行元:イオン
・提携カード会社:マスターカード、JCB、VISAなど
・ガソリン代値引き額(1リッターあたり):最大2円
●ポイント還元で間接的な値引きを受けるパターン
これはクレジットカードに付随するサービス、または提携企業のポイントサービスによって発行されるポイントを集めることで、将来的にポイントによるガソリン代に支払いやガソリンスタンド以外の支払いに使うことができるという形で間接的な値引きを受けるものです。
クレジットカード会社内でのポイントの他に、有名どころでは…
・楽天ポイント(楽天株式会社)
・Amazonポイント(Amazon.co.jp)
・Tポイント(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)
・ときめきポイント(イオン)
・Pontaポイント(ロイヤリティ マーケティング)
・nanacoポイント(セブンカードサービス)
などがあります。
クレジットカードによってクレジットカード会社内でのポイントと提携企業のポイントが両方付与される場合と片方だけしか付与されないものがありますので、注意が必要です。
ガソリン代以外の費用をクレジットカードで節約する
ガソリンスタンドはガソリンや軽油を給油するだけでなく、自動車にまつわる様々なサービスも行っています。
そういったサービスを利用した際の代金の支払いをクレジットカードで行うことでも直接的な値引きやポイントによる間接的な値引きを受けることができます。
場合によってはガソリンを給油した時よりも多額の支払いとなることがあるため、値引き額やポイント還元数も多くなることがほとんどです。
それではクレジットカード払いができるガソリンスタンドでのサービスを見ていきましょう。
●車検
一部のガソリンスタンドでは継続車検を受けることができます。
車検整備から法的な手続きまでを行うことができます。
ただ、ガソリンスタンドのほとんどが認証工場であったり、提携している指定工場に持ち込んでの車検となるため、完了まで最低でも丸1日かかることがほとんどです。
○認証工場と指定工場
車検は本来、現住所の管轄となる車検場に車体を持ち込んでそこで検査を受けるという形を取るものなのですが、運輸局の認可を受けた工場であれば、その車検の一部を代行することができます。
その認可を受けた整備工場が認証工場と指定工場です。
この2つの整備工場の違いはどこまで代行できるかといったことですが
・認証工場:車検整備・手続書類の作成
・指定工場:車検整備・車両検査・手続書類の作成
という違いがあります。
認証工場は車検を受けるための分解整備をすること・運輸支局に提出する手続き用の書類を代行作成することといったおおむねこの2つだけをすることが認められている整備工場で、実際の車両の検査は正式な検査ラインを持っていないのできないため、管轄の車検場に持ち込んで検査を受けることになります。
わざわざ車検場まで車を持ち込まなければならないため車検が完了するまで時間がかかります。
ガソリンスタンドでの車検のほとんどがこのパターンです。
一方、指定工場は認証工場の内容に加えて、工場内に車検用の検査ラインを持っていることから同じ敷地内で整備から検査、書類の作成をすることができます。
長距離の移動がないため、すべてが迅速にできることから数時間で車検を終わらすことができます。
ディーラーや1日車検をうたう車検専門店などがこの指定工場で、ガソリンスタンドはあまり見かけません。
ただ、グループ企業であちこちに店舗を構えるガソリンスタンドでは、一部の店舗に検査ラインを用意して指定工場の認可を受けて、そこに持ち込んで車検を行うといった形を取ることがあります。
○車検費用の支払いは一部になることが多い
ガソリンスタンドで車検を行った際にもクレジットカード払いができるわけですが、全額クレジットカード払いにすることができません。
例外もあるのですがほとんどの店舗では法定費用と呼ばれる金額だけは現金で支払ってもらってそれ以外の費用に関してだけクレジットカード払いを行うといった形を取ります。
法定費用とは自動車重量税、自賠責保険料、検査費用のことですが、これらは昔から現金で納めたり、支払うのが慣習となっているため、今でもその形を取る業者が多いのです。
例えば、日産のセレナの例(2019年6月時点)を挙げてみると
車検基本料金:15,000円
検査料:10,800円
自動車重量税:32,800円
自賠責保険料:25,830円
検査費用:1,200円
合計85,630円となるのですが、すべてがクレジットカード払いになるのではなく
自動車重量税:32,800円
自賠責保険料:25,830円
検査費用:1,200円
の合計となる59,830円は現金で支払う形となり、残りの
車検基本料金:15,000円
検査料:10,800円
の合計となる25,800円だけをクレジットカード払いにするといった感じです。
最近では法定費用もクレジットカード払いにしてくれるところが多くなってきましたが、ガソリンスタンドでの車検はまだまだ昔ながらの方法を取ることが多いようです。
●定期点検
6か月点検や12か月法定点検、24か月法定点検などもピットがあるガソリンスタンドであれば実施することができます。
費用的には点検の内容と整備や修理次第で変わってきますがだいたい1万円ぐらいから3万円ぐらいとなり、その金額すべてをクレジットカード払いにすることができます。
●整備
ピットスペースを持つガソリンスタンドであれば、ちょっとした整備なら行うことが可能です。
・エンジンオイルの交換/補充
・エンジンオイルエレメントの交換
・冷却水の交換/補充
・トランスミッションオイルの交換
・オートマチックトランスミッションオイルの交換
・CVTオイルの交換
・デフオイル、トランスファーオイルの交換
・ブレーキオイルの交換/エア抜き/補充
・エアコンガスの交換
・タイヤの空気圧調整
・タイヤ/ホイールの脱着
・エアクリーナーフィルターの清掃
・スパークプラグの交換
など、だいたい1日以内でできる整備ならOKです。
こちらも全額クレジットカード払いにすることができ、消耗品の購入にも適応されます。
ただ、ガソリンスタンドごとに整備の技術にばらつきがあり、場合によっては整備に出す前よりも調子が悪くなった(オートマチックトランスミッションオイル、CVTオイルの交換後に多い)などといったこともあるそうですので注意が必要だと思います。
●修理
修理はある程度規模の大きなガソリンスタンドでないとできませんが簡単な修理ぐらいは可能です。
・簡単なエンジンオイル漏れ修理
・簡単な冷却水漏れ修理
・エアコンガスのガス漏れ修理(エアコンガスの補充のみ)
・各可動部分のオイル切れ
・パンク修理
など
これ以上の複雑な修理も受けてくれますが、結局は契約している下請けの修理工場に流してそこで修理をすることになりますので、費用がかさみます。
それと修理の技術もあまり高くない場合が多いので、できればディーラーや直接、修理工場に持ち込んだ方がいいかと思います。
ただ、修理工場でクレジットカード払いにすることができない場合もあるため、どうしてもクレジットカード払いでないとまずいという場合はクレジットカード払い目的でガソリンスタンドにお願いするという手もあります。
その場合はもちろん全額クレジットカード払いがOKです。
●鈑金修理
他の部分の修理同様にボディのキズやへこみなど鈑金修理もしてくれます。
最近では大手の鈑金修理業者とガソリンスタンドが提携して、ガソリンスタンド内の一部に鈑金修理用のスペースが確保されていて、そこで鈑金修理や塗装、デントリペアなどといったボディの修理ができるようになっているところも増えてきました。
そうでない場合でも下請けの鈑金修理工場に流して修理をするという形で鈑金修理を受けてくれます。
この修理も全額クレジットカード払いができます。
●タイヤの購入・組み換え
タイヤの購入、組み換えも全額クレジットカード払いで行えます。
最近では石油会社オリジナルの低価格タイヤが販売されるようになり、よくガソリンスタンドの片隅に陳列されているところを見かけるようになりましたが、それに組み替えるだけでなく、希望メーカーのタイヤを取り寄せてそれに組み替えてくれたり、インターネットで安く買ったものを持ち込んで組み換えだけをやってもらうということも可能です。
もちろんバランス取りもしっかりやってくれますので、カー用品店に行くのが面倒くさい、待つのが嫌だという時にいいかもしれません。
それからタイヤだけでなく他社メーカーのアルミホイールやスタッドレスタイヤ用のスチールホイールなども取り寄せてもらって付け替えてもらうこともできます。
まとめ~結局は払うものだから
クレジットカードで代金を払うという行為は無料で物を買うわけではなく、一時借り入れをするようなものです。
後日しかるべき時のその代金を返済しなければならないのですからそれならわずかでも値引きしてくれる、少しでもポイントがつくクレジットカード払いをしない手はないと思います。
私も昔はそうでしたが、現金払いが一番すっきりするといった方ですとちょっと気持ち悪さが残るかもしれませんが、慣れればメリットが多いことに気が付くかと思います。