現在はLSにとって代わられてしまったトヨタのフラッグシップモデル、レクサス店が日本に展開される前まではクラウンがその役目を担っていました。
そのクラウンに古くから用意されているのがいわゆるスポーティードレスアップモデルとなるクラウン・アスリートです。
ラグジュアリーセダンモデルなのにどういうわけかスポーティーに寄せられた車ですが、クラウンオーナーの中でも比較的若い方から人気があり、それは中古車市場で特に強い傾向を見せます。

ここでは、クラウン・アスリートのどこが好まれるのか?といったことを現在の中古車市場で中心的なモデルとなるクラウンとしての13代目モデルのS200系、14代目モデルのS210系で見ていきたいと思います。

クラウンアスリートS200系

画像引用元:クラウン(1999年9月~2000年8月) アスリート| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

トヨタ・クラウン・アスリートってこんな車だった~概要

クラウン・アスリートは1955年から発売されているクラウンの中の1モデルとして作られた車です。
最初にクラウン・アスリートがお目見えしたのは1983年のモデルチェンジによって発売された7代目クラウンとなるS120系の時代でした。
しかし、このモデルの時は、「クラウン・アスリート」といった1つのモデルとして発売されたのではなく、販売台数が低迷した時のテコ入れ策となる「特別仕様車」という形で発売されました。
あくまでも「特別仕様車」の域を出ないものだったため、現在のクラウン・アスリートほどの際立った違いは与えられず、低コストでオリジナリティを出すことができるエアロパーツ風エクステリアパーツとサスペンションキット程度のものが交換されていただけに過ぎませんでした。
いうなれば完全なドレスアップモデルという感じです。

この形は1987年に発売された8代目クラウンのS130系にも採用され、S120系と同様にテコ入れ策の「特別仕様車」として販売されました。

しかしその後は続きません、バブルがはじけてから景気が低迷したことによりクラウンのような高額モデル自体が売れない傾向になってしまったからです。
当のクラウンも多少のテコ入れレベルでは販売台数が伸びない…ということから大幅なテコ入れ策として正規のモデルチェンジサイクルを崩してモデルチェンジ時期を早めたぐらいですから、特別仕様車といってもドレスアップモデルを作ることには至りませんでした。

これは1991年に発売されたクラウンの9代目モデルとなるS140系モデルにも受け継がれ、クラウン・アスリートという特別仕様車が作られることがなったのですが、ただこのモデルでは「ロイヤルツーリング」と呼ばれていた若干スポーティーなイメージを持ったモデルがカタログモデルとして発売されていました。
しかし、9代目モデル自体がのちに「クラウン史上最大の失敗作」といわれるぐらい人気の出ないモデルだったので、この「ロイヤルツーリング」グレードもほとんど売れず、知る人ぞ知るといった程度の車で終幕を迎えます。
1995年のモデルチェンジで10代目モデルS150型となったクラウンでは、クラウン自体の新車需要は少しずつ増えてきて標準モデルとなるロイヤルサルーンがそれなりに売れるようになったのですが、スポーティーなイメージを持たせたロイヤルツーリングの需要は少なく、クラウン・アスリートのようなモデルを作るチャンスはありませんでした。

しかし1999年に発売された11代目モデルのS170系で大きな変化がありました。
なんとクラウン・アスリートが特別仕様車ではなくカタログモデルとして、またクラウンの1モデルとして発売されることになったのです。
これがクラウン・アスリートの初代モデルとなります。

●初代モデル(クラウンとしては11代目モデル) S170系型(1999年~2007年)

クラウンアスリートS170系

画像引用元:クラウン(1999年9月~2000年8月) アスリート| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

このモデルが発売された当時、トヨタではちょっとした悪い流れがありました。
それはこれまでに発売されてきたスポーツモデルやスポーティーモデルがことごとく販売不振やそれによる生産終了が立て続いたことです。

これには「エコブーム」による低燃費競争が始まったということもありますが、カローラ・レビン、スプリンター・トレノはFF化したことで大失敗しのちに生産終了、MR2も話題性はあったものの2代目モデルまで作って、MR-Sに引き継いでも性能の質から人気が出ず生産終了、セリカもFF化されたのちにだんだん保守的な普通の大衆車になってしまったことから人気の低迷そして生産終了、スープラも人気低迷と同時に排ガス規制をクリアできないということで生産終了が決まっていました。

このようなことからスポーツ志向の車が販売ラインナップからどんどんなく消えていく傾向をなんとかしたいということで、トヨタが大得意とする「既存モデルの流用術」を使って、完全なるラグジュアリーセダンであるクラウンにそれっぽい見た目とそれっぽさを感じる硬い足周り、そしてちょっとだけ特別感を感じるエンジンを搭載させたモデルを作ったというわけです。
それがクラウンのアスリートです。

きっとこの考え方が現在のG'sやGRスポーツに繋がるのでしょう。

このモデルでは、2.5リッターNAエンジンモデル、2.5リッターターボエンジンモデル、3リッターNAエンジンモデルといった3種類のアスリートモデルが用意されていました。

●2代目モデル(クラウンとしては12代目モデル) S180系型(2003年~2008年)

クラウンアスリートS180系

画像引用元:クラウン(2003年12月~2004年2月) アスリート| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

S180系にもクラウン・アスリートは用意されました。
このモデルではロイヤルモデル同様に2.5リッターNAエンジンモデルと3.5リッターNAエンジンモデルの2つが用意されました。

●3代目モデル S200系型(クラウンとしては13代目モデル)(2008年~2012年)

クラウンアスリートS200系

画像引用元:クラウン(1999年9月~2000年8月) アスリート| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO


このモデルでは2.5リッターNAエンジンモデルと3.5リッターNAエンジンモデルが用意されていました。
2019年4月現在の中古車市場にあるクラウン・アスリートの約4割がこのS200系アスリートとなっています。

●4代目モデル S210系型(クラウンとしては14代目モデル)(2012年~2018年)

クラウンアスリートS210系

画像引用元:クラウン(1999年9月~2000年8月) アスリート| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO


このモデルでは先代モデルに引き続き、2.5リッターNAエンジンモデルと3.5リッターNAエンジンの2つのモデルが用意されたのですが、更にこのモデルから2つの新しいパワーユニットがアスリートモデルにも搭載されるようになりました。

1つはハイブリッドシステム、2.5リッターNAエンジンにFR用に改造したTHS-IIを組み合わせたものです。
そしてもう1つはダウンサイジングターボエンジンという概念のもとに作られた2リッターターボエンジンです。実はこの2つのパワーユニットはクラウンのレクサス店バージョンであるGSで採用になっていたもので、それを遅ればせながらベースモデルのクラウンシリーズにも流用したということで搭載されたものです。

クラウンはこのあと2018年にモデルチェンジをおこない、S220系型へと進化していきますが、そのモデルにおいてアスリートモデルが作られなかったことから、このS210系クラウン・アスリートが2019年現在での最終モデルとなります。

トヨタ・クラウン・アスリートにはこんなモデルがあった~モデル構成

S200系

・2.5リッターNAエンジン(215ps仕様)+6速AT 2WDモデル
・2.5リッターNAエンジン(215ps仕様)+6速AT 4WDモデル
・3.5リッターNAエンジン+6速AT 2WDモデル

※マイナーチェンジ後モデル

・2.5リッターNAエンジン(203ps仕様)+6速AT 2WDモデル
・2.5リッターNAエンジン(203ps仕様)+6速AT 4WDモデル

このモデルでは2010年の2月に行われたマイナーチェンジで燃費向上のためのパワースペックの改変があり、2.5リッターNAエンジンのパワースペックがパワーで12ps、トルクで1.7kgf・mほど引き下げられました。
そのため同じモデル、同じグレードでも違うパワースペックのものが存在することになりますので、中古車を買う時は注意が必要です。

S210系

●標準モデル

・2リッターターボエンジン+8速AT 2WDモデル
・2.5リッターNAエンジン+6速AT 2WDモデル
・2.5リッターNAエンジン+6速AT 4WDモデル
・3.5リッターNAエンジン+8速AT 2WDモデル

●ハイブリッドモデル

・2.5リッターNAエンジン+THS-II+ギヤ式無段変速機 2WDモデル
・2.5リッターNAエンジン+THS-II+ギヤ式無段変速機 4WDモデル

このモデルでは当初は先代モデルと全く同じモデル構成を取っていましたが、途中から2リッターターボエンジンモデルとハイブリッドモデルの追加が行われ、モデルのバリエーションもにぎやかになりました。

トヨタ・クラウン・アスリートのパワーユニット~動力性能

S200系

●2.5リッターNAエンジン(マイナーチェンジ前)

・エンジン型式:4GR-FSE型
・エンジン排気量:約2.5リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:半直噴

※スペック

・最大出力:215ps/6,400rpm
・最大トルク:26.5kgf・m/3,800rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約86ps
○パワーウェイトレシオ:約7.4kg/ps

●2.5リッターNAエンジン(マイナーチェンジ後)

・エンジン型式:4GR-FSE型
・エンジン排気量:約2.5リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:半直噴

※スペック

・最大出力:203ps/6,400rpm
・最大トルク:24.8kgf・m/4,800rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約81.2ps
○パワーウェイトレシオ:約7.8kg/ps

上記の2つの2.5リッターNAエンジンは構造的には全く同じですが、燃費性能を向上されるための措置が取られたことからマイナーチェンジ後では大幅なパワーダウンとなっています。

●3.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:2GR-FSE型
・エンジン排気量:約3.5リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:半直噴

※スペック

・最大出力:315ps/6,400rpm
・最大トルク:38.4kgf・m/4,800rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約90ps
○パワーウェイトレシオ:約5.2kg/ps

S210系

●2.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:4GR-FSE型
・エンジン排気量:約2.5リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:半直噴

※スペック

・最大出力:203ps/6400rpm
・最大トルク:24.8kgf・m/4800rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約81.2ps
○パワーウェイトレシオ:約7.6kg/ps

●3.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:2GR-FSE型
・エンジン排気量:約3.5リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:半直噴

※スペック

・最大出力:315ps/6,400rpm
・最大トルク:38.4kgf・m/4,800rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約90ps
○パワーウェイトレシオ:約5.17kg/ps

2.5リッターNAエンジンも3.5リッターNAエンジンも先代モデルからの持ちこしです。
構造からスペックまで全く同じものです。

●2リッターターボエンジン

・エンジン型式:8AR-FTS型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:半直噴
・過給器:ターボチャージャー

※スペック

・最大出力:235ps/5,200rpm~5,800rpm
・最大トルク:35.7kgf・m/1,650rpm~4,400rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約117.5ps
○パワーウェイトレシオ:約6.7kg/ps

このエンジンは2015年10月のマイナーチェンジの際に追加されたもので、このエンジンが搭載されたモデルが追加されたことによって、2.5リッターNAエンジンの4GR-FSE型が搭載された2WDモデルが廃止になりました。

●ハイブリッドシステム

○エンジン
・エンジン型式:2AR-FSE型
・エンジン排気量:約2.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:半直噴

※スペック

・最大出力:178ps/6,000rpm
・最大トルク:22.5kgf・m/4,200rpm~4,800rpm

○電気モーター
・電気モーター形式:1KM型

※スペック

・最大出力:143ps
・最大トルク:30.6kgf・m

○ハイブリッドシステム:THS-II
○ハイブリッドバッテリー:ニッケル水素バッテリー

○システムパワー:220ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約88ps
○パワーウェイトレシオ:約7.4kg/ps

このハイブリッドモデルの組み合わせは先に発売されていたクラウンの派生モデルであるGSと全く同じものです。
ということは…修理費用が掛かる故障が多いという難点が存在することになります。

トヨタ・クラウン・アスリートの走りはどうだった?~走行性能

ボディ剛性・シャシー性能

S200系、S210系ともに同じプラットフォーム、同じ考え方で作られたもので同士ですのでボディ剛性やシャシー性能に関しても両モデルは同じといっていいでしょう。

過去にクラウンはボディ剛性がしっかりとしているといわれたことがありましたが、確かに8代目モデルまでのものはラダーフレームを使っていたことからかなり頑丈なシャシーを持たされていました。
しかし、その後9代目モデルになるのと同時にモノコックフレーム構造を取るようになってからは、脆弱なフレーム、シャシーになってしまいました。
その理由は、生産コストの削減です。

目に見えない部分であるシャシーやフレーム、そして見ただけではわからない鋼材の質の低下や鋼板の厚みを薄くするという原材料にかかる費用を抑えようとする考え方をごく当たり前のことと考えるようになったのです。
それは、モデルが新しくなればなるほど強く出ることになり、S210系モデルでもかなり軟なボディ剛性を持つものとなっています。

ボディ全体がスプリングのようなものですので乗り心地はいいですが走行性能面からすれば不安が残ります。

トランスミッション

●6速オートマチックトランスミッション
このトランスミッションはS200系の全モデル、S210系の2.5リッターNAエンジン搭載モデルに採用されていたものです。
トヨタ名「スーパーインテリジェント6速オートマチック 6SuperECT」となるものですが、要するに制御は電子制御、作動は油圧、クラッチ代わりにトルクコンバーターを入れて、複数の遊星ギヤの組み合わせを用いて変速するといったごく普通の昔からよく使われてきたオートマチックトランスミッションです。
特化して良い部分があるわけでもありませんが、悪い部分があるわけでもありません。

●8速オートマチックトランスミッション
これはS210系の2リッターターボエンジンモデルと3.5リッターNAエンジンモデルに採用されていたトランスミッションです。
名称は、「スーパーインテリジェント8速オートマチック 8SuperECT」となりますが、この名称から2.5リッターNAエンジンに搭載されていた6速オートマチックトランスミッションと基本が同じものであることがわかります。
6段変速を8段変速にしただけで、マニュアルモードの「シーケンシャルシフトマチック」も当然ながら付けられています。

6段変速のものと同様に特に秀でる部分も劣る部分もないごく普通のトルクコンバーター式オートマチックトランスミッションです。

●ギヤ式無段変速機
これはS210系モデルのハイブリッドモデルのみに採用されているものです。
無段変速機といっても金属ベルトと1対のプーリーを持つCVTとは全く違うのもので、遊星ギヤと電気モーターの抵抗を用いて無段変速を実現するギヤ式無段変速機です。

ハイブリッドシステムのTHS-IIに内蔵される形になっているので、「トヨタのハイブリッドモデル=このギヤ式無段変速機」といった形になります。

サスペンション構造

S200系、S210系は同じプラットフォーム、同じシャシーを使うモデルですので、サスペンション構造も同じです。
フロントにダブルウィッシュボーン、リヤにダブルウィッシュボーンベースのマルチリンクといったかなり贅沢な構造が採用されています。

サスペンションセッティングも乗り心地重視で、それこそ石畳の上を走ってもそれを感じさせないような感じになっていますが、走行性能という観点からいうとあまり良くありません。

その理由はサスペンションアームの剛性不足です。
これも実はボディ剛性の低下と同じ理由でそうなってしまったものなのですが、コスト削減のために一般の人間にはわかりにくい部分、サスペンション周りの部品の肉厚を薄くして、その分だけ原材料費を安く上げるといった手段を取っているのです。
そのため、バンプ・リバンプした際にコイルスプリングが伸び縮みするのと同時にサスペンションアームまでが曲がり、まるでサスペンションアーム自体がリーフスプリングのようになってしまうのです。

こういった動きは確かに乗り心地の向上には役立ちますが、それなりのスピードレンジで走っているとサスペンションは動いていないのにサスペンションアームが歪むので、常にフラフラしてしまいます。

これだけではありません、なんとS210系ではそれを一つの技術として公表しているのです。
S210系のWebカタログを見たことがある方なら知っているかもしれませんが、そのカタログのサスペンション構造の説明の部分に「いなし」という言葉が使われています。

そこにはあえてサスペンションアームが曲がって「いなし」を与えることで上質な乗り心地を実現できたように書かれていますが、その「いなし」こそが実はコスト削減をしたことで出てしまったサスペンション周りの剛性不足の一側面なのです。

視点を変えることで性能的に悪い部分とも受け取れることも良い部分として取り上げ、販売戦略のひとつとして使っているということです。「販売戦略のトヨタ」と言えるのかもしれませんが、これも購入者がどちらの観点を持っているかによって印象が大きく変わります。

トヨタ・クラウン・アスリートって燃費は良かったの?~燃費性能

●S200系

○2.5リッターNAエンジン(215ps仕様)モデル
・カタログ燃費(JC08モード換算値):最大11km/L
・実燃費:約6km/L

○2.5リッターNAエンジン(203ps仕様)モデル
・カタログ燃費(JC08モード換算値):最大11.2km/L
・実燃費:約6km/L

○3.5リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード換算値):約9km/L
・実燃費:約4km/L

●S210系

○2リッターターボエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大13.4km/L
・実燃費:約8km/L

○2.5リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大11.4km/L
・実燃費:約6km/L

○3.5リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.6km/L
・実燃費:約5m/L

○ハイブリッドモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大23.2km/L
・実燃費:約17km/L

燃費性能を求める車でもありませんし、ガソリン代に糸目をつけないような方が買う車ですので、これくらいが妥当といえるでしょう。
ただ、中古車市場にまわるぐらいの年月と走行距離を重ねてしまうと、良くても上記の実燃費の2/3程度が限界だと思います。

トヨタ・クラウン・アスリートを買ってみる~中古車購入

トヨタ・クラウン・アスリートはこんな人に向いている

クラウン・アスリートは簡単に行ってしまえば本来は「お金持ち」で比較的若めの方が乗るような車です。
それこそ車を買うのもキャッシュで一括、ガソリン代も維持費にも決して糸目をつけないような方が乗るべき車です。
中古車で買うから、販売価格が安いからといってもやはりそういったことに見合った方に乗っていただくほうが向いている車です。

現実的にも税金も高いですし燃費性能が悪いのでガソリン代もかかります。
ハイブリッドモデルなら100万円近い修理費用が掛かる故障に見舞われることも少なくありません。
こういったことに瞬時に対応できるぐらいの経済力がある方に買っていただきたいと思います。

トヨタ・クラウン・アスリートを中古車として買う時の注意点

S200系は特にこれといって不具合や故障が多いわけではないので経年劣化さえ気をつければまずまずの状態の中古車を買うことができるかと思いますが、ただひとつだけこれだけは気をつけていだたきたいのが、「いじり倒されていないかどうか?」という点です。

実はS200系のクラウン・アスリートは中古車価格がこなれてきたせいか、地方都市に住む若年層ドライバーから「VIPカードレスアップ」のベース車両として絶大なる人気を持っています。
VIPカードレスアップとは、経済力に心もとない若い年齢層でも中古で安く買えるようになった元・高級セダンを購入して、それにメッキパーツをたくさんつけ、車高を落とし、爆音マフラーをつけ、規格外ともいえる20インチオーバーのメッキアルミホイールを履かせて・・・といった具体に飾り立てる一種の風潮です。
俗に言う「ヤンキー車」と呼ばれる車とは紙一重で、ある意味では同一視することができます。

そういった方たちが中古でクラウン・アスリートを買ってトコトンいじりまわして、あちこちに穴を開けたり、車高を下げ過ぎて無理なシャコタン状態で乗り回したりといったことをしたものが、のちにまたそれが中古車市場に出回るということがよくあり、だいたいそういった車は見た目も中身もボロボロであることがほとんどなのです。

それをつかんでしまうのはゴミを買ったのと同然ですので、それだけは絶対に避けたいところです。
対策としては「絶対に防げる」というものではありませんが、ワンオーナーカーを選ぶことでかなりリスクを下げることができます。

次にS210系ですが、こちらもガソリンエンジンモデルであれば特に気をつけるところはありませんが、ハイブリッドモデルは、THS-II特有のハイブリッドバッテリーの故障、インバーターの故障に気をつけましょう。
これはハイブリッドシステム警告灯の点灯状態と試乗をした時のバッテリー容量の変化と充電状態になる頻度でなんとか見抜くことができると思います。

中古車市場での価値の動向

●S200系
・2.5リッターNAエンジンモデル:C
・3.5リッターNAエンジンモデル:C

●S210系
・2リッターターボエンジン:B
・2.5リッターNAエンジン:C
・3.5リッターNAエンジン:B
・ハイブリッドモデル:D

S200系の中古車需要は、「VIPカードレスアップベースモデル」「ヤンキー車」需要によるものがほとんどでそれを除いたら「D」ランクとなるでしょう。

それからS210系のハイブリッドモデルの価値が低いのは故障が多いからです。

(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)

まとめ

クラウン アスリート 中古車
中古車になっても元フラッグシップモデルの威厳を持ち続けるクラウン、クラウン・アスリートはそのクラウンにスポーティーさを与えるといったある意味野暮なことをしたモデルですが、それによって中古車市場では新たなる需要を生んでいるようです。

しかし逆にいえば、ちょっと古めのクラウン・アスリートに乗っているだけで、クラウン・アスリートの中古車需要のほとんどを占める「VIPカードレスアップベースモデル」に乗る方と同じ考えを持つ人間と見られてしまうということになります。

それを失念せずに、落ち着いた選択で自分の希望を考えましょう。

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