多人数乗りファミリーカーとしてしっかりと根付いた感のあるミニバン。そのミニバンの中で一番上のクラスとなるのが大型ミニバンと呼ばれる車です。
トヨタでは大型ミニバンを3車種ほど発売していますが、中でもアットホームな中高年ファミリー層に支持を受けているのがアルファード、かなりいろいろな装備が盛り込まれている贅沢な車ですが、そのためか新車市場以上に中古車市場で大人気となっています。

ここでは、その中古車市場で高い需要を持つH20系型初代モデルを中心にアルファードが車としてどれだけの性能を持っているのか見てみましょう。

アルファードH20

画像引用元:アルファード| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

トヨタ・アルファードってこんな車だった~概要

トヨタ アルファード ミニバン

古くからある日本のミニバンはそのほとんどが「ワンボックスワゴン時代」といった歴史を持ちます。
同じトヨタでも中型ミニバンのノア三兄弟車はライトエース・タウンエース兄弟車、日産のエルグランドはキャラバン・ホーミー兄弟車、セレナはバネット、デリカD:5はデリカ、CX-8はMPVといった感じで、まだ日本に「ミニバン」といった言葉がなかった時代はこういったワンボックスワゴンモデルとして発売されていたのです。

では、アルファードはどんな車だったのか?
それは、1つ前のモデルを飛び越える形となりますが、今でもワンボックスバンとして大人気となっているハイエースとなります。
ハイエースは今でもワゴンモデルが発売されていますが、そちらはハイエースから先代モデルとなるアルファードGに移行する際に10人乗り以上のワゴンモデルをハイエースに残して9人乗り以下のものだけをミニバンとして抜粋したような形で作られたのがアルファードの先代モデルとなるアルファードGです。

当時は現在でも販売チャネル違いの兄弟車として発売されているヴェルファイアがまだなく、アルファードVと呼ばれていた時代で、この時はまだアルファードもヴェルファイアも存在しませんでした。
一部ではこのアルファードGを「初代アルファード」とする傾向があるようですが、現・ヴェルファイアのアルファードVという存在があることからアルファードGと現在のアルファードは分けてみるのが正しい見方となります。

●初代モデル H20系型(2008年~2015年)

アルファードH20

画像引用元:アルファード| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

トヨタのミニバンとしての先駆者的なモデルとなるエスティマが新MCプラットフォームを使って作り替えられたことに同調する形でアルファードGもここで初めてアルファードとなりました。
このモデルではアルファードGの時代で形作った「大排気量エンジンを搭載した贅沢モデル」と「エンジン排気量を小さくし税金や燃料費を節約するための廉価モデル」といった2モデル構成に更にエスティマで先に採用された「THS」を搭載したハイブリッドモデルも用意されました。

しかしこのハイブリッドモデルは思ったほど燃費性能の向上に役立たず、そればかりか価格が高いことから一部の誤った「エコブーム」に感化されてしまった方の、まるで初代モデルから2代目モデルの中盤あたりまでのプリウスのような需要傾向を持つ失敗作となってしまいました。

このモデルが2019年4月時点で中古車市場におけるメインとなるモデルでアルファードの中古車の約8割を占めます。

●2代目モデル H30系型(2015年~現在)

アルファードH30

画像引用元:トヨタ アルファード | トヨタ自動車WEBサイト


アルファードGから初代モデルにかけてずっとエスティマをベースモデルとしてきたアルファードがこの2代目モデルにおいて初めて独立した形で作られるようになったのがこのH30系型の2代目モデルです。

こうなったのには実は理由がありました。
当初、トヨタはエスティマを大型ミニバンの主軸として販売し続けるという構想を持っていました。
しかし、その後ハイエースの後継モデルとして「ミニバン」という言葉をまとった形でアルファードGやアルファードVを発売しそれが大ヒットモデルとなったことで、今度は大型ミニバンの主軸をこれらアルファードシリーズに切り替えることになったのです。

これによって「大型ミニバンの定番」がアルファードシリーズ、ちょっとスポーティーなイメージのあるトヨタにはない「低ルーフミニバン」の代わりとなるのがエスティマ…といった図式が出来上がったのです。
この形はエスティマが3代目、アルファードシリーズがアルファードとヴェルファイアに分かれても続いたのですが、この頃になると低ルーフミニバンの需要がほとんどなくなったことと、トヨタの大型ミニバンにおいてアルファード・ヴェルファイア兄弟車がしっかりと根付いたことからエスティマの需要が激減し始めたのでした。
そこでトヨタはアルファード・ヴェルファイア兄弟車のモデルチェンジにあわせる形でエスティマの生産終了をすることとし、アルファード・ヴェルファイア兄弟車にはそれらのモデルならではの車体を与えることにしたのです。
しかし、ここで大誤算が起こります、噂でエスティマが生産終了になるということが広まったことで、陰ながら多くいたエスティマファンから生産終了を悔やむ声が出始めたのです。

車を一台でも多く売りたいトヨタは昔からそういった声に敏感ですので、その声に対して、モデルチェンジはしないものの生産終了をせずに継続販売することにしました。
このことからそれまで同じ車として作られてきたエスティマとアルファード・ヴェルファイア兄弟車が根本から作りの違う車になったのでした。

このように2代目モデルでは、エスティマとは全く別の構造が与えられるようになったわけですが、アルファード・ヴェルファイア兄弟車の作りとしては先代モデルを引きずるかのようなキープコンセプトのモデルチェンジとなっています。

トヨタ・アルファードにはこんなモデルがあった~モデル構成

トヨタ アルファード モデル構成

ここからは2019年4月時点の中古車市場で多くの取引がされている初代モデルH20系型について見ていきたいと思います。

標準モデル

・2.4リッターNAエンジン+CVT 7人乗り 2WDモデル
・2.4リッターNAエンジン+CVT 8人乗り 2WDモデル
・2.4リッターNAエンジン+CVT 7人乗り 4WDモデル
・2.4リッターNAエンジン+CVT 8人乗り 4WDモデル
・3.5リッターNAエンジン+6速AT 7人乗り 2WDモデル
・3.5リッターNAエンジン+6速AT 8人乗り 2WDモデル
・3.5リッターNAエンジン+6速AT 7人乗り 4WDモデル
・3.5リッターNAエンジン+6速AT 8人乗り 4WDモデル

標準モデルには2.4リッターNAエンジンを搭載した廉価モデルと3.5リッターNAエンジンを搭載した上級モデルがあります。
それぞれのモデルにセカンドシートの違いによる7人乗り・8人乗りがあり、更にFFの2WDとスタンバ4WDの4WDモデルが用意されています。

トランスミッションは、耐久性の観点からCVTが搭載されていたのはパワーの無い2.4リッターNAエンジンを搭載するモデルだけで、3.5リッターNAエンジンを搭載したモデルは通常の6速オートマチックトランスミッションとなります。

ハイブリッドモデル

・2.4リッターNAエンジン+THS-II+ギヤ式無段変速機 7人乗り E-Fourモデル

ハイブリッドモデルはかなりの制限があり、定員は7人乗りのみ、駆動方式もE-Fourによる4WDモデルだけとなります。
ハイブリッドモデルに4WDモデルしかないのは、アルファードをハイブリッド化する際にインバーターや電気モーターなどをエンジンルーム内に収めることができなかったことから、エンジンルーム内に収めるべき電気モーターを小型化せざるを得なくなり、それによる動力性能の低下をカバーするために、リヤアクスルにも電気モーターをつけて、疑似的に4WD化したのです。

これがE-Fourが作られたあらましです。
現在でもこのシステムは使われ、「電気式の4WDシステム」などとかっこをつけたことを言っていますが、実はアルファード兄弟車をハイブリッド化するための工夫から生まれた妥協策でしかなく、4WDシステムではなくハイブリッドシステムの一部としてみるべきなのです。

ですので、E-Fourは「電気式4WDシステム」ではなく「疑似4WDシステム」とするのが正しい見解です。
知っておいて損はしない違いです。

ハイブリッドモデル(ドレスアップモデル)

・2.4リッターNAエンジン+THS-II+ギヤ式無段変速機 7人乗り E-Fourモデル

このモデルは、「ハイブリッドSR」グレードと呼ばれるものです。
中身的には普通のハイブリッドモデルと同じですが、エクステリアを中心にスポーティーな方向を持たせたドレスアップが施されているものです。
ドレスアップの内容もただ単にエアロパーツ風エクステリアパーツをつけただけで、それ以上でもそれ以下でもなく見た目だけのものといえます。

トヨタが言うように「エアロパーツ」とせず「エアロパーツ風エクステリアパーツ」としたのはこのパーツをつけたからといって空力特性が改善されるわけではない一パーツでしかないからです。
もちろん速く走れるわけでもありません。

トヨタ・アルファードのパワーユニット~動力性能

●2.4リッターNAエンジン

・エンジン型式:2AZ-FE型
・エンジン排気量:約2.4リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ

※スペック

・最大出力:170ps/6,000rpm
・最大トルク:22.8kgf・m/4,000rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約70.8ps
○パワーウェイトレシオ:約11.1kg/ps

このエンジンは何かとトラブルが多いと言われるエンジンです。
詳しくはのちほど解説いたしますが、そうなる原因をひとことで言いますと「非日本製」だからです。

●3.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:2GR-FE型
・エンジン排気量:約3.5リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ

※スペック

・最大出力:280ps/6,200rpm
・最大トルク:35.1kgf・m/4,700rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約93.3ps
○パワーウェイトレシオ:約7.25kg/ps

2トン近くにもなる大型ミニバンをストレスなく快適に走らせるには最低でもこれくらいのパワーは必要でしょう。
走りに重点を置く方であればこの3.5リッターNAエンジンを搭載したモデルを選ぶしかありません。

●2.4リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム

○エンジン
・エンジン型式:2AZ-FXE型
・エンジン排気量:約2.4リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・ミラーサイクル制御

※スペック

・最大出力:150ps/6,000rpm
・最大トルク:19.4kgf・m/4,000rpm

○フロント電気モーター
・電気モーター形式:2JM型

※スペック

・最大出力:143ps
・最大トルク:27.5kgf・m

○リヤ電気モーター
・電気モーター形式:2FM型

※スペック

・最大出力:68ps
・最大トルク:13.3kgf・m

○ハイブリッドシステム:THS-II
○ハイブリッドバッテリー:ニッケル水素バッテリー

○システムパワー:190ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約79.1ps
○パワーウェイトレシオ:約11.5kg/ps

2AZ-FXE型は2AZ-FE型エンジンにミラーサイクル制御を組みわせたもの、フロントドライブ用の2JM型電気モーターはエスティマやSAI、カムリなどと同じ、リヤドライブ用の2FM型電気モーターはエスティマ、ハリアーなどと同じものです。

燃費性能を向上させるためとはいえ、2.4リッターNAエンジンに電気モーターを2つも加えているのに、2.4リッターNAエンジンだけのモデルとスペック的に違いがほとんどないのはかなりガッカリします。

トヨタ・アルファードの走りはどうだった?~走行性能

TOYOTA アルファード 走行性能

高額車両といってもミニバンは日本では大衆ファミリーカーであるわけですから、走行性能を求めるような車ではありません。
ましてやアルファードは2トン近くの重量を持ち、重心の高いボディを持つ車なわけですから、そもそもが優れた走行性能を発揮できる構造を持っていないのです。
そのところを理解したうえで読んでいただきたいと思います。

ボディ剛性・シャシー性能

この時代のトヨタは今以上にコスト削減に躍起になっていた時です。
見た目の質感を損なわずに生産コストを下げる…そのためには見えないところ、一般に素人が見ても気がつかないところの質を落とすしかありません。

その1つがボディやフレーム、シャシーといった目に見えてはいますが、質の低下に気が付く方が少ないところです。
例えば、フレームに使われている鋼材の質を落としても素人さんにはわからない、フレームの鉄板の厚みを1ミリ薄くしても誰も気がつかないでしょう。
そうやってトヨタは少しずつ生産コストを下げているわけですが、その見返りに車体の剛性や強度が失われています。

特にサイズも大きく、内部の空間体積も大きいボディをもつアルファードでは、まるで大型トラックの荷台のように走っている最中もボディが左右に大きく捻じれるような動きをします。

更にこれがそれなりの距離を走った中古車ともなるともっともっと目立つようになり、それこそサスペンションが動く前にボディが捻じれて衝撃を吸収するといったことになる確率がかなり高くなります。

新車状態でも確実のボディ剛性が足りていないのですから中古車で買うとなるとそれ以上のボディ剛性の無さを感じることになるでしょう。

トランスミッション

この時代のアルファードには3つのトランスミッションが用意されていました。

●CVT
これは2.4リッターNAエンジン搭載モデルに採用されていたトヨタ名「Super CVT-i」と呼ばれていたものです。トルクコンバーターを持つ金属ベルト式のごく普通のCVTですが、この当時はまだCVTに技術があまり高くなかったことから3.5リッターNAエンジンのパワーとトルクに耐えることができなかったため、2.4リッターNAエンジンモデルのみの採用となりました。

●6速オートマチックトランスミッション
これは3.5リッターNAエンジンを搭載したモデルに採用されていたモデルです。
トヨタでは「スーパーインテリジェント6速オートマチック 6SuperECT」と呼んでいるようでがこちらもCVT同様にごく普通のオートマチックトランスミッションです。
特筆するべきことは何もありません。
普通に走ります。

●ギヤ式無段変速機
これはハイブリッドモデルのみに採用されているもので、金属ベルトと1対のプーリーで無段変速を行うCVTとは違い、遊星ギヤと電気モーターの抵抗を用いてギヤで無段変速を実現したギヤ式無段変速機です。

これはハイブリッドシステムのTHS-IIに内蔵される形で付けれらているものですので選択肢はなく、THS-IIが搭載された時点で自然と与えられる形となります。

走りとしては金属ベルト式のCVTと違いはなく、ごく普通に走ります。

サスペンション構造

トヨタのコスト削減策が一番強く出ているところ、素人でもすぐにわかるところがこのサスペンション構造です。
フロントはマクファーソンストラットですのでいいでしょう。
問題はリヤサスペンションとして使われているトーションビームです。

トーションビームは低コストで作られるコンパクトカーのリヤサスペンションとして用いられることが多いリジットサスペンションなのですが、それが安くても300万円、高いものとなると500万円を軽く超える価格が付けられたアルファードに採用されているのです。

そしてサスペンション構造のみならず、トーションビームのメインとなるビーム(サスペンションアーム)もかなり薄く作られているため、サスペンション構造自体の剛性感もかなり乏しい作りとなっているので、走行中にとにかくグニャグニャと曲がり、それが手に取るようにわかるのです。
まっすぐ走るためのサスペンション構造、乗り心地だけを求めたサスペンションといっていいでしょう。

中古車として発売されているアルファードのほとんどものがこのリヤサスペンションに潜在的な不具合を持っています。

トヨタ・アルファードって燃費は良かったの?~燃費性能

アルファードは大型ミニバンですからこの車にずば抜けた低燃費を求める方もいないかと思いますが、実際問題として燃費性能…特に実燃費はすこぶる悪いです。

可変バルブタイミング機構や電動パワーステアリング機構、オルタネーター制御、ものによってはハイブリッドシステムやCVTなどといった低燃費装備は付けられています。
しかし、人もたくさん乗りますし、荷物もたくさん積む、それにそもそも重たいし、空気抵抗は高いしといったことで燃費性能にあまり多くを望めなくなってしまうのは仕方がないことだと思います。

※2.4リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大11.2km/L
・実燃費:約6km/L

※3.5リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード換算):最大9.3km/L
・実燃費:約5km/L

※ハイブリッドモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.0km/L
・実燃費:約9km/L

トヨタ・アルファードを買ってみる~中古車購入

トヨタ アルファード 中古車

トヨタ・アルファードはこんな人に向いている

アルファードはどんな高い販売価格が付けられていても大衆ファミリーカー以外の何物でもありません。
それは中古車市場でも同じとなりますので、アルファードに向いている方は中学生以下の子供が2人以上いるファミリーということになります。

ただ、このモデルはエンジン排気量が大きく自動車税が高い、重量が重たいので自動車重量税も高い、燃費性能が悪いのガソリン代がかかる、故障が多い(特にハイブリッドモデル)ので修理費用がかなり掛かるといった感じで、中古車で安く買ったとしてもそれ以降の維持費は新車で買った時と同じ…状態によっては故障の頻度がグンと高まりますのでそれ以上の維持費がかかります。

従って、「中学生以下の子供が2人以上いるファミリー」という条件に「多少お金回りのいい方」という条件を追加したいと思います。

それからこの車は直線番長なので、幹線道路や高速道路など比較的まっすぐな道を走るのは得意としますが、コーナーリングとゴーストップが苦手なので、生活環境の範囲内に峠道や山道などがない方がいいかもしれません。

トヨタ・アルファードを中古車として買う時の注意点

アルファードの中古車を買う時に注視ていただきたいのは主に2点、ボディのヨレと故障です。

まずボディのヨレですが、これはトヨタの車全般いえることでもあります。
「ボディ剛性」の項でもお話しました通り、アルファードのボディ剛性は決して高いものではありません。

走っていくうちにどんどんボディがゆがんでいき、しまいにはスライドドアが重たくて開かなくなる、リヤハッチを閉じる時に思いっきり力を入れて閉めないと完全にロックされない、運転席のヒンジドアが途中で止まる、開け閉めするたびに「ギーギーガーガー」うるさいといったことや路面からの振動にあわせてキャビン内のいたるところから「キュッキュッ」とか「キリキリ」とか「キュルキュル」といったボディパネルとインテリアパネルが擦り合わされるような異音が聞こえるようになったりします。
もっとひどくなるとボディが捻じれることでサスペンション構造のジオメトリーが狂ってステアリングホイールをまっすぐに固定していても左右のどちらかに寄ってしまうとか、ちょっとした段差でもステアリングホイールが取られてしまうという交通事故の原因ともなりうる症状が出ることもあります。

こういった症状が出るのは、前オーナーの使い方にもよりますが、早く出るものでだいたい3年目か3万キロ以上走ったもの、確実のなのが8万キロ以上走ると必ずどこかに先ほどのような症状が出ます。

なので中古車を買うときも多少、中古車販売価格が高くなってでもできるだけ走行距離が短いものを選んだ方が長く乗ることができます。

そしてもう1つ、故障に関わるものですがまずはハイブリッドモデルのハイブリッドシステムの故障です。
H20系の時代のハイブリッドシステムは、現在のプリウスなどに搭載されているハイブリッドシステムよりはるかに故障発生率が高いもので、これは年式が古いからということではなく、当時の技術がそうだったということです。
特にニッケル水素バッテリーのメモリー効果がらみのトラブルは非常に多く、それを直すにはハイブリッドバッテリーをそっくり交換しなければなりません。
最近はリビルトもののハイブリッドバッテリーが出回るようになり、当時よりは修理費用も掛からずに安く直すことができますが、それでも20万円以上はかかりますので、少しでもハイブリッドシステムに不具合が見られるようであればその車は買わない方がいいでしょう。
それにそもそも中古でトヨタのハイブリッドモデルを買うのはご法度です。

それからこれは2.4リッターNAエンジンモデルにおいて注意していただきたことなのですが、搭載されている2AZ-FE型エンジンにおいて不具合が多発しています。

よくあるトラブルがエンジンオイルの異常消費です。
まともなエンジンでも多少はエンジンオイルが燃焼されて減っていくものでがこのエンジンのエンジンオイル減り方は異常です。
月に1リッター異常は確実でうっかりすると油圧警告灯が点灯してしまうぐらいになります。
直接的な原因は、エンジン内部にあるピストンリングとシリンダー内壁のクリアランス精度が悪いことで、隙間が大きすぎるために、エンジンブレーキなどを多用するといった燃焼室に大きな負圧がかかる時間が長くなるとその負圧でクランクケース内にあるエンジンオイルを吸い上げてしまい、排気系から吐き出す形になってしまうからです。
これによって多くのエンジンオイルが外へ運び出されて減ってしまうわけですが、アクセルペダルを踏み込んで燃焼状態になったとしても吸い上げてしまったエンジンオイルが燃焼室内に残るわけで、それが同時に燃やされてしまうこともあります。

こうなると排気ガスの色が白くなるのと同時に燃焼室内からエキゾーストバルブ、エキゾーストポートなどに至るまでの排気系に大量のカーボンが付着してしまいエンジンオイルを汚す、その汚れたエンジンオイルがエンジン内部を循環することで油圧を使って機能するVVTなどが正常に動かなくなるといった症状も出ます。

更に大量のカーボンを含んだ排気ガスをEGR目的で吸気側に戻した際にカーボンが吸気ポート内に付着し、それが吹き返しなどによってスロットルバルブまで届くことで、アイドリング回転数やアイドルアップを制御するISCVが詰まり、アイドリングの不安定や突然のエンジンストールを起こしてしまうこともあります。

こうなるおおもとの原因は、このエンジンが海外の工場で組み立てした「数ありき」という製造過程を経ているからです。

組み立て数を稼ぐために精密箇所の確認がおろそかになりやすい環境である以上こういったことが起こっても全く不思議ではありません。
そう思うと生産コスト軽減にばかり目を向ける企業姿勢こそが大元の原因と言えるのではないでしょうか。

このトラブルを完全に避けることはできませんが、エンジンオイルの量、汚れ具合、排気ガスの色、マフラーエンドのオイルの付着度合い、アイドリングの安定感などを見るといいでしょう。

中古車市場での価値の動向

●標準モデル
・2.4リッターNAエンジンモデル:C
・3.5リッターNAエンジンモデル:D

●ハイブリッドモデル:D
●ハイブリッドモデル(ドレスアップモデル):D

(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)

3.5リッターNAエンジンモデルは維持費が高いのでパス、ハイブリッドモデル系は故障が多いのでパス、そして残った2.4リッターNAエンジンモデルのみが若干需要がある…といった程度です。
この調子ならこれから現行モデルが続々と中古車市場に入ってくるようになったのと同時にH20系は中古車としても終わりを迎えることになるでしょう。

まとめ

中古車は安く買うことができるのが最大のメリットですが、維持していくうえでの費用は故障やメンテナンスの頻度が増すことで新車よりも高くつくことがほとんどです。

特にアルファードのような高額モデルとして発売された車にはそういった傾向が強く出ることが多いので、場合によっては中古車だとしてもワンランク下の車、例えばノア3兄弟車とかセレナあたりで手を打つということも考えた方がいいかもしれません。

おすすめの記事