「軽自動車は狭い!」
この声を何とかしようということで作られたのが軽トールワゴン。初めて作られ、初めて売り出されたモデルがこのスズキのワゴンRです。
中古車市場でも大人気で常に高い需要を生み出しています。
ここでは現在の中古車市場で主流になっている4代目モデル以降のものを中心に見ていきたいと思います。
画像引用元:スズキアリーナ前橋荒牧
目次
スズキ・ワゴンRってこんな車だった~概要
軽自動車といえばそれまではアルトやフロンテ、ミラ、ミニカなどといった2ボックス形状を持ったボディに4枚のドア、後ろには反独立した形のラゲッジスペースにアクセスするためのハッチを持つ「軽ハッチバックセダン」が主流とされていましたが、このワゴンRが1993年に発売され大ヒット、その大ヒットにあやかろうということでダイハツもムーヴを発売したことで、軽自動車の主力モデルを軽トールワゴンが奪取した形となりました。
軽トールワゴンが作られるきっかけになったのは冒頭でも書きました通り、軽自動車規格で決められた小さな寸法におさまるように作られた小さなボディがもたらす窮屈さを解消するためでした。
解消するといっても全長や全幅はほぼ一杯一杯にまで使っているので「面積」といった概念ではどう工夫しても広くすることができません。ここでスズキは「面積」ではなく「体積」、「敷地」の広さではなく「空間」の広さを求めるべく、それまで有効活用してこなかった「全高」に目を向けて、その全高を操縦安定性を損なわない程度にまで高くすることで空間として広さを感じるボディを作ったのです。
それが軽トールワゴンです。
その後、更に全高を高くした「軽スーパーハイトワゴン」やボディ寸法にある程度の自由度がある登録車でも「トールワゴン」や「スーパーハイトワゴン」といった形で全高を高くすることで広さを感じさせるといった車作りをするようになりました。
なので、現在あるトールワゴン系、スーパーハイトワゴン系の車というのはこのワゴンRがなければ作られることがなかったともいえるわけです。
さてそのワゴンR、2019年3月現在で6代目モデルが発売されていますが、モデルの変遷を見ていきましょう。
●初代モデル CT21系・CV21系型(1993年~1998年)
初の軽トールワゴンとなるこのモデルは、当時発売されていた3代目アルトのプラットフォームを利用して作られました。
この当時からNAエンジンモデルとターボエンジンモデルといったエンジンバリエーションと「RS」グレードや「FX」グレードといった現在のワゴンRスティングレーを思わせるドレスアップモデルも用意されていました。
●2代目モデル MC21S系型(1998年~2003年)
ベースモデルとなっていたアルトが2008年にモデルチェンジしたことにあわせてワゴンRも時を同じくして2代目モデルへとモデルチェンジしました。
ちょうどこの時、スズキでは軽自動車向けに主力エンジンをF6A型から名機K6A型に変更する動きを取っていたため、このワゴンRでもF6A型エンジン搭載モデルとK6A型エンジン搭載モデルの2つのものが発売されることになっていました。
●3代目モデル MH21S型(2003年~2008年)
2代目モデルまではアルトをベースにしてアルトのモデルチェンジサイクルにあわせてワゴンRもモデルチェンジを行っていたのですが、2代目モデルの時代あたりから人気の高い軽トールワゴンが軽自動車のベーシックモデルとなりつつあったこと、根拠のあいまいなものを含めた「エコブーム」によって「燃費のいい車がいい車」という風潮が出てきたことによってアルトを「エコモデル化」しなければならなくなったことなどが影響し、このモデルから「アルトありき」ではなく逆に「ワゴンRありき」あるいは「アルトからの独立」といった形で車作りをするようになりました。
それによってアルトよりも早い時期にモデルチェンジを行うこととなり、ここでスズキの軽自動車で中心となるモデルがワゴンRに移行した形となったのです。
このモデルではエンジンがK6A型に完全移行し、更にそれまでワゴンRのグレードの1つとなっていたドレスアップグレードが、「ワゴンRスティングレー」として扱われることになり、標準モデルのワゴンR、ドレスアップモデルのワゴンRスティングレーという二つのモデル系統を持つ形となりました。
●4代目モデル MH23S型(2008年~2012年)
4代目モデルは3代目モデルのグレードアップモデル的なもので細かいところを見れば、あちこちに改良点が与えられているのですが、とりたてて大きな変化はなく、キーコンセプトのマイナーチェンジレベルのモデルチェンジとなりました。
ただこの頃からワゴンRシリーズにおいても「低燃費」を強く考えるようになり、アイドリングストップ機構の採用やCVTを採用したグレードの拡大などが行われています。
現在の中古車市場にあるワゴンRの約3割がこの4代目モデルとなります。
●5代目モデル MH34S型(2012年~2017年)
このモデルでは4代目モデルの時に採用し始めた低燃費装備の充実が図られました。
エンジンストップスピードを高めたアイドリングストップ機構に加えて、回生エネルギー回収システムのエネチャージや保冷材を利用したエコクール、CVTの更なる改良といったいわゆる「スズキ・グリーンテクノロジー」がたくさん採用されることになりました。
エンジンにおいても従来のK6A型から最初から燃費性能の向上を目的として開発された低燃費型エンジンであるR06A型に置き換えられるようにもなりました。
そしてモデル後半では、量産軽自動車搭載としては初となるS-エネチャージというハイブリッドシステムを搭載したハイブリッドモデルが発売されています。
総じてみるとこの5代目モデルは「ワゴンRがエコモデル化したモデル」といえます。
5代目モデルは進化が激しかったモデルでしたがエコカー路線が強く打ち出されいて、従来のワゴンRらしさが薄れてしまったものの新車の販売台数の割には中古車市場に入ってくる台数が少ない(無難な作りだから長く乗り続ける方が多い)ことから現在の中古車市場にあるワゴンRの中でも2割にも満たない数しか存在しません。
●6代目モデル MH35S型(2017年~2019年4月時点)
このモデルが2019年4月時点での現行モデルとなります。
このモデルでは、先代モデルで採用されていた簡易型ハイブリッドシステムであるS-エネチャージをさらに進化させて電気モーターでの超低速走行、要するにクリープ現象程度のスピードで走ることできるようにしたハイブリッドシステムを採用するようになりました。
「S-エネチャージ」といったように特に名称はなく、ただ単に「ハイブリッドシステム」と呼ばれたり、一般通称名としてよく使われる「マイルドハイブリッドシステム」など呼ばれています。
それとこのモデルでの特徴としてフロント周りを中心としてデザインが3つも用意されていることがあげられます。
これまでは標準モデルのワゴンRとドレスアップモデルのワゴンRスティングレーといったモデルにあわせた2つのデザインが与えられていましたが、今回のモデルではワゴンRとワゴンRスティングレーとでのデザインの違いに加えて、ワゴンRの中だけで2つのフロントデザインが与えられるようになったのです。
最上級グレードと標準グレード以下といった具合で分けられているようですが、果たしてそこまで分ける必要が亜あったのかは疑問です。
中古車市場にあるワゴンRの約3割以上を占めているのがこのモデルです。
スズキ・ワゴンRにはこんなモデルがあった~モデル構成
それでは4代目モデル以降のモデル構成を見ていきましょう。
4代目モデル MH23S型
●標準モデル(ワゴンR)
・NAエンジン+5速MT 2WDモデル
・NAエンジン+5速MT 4WDモデル
・NAエンジン+4速AT 2WDモデル
・NAエンジン+4速AT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル
●ドレスアップモデル(ワゴンRスティングレー)
・NAエンジン+4速AT 2WDモデル
・NAエンジン+4速AT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル
5代目モデル MH34S型
●標準モデル(ワゴンR)
・NAエンジン+5速MT 2WDモデル
・NAエンジン+5速MT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT+S-エネチャージ 2WDモデル
・NAエンジン+CVT+S-エネチャージ 4WDモデル
●ドレスアップモデル(ワゴンRスティングレー)
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT+S-エネチャージ 2WDモデル
・NAエンジン+CVT+S-エネチャージ 4WDモデル
6代目モデル MH35S型
●標準モデル(ワゴンR)
・NAエンジン+5速MT 2WDモデル
・NAエンジン+5速MT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・NAエンジン+CVT+ハイブリッド 2WDモデル
・NAエンジン+CVT+ハイブリッド 4WDモデル
●ドレスアップモデル(ワゴンRスティングレー)
・NAエンジン+CVT+ハイブリッド 2WDモデル
・NAエンジン+CVT+ハイブリッド 4WDモデル
・ターボエンジン+CVT+ハイブリッド 2WDモデル
・ターボエンジン+CVT+ハイブリッド 4WDモデル
スズキ・ワゴンRのパワーユニット~動力性能
4代目モデル MH23S型
4代目モデルには2つのエンジンが用意されていました。
●NAエンジン
・エンジン型式:K6A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:54ps/6,500rpm
・最大トルク:6.4kgf・m/3,500rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約81.8ps
○パワーウェイトレシオ:約15.3kg/ps
●ターボエンジン
・エンジン型式:K6A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3,000rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約13.5kg/ps
当時のスズキの軽自動車用エンジンの主力エンジンとなるもので、この4代目モデルが搭載モデルとして最後のモデルとなります。
耐久性も高く、ターボエンジンではブーストアップなどのチューンを行っても100ps程度ぐらいまでは余裕で対応できた優れたエンジンだったのですが、エンジンオイル漏れが多いことが最大の欠点でした。
5代目モデル MH34S型
●NAエンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:52ps/6,000rpm
・最大トルク:6.4kgf・m/4,000rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約15.9kg/ps
●ターボエンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3000rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約12.8kg/ps
●NAエンジン+S-エネチャージ
○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:52ps/6,000rpm
・最大トルク:6.4kgf・m/4,000rpm
○電気モーター
・電気モーター形式:WA04A型
※スペック
・最大出力:2.2ps
・最大トルク:6.4kgf・m
○システムパワー:約52ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約15.9kg/ps
NAエンジンはワゴンRとワゴンRスティングレーに、ターボエンジンはワゴンRスティングレーだけに、S-エネチャージは、ワゴンRの一部とワゴンRスティングレーの一部に採用されていました。
ワゴンRシリーズでは初となる新型エンジンR06A型エンジン、先代モデルまで使われていたK6A型と比較してみると、燃費性能は格段によくなりましたが、NAエンジンではパワーとトルクが低下、ターボエンジンではトルクの低下となってしまい、パワーフィールも悪くなってしまいました。
6代目モデル MH35S型
●NAエンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:52ps/6,500rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/4,000rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約15.3kg/ps
このパワーユニットはワゴンRの「FA」グレードのみに採用されているものです。
いわゆる廉価グレードのためのパワーユニットいうことになります。
●NAエンジン+ハイブリッドシステム
○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:52ps/6,500rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/4,000rpm
○電気モーター
・電気モーター形式:WA05A型
※スペック
・最大出力:3.1ps
・最大トルク:6.1kgf・m
○システムパワー:約52ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約15.7kg/ps
このパワーユニットはワゴンRのハイブリッドグレードとワゴンRスティングレーの下級グレードに採用されているものです。
●ターボエンジン+ハイブリッドシステム
○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:10.0kgf・m/3,000rpm
○電気モーター
・電気モーター形式:WA05A型
※スペック
・最大出力:3.1ps
・最大トルク:6.1kgf・m
○システムパワー:約64ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約13.2kg/ps
ワゴンRシリーズで最強となるこのパワーユニットはワゴンRスティングレーの最上級モデルだけに採用されているものです。
スズキ・ワゴンRの走りはどうだった?~走行性能
ボディ剛性・シャシー性能
4代目モデルからこのワゴンRシリーズがスズキの軽自動車の基本モデルとなったことから、いうなればこのモデルにあわせたシャシー構造を取ることができるようになったわけですが、だからといって高い剛性を持つフレームやシャシー構造が与えられるということではなくやはり「廉価モデルの軽自動車」として、かなりギリギリまでコストをかけないようにした作りがされています。
これは4代目モデルだけでなく、それ以降のすべてのワゴンRシリーズにおいて言えることなのですが、軽自動車の中では比較的丈夫で頑丈な作りがされているといっていいでしょう。
ライバルとなる同タイプの車種と比べてもはるかにワゴンRのボディ剛性の方が高く、かなり大きな差を見ることができます。
トランスミッション
4代目モデルでは…
・5速マニュアルトランスミッション
・4速オートマチックトランスミッション
・CVT
といった複数のトランスミッションが用意されていましたが、5代目以降は最廉価モデルに実用型の5速マニュアルトランスミッションを限定的に採用しているほかはすべてCVTが採用されています。
5代目モデル以降に採用されているCVTは、内部に2段切り替えのギヤ式の副変速機が内蔵されている副変速機付きCVTと呼ばれるもので、幅の広い変速幅とトランスミッション自体をコンパクトにすることができます。
ただ、構造が複雑になるため故障が多いのが玉に瑕です。
サスペンション構造
ワゴンRのサスペンション構造は、初代モデルからずっと変わらずにフロントにマクファーソンストラット、リヤにI.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)というサスペンション構造が使われています。
フロントサスペンションのマクファーソンストラットはいろいろなモデルに使われているのでご存じの方も多いかと思いますが、リヤサスペンションに使われているI.T.L.はあまり聞かないのではないでしょうか。
それもそのはず、このサスペンション構造はスズキオリジナルのものでスズキのモデル以外に使われることがないからです。
この構造を簡単な言葉で表すと「トレーリングアームを持つコイルリジットサスペンション」ということです。
一般的に使われるトーションビームよりも動きがよく、頑丈なつくりにすることができるため、トーションビームよりは乗り心地や路面追従性、耐久性に優れるというメリットを持ちます。
ワゴンRスティングレーでは、一部のモデルにスプリングレートの高いコイルスプリングや減衰力が高められショックアブソーバーが与えられています。
スズキ・ワゴンRって燃費は良かったの?~燃費性能
●4代目モデル
※NAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大23.6km/L
・実燃費:約21km/L
※ターボエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード換算):最大19.45km/L
・実燃費:約18km/L
●5代目モデル
※NAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大30.6km/L
・実燃費:約24km/L
※ターボエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大27.0km/L
・実燃費:約20km/L
※NAエンジン+S-エネチャージモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大33.0km/L
・実燃費:約28km/L
※ターボエンジン+S-エネチャージモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大28.0km/L
・実燃費:約21km/L
●6代目モデル
※NAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大26.8km/L
・実燃費:約22km/L
※NAエンジン+ハイブリッドモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大33.4km/L
・実燃費:約30km/L
※ターボエンジン+ハイブリッドモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大28.4km/L
・実燃費:約24km/L
エンジンの違いや過給器の有無。ハイブリッドシステムの有無など多岐にわたるパワーユニットを持っているワゴンRシリーズですが、どの年代のものもどのモデルも平均してかなり燃費が良いといえるでしょう。
ただし、ターボエンジンを搭載したモデルはアクセルペダルの踏み方ひとつで燃費性能が極端によくなったり悪くなったりする傾向が強いのでガソリン代を節約したいのであれば、急加速や急発進はできるだけ避けましょう。
スズキ・ワゴンRを買ってみる~中古車購入
スズキ・ワゴンRはこんな人に向いている
ワゴンRは発売されてしばらくの間は、すべてにおいて若年層向けの軽自動車という扱いがされていましたが、最近はアルトと同じように軽自動車のベーシックモデル的な扱い受けるようになってきたため、老若男女問わず乗ることができるかと思います。
有難いことにまだ5速マニュアルトランスミッションモデルが多く出回っているので、オートマチックトランスミッションやCVTを嫌う高齢者の方でも選ぶことができます。
ただ、やはりワゴンRスティングレーとなるとどうしても若年層向け、それも男性ドライバー向けといえるでしょう。
スズキ・ワゴンRを中古車として買う時の注意点
ワゴンRシリーズは老若男女が運転することができる大衆軽自動車ですが、昔から若年層に好まれる車であるため現在、中古車市場に出回っているワゴンRシリーズの中古車は平均してあまり質が良くない傾向にあります。
事故車も多いですし、故障車も多い、そこまでいかなくてもボディがキズだらけだったり、へこみだらけだったり、室内がとても汚かったりするものがかなりたくさん出回っています。
まずはそういった目に見える部分に注意を払います。
次にエンジンまわりですがこれは特にターボエンジンを搭載したモデルを買う時に注意すべきことです。
ターボエンジンを搭載したワゴンRではその約2/3ぐらいがブーストアップされ、パワーアップされた形で乗られていることが多く、それによってエンジンやターボチャージャーに多大なる負担がかかっています。
エンジンブロックやターボチャージャー、そしてその間を繋ぐデリバリーホースからエンジンオイル漏れがあったり、冷却水漏れがあったりすることもしばしばです。
更にひどくなるとターボチャージャーがブローしかけていて軸の部分からエンジンオイルが漏れ、それが排気系に入り込むことで白煙をまき散らしてしまうといったものも出回っているようです。
エンジンルームをよく観察し、試乗した時もパワーの出方、エンジンルームからの異音、排気ガスの色、エンジンを止めた後のエンジンオイルの漏れなども同時に確認しましょう。
それから足周りにも不具合が起きているものが出回っています。
これは無理なシャコタン状態で走る方やハードなスプリングやショックアブソーバーをつけられることが多いからで、サスペンションアームやブッシュなどに負担がかかることでアームが曲る、ブッシュがつぶれる、ショックアブソーバーが抜けるといったトラブルを起こしたまま、売りに出されてしまい、それがそのまま中古車販売店に並んでしまうのです。
これを見ぬくのにも試乗は欠かせません。
もし試乗を断るようであれば、そのワゴンRは買わない方がいいですし、その店舗では買わない方がいいでしょう。
中古車市場での価値の動向
●4代目モデル
・ワゴンR NAエンジンモデル:D
・ワゴンR ターボエンジンモデル:D
・ワゴンRスティングレー NAエンジンモデル:D
・ワゴンRスティングレー ターボエンジンモデル:D
●5代目モデル
・ワゴンR NAエンジンモデル:D
・ワゴンR NAエンジン+S-エネチャージモデル:D
・ワゴンRスティングレー NAエンジンモデル:D
・ワゴンRスティングレー ターボエンジンモデル:B
・ワゴンRスティングレー NAエンジン+S-エネチャージモデル:C
・ワゴンRスティングレー ターボエン+S-エネチャージジンモデル:B
●6代目モデル
・ワゴンR NAエンジンモデル:B
・ワゴンR NAエンジン+ハイブリッドモデル:A
・ワゴンRスティングレー NAエンジン+ハイブリッドモデル:A
・ワゴンRスティングレー ターボエンジン+ハイブリッドモデル:A
(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)
まめに売り買いされているため、平均して高い価値を持ちます。
特にドレスアップモデルのワゴンRスティングレーは若年層に人気が高いため、ワゴンRよりは価値が高いことが一般的です。
ただ、さすがに4代目モデルまで古くなると価値は落ち気味となってしまいます。
まとめ
若年層を中心に高い人気を持つワゴンRシリーズですが、その若年層が無理な改造を加えていじり倒したのちに売りに出されることが多いため、中古車としての質は平均してあまり良くありません。
特にワゴンRスティングレーは要注意です。
なので、この車を中古車として買う場合は時間をかけてよく吟味したうえで購入候補を絞り込む必要があるでしょう。