子供を育てる環境というのは年々変化するものですが、中でも「子育ての道具」としての進化は凄まじいものがあります。
昔からある乳母車から欧米文化の流入で根付いたベビーカー、そして自転車が広く使われることによって生まれた子供用の椅子をつけたママチャリ、そのグレードアップ版として普及しつつあるお母さん用電動アシスト付き自転車とお母さんの子育て負担を軽量化するような道具が使われるようになりました。
しかし、上には上があるものでここ最近、子育て用の道具、子育て用の乗り物として急激に人気が上がったものがあります。
それが「ママさん車」と呼ばれる軽自動車です。
そのママさん車としてスズキから発売されているのがスペーシア。このスペーシアは新車市場だけでなく中古車市場でも大人気となっているようです。
ではそのスペーシアの人気の秘密と本当はどんな車のかといったところを探ってみたいと思います。

スペーシアMK53S

画像引用元:スペーシア HYBRID X カラー・価格 | スズキ

スズキ・スペーシアってこんな車だった~概要

スペーシア 特徴 どんな車
「ママさん車」とは、正式な自動車のカテゴリーやクラスではなく、実際の使われ方をフィードバックしてそれを1つの通称として呼ばれるようになったものです。
俗にいう「ママチャリ」とかといった言葉と同じような形で生まれたジャンルだと思ってください。

このママさん車は、小学生ぐらいから下の小さな子供を中心とした、送り迎えや買い物などお母さんと子供が一緒に行動する時間が長いころの子供を育てるためのひとつの道具として用いられる車のことで…

・身長の小さな子供が乗り降りしやすいスライドドアを持つこと
・キャビン内における子供の世話がしやすい高い室内長
・使い勝手の良い装備
・子供に汚されても掃除しやすいシートやインテリアパネルの素材
・運転が楽で維持費が安く済む軽自動車

といった要素を持つ車のことを指します。

この条件にピッタリなのが軽スーパーハイトワゴンと呼ばれるモデルで、その先駆けとなったのが三菱のミニカ・トッポシリーズだったのですが、当時の三菱は軽スーパーハイトワゴン(当時はこうした呼称はありませんでしたが…)を重視はしておらず2003年に生産を終了してしまいました。

しかしその当時、三菱とは対照に軽スーパーハイトワゴンに将来性を抱いていた自動車メーカーもありました。
それがダイハツです。
ダイハツはミニカ・トッポシリーズのコンセプトをヒントにしてムーヴベースの軽スーパーハイトワゴン、タントを作ったのです。
そのモデルは大いにヒットしました。
特に子育て中のママさんからはキャビンの使い勝手がいいということで大人気となっていました。

それを見たダイハツのライバルであるスズキもタントの対抗することができる軽スーパーハイトワゴンを作ろうということになり、先達から得るカスタマー要望を取り入れつつ2008年にパレットというモデルを発売したのでした。
これもまたヒットモデルとなりましたが、その頃には…

「ママさん車=ダイハツ・タント」

といった公式がママさんたちの中で強く根付いていたため、タントの販売台数を超えることはありませんでした。
そこでスズキは大きな賭けに出ます。
タントを超える人気となる軽スーパーハイトワゴンを作ることにしたのです。
そうして作られたのがこのスペーシアなのです。

これによってパレットはたった5年間、1モデルだけを発売しただけの短期間モデルとして終わりを迎えた形になったのですが、実は新しいスペーシアもパレットと同じようにワゴンRをベースとする軽スーパーハイトワゴンとしてつくられた車だったので、実際のところそういった扱いを受けることはなく、むしろ「2代目パレット」的な感覚で見られることが多くありました。

●初代モデル MK32S系型(2013年~2017年)

スペーシアMK32S

画像引用元:スペーシア(2013年3月~2013年9月) G| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

スペーシアが発売されたのは2013年のことでした。
事実上の先代モデルとなるパレットと同様にワゴンRのコンポーネントを使って作られていて、大雑把にいえば5代目ワゴンRのボディシェルを全高のある軽スーパーハイトワゴンボディに置き換えたような車といえます。
このモデルでは大々的にスズキの低燃費技術群である「スズキ・グリーンテクノロジー」が採用されていて、新しいエンジンR06A型自体もそうですが、エンジンが止まるスピードが大幅に引き上げられたアイドリングストップ機構、エンジン停止時の暑さを低下させるエコクール、回生発電をするエネチャージなどといった低燃費装備が採用されていました。
エネチャージは2015年の5月に行われたマイナーチェンジの際に、簡易型ハイブリッドシステムのS-エネチャージに置き換えられる形となり、ベースモデルのワゴンRをより先にスズキの量産型軽自動車において初めてのハイブリッドモデルとなりました。

このモデルは2019年4月時点の中古車市場にあるスペーシアの約55%を占めています。

●2代目モデル MK53S系型(2017年~2019年4月時点)

スペーシアMK53S

画像引用元:スペーシア HYBRID X カラー・価格 | スズキ

2017年の年末押しせまる12月にスペーシアは2代目モデルへと進化しました。
このモデルもワゴンRベースであることは変わらず、6代目ワゴンRにスペーシアのボディをかぶせたような形で作られていて、基本的にはキープコンセプトの形のモデルチェンジになったといっていいでしょう。

今回のモデルからドレスアップモデルも含めて、ガソリンエンジンモデルの設定はなく、すべてのモデルにS-エネチャージを更に進化させ、クリープ現象レベルのスピードでのEV走行を可能としたマイルドハイブリッドシステムを搭載するようになりました。

このモデルは発売からまだあまり経っていないのにも関わらず、かなりの数が中古車市場にまわってきており、2019年4月時点の中古車市場にあるスペーシアの約45%を占めるぐらいになっています。
こうなる理由は何もこの2代目スペーシアがダメな車であるということではなく、発売当初から大ヒットとなり、出回る台数が多いことからおのずと中古車市場にまわってくる台数が多くなるといったこととタントやN-BOXも含めて軽スーパーハイトワゴン自体の人気が低迷しつつあるからです。

スズキ・スペーシアにはこんなモデルがあった~モデル構成

初代モデル

●標準モデル
・660ccNAエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccNAエンジン+S-エネチャージ+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+S-エネチャージ+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+S-エネチャージ+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+S-エネチャージ+CVT 4WDモデル

●ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)
・660ccNAエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccNAエンジン+S-エネチャージ+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+S-エネチャージ+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+S-エネチャージ+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+S-エネチャージ+CVT 4WDモデル

●ドレスアップモデル(スペーシア・カスタムZ)
・660ccNAエンジン+S-エネチャージ+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+S-エネチャージ+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+S-エネチャージ+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+S-エネチャージ+CVT 4WDモデル

2代目モデル

●標準モデル
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 4WDモデル

●ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 4WDモデル

●ドレスアップモデル(スペーシア・ギア)
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッド+CVT 4WDモデル

スズキ・スペーシアのパワーユニット~動力性能

初代モデル

●NAエンジン

・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:52ps/6,500rpm
・最大トルク:6.4kgf・m/4,000rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約16.1kg/ps

このエンジンは、標準モデル、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)のNAエンジンモデルに搭載されているものです。

●ターボエンジン

・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー

※スペック

・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3,000rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約14.3kg/ps

このエンジンは、標準モデル、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)のガソリンエンジンモデルに搭載されているものです。

●NAエンジン+S-エネチャージ

○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:52ps/6,500rpm
・最大トルク:6.4kgf・m/4,000rpm

○電気モーター
・電気モーター形式:WA04A型

※スペック

・最大出力:2.2ps
・最大トルク:4.1kgf・m

○システムパワー:約52ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約16.3kg/ps

このパワーユニットは、標準モデル、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタムZ)のNAエンジン+S-エネチャージに搭載されているものです。

●ターボエンジン+S-エネチャージ

○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3,000rpm

○電気モーター
・電気モーター形式:WA04A型

※スペック

・最大出力:2.2ps
・最大トルク:4.1kgf・m

○システムパワー:約64ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約13.5kg/ps

このパワーユニットは、標準モデル、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタムZ)のターボエンジン+S-エネチャージに搭載されているものです。

2代目モデル

●NAエンジン+マイルドハイブリッド

○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:52ps/6,500rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/4,000rpm

○電気モーター
・電気モーター形式:WA05A型

※スペック

・最大出力:3.1ps
・最大トルク:5.1kgf・m

○システムパワー:約52ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.8ps
○パワーウェイトレシオ:約16.9kg/ps

このパワーユニットは、標準モデル、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)、ドレスアップモデル(スペーシア・ギア)のNAエンジン+ハイブリッドモデルに搭載されているものです。

●ターボエンジン+マイルドハイブリッド

○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:10.0kgf・m/3,000rpm

○電気モーター
・電気モーター形式:WA05A型

※スペック

・最大出力:3.1ps
・最大トルク:5.1kgf・m

○システムパワー:約64ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約14.0kg/ps

このパワーユニットは、ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)、ドレスアップモデル(スペーシア・ギア)のターボエンジン+ハイブリッドモデルに搭載されているものです。

スズキ・スペーシアの走りはどうだった?~走行性能

スペーシア 走行性能 ママ車

ボディ剛性・シャシー性能

スペーシアは初代モデルにおいても2代目モデルにおいてもワゴンRをベースにして作られているもので、ワゴンRと全く同じシャシーを持ちます。
しかし、ワゴンRが5代目モデルから6代目モデルにモデルチェンジした際にプラットフォームが変更になり、シャシーの作りも変わったことから5代目ワゴンRをベースとする初代スペーシアと6代目ワゴンRをベースとする2代目スペーシアもシャシーの作りが変更になっています。

スペーシアは低価格の軽自動車として全高が高く、ルーフを支えるピラーが長く四隅に追いやられていることから基本的なボディ剛性は弱い車です。
これは軽スーパーハイトワゴンという車である以上仕方がないことです。

ただそれでも、ライバルでありコスト削減が優位に据えられたタントよりははるかにボディ剛性は高くなっています。
更に2代目モデルでは、フロア面のリブフレームが強化された「ハーテクト」という新しいプラットフォームが採用になったことでより一層高い剛性を持つことができました。

ボディ剛性としては、ホンダのN-BOXに次いで優れているといっていいでしょう。

トランスミッション

スペーシアでは初代モデルから一貫してCVTのみの設定となっていますが、2代目モデルでは同じCVTでも初代モデルとは構造が違うものが採用されるようになりました。

初代モデルでは、ハスラーや5代目ワゴンRなどと変速比まで全く同じCVT、副変速機付きCVTが採用されていました。
このCVTは、トルクコンバーターをクラッチ代わりとし一対のプーリーと金属ベルトで構成されるごく普通のCVTにアウトプット側にギヤ式の二段変速の副変速機をつけたもので、変速幅を広くとることができるのを特徴とします。
変速幅を広くとることができるためプーリーを小さくすることができ、それによってCVT自体を小さく軽く作ることができるのですが、その反面で構造が複雑になることから故障が多く、耐久性も劣るというデメリットもありました。

現実的にもCVTの故障で修理に持ち込まれることが多かったため、2代目モデルでは副変速機の無い一般的なCVTが採用されるようになったのです。
いうなれば、車は進化したがトランスミッションとなるCVTは退化したということです。

初代モデルのものと2代目モデルのものでCVTの変速幅を比べて見ても…

・初代モデル:4.006~0.550
・2代目モデル:2.386~0.426

と明らかに2代目モデルの方が変速幅が狭くなっています。

サスペンション構造

サスペンション構造は初代モデルと2代目モデルで違いがあります。

どちらもフロントサスペンションはマクファーソンストラットと同じなのですが、リヤサスペンションは…
・初代モデル:FF・4WD共にI.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)
・2代目モデル:FFはトーションビーム、4WDはI.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)

といったように2代目モデルでは駆動方式によってリヤサスペンションの構造が分けられることになりました。

リヤサスペンションとしての性能はトーションビームより動きが軽く剛性感もあるI.T.L.の方が勝りますが、ベースモデルとなるワゴンRに更なる低コストかが求められたため、安く作ることができるトーションビームを採用するしかなかったので、スペーシアもその影響を受けることになったのです。

スズキ・スペーシアって燃費は良かったの?~燃費性能

●初代モデル

○標準モデル
・660ccNAエンジンモデル:最大29.0km/L
・660ccターボエンジンモデル:最大26.0km/L
・660ccNAエンジン+S-エネチャージモデル:最大32.0km/L
・660ccターボエンジン+S-エネチャージモデル:最大26.8km/L

○ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)
・660ccNAエンジンモデル:最大27.8km/L
・660ccターボエンジンモデル:最大26.0km/L
・660ccNAエンジン+S-エネチャージモデル:最大30.6km/L
・660ccターボエンジン+S-エネチャージモデル:最大26.8km/L

○ドレスアップモデル(スペーシア・カスタムZ)
・660ccNAエンジン+S-エネチャージモデル:最大30.6km/L
・660ccターボエンジン+S-エネチャージモデル:最大26.8km/L

●2代目モデル

○標準モデル
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッドモデル:最大30km/L

○ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッドモデル:最大28.2km/L
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッドモデル:最大25.6km/L

○ドレスアップモデル(スペーシア・ギア)
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッドモデル:最大28.2km/L
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッドモデル:最大25.6km/L

これまで発売されてきたスペーシアすべての燃費性能を見たわけですが、これ見て不思議に思う点はないでしょうか?
そうです、実は現行モデルのハイブリッドモデルより先代モデルにあった簡易型ハイブリッドシステムのS-エネチャージを搭載したモデルの方がカタログ燃費がいいのです。
S-エネチャージは簡易型ハイブリッドシステムで、加速した時のわずかな時間しか電気モーターのアシストが入らないもので、クリープ現象などの超低速域にEV走行が可能なマイルドハイブリッドよりも燃費性能が劣るのが当然なのにどういうわけか、S-エネチャージモデルの方がいい数字になっているのです。

実はこれはあの「燃費偽装」によって出された数字で、初代モデルのすべてのカタログ燃費がいい方向に上乗せされてしまっているためです。
現行モデルの方はきちんと変更されて正規のカタログ燃費となっていますが、過去のモデルまで遡って公開することはないので、自然とS-エネチャージモデルの方がいい数字なってしまうのです。
初代モデルの燃費性能は現行モデルと同等レベルのモデルの2割減ぐらいと見てください。

ちなみに中古車市場にまわってくる頃にはそれなりの走行距離を走っているのでカタログ燃費よりも燃費性能が悪くなっています。
ただ、スズキのR06A型エンジンはスラッジなどの影響から燃費性能が極端に悪くなるということはないようですので、大まかな燃費性能を知るにはカタログ燃費から3km/L~8km/L程度を差し引いて出された数字を新車当時の実燃費として考え、そこからだいたい1割~2割減とした数字が中古車として買った時の燃費性能と見るといいでしょう。

スズキ・スペーシアを買ってみる~中古車購入

スペーシア 購入 中古

スズキ・スペーシアはこんな人に向いている

冒頭でも言いました通り、この車は子育て中のママさんをターゲットに作られた車ですので、おのずと購入するのもそういった環境にいる方です。

小さな子供がいて、幼稚園や保育園、習い事、駅までの送り迎えや子供を乗せたまま買い物に行ったり、用事を済ませたり…といったママさんドライバー向けです。

スペーシア・カスタムとかスペーシア・カスタムZ、スペーシア・ギアなどちょっと男性っぽさを醸し出したも出るも存在しますが、見た目が少しばかり変わっても中身は同じで本質も変わりませんからどれも標準モデルと同じようにママさんや主婦であると考えてください。

スズキ・スペーシアを中古車として買う時の注意点

スペーシアではいろいろな故障が発生しており、それを直さないまま中古車市場に流されてしまっているものもあるようですので、まずは故障関係に気をつけておくべきでしょう。

よくある注意点を挙げておきます。

●急に燃費性能が悪くなった

これはS-エネチャージを搭載したモデルによくあることなのですが、ある日突然に燃費性能が悪くなったことに気が付くというものです。
日常的に何気なく運転している方には気づきにくいかと思いますが、これはS-エネチャージ用のリチウムイオンバッテリーが劣化してしまい、充・放電量が極端に少なくなってしまったことによって起こります。

S-エネチャージはリチウムイオンバッテリーの電気量が少ない時はリチウムイオンバッテリーのバッテリー上がりを防ぐ意味で加速時の電気モーターを行わない制御が組み込まれています。
リチウムイオンバッテリーが劣化してしまい、それなりの充電量を確保できない状態でいるとシステムが「バッテリー内に電気がない」と判断してしまい電気モーターアシストを一切しなくなってしまうのです。
要するにS-エネチャージがついていないのと同じ状態になってしまうということです。

燃費性能の向上に貢献しているS-エネチャージが機能しなければ燃費性能が悪くなるのも当然です。

これは走行距離5万キロ以上、初年度から3年目以降から出やすくなるようで、8万円ぐらいの費用が掛かる修理をしなければなりません。
ただ、そのまま放っておいても走ること関して影響はないようですので、燃費性能が悪くなるのを承知で直さないで乗り続けるといった考え方もできます。

●加速中のノッキング

これは初代モデルでよくあることなのですが、CVT内部になる油圧式のコントロールバルブがCVTオイルの汚れで稼働不良となってしまい、正しい変速制御を行うことができなくなることからエンジンに負荷がかかってしまうことからノッキングが起こるというものです。
要するにマニュアルトランスミッションで例えるなら3速で発進するような感じです。

修理はCVTを分解して、CVTコントールバルブとCVTオイルを交換しなければならないのでそれなりの費用が掛かります。
安くて2万円、高くてCVT交換で10万円ぐらいといったところでしょうか。

試乗をしてみて発進や中間加速が鈍い、その時にノッキング音が聞こえるといった場合はまず間違いなくこの故障を抱えています。

●スライドドアが閉まらない

これはボディ剛性が弱いことからくるもので、ボディが変形してスライドドアやリヤハッチの立て付けが悪くなったことで起こります。
このトラブルはスペーシアに見ならず、すべてのスーパーハイトワゴンで起こるもので、根本から直すにはフレーム修正機にかける必要があり、修復歴車になる可能性と多額の費用が掛かることからあまりおすすめはできません。
するとしたらドア位置の調整をしてお茶を濁す程度です。
5万キロ以上の走行距離を持つ中古車を買う場合は特に注意です。

スズキ・スペーシアの中古車市場での価値動向

●初代モデル

○標準モデル
・660ccNAエンジンモデル:C
・660ccターボエンジンモデル:C
・660ccNAエンジン+S-エネチャージモデル:C
・660ccターボエンジン+S-エネチャージモデル:B

○ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)
・660ccNAエンジンモデル:C
・660ccターボエンジンモデル:C
・660ccNAエンジン+S-エネチャージモデル:B
・660ccターボエンジン+S-エネチャージモデル:A

○ドレスアップモデル(スペーシア・カスタムZ)
・660ccNAエンジン+S-エネチャージモデル:B
・660ccターボエンジン+S-エネチャージモデル:A

●2代目モデル

○標準モデル
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッドモデル:A

○ドレスアップモデル(スペーシア・カスタム)
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッドモデル:A
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッドモデル:A

○ドレスアップモデル(スペーシア・ギア)
・660ccNAエンジン+マイルドハイブリッドモデル:A
・660ccターボエンジン+マイルドハイブリッドモデル:A

(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)

まだまだ人気の高い軽スーパーハイトワゴン、先代モデルでもS-エネチャージモデルを中心にそれなりの価値を持ちます。
現行モデルは全体的にかちがたかいので、もし現行モデルの中古車を買おうとしている場合は予算に余裕を持っておきたいです。

まとめ

ママさん向け、主婦向けといったようにオーナー層がおのずと限定されるスペーシアですが、自動車としての性能も「軽自動車」というくくりの中では中々いいものを持っていますし、快適装備も充実しているので本来の目的で使うのであればおすすめできる車だと思います。

ただし何度も言いますがこのスペーシアという車は、ターゲットを絞り込んで作られているものですから、独身者や男性ドライバーが求めるものとはズレが目立つことも多いと思います。
そういった方は同じスズキならワゴンRやハスラー、アルト、アルト・ラパンなどを買った方が希望に応えられると思います。

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