愛好家から絶大なる支持を受けているスズキのジムニー、最近では更にいわゆる「クロスオーバーSUVブーム」によって、クロスカントリー4WD、SUV、クロスオーバーSUVの見分けがつかない方や自動車メーカーや自動車業界の販売戦略にすっかり乗せられてこれらすべてを「SUV」という一つの言葉で理解してしまっている方などによる需要が加わってきました。
中古車市場での人気ぶりが意外と知られていないスズキ・ジムニー、この車がどういう車なのか、どうして人気があるのかといったところを見ていきましょう。
画像引用元:ジムニー XC カラー・価格 | スズキ
目次
スズキ・ジムニーってこんな車だった~概要
スズキのジムニーは国産モデルでたった4車種(ランドクルーザー、パジェロ、ジムニー、ジムニー・シエラ)しかないクロスカントリー4WDモデルの中の1台で、軽自動車の中ではたった一つの唯一のクロスカントリー4WDモデルとなっています。
昨今の「クロスオーバーSUVブーム」によって「SUV」という言葉を頻繁に使い、頻繁に見るようになってきたことからオフロードを走る車、それらしい外観を持っている車を総まとめにして「SUV」と呼ぶようですがそれは大きな間違いです。
クロスカントリー4WD、SUV、クロスオーバーSUV、そしてなんちゃってクロスオーバーSUVは、全く違うもの同士なのです。
クロスカントリー4WDって何?他とはどう違うの?
ではここで「クロスカントリー4WD」「SUV」「クロスオーバーSUV」「なんちゃってクロスオーバーSUV」の違いをおさらいしておきましょう。
●クロスカントリー4WD
クロスカントリー4WDはまさにオフロードを走るため、道なき道を走るために作られた車で、頑強な専用のラダーフレームにロードクリアランスをたっぷり取ったリジットサスペンション、強大なトラクションを発生させることができるトランスファーを持つパートタイム4WDを備えた車のことを言います。
あくまでもオフロード用ですのでオンロードでの走行性能はあまり優れていません。
※現在の国産モデルでクロスカントリー4WDと呼べる車
・スズキ・ジムニー、ジムニー・シエラ
・ランドクルーザー(フロントサスペンションは独立懸架)
・パジェロ(フロントサスペンションは独立懸架)
●SUV
SUVは構造こそ、ラダーフレームにロードクリアランスを取ったリジットサスペンション、トラクション性能に優れた4WDシステムを持つといったようにクロスカントリー4WDにかなりにてたものを持っていますが、細かく見ると全く違うことがわかります
そもそもSUVは「Sports Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)」の略で、マリンスポーツやウィンタースポーツ、山登り、キャンプ、ハンティングなど屋外で楽しむアウトドアスポーツやアウトドアレジャーをしに行く時に使う車としてアメリカの若年層が好んで乗るピックアップトラックのダブルキャブ仕様、4WDモデルを使い始めたのが始まりとします。
こういったアウトドアスポーツやレジャーでは過酷なオフロード走行まではいきませんが、多少なりとも雪道や砂利道、泥道、不整地を走ることが多く、それに見合った走行性能が必要だったことからそれなりのトラクション性能をもつパートタイム4WDや本当のフルタイム4WDを持ち、荷物がたくさん積めるトラックスタイルのもの、そしてみんなで楽しく行きたいので複数の人間が乗れるダブルキャブが愛されたのです。
しかし、ピックアップトラックといっても所詮はトラックですからないかと勝手も悪いですし、快適装備も簡素、乗り心地も悪いということで、そういったところを改善したピックアップトラックベースの車を作った…それがSUVです。
ですので、SUVという車はオフロード用の頑強なものでなく、ピックアップトラック用のものでもいいですから必ずラダーフレームで作られていること(あくまでもピックアップトラックベースですので)、4WDシステムも必ずしもバリバリのオフロード走行向きのパートタイム4WDでなくてもいいですが、最低でも多少のオフロード走行にも対応できるデフロック機能付センターデフが使われているフルタイム4WDであること、そしてないかと荷物の量が多くなるアウトドアスポーツにつかうわけですから優れた積載能力を持つことといった3つの条件をクリアしていなければなりません。
このSUVも国産モデル中ではかなり少なくなっています。
※現在の国産モデルでSUVと呼べる車
・トヨタ・ランドクルーザー・プラド
・トヨタ・LX
・三菱・デリカD:5
●クロスオーバーSUV
SUVと混同して大騒ぎになっているのがこのクロスオーバーSUVです。
クロスオーバーSUVを一言で言いますと
「モノコックフレームを持つ乗用車」と「SUV」を足して2で割ったような車
ということになります。
クロスオーバーSUVが作られた理由は、自動車メーカーにラダーフレームがなくなってきたからです。
昔はトラックだろうがバスだろうがライトバンだろうがワゴンだろうが4ドアセダンだろうが自動車といえば必ずハシゴ型のフレーム・・・ラダーフレームを使って車を作っていたわけですが、コスト削減や乗り心地の向上、生産性の向上、軽量化などといった理由からいわゆる乗用車を作るフレームとしてモノコックフレームを使うようになっていきました。
そうなってからかなりの年月が経つわけですが、その中で自動車メーカーのほとんどは「もうラダーフレームは使わない」という判断をするようになり、ラダーフレームを使わない車作り、ラダーフレームは過去のものとして扱うようになってしまったのです。
そのような中で巻き起こったのがSUVブーム(現実的にはクロスオーバーSUVブームですが)、前項でもいました通りSUVをきちんと作るとなるとラダーフレームが必要となります。
しかしほとんどの自動車メーカーにはもうすでにラダーフレームの設計図すらない状態で、ラダーフレームを再生産することもできませんし、一から開発をするのにも莫大な費用が掛かってしまうので、こういう結論を出しました。
「既存モデルのようなモノコックフレームを使ってSUV風の車を作ろう」
これがクロスオーバーSUVです。
要するにクロスオーバーSUVは「ラダーフレームを持たないSUV」ということであって、すなわち「SUV」とは別ものです。
例えるなら「ノンアルコールビール」は名称の一部に「ビール」とは言っていますが、正確にはビールではなく清涼飲料水、コーラや荷重のドリンクと同じ扱いです。
それと同じで、クロスオーバーSUVも「SUV」という文字が入っていますが、中身はSUVとは全く別なもの…なぜならSUVの絶対条件であるラダーフレームが使われていないからです。
クロスオーバーSUVはたくさんのものが発売されているように思えますが、実はこちらも思ったより多くありません。
※現在の国産モデルでクロスオーバーSUVと呼べる車
・日産・エクストレイル
・三菱・アウトランダー、エクリプスクロス、RVR
・スバル・フォレスター
・スズキ・エスクード
●なんちゃってクロスオーバーSUV
なんちゃってクロスオーバーSUVはクロスオーバーSUVの一部ともいえるものですが、ここ最近あまりにも制限なく作られているのであえて分けます。
クロスオーバーSUVは、ラダーフレームを持たないSUVですが、なんちゃってクロスオーバーSUVは、既存モデルの乗用車をSUV風に飾り立てた車のことを言います。
飾り立てただけの車ですので、SUVという言葉に適切なオフロード走行性能も構造も持ちません。
フニャフニャモノコックフレームにスタンバイ式4WDあるいはFF、荷物もまともに載せられない猫の額ほどのラゲッジスペースしか持たされていません。
そのほとんどがオンロード用の乗用車として発売されているモデルにちょっと手を加えただけのもので、雰囲気だけのSUV…いや雰囲気だけのクロスオーバーSUVといえます。
なんちゃってクロスオーバーSUVが作られるようになったきっかけは低コストで人気のクロスオーバーSUVを作ることができるという自動車メーカー側に多大なる金銭的なメリットがあるからです。
現在発売されている「クロスオーバーSUV」と呼ばれているモデルのほとんどがこれで、特にトヨタから発売されているクロスオーバーSUVはすべてこの「なんちゃってクロスオーバーSUV」に該当してしまいます。
スズキ・ジムニーの歴史
●初代モデル J10系型(1970年~1981年)
画像引用元:ジムニー(1970年1月~1981年1月)| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO
クロスカントリー4WDモデルのジムニーは1967年に今はなきホープ自動車から発売されたオート三輪ベースのレジャー用四輪車「ホープスターON360」を先祖に持ちます。
このモデルは、今でいうところの軽オフロードモデルとして作られていて、ラダーフレームに三菱のエンジン、パートタイム4WDシステム、大径タイヤといったようなまさにオフロードを走るための作りが与えられていて、実際の走りもかなり激しい悪路でも余裕で走破できたそうです。
しかし思ったほど売れなかったために製造する権利を売ることになったのです。
最初はエンジンの供給をしていた三菱に売ろうとしましたが買取には至らず、次なる売却先となったのが何かと縁があったスズキでした。
スズキはこれを快く受け、ホープ自動車の代わりに「ホープスターON360」を作ることになったのですが、それと同時のこのモデルを流用してスズキオリジナルのクロスカントリー4WDモデルも作ったのでした。それがジムニーです。
初代モデルのコンポーネントの組み合わせは…
・360cc空冷2サイクルエンジン~360cc水冷2サイクルエンジン~550cc水冷2サイクルエンジン
・前後リーフリジット
・パートタイム4WD
・マニュアルトランスミッション
となります。
このモデルは当時の乗用目的のモデルとしても異例な11年間というかなり長い期間、生産が続けられていました。
実はこれがジムニーの「長いモデルチェンジサイクル」の始まりです。
2019年時点の中古車市場ではほとんど見ることはなく、中古車市場にあるジムニーの中で1割にも満たない数しかありません。
ほとんどが愛好家の間での取引やジムニー専門店などに流れていってしまっているようです。
●2代目モデル SJ30系・JA系型(1981年~1998年)
画像引用元:ジムニー(1981年1月~1998年1月)| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO
1981年のモデルチェンジで発売された2代目モデルでは先代モデルのほとんどを受け継ぎながらも乗用車としての性能を向上させました。
2代目モデルのコンポーネントの組み合わせは…
・550cc水冷2サイクルエンジン~550cc水冷4サイクルターボエンジン~660cc水冷4サイクルターボエンジン
・前後リーフリジット~リンク式コイルリジット
・パートタイム4WD
・マニュアルトランスミッション、オートマチックトランスミッション
となります。
このモデルは17年というかなり長い間作り続けられました。
2019年時点の中古車市場には意外と多くあり、中古車市場にあるジムニーの3割程度を占めることになっています。
こちらも愛好家間での取引やジムニー専門店、クロスカントリー4WD専門店に流れていってしまうことが多いようです。
●3代目モデル JB23型(1998年~2018年)
画像引用元:ジムニー(2014年8月~2018年7月) XG| トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO
3代目モデルも先代モデルからのキープコンセプトによるモデルチェンジとなりましたが、より乗用化が進みデザインもマイルドなものに、快適装備も充実といった形で改良されています。
このモデルが発売された時代では既に「低燃費」が騒がれていたことから低燃費モデル的な意味合いで従来からあるパートタイム4WDモデルの他にFRの2WDモデルも発売されていました。
3代目モデルのコンポーネントの組み合わせは…
・660cc水冷4サイクルターボエンジン(K6A型)
・前後リンク式コイルリジット
・パートタイム4WD(FRの2WDモデルもあり)
・マニュアルトランスミッション、オートマチックトランスミッション
となります。
このモデルも約20年間作り続けられました。
2019年時点の中古車市場におけるジムニーの中心的なモデルとなっていて、中古車市場にあるジムニーの6割程度を占めることになっています。
●4代目モデル JB64型(2018年~2019年現在)
画像引用元:ジムニー XC カラー・価格 | スズキ
20年ぶりのモデルチェンジで登場したのが、2019年4月時点で現行モデルとなるのJB64型です。
このモデルも先代モデルのコンセプトを受け継いだ形のモデルとなり、それに時代的の装備である先進安全装備や数々の電子制御デバイスがと搭載されるようになりました。
エンジンも先代モデルで使われていたK6A型から低燃費エンジンであるR06A型に変更されています。
それと先代モデルで低燃費モデルとして発売されていたFRの2WDモデルは現在のところ、このモデルでは販売されていません。
4代目モデルのコンポーネントの組み合わせは…
・660cc水冷4サイクルターボエンジン(R06A型)
・前後リンク式コイルリジット
・パートタイム4WD
・マニュアルトランスミッション、オートマチックトランスミッション
となります。
このモデルは発売からあまり年数がたっていないので中古車市場に入ってくる台数は少なく、ジムニーの中古車全体の1割にも満たない数しかありません。
多分これからどんどん触れることになるでしょう。
スズキ・ジムニーにはこんなモデルがあった~モデル構成
ここからは中古車市場に多くある2代目モデルと3代目モデルを中心に見ていきたいと思います。
2代目モデル(SJ30系・JA系型)
・550cc2サイクルエンジン+4速MT リーフリジット 4WDモデル
・550cc4サイクルターボエンジン+5速MT リーフリジット 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT リーフリジット 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+3速AT リーフリジット 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT コイルリジット 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+3速AT コイルリジット 4WDモデル
3代目モデル(JB23型)
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT コイルリジット 2WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+4速AT コイルリジット 2WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT コイルリジット レバー式トランスファー 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+4速AT コイルリジット レバー式トランスファー 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT コイルリジット スイッチ式トランスファー 4WDモデル
・660cc4サイクルターボエンジン+4速AT コイルリジット スイッチ式トランスファー 4WDモデル
スズキ・ジムニーのパワーユニット~動力性能
2代目モデル(SJ30系・JA系型)
●2サイクルエンジン
・エンジン型式:LJ50型
・エンジン排気量:約0.54リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
※スペック
・最大出力:28ps/4,500rpm
・最大トルク:5.4kgf・m/2,500rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約51.8ps
○パワーウェイトレシオ:約26.78kg/ps
●4サイクルエンジン(550cc時代)
・エンジン型式:F5A型
・エンジン排気量:約0.55リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:SOHC6バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:インタークーラー無し38ps/6,000rpm インタークーラー有り52ps/5500rpm
・最大トルク:インタークーラー無し5.5kgf・m/4,000rpm インタークーラー有り7.2kgf・m/4000rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:インタークーラー無し約69ps インタークーラー有り約94.5ps
○パワーウェイトレシオ:インタークーラー無し約21.3kg/ps インタークーラー有り約15.5kg/ps
●4サイクルエンジン(660cc時代・F6A型)
・エンジン型式:F6A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:SOHC6バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:55ps/5,500rpm 58ps/5,500rpm 64ps/6,000rpm
・最大トルク:8.7kgf・m/35,00rpm 8.8kgf・m/3,500rpm 10.0kgf・m/4,000rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約83.3ps 約87.8ps 約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約16.9kg/ps 約16.0kg/ps 約14.5kg/ps
●4サイクルエンジン(660cc時代・K6A型)
・エンジン型式:K6A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6,500rpm
・最大トルク:10.5kgf・m/3,500rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約14.2kg/ps
3代目モデル(JB23型)
・エンジン型式:K6A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6,500rpm
・最大トルク:10.5kgf・m/3,500rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96.9ps
○パワーウェイトレシオ:約15.6kg/ps
スズキ・ジムニーの走りはどうだった?~走行性能
ボディ剛性・シャシー性能
ジムニーは初代モデルからずっとクロスカントリー4WDモデルにふさわしいラダーフレームを用いて作られていて、ボディ剛性といいますかフレームの剛性には確固たる自信があるモデルです。
ちょっとやそっとのことではフレームが捻じ曲がることはないでしょう。
ただそれが災いしてか、ちょっと乗り心地は固めで荒々しさを感じることになります。
トランスミッション
ジムニーの2代目モデルから3代目モデルにかけてのモデルには以下のようなトランスミッションが設定されていました。
●4速マニュアルトランスミッション
4段変速のマニュアルトランスミッションは、2代目モデルが発売された当初から1986年にエンジンが550cc2サイクルエンジンから550cc4サイクルターボエンジンに切り替る前まで採用されていたものです。
構造としてはごく普通のシンクロ内蔵のマニュアルトランスミッションです。
●5速マニュアルトランスミッション
5段変速のマニュアルトランスミッションは、1986年に2代目モデルがF5A型、550cc4サイクルターボエンジンに切り替った時の同時に採用され、それ以降のモデルの基礎的なトランスミッションとなったものです。
このマニュアルトランスミッションも取り立てて変わったところはないごく普通のマニュアルトランスミッションです。
●3速オートマチックトランスミッション
2代目モデルのJA71型までずっとマニュアルトランスミッションのみの設定となっていたジムニーに初めてオートマチックトランスミッションが搭載されたのがこの3段変速のオートマチックトランスミッションです。
エンジン排気量が550ccから660ccに変わったJA11型から採用されたものですが、構造的には現在もよく使われているトルクコンバーターと遊星ギアのギヤボックスで構成されたものです。
●4速オートマチックトランスミッション
3代目モデルにモデルチェンジした際に先代モデルの3速オートマチックトランスミッションの代わりとして採用されたのがこの4速オートマチックトランスミッションです。
このオートマチックトランスミッションも何の変哲もないごく普通のオートマチックトランスミッションです。
サスペンション構造
ジムニーのサスペンションといえば、悪路走破性を高めることができるリジットサスペンションが歴代、使われてきているのですが、2代目の途中からリジットサスペンションであることには変わりはないのですが、スプリングがリーフスプリングからコイルスプリングへと変更されています。
なので3代目モデルは全年代の全モデルにおいて共通の前後とも3リンク式のコイルリジットサスペンションとなりますが、2代目モデルでは作られた年代によってリーフスプリングのものとコイルスプリングのものがあるという形になります。
その境目は1995年のマイナーチェンジで発売されたJA12型とJA22型の時です。
このマイナーチェンジが行われる前の年に当たる1994年に三菱から軽SUVとしてパジェロミニが発売され、そのモデルがSUVらしく乗用車としての性能を持っていたことから、それに対抗するためにクロスカントリー4WDモデルでありながらオンロードでの乗り心地を考えてコイルスプリング式のサスペンションを採用することになりました。
スズキ・ジムニーって燃費は良かったの?~燃費性能
●2代目モデル
・カタログ燃費(JC08モード換算):最大14.2km/L
・実燃費:約12km/L
●3代目モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大14.8km/L
・実燃費:約13km/L
このモデルはもともと燃費性能を狙ったモデルではありませんので、たいした低燃費装備も付けられていませんのでこれくらいが限界となります。
スズキ・ジムニーを買ってみる~中古車購入
スズキ・ジムニーはこんな人に向いている
ジムニーはクロスカントリー4WDモデルですので、日常的にオフロード走行を強いられる方、オフロード走行が好きな方、降雪地帯に住んでいる方に使ってもらいたい車でもあります。
いわゆる「オフロードマニア」とかシティ派のオフロードファンといった方が購入するのももちろんいいと思いますが、はっきり言ってオンロードの走行性能はあまり良くありませんので、こういった車が相当好きな方で、コーナーリング中にひっくり返りそうになってもそれを素直に受け入れることができるぐらいの方でないと維持していくのは難しいでしょう。
それからもう1つ、オフロードでのトランスファー操作の知識、ロッキングハブの知識などクロスカントリー4WDモデルならでは構造の知識がない方ですとこの時代のジムニーを扱うのはちょっと苦労するかもしれません。
スズキ・ジムニーを中古車として買う時の注意点
ジムニーという車は普通の乗用車としてだけでなく、トライアル競技用の競技車両として使われることがあるモデルで、そこから市販車にフィードバックする形でチューニングやドレスアップなどが盛んにされる傾向があります。
専用のサスペンションキットを利用したリフトアップやラダーフレームとボディシェルの間にスペーサーを噛ませるボディリフト、ターボエンジンのブーストアップ、規格外の太さと外径を持つオフロードタイヤなど車体にかなり負担が掛かるエンジンチューンやボディチューン、ドレスアップなどがされることが多いのです。
そしてそういったカスタムを施したものがノーマルに戻されて中古車市場に出回ることがあり、そういった車は得てしてあちこちにガタが出ていることが多いのです。
故障に関してはK6A型エンジン特有のエンジンオイルにじみはちょくちょく見かけますが、それ以外は目立って多く出るというところはないので、故障はなくてもボディやフレーム、足周りがガタガタのものが多く出回るということです。
これから買おうとしている中古のジムニーにどれだけ型が出ているかということを見抜くにはそれなりの知識と経験と見る目が必要になり判断が難しいので、ここは走行距離と年式を通常の中古車選び以上に重視し、更にこれまで渡り歩いたオーナーの数で選ぶといいと思います。
理想は3代目モデルで5万キロ以下、ワンオーナー車です。
スズキ・ジムニーの中古車市場での価値動向
●2代目モデル
・550cc2サイクルエンジン+4速MT リーフリジットモデル:B(マニアにはA)
・550cc4サイクルターボエンジン+5速MT リーフリジットモデル:B(マニアにはA)
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT リーフリジットモデル:B(マニアにはA)
・660cc4サイクルターボエンジン+3速AT リーフリジットモデル:C(マニアにはB)
・660cc4サイクルターボエンジン+5速MT コイルリジットモデル:B(マニアにはA)
・660cc4サイクルターボエンジン+3速AT コイルリジットモデル:C
●3代目モデル
・5速MT 2WDモデル:D
・4速AT 2WDモデル:D
・5速MT(レバー式トランスファー)モデル:A
・4速AT(レバー式トランスファー)モデル:B
・5速MT(スイッチ式トランスファー)モデル:A
・4速AT(スイッチ式トランスファー)モデル:B
(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)
まとめ
日本国内で見ても世界的に見ても軽自動車でクロスカントリー4WDモデルとして作られているのはこのジムニーだけ、オフロード走行性能もたぶん「世界一」といっていいのではないでしょうか。
それだけ車としての価値があるわけですから中古車市場での価値が高くても当然でしょう。