新車市場だけでなく中古車市場でも大人気となっているセレナ、中型ミニバン初のハイブリッドモデル、中型ミニバン初の自動安全技術採用といったように中型ミニバンの中で先進的なモデルとなりますが、そんな付加価値的なものよりも自動車としての性能はどうなのか?…というところが気になる方も多いかと思います。
ここでは中古車市場で人気となっている4代目モデルと現行モデルである5代目モデルをメインとして「自動車としての基本性能の部分」に触れてみたいと思います。
なので、Webカタログなどに書いてあるありきたりのことは書きませんので先にお伝えしておきます。
画像引用元:日産:セレナ [ SERENA ] ミニバン/ワゴン
目次
日産・セレナってこんな車だった~概要
日産のセレナは5ナンバーサイズのボディに2リッタークラスのエンジンを搭載した中型ミニバンとして作られているモデルです。
中型ミニバンといえば典型的なファミリー向けミニバン、いわゆる「大衆ファミリーミニバン」とされるごく普通で小さな子供のいるアットホームな一般ファミリー向けに作られているモデルということになりますが、まさにこのセレナという車は「大衆ファミリーミニバンの代名詞」ともなるほど一般的な家族向けの車としての作りが与えられているモデルです。
このモデルも他の古くから発売されているミニバン同様に、ワンボックスカーのワゴンを祖先に持ちます。
そのワンボックスカーというのが1978年に発売された小型ワンボックスカーの「バネット」です。
バネットの商用ワンボックスバンのボディを使って、それを乗用化させた形で作ったワンボックスワゴン「バネット・コーチ(昔の日産ではワゴンモデルのことを“コーチ”と呼んでいた)」がこのセレナの先祖です。
このモデルは1994年まで作られましたが、その後「ワンボックスワゴン」としてではなく当時流行り始めた「ミニバン」という言葉にふさわしくなるようにと高級化とクラッシャブルゾーン付きの1.5ボックスボディを持たせた形で、「バネット・セレナ」というモデルが作られました。
実はこのバネット・セレナがセレナの直接的な先祖モデル、先代モデルとなる車なのです。
そのバネット・セレナが発売されたのは1991年で、その約3年後の1994年にセレナの初代モデルが発売されます。…ということはバネット・セレナはたった3年間ぐらいしか作られていなかった発売期間が非常に短かったモデルだったということになるのか。
いえいえ、実はバネット・セレナとセレナの初代モデルの車体は全く同じもので、1994年に行われたバネット・セレナの初めてのマイナーチェンジの際に、車名が「バネット・セレナ」から「バネット」を取り去って「セレナ」と改名したことでセレナが生まれたということなのです。
その辺りを知らない方も多く編集するWEBの知識情報上では、バネット・セレナが発売された1991年がセレナの初代モデルの発売年とするといった間違った解釈がされてしまっていますが、本当のところは改名された1994年が初代モデルの発売年となります。
●初代モデル C23型(1994年~1999年)
初代モデルはバネット・セレナの改名モデルですので、構造なども全く同じとなります。
この時代のモデルは5ナンバーボディに2リッタークラスのエンジンを搭載するといった現在のセレナに繋がるようなものを持っていましたが、決定的に違うのはキャブオーバー型のFRレイアウトを持つ車であったということです。
これはバネット・セレナに商用バンモデルやトラックモデルがあったからで、商用車としての性能も持たせなければならなかったからです。
そういったモデルを改名してそのまま売る形となったわけですので、当然のごとくFRレイアウトを持つことになりました。
●2代目モデル C24型(1999年~2005年)
セレナとして初めてのモデルチェンジを受けて発売されたのがこのC24型です。
このモデルは最初からワゴンモデルのためのミニバンとしての設計がされました。
そのため居住性、生産コスト面に利点があるFFレイアウトを採用するようになり、エンジンレイアウトもエンジン縦置きのキャブオーバーではなく、わずかに伸ばされたボンネットの下にあるエンジンルーム内に横置きにされました。
このモデルでは、国内モデルにおいても2リッターNAガソリンエンジンの他に2.5リッターのディーゼルエンジンがエンジンバリ―ションとして用意されていました。
●3代目モデル C25型(2005年~2010年)
2005年のセレナとして2回目のモデルチェンジで生み出されたのが3代目モデルC25型です。
このモデルからルノー日産の手によって作られるようになりました。
そのため随所に低コストかが図られており、プラットフォームはルノー、日産で共通となるCプラットフォーム、エンジンはラフェスタと同じ低コストエンジン、そして2リッターガソリンエンジンのみの設定、サスペンション構造も基本モデルとなるFFモデルではトーションビーム、トランスミッションのCVTへ一本化といったつくりがあたえらえていました。
この時点で、5ナンバーボディ、2リッタークラスのNAエンジンを搭載する、FFレイアウトというその後のセレナの基本構造が出来上がったことになります。
ただこのモデルでは、ドレスアップグレードの「ハイウェイスター」やスポーティードレスアップモデルの「ライダー」といった5ナンバーサイズの全幅を超えるモデルも発売されていました。
このモデルは2019年4月現在の中古車市場にあるセレナの約10%を占めており、今でもわずかに取引がされています。
●4代目モデル C26型(2010年~2016年)
2019年4月時点の中古車市場で一番多く出回っており、一番多く取引がされているのがこのC26型です。
このモデルの最大の特徴は2012年8月を境に2つに分けることができるという点です。
まずこのモデルが発売された2010年11月から2012年7月までは、先代モデルのコンポーネントを受け継ぐ形であまり代わり映えのないモデルとして発売されました。
それでも一応、新しい技術が与えられるようになり、エンジンは直噴化、アイドリングストップ機構などの低燃費装備の積極採用、パワースライドドアなどの快適装備の充実、アラウンドビューモニターなどの安全装備の採用といったことが行われていました。
この時点でも販売台数は激増し、「日本で一番売れているミニバン」となりましたが、実はそれを上回る大ヒットモデルとなるモデルが2018年8月に追加発売されるようになるのです。
それが2つ目のモデルで、中型ミニバンで初のハイブリッドモデルが追加されたのでした。
ハイブリッドモデルといってもトヨタのTHS-IIのような複雑な構造を持つハイブリッドシステムを搭載したものではなく、「S-HYBRID」と呼ばれる簡易型ハイブリッドシステムが搭載されました。
この構造はスズキの簡易型ハイブリッドシステムである「S-エネチャージ」と同じような構造、制御を行うもので、メインはエンジン走行で「ゼロ発進」などエンジンに負荷がかかる時のわずかに時間だけエンジンを手助けてする形で電気モーターが介入してくるといったような仕組みを持っています。
構造的には既存の2リッターNAエンジンに、スターターモーターと発電機とアシストモーターを一体化させたECOモーターなる電気モーターともう1つの鉛バッテリーを追加させた形で構成されています。
非常に簡素な構造を持つこともこのS-HYBRIDの特徴で、THS-IIのような大規模なハイブリッドシステムと違って、ハイブリッド化するためにエンジンやトランスミッション、ドライブトレーンをハイブリッドモデル専用のものに変更する必要もありませんし、大きなハイブリッドバッテリーによってキャビンが狭くなることもありません。
逆に電気モーターの介入が少ないので燃費性能が思ったほどの変化を伴わないというデメリットも持ちます。
しかし、経済性を一番の考える一般ファミリー層がオーナーのメイン層となる中型ミニバンの中ではわずかでも燃費性能がよくなればそれは大きなメリットとなりますし、それに何よりも「中型ミニバン初のハイブリッドモデル」という言葉が魅力的に演出された結果、空前の大ヒットとなりました。
このハイブリッドモデルを含めたC26型が現在の中古車市場にあるセレナの6割を占めます。
●5代目モデル C27型(2016年~現在)
このC27型が2019年4月時点での現行モデルとなります。
このモデルでは2つの大きな特徴があります。
1つ目は安全装備の充実です。
このC27型においても先代モデルに引き続きS-HYBRIDを搭載するといった低燃費路線を持つモデルとして作られていますが、もう一方で「プロパイロット」という安全装備が採用されました。
プロパイロットとは、カメラ映像とレーザーレーダー波によって障害物や白線、前方を走る車両などを検知して、車線からはみ出さないようにするステアリング操作、車間距離を保ちながら前方を走る車両に追従するためのアクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、一定のスピードで走るクルーズコントロール機能などを1つにしたものです。
日産が言うには「自動運転技術」とのことで、一見すると確かに自動運転をしているように見えます。
しかし、実際にはそれまで安全装備として開発してきた様々な機能をベースとなるクルーズコントロール機能に付加したというのが実際のところで、一般的に考える「自動運転」とは程遠いと言えるでしょう。
もっと正確にいうのであれば「高性能クルーズコントロールシステム」というべきもので、はっきり言って現在の日本の道路事情では必要ないすら言えます。
このプロパイロットがセレナに採用されるに至ったきっかけは、先代モデルの時代にライバルであるトヨタのノア三兄弟車に3代目プリウスのハイブリッドシステムを移植した本格的ハイブリッドモデルが発売されたからです。
ハイブリッドモデルといってもセレナのハイブリッドシステムはあくまでも簡易的なものですので、それと同じクラスにTHS-IIを搭載したノア三兄弟車が発売されてしまっては商品としての価値が薄くなるということで、低燃費路線から一転して話題の「自動運転」という言葉に絡めた先進安全装備を強く押し出した商品を作ったというわけです。
しかし、日産もそのまま大人しくしているはずはありません、新たな手を売ってきました。
実はそれが2つ目の特徴となるe-POWERです。
ノートに採用され、大ヒットモデルとなったことでよく知られるようになりましたが、e-POWERとは日産が誇るEV技術を利用したハイブリッドシステムで、電気モーターだけで走り、エンジンはひたすら発電機として機能するといったシリーズハイブリッドシステムのことを言います。
これによってノア三兄弟車のハイブリッドモデルの燃費性能を大幅に上回る(実燃費比較)車となり、プロパイロットと併せて中型ミニバンの中で一番先進的なモデルとなったのでした。
C27型も少しずつ中古車市場に出回るようになり、2019年4月時点で中古車市場にあるセレナの約2割を占めています。
日産・セレナにはこんなモデルがあった~モデル構成
C26型
●標準モデル
・2リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル
●ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・2リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル
●スポーティードレスアップモデル(ライダー)
・2リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル
●ハイブリッドモデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
●ハイブリッド・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
●ハイブリッド・スポーティードレスアップモデル(ライダー)
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
C27型
●ガソリンエンジンモデル
・2リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル
●ハイブリッド(S-HYBRID)モデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 4WDモデル
●ハイブリッド(S-HYBRID)・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 4WDモデル
●ハイブリッド(S-HYBRID)・スポーティードレスアップモデル(ライダー)
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 4WDモデル
●ハイブリッド(S-HYBRID)・スポーティードレスアップモデル(オーテックモデル)
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 4WDモデル
●ハイブリッド(e-POWER)モデル
・1.2リッターNAエンジン+e-POWER+CVT 2WDモデル
●ハイブリッド(e-POWER)・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・1.2リッターNAエンジン+e-POWER+CVT 2WDモデル
●ハイブリッド(e-POWER)・スポーティードレスアップモデル(オーテックモデル)
・1.2リッターNAエンジン+e-POWER+CVT 2WDモデル
●NISMOモデル
・2リッターNAエンジン+S-HYBRID+CVT 2WDモデル
日産・セレナのパワーユニット~動力性能
C26型
●2リッターNAエンジン
これは
・標準モデル
・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・スポーティードレスアップモデル(ライダー)
に採用されているエンジンです。
・エンジン型式:MR20DD型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:直噴
※スペック
・最大出力:147ps/5,600rpm
・最大トルク:21.4kgf・m/4,400rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約73.5ps
○パワーウェイトレシオ:約10.9kg/ps
●2リッターNAエンジン+S-HYBRID
これは
・ハイブリッドモデル
・ハイブリッド・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・ハイブリッド・スポーティードレスアップモデル(ライダー)
に採用されているパワーユニットです。
・エンジン型式:MR20DD型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:直噴
※スペック
・最大出力:147ps/5,600rpm
・最大トルク:21.4kgf・m/4,400rpm
○電気モーター
・形式: SM23型
※スペック
・最大出力:2.4ps
・最大トルク:5.5kgf・m
○ハイブリッドシステム:S-HYBRID
○ハイブリッドバッテリー:鉛バッテリー
○システムパワー:147ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約79.1ps
○パワーウェイトレシオ:約11.3kg/ps
C27型
●2リッターNAエンジン
これはガソリンエンジンモデルに採用されているエンジンです。
・エンジン型式:MR20DD型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:直噴
※スペック
・最大出力:150ps/6,000rpm
・最大トルク:20.4kgf・m/4,400rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約75ps
○パワーウェイトレシオ:約10.8kg/ps
●2リッターNAエンジン+S-HYBRID
この組み合わせは
・ハイブリッド(S-HYBRID)モデル
・ハイブリッド(S-HYBRID)・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・ハイブリッド(S-HYBRID)・スポーティードレスアップモデル(ライダー)
・ハイブリッド(S-HYBRID)・スポーティードレスアップモデル(オーテックモデル)
・NISMOモデル
に採用されているパワーユニットです。
・エンジン型式:MR20DD型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:直噴
※スペック
・最大出力:150ps/6,000rpm
・最大トルク:20.4kgf・m/4,400rpm
○電気モーター
・形式: SM24型
※スペック
・最大出力:2.6ps
・最大トルク:4.9kgf・m
○ハイブリッドシステム:S-HYBRID
○ハイブリッドバッテリー:鉛バッテリー
○システムパワー:150ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約75ps
○パワーウェイトレシオ:約11.3kg/ps
●1.2リッターNAエンジン+e-POWER
この組み合わせは
・ハイブリッド(e-POWER)モデル
・ハイブリッド(e-POWER)・ドレスアップモデル(ハイウェイスター)
・ハイブリッド(e-POWER)・スポーティードレスアップモデル(オーテックモデル)
に採用されているパワーユニットです。
・エンジン型式:HR12DE型
・エンジン排気量:約1.2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:84ps/6,000rpm
・最大トルク:10.5kgf・m/3,200rpm~5,200rpm
○電気モーター
・形式: EM57型
※スペック
・最大出力:136ps
・最大トルク:32.6kgf・m
○ハイブリッドシステム:e-POWER
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー
○システムパワー:136ps
○パワーウェイトレシオ:約12.9kg/ps
e-POWERは電気モーターでしか走らないので、エンジンのパワースペックはあくまでも発電機としての能力でしかありません。
しかし、燃費性能のためといっても1.7トンもある車をたった136psで駆るのはかなり無理があるのではないでしょうか。
せめてガソリンエンジンモデルと同じぐらいの150psは欲しいところです。
日産・セレナの走りはどうだった?~走行性能
ボディ剛性・シャシー性能
C25型以降、ルノー日産によるコスト削減策で車体のあちこちに低コスト化が図られました。
その影響を一番強く受けているのがボディやフレーム、シャシーといった素人が見てもわかないような部分です。
C26型においてもC27型においてもそれは同様でボディ剛性はあまり高くありません。
ただ、ライバルであるトヨタのノア三兄弟車のような極端な低コスト化が取られているわけではありませんので現在発売されている中型ミニバンの中では、ホンダのステップワゴンに次いで高いボディ剛性を持っているといっていいでしょう。
トランスミッション
トランスミッションの無いe-POWERモデルを除いて、C26型以降のセレナでは全モデル、全グレード共通のCVTが採用されています。
これは日産名「エクストロニックCVT」と呼ばれているもので、電子制御、油圧作動式のごく普通の金属ベルトを用いたCVTです。
サスペンション構造
残念ながらサスペンション構造にはあまりお金がかけられていません。
C26型、C27型共通で…
・フロント:マクファーソンストラット
・リヤ:FF トーションビーム、4WD マルチリンク
といったものになっていますが、フロントサスペンションのマクファーソンストラットは性能的に十分ですが、FFモデルのリヤサスペンションとして与えられているトーションビームは軽自動車やコンパクトカーレベルのものでしかありません。
トヨタのトーションビームほど剛性感の無いひどい作りではありませんが、それでもなんだかんだ言って2トンを超える重量となる車体を支えるには性能的に乏しい作りといっていいでしょう。
ちなみにセレナのサスペンションは曲がるためのサスペンションではなく、乗り心地を良くするためのものですからこの車に優れたコーナーリング性能を求めてはいけません。
日産・セレナって燃費は良かったの?~燃費性能
●C26型
○2リッターNAエンジン
・カタログ燃費(JC08モード):最大13.8km/L
・実燃費:約11km/L
○2リッターNAエンジン+S-HYBRID
・カタログ燃費(JC08モード):最大16.0km/L
・実燃費:約14km/L
●C27型
○2リッターNAエンジン
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.0km/L
・実燃費:約13km/L
○2リッターNAエンジン+S-HYBRID
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.2km/L
・実燃費:約15km/L
○1.2リッターNAエンジン+e-POWER
・カタログ燃費(JC08モード):最大26.2km/L
・実燃費:約22km/L
S-HYBRIDはハイブリッドシステムといっても電気モーターはあくまでも一時的なアシストしかしないものとして付けられているものですので、ガソリンエンジンモデルの燃費性能と比べても思いのほか燃費性能が伸びていないことがわかります。
それに対してC27型に用意されたe-POWERモデルの燃費性能は中型ミニバンとしてずば抜けてよい数字をたたき出しています。
発売してすぐに大人気モデルとなるのもわかる気がします。
日産・セレナを買ってみる~中古車購入
日産・セレナはこんな人に向いている
セレナは初代モデル、いやもっと前のバネット・コーチ時代から多人数乗り大衆ファミリーカーとしての歴史を刻んできたモデルですので、C26型以降のモデルとて同じです。
中学生ぐらいまでの子供が複数にいて、家族の収入は目立って多くもなく少なくもないといった中流家庭、休みの日には家族みんなで遊びに行ったり買い物に行ったりといった家族思いのお父さんがいるファミリーといった感じの環境にいるお父さんがいいでしょう。
逆にこういう方はこの車を買わない方がいい…といいますが中型ミニバンのセレナを必要しないのは、独身者、子供のいない家族、子育てが終わった夫婦といった方々です。
高確率でセカンドシート以降のシートを持て余します。
日産・セレナを中古車として買う時の注意点
中古車市場にまわってくるぐらいのセレナは、まず間違いなく使いこまれています。
特にキャビン内のセカンドシート、サードシート周りの使いこまれ方は相当だと思ってください。
小さな子供が乗ることが多いことから、シートやフロアカーペットは食べ物、飲み物をこぼして出来たシミだらけだったり、インテリアパネルやフロントシートのシートバック裏は靴を履いたままで蹴っ飛ばされること多いため汚れがついていたり、ひどいものとなるとドリンクなど液体のものをこぼしてしまってそれが入り込んでしまったのかパワーウィンドウスイッチが固着していたり接触不良を起こしているものもあるぐらいです。
セレナの中古車を選ぶときは外観だけに目を奪われるのではなく、セカンドシートを中心としたインテリアや快適装備にも気をかけましょう。
中古車市場での価値の動向
C26型
・標準モデル:D
・ドレスアップモデル(ハイウェイスター):D
・スポーティードレスアップモデル(ライダー):D
・ハイブリッドモデル:C
・ハイブリッド・ドレスアップモデル(ハイウェイスター):C
・ハイブリッド・スポーティードレスアップモデル(ライダー):C
C27型
・ガソリンエンジンモデル:C
・ハイブリッド(S-HYBRID)モデル:
・ハイブリッド(S-HYBRID)ドレスアップモデル(ハイウェイスター):B
・ハイブリッド(S-HYBRID)スポーティードレスアップモデル(ライダー):B
・ハイブリッド(S-HYBRID)スポーティードレスアップモデル(オーテックモデル):B
・ハイブリッド(e-POWER)モデル:A
・ハイブリッド(e-POWER)ドレスアップモデル(ハイウェイスター):A
・ハイブリッド(e-POWER)スポーティードレスアップモデル(オーテックモデル):A
・NISMOモデル:B
(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)
新車市場でも大人気となっているe-POWERモデルはやはり中古車市場でも大人気なようです。
一方で、e-POWERモデルほどではありませんがC27型のS-HYBRIDモデルもなかなかです。
C26型も人気はそこそこあるのですが、とにかく販売台数が多かったため、中古車市場に入ってくる台数もかなり多くなっていることから人気はあるものの価値は低め、中古車を買う側にとってみれば金銭的なメリットを得ることができると思います。
まとめ
セレナは、家族を目的地まで安全にかつ快適に運ぶためのいわば「家族のトランスポーター」として使うための車として作られているので、キャビン内での居住性、快適性、利便性、それから安全性、乗り心地の良さといった家族目線でのメリットとなることや税金やメンテナンス費用、ガソリン代といった経済的なメリットなどを追求したつくりが与えられています。
それらは自動車本来の性能である動力性能や走行性能とは正反対の位置にあるものですのでそれらを追求したということはそれすなわち動力性能や走行性能が犠牲になっているということでもあります。
結論を言えば、セレナはやっぱりお父さんのための車ではなく、家族のために車であるということです。