「走る乳母車」などと例えられるように子育て中の主婦層に大人気となっている軽スーパートールワゴン、その中の1台がこのホンダのN-BOXと呼ばれるモデルです。
中古車市場でもかなり需要が高く、中古車価格もさることながら状態の良いものが入ってくるとすぐに売れてしまうほどの人気も特徴です。
ではこのN-BOXがどういう車なのか?というところを見ていきましょう。
ここでは現行モデルだけでなく、中古車市場で高い人気を持つ初代モデルも含めて見ていきたいと思います。

N-BOXf1

画像引用元:2017年8月終了モデルのHonda「N-BOX」

ホンダ・N-BOXってこんな車だった~概要

N-BOX 人気 紹介

軽自動車が「貧乏人が買う車」「運転がへたな人が買う車」などと呼ばれていたのはかなり昔のこと、現在では使い勝手がよく、維持費も安く済む便利な生活車として扱われるようになり、老若男女から高い人気を誇るようになりました。

軽自動車がそのような車として扱われるようになったきっかけは、今でもひそかにささやかれている「似非エコブーム」が広まったことですが、軽自動車を自社生産していた自動車メーカーはそのブームに乗るためにそれまで発売していたモデルに加えて続々と新しい軽自動車を作っていったのです。

スズキはワゴンRやパレット(現在のスペーシア)を、ダイハツはムーヴやタントを、三菱はeKシリーズを…といた具合ですが、唯一この流れにしっかり乗ることができなかったのがホンダでした。

ホンダは当時、軽乗用車として「ライフ」という軽トールワゴンモデルを主力モデルとしていました。
このモデルは古くから発売されている軽ハッチバックセダンの流れをくむもので、当時からホンダらしい優れた動力性能と走行性能を持つ軽自動車として扱われていました。
しかし基本設計が古いことから当時の「似非エコブーム」に乗れるほどの低燃費装備を持つことができず、あまりそういった面に優先度を見出していなかったことから燃費を良くする装備の開発すら消極的になっていたのです。

これでは「燃費が良ければよい車」とされていた当時の自動車界で売れるはずがありません。
派生モデルとしてザッツやゼストを作っても、燃費性能が現状維持では販売台数が伸び悩むのも無べなるかなという状態でした。
ここにきてホンダはようやく重たい腰を上げます。
それまでずっと使い続けてきたライフのコンポーネントを捨て、軽自動車の全てを一から新しくしようとしたのでした。
これが「Nコンセプト」と呼ばれるもので、一組のしっかりと作り込んだコンポーネントを開発し、それをいろいろなモデルに流用していくというものでした。

そしてその第一弾として発売されたのが、当時も大人気あった軽スーパーハイトワゴンにカテゴライズされるN-BOXだったのです。

●初代モデル JF1・2型(2011年~2017年)

N-BOXf1

画像引用元:2017年8月終了モデルのHonda「N-BOX」

このモデルがN-BOXの初代モデルとなります。
Nシリーズの第一弾もでるとして、標準モデルの「N-BOX」、ドレスアップモデルの「N-BOXカスタム」、スロープ付きのアウトドアレジャー向けモデルのN-BOX+(実は福祉車両を転用したモデルであったりする)といったモデルを同時発売し、更に遅れる形でピラーをカットして全高を低くしたチョップトップ仕様のN-BOXスラッシュといった派生モデルも発売されました。

プラットフォームはNシリーズ共通の専用プラットフォーム、エンジンも新しく設計されたS07系エンジンのS07A型を搭載、NA仕様とターボ仕様の2種類が用意されていました。
ボディの形状は軽スーパーハイトワゴン定番となる短いボンネットに全高の高い2ボックススタイルとなり、デザイン的にはN-BOXという車名を表すように角のあるボクシーなデザインが取られていました。

このモデルが2019年現在の中古車市場のおける中心的なモデルとなっており、中古車市場にあるN-BOXの約7割を占めています。

●2代目モデル JF3・4型(2017年~現在)

N-BOXjf3

画像引用元:Honda N-BOX 公式情報ページ

このモデルが2019年時点の現行モデルとなるもので、2017年に行われた初めてのモデルチェンジによって生まれました。
基本的にはキープコンセプトによるモデルチェンジで、驚くことに見た目もあまり変わっていません。
車に詳しくない方が先代モデルとこのモデルを並べてみたとしてもどちらが新しいモデルかわからないかもしれません。それぐらい外観的な変化の無いモデルチェンジだったのです。
口の悪い人に言わせれば「マイナーチェンジレベルのモデルチェンジ」などといわれるぐらいです。

エクステリアやインテリアといった見た目的な部分やそっくりそのまま流用したシャシーなどは同じようなものでも、エンジンは進化しました。
型式的にはS07型と全く同じで、スペック的にもそうなのですが、新しいS07B型エンジンでは燃焼効率がよくなったことで燃費性能がよくなっています。

このモデルでもドレスアップモデルのN-BOXカスタムとスロープ付きのレジャー向けモデルが作られましたが、レジャー向けモデルは先代モデルでは「N-BOX+」といった形で派生モデルとして販売されていましたが、このモデルからはN-BOXのなかの1モデルとして「スロープ仕様」という形で売られるようになりました。

2019年3月時点の中古車市場ではこのモデルがN-BOXの3割を占める形となっています。

ホンダ・N-BOXにはこんなモデルがあった~モデル構成

N-BOX モデル 構成

初代モデル JF1・2型

●標準モデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル

●ドレスアップモデル(N-BOXカスタム)
・NAエンジン+CVT 2WDモデル
・NAエンジン+CVT 4WDモデル
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル

標準モデルもドレスアップモデルも基本的な部分は全く同じで、エクステリアやインテリアといった見た目だけが違うといった程度の控えめなものになっていました。

2代目モデル JF3・4型

●標準モデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・NAエンジン+CVT 4WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・NAエンジン+CVT 2WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・NAエンジン+CVT 4WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・NAエンジン+CVT 2WDモデル スロープ仕様
・NAエンジン+CVT 4WDモデル スロープ仕様
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル スロープ仕様
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル スロープ仕様

●ドレスアップモデル(N-BOXカスタム)
・NAエンジン+CVT 2WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・NAエンジン+CVT 4WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル フロント・ベンチシート仕様
・NAエンジン+CVT 2WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・NAエンジン+CVT 4WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル フロント・スーパースライドシート仕様
・NAエンジン+CVT 2WDモデル スロープ仕様
・NAエンジン+CVT 4WDモデル スロープ仕様
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル スロープ仕様
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル スロープ仕様

初代モデルと比べるとモデル数がかなり増えたように見えますが、これは初代モデルの時は別モデル扱いだったスロープ付きモデルがこのモデルで組み込まれたこと、フロントシートの仕様がベンチシートタイプのものとロングスライド機能がついたセパレートシートの2つがあることによって選択肢が増えたのことによるものです。

ホンダ・N-BOXのパワーユニット~動力性能

初代モデル JF1・2型

●NAエンジン

・エンジン型式:S07A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:58ps/7300rpm
・最大トルク:6.6kgf・m/4700rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約88ps
○パワーウェイトレシオ:約17.4kg/ps

●ターボエンジン

・エンジン型式:S07A型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー

※スペック

・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:10.6kgf・m/2600rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96ps
○パワーウェイトレシオ:約16.1kg/ps

Nシリーズに搭載されているエンジンは、昨今の軽自動車の搭載されるエンジンの典型的なものといえるエンジンなのですが、1つだけ際立っているのがNAエンジンのパワースペックです。

最近の軽自動車では、49ps~52psのNAエンジン、64psのターボエンジンといった2種類のパワーユニットが用意されることが一般的なのですが、ターボエンジンの64psは軽自動車の自主規制値であり、それが今のところの上限となっていることからそれを超えることが許されないため、どの軽自動車でもターボエンジンモデルはすべて64psとなります。
一方、NAエンジンは燃費性能や耐久性などを考えると高くてもだいたい52ps程度が適当されているため、NMKVモデル以外の他社モデルでは軒並みNAエンジンモデルは52psにされています。
しかし、このNシリーズに搭載されているS07系エンジンではなんと58psのパワーを発生させているのです。
通常、パワーを上げると燃費性能が低下するものですが、このエンジンでは大幅な燃費性能の低下を見ることなく、軽自動車搭載NAエンジンで最強となる58psを発生させているのです。

ターボエンジンモデルのエンジンと比べると確かにトルクは4kgf・mも低く、パワーもトルクも最大値を発生させるエンジン回転数がかなり高回転寄りとなっていますが、過給器がついているエンジンとあった6psしか差がないことはこのモデル、Nシリーズの最大の特徴といっていいのではないでしょうか。

2代目モデル JF3・4型

●NAエンジン

・エンジン型式:S07B型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ

※スペック

・最大出力:58ps/7300rpm
・最大トルク:6.6kgf・m/4800rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約88ps
○パワーウェイトレシオ:約16.2kg/ps

●ターボエンジン

・エンジン型式:S07B型
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー

※スペック

・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:10.6kgf・m/2600rpm

○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96ps
○パワーウェイトレシオ:約15.1kg/ps

2代目モデルでは初代モデルに採用されていたS07A型エンジンを改良したS07B型エンジンが搭載されている形になっていますが、スペック的にはさほど大きな違いはなく、NAエンジンの最大トルク発生回転数が100rpmほど高められただけです。

ホンダ・N-BOXの走りはどうだった?~走行性能

N-BOX 走行性能 検証

ボディ剛性・シャシー性能

初代モデル、2代目モデルとも基本的にはまったく同じプラットフォームが採用されていることからシャシーやボディの剛性もほぼ同じといえます。
では、シャシーやフレーム、ボディの剛性はどうかといいますと、一言でいえばかなり弱いといえます。
そもそも軽自動車は国産自動車の中で一番下のクラスに分類される車で、車両価格を安く抑えた車なのですから車体全体にコスト削減策が取られていることから強度、剛性ともに弱くなっても当前です。

そして更にキャビン空間を広くとるために全高を高くとられ、ピラーも四隅に追いやられるような形で置かれているため必然的に剛性が落ちてしまったのです。

ただし、軽スーパーハイトワゴンだけで見るとNMKVのeKスペース、デイズ・ルークスと同じくらいの剛性を持つため、比較的剛性のあるモデルであるということが言えるでしょう。

トランスミッション

採用されているトランスミッションはCVTでターボエンジンモデルには疑似有段変速機能の7速マニュアル制御が付付けられています。
実はこのCVT、プラットフォーム同様に初代モデルも2代目モデルも同じものが搭載されています。
同じといっても形式や構造が同じということだけではなく、変速幅も全く同じ、制御方法も全く同じといったように完全に同じものです。

サスペンション構造

初代モデル、2代目モデルともに同じシャシーを使っているわけですからサスペンション構造も同じです。
FFモデルと4WDモデルで違うリヤサスペンションにされているのも同じで…

●FFモデル
フロント:マクファーソンストラット
リヤ:コイルリジット

●4WDモデル
フロント:マクファーソンストラット
リヤ:ド・ディオン式リジットサスペンション

となります。

この中で特徴的なのが4WDモデルのリヤサスペンションに使われているド・ディオン式です。
あまり聞くことがない名前ですが、この構造はリジットサスペンションのバネ下荷重の増加に対応すべく考えられたもので、左右のハブをシャフトで繋ぐことでリジットサスペンションの持つ頑丈さを保ちつつ、重量物となるデファレンシャルギヤをアクスルから切り離し車体側に固定し、その間を独立懸架式のようにドライブシャフトで繋ぐといったものです。
いうなれば、独立懸架のバネ下荷重の軽量化とリジットサスペンションの耐久性の高さを持ち合わせたものといえます。
それでいて比較的安く作ることができるのでホンダでは4WDモデルのリヤサスペンションとしてよく使うのです。

性能的にはFFモデルも4WDモデルも軽自動車らしいもの・・・要するに普通に走るためのサスペンションでしかないということです。

ホンダ・N-BOXって燃費は良かったの?~燃費性能

N-BOX 燃費性能 検証

JF1・2型

●NAエンジンモデル
・カタログ燃費:最大25.6km/L
・実燃費:約23km/L

●ターボエンジンモデル
・カタログ燃費:最大23.8km/L
・実燃費:約20km/L

JF3・4型

●NAエンジンモデル
・カタログ燃費:最大27.0km/L
・実燃費:約25km/L

●ターボエンジンモデル
・カタログ燃費:最大25.6km/L
・実燃費:約22km/L

初代モデル、2代目モデルともにほぼ同じ低燃費装備が付けられている形になっています。

※採用されている低燃費装備

・アイドリングストップ機構
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・CVT

が、しかし2代目モデルではエンジン自体が低燃費化されたことで初代モデルと比べて最大で2km/Lほどの燃費性能の向上を果たすことができました。

実燃費もカタログ燃費からかけ離れず、優れているのもさすがホンダといいたいところで、この部分はぜひともトヨタグループも見習ってもらいたいものです。

ホンダ・N-BOXを買ってみる~中古車購入

N-BOX 買う 赤ちゃん

ホンダ・N-BOXはこんな人に向いている

N-BOXは軽自動車ですので、一般的には誰が買っても誰が運転してもいいということになっています。
しかし、この車は軽スーパーハイトワゴンという特殊なモデルであることから、おのずとどういった方がこの車に向いているかが決まってしまいます。

この車にピッタリな方は、やはり「小さな子供を持つお母さん」です。
早い話、エンジンがついた乳母車、ベビーカーと思うといいでしょう。

幼稚園の送り迎え、習い事の送り迎え、スーパーマーケットへのお買い物など日常的な家事に車を使いたい、奥様用のセカンドカーが欲しいといった方にピッタリだと思います。

逆に子供とは全く無縁の独身者や既に子育てを終えた中・高齢者の方、それと男性はこの車を避けた方がいいと思います。
一部ではN-BOXは女性用、N-BOXカスタムは男性用と解釈されることがあるようですが中身は全く同じですので、それだけで性別を分けて甘んじるというのはちょっと違います。

極端に言ってしまえば、性別は女性、立場は専業主婦、小学生以下の子供がいる家庭のお母さん…こういった方限定の軽自動車です。

ホンダ・N-BOXを中古車として買う時の注意点

N-BOX 注意点 中古車

N-BOXを中古車で買う時に気をつけていただきたい点が3つほどあります。

まず1つ目ですが、ボディのヨレです。
「ボディ剛性」の項でも書きました通り、この車はお世辞にもボディの剛性や耐久性が高いとは言えない車です。
そのため、何万キロか乗られて中古車市場へ出回るころになりますとボディがねじれていたり、曲がっていたりすることがかなりの確率であるのです。
だいたい3万キロを超える走行距離を持つN-BOXは要注意です。

こういったものは目で見てもわかりにくいので実際に触ったり試乗させてもらって確認します。

・ヒンジドアやスライドドア、リヤハッチなどがスムーズに開閉できるか
・ドアがきちんと閉まりきるか
・走行中に「キュッキュッキュッ」「ゴトゴトゴト」「カタカタカタ」といったような連続的な異音が室内から聞こえてこないか
・平らな路面でまっすぐ走るか

などを見ておきましょう。

次に2つ目ですがインテリアの汚れです。
この車は、同じ軽自動車でも小さな子供が乗ることが多い車です。
これは仕方のないことなのかもしれませんが、小さな子供が乗る車はどうしても室内を汚しがちです。

・お菓子をボロボロとこぼしながら食べる
・ドリンクをこぼす
・アイスクリームを落とす
・ベタベタのアメやガムを落としてそのままにする
・靴のままシートの上に立つ
・汚れた手であちこち触りまくる

などかなり激しく汚されることもあります。
汚れたとしても親がすぐに拾ったり、拭き取ったりと掃除をすればそれほど汚れが残ることもないのですが、運転中のやられてしまうと後回しになってしまうことから忘れてそのままの状態になってしまい、気が付いた時には見事にシミついてしまうということにもなってしまうのです。

特にチャイルドシートを取り付けることが多いリヤシート周りは注意が必要です。
外観だけを見たら、まるで新車のごとく光り輝いていてもスライドドアを開けて中に乗り込んだとたんシミだらけのシートとご対面…なんてこともしばしばです。

そして最後の3つ目ですが、軽度の事故車が多いということです。
軽度の事故というのはどういったものかといいますといわゆる物損事故、路地の角を曲がる時にフロントの角を壁に擦ってしまった、ボディの腹部分を内側のブロック塀の角にぶつけてしまった、後ろにポールが出ているのに気が付かないでそのままバックしてリヤハッチに見事なポールの跡をつけてしまったといった程度感の事故です。
どうしてそういった事故がこの車に多いのかというと、それは女性であるママさんドライバーが運転する機会が多いからです。
運転に注意を向けても同乗している子供への意識も強くあるため、不測の動きに対してとっさに反応してしまい、結果運転に向けていた注意が若干であっても逸れてしまう…。運転中に携帯電話の着信などで同様に意識が逸れた事がある人は多いはずです。

そして傾向として子供を産んだことのある女性は思いきりが良いところもあることがわかっていて、例えば「もしかしたらぶつかってしまうかも…?」といった感じの細い路地の交差点を曲がる時にも、男性ならあきらめて切り返しをしてから曲がるのところであっても、いわゆるママさんドライバーはその思いきりの良さから「え~い、行っちゃえ!」といわんばかりにトライするようです。
そして「ガリッガリッ」っということになってしまうのです。

なので中古車販売店に並んでいるN-BOXを見ると高確率で車の四つ角、スライドドア、リヤハッチのところにへこみやキズがついています。
それからへこみやキズがない場合でも前後バンパーがやたらと新しかったり、ボディパネルに鈑金の跡が見つかったりすることがあります。

スピードレンジが低い物損事故がほとんどですのでその事故でフレームが大幅に曲がってしまって修復歴車になっているとか、エンジンに障害が残ってしまうといったことは稀ですが、大なり小なり事故を起こしているといった目で品定めをした方がいいかもしれません。

中古車市場での価値の動向

N-BOX 中古車 価値

2019年3月時点の中古車市場での値動きを見てみましょう。

●初代モデル

※標準モデル(N-BOX)
・NAエンジン 2WDモデル:C
・ターボエンジン 2WDモデル:B

※ドレスアップモデル(N-BOXカスタム)
・NAエンジン 2WDモデル:B
・ターボエンジン 2WDモデル:B

●2代目モデル

※標準モデル(N-BOX)
・NAエンジン 2WDモデル ベンチシート仕様:B
・ターボエンジン 2WDモデル ベンチシート仕様:A
・NAエンジン 2WDモデル スーパースライドシート仕様:B
・ターボエンジン 4WDモデル スーパースライドシート仕様:A

※ドレスアップモデル(N-BOXカスタム)
・NAエンジン 2WDモデル ベンチシート仕様:A
・ターボエンジン 4WDモデル ベンチシート仕様:A
・NAエンジン 2WDモデル スーパースライドシート仕様:A
・ターボエンジン 4WDモデル スーパースライドシート仕様:A

(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)

現行モデルが高い価値を持つのは当たり前のこととしても、先代モデルの価値がかなり高いところがこのN-BOXシリーズの中古車の特徴ではないかと思います。

そうなる理由の1つとしてあるのがこの車の用途です。
N-BOXのような軽スーパーハイトワゴンは何回も言いました通り、子育て中のママさんのためにあるといってもいいぐらい限定された需要を持つ車です。
なので、例えば頻繁な送り迎えが必要なくなったとか子供一人でもどこへでも行けるようになったといった、子供に関わる環境が変わることで必要性がなくなってしまうことが多いのです。
それなら最初からわざわざ高いお金を出して新車を買わなくても、状態の良い中古車を買った方が安く済むということになるわけです。

すぐに大きくなってサイズアウトしてしまう子供服をわざわざ新品で揃えず、ある程度は親戚の子供のおさがりををもらってそれをあてがうような感覚です。
軽スーパーハイトワゴンならではのちょっと変わった需要形態です。

まとめ

N-BOX まとめ 軽自動車

家族のトランスポーターであるミニバンよりも使用する期間が短いとされる軽スーパーハイトワゴン、そのため頻繁に売り買いがされるようになるわけですが、このN-BOXシリーズはそういった需要傾向と併せて、動力性能の高さ、燃費性能の高さ、豊富なモデルバリエーションも中古車としての価値を上げる要因になっているようです。

おそらくは、これからも中古車市場では高い価値を保ち続けていくことでしょう。

おすすめの記事