ミニバンと呼ばれる車の中で一番下のクラスとなるのが小型ミニバンですが、その小型ミニバンの中で過去から大人気モデルとなり、現在中古車市場でもかなりの需要を持つのがホンダのフリードです。
そのフリードの魅力に迫ってみたいと思うのですが、ごく一般的な「デザインがどうだ」とか「インテリアがこうだ」とか「安全装備があれだ」といったようなカタログなどに掲載されていることには一切触れません。
ここではフリードを「ミニバン」としてでなく「クルマ」としてみた時のことだけに絞っていきたいと思っております。
画像引用元:2014年4月終了モデルのHonda「フリード」
目次
ホンダ・フリードってこんな車だった~概要
ホンダのフリードは2008年に発売された小型ミニバンです。
2008年当時は既にあちこちの自動車メーカーからいろいろなサイズのミニバンが発売されていた、いわゆる「ミニバンブーム」真っ只中で、本来のミニバンのユーザー層であるファミリーはもちろんのこと、「車を持たなくてもなんの支障もないでしょう?」といえるような独身の方も大衆ファミリーカーの代表となるミニバンを買うぐらいの勢いがあった時です。
この時からミニバンは大雑把に大型ミニバン、中型ミニバン、小型ミニバンという3つのクラスに分けられていて、大型ミニバンは3ナンバーボディに2リッターオーバーのエンジンを搭載するミニバン、中型ミニバンは5ナンバーボディかそれを少し超えるサイズのボディに2リッタークラスのエンジンを搭載するミニバン、そして小型ミニバンは5ナンバーボディに1.5リッタークラスのエンジンを搭載するミニバンといった形でカテゴライズされていました。
ホンダのフリードはその中の小型ミニバンクラスに属するモデルで、初代モデルから小さなボディに1.5リッターNAエンジンや1.5リッターNAエンジン+ハイブリッドシステムといったパワーユニットが持たされていました。
これをご覧になっている方の中で既にご存知の方も多いかと思いますが、このモデルはフィット兄弟車に属するモデルでコンパクトカーのフィットをベースにして作られたものなのです。
発売当初は、ベースとなるフィットにこのフリード、そしてフリードの派生モデルであるフリード・スパイク(最初はFLEXと呼ばれていた)の3モデル構成だったのですが、現在では、フィット、グレイス、ヴェゼル、フリード、フリード+、ジェイドといった6モデル構成となっています。
●初代モデル GB3/4型(2008年~2016年)
画像引用元:2014年4月終了モデルのHonda「フリード」
フリードが発売されたのは2008年のことです。
GE6系フィットの1.5リッターNAエンジンモデル、1.5リッターNAエンジン+IMAのハイブリッドモデルをベースにして、新しいフリード専用ボディとインテリアパーツ、そして燃料タンクの位置を移動させた形で作られました。
パワーユニットのバリエーションの他に定員によるバリエーションが設けられていて、「フロント:2+セカンドシート:2+サードシート:2」の6人乗りと「フロント:2+セカンドシート:3+サードシート:2」の7人乗り、そしてのちに独立して「フリード・スパイク」になる「フロント:2+セカンドシート:3」の5人乗りがありました。
セカンドシートが左右独立したキャプテンシートかベンチシートかで定員が変わるのは全てのクラスのミニバンに共通していえる手法なのですが、サードシートが2人掛けなのはボディサイズが小さい小型ミニバンならではのものとなります。
この時代の新車市場ではとにかくこのモデルは良く売れました。
もちろん小型ミニバンの中での話ですが、本当によく売れました。
この初代モデルが発売されていた時期は(今もそうですが)小型ミニバンといえば、このフィットとトヨタのシエンタしかなく、小型ミニバンの新車需要もこの2車種で分ける形になっていたのですが、トヨタのシエンタは今でこそミニバンらしい車として作られていますが、当時のトヨタは小型ミニバンに対する需要傾向を別の視点から見ていたようで、当時発売されていた初代シエンタを軽スーパーハイトワゴンのような「ママさん車」として、主婦用のトールワゴン的な扱いをして作っていたのです。
ボディもスライドドアはつけられていましたが形状的にはミニバンというよりどちらかというと5ドアハッチバックワゴンに近いものでしたし、3列シートを備えてはいましたがサードシートは昔あったステーションワゴンの補助席的なもののようなエマージンシーシートレベルの簡素なものしか付けられていませんでした。
そしてボディやインテリアのデザインも無難な小型ミニバンのものとは違い、例えばポルテとかパッソとかタントとかアルト・ラパンといったようないわゆる「女性向けモデル」のような雰囲気を持つものとされていたのです。
これではこの車を購入するターゲットはかなり限られてしまいます。
まさに「お母さんが家族のために買う車」となってしまったのです。
これでは本来のミニバンのオーナー層である「人数の多い家族のお父さん」がこの車を購入検討対象に積極的に取り入れるはずもなく、その需要が小型ミニバンクラスでたった1台しかないライバルモデルのフリードにどんどん流れていってしまったのです。
そうしてフリードは当時の小型ミニバンクラスの新車市場で大人気モデルとなったわけですが、ただこういったいきさつがあったことからフリードがいい車であるから大人気モデルとなったわけではなく、唯一のライバルモデルと比較した結果の消去法的なものであったということがわかります。
このモデルは、ベースモデルのフィットがモデルチェンジして新しいモデルになった後も引き続き生産が続けられ、2016年まで発売されていました。
このモデルが2019年4月時点の中古車市場にあるフリードの約9割を占めることになっています。
●2代目モデル GB5系型(2016年~2019年現在)
画像引用元:Honda フリード 公式情報ページ
ベースモデルのフィットが2013年にGK3系型になってから遅れること約3年後、2016年にフリードもモデルチェンジを行いGB5系型となりした。
このモデルも初代モデル同様にフィットベースの小型ミニバンとして作られていて、フィットと同じプラットフォーム、フィットと同じシャシー、フィットと同じエンジン、フィットと同じハイブリッドシステムを使い、ホイールベースを伸ばし、フリード専用のボディパーツとインテリアパーツを与えて作ったという先代モデルと同じような形で作られています。
このモデルも新車市場では中々の人気となっていますが先代モデルほどの爆発的な人気とはなりませんでした。
全てが新しくなり、ハイブリッドシステムも効率の良い「スポーツハイブリッドi-DCD」が採用されているのにどうしてでしょうか?
答えは簡単!
ライバルであるシエンタがモデルチェンジをして小型ミニバンらしさを活かした良い車になったからです。
シエンタは2015年にモデルチェンジされ、アクアベース小型ミニバンとなりました。
アクアベースですので当然ながらTHS-II搭載のハイブリッドモデルも用意され、更に小型ミニバンとしての性能を持ったことで、世のトヨタ信者がこぞってこのモデルを買うようになったのです。
さきほど書いた通り、比較検討の結果として人気モデルとなったわけですから、その比較対象がそこそこ小型ミニバンらしい車になり、更にTHS-IIを備えて「低燃費」で勝負するようになってしまったことで商品力が上がれば、おのずとフリードの需要も低迷してくるということです。
2019年4月の中古車市場では、発売からだいぶ経つことからそれなりの量が入ってくるようになってきましたが、初代モデルの販売台数がかなり多く、それが大量に入ってきていることから現状でも中古車市場にあるフリードのわずか2割程度を占めるにとどまっています。
ホンダ・フリードにはこんなモデルがあった~モデル構成
初代モデル
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル(6人乗り・7人乗り・5人乗りワゴン)
・1.5リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル(6人乗り・7人乗り・5人乗りワゴン)
・1.5リッターNAエンジン+IMA+CVT 2WDモデル(6人乗り・7人乗り)
2代目モデル
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル(6人乗り・7人乗り)
・1.5リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル(6人乗り)
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 2WDモデル(6人乗り・7人乗り)
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 4WDモデル(6人乗り)
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WD ドレスアップモデル(6人乗り・7人乗り)
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT ドレスアップモデル(6人乗り・7人乗り)
2代目モデルにあるドレスアップモデルは「Modulo(モデューロ)X」モデルと呼ばれるもので、「G」グレード相当の装備に更にModulo X専用装備として…
・専用フロントバンパー
・専用フロントグリル
・専用リアロアスカート
・専用タウンランプ
・専用サスペンションキット
・専用コンビシート
・専用インテリアカラー
・専用本革巻ステアリングホイール
・専用ドアミラー
・専用デザインアルミホイール
などといったものを追加または交換する形で採用したものです。
ホンダ・フリードのパワーユニット~動力性能
初代モデル
●ガソリンエンジン
・エンジン型式:L15A型
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:SOHC16バルブ
※スペック
・最大出力:118ps/6,600rpm
・最大トルク:14.7kgf・m/4,800rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78.6ps
○パワーウェイトレシオ:約11.9kg/ps
このエンジンはガソリンエンジンモデルに採用されているものです。
当時のホンダにおける小型モデル用エンジンで主力となるもので、フィット兄弟車のみならず、いろいろなモデルに使われていました。
性能的には平凡で、ごく普通の実用型エンジンといえるでしょう。
●NAエンジン+ハイブリッドシステム
○エンジン
・エンジン型式:LEA型
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:SOHC8バルブ
※スペック
・最大出力:88ps/5,400rpm
・最大トルク:13.5kgf・m/4,200rpm
○電気モーター
・電気モーター形式:MF6型
※スペック
・最大出力:14ps
・最大トルク:8.0kgf・m
○ハイブリッドシステム:IMA
○ハイブリッドバッテリー:ニッケル水素バッテリー
○システムパワー:約102ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約68ps
○パワーウェイトレシオ:約13.9kg/ps
このパワーユニットはハイブリッドモデルに採用されているものです。
エンジンはガソリンエンジンモデルに使われているL15A型エンジンに点火タイミング制御技術のi-DSIと可変シリンダーシステムのVCMを採用したIMA専用のエンジンで、エンジン単体でも燃費性能が向上が図られているものです。
しかし最大で1.4トンを超えるぐらいの車両重量となるフリードにたった102psのパワーはかなり低い数値です。
走りは当然ながら鈍重で、フル定員での走りは軽自動車レベルといっていいほどもたもたします。
2代目モデル
●ガソリンエンジン
・エンジン型式:L15B型
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:直噴
※スペック
・最大出力:131ps/6,600rpm
・最大トルク:15.8kgf・m/4,600rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約87.3ps
○パワーウェイトレシオ:約10.8kg/ps
このエンジンはガソリンエンジンモデルに採用されているもので、先代モデルに採用されていた「L15A」型エンジンの改良版です。
「L15A」型エンジンではロッカーアームを用いて1気筒あたり4バルブを実現していたSOHCでしたが、改良型の「L15B」型エンジンではDOHCとなりました。
パワースペックもパワーで13ps、トルクで1.1kgf・m向上しています
●NAエンジン+ハイブリッドシステム
○エンジン
・エンジン型式:LEB型
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・ミラーサイクル
※スペック
・最大出力:110ps/6,000rpm
・最大トルク:13.7kgf・m/5,000rpm
○電気モーター
・電気モーター形式:H1型
※スペック
・最大出力:29.5ps
・最大トルク:16.3kgf・m
○ハイブリッドシステム:スポーツハイブリッドi-DCD
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー
○システムパワー:約137ps
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約91.3ps
○パワーウェイトレシオ:約10.8kg/ps
先代モデルに使われていたIMAとは全く違う新しいハイブリッドシステム、スポーツハイブリッドi-DCDが採用されています。
エンジン単体、電気モーター単体でもパワーアップされており、システムパワーも先代モデルのそれと比べても大幅にパワーアップされているので、走りはかなりよくなっているといっていいでしょう。
ガソリンエンジンモデルのパワーにもかなり近い数字となり、同等レベルの走りができるようにはなりましたが、現実的に公道を走ったりしてみるとやっぱりガソリンエンジンモデルの方が速く走れることがわかっています。
ホンダ・フリードの走りはどうだった?~走行性能
ボディ剛性・シャシー性能
ホンダは昔からボディ剛性には厳しい目を持っていることで有名で、過去にあまりにもガチガチに作ってしまったことからサスペンションのコイルスプリングを弱くして何とか誤魔化したなどといったシビックタイプRの例もあるぐらいです。
トヨタ・ダイハツとは全く方向性を異なる考え方持つといっていいでしょう。
フリードはそのホンダが作ったのですから相当にボディの引き締められているようですが、ミニバンという車の性格的なものと全高が高く、開口面積が広いボディを持つことからホンダの車としては若干ですがボディ剛性が弱めになっています。
といっても他の動揺クラスの車のように走っている最中、常にボディがグニャグニャ曲がるといったひどいことなるということではなく、ホンダの車の中では弱い方であるといった程度です。
小型ミニバンとしては十分なボディ剛性と耐久性を持っているといってよく、それは数万キロ乗られた中古車でも同じことが言えると思います。
トランスミッション
●CVT
これは初代モデルのガソリンエンジンモデルのFFモデル、2代目モデルのガソリンエンジンモデルに搭載されているトランスミッションです。
これは特に説明をする必要もないごく普通のCVTで、クラッチ代わりのトルクコンバーターに金属ベルトと一組のプーリーといった構造を持つ電子制御油圧作動式の無段変速機です。
●5速オートマチックトランスミッション
これは初代モデルのガソリンエンジンモデルに設定されていた4WDモデルのみに採用されていたものです。
当時のCVTはまだまだ耐久性に難があって、トランスミッションに負担がかかりやすい4WDモデルにはつかえないということから古くから使ってきた信頼性の高いギヤ式のオートマチックトランスミッションを採用したということになります。
構造はいたって普通のトルクコンバーターと複数の遊星ギヤを組み合わせたギヤボックスを用いたもので、制御方法も電子制御、油圧作動となります。
●7速デュアルクラッチトランスミッション
このトランスミッションは、フリードも含めたフィット兄弟車に新たに採用になったハイブリッドシステムの「スポーツハイブリッドi-DCD」に内蔵される形になっているもので、2組の乾式クラッチ+ギヤボックスを切り替えながら使うことでスピーディーでパワーロスのない変速を実現することができるものです。
サスペンション構造
初代モデルも2代目モデルもベースモデルとなるフィットと全く同じ構造のサスペンション構造が用いられています。
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:FFモデル=コイルリジット、4WDモデル=ド・ディオン
低価格の小型ミニバンということですのでサスペンション構造にもそれほどお金をかけることができないことからこういったサスペンション構造になったものと思われます。
ただ、フリードという車の性質を考えればこれで十分でしす、むしろリヤサスペンションにトーションビームを採用しなかったことに拍手を送りたいと思います。
ホイールベースが長めのモデルにしては意外と曲がるのはこのリヤサスペンションのおかげかもしれません。
ホンダ・フリードって燃費は良かったの?~燃費性能
●初代モデル
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル(JC08モード):最大16.6km/L
・1.5リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル(JC08モード):最大13.2km/L
・1.5リッターNAエンジン+IMA+CVT 2WDモデル(JC08モード):最大21.6km/L
●2代目モデル
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル(JC08モード):最大19.0km/L
・1.5リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル(JC08モード):最大17.6km/L
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 2WDモデル(JC08モード):最大27.2km/L
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 4WDモデル(JC08モード):最大25.2km/L
初代モデルには…
●ガソリンエンジンモデル
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・CVT(CVTモデルのみ)
●ハイブリッドモデル
・ハイブリッドシステム
・気筒休止システム
・アイドリングストップ機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
2代目モデルには…
●ガソリンエンジンモデル
・直噴機構
・可変バルブタイミング機構
・アイドリングストップ機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
●ハイブリッドモデル
・ハイブリッドシステム
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・アイドリングストップ機構
・電動パワーステアリング機構
と各モデルに色々な低燃費装備が付けられていますが、乗る人数が多い割にはエンジン排気量が小さくパワーの無いパワーユニットを搭載していることや空気抵抗が大きいことからどうしても低めの燃費性能となってしまいます。
ただ、実燃費がカタログ燃費にかなり近いので意外と走ってくれたりします。
走行距離によるエンジンの劣化があまり見られないことからそれなりの距離を走った中古車でもそれほど燃費性能が低下することもないでしょう。
ホンダ・フリードを買ってみる~中古車購入
ホンダ・フリードはこんな人に向いている
フリードはミニバンとして作られているので、普通に考えればターゲット層はファミリーとなります。
ただし、サードシートが荷物置きとかエマージンシーシート的な使われ方をされることが多い小型ミニバンですのでファミリーといってもお父さん、お母さんと小さな子供二人までといったところでしょうか。
ホンダ・フリードを中古車として買う時の注意点
フリードは他社の車と比較して目立った故障がおこらず、中古車でも壊れたまま売られているというところをあまり見ることがないのですが、機械である以上壊れますし、中古車販売店は高く売りたいので故障を隠して売る場合がありますので、注意をする必要があります。
初代モデルの初期型でよくあるのが電動パワーステアリングの故障です。
電動パワーステアリングの故障の症状は突然にパワーアシストが効かなくなるといったちょっと危険なもので、どうやら電動パワーステアリングのアシストモーターやその電気配線に問題があるようです。
新車で購入した方でこの症状にみまわれた場合はホンダで無償修理となるようですが、中古車として購入した場合は電動パワーステアリング周りをそっくり交換することになる場合もあるので相当な修理費用となります。
試乗をしてみてステアリングホイールを回した時に必要以上の重さを感じたり、重さに変化が出るようであれば壊れている可能性大です。
初代モデルでも2代目モデルでも意外と多いのがCVTのトラブルです。
症状は、セレクターレバーをDレンジに入れると振動が始まるとか、走り出しがもたつくとか、ギヤはありませんが「ギヤ抜け」したような感じになってしまうといったようないろいろです。
これらの症状に共通しているのがCVTオイルを一度も交換したことがないことです。
CVTは常にプーリーとベルトの間で摩擦が発生するトランスミッションで、そのためオイルをとても汚します。
その汚れを取り去る方法がCVTオイルの交換なのですが、「オイル交換をすると故障する」といった噂やCVTオイルの存在が知られていないなどといった理由から新車で買ってから1度もCVTオイルを交換したことがないという車が意外と多いのです。
汚れたままのCVTオイルを使い続けていくとどうなるか…油圧制御の要であるバルブボディの流れを悪くしたり、穴を詰まらせてしまったり、トルクコンバーターのきのうをそこねてしまったりすることになり、それらによって先ほどのような症状が出てしまうのです。
CVTオイルはエンジンオイルのように汚れをすぐに確認することができませんので、試乗したときにCVTが変な挙動を示さないかどうかを確認しながら運転するといいでしょう。
CVTはガラス細工みたいなものですから少しでも変なところがあったらその中古車は避けた方がいいと思います。
ホンダ・フリードの中古車市場での価値動向
●初代モデル
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル:C
・1.5リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル:C
・1.5リッターNAエンジン+IMA+CVT 2WDモデル:B
●2代目モデル
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WDモデル:B
・1.5リッターNAエンジン+CVT 4WDモデル:B
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 2WDモデル:A
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 4WDモデル:B
・1.5リッターNAエンジン+CVT 2WD ドレスアップモデル:A
・1.5リッターNAエンジン+スポーツハイブリッドi-DCD+DCT 2WD ドレスアップモデル:A
(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)
平均して高めとなりますが、2代目モデルにあるドレスアップモデル(Modulo X)は販売台数も少ないですし中古車市場にあまり入ってこないことから価値が高くなっています。
まとめ
小型ミニバンというコストをかけて作られることがないカテゴリーにあるモデルの割には、動力性能はあまり高くはありませんが、意外とコーナーリング性能がいいので走りの面はまあまあといえます。
まさにホンダらしい車といっていいでしょう。
人数の少ない家族の移動用車両とかレジャー用の車として使うのであれば、この車を中古車として購入しても損はないかと思います。