背の高いボディと空間の広いキャビンを持つことで大ヒットとなり、のちの軽自動車のスタンダードモデルにもなった軽トールワゴン、その軽トールワゴンの「はしり」となったのがスズキのワゴンRですが、スズキがそれを出すのならこちらも…ということでライバルであるダイハツが発売したのが、このムーヴです。
ワゴンR同様に中古車市場でも高い人気を持つモデルですが、その人気に対して持っている「走りの性能」が果たしてどうかを見ていきましょう。
画像引用元:ムーヴカスタム X ハイパーSA(2014年12月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
目次
ダイハツ・ムーヴってこんな車だった~概要
ダイハツ・ムーヴは、スズキのワゴンRが大ヒットを飛ばしている中、その対抗馬として発売されたモデルです。
ワゴンRが当時のスズキの軽自動車におけるベーシックモデルのアルトをベースにして作られたのと同じように、このムーヴもダイハツの軽自動車のベーシックモデルであるミラをベースにして作られました。
●初代モデル L600系型(1995年~1998年)
画像引用元:ムーヴZ4(1995年8月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
ミラをベースにして作られたといってもワゴンRのようにアルトのシャシーに少し手を加えたといった形ではなく、「低コスト・高価格」を目指すトヨタグループの一員であるダイハツらしく、ミラのものをそっくりそのまま流用する形で作られていました。
ミラのシャシーにミラのインパネ、インテリアパーツ、装備…といった具合で、明確に違いがわかるのは軽トールワゴンならではの背の高いボディのみでした。
ムーヴの代名詞ともなる「横開きのリヤハッチ」もこの初代モデルから採用されており、5代目モデルまで受け継がれることになります。
そしてもう1つの特徴的な出来事となるのが、ドレスアップモデルの発売です。
ライバルであるスズキのワゴンRにも特別なエクステリアパーツを装着した「FXリミテッド」や「エアロRR」などといったモデルがありましたが、ワゴンRではどれも特別仕様車として発売されていただけで正規のカタログモデルではありませんでした。
それに対してダイハツのムーヴは正規のドレスアップモデルとして「ムーヴ・カスタム」といったモデルを発売したのでした。
このような「飾り立ててもう1台の違うモデルを発売した」と見える販売方法は過去からいろいろな車に使われてきたのでさりとて珍しいことでもなくこれが特徴的なことであるとはいいがたいのですが、実はこのモデルが発売されたことでライバルとなるワゴンRにはない、一種の偏った需要傾向を持つようになったということが特別なことなのです。
その原因となったのがムーヴ・カスタムの1モデルでもある「エアロダウンカスタム」の存在です。
このモデルは標準モデルのボディに
・丸形4灯式ヘッドランプ仕様の専用フロントグリル
・専用フロントバンパー
・専用リヤパンパー
・専用サイドステップ
・ルーフレール
・専用リヤコンビネーションランプ
・メッキパーツ
・最大20センチの車高ダウンをするためのコイルスプリング
を後付け、または交換する形で作られているもので、スポーティーに見えて、標準モデルよりも速く走れるような気を起こしてしまうような車に作り替えられています。
しかし、この車をみて実際に魅力を感じたのは、スポーツ走行を楽しむ方でもなくスポーツモデルが好きな方でもありませんでした。
そういった方たちが飛びつきそうに見えますが、そういった方たちはしっかりと車の作りを見てから判断することが多いので、そういった方たちからすればこのモデルは
・アクセサリーで飾り立てたもの
・パワーも64ps以下である
・どう手を加えても軽自動車である
といった車でしかなく、少なくともダイハツが思っていたような人間からは好まれることがありませんでした。
しかし、面白いもので全く違う需要がこのモデルにつきました。
その需要というのは、「若年層の素行が悪い方・過去に素行が難があった方」からのものです。
「不良」「ワル」、関西以西地方では「ヤンキー」などと呼ばれている方、あるいは過去にそういったライフスタイルを取っていてそれが大人になっても抜けきれていない方からです。
こういったライフスタイルを持つ方は見た目の「凄み」を求めます。
その求めるものが、こういうモデルがなかった時代の中で発売されたエアロダウンカスタムにあったようなのです。
ちょっとワルに見えるフロントデザイン、車高を落としたサスペンション、標準装備されるアルミホイール…特に車高を落としたサスペンションは、ダイハツが思う「スポーティーさを醸し出す」ということに利用されるのではなくどうやら「シャコタン」として理解されてしまったようで、それが市販車両に最初から採用されていることからこういったライフスタイルを持つ方にアンテナに引っかかったようなのです。
このことからスズキのワゴンRは一般的な軽トールワゴンとしてみられるようになったのに対して、ダイハツのムーヴは「素行がよろしくはなく、経済力がない若年層が乗る軽自動車」、関西人風にいえば「ヤンキー車」のひとつしてみられるようになってしまったのです。
●2代目モデル L900系型(1998年~2002年)
画像引用元:ムーヴカスタムM4(1998年10月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
保安基準の改正に伴い、たった3年という短い間だけの発売となった初代モデルに続いて、発売されるようになったのがこの2代目モデルです。
この2代目モデルは、「急遽!」ということもあったのでしょうが、初代モデルのほとんどの部品を持ちこんだ形で作られました。
シャシーに関しても同様のことが言えるですが、サスペンション構造に限っては初代モデルがリヤサスペンションとしてセミトレーリングアーム式(4WDモデルはトレーリングアーム式)の四輪独立懸架方式を採用していたのに対して、2代目モデルはリヤサスペンションに「FFモデル最悪のリヤサスペンション構造」とも言われるトーションビーム式を採用してリヤサスペンションがリジット化されてしまったというむしろ退化している部分もありました。
このモデルにおいても標準モデルと若年層向けにカスタムモデルが用意されていました。
●3代目モデル L150系型(2002年~2006年)
画像引用元:ムーヴカスタム X(2004年1月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
このモデルではベースとなるミラに新しいプラットフォームが与えられたことからこのムーヴも新規のプラット―フォームを用いた車作りがされました。
といってもコンセプトや大まかな部分は先代モデルと変わりなく、標準モデルとドレスアップモデルの2モデル展開、エンジンはNAとターボエンジン、リヤサスペンションはトーションビーム、リヤハッチは横開きといった具合です。
●4代目モデル L175系型(2006年~2010年)
画像引用元:ムーヴカスタム X(2006年10月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
ベースモデルのミラが低燃費モデル化していくのにつられるようにこの時代のムーヴも低燃費モデルとして作られるようになりました。
基本は先代モデルとほぼ同じで、コスト削減も激しくなってきたころから贅沢装備が付けられることはなく、そのほとんどが「先代モデルの装備や構造の見直し」程度の変化しか与えられていませんでした。
●5代目モデル LA100系型(2010年~2014年)
画像引用元:ムーヴカスタム Xリミテッド(2010年12月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
5代目モデルが発売された時期は軽自動車界でも低燃費ブーム真っ盛りの時で、ライバルモデルとなるワゴンRが様々な低燃費装備を装着して発売したことに対して、このムーヴもアイドリングストップ機構や省電力化、トランスミッションも全モデルCVTのみの搭載といった形で低燃費をかなり強く意識したモデルとなっていきました。
一方でドレスアップモデルですが、こちらも同様にエコモデル化していきましたが、それをあたかも覆い隠すかのようにドレスアップが過激になっていきました。
●6代目モデル LA150系型(2014年~2019年5月現在)
画像引用元:ムーヴカスタム X ハイパーSA(2014年12月発売)のカタログ・性能スペック【ダイハツ公式】U-CATCH
エネチャージやS-エネチャージといった軽自動車としては画期的な低燃費装備を引き下げて2012年に発売された5代目ワゴンRの動向を見つつ発売されたのがこの6代目モデルなのですが、残念ながらダイハツには軽自動車用にハイブリッドシステムがないため、ワゴンRのS-エネチャージモデルに対抗できるようなモデルを作ることができず、スタートからかなり苦戦を強いられる戦いとなりました。
ただドレスアップモデルのムーヴ・カスタムは若年層の好みに合わせた攻撃的なデザインを取ったことから、このモデルだけは好調で、ライバルのワゴンR・スティングレーと同じぐらいの人気を持つことができています。
ダイハツ・ムーヴにはこんなモデルがあった~モデル構成
ここからは中古車市場にあるムーヴの半数以上を占める5代目モデルと2019年5月時点で現行モデルとなっている6代目モデルについて見ていきましょう。
5代目モデル LA100系型
●標準モデル
・660ccNAエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 4WDモデル
●ドレスアップモデル
・660ccNAエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 4WDモデル
6代目モデル LA150系型
●標準モデル
・660ccNAエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 4WDモデル
●ドレスアップモデル
・660ccNAエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccNAエンジン+CVT 4WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 2WDモデル
・660ccターボエンジン+CVT 4WDモデル
ダイハツ・ムーヴのパワーユニット~動力性能
歴代ムーヴにはNAエンジンとターボエンジンの2つのパワーユニットが用意されています。
5代目モデル LA100系型
●NAエンジン
・エンジン型式:KF-VE
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:52ps/6,800rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/5,200rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78ps
○パワーウェイトレシオ:約15.7kg/ps
●ターボエンジン
・エンジン型式:KF-DET
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6,400rpm
・最大トルク:9.4kgf・m/3,200rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96ps
○パワーウェイトレシオ:約13.3kg/ps
6代目モデル LA150系型
●NAエンジン
・エンジン型式:KF-VE
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
※スペック
・最大出力:52ps/6,800rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/5,200rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約78ps
○パワーウェイトレシオ:約15.9kg/ps
●ターボエンジン
・エンジン型式:KF-DET
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・過給器:ターボチャージャー
※スペック
・最大出力:64ps/6,400rpm
・最大トルク:9.4kgf・m/3,200rpm
○エンジン排気量1リッターあたりのパワー:約96ps
○パワーウェイトレシオ:約13.3kg/ps
ムーヴでは2006年に発売された4代目モデルからずっと同じKF型エンジンを採用し続けているため、5代目モデルにおいても6代目モデルにおいても小変更はされているものの基本的な部分は全く同じエンジンが採用されています。
ダイハツ・ムーヴの走りはどうだった?~走行性能
ダイハツ・ムーヴボディ剛性・シャシー性能
ムーヴはもともとはミラをベースにして作られていたモデルで、4代目モデルまではホイールベースに若干の違いはあるものの基本的な部分は同じ、5代目モデルから少しずつオリジナル性を持たされるようになったという作り方がされています。
オリジナル性を持たされているといっても多くの部分はミラと同じとして、更にタントやコペンなどとも共通のプラットフォームを使う形を取っているため、ムーヴならでは作りが取られているところはほとんど見受けられません。
そんなムーヴですからボディ剛性やシャシーの強度が高いということは難しいものがあります。
そもそもムーヴは、コスト削減に注力している企業の子会社ですのでその時点でボディ剛性だけでなく、すべての金属製の部品の剛性、強度、耐久性に「難あり」といえるわけですし、ミラ(ミラ・イース)自体が超低コスト車であるため、その車のシャシーやフレームに追加でお金をかけることなど考えにくいのです。
「D モノコック」も意味を成しているとは言えず、それならば良い鋼材とフレームに厚みを持たせても良かったのではないかと思います。
軽自動車といっている時点でボディ剛性はかなり弱いといえますがその中でもムーヴの、特に5代目モデルはよりボディ剛性がネックといっていいでしょう。
トランスミッション
ムーヴでは5代目モデルにおいても6代目モデルにおいてもトランスミッションはCVTしか設定されていません。というよりは2006年に発売された4代目モデルからトランスミッションの選択肢が全くなく、有無を言わせずCVTだけとなります。
実はダイハツには軽自動車につけることができるCVT以外のトランスミッションがありません。
2019年時点で唯一CVT以外のトランスミッションを搭載するデートカーのコペンにおいても5速マニュアルトランスミッションが採用されていますが、実のところそのマニュアルトランスミッションも過去に発売されていたミラの高齢者向けモデルに使われていた5速マニュアルトランスミッションのギヤ比を変えただけのもので決して新しくはなく、むしろ消えつつあるものでもあるのです。
多分この傾向は天変地異が起こらない限り変わらないでしょう。
サスペンション構造
ムーヴのサスペンション構造は初代モデルから2代目モデルになったモデルチェンジの際に変更された以来、ずっと同じ形式を採用しています。
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:FFモデル=トーションビーム 4WDモデル=3リンクリジット
これは走行性能を語るようなものではなく、最低限の乗り心地とまっすぐ安定して走ることのために付けられているといっても過言ではないほど、無難でごく普通の作りとなるものです。
ダイハツ・ムーヴって燃費は良かったの?~燃費性能
●5代目モデル LA100系型
○標準モデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大29.0km/L 実燃費:約25km/L
・NAエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大26.0km/L 実燃費:約22km/L
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大25.2km/L 実燃費:約20km/L
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大23.4km/L 実燃費:約18km/L
○ドレスアップモデル(ムーヴ・カスタム)
・NAエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大29.0km/L 実燃費:約25km/L
・NAエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大26.0km/L 実燃費:約22km/L
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大25.2km/L 実燃費:約20km/L
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大23.4km/L 実燃費:約18km/L
●6代目モデル LA150系型
○標準モデル
・NAエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大31.0km/L 実燃費:約28km/L
・NAエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大27.6km/L 実燃費:約24km/L
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大27.4km/L 実燃費:約22km/L
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大25.6km/L 実燃費:約20km/L
○ドレスアップモデル(ムーヴ・カスタム)
・NAエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大31.0km/L 実燃費:約28km/L
・NAエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大27.6km/L 実燃費:約24km/L
・ターボエンジン+CVT 2WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大27.4km/L 実燃費:約22km/L
・ターボエンジン+CVT 4WDモデル:カタログ燃費(JC08モード):最大25.6km/L 実燃費:約20km/L
低燃費装備として各モデル共通して
・可変バルブタイミング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・CVT
といった「イーステクノロジー」が採用されています。
軽自動車はもともと燃費性能がいい車ですので、カタログ燃費はよくなりますが、実燃費に大きな違いは出ないものです。
ダイハツ・ムーヴを買ってみる~中古車購入
ダイハツ・ムーヴはこんな人に向いている
ムーヴは軽大衆モデルとして作られている車ですから老若男女、誰が乗ってもおかしくない車で、特に標準モデルはそういった傾向が強いので何も考えずに買ってもそれほど損はしないでしょう。
しかし、標準モデルではないドレスアップモデルの「ムーヴ・カスタム」を買う場合は注意が必要となります。
冒頭でも書きました通り、ムーヴのドレスアップモデルはその面持ちによって初代モデルからいわゆる「ヤンキー車」として根付いており、それを買う人、それを運転する人の知性や性格を誤認させてしまいかねない風潮がずっとあります。
その風潮が本当かどうかは何かと問題がありますので明言を避けますが、ムーヴのドレスアップモデル、ムーヴ・カスタムにそういったイメージを持たれてしまっている以上、運転していなくてもその車に乗っているだけで、自宅のガレージに止めてあるだけで、乗っている人間、運転している人間、その家に住んでいる人間がそういった類の人であるというように誤解する方もある程度存在するのは事実です。
ドイツの高級セダンモデルやイタリアのスーパースポーツモデルに乗っているだけ、仮にその車が借りものだとしても中古で50万円で買った車だったとしてもそれなりに「お金持ち」に見えてしまうのと全く逆のパターンのものです。
そうした誤解が生まれる可能性を避けるのであれば、同じムーヴならムーヴ・カスタムではなく標準モデルのムーヴにするとか、軽トールワゴンがいいのであればスズキのワゴンRや三菱のeKワゴン、日産のデイズ、ホンダのN-WGNにした方がいいと思います。
ダイハツ・ムーヴを中古車として買う時の注意点
これはダイハツの軽自動車全体において言える注意点です。
まずはエンジン、ムーヴに搭載されているエンジンはダイハツの軽自動車における主力エンジンとなるKF型ですが、このエンジンはエンジンオイル漏れを引き起こすことでかなり有名で、新車で購入して1カ月後の新車点検でエンジンオイル漏れが見つかるというのも珍しくありません。
よく漏れる場所は、シリンダーヘッドとシリンダーヘッドカバーの間、シリンダーヘッドにあるカムシャフトシール、クランクケースになるクランクシャフトシールといった部分です。
これらの部分はどの自動車メーカーのエンジンでもどんな形式のエンジンでもエンジンオイル漏れがよくあるところなのですが、それは何年も、何万キロも乗った後の話で、KF型エンジン用に1,000キロ程度、まだ一度も継続車検を受けていないぐらいの新しい車体で起こることはそうそうありません。
KF型エンジンでエンジンオイル漏れがよく起こる原因は実は今でもわかっておらず、ディーラー以外の修理工場のメカニック曰く
・部品精度の悪さ
・仕上げの悪さ
・コスト削減によって質の悪いガスケット、シール、パッキンが使われるようになった
といった理由があるからだとされています。
ひどいエンジンですと1万キロに1回の割合でエンジンオイル漏れを起こすこともあるそうですので、注意が必要です。
次に気をつけていただきたいのがCVTの不調や故障です。
ダイハツの軽自動車では、コペンシリーズに採用されている実用型マニュアルトランスミッション以外のすべてのトランスミッションが同じ形式のCVTとなっていて、どのモデルでも共通してCVTのトラブルが発生しています。
一番多いのがCVTオイルのオイル漏れです。
CVTのミッションケースにも一応、エンジンと同じようにオイルパンが底面に付けられているのですが、そのオイルパンとミッションケースの間に挟み込まれているガスケットが劣化や熱の影響で劣化して硬化、そしてエンジンの振動が加わることでクラックを発生させたり、ひどい時には部分的に抜け落ちる場合もあります。
こうなってしまうとCVTオイルが「ゼロ」になるまで漏れ続けるので次第に
・変速ショックの増大
・変速しない
・意図しない位置での変速固定
・トルクコンバーターがから回して走行不能
なといった症状を発生させることになります。
エンジンオイル漏れやCVTオイル漏れは停車してあったところにできる地面のオイルたまりやエンジンブロックやミッションケースに付着してオイルで発見することができますので、中古車販売店で車を見る時には、ボディのキズやシートのシミばかりを見るのではなく、エンジンルーム内や地面もしっかりと見ておきましょう。
ダイハツ・ムーヴの中古車市場での価値動向
●5代目モデル LA100系型
○標準モデル
・NAエンジン 2WDモデル:C
・NAエンジン 4WDモデル:C
・ターボエンジン 2WDモデル:C
・ターボエンジン 4WDモデル:C
○ドレスアップモデル(ムーヴ・カスタム)
・NAエンジン 2WDモデル:C
・NAエンジン 4WDモデル:C
・ターボエンジン 2WDモデル:B
・ターボエンジン 4WDモデル:B
●6代目モデル LA150系型
○標準モデル
・NAエンジン 2WDモデル:B
・NAエンジン 4WDモデル:B
・ターボエンジン 2WDモデル:A
・ターボエンジン 4WDモデル:A
○ドレスアップモデル(ムーヴ・カスタム)
・NAエンジン 2WDモデル:B
・NAエンジン 4WDモデル:B
・ターボエンジン 2WDモデル:A
・ターボエンジン 4WDモデル:A
(A:価値高 B:やや価値高 C:標準的な価値 D:価値低め E:価値なし)
ムーヴは中古車市場でなかなかの人気を持つモデルですので、先代モデルだといってもそれなりの金額を覚悟しておかなければなりません。
特にドレスアップモデルのムーヴ・カスタムは、そのモデルが持つ固有の中古車需要形態のせいか、都心や都市部よりも地方都市などで人気が高く、そういったところにある中古車販売店では2割程度上乗せされた高値が付けられています。
まとめ
同じ軽トールワゴンでもライバルとなるスズキのワゴンRと全く異なるオーナー層、需要を持つムーヴですが、中身はごく普通の軽自動車ですので、「良くもなく悪くもなく」といった感じです。
ただ、オーナー層の性質や肝心な部分であるエンジン、CVT、ボディ剛性に故障やトラブルが多いところを見てしまうと中古車として買うのはちょっと避けた方がいいのかもしれません。