安易な“なんちゃってクロスオーバーSUV”がはびこる中、「スバルもやってしまった」といった感じで作られたXV、ではこの車がどこまでクロスオーバーSUVらしさを持っているのか、クロスオーバーSUVとしての性能をどれだけ持っているのか、どういう車なのかといったところを実車インプレで得た感想も含めて検証してみたいと思います。
※ご注意
ここではスバル・XVの自動車として、またクロスオーバーSUVとしての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
スバル・XVは早い話がインプレッサの“なんちゃってクロスオーバーSUV”
まずはクロスオーバーSUVが何かを考える
クロスオーバーSUVとは、その文言が表すように何かとSUVをクロスオーバーさせて作ったもの・・・「クロスオーバー」とは異質なもの同士を結合させることですので、SUVと異質な車を合体させて作ったものということになります。
では「異質な車」とは何かということになりますが、そもそもSUVが何かを知らなければその答えは出ません。
SUVとは、アメリカで生まれた1つの自動車文化で当時、地方の若者の中で流行っていたピックアップトラックをマイカーとして乗り回す、そして休日にはそのピックアップトラックを使ってアウトドアスポーツやアウトドアレジャーを楽しむという形でピックアップトラックを単に商用車として使うだけでなく、レジャー用の車として使うという方向性が生まれ、それにあわせてピックアップトラックをベースにして居住性やアメリカのアウトドアレジャーにはつきもののオフロード走行がそこそこできるような悪路走破性を持たせた車を作ったのです。
それが「SUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)」です。
なのでSUVの「S」を表す「スポーツ」の意味はスポーツ走行ができるとか、スポーティーなデザインを持つといったことではなく、「アウトドアスポーツ」を意味します。
車の構造は、ピックアップトラックがベースになっていますので、車に作りはトラックらしくラダーフレームを使ったシャシーを持ち、オフロード走行性能を高めるためにロードクリアランスを高めにとる、更に強靭なサスペンション構造を持ち、優れたトラクション性能を発揮するオフロード向けの4WDシステムを搭載するといった形になります。
話を戻します。
これがSUVという車なのですが、この車に対して「異質な車」とは何でしょうか・・・それは現在、一般的に売られているいわゆる「乗用車」と呼ばれるものです。
昨今の一般的な乗用車は、鉄板を組み合せ作ったモノコックボディを使って作られ、基本はオンロード志向です。
この部分をSUVに対して「異質なもの」としてそれを組み合わせた形でモノコックフレームを使ったSUVとして作られたのがクロスオーバーSUVなのです。
ただここで1つ疑問があります。
どうしてわざわざモノコックフレームを使った乗用車とくっつけなければならなかったのか、SUVではだめだったのか・・・答えは簡単です、自動車メーカーにラダーフレームがないから、そしてリスクを負うことなくガッポリ儲けたいからです。
ラダーフレームは80年代ぐらいまではセダンやステーションワゴンといった一般的な乗用車にも使われていました。
しかし、汎用性が低い、重量が増す、乗り心地が悪いなどといった乗用車としてのデメリットがあったため、次第に流用が簡単で、軽く作れ、乗り心地も良い、そして何よりも安く作ることができるモノコックフレームを使うようになっていったのです。
そしてラダーフレームは過去のものとして一部のクロスカントリー4WDモデルやSUV、ピックアップトラックに使う分だけを残して、乗用車用のラダーフレームの生産をやめてしまったわけですが、そういった車作りが当たり前となった中でなんと今度は世界的にSUVが注目されるようになったのです。
アメリカが発端となったといわれているこの一種のブームとまでなりつつあったことに対して、そのブームに乗っかってガッポリ儲けようとする各自動車メーカーは、急いでSUVを作ろうとします。
しかし、既にラダーフレームの生産を取りやめてしまったために既存のSUVに追加する形で新たにSUVが作ることができませんでした。
だけどこの儲け話にのっからない手はない・・・ということで思いついたのが既存の乗用車に使っているモノコックフレームを使ってSUVではないが、SUV風のモデルを作るという手段でした。
これが現在のクロスオーバーSUVのあり方です。
最近のクロスオーバーSUVのほとんどが“なんちゃってクロスオーバーSUV”
ただ最近は更なる低コストを狙って、モノコックフレームを使って新たにクロスオーバーSUVを作るのではなく、既存の乗用モデルにちょっとだけ手を加えてクロスオーバーSUVに見える車を作るといった作り方に変わっています。
この車は分類上はいちおう「クロスオーバーSUV」にカテゴライズされますが、裏・自動車界や自動車通の中では「クロスオーバーSUV風乗用車」ということで「なんちゃってクロスオーバーSUV」と呼ばれています。
XVも“なんちゃってクロスオーバーSUV”
スバルのXVも実はこの“なんちゃってクロスオーバーSUV”に該当するモデルです。
XVは2007年に発売された3代目インプレッサシリーズの中の1台として2010年にインプレッサ・XVという車名でインプレッサのクロスオーバーSUVとして発売されたのを始まりとします。
当時のインプレッサのハッチバックモデルをベースにそれらしいエクステリアパーツを追加した形で作られていました。
その後、2012年にモデルチェンジを行って2代目モデルになった際に車名を「インプレッサ・XV」から「XV」へ変更しましたが、相変わらずインプレッサベースのクロスオーバーSUV・・・正確にいえば“なんちゃってクロスオーバーSUV”としてつくられ、それが2020年1月現在で現行モデルとなる3代目モデルまで続いています。
3代目モデルにおいても基本はインプレッサのハッチバックモデルであるインプレッサSPORTでそれらしく見えるエクステリアパーツ、大径タイヤ、ロードクリアランスを高めるためのコイルスプリングといった「“なんちゃってクロスオーバーSUV”の三種の神器」を追加した形で構成されています。
当然ですが、これらのパーツを追加・交換しただけでクロスオーバーSUVとして必要とされるオフロード走行性能が劇的に高まっているということはありません。
どちらかというと「中身のないドレスアップモデル」というべき車といえるでしょう。
スバル・XVのこれまでの出来事(2020年1月現在)
●初代モデル GH系型 2010年6月発売
※インプレッサ・XV時代
・2007年6月 GE/GH/GR/GV系インプレッサの発売
・2010年6月 クロスオーバーSUV「XV」モデルの追加
・2011年11月 生産終了
●2代目モデル GP系型 2012年10月発売
※XV時代
・2013年6月 ハイブリッドモデル「XV HYBRID」の追加
・2013年10月 一部改良 ショックアブソーバー・遮音材・電動パワーステアリングの仕様変更 デザインの小変更
・2014年11月 一部改良 デザインの小変更 EyeSight ver.3の仕様変更 ボディカラーの変更
・2014年12月 「POP STAR」の追加
・2015年4月 「2.0i EyeSight Proud Edition」の追加
・2015年6月 「HYBRID 2.0i EyeSight Proud Edition」の追加
・2015年10月 マイナーチェンジ デザインの変更
・2016年5月 「2.0i EyeSight Proud Edition」の再販
・2016年9月 STIモデル「HYBRID tS」の追加
●3代目モデル GT系型 2017年4月発売
※XV時代
・2018年10月 一部改良 ハイブリッドモデル「e-BOXER」として「Advance」グレードの追加
・2019年10月 一部改良 デザインの小変更 2リッターガソリンエンジンモデルの廃止 グレード構成の変更 ボディカラーの変更
スバル・XVが属するカテゴリー
●車格:小・中型大衆モデル
●用途・目的:生活車、レジャー用
●車両カテゴリー:小・中型クロスオーバーSUV(なんちゃってクロスオーバーSUV)
●エンジン排気量クラス:1.6リッタークラス、2リッターハイブリッドクラス
スバル・XVのオーナー層
●年齢層:40歳ぐらいから55歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:富裕層(新車購入)、高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:クロスオーバーSUVを意識して購入している方はごくわずか
スバル・XVの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム
●トランスミッション
・CVT
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・フルタイム4WD
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
●ベースモデル
・あり・・・インプレッサSPORT
●兄弟車
・あり・・・インプレッサSPORT、インプレッサG4
スバル・XVのモデル構成とグレード構成
XVにはパワーユニットの違いによる2つのモデルが用意されています。
1.6リッターガソリンエンジンモデル
このモデルには2つのグレードが用意されています。
・1.6i EyeSight グレード(2WD・4WD)
・1.6i-L EyeSight グレード(2WD・4WD)
●「1.6i EyeSight」グレードの主な装備
・225/60R17 99H サイズ タイヤ
・17インチ×7J 切削光輝 アルミホイール
・タイロッド式タンデムブレーキブースター
・フロント&リヤスタビライザー
・アイドリングストップ
・ハロゲンヘッドランプ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・電動格納式リモコンカラードドアミラー
・リヤフォグランプ
・リヤウインドゥデフォッガー
・雨滴感知オートワイパー/オートライト
・拡散式ウォッシャー連動間けつ調整式 フィン一体フロントワイパー
・リヤ間けつワイパー&ウォッシャー
・ウェルカムライティング
・シルバー塗装 シフトパネル
・メッキリング付マルチインフォメーションディスプレイ付メーター
・ピアノブラック調 メーターバイザーリング
・抗アレルゲンフィルター付フルオートエアコン
・電動パーキングブレーキ
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・方向指示器のワンタッチ機能
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・集中ドアロック&リヤゲートロック
・インフォメーションメーター
・ツイントリップメーター
・イグニッションキー抜き忘れウォーニングブザー
・オフディレイ付イグニッションキー照明
・イモビライザー
・アラーム表示機能付盗難警報装置
・フロント2+リヤ2 4スピーカー
・オーディオリモートコントロールスイッチ
・ルーフアンテナ
・トリコット シート生地
・レバー式運転席シートリフター
・助手席シートバックポケット
・可倒式&上下調整式フロントシートヘッドレスト
・リヤシートヘッドレスト
・6:4分割可倒式リヤシート
・カーボン調 インパネ加飾パネル
・インパネアッパートリム
・フロアコンソールリッド
・フロント&リヤドアアームレスト
・カーボン調加飾 フロントインナードアハンドル加飾パネル
・ドアミラースイッチ
・フロント照明&ピアノブラック調加飾付 パワーウインドウスイッチ
・シルバー加飾 ベンチレーショングリル
・コンソールボックス内蔵 USB電源
・前席カップホルダー
・運転席&助手席バニティミラー
・サブトランク
・カーボン調加飾パネル付リヤ インナードアハンドル
・ボトルホルダー付フロント&リヤ大型ドアポケット
・照明付センタートレイ
・照明付グローブボックス
・フロアコンソールボックス
・DC12V/120W電源ソケット
・サンバイザー
・オフディレイルームランプ
・ブルーシャワーライト付 スポットマップランプ
・フットライト
・前席左右+後席左右 アシストグリップ
・カーゴルームランプ
・リヤ左右席コートフック
・カーゴフック
・左右カーゴサイドフック
・シルバー塗装+無塗装ブラック フロントグリル
・フロントフォグランプカバー
・サイドクラッディング
・ブラック塗装/無塗装ブラック ルーフスポイラー
・UV&IRカット機能付 フロントガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・フロア下アンダーカバー
・アルミ製フロントフード
・EyeSightコアテクノロジー:プリクラッシュブレーキ
・EyeSightコアテクノロジー:後退時ブレーキアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤発進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤後進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:ツーリングアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:全車速追従機能付クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:定速クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱抑制
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱警報
・EyeSightコアテクノロジー:ふらつき警報
・EyeSightコアテクノロジー:先行車発進お知らせ機能
・デュアルSRSエアバッグ
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・運転席SRSニーエアバッグ
・歩行者保護エアバッグ
・アクティブ・トルク・ベクタリング
・オートビークルホールド
・EBD付4センサー4チャンネルABS
・ブレーキオーバーライド
・VDC
・エマージェンシーストップシグナル
・LEDハイマウントストップランプ
・セイフティブレーキペダル
・セイフティフットレスト
など
●「1.6i-L EyeSight」グレードの主な装備
「1.6i EyeSight」グレードの装備に加えて・・・
・X-MODE
・ヒルディセントコントロール
・マルチファンクションディスプレイ
・パドルレバー
・カップホルダー付リヤシートセンターアームレスト
・全席照明&ピアノブラック調加飾付 パワーウインドウスイッチ
・シルバー加飾(センター)&ノブ部メッキ加飾付 ベンチレーショングリル
・フロント USB電源
・UVカット機能付濃色 リヤドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤクォーターガラス
・UVカット機能付濃色 リヤゲートガラス
・EyeSightコアテクノロジー:後退時ブレーキアシスト
が追加されています。
2リッターハイブリッドモデル(e-BOXERモデル)
このモデルには3つのグレードが用意されています。
・2.0e-L EyeSight グレード(2WD・4WD)
・2.0e-S EyeSight グレード(2WD・4WD)
・Advance グレード(2WD・4WD)
●「2.0e-L EyeSight」グレードの主な装備
・225/60R17 99H サイズ タイヤ
・17インチ×7J 切削光輝 アルミホイール
・X-MODE
・ヒルディセントコントロール
・SI-DRIVE
・アクティブグリルシャッター
・タイロッド式タンデムブレーキブースター
・フロント&リヤスタビライザー
・アイドリングストップ
・ハロゲンヘッドランプ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・LEDサイドターンランプ&ターンインジケーター付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・リヤフォグランプ
・リヤウインドゥデフォッガー
・雨滴感知オートワイパー/オートライト
・拡散式ウォッシャー連動間けつ調整式 フィン一体フロントワイパー
・リヤ間けつワイパー&ウォッシャー
・ウェルカムライティング
・マルチファンクションディスプレイ
・オレンジステッチ レザー調素材巻インパネセンターバイザー
・パドルレバー
・オレンジステッチ 本革巻ステアリングホイール
・ピアノブラック調加飾付本革巻セレクターレバー
・ピアノブラック調 シフトパネル
・オレンジステッチ シフトブーツ
・e-BOXERロゴ入り メッキリング付マルチインフォメーションディスプレイ付メーター
・シルバー塗装 メーターバイザーリング
・ピアノブラック調パネル+左右独立温度調整機能付抗アレルゲンフィルター付フルオートエアコン
・キーレスアクセス&プッシュスタート
・電動パーキングブレーキ
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・方向指示器のワンタッチ機能
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・集中ドアロック&リヤゲートロック
・ツイントリップメーター
・イモビライザー
・アラーム表示機能付盗難警報装置
・フロント4+リヤ2 6スピーカー
・オーディオリモートコントロールスイッチ
・ルーフアンテナ
・2.0e-L EyeSight用オレンジステッチ入りトリコット シート生地
・レバー式運転席シートリフター
・カップホルダー付リヤシートセンターアームレスト
・助手席シートバックポケット
・可倒式&上下調整式フロントシートヘッドレスト
・リヤシートヘッドレスト
・6:4分割可倒式リヤシート
・ダークシルバー金属調 インパネ加飾パネル
・オレンジステッチ インパネアッパートリム
・オレンジステッチ 表皮巻センタートレイ加飾
・オレンジステッチ入りブラック表皮巻 ソフトパッドタイプフロアコンソールリッド
・オレンジステッチ入りブラック表皮巻 ソフトパッドタイプフロント&リヤドアアームレスト
・ダークシルバー金属調+カーボン調加飾パネル フロントインナードアハンドル加飾パネル
・シルバー塗装 ドアミラースイッチ
・全席照明&メッキ加飾 パワーウインドウスイッチ
・シルバー加飾/ノブ部メッキ加飾付 ベンチレーショングリル
・フロント/コンソールボックス内蔵 USB電源
・シルバーリング付前席カップホルダー
・運転席&助手席 照明付バニティミラー
・e-BOXER用サブトランク
・カーボン調加飾パネル付リヤ インナードアハンドル
・ボトルホルダー付フロント&リヤ大型ドアポケット
・照明付センタートレイ
・照明付グローブボックス
・フロアコンソールボックス
・DC12V/120W電源ソケット
・サンバイザー
・オフディレイルームランプ
・ブルーシャワーライト付 スポットマップランプ
・フットライト
・前席左右+後席左右 アシストグリップ
・カーゴルームランプ
・リヤ左右席コートフック
・カーゴフック
・左右カーゴサイドフック
・クロムメッキ+無塗装ブラック クロムメッキ+無塗装ブラック フロントグリル
・フロントフォグランプカバー
・サイドクラッディング
・e-BOXERオーナメント
・ブラック塗装/無塗装ブラック ルーフスポイラー
・UV&IRカット機能付遮音 フロントガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤクォーターガラス
・UVカット機能付濃色 リヤゲートガラス
・フロア下アンダーカバー
・アルミ製フロントフード
・EyeSightコアテクノロジー:プリクラッシュブレーキ
・EyeSightコアテクノロジー:後退時ブレーキアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤発進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤後進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:ツーリングアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:全車速追従機能付クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:定速クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:ECOクルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱抑制
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱警報
・EyeSightコアテクノロジー:ふらつき警報
・EyeSightコアテクノロジー:先行車発進お知らせ機能
・EyeSightコアテクノロジー:後退時ブレーキアシスト
・デュアルSRSエアバッグ
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・運転席SRSニーエアバッグ
・歩行者保護エアバッグ
・アクティブ・トルク・ベクタリング
・オートビークルホールド
・EBD付4センサー4チャンネルABS
・ブレーキオーバーライド
・VDC
・エマージェンシーストップシグナル
・LEDハイマウントストップランプ
・セイフティブレーキペダル
・セイフティフットレスト
・車両接近通報装置
など
●「2.0e-S EyeSight」グレードの主な装備
「2.0e-L EyeSight」グレードの装備に加えて・・・
・225/55R18 98Vサイズ タイヤ
・18インチ×7J 切削光輝 アルミホイール
・LEDハイ&ロービームランプ
・ポップアップ式ヘッドランプウォッシャー
・ステアリング連動ヘッドランプ
・アダプティブドライビングビーム
・リバース連動/ドアミラーメモリー&オート格納機能/LEDサイドターンランプ&ターンインジケーター付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・クリアビューパック:フロントワイパーデアイサー
・クリアビューパック:ヒーテッドドアミラー
・クリアビューパック:撥水加工フロントドアガラス
・アルミパッド付スポーツペダル
・2.0e-S EyeSight用オレンジステッチ入りトリコット/合成皮革 コンビシート生地
・運転席&助手席8ウェイパワーシート
・アクセスキー対応運転席シートポジションメモリー機能
・光輝ウインドウモール
が追加されています。
●「Advance」グレードの主な装備
「2.0e-S EyeSight」グレードの装備に加えて・・・
・光輝プロジェクターリング付きLEDハイ&ロービームランプ
・オレンジステッチorブルーステッチ レザー調素材巻インパネセンターバイザー
・オレンジステッチorブルーステッチ 本革巻ステアリングホイール
・オレンジステッチorブルーステッチ シフトブーツ
・Advanceグレード用メッキリング付マルチインフォメーションディスプレイ付メーター
・Advanceグレード用オレンジステッチorブルーステッチ入りトリコット/合成皮革 コンビシート生地
・マットブルー金属調 インパネ加飾パネル
・オレンジステッチorブルーステッチ インパネアッパートリム
・オレンジステッチorブルーステッチ 表皮巻センタートレイ加飾
・オレンジステッチorブルーステッチ入りブラックorネイビー表皮巻 ソフトパッドタイプフロアコンソールリッド
・オレンジステッチorブルーステッチ入りブラックorネイビー表皮巻 ソフトパッドタイプフロント&リヤドアアームレスト
・マットブルー金属調+カーボン調加飾パネル フロントインナードアハンドル加飾パネル
・クロムメッキ+シルバー金属調 フロントグリル
・シルバー塗装 フロントバンパーガード
・Advanceグレード用シルバー金属調 フロントフォグランプカバー
・Advanceグレード用シルバー塗装 サイドクラッディング
・ラック塗装/ブラック塗装 ルーフスポイラー
が追加されています。
スバル・XVに搭載されるパワーユニットと動力性能
スバル・XVには2種類のパワーユニットが用意されています。
●1.6リッターNAエンジン
・エンジン型式:FB16型
・エンジン排気量:1599cc
・シリンダー配列:水平対向
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・特別な機能:デュアルAVCS
◆スペック
・最大出力:115ps/6200rpm
・最大トルク:15.1kgf・m/3600rpm
・1リッターあたりのパワー:約71.8ps
・パワーウェイトレシオ:約12.2kg/ps
このパワーユニットは・・・
・「1.6i EyeSight」グレード
・「1.6i-L EyeSight」グレード
に採用されています。
このFB16型エンジンは、ベースモデルとなるインプレッサシリーズの1.6リッターエンジンモデルに搭載されているものと全く同じもので、パワースペックも同じです。
いわゆる現在のスバルのエンジンの中で「廉価エンジン」となるもので、より低燃費を重視したつくりにされています。
パワースペックとしてはかなりお粗末、インプレッサシリーズと同様に全く走りません。
オンロードモデルのインプレッサシリーズでもそうなのに、ある程度のオフロード走行も考えなければいけないクロスオーバーSUVのXVにとってはより一層パワー不足を感じます。
この部分もこのモデルがクロスオーバーSUVではなく“なんちゃってクロスオーバーSUV”である所以です。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
●2リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム
○エンジン
・エンジン型式:FB20型
・エンジン排気量:1995cc
・シリンダー配列:水平対向
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:デュアルAVCS
○電気モーター
・電気モーター形式:MA1型
○ハイブリッドシステム:e-BOXER
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー
◆スペック
○エンジン
・最大出力:145ps/6000rpm
・最大トルク:19.2kgf・m/4000rpm
○電気モーター
・最大出力:13.6ps
・最大トルク:6.6kgf・m
○システムパワー:約145ps
・1リッターあたりのパワー:約72.5ps
・パワーウェイトレシオ:約10.6kg/ps
このパワーユニットはスバルが新たに開発したハイブリッドシステムで、「e-BOXER」と呼ばれるものです。
2018年9月に発売されたフォレスターに採用されているものと同じもので、このXVが「e-BOXER」搭載モデルの第二弾となります。
ハイブリッドシステムといってもスズキのマイルドハイブリッドや日産のS-HYBRIDのようないわゆる「簡易型ハイブリッドシステム」となるパラレルハイブリッドシステムであって、基本はエンジン走行でそれに電気モーターがアシストするといった形の制御が取られているものです。
電気モーターだけで走るEV走行は、CVTのクリープ現象レベルのスピードからごく低速域までに間だけで、スピードが乗るとすぐにエンジンが掛かります。
電気モーターのアシストも中速域以下の加速時だけで、トヨタのリダクション機構付きTHS-IIのように電気モーターだけでクルーズ走行・・・といったことはできません。
なので、システムパワーもエンジンのパワーを上限とする形となり、わずか145psとFB20型のNAエンジンモデルよりも低いパワーになっています。
FB20型NAエンジン搭載モデルでもかなり厳しい走りが強いられるのに、いくら電気モーターのアシストがあるからといって145psでは大衆車として街乗りをするのであればいいのですが、パワーやトルクが必要なオフロード走行も考えなければならないクロスオーバーSUVとしてははっきり言ってパワーもトルクも全く足りません。
これならまだインプレッサシリーズに採用されている154psのFB20型エンジンの方がましです。
※パワーユニットの評価:★★☆☆☆(2)
スバル・XVに採用されているトランスミッション
スバル・XVには 種類のトランスミッションが用意されています。
●CVT
XVには2つのパワーユニットが用意されていますが、トランスミッションはパワーユニットに関わらず構造的に全く同じCVT、「リニアトロニック」が採用されています。
1.6リッターエンジンモデルも2リッターハイブリッドモデルでも変速幅は全く同じで、疑似有段変速モードの変速比が違うだけとなります。
ただ、パワーにあわせてファイナルギヤのギヤ比が違うので、トータルでの変速比は違う形になります。
リニアトロニックは名前からして何か特別な機能を持つCVTのように思えますが、エンジン縦置きレイアウトにあわせた形状になっていることとコマの細かい金属ベルトではなく、金属チェーンを何重にも重ねたものを無段変速機のベルトとして使っているだけで、それ以外の部分は普通のCVTと同じです。
ということは、ベルトが滑ることによるパワーロスや加速不良といった走行性能に悪い影響を与える要素も存分にあるということです。
確かに加速は鈍いし、すぐにエンジン回転数が落ちるし、快適な走りをすることはかなり難しいです。
街中をのろのろ走ったり、高速道路を定速でのんびり走るのには向いていますが、アップダウンの激しい道路、やクロスオーバーSUVらしく深い雪道、泥道などを走るのには向きません。
※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(0)
スバル・XVの走行性能を決める構造
スバル・XVのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
XVはインプレッサシリーズの派生モデルとして作られているクロスオーバーSUVですので、シャシーはインプレッサシリーズと同じ、新しい共通プラットフォームの「スバル・グローバル・プラットフォーム」が採用されています。
シャシー形状もインプレッサシリーズと寸分狂わず同じで、ボディフレームの形状もインプレッサSPORTと全く同じです。
どれもこれも車体はインプレッサSPORTと同じものになっているわけですが、そもそもインプレッサSPORTは、中型モデルとしては非常に頑丈で、ボディ剛性も高いものとなっているので、それと全く同じであれば問題はないと思います。
トヨタのようにフニャフニャなフレームをスポーティーモデルとうたって販売している車を含めた複数のモデルに流用してしまうのは困りものですが、スバルの車はその辺は全く心配いりません。
※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)
スバル・XVの走りの質を決めるサスペンション構造
インプレッサSPORTと同じ車体を持っているので当然ながらサスペンション構造も全く同じです。
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン
といった組み合わせです。
サスペンション構造は全く同じで、ジオメトリーや使用されているアーム類、ブッシュ類も全く同じです。
違うのはクロスオーバーSUVらしさを醸し出すためにロードクリアランスを70ミリほど持ちあげるために採用されているコイルスプリングだけでショックアブソーバーもインプレッサSPORTと同じものが使われています。
SUVではなく、クロスオーバーSUVですのでリジットサスペンションまで求めることはしませんが、オンロード向けモデルのインプレッサSPORTと同じ構造のサスペンションを使うというのはちょっと考えものです。
採用されているサスペンション構造がダメということではなく、クロスオーバーSUVにもオンロードモデルと同じ構造、同じ部品が使われていることがいけないといっているのです。
まあ、それが“なんちゃってクロスオーバーSUV”と呼ばれる所以なのですが、クロスオーバーSUVというものをもう少し考えて作ってもらいたかったと思います。
サスペンションセッティングはいたって安定志向、乗り心地重視の大衆車ならではのもので、インプレッサSPORTと比べるとロールセンターが高くなっている関係上、若干フラフラする場面もあります。
※サスペンション構造の評価:★★★☆☆(3)
スバル・XVのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
ブレーキシステムもベースモデルのインプレッサSPORTと全く同じ・・・
・フロント:2ポットフローティングキャリパー+16インチベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+16インチ ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
となります。
インプレッサSPORTでは1.6リッターエンジンモデルと2リッターエンジンモデルでブレーキローターの径に違いが付けられていますが、XVにおいては全モデル共通で前後とも16インチのブレーキローターを持つものになっています。
中型大衆モデルとしては贅沢な2ポットフローティングキャリパーをフロントに備えていてブレーキの効き目も安心できます。
それ以前にパワーがないので1ポットでも十分だったかもしれません。
※ブレーキシステムの評価:★★★★☆(4)
スバル・XVに搭載されている4WDシステム
スバルでは一部のハイパワーモデルを除いてオンロードモデルであろうがクロスオーバーSUVであろうが関係なく、お馴染みの「アクティブトルクスプリットAWD」を4WDシステムとして採用します。
「アクティブトルクスプリットAWD」はセンターデフを持たない本当の意味でのフルタイム4WD(一時的に4WDになるスタンバイ4WDとは全く違う)で、そのかわりにトランスファー部に組み込まれた電子制御カップリングを使って前後トルク配分の分配量や前後アクスルの回転差を緩衝しています。
ドライブトレーンもインプレッサSPORTと全く同じですので、4WDシステムの作りも全く同じですし、制御に至っても前後トルク配分「前60:後40」を基本として、状況にあわせて「前100:後0」から「前50:後50」の間で変化させるというのも同じです。
ただ、この「アクティブトルクスプリットAWD」はなかなか優れもので、オンロード用としてもオフロード用としてもそつなくこなす能力を持っているため、オンロードモデルのインプレッサSPORTと同じといってもここだけはクロスオーバーSUVにふさわしい構造といっていいでしょう。
更にXVにはX-MODEと呼ばれる機能が付けられています。
この機能はスバルではいろいろと脚色した宣伝文句を使って説明していますが、単純にいえばタイヤが空転してトルクが抜けてしまわないように空転しているタイヤだけにブレーキをかけてトルクを他のタイヤへ分散させるといった「疑似LSD(リミテッド・スリップ・デフ)」のことです。
本来であれば本物のLSDが欲しいところですが、“なんちゃってクロスオーバーSUV”なので贅沢は言えません。
とりあえずはその機能はオフロード走行に有効であるので「良し」としておきましょう。
※4WDシステムの評価:★★★★☆(4)
スバル・XVの燃費性能
スバル・XVのカタログ燃費と実燃費
●1.6リッターエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.8km/L
・実燃費:約11km/L
※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)
●2リッターハイブリッドモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大15.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大11.5km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大15.5km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大16.8km/L
・実燃費:約14km/L
※燃費性能の評価:★★★★☆(4)
スバル・XVに採用されている低燃費装備
●1.6リッターエンジンモデル
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン
●2リッターハイブリッドモデル
・ハイブリッドシステム
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン
スバル・XVのライバルモデル比較
スバル・XVのライバルとなるのは三菱・RVR
スバルのライバルといえばWRC世界ラリー選手権で戦っていた時代から三菱と相場が決まっています。
ここでは同じクラスのクロスオーバーSUVとしてRVRをライバルモデルとして、ガソリンエンジンモデル同士で比較してみたいと思います。
●スバル・XVの概要
・カテゴリー:小・中型クロスオーバーSUV(なんちゃってクロスオーバーSUV)
・車格:中型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.6リッター
・エンジン形式:FB16型
・比較対象グレード:「1.6i-L EyeSight」グレード
●三菱・RVRの概要
・カテゴリー:小・中型クロスオーバーSUV
・車格:小・中型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.8リッター
・エンジン形式:4J10型
・比較対象グレード:「G」グレード
スバル・XVと三菱・RVRのパワースペック比較
●スバル・XV
・最大出力:115ps/6200rpm
・最大トルク:15.1kgf・m/3600rpm
●三菱・RVR
・最大出力:139ps/6200rpm
・最大トルク:17.5kgf・m/4200rpm
※パワースペック比較結果
RVRの方が約200ccほどエンジン排気量が大きいのでその差が出た模様です。
スバル・XVと三菱・RVRの燃費性能比較
●スバル・XV
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.8km/L
・実燃費:約11km/L
●三菱・RVR(4WDモデル)
・カタログ燃費(JC08モード):最大14.4km/L
・実燃費:約11km/L
※燃費性能比較結果
カタログ燃費も実燃費もほぼ同じといえます。
低燃費装備も似たようなものが採用されているのでこうなるのも不思議ではありませんが、RVRの方がエンジン排気量が大きいので、それで同じということはRVRの方が効率が良いということになります。
スバル・XVと三菱・RVRの販売価格帯比較
●スバル・XV(1.6リッターエンジンモデルのみ)
約220万円~約233万円
●三菱・RVR
約214万円~約256万円
※販売価格帯比較結果
エンジン排気量は違いますが、それ以外の部分が非常に似ているため、価格帯にもそれほど大きな違いが出なかったのでしょう。
まとめ
シャシーやサスペンション、ブレーキに4WDシステムと優れた性能を持つ構造が採用されているXV、しかしそれはあくまでもオンロードモデルとしての性能、インプレッサSPORTとしての性能であって、クロスオーバーSUVとしてみるとやはりオフロード走行性能に物足りなさを感じます。
そもそもインプレッサSPORTの車高を上げて、大きなタイヤをつけただけで「クロスオーバーSUVです」といわれても理解不能です。
この車はオンロードモデルとしては良い車といえますが、クロスオーバーSUVとしてははっきり言って褒められた車ではありません。
このモデルを買うのならインプレッサSPORTを買った方がいいかもしれません。
所詮、“なんちゃってクロスオーバーSUV”でしかないようです。
※総合評価:★☆☆☆☆(1)