インプレッサから「のれん分け」されたかたちとなったスバルのスポーツモデルのWRX STIには何やらAT限定免許でも運転できる軟弱モデルがあるそうです。
それがこのWRX S4と呼ばれるモデルです。
ここではWRX S4がどういったモデルなのか、WRX STIとはどこが違うのか、スポーツ走行性能をどれだけ持っているのかといったところを運転経験も含めて検証してみたいと思います。
※ご注意
ここではスバル・WRX S4の自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
スバル・WRX S4はAT限定免許でも運転できるWRX STI?
スバルには古くから本当の車好き(見た目や燃費、広告宣伝で車の良し悪しを決めない方)の中で大人気となっていたスポーツモデルがありました。
それがインプレッサWRX STIです。
WRX STIはWRC・世界ラリー選手権で戦うためのラリーマシン(グループA)のベースモデルとして、また同じくWRCのグループAクラスの参戦していた三菱のランサーエボリューションに対抗するモデルとして中型大衆モデルのインプレッサをベースにして作られたスポーツモデルです。
ハイパワーなフラット4エンジンに抜群のトラクション性能を発揮するスポーツ4WDシステム、頑丈なボディを持つ車としてモータースポーツベースとしてのみならずチューニングベースモデルとしてストリートやサーキットでも大活躍していました。
このモデルは初代モデルから3代目モデルの途中までインプレッサWRX STIとして発売されてきましたが、3代絵目モデルのマイナーチェンジをきっかけにインプレッサシリーズから独立した形にされ、車種名も「WRX STI」と改める形での販売となったのです。
それ以降、インプレッサとは別系統のモデルとして扱われるようになりましたが、WRX STIとなって初めてのモデルチェンジを行った時に発売されたモデルは先にモデルチェンジをしたインプレッサをベースにして作られていたことから完全にインプレッサから独立したわけではなかったということがわかります。
実はその時に発売されたWRX STIとしては2代目モデルとなるモデルは単に「WRX STI」といった単一モデルとして発売されたのではなく、「WRX」シリーズの中のひとつのモデルとして発売された形となったのです。
ならばWRX STI以外にも「WRX」という名称がつけられたモデルがあるはずなのですが、それがこの「WRX S4」なのです。
WRX S4はWRX STIの軟弱モデル
WRX S4は2014年8月にWRX STIと同時に発売されました。
GP/GJ系型インプレッサのプラットフォームの強度を増す形で改良を加えたプラットフォーム・・・というよりGP/GJ系インプレッサG4のシャシーを強化した車体に、レガシィシリーズやレヴォーグ、フェレスターなどに採用されているFA20型ターボエンジンを搭載させた形で作られました。
同じ2リッターターボエンジンでもWRX STIに搭載されているエンジンとは違い、WRX S4のエンジンは設計が新しい低燃費型のFA20型ターボエンジンとなります。
ではここでWRX S4とWRX STIの違いを確認しておきましょう。
●WRX S4とWRX STIの共通部分
・プラットフォーム
・シャシー形状
・ボディ形状
・サスペンション構造
・インテリアレイアウト
・インテリアパーツ
など
●WRX S4とWRX STIの相違部分
・エンジン:WRX S4=FA20型ターボ WRX STI=EJ20型ターボ
・トランスミッション:WRX S4=CVT WRX STI=6速マニュアルトランスミッション
・4WDシステム:WRX S4=VTD-AWD WRX STI=DCCD-AWD
・フロントブレーキ:WRX S4=内製2ポットフローティングキャリパー+17インチベンチレーテッドディスク WRX STI=ブレンボ製6ポット対向ピストンキャリパー+18インチ ドリルドベンチレーテッドディスク
・リヤブレーキキャリパー:WRX S4=内製1ポットフローティングキャリパー+17インチベンチレーテッドディスク WRX STI=ブレンボ製2ポット対向ピストンキャリパー+18インチ ドリルドベンチレーテッドディスク
・フロントフェンダーパネル
・フロア下アンダーカバー
・サイドシルガーニッシュ形状
・フロントシート形状
など
違う部分を大雑把にまとめてみるとすべて走りの性能に関わる部分です。
特にエンジンとトランスミッションの違いは車の性能を大きく分ける部分だと思います。
WRX STIは純粋なスポーツモデルで、高回転型の大パワーを発揮させることができるEJ20型エンジンにドライバーの意のままに車を操れる、狙ったところで狙ったエンジン回転数で走らせることができる6速マニュアルトランスミッションを搭載している・・・対してWRX S4は、ターボエンジンとは燃費性能をにらみながら作ったロングストローク・低燃費型直噴エンジンのFA20型にアクセルペダルを踏むことができれば誰でも運転ができる、AT限定免許取得者でも運転できるようになっているといった感じです。
早い話、WRX S4はWRX STIのグレードダウンモデル、AT免許取得者用モデル、軟弱モデルといった性格を与えられたモデルであるということが言えます。
一応、パワーは300psほど出せることになっていますが、トランスミッションがベルトズルズルのCVTではその300psのパワーほとんどを使いこなすことができません。
このWRX S4のことを「スポーツセダン」と呼ぶ輩がいるようですが、こういったところを良く見るとおごっても「スポーティーセダン」止まりだと思います。
スバル・WRX S4のこれまでの出来事(2020年1月現在)
●初代モデル VAG型 2014年8月発売
・2015年6月 一部改良 ショックアブソーバーの仕様変更 吸音材の追加 「アドバンスドセイフティパッケージ」の採用
・2015年10月 「SporVita」の限定発売
・2016年4月 一部改良 デザインの小変更
・2016年10月 「WRX S4 tS」の追加
・2017年7月 マイナーチェンジ デザインの小変更 足回りの仕様変更 EyeSightの仕様変更
・2018年4月 一部改良 EyeSightの仕様変更
・2018年9月 「STI Sport EyeSight」の追加
・2019年6月 一部改良 デザインの小変更
スバル・WRX S4が属するカテゴリー
●車格:中型大衆モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:中型ノッチバックセダン
●エンジン排気量クラス:2リッタークラス
スバル・WRX S4のオーナー層
●年齢層:40歳ぐらいから60歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:富裕層(新車購入)、高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:大衆車の中でもスポーティーなモデルを好む中年齢層に人気がある
スバル・WRX S4の車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
●トランスミッション
・CVT
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・センターデフ付きフルタイム4WD
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
●ベースモデル
・あり・・・GP/GJ系インプレッサシリーズ
●兄弟車
・あり・・・WRX STI、レヴォーグ
スバル・WRX S4のモデル構成とグレード構成
WRX STIには見た目違いの2つのモデルが設定されています。
標準モデル
このモデルには 2つのグレードが用意されています。
・2.0GT EyeSight グレード(4WD)
・2.0GT-S EyeSight グレード(4WD)
●「2.0GT EyeSight」グレードの主な装備
・225/45R18サイズ タイヤ
・18インチ×7.5J ガンメタリック塗装 アルミホイール
・ピロボールブッシュ付アルミ鍛造製フロントロアアーム
・フロント/リヤスタビライザー
・アダプティブ制御付トランスミッション
・SI-DRIVE
・ツイン・デュアルテールパイプ
・LEDハイ&ロービームヘッドランプ
・ステアリング連動ヘッドランプ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・リヤフォグランプ
・サイドターンランプ&ターンインジケーター付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・雨滴感知オートワイパー
・オートライト
・ヒーテッドドアミラー
・LEDリヤコンビネーションランプ
・リヤウインドゥデフォッガー
・拡散式ウォッシャー連動間欠調整式フィン一体フロントワイパー
・リヤ間欠ワイパー&ウォッシャー
・電動パーキングブレーキ
・パドルレバー
・レッドステッチ入り 本革巻ステアリングホイール
・レッドステッチ入り 本革巻セレクターレバー
・レッドステッチ入り シフトブーツ
・電動パワーステアリング
・アルミパッド付スポーツペダル
・メッキリング&レッド照明付エアコンダイヤル/クリーンフィルター付左右独立温度調整機能付フルオートエアコン
・マルチインフォメーションディスプレイ付ルミネセントメーター
・マルチファンクションディスプレイ
・レザー調素材巻+レッドステッチ入り インパネセンターバイザー
・キーレスアクセス&プッシュスタート
・イモビライザー
・アラーム表示機能付盗難警報装置
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・方向指示器のワンタッチ機能
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・リモコントランクオープナー
・集中ドアロック
・ツイントリップメーター
・メーター・イルミネーションコントロール
・オーディオリモートコントロールスイッチ
・フロント4+リヤ2 6スピーカー
・シャークフィンタイプ ルーフアンテナ
・レッドステッチ入り ファブリック/トリコット コンビシート生地
・フロントスポーツシート
・運転席10ウェイパワーシート
・助手席8ウェイパワーシート
・6:4分割可倒式トランクスルーリヤシート
・カップホルダー付リヤシートセンターアームレスト
・フロントシートバックポケット
・可倒式フロントシートヘッドレスト
・上下調整式3名分リヤシートヘッドレスト
・ハイグロスブラック インパネ加飾パネル&ドアスイッチパネル
・フロントコンソール
・ブラック+レッドステッチ ドアトリム
・ブラック+レッドステッチ ドアアームレスト
・SUBARUロゴ入りステンレス製サイドシルプレート
・フロント&リヤ ボトルホルダー付大型ドアポケット
・スライド機構付コンソールリッド
・USB電源
・スライドカバー付前席カップホルダー
・DC12V/120W電源ソケット
・運転席+助手席+後席左右 アシストグリップ
・リヤ左右席コートフック
・レッド照明付 センタートレイ
・照明付グローブボックス
・DC12V/120W インパネアクセサリーソケット
・フロアコンソールボックス
・メッキインナードアハンドル
・パワーウインドウスイッチメッキ加飾
・運転席・助手席 照明付バニティミラー
・オフディレイルームランプ
・スポットマップランプ
・トランクルームランプ
・大型フロア下アンダーカバー
・サイドシルスポイラー
・WRXエンブレム付サイドガーニッシュ
・スーパーUVカット&撥水加工付 フロントドアガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤガラス
・ディフューザータイプ リヤバンパー
・エンジンカバー
・キャリアブラケット内蔵ルーフモール
・EyeSightコアテクノロジー:プリクラッシュブレーキ
・EyeSightコアテクノロジー:後退時ブレーキアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤発進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤後進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:ツーリングアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:全車速追従機能付クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:定速クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱抑制
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱警報
・EyeSightコアテクノロジー:ふらつき警報
・EyeSightコアテクノロジー:先行車発進お知らせ機能
・オートビークルホールド
・デュアルSRSエアバッグ
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・運転席SRSニーエアバッグ
・マルチモードVDC
・アクティブ・トルク・ベクタリング
・エマージェンシーストップシグナル
・EBD付4センサー4チャンネルABS
・ブレーキオーバーライド
・ハイマウントストップランプ
・セイフティブレーキペダル
・セイフティフットレスト
など
●「2.0GT-S EyeSight」グレードの主な装備
「2.0GT EyeSight」グレードの装備に加えて・・・
・245/40R18サイズ タイヤ
・18インチ×8.5J ブラック塗装 アルミホイール
・フットランプ付ウェルカムライティング
・コールドウェザーパック:フロントワイパーデアイサー
・コールドウェザーパック:フロントシートヒーター
・レッドステッチ入り ウルトラスエード/本革 コンビシート生地
・ブラックレザー調素材巻+レッドステッチ フロントコンソール
・サテンメッキドアミラー
・トランクリップスポイラー
・アイサイトセイフティプラス:スバルリヤビークルディテクション
・アイサイトセイフティプラス:自動防眩ルームミラー付ハイビームアシスト
・アイサイトセイフティプラス:フロント&サイドビューモニター
が追加されています。
ドレスアップモデル(STI Sport)
このモデルはSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)によって作られた専用パーツを採用したドレスアップモデルで、WRX S4をスポーティーに飾り付けたものです。
モノグレードとなります。
・STI Sport EyeSight グレード(2WD・4WD)
●「STI Sport EyeSight」グレードの主な装備
・225/45R18サイズ タイヤ
・18インチ×8.5J ダークグレーメタリック塗装 アルミホイール
・STIチューニングビルシュタイン製「DampMatic II」フロント ショックアブソーバー
・STIチューニングビルシュタイン製リヤ ショックアブソーバー
・ピロボールブッシュ付アルミ鍛造製フロントロアアーム
・フロント/リヤスタビライザー
・アダプティブ制御付トランスミッション
・SI-DRIVE
・ツイン・デュアルテールパイプ
・LEDハイ&ロービームヘッドランプ
・ステアリング連動ヘッドランプ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・リヤフォグランプ
・フットランプ付ウェルカムライティング
・コールドウェザーパック:フロントワイパーデアイサー
・コールドウェザーパック:フロントシートヒーター
・サイドターンランプ&ターンインジケーター付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・雨滴感知オートワイパー
・オートライト
・ヒーテッドドアミラー
・LEDリヤコンビネーションランプ
・リヤウインドゥデフォッガー
・拡散式ウォッシャー連動間欠調整式フィン一体フロントワイパー
・リヤ間欠ワイパー&ウォッシャー
・電動パーキングブレーキ
・パドルレバー
・高触感革+STIロゴ入りハイグロスブラックベゼル付き 本革巻ステアリングホイール
・高触感革+ハイグロスブラック加飾パネル付き 本革巻セレクターレバー
・レッドステッチ入り シフトブーツ
・高剛性クランプスティフナー付き電動パワーステアリング
・アルミパッド付スポーツペダル
・メッキリング&レッド照明付エアコンダイヤル/クリーンフィルター付左右独立温度調整機能付フルオートエアコン
・STIロゴ入りマルチインフォメーションディスプレイ付ルミネセントメーター
・マルチファンクションディスプレイ
・レザー調素材巻+レッドステッチ入り インパネセンターバイザー
・キーレスアクセス&プッシュスタート
・イモビライザー
・アラーム表示機能付盗難警報装置
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・方向指示器のワンタッチ機能
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・リモコントランクオープナー
・集中ドアロック
・ツイントリップメーター
・メーター・イルミネーションコントロール
・オーディオリモートコントロールスイッチ
・フロント4+リヤ2 6スピーカー
・ブラックカラード シャークフィンタイプ ルーフアンテナ
・STIロゴ+レッドステッチ入り ブラック/ボルドーカラー ファブリック/トリコット コンビシート生地
・RECAROフロントシート
・運転席8ウェイパワーシート
・助手席8ウェイパワーシート
・6:4分割可倒式トランクスルーリヤシート
・カップホルダー付リヤシートセンターアームレスト
・フロントシートバックポケット
・可倒式フロントシートヘッドレスト
・上下調整式3名分リヤシートヘッドレスト
・ハイグロスブラック インパネ加飾パネル&ドアスイッチパネル
・ボルドー/ブラックレザー調素材巻+レッドステッチ フロントコンソール
・ボルドー/ブラック+レッドステッチ ドアトリム
・ボルドー/ブラック+レッドステッチ ドアアームレスト
・STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート
・フロント&リヤ ボトルホルダー付フェルト巻大型ドアポケット
・ボルドー/ブラック+レッドステッチ スライド機構付コンソールリッド
・USB電源
・スライドカバー付前席カップホルダー
・DC12V/120W電源ソケット
・運転席+助手席+後席左右 アシストグリップ
・リヤ左右席コートフック
・レッド照明付 センタートレイ
・照明付グローブボックス
・DC12V/120W インパネアクセサリーソケット
・フロアコンソールボックス
・メッキインナードアハンドル
・パワーウインドウスイッチメッキ加飾
・運転席・助手席 照明付バニティミラー
・オフディレイルームランプ
・スポットマップランプ
・トランクルームランプ
・「STI Sport」モデル専用 ダークメタル塗装+メッキ加飾 フロントグリル
・大型フロア下アンダーカバー
・サイドシルスポイラー
・ブラックカラード STIエンブレム付サイドガーニッシュ
・ブラックカラード ドアミラー
・スーパーUVカット&撥水加工付 フロントドアガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤガラス
・ディフューザータイプ リヤバンパー
・エンジンカバー
・キャリアブラケット内蔵ルーフモール
・EyeSightコアテクノロジー:プリクラッシュブレーキ
・EyeSightコアテクノロジー:後退時ブレーキアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤発進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:AT誤後進抑制制御
・EyeSightコアテクノロジー:ツーリングアシスト
・EyeSightコアテクノロジー:全車速追従機能付クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:定速クルーズコントロール
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱抑制
・EyeSightコアテクノロジー:車線逸脱警報
・EyeSightコアテクノロジー:ふらつき警報
・EyeSightコアテクノロジー:先行車発進お知らせ機能
・アイサイトセイフティプラス:スバルリヤビークルディテクション
・アイサイトセイフティプラス:自動防眩ルームミラー付ハイビームアシスト
・アイサイトセイフティプラス:フロント&サイドビューモニター
・オートビークルホールド
・デュアルSRSエアバッグ
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・運転席SRSニーエアバッグ
・マルチモードVDC
・アクティブ・トルク・ベクタリング
・エマージェンシーストップシグナル
・EBD付4センサー4チャンネルABS
・ブレーキオーバーライド
・ハイマウントストップランプ
・セイフティブレーキペダル
・セイフティフットレスト
など
スバル・WRX S4に搭載されるパワーユニットと動力性能
スバル・WRX S4には1種類のパワーユニットが用意されています。
●2リッターターボエンジン
・エンジン型式:FA20型
・エンジン排気量:1998cc
・シリンダー配列:水平対向
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー
・特別な機能:デュアルAVCS
◆スペック
・最大出力:300ps/5600rpm
・最大トルク:40.8kgf・m/2000rpm~4800rpm
・1リッターあたりのパワー:約150ps
・パワーウェイトレシオ:約5.13kg/ps
このエンジンは、兄弟モデルのレヴォーグの他にもレガシィシリーズやパワースペックは違いますがフォレスターなどに搭載されているものと同じもので、現在のスバルにおいて一番パワフルなエンジンとなるものです。
2リッターNAの低燃費型エンジンFB20型をショートストローク化してスクエアとしたものに更にターボチャージャーを追加して作ったものです。
ショートストロークのEJ20型エンジンをロングストローク化して作ったFB20型エンジンを今度はまたショートストローク化してEJ20型エンジンのようなハイパワーエンジンを作るといった面白い作り方をするものです。
ちなみにBRZ(事実上のOEM供給モデルのトヨタ・86も)に搭載されているFA20型のNAエンジンは、型式が同じですが中身のほとんどが別物で、このFA20型ターボエンジンとは全く別のエンジンとして扱われています。
パワー的には2リッターで300psも出しているので全く問題ありません。
かなりパワフルな走りができることでしょう。
むしろ「スポーティーセダン」のWRX S4には贅沢過ぎるパワーユニットといえます。
※パワーユニットの評価:★★★★★(5)
スバル・WRX S4に採用されているトランスミッション
●CVT
このWRX S4において、唯一ダメな部分、改善してもらいたい部分となっているのがこのトランスミッション「リニアトロニック」です。
300psものパワーを発生させるエンジンをせっかく積んでいるのにそれでいて低燃費のために作られたCVTを搭載するとは何たることでしょうか。
スバルではこの「リニアトロニック」をCVTといわれることを非常に嫌がっているようですが、あえて断言します「リニアトロニックはごく普通のCVT」です。
縦置きレイアウトにあわせた形状になっていることによって見た目が違い、金属ベルトの代わりに金属チェーンを使っているといっているので全く新しいタイプのオートマチックトランスミッションやCVTだと思いがちですが・・・普通のCVTです。
なので、性能も軽自動車やコンパクトカー、エコカーなどにつかわれているCVTと何ら変わりなく、アクセルペダルを深く踏み込めば、思った以上にエンジン改定数が高まる割には加速力がない、中間加速でもまるでギヤ抜けでもしたかのようにトルクが抜ける、すぐに低回転へ落とされるなどといった悪い癖が出てきます。
たぶん、パワーロスもかなり大きいことでしょう。
軽自動車やエコカーなどバリバリの大衆モデルならそれでもいいかと思いますが、スポーティーセダンのトランスミッションとしては失格です。
せめて有段式のオートマチックトランスミッションでしょう。
無理矢理付けたマニュアルモードとパドルレバーが悲しい・・・。
※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(0)
スバル・WRX S4の走行性能を決める構造
スバル・WRX S4のボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
このモデルはインプレッサベースですが、そのベースとなるインプレッサはGT/GK系型ではなく、1モデル前のGT/GK系です。
ということはスバルの新しいプラットフォームである「スバル・グローバル・プラットフォーム」ではない問うことです。
しかしご安心ください、そうでなくてもこのWRX S4のプラットフォームはとても頑丈に作られています
シャシーもボディフレームも強度を保つことができる質の良い鋼材を使い、その厚みも十分に取られることからとても頑丈なボディに仕上がっています。
相当、手荒な運転をしてもボディが曲るとかねじれたまま戻らないなどといったトヨタのTNGAプラットフォームのようなことは絶対ないでしょう。
※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)
スバル・WRX S4の走りの質を決めるサスペンション構造
サスペンション構造は先代インプレッサやWRX STI、レヴォーグなどと同じ形式の・・・
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン
といった四輪独立懸架が採用となっています。
スバルの標準的なサスペンション構造となるものですが、そうするだけあってかなりいい足回りとなっています。
スポーティーセダンながらスポーツモデル並みのクイックな動きを見せ、コーナーリング中もフラフラせず常に安定した走りを見せるのもこのサスペンション構造のおかげでしょう。
「2.0GT-S EyeSight」グレードにはビルシュタイン製のショックアブソーバーが、「STI Sport」モデルの「STI Sport EyeSight」グレードにはSTIが調整を行ったビルシュタイン製のショックアブソーバーとコイルスプリングが採用になっていますが、標準装備のコイルスプリング・ショックアブソーバーの組み合わせでも一般の方であれば十分に走りを楽しめます。
ただ、乗り心地と高速走行時の安定性、コーナーリングスピードに関してはSTIチューンのビルシュタイン製のショックアブソーバーが採用されたものにかなうものはありません。
このサスペンションセットはこのWRX S4をまったく別の車に化けさせてしまうといっていいほど絶妙なセッティングになっています。
「DampMatic II」を採用したことで乗り心地がやさしい割にはコーナーリングではぐっと耐えるようになりますし、直進時にも修正舵が少なくて済むようになります。
感覚的にはWRX STIに近づいたといえるぐらいです。
とても良くできています。
※サスペンション構造の評価:★★★★★(5)
スバル・WRX S4のストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
ブレーキシステムは兄弟モデルのレヴォーグに採用されているものと全く同じものとなります。
・フロント:2ポットフローティングキャリパー+17インチベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+17インチ ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
WRX STIと比べてしまうと「なぁ~んだ・・・」ということになってしまいますが、それはあまりにもWRX STIがとんでもなくいいブレーキシステムを持っているからで、見かたを変えて中型大衆セダンとしてみればこのブレーキシステムはかなり贅沢なものといえるのではないでしょうか。
大衆セダンといえばフロントは1ポットのベンチレーテッドディスクに、リヤはドラムブレーキかソリッドディスクのディスクブレーキといったものが標準的なものとなっているのに対してこのモデルではフローティングキャリパーながらフロントは2ポットですし、リヤもベンチレーテッドディスクを用いたディスクブレーキになっています。
まあ、300psを発生させるエンジンを搭載しているので当たり前といってしまえばそれまでですが、それでもスバルの車はブレーキに妥協がありません。
効き目もバッチリ、ブレーキタッチも踏んだ分だけブレーキが効くといった感じで性能もバッチリです。
ただ、これはブレーキシステムが悪いのではないのですが、過剰に反応するEyeSightのプリクラッシュブレーキはいだたけません。
※ブレーキシステムの評価:★★★★★(5)
スバル・WRX S4に搭載されている4WDシステム
●VTD-AWD(バリアブル・トルク・ディストリビューションAWD)
WRX S4は全モデルが4WDモデルとなっているわけですが、それに採用されている4WDシステムは、ベースモデルのインプレッサとも違う格上兄弟モデルのWRX STIとも全く違うVTD-AWDという4WDシステムが採用されています。
この4WDシステムは、兄弟モデルのレヴォーグにも採用されているもので、プラネタリーギヤ式のセンターデフを備え、更にその内部にLSD機能として電子制御式油圧稼働の湿式多板クラッチを内蔵したものが使われています。
特徴的なのは前後トルク配分、同じスバルから標準的なフルタイム4WDシステムとして用いられている「アクティブトルクスプリットAWD」はセンターデフがなくすべてを電子制御カップリングで制御していることからFFベースの4WDシステムであるため前後トルク配分も「前60:後40」とフロント寄りとなります。
対して、このVTD-AWDはFFベースながら前後で不均等のトルク配分となるようにプラネタリーギヤ式のセンターデフが内蔵されていてそれによって基礎となる前後トルク配分を決めることができるので、ハンドリングを重視して「前45:後55」といったリヤ寄りの前後トルク配分になっています。
前後トルク配分の変化は「アクティブトルクスプリットAWD」と比べるとはるかに幅が狭く、基本の「前45:後55」からLSD機能による前後直結状態の「前50:後50」までとなります。
走行性能的にはやはりFRレイアウトの車に近い挙動を表し、コーナー入り口でのターン・インが非常に楽に行えます。
コーナー出口でのトラクション性能もバッチリで、この点はFRレイアウトの車よりもはるかに優れているといえます。
何も考えないで走っていてもコーナーを早く走れてしまう・・・そんな4WDシステムといえるでしょう。
※4WDシステムの評価:★★★★★(5)
※4WDシステムの評価:☆☆☆☆☆()
スバル・WRX S4の燃費性能
スバル・WRX S4のカタログ燃費と実燃費
●「2.0GT EyeSight」グレード
・カタログ燃費(JC08モード):最大13.2km/L
・実燃費:約8km/L
※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)
●「2.0GT-S EyeSight」「STI Sport EyeSight」グレード
・カタログ燃費(JC08モード):最大12.4km/L
・実燃費:約7km/L
※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)
スバル・WRX S4に採用されている低燃費装備
●全モデル
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・直噴エンジン
スバル・WRX S4のライバルモデル比較
スバル・WRX S4のライバルとなるのはトヨタ・クラウン
WRX S4は、2リッターターボエンジンを搭載する中型クラスのスポーティーセダンですが、これと全く同じジャンルに属するモデルは現在、存在しません。
そこでここでは車格は違いますが、2リッターターボエンジンを搭載したノッチバックセダンとしてトヨタのクラウンをライバルモデルとして比較してみたいと思います。
●スバル・WRX S4の概要
・カテゴリー:中型ノッチバックセダン
・車格:中型大衆モデル
・エンジン排気量:約2リッター+ターボ
・エンジン形式:FA20型
・比較対象グレード:「2.0GT EyeSight」グレード
●トヨタ・クラウンの概要
・カテゴリー:大型ノッチバックセダン
・車格:大型大衆モデル
・エンジン排気量:約2リッター+ターボ
・エンジン形式:8AR-FTS型
・比較対象グレード:「RS Advance」グレード
スバル・WRX S4とトヨタ・クラウンのパワースペック比較
●スバル・WRX S4
・最大出力:300ps/5600rpm
・最大トルク:40.8kgf・m/2000rpm~4800rpm
●トヨタ・クラウン
・最大出力:245ps/5200rpm~5800rpm
・最大トルク:35.7kgf・m/1650rpm~4400rpm
※パワースペック比較結果
WRX S4の圧倒的な勝利です。
トヨタの車は全てにおいて「燃費性能重視」、パワーを削ってまでも燃費性能を向上させるといった車作りをしているためでこのクラウンのおいてもたった245psしかパワーを持たせることができなかったわけです。
スバル・WRX S4とトヨタ・クラウンの燃費性能比較
●スバル・WRX S4
・カタログ燃費(JC08モード):最大13.2km/L
・実燃費:約8km/L
●トヨタ・クラウン
・カタログ燃費(JC08モード):最大12.8km/L
・実燃費:約6km/L
※燃費性能比較結果
出せるパワーを削ってまでして燃費性能を向上させようとした割には思った燃費性能になっていないクラウンより燃費性能は一応、気にはしているがパワーを絞ることがないWRX S4の方が実燃費がいいとは笑ってしまいます。
スバル・WRX S4とトヨタ・クラウンの販売価格帯比較
ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。
●スバル・WRX S4(全モデル)
約343万円~約417万円
●トヨタ・クラウン(2リッターターボエンジンモデルのみ)
約469万円~約569万円
※販売価格帯比較結果
車格が違うのでこの差は仕方がない部分がありますが、走りの性能を踏まえてみるとWRX S4がどれだけコストパフォーマンスが高い車であるかがよくわかります。
まとめ
WRX STIほどではありませんが、それでもスポーティーセダンとしては非常に優れた車であることがわかりました。
問題はトランスミッションのリニアトロニックです。
いくら進化したからといってもCVTはCVT以外の何物でもなく、所詮は低燃費のためのトランスミッションです。
それをこのWRX S4の搭載してしまうとは・・・非常に残念でなりません。
そしてこのモデルも兄弟モデルとなるWRX STIと同様に2020年8月あたりに新しいモデルが発売されるようですが、残念ながらその新しいモデルでもリニアトロニックは健在であるようです。
それなら300psのパワーはいらないのではないでしょうか。
※総合評価:★★★★☆(4)