トヨタには大型ミニバンとしてアルファード・ヴェルファイア兄弟モデルやエスティマ(2019年10月に生産終了)があり、更に大人数乗りのワゴンモデルとしてハイエース・ワゴンが発売されていますが、それよりも圧倒的に規模が大きいワゴンモデルがこのグランエースです。
ここではグランエースがどういう車なのか、そして自動車としてまず一番に考えなければならない走りの性能をどれだけ持っているのかを検証していきたいと思います。
※ご注意
ここではトヨタ・グランエースの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
よくみれば大きいだけが取り柄のトヨタ・グランエース
グランエースを見た方の感想やWeb上あるいは紙面上に書かれている記事などで必ず言われ、必ず書かれるのが・・・
・ボディが大きいこと
・インテリアが豪華なこと
の2点です。
確かにこの車を実際に見るとかなり巨大なボディを持ち、運転にも少々気を使うぐらいのサイズとなっていますし、インテリアも本革シートを中心に豪華なインテリアパーツが採用されているので、車自体がかなりの高級車であると認識してしまいますが、この車の作りをよく見ていると決してそうではないことがわかります。
トヨタ・グランエースは、単なる商用バンのワゴン転用モデルでしかない
グランエースは2019年11月に発売された大型1.5ボックスワゴンモデルで、日本人がこの車の存在を知ることができたのはきっと2019年に秋に行われた東京モーターショーに出品されたモデルを見た時でしょう。
しかし、この車は実のところもっと前から発売されていました・・・といっても日本国内ではなく東南アジアのフィリピンでのことです。
2019年の2月、フィリピンでは日本でも発売されているH200系型ハイエースの後継モデルとなるH300系型ハイエースが発表され、同時に発売されました。
この新しいハイエースには、全長約5.3メートル・全幅約1.95メートルの標準ボディと全長約5.9メートル・全幅約1.95メートルのロングボディが用意されており、モデル形態も・・・
・2人乗りから6人乗りの商用バンモデル「ハイエース・バン」
・10人乗りから17人乗りのワゴンモデル・マイクロバスの「ハイエース・グランディア」「ハイエース・コミューター」
・10人乗りから14人乗りの高級志向のワゴンモデル・マイクロバスの「ハイエース・グランディア・ツーリズム」
が用意されています。
パワーユニットは、2.8リッターディーゼルターボエンジンの1GD-FTV型エンジンと3.5リッターV型6気筒NAガソリンエンジンの7GR-FKS型があり、6速マニュアルトランスミッションと6速オートマチックトランスミッションがトランスミッションとして組み合わされていて、レイアウトは1.5ボックスワゴンボディを持ちながらも商用モデルで伝統となるエンジン縦置きのFRレイアウトでエンジンはフロントのボンネット下に収められています。
このモデルは2019年12月現在でも日本国内では販売されておらず、国内でハイエースシリーズといえばH200系型のことを指す形になっていますが、海外では既に次なるモデルとなるH300系型が販売されていることになっているわけです。
実はグランエースはこのH300系型ハイエースの標準ボディモデルをベースとして作られているもので、その車体に日本での需要形態にあわせた豪華なインテリアと3列シート、4列シートを載せた形で作られたのです。
現在のH200系型ハイエースにも商用バンとその商用バンをベースにして乗用モデルへと転用したワゴンモデルがありますが、このグランエースも蓋を開けてみれば、H300系型ハイエースを乗用モデルとして転用しただけのもの・・・要するにコスト削減に躍起になっているトヨタが得意としている「流用・転用モデル」であるということです。
それがたまたま、ベースとなるH300系型ハイエース・バンが日本国内で発売されていないことからその存在すら知らない方がほとんどとなっているため、グランエース自体が全くの新規のモデルである、専用設計がされた豪華な大型1.5ボックスワゴンモデルであると間違った認識をしてしまうのです。
この車も早い話が商用バンから作られたワゴンモデルでしかないということで、それほど珍しい車、特別な車でもないということです。
こういったところも販売戦略にたけたトヨタのなせる業です。
グランエースを誰が買う?
冒頭でもいいましたようにトヨタには個人向け大型多人数乗り乗用モデルとして・・・
・大型ミニバンのアルファード
・大型ミニバンのヴェルファイア
・大型ワンボックスワゴンのハイエース・ワゴン
が発売されています。
アルファード・ヴェルファイア兄弟モデルは最大で8人乗り、ハイエース・ワゴンは最大で10人乗りとなっていますが、日本国内で営業ではなく個人が扱う中でこれだけの乗ることができればそれで十分です。
それ以上の人数を乗せたければそれこそマイクロバスのコミューターを使えば済むことです。
それなのにどうしていまさら6人乗り、8人乗りの大型1.5ボックスワゴンモデルを発売したのか全く理解できません。
まさかジャパンタクシーのように東京オリンピック需要を狙ったものではないでしょうし、ましてや個人向けではないでしょう。
そうなると考えられるのは「VIPカー」としての使い方と商業目的、要するに宿泊施設やレジャー施設、介護施設など送迎車としての使い方だと思われます。
トヨタにおいてVIPカーは、皇室御用達でお馴染みのノッチバックセダンモデルのセンチュリーやアルファードの「エグゼクティブラウンジ」グレードといったものがよく使われています。
なので、VIPカーとしても更なるモデルは必要ないわけですが、そもそもVIPカーの乗るような人間は、人よりも良いもの、見た目的に贅沢なもの、高額なものを常に探し求める傾向があるため、アルファードの「エグゼクティブラウンジ」グレードでは飽き足らず、更に大きなボディや広いキャビン、その広いキャビンを6人ないし8人で使うといった贅沢感を得るためにこのグランエースを選ぶのではないかと推測されます。
それから送迎車としての需要ですが、現状ではハイエース・ワゴンの10人乗りモデルとか「グランドキャビン」グレードとか、小規模な企業・団体では中型ミニバンのノア・ヴォクシー・エスクァイア3兄弟モデルや日産のセレナ、ホンダのステップワゴンなどを使うことが多いのですが、小規模な企業・団体においてはだいぶ大きすぎるので使われることはないかと思いますが、例えば高級旅館とか観光ホテルなどの送迎に使う車両として、ハイエース・ワゴンでは、商用モデルの一面を隠しきれていない部分があるため、更なる高級志向、押し付けがましい「お客様へのサービス精神」の表れとしてグランエースのような1.5ボックスワゴンモデルを使うのではないかと思われます。
トヨタ・グランエースのこれまでの出来事(2019年12月現在)
●初代モデル H10系型 1967年2月発売
※ハイエース・ワゴン時代
・1967年10月 ワゴンモデルの発売
・1970年2月 マイナーチェンジ
・1971年2月 マイナーチェンジ デザインの変更 1.6リッターエンジンの採用、1.3リッターエンジンモデルの追加
・1972年10月 マイナーチェンジ デザインの変更
・1975年10月 ワゴンモデルの生産終了
・
●2代目モデル H20系型 1977年2月発売
※ハイエース・ワゴン時代
・1979年3月 エンジンの変更
・1980年1月 マイナーチェンジ デザインの変更 「スーパーカスタム」グレードの追加
・1981年1月 マイナーチェンジ デザインの変更
●3代目モデル H50系型 1982年12月発売
※ハイエース・ワゴン時代
・1984年1月 ディーゼルエンジンモデルのエンジン変更
・1985年8月 マイナーチェンジ デザインの変更 「スーパーカスタムリミテッド」グレードの追加
・1987年8月 マイナーチェンジ デザインの変更
●4代目モデル H100系型 1989年8月発売
※ハイエース・ワゴン時代
・1993年8月 マイナーチェンジ デザインの変更 ガソリンエンジンモデルのエンジン変更
・1994年8月 一部改良
・1995年8月 一部改良
・1996年8月 マイナーチェンジ デザインの変更 9人乗りモデルの廃止
・1999年7月 マイナーチェンジ デザインの変更
・2002年8月 ガソリンエンジンモデルの廃止
●5代目モデル H200系型 2004年8月発売
※ハイエース・ワゴン時代
・2005年11月 一部改良
・2007年8月 マイナーチェンジ デザインの変更 「GL」グレードの追加
・2010年7月 マイナーチェンジ デザインの変更
・2012年4月 一部改良
・2013年11月 マイナーチェンジ デザインの変更
・2014年12月 一部改良
・2016年6月 一部改良
・2017年11月 一部改良 「Toyota Safety Sense P」の採用
・2018年5月 イメージダウンを回避すべく「Toyota Safety Sense P」を「Toyota Safety Sense」に改名
●5代目モデル H300系型 2019年2月発売
※海外向けハイエース・ワゴン流用モデル
・2019年12月 日本仕様「グランエース」の発売
トヨタ・グランエースが属するカテゴリー
●車格:大型大衆モデル
●用途・目的:生活車、業務用
●車両カテゴリー:大型1.5ボックスワゴン
●エンジン排気量クラス:2.8リッターディーゼルクラス
トヨタ・グランエースのオーナー層
●年齢層:特になし
●性別:特になし
●経済力:富裕層(新車購入)、高収入層(新車購入)
●その他:個人向けよりも業務用として購入されることが多い
トヨタ・グランエースの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ディーゼルエンジン
●トランスミッション
・6速オートマチックトランスミッション
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FR
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:コイルリジット(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
●ベースモデル
・あり・・・海外向けH300系型ハイエース・グランディア
●兄弟車
・あり・・・海外向けH300系型ハイエースシリーズ
トヨタ・グランエースのモデル構成とグレード構成
グランエースには定員の違いによるモデルが2つ用意されています。
6人乗りモデル
このモデルは、3列シート(2+2+2)仕様で、モノグレードとなります。
・プレミアム グレード(2WD)
●「プレミアム」グレードの主な装備
・235/60R17 109/107T LT サイズ タイヤ
・17インチ×7J アルミホイール
・アイドリングストップ機能
・ばね上制振制御
・グレードエンブレム
・フロント/リヤ エアスパッツ
・高遮音性ガラス・UVカット機能・IRカット機能付ウインドシールドグリーンガラス
・UVカット機能・IRカット機能・撥水機能付フロントドアガラス
・UVカット機能付スライドドアプライバシー合わせガラス
・UVカット機能付リヤクォータープライバシーガラス
・UVカット機能付バックドアプライバシーガラス
・ハンドレバー式パーキングブレーキ
・フロント/リヤ スタビライザー
・タイマー付リヤウインドゥデフォッガー
・ウォッシャー連動間欠フロントワイパー
・ミスト機能付ウォッシャー連動間欠リヤワイパー
・メッキ アウトサイドドアハンドル
・フロント/リヤ カラードバンパー
・リヤスポイラー
・Toyota Safety Sense:プリクラッシュセーフティ
・Toyota Safety Sense:レーンディパーチャーアラート
・Toyota Safety Sense:ブレーキ制御付レーダークルーズコントロール
・Toyota Safety Sense:オートマチックハイビーム
・Toyota Safety Sense:ロードサインアシスト
・先行車発進告知機能
・パノラミックビューモニター
・ブラインドスポットモニター
・リヤクロストラフィックオートブレーキ
・インテリジェントクリアランスソナー
・VSC
・EBD付ABS
・ブレーキアシスト
・ドライブスタートコントロール
・タイヤ空気圧警報システム
・運転席/助手席 SRSエアバッグ
・運転席 SRSニーエアバッグ
・運転席/助手席 SRSサイドエアバッグ
・前後席 SRSカーテンシールドエアバッグ
・2眼LEDヘッドランプ
・デイライト機能付LEDクリアランスランプ
・カメラ洗浄機能付デジタルインナーミラー
・ヒーター・LEDサイドターンランプ付オート電動格納式リモコンメッキドアミラー
・ヒルスタートアシストコントロール
・コンライト
・LEDハイマウントストップランプ
・ヘッドランプクリーナー
・緊急ブレーキシグナル
・歩行者傷害軽減ボディ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・LEDリヤコンビネーションランプ
・オプティトロンメーター
・4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
・スマートエントリー&スタートシステム
・両側イージークローザー付パワースライドドア
・本革+木目調 4本スポークステアリングホイール
・ステアリングスイッチ
・可変流量パワーステアリング
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・タコメーター
・デジタルクロック
・運転席フットレスト
・牽引フック
・車速感応パワードアロック
・スマートキー置き忘れ防止ウォーニング
・運転席 快適温熱シート機能付8ウェイパワーシート
・助手席 快適温熱シート機能付4ウェイパワーシート
・セカンドシート パワーリクライニング/パワーオットマン/角度調整式大型ヘッドレスト/大型アームレスト/快適温熱シート付エグゼクティブパワーシート
・サードシート パワーリクライニング/パワーオットマン/角度調整式大型ヘッドレスト/大型アームレスト/快適温熱シート付エグゼクティブパワーシート
・折りたたみ式サイドテーブル
・セカンドシートマニュアルウォークイン機構
・合成皮革巻き+サテンメッキ加飾+木目調加飾 フロントドアトリム
・ステッチ付シルフィー表皮/サテンメッキ加飾+木目調加飾付スライドドアトリム
・サテンメッキ加飾+木目調加飾付リヤクォータートリム
・フロントドア 乗降用アシストグリップ
・スライドドア 本革乗降用アシストグリップ
・左右スライドドア チャイルドグリップ
・スライドドアガラス・リヤクォーターガラス サンシェード
・回転格納式アシストグリップ
・運転席 バニティミラー/照明/チケットホルダー付サンバイザー
・助手席 バニティミラー/照明付サンバイザー
・LEDランプ照明付リヤ席バニティミラー
・イルミネーテッドエントリーシステム
・LEDサイドカラーイルミネーション
・スライドドアスカッフイルミネーション&ステップランプ
・LED調光機能付読書灯
・ドアリフレクター
・DC12V アクセサリーソケット
・充電用USB端子
・通信用USB端子
・ナノイー/前後独立温度コントロール機能付フロントオートエアコン
・ナノイー機能付リヤオートエアコン
・センターコンソールボックス
・グローブボックス
・運転席/助手席シートバックポケット
・木目調加飾付リヤクォータートリムトレイ
・8インチディスプレイオーディオ
・DCM
・合成皮革巻き フロントドアアームレスト
・メッキ インサイドドアハンドル
・運転席・助手席・スライドドア ドアスカッフプレート
・ラゲージルームランプ
・コートフック
・イモビライザーシステム
・オートアラーム
など
8人乗りモデル
このモデルは、4列シート(2+2+2+2)仕様で、モノグレードとなります。
・G グレード(2WD)
●「G」グレードの主な装備
・235/60R17 109/107T LT サイズ タイヤ
・17インチ×7J アルミホイール
・アイドリングストップ機能
・ばね上制振制御
・フロント/リヤ エアスパッツ
・高遮音性ガラス・UVカット機能・IRカット機能付ウインドシールドグリーンガラス
・UVカット機能・IRカット機能・撥水機能付フロントドアガラス
・UVカット機能付スライドドアプライバシーガラス
・UVカット機能付リヤクォータープライバシーガラス
・UVカット機能付バックドアプライバシーガラス
・ハンドレバー式パーキングブレーキ
・フロント/リヤ スタビライザー
・タイマー付リヤウインドゥデフォッガー
・ウォッシャー連動間欠フロントワイパー
・ミスト機能付ウォッシャー連動間欠リヤワイパー
・メッキ アウトサイドドアハンドル
・フロント/リヤ カラードバンパー
・リヤスポイラー
・Toyota Safety Sense:プリクラッシュセーフティ
・Toyota Safety Sense:レーンディパーチャーアラート
・Toyota Safety Sense:ブレーキ制御付レーダークルーズコントロール
・Toyota Safety Sense:オートマチックハイビーム
・Toyota Safety Sense:ロードサインアシスト
・先行車発進告知機能
・パノラミックビューモニター
・ブラインドスポットモニター
・リヤクロストラフィックオートブレーキ
・インテリジェントクリアランスソナー
・VSC
・EBD付ABS
・ブレーキアシスト
・ドライブスタートコントロール
・タイヤ空気圧警報システム
・運転席/助手席 SRSエアバッグ
・運転席 SRSニーエアバッグ
・運転席/助手席 SRSサイドエアバッグ
・前後席 SRSカーテンシールドエアバッグ
・2眼LEDヘッドランプ
・デイライト機能付LEDクリアランスランプ
・カメラ洗浄機能付デジタルインナーミラー
・ヒーター・LEDサイドターンランプ付オート電動格納式リモコンメッキドアミラー
・ヒルスタートアシストコントロール
・コンライト
・LEDハイマウントストップランプ
・ヘッドランプクリーナー
・緊急ブレーキシグナル
・歩行者傷害軽減ボディ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・LEDリヤコンビネーションランプ
・オプティトロンメーター
・4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
・スマートエントリー&スタートシステム
・両側イージークローザー付パワースライドドア
・本革+木目調 4本スポークステアリングホイール
・ステアリングスイッチ
・可変流量パワーステアリング
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・タコメーター
・デジタルクロック
・運転席フットレスト
・牽引フック
・車速感応パワードアロック
・スマートキー置き忘れ防止ウォーニング
・運転席 快適温熱シート機能付8ウェイパワーシート
・助手席 快適温熱シート機能付4ウェイパワーシート
・セカンドシート パワーリクライニング/パワーオットマン/角度調整式大型ヘッドレスト/大型アームレスト/快適温熱シート付エグゼクティブパワーシート
・サードシート リクライニング/上下調整式ヘッドレスト/回転式アームレスト付リラックスキャプテンシート ・フォースシート リクライニング/上下調整式ヘッドレスト//回転式アームレスト /クッショントレイ付6:4分割チップアップシート
・折りたたみ式サイドテーブル
・セカンドシートマニュアルウォークイン機構
・合成皮革巻き+サテンメッキ加飾+木目調加飾 フロントドアトリム
・サテンメッキ加飾+木目調加飾付スライドドアトリム
・サテンメッキ加飾+木目調加飾付リヤクォータートリム
・フロントドア 乗降用アシストグリップ
・スライドドア 乗降用アシストグリップ
・左右スライドドア チャイルドグリップ
・スライドドアガラス・リヤクォーターガラス サンシェード
・回転格納式アシストグリップ
・運転席 バニティミラー/照明/チケットホルダー付サンバイザー
・助手席 バニティミラー/照明付サンバイザー
・イルミネーテッドエントリーシステム
・LEDサイドカラーイルミネーション
・スライドドアスカッフイルミネーション&ステップランプ
・LED調光機能付読書灯
・ドアリフレクター
・DC12V アクセサリーソケット
・充電用USB端子
・通信用USB端子
・ナノイー/前後独立温度コントロール機能付フロントオートエアコン
・ナノイー機能付リヤオートエアコン
・センターコンソールボックス
・グローブボックス
・運転席/助手席シートバックポケット
・リヤクォータートリムトレイ
・8インチディスプレイオーディオ
・DCM
・合成皮革巻き フロントドアアームレスト
・メッキ インサイドドアハンドル
・運転席・助手席・スライドドア ドアスカッフプレート
・ラゲージルームランプ
・コートフック
・イモビライザーシステム
・オートアラーム
など
トヨタ・グランエースに搭載されるパワーユニットと動力性能
トヨタ・グランエースには1種類のパワーユニットが設定されています。
●2.8リッターディーゼルターボエンジン
・エンジン型式:1GD-FTV型
・エンジン排気量:2754cc
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料噴射:コモンレール式筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー
◆スペック
・最大出力:177ps/3400rpm
・最大トルク:46.1kgf・m/1600rpm~2400rpm
・1リッターあたりのパワー:約63.2ps
・パワーウェイトレシオ:約15.6kg/ps
このエンジンはこのモデル以外にもランドクルーザー・プラドのディーゼルターボエンジンモデルやH200系型ハイエース・バンにも使われています。
世界的に見れば大型モデル用のディーゼルエンジンとして広く使われているエンジンですが、そもそも国産モデルで2.8リッターのディーゼルエンジンを採用するようなモデルがほとんどないことから、2015年から使われ始めたそこそこ古いエンジンであるのにもかかわらず、現在のトヨタの国内モデルでは、H200系型ハイエースのOEM供給モデルのマツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンを含めても4車種目と採用例が少なくなっています。
エンジン性能としては大排気量ディーゼルターボエンジン特有の低回転トルク重視となっており、わずか1600rpmで、46.1kgf・mという大トルクを発生させています。
ただ、ディーゼルエンジンですのでパワーで物事を語るのはちょっと的ハズレかもしれませんが、車両重量約2.7トン、総重量で軽く3トンを超える車を快適に走らせるには少々パワーが足りません。
特に高速道路ではスピードの伸びが悪いため、追い越し車線に入ることすら躊躇するぐらいになると思います。
パワーウェイトレシオも約15.6kg/psと軽自動車のターボエンジンモデルなみとなっていることからも動力性能に関してはあまり優れているとは言えないでしょう。
それともう1つ、このエンジンはランドクルーザー・プラドやH200系型ハイエースに使われていた時点から言われてきたことなのですが、DPRや尿素SCRシステムといった排気ガス浄化装置関連のトラブルが非常に多く、特に物理的なフィルターとなるDPRの「糞づまり」トラブルは頻繁に聞きます。
いろいろと対策を取っているようですが、「エンジンそのものの設計が悪いことからくる大量スラッジの発生」が根本的な原因となっているため、DPRまわりを改善してもその症状を抑えることができません。
街中や郊外を走るのであれば全く問題ないパワーユニットですが、とにかくメンテナンス費用が掛かるため、そういった部分も理解したうえで購入することをおすすめします。
※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)
トヨタ・グランエースに採用されているトランスミッション
●6速オートマチックトランスミッション
このトランスミッションは、ランドクルーザー・プラドやH200系型ハイエースに搭載されているものと全く同じものの電子制御式6速オートマチックトランスミッション「6 Super ECT」と呼ばれているものです。
同じなのは何も構造だけでなく、ギヤボックスの変速比も全く同じで、ランドクルーザー・プラド、H200系型ハイエース、そしてこのグランエースすべてで共通です・・・ということはそっくりそのまま使っているということになります。
トヨタが使っているオートマチックトランスミッションの割には丈夫な作りがされていることから故障も少なく、オイル管理だけをきちんと行っていれば、ノントラブルで10万キロ以上も走行可能でしょう。
※トランスミッションの評価:★★★★☆(4)
トヨタ・グランエースの走行性能を決める構造
トヨタ・グランエースのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
このモデルはワゴンといっても商用1.5ボックスバンのH300系型ハイエース・バンの転用モデルであるため、プラットフォームやシャシー、フレームの作りは完全に商用モデルの概念で設計されたものとなっています。
H300系型ハイエースからはH200系型ハイエースのプラットフォームの持ちこしではなく、新たに開発しなおしたもので、いわゆるTNGAプラットフォームのひとつとして、TNGAプラットフォームの商用モデル用プラットフォーム(名称は公表されていません)が使われています。
ただ、基本的な構造はH200系型ハイエースに使われていたものと同じようなもので、頑丈なラダーフレームにモノコックフレームのシャシーをくっつけたようなビルトインラダーフレーム構造を持ちます。
このモデルでは、三菱のデリカD:5が用いたような「リブボーンフレーム」のような環状フレームを用いていることからシャシーだけでなく、ボディフレームにおいてもかなり剛性、強度、耐久性が高められています。
これだけ頑丈に作られていれば、かなり過酷な使われ方をしたとしても全く問題ないと思います。
トヨタのプラットフォーム、シャシー、フレームにしては珍しくかなり頑丈に作られていますが、ぜひともトヨタのすべての車にこれくらいの剛性や強度があるプラットフォームを使ってもらいたいものです。
※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)
トヨタ・グランエースの走りの質を決めるサスペンション構造
グランエースのサスペンション構造はH300系型ハイエースで共通となる・・・
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:トレーリングリンク式コイルリジットサスペンション
が採用されています。
フロントサスペンションはいろいろなモデルに採用例があり、実績も性能もバツグンなマクファーソンストラットですので全く問題ありません。
対してリヤサスペンションは、やはりこういったところに商用モデルの影がちらつく形になるようで、いかにも商用バンのために頑丈なサスペンションといった感じです。
構造としてはごく普通のリヤ駆動用のリジットサスペンションのそれで、デファレンシャルギヤを内蔵したホーシングを複数のリンクで保持してコイルスプリングとショックアブソーバーで上下させるというものですが、このモデルのものは、プレス加工で作られたモナカ式の太いトレーリングアームとこれまた太いラテラルロッド、そして更にトレーリングアームの動きを補助するアームで保持するといった剛性重視の作りがされています。
車軸式自体がかなり頑丈な作りでタフな走りにも対応で切るようになっているのですが、更にこういった強度の高いリンクで保持されていることから相当な強度、剛性を持つリヤサスペンションであることがわかります。
コイルリジットサスペンションですのでダブルウィッシュボーンやマルチリンクなどよりは乗り心地もロードホールディング性能もコーナーリング性能も劣りますが、商用バンあがりのワゴンモデルのものにしては中々優れており、少なくとも安価で作れるトーションビームよりは格段と優れています。
※サスペンション構造の評価:★★★☆☆(3)
トヨタ・グランエースのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
ブレーキシステムのおいてもH300系型ハイエースのグランディア(ワゴンモデル)で共通となる・・・
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
といった四輪ディスクブレーキが採用されています。
これくらいの構造であれば3トン近くになってもそれなりの性能を発揮することはできるでしょう。
※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)
トヨタ・グランエースの燃費性能
トヨタ・グランエースのカタログ燃費と実燃費
●全モデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大10.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大8.1km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大9.9km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大11.2km/L
・実燃費:約6km/L
ディーゼルエンジンとはいえ2.8リッターというエンジン排気量や空荷で約2.8トン、フル定員で3トンを超える重量、空力特性の悪いボディ形状、これだけ燃費性能に悪影響を与える要素が揃っているのでは、さすがのトヨタの燃費計測専門テストドライバーでも10km/L以上は出せません。
実燃費もかなり悪い数字になっても当然だと思います。
※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)
トヨタ・グランエースに採用されている低燃費装備
●全モデル
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・コモンレール式燃料噴射装置
トヨタ・グランエースのライバルモデル比較
トヨタ・グランエースのライバルとなるのは日産・エルグランド
グランエースはこれまでの国産モデルにはなかった規格外のサイズを持つワゴンモデルであるため、比較するライバルモデルが存在しないのですが、ここでは「VIPカーとして使われる」といったところに着目して、ミニバン(グランエースはミニバンではないが・・・)でVIPカー用途のある日産のエルグランドの「VIP」モデルと比較してみたいと思います。
●トヨタ・グランエースの概要
・カテゴリー:大型1.5ボックスワゴン
・車格:大型大衆モデル
・エンジン排気量:約2.8リッター
・エンジン形式:1GD-FTV型
・比較対象グレード:「プレミアム」グレード
●日産・エルグランドの概要
・カテゴリー:大型トールミニバン
・車格:大型大衆モデル
・エンジン排気量:3.5リッター
・エンジン形式:VQ35DE型
・比較対象グレード:「VIP 2列仕様4人乗り後席パワーシートパッケージ」グレード
トヨタ・グランエースと日産・エルグランドのパワースペック比較
●トヨタ・グランエース
・最大出力:177ps/3400rpm
・最大トルク:46.1kgf・m/1600rpm~2400rpm
●日産・エルグランド
・最大出力:280ps/6400rpm
・最大トルク:35.1kgf・m/4400rpm
※パワースペック比較結果
グランエースはディーゼルエンジン、エルグランドはガソリンエンジンと全く違うエンジン同士の比較となりましたが、両エンジンの特性がはっきりと出た形となりました。
このことから街乗りならグランエースが、高速クルージングならエルグランドが向いているということになります。
トヨタ・グランエースと日産・エルグランドの燃費性能比較
●トヨタ・グランエース
・カタログ燃費(JC08モード換算):最大9km/L
・実燃費:約6km/L
●日産・エルグランド
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.4km/L
・実燃費:約5km/L
※燃費性能比較結果
実燃費で見るとわずかにグランエースの方が優れている形になっていますが実際にはどちらも同じぐらいでしょう。
ただ、グランエースはディーゼルエンジンですので、燃費性能ではなく燃料費としてみれば、グランエースの方が安く済むことになります。
トヨタ・グランエースと日産・エルグランドの販売価格帯比較
ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。
●トヨタ・グランエース
約620万円~約650万円
●日産・エルグランド
約338万円~約831万円
※販売価格帯比較結果
グランエースは商用バンの転用モデル、かたやエルグランドは専用設計モデルということからその違いが価格に差として出ました。
ちなみにエルグランドの低額側は2.5リッターエンジンモデルの価格ですので安くなって当然です。
まとめ
これまでの国産モデルにはない巨大サイズの高級ワゴンモデルとして注目されていますが、いざ蓋を開けてみればハイエースのワゴンモデルでしかなかったということがわかりました。
H300系型ハイエースが日本国内で発売されていない(2019年12月現在)ことをうまく利用して、あたかもこのグランエースが全く新しいモデルであるかのように売り込むトヨタ、さすが販売戦略のトヨタです。
車の性能としてはこれまでのワンボックスワゴンと比較してみても特に抜きんでた部分はありませんが、ボディやフレーム、サスペンション構造の剛性や強度がトヨタの国産モデルでは絶対に持たされないぐらいのものを持っているのが一番いいところだと思います。
こんなに大きなワゴンモデル、果たしてどれくらい売れるのでしょうか?
※総合評価:★★★☆☆(3)