軽自動車の中には低燃費性能に特化したモデルが存在します。
その1台がスバルのプレオ+(プラス)です。
ここではプレオ+(プラス)がどういう車なのか、どういう経緯で現在販売されているのか、そして自動車としての性能はどうなのかといったところを実車運転経験をふまえて検証してみたいと思います。
※ご注意
ここではスバル・プレオ+(プラス)の自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
スバル・プレオ+(プラス)はミラ・イースのOEM供給モデル
ここではスバルから発売されている「プレオ+(プラス)」を取り上げていますが、過去には「プレオ」というモデルも発売されていました。
プレオは1998年にスバルのオリジナルの軽トールワゴンとして発売されたモデルです。
軽自動車ながら直列4気筒エンジンにスーパーチャージャー、四輪ストラットの四輪独立懸架といった非常にスバルらしいモデルで、動力性能も走行性能も抜群だったいい車だったのですが、発売されたのがかなり遅く、既に市場にはスズキのワゴンRやダイハツのムーヴなどがあり、それらが軽トールワゴンの需要のほとんどを確保していたことからこんなに優れた性能を持ったプレオでも入る隙間がなかったのです。
そして更に似非エコブームによる低燃費ブームが熱を増し、動力性能より燃費性能、走行性能よりガソリン代の節約に注目が集まるようになってしまったものですから走りがよいのが特徴のプレオに注目が集まることがありませんでした。
そこでスバルは新たに発売されたR1やR2というモデルに後を任せるような形でプレオの生産を終了することにしたのです。
しかし、それでプレオがこの世からなくなることはありませんでした。
なぜならOEM供給を受ける形でモデルチェンジを行うことが決まっていたからです。
OEM供給元はダイハツ、そのダイハツの軽ベーシックモデルであるミラのOEM供給を受けての発売を始めることになっていました。
皆さんもご存じの通り、スバルはトヨタが筆頭株主となる自動車メーカーでそれも議決権を行使できるほどの株券数を保有しているため、ある意味でトヨタの言いなりになっている自動車メーカーであるともいえます。
一方でダイハツはトヨタの完全子会社ということでトヨタ自動車の小型モデル・軽自動車部門として機能している自動車メーカーです。
要するにどちらもトヨタグループの一員であるということで、更にほかにもマツダやスズキもトヨタとの業務提携、資本提携を締結していることから国内自動車メーカーのほとんどがトヨタの息がかかった企業であるということになります。
そういった非常に関係性が強い集団ができていることからその中での技術供与やOEM供給などは比較的簡単にでき、その一つとしてスバルでは自社で作っていない小型モデルや軽自動車をダイハツから供給を受けて販売するようになったのです。
OEM供給モデルとしてのプレオが発売されていた頃、日本国内では空前のエコカーブームとなっており、動力性能、走行性能、デザイン、使い勝手などよりもまずはとにかく「燃費性能」だけでその車の良し悪しを判断するような傾向が非常に強くなっていました。
そこでプレオのOEM供給元であるダイハツは、このチャンスを逃がさぬようにとすぐに行動を起こし、それまで一番のエコモデルとして扱ってきた軽ベーシックモデルのミラをベースにした更なる低燃費モデルを発売することにしたのです。
それがダイハツの「ミラ・イース」です。
このモデルは既存のミラにダイハツが開発した低燃費技術群である「イーステクノロジー」によって作られた様々な低燃費装備を搭載した形で作られていて、一時期はハイブリッドモデルを除いたガソリンエンジンモデルの中で燃費性能が一番いい車になったこともあったぐらいの「究極のエコモデル」と呼ばれるぐらい優れた燃費性能を持つ「ミラの派生モデル」として販売されていました。
そしてこのモデルもミラと同様にスバルにももたらされ、スバルではそのモデルをプレオの派生モデルとして「プレオ+(プラス)」として販売することになったのです。
これがスバルのプレオ+(プラス)の始まりです。
しかしその後、更なるエコカーブーム熱が高まったことから燃費性能が平凡なベーシックモデルモデルのミラよりも燃費性能に特化したミラ・イースの方が需要が高まったことから、ミラを高齢者用のマニュアルトランスミッション専用モデルとして残しつつ、ミラシリーズのメインとなるモデルをミラ・イースと設定した後、ミラは生産終了となってしまいました。
2018年に新しいモデルが発売された時点では、もうすでに「ミラ」というモデルはなく、ミラシリーズのベーシックモデルとなるのはミラ・イースということになっていました。
ミラのOEM供給を受けていたスバルにおいてもミラのOEM供給モデルであるプレオは生産終了となり、モデルチェンジした際にはプレオ+(プラス)だけとなりました。
これが2020年2月現在での現行モデルです。
スバル・プレオ+(プラス)のこれまでの出来事(2020年2月現在)
●初代モデル LA300F/LA310F型 2012年12月発売
※ミラ・イースのOEM供給モデル時代
・2011年9月 ミラ・イースの発売
・2013年8月 マイナーチェンジ デザインの小変更 「スマートアシスト」の採用 低燃費装備の改良
・2014年7月 一部改良 低燃費装備の改良 エンジンの仕様変更
・2015年4月 一部改良 低燃費装備の改良 ボディカラーの変更
・2015年4月 「Black Edition」の追加
・2016年7月 仕様変更 ボディカラーの変更
●2代目モデル LA350F/LA360F型 2017年5月発売
※ミラ・イースのOEM供給モデル時代
・2018年8月 仕様変更
スバル・プレオ+(プラス)が属するカテゴリー
●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車 業務用
●車両カテゴリー:軽ハッチバックセダン
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス
スバル・プレオ+(プラス)のオーナー層
●年齢層:特になし
●性別:特になし
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、 低収入層(新車購入)
●その他:営業車などに用いられることも多い
スバル・プレオ+(プラス)の車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
●トランスミッション
・CVT
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FF
・スタンバイ式4WD
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム(コイルスプリング) 4WD=3リンク式コイルリジット(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ソリッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ
●ベースモデル
・あり・・・ダイハツ・ミラ・イース(OEM供給元モデル)
●兄弟車
・あり・・・ミラ・イース、ミラ・トコット
スバル・プレオ+(プラス)のモデル構成とグレード構成
プレオ+(プラス)は単一モデル構成となります。
ベースモデル
このモデルには4つのグレードが用意されています。
・F グレード(2WD・4WD)
・F スマートアシスト グレード(2WD・4WD)
・L スマートアシスト グレード(2WD・4WD)
・G スマートアシスト グレード(2WD・4WD)
●「F」グレードの主な装備
・カラード フロントバンパー
・カラード リヤバンパー
・リヤスポイラー
・シルバードアハンドル
・無塗装ブラック 可倒式ドアミラー
・UVカット機能付 フロントウインドウガラス
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ
・LEDストップランプ付リヤコンビネーションランプ
・エアロワイパーブレード付フロント間欠ワイパー
・リバース連動リヤワイパー(4WDモデルのみ)
・ヘッドランプ自動消灯システム
・リヤウインドゥデフォッガー
・ウレタンステアリングホイール
・照明付インパネセンターセレクターレバー
・アンバーイルミネーション ルミネセントデジタルメーター
・マルチインフォメーションディスプレイ
・エコドライブアシスト照明
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・盗難警報装置
・集中ドアロック
・クリーンエアフィルター付マニュアルエアコン
・リヤヒーターダクト(4WDモデルのみ)
・運転席/助手席シートベルト未装着ウォーニングランプ&ブザー
・12V インパネアクセサリーソケット
・燃料残量ウォーニングランプ
・パワーウインドウ
・フューエルリッドオープナー
・電動パワーステアリング
・方向指示器のワンタッチ機能
・スイッチ式リヤゲートオープナー
・16cmフロント 2スピーカー
・可倒式 ルーフアンテナ
・ヘッドレスト一体型フロントセパレートシート
・可倒式リヤシート
・リヤシートヘッドレスト
・運転席 チケットホルダー付サンバイザー
・助手席 サンバイザー
・助手席 格納式アシストグリップ
・ルームランプ
・フットレスト
・運転席/助手席 堀込み式インパネカップホルダー
・助手席 インパネロングアッパートレイ
・センターフロアトレイ
・インパネ ショッピングフック
・フロント ドアポケット
・リヤ ドアポケット&ボトルホルダー
・グローブボックス
・カーゴルームアンダーボックス
・155/70R13 75Qサイズ タイヤ
・13インチ×4J スチールホイール
・樹脂製ホイールキャップ
・デュアルSRSエアバッグ
・VDC
・エマージェンシーストップシグナル
・EBD付ABS
・ヒルホールドシステム
・LEDハイマウントストップランプ・
・寒冷地仕様(4WDモデルのみ)
など
●「F スマートアシスト」グレードの主な装備
「F」グレードの装備に加えて・・・
・スマートアシストIII:衝突回避支援ブレーキ機能
・スマートアシストIII:衝突警報機能
・スマートアシストIII:車線逸脱警報機能
・スマートアシストIII:AT誤発進抑制制御機能
・スマートアシストIII:先行車発進お知らせ機能
・スマートアシストIII:ハイビームアシスト
・コーナーセンサー
が追加されています。
●「L スマートアシスト」グレードの主な装備
「F スマートアシスト」グレードの装備に加えて・・・
・電動格納式カラードドアミラー
・ヒーテッドドアミラー(4WDモデルのみ)
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤゲートガラス
・LEDハイ&ロービームランプ
・LEDクリアランスランプ
・エアロワイパーブレード付車速感応式フロント間欠ワイパー
・六連星オーナメント付ウレタンステアリングホイール
・メッキシフトレバーボタン/照明付インパネセンターセレクターレバー
・ブルーイルミネーション ルミネセントデジタルメーター
・TFTマルチインフォメーションディスプレイ
・ツートーンインパネ
・メッキインナードアハンドル
・エアベントグリルメッキノブ
・シルバー センターエアベントグリルアクセント
・ピアノブラック調サイドエアベントグリルリング加飾
・運転席 バニティミラー/チケットホルダー付サンバイザー
・助手席 バニティミラー付サンバイザー
・155/65R14 75Qサイズ タイヤ
・14インチ4.5J スチールホイール
が追加されています。
●「G スマートアシスト」グレードの主な装備
「L スマートアシスト」グレードの装備に加えて・・・
・キーレスアクセス連動電動格納式カラードドアミラー
・オートライト
・チルトステアリング調整機構
・キーレスアクセス&プッシュスタート
・イモビライザー
・車速感応式集中ドアロック
・クリーンエアフィルター付プッシュ式オートエアコン
・フロントシートヒーター
・運転席シートリフター
・14インチ4.5J アルミホイール
・SRSサイドエアバッグ
が追加されています。
スバル・プレオ+(プラス)に搭載されるパワーユニットと動力性能
スバル・プレオ+(プラス)には1種類のパワーユニットが設定されています。
●NAエンジン
・エンジン型式:KF-VE型
・エンジン排気量:658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC 12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・特別な機能:可変バルブタイミング機構によるミラーサイクル制御
◆スペック
・最大出力:49ps/6800rpm
・最大トルク:5.8kgf・m/5200rpm
・1リッターあたりのパワー:約74.2ps
・パワーウェイトレシオ:約13.6kg/ps
このエンジンは長年にわたってダイハツの軽自動車における主力エンジンとされているもので、その中でも特に燃費性能を向上することに特化した形で出チューンされたエンジンです。
「第3世代KFエンジン」と呼ばれることもあり、燃費性能を向上させるために高圧縮比にされ、それによるノッキング対策として可変バルブタイミング機構による一時的なミラーサイクルとなる制御がとられています・・・などというと相当いろいろな改良がされていると思ってしまいますが、構造的にそれまでのKF-VE型エンジンと違うのは燃焼室の容量と可変バルブタイミング機構の制御マップ、燃調マップぐらいなものだけで、それよりも燃費性能を向上に一番影響を与えているのは52psから49psへとパワーダウンさせたことで、早い話が「パワーを犠牲にして燃費性能を向上したエンジン」ということになります。
パワースペックとしては・・・まるで20年以上も前の軽商用モデルレベルといえます。
全く走りません。
そもそも軽自動車のNAエンジンの標準的な値となる52psでもかなり苦しい走りとなってしまうのに更にパワーが低いとなればそうなってもおかしくありません。
燃費性能のためとはいえ、少々やりすぎではないでしょうか。
※パワーユニットの評価:☆☆☆☆☆(0)
スバル・プレオ+(プラス)に採用されているトランスミッション
●CVT
プレオ+(プラス)にはトランスミッションの選択肢は設けられておらず、すべてのグレードにおいてCVTのみとなっています。
そもそもCVTというトランスミッションはドライバーがアクセルペダルを深く踏んでもエンジン回転数を燃費性能の良いエンジン回転数(低回転域)に抑え込むために使われているようなもので、他の軽自動車であれば「走行性能が悪い」と言っているところですが、低燃費のためだけに作られたプレオ+(プラス)に採用されているのはむしろ的を射た事といえるでしょう。
構造としては特にこれと変わったものではなく、ごく普通のCVTといえるもので、トルクコンバーターと金属製ベルトを使った無段変速機を組み合わせただけのものです。
性能面もCVTならではのベルト滑りによる加速不良やパワーロス、メリハリのない走りといった症状が出ます。
ただ、このCVTにはちょっと面白いからくりが内蔵されています。
それが「CVTサーモコントローラー」と呼ばれるものです。
「CVTサーモコントローラー」とは簡単に言えば、CVT内部の潤滑や油圧制御用のオイルとして入れられているCVTオイルの油温を制御するものです。
CVTオイルはオイルですので「なかなか温まらない割にはなかなか冷めない」という性質を持ちます。
そういった性質を持つCVTオイルがCVTケースの中に封入されているわけですが、例えば真冬の寒い時にエンジンをかけて走り出したとしてもCVTオイルの性質からなかなか油温が上がらずにいつまでもオイルが固い状態になります。
封入されているオイルが固いということはそれが抵抗になるということで、それに対抗しようとすると余計なガソリンを使ってより大きなパワーを出さなければいけなくなるのです。
そこでCVTオイル引き込み経路とエンジン冷却水引き込み経路を持つCVTサーモコントローラーを設け、CVTオイルよりも早く温度が上がるエンジン冷却水の温度で温度が上がりにくいCVTオイルを温めて、CVTオイルによる抵抗が発生しないようにしたのがこのCVTサーモコントローラーの役割です。
あくまでも低燃費装備ですので、これがあるからといって走りが良くなるわけではありませんが、燃費性能を向上するための車ですからTOので、しいて言え生まれないようにエンジンの熱ですぐに温まる冷却水の温度で温めて、できるだけ早く最適の油温にするというものです。
でも走りは最悪です。
※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(0)
スバル・プレオ+(プラス)の走行性能を決める構造
スバル・プレオ+(プラス)のボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
プレオ+(プラス)のプラットフォームはダイハツにおいて一世代前のダイハツ・Aプラットフォームと呼ばれているものです。
このプラットフォームは、ダイハツやトヨタで小型モデル、軽自動車用として過去に使われていたもので、トヨタグループならではの生産コスト優先の設計がされたものです。
コストを下げるために使用する鋼材の質をぎりぎりまで落とし、フレームやシャシーなどを構成する鋼板もできるだけ薄くしたものを使っています。
そのため、安く作ることができるのですが、強度、剛性はその車にとって必要とされるギリギリの状態となってしまい、日常的な使い方でもボディの変形をきたすことがあるぐらいです。
そのため、激しい運転を繰り返しているとボディのゆがみから異音が聞こえるようになったり、ドアやリヤハッチの立て付けが悪くなったりすることもあるようです。
ちなみに「Dモノコック」などといって高剛性ボディを語っていますが、それまでダイハツで作ってきた軽自動車の剛性と比べれば確かに「高剛性」なのかもしれません。
ただそれまで作ってきたモデルがそもそも剛性が非常に低いだけで、スズキやホンダ、NMKVなどが作っている軽自動車と比べるとこれでやっと同じくらいかこれでもまだまだ低いぐらいです。
トヨタやダイハツのプラットフォームなんてそんなものです。
※ボディ剛性の評価:☆☆☆☆☆(0)
スバル・プレオ+(プラス)の走りの質を決めるサスペンション構造
プレオ+(プラス)に採用されているサスペンション構造は、ダイハツのAプラットフォームで標準となるものが採用されています。
●2WDモデル
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:トーションビーム
●4WDモデル
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:3リンク式コイルリジット
フロントサスペンションは定番のマクファーソンストラットで、リヤサスペンションだけが駆動方式によって違うといった形になります。
2WDモデルも4WDモデルもどちらもリジットサスペンションとなりますが、2WDモデルのものは低コスト仕様のトーションビームとされ、乗り心地も走行性能も褒められたものではありません。
それならむしろ4WDモデルに採用されている3リンク式リジットサスペンションの方が、サスペンション構造としての剛性が高く、動きもいいので優れていると思います。
※サスペンション構造の評価:★☆☆☆☆(1)
スバル・プレオ+(プラス)のストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
車としての性能を捨ててでも燃費性能を向上を目指したモデル、それも軽ベーシックモデルをベースにして作られていることからブレーキシステムは本当に必要最低限といえるものしか与えられていません。
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ
1トン以下の重量に49psのパワー、ブレーキにとってはあまり負担がかかりそうもないので、これで十分なのでしょう。
※ブレーキシステムの評価:★☆☆☆☆(1)
スバル・プレオ+(プラス)に搭載されている4WDシステム
低燃費モデルのプレオ+(プラス)にとってフリクションロス以外の何物でもない4WDシステムは必要のないものなのですが、軽ベーシックモデルも兼ねている関係上、生活四駆としての4WDモデルが用意されています。
といってもそれほど大げさな4WDシステムではなく、いわゆるスタンバイ4WDと呼ばれる簡単な仕組みが付けられています。
これはビスカスカップリングを利用したもので、前後のタイヤの回転数が極端に違った時・・・要するにプレオ+(プラス)でいうところのフロントタイヤが滑りやすい路面の上で空転でしている時だけ、リヤタイヤにも動力が伝わる仕組みになっているということです。
いざという時にはある程度は助かりますが、トラクション性能が優れているというところまでは言えません。
まさに「生活四駆」です。
※4WDシステムの評価:★☆☆☆☆(1)
スバル・プレオ+(プラス)の燃費性能
スバル・プレオ+(プラス)のカタログ燃費と実燃費
●2WDモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大25.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大20.9km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大27.3km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大26.6km/L
・実燃費:約19km/L
※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)
●4WDモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大23.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大19.5km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大25.5km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大24.6km/L
・実燃費:約17km/L
※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)
スバル・プレオ+(プラス)に採用されている低燃費装備
●全モデル
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・ミラーサイクル
スバル・プレオ+(プラス)のライバルモデル比較
スバル・プレオ+(プラス)のライバルとなるのはマツダ・キャロル
プレオ+(プラス)のベースモデルはダイハツの軽ベーシックモデルとなるミラ・イースです。
そしてそのミラ・イースのライバルといえば今では同じトヨタグループの企業となりましたがスズキから発売されているアルトと昔から決まっています。
ただここではミラ・イースではなく、OEM供給モデルのプレオ+(プラス)ですので、ライバルモデルもアルトのOEM供給モデルであるマツダのキャロルということになるかと思います。
ここではプレオ+(プラス)が低燃費モデルであるということから最廉価グレードとなる燃費性能が一番優れているグレード同士で比較してみたいと思います。
●スバル・プレオ+(プラス)の概要
・カテゴリー:軽ハッチバックセダン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:KF-VE型
・比較対象グレード:「L」グレード
●マツダ・キャロル
・カテゴリー:軽ハッチバックセダン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:R06A型
・比較対象グレード:「GF」グレード
スバル・プレオ+(プラス)とマツダ・キャロルのパワースペック比較
●スバル・プレオ+(プラス)
・最大出力:49ps/6800rpm
・最大トルク:5.8kgf・m/5200rpm
●マツダ・キャロル
・最大出力:49ps/6500rpm
・最大トルク:5.9kgf・m/4000rpm
※パワースペック比較結果
偶然にも同じようなパワースペックとなりました。
燃費性能を狙うと49psが一番妥当な数字なのでしょうか?
スバル・プレオ+(プラス)とマツダ・キャロルの燃費性能比較
●スバル・プレオ+(プラス)
・カタログ燃費(JC08モード):最大34.2km/L
・実燃費:約19km/L
●マツダ・キャロル
・カタログ燃費(JC08モード):最大27.2km/L
・実燃費:約22km/L
※燃費性能比較結果
カタログ燃費的には低燃費モデルとして扱われているプレオ+(プラス)の方が有利になっていますが、ダイハツのカタログ燃費はかなりいい加減なもので実燃費と大きくかけ離れることが当たり前のようにあって、このプレオ+(プラス)でもキャロルを下回る実燃費となっています。
スバル・プレオ+(プラス)とマツダ・キャロルの販売価格帯比較
ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。
●スバル・プレオ+(プラス)
約91万円~約137万円
●マツダ・キャロル
約86万円~約124万円
※販売価格帯比較結果
たいした違いはありませんがわずかにプレオ+(プラス)の方が高くなっているようです。
車の内容的にはほとんど変わらないので、この差は自動車メーカーの利益とコストに対する考え方の違いが出たものと思われます。
まとめ
初めてこのプレオというモデルを見た時に「軽自動車ながらちょっと面白い車があるものだ」と感心しましたがそれが年代を重ねるうちにとてもつまらない車になってしまったのはかなり残念です。
似非エコブームも真実を知る方が多くなったことから下火になりつつあるので、ぜひともプレオ+(プラス)ではなく、「プレオ」としてまたスバルらしい軽自動車を作ってもらいたいと思います。
現状のモデルでは・・・「エコカー」としては良いとは思いますが「自動車」としては残念ながら褒めるべき場所はどこにもありません。
※総合評価:★☆☆☆☆(1)