旧日産がプリンス自動車工業を買収してからも継続的に生産、販売が続けられている大衆乗用モデルのスカイライン、一時期は大ヒットモデルにまで上り詰めた車ですが、最近はどうやら人気が低迷しているようです。
では、ここで人気が落ちてきてしまった理由と共にスカイラインという車がどんな車か、どれだけの性能を持っているのかということを検証していきたいと思います。

※ご注意
ここでは日産・スカイラインの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わるボディ形状やエクステリアデザイン、インテリアデザインなどには一切触れていません。

目次

日産・スカイラインが売れなくなった理由は2つある

日産 スカイライン 売れなくなった
スカイラインはもともとプリンス自動車工業という自動車メーカーの車だったのですが、そのプリンス自動車工業が1966年に日産に吸収される形で合併したことから日産が生産・発売するモデルとなった車です。

日産の車となってからC5型、「ハコスカ」で有名なC10型、「ケンメリ」と呼ばれたC110型、排ガス規制によって自動車界全体の元気がなくなった時代に発売されたC210型「ジャパン」、R30型「鉄仮面」「ニューマン」、R31型「7th」と人気も上々の上で、モデルチェンジを繰り返し、バブル景気に沸いた時代に発売されたR32型が大ヒットモデルとなりました。
その後も大ヒットモデルといったところまではいきませんでしたが、R33型、R34型と発売されていったわけですが、2001年に発売されたV35型では思ったような販売台数を得ることができなかったのです。
それはその次期モデルとなったV36型、そして現行モデル(2019年6月時点)のV37型も同様なのですが、これには非常に大きな出来事が影響しています。
その出来事というのが日産がルノーに買い取られてしまったあの一件です。

人気が低迷したモデルV35型の発売は2001年のこと、それに対して日産がルノー傘下に下ったのは1999年のことで、ちょうどタイミングが合うことからスカイラインの人気低迷の原因がそれであると考えて大きく間違いではないでしょう。

ではちょっと具体的に見ていきましょう。

スカイラインの人気低迷の原因~ルノーによって路線変更されたから

スカイラインはプリンス・スカイラインと呼ばれていた頃から大衆セダン、大衆クーペモデルでありながら、ラグジュアリー系ではなくどちらかというとスポーティーなイメージを持った現代風にいうと「スポーティーセダン」的な形で作られてきました。
そのコンセプト、面持ちが当時の若年層の目にとまり、フェアレディZと共に「憧れの車」ということになり、それが人気の要因となったわけです。
しかし、日産がルノー日産になってから発売されたV35型以降のモデルではそういったイメージがかなり弱くなり、ラグジュアリー系にかたむくようになってしまったのです。

これはルノーのある思惑があったからで、ルノーはこのスカイラインを海外向け高級モデル販売チャネルである「インフィニティ」で発売するモデルにしたかったのです。
そのためには旧日産時代で取っていた「中型大衆スポーティーセダン・クーペモデル」という形での車作りはあまり良くないということで、「中型大衆スポーティーモデル」から「大型ラグジュアリーモデル」に変更する必要があったのです。

要するにインフィニティで発売するために国内販売モデルとなるスカイラインに路線変更がしいられてしまったということです。

スポーティーさが売りだったスカイラインからそのほとんどを奪い去っては売れるものも売れません、

スカイラインの人気低迷の原因~ルノーによって車格が上げられてしまった

旧日産時代のスカイラインというのはスカイラインGT-Rも含めて考えても最大で2.5リッターエンジンを搭載し、ボディサイズも5ナンバー枠を少し超える程度の比較的小さなボディを持つモデルでした。
いわば「中型モデル」あるいは「中・大型モデル」といった感じでしたが、ルノーによって作られたV35型からはエンジン排気量も最大で3.5リッターとなり、ボディサイズもだいぶファットになったことから車格が「大型モデル」にまでなってしまったのです。
車格が上がるということは、何も車が大きく高級になるだけではありません。
それにともなって車両販売価格も税金やガソリン代などの維持費も高くなるのです。

それまで気軽に買えるレベルの車でいたスカイラインが自動車ローンを使ったとしてもそれなりの経済力がないと買えない車になってしまえば、販売台数が少なくなるのも当然です。

スカイラインの人気低迷の原因~ルノーによってスカイラインGT-Rが廃止された

排ガス規制をクリアする技術がまだなかった時代のモデルを除いて、それ以外のモデルには必ずスポーツモデルのスカイラインGT-Rが用意されていました。
そのスカイラインGT-Rが半ばスカイラインの人気のほとんどであったわけですが、そのスカイラインGT-Rがルノーの手によって生産終了されてしまったのです。
表向きは「排出ガス規制非適合」ということにされていますが、そのようなことはちょっと手を加えてあげればどうにでもなることですので、それはあくまでも生産終了にする口実、実際にはルノーの車種整理に引っかかってしまい、スーパースポーツモデルの「GT-R」を作るための妨げになることから生産終了にされただけであることがわかっています。

気軽に買えるスポーツモデルであり、スカイラインの人気の中心であったスカイラインGT-Rがラインナップから消えてしまえば当然のごとく人気は低迷してしまいます。

スカイラインはルノーによって潰された

現在のスカイラインがあまり売れないのは結局のところ、ルノーの見立て違いであり、それに対して何も疑わずに実行に移してしまったことで潰されてしまったということになるわけです。

2019年6月時点で発売されているV37型に至ってはかなりひどいことになっており、車名こそ「スカイライン」となっていますがフロントグリルに付けられているエンブレムは、日産のものではなく、インフィニティのものにされているぐらいです。
これが2019年6月時点のスカイラインの実情です。

日産・スカイラインのこれまでの出来事

●初代モデル S5型 1963年9月発売

・1966年8月 日産との合併で「ニッサン・プリンス・スカイライン」に改名
・1966年10月 マイナーチェンジ

●2代目モデル C10型 1968年8月発売

・1968年10月 「GT」の追加
・1969年2月 「GT-R(PGC10型)」、1800ccエンジンモデルの追加
・1969年10月 マイナーチェンジ
・1970年10月 マイナーチェンジ 2ドアハードトップモデル、「GT-R(KPGC10型)」の追加
・1971年9月 マイナーチェンジ 「GT-X」の追加

●3代目モデル C110型 1972年9月発売

・1973年1月 「GT-R(KPGC110型)」の追加
・1975年5月 マイナーチェンジ
・1975年10月 マイナーチェンジ

●4代目モデル C210型 1977年8月発売

・1979年7月 マイナーチェンジ
・1979年8月 ステーションワゴンモデルの追加
・1980年4月 ターボエンジンモデルの追加
・1980年6月 ディーゼルエンジンモデルの追加

●5代目モデル R30型 1981年8月発売

・1981年10月 「RS」の追加
・1983年2月 ターボエンジンモデルの「ターボRS」の追加
・1983年8月 マイナーチェンジ デザイン小変更「鉄仮面」の登場
・1983年10月 「ポール・ニューマン・バージョン」の追加
・1984年2月 インタークーラー付ターボエンジンモデルの「ターボインタークーラーRS」シリーズの追加

●6代目モデル R31型 1985年8月発売

・1986年1月 ステーションワゴンモデルの追加
・1986年5月 2ドアスポーツクーペの「GTS」シリーズの追加
・1986年9月 4ドアハードトップに「GTS」シリーズの追加
・1987年8月 マイナーチェンジ 「2ドアスポーツクーペGTS-R」の発売
・1988年5月 「GTSオーテックバージョン」の発売

●7代目モデル R32型 1989年5月発売

・1989年8月 「スカイラインGT-R」の追加
・1991年8月 マイナーチェンジ

●8代目モデル R33型 1993年8月発売

・1995年1月 「スカイラインGT-R」の追加
・1996年1月 マイナーチェンジ

●9代目モデル R34型 1998年5月発売

・1999年1月 「スカイラインGT-R」の追加
・1999年2月 4ドアセダンモデルに「25GT-V」の追加
・2000年1月 2ドアクーペモデルに「25GT-V」の追加
・2000年8月 マイナーチェンジ
・2000年10月 スカイラインGT-Rマイナーチェンジ 「VスペックII」の追加
・2001年5月 「スカイラインGT-R M・spec」の追加
・2002年8月 スカイラインGT-R生産終了

●10代目モデル V35型 2001年6月発売

・2002年2月 セダンモデル「350GT-8」の追加
・2003年1月 クーペモデルの追加
・2003年6月 セダン「350GTプレミアム」、「350GT」の追加

●11代目モデル V36型 2006年11月発売

・2007年10月 クーペモデルの追加
・2007年11月 セダンモデル「250GT Type S」追加
・2008年12月 マイナーチェンジ VQ37VHR型エンジンの採用
・2009年4月 クロスオーバーSUV「スカイラインクロスオーバー」の追加

●12代目モデル V37型 2014年11月発売

・2014年6月 2リッターターボエンジンモデルの「200GT-t」の追加
・2016年3月 一部変更
・2016年11月 一部変更
・2017年12月 マイナーチェンジ

日産・スカイラインが属するカテゴリー

●車格:大型大衆モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:4ドアセダン
●エンジン排気量クラス:2リッターターボクラス、3.5リッターハイブリッド

日産・スカイラインのオーナー層

●年齢層:40歳ぐらいから60歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:富裕層(新車購入)、高収入層(新車購入)、大衆層(中古車購入)
●その他:インフィニティに影響された方が多い

日産・スカイラインの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・ガソリンエンジン
・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム

●トランスミッション
・7速オートマチックトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FR
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル
・なし

●兄弟車
・あり…インフィニティQ50(日本未発売)

日産・スカイラインのモデル構成とグレード構成

スカイライン 日産 グレード構成
スカイラインには2つのモデルが用意されています。

2リッターターボエンジンモデル

このモデルには3つのグレードが用意されています。

・200GT-t グレード(2WD)
・200GT-t Type P グレード(2WD)
・200GT-t Type SP グレード(2WD)

●「200GT-t」グレードの主な装備

・LEDヘッドランプ
・フロント&バックソナー
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・インテリジェントキー
・プッシュエンジンスターター
・本革巻ステアリングホイール
・本革巻セレクターノブ
・車速感応式電動油圧パワーステアリング
・ステアリングスイッチ
・インテリジェントクルーズコントロール
・インテリジェントペダル
・クリーンフィルター付オートエアコン
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・スカイラインホログラフィックサウンドシステム
・アクティブ・サウンド・コントロール
・アクティブ・ノイズ・コントロール
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・運転席手動ランバーサポート
・ソフトジャカード織物/ネオソフィールコンビシート生地
・デュアルエキゾースト
・17インチ×7.5J 切削光輝アルミホイール
・225/55RF17サイズ ランフラットタイヤ
・インテリジェント LI
・インテリジェント BSI
・インテリジェント BUI
・インテリジェント FCW
・インテリジェントエマージェンシーブレーキ
・ブレーキアシストエマージェンシーストップシグナル
・イモビライザー

など

●「200GT-t Type P」グレードの主な装備

「200GT-t」グレードの装備に加えて

・ハイビームアシスト
・アクティブAFS
・リバース連動下向ドアミラー
・インテリジェントエアコンシステム
・パーソナルドライビングポジションメモリーシステム
・運転席電動ランバーサポート
・本革シート生地
・18インチ×7.5 Jアルミホイール
・225/50RF18サイズ ランフラットタイヤ

が追加されています。

●「200GT-t Type SP」グレードの主な装備
「200GT-t Type P」グレードの装備に加えて

・パドルシフト
・アルミペダル
・専用フロントバンパー
・19インチ×8.5J切削光輝アルミホイール
・245/40RF19サイズ ランフラットタイヤ

が追加されています。

ハイブリッドモデル

ハイブリッドモデルには3つのグレードと駆動方式違いのグレードがそれぞれのグレードに用意されています。
「FOUR」という文字が含まれているのが4WDモデルとなります。
4WDモデルの装備は同じグレード名の2WDモデルとほぼ同じです。

・350GT HYBRID グレード(2WD)、350GT HYBRID FOUR グレード(4WD)
・350GT HYBRID Type P グレード(2WD)、350GT HYBRID FOUR Type P グレード(4WD)
・350GT HYBRID Type SP グレード(2WD)、350GT HYBRIDT FOUR Type SP グレード(4WD)

●「350GT HYBRID・350GT HYBRID FOUR」グレードの主な装備

・LEDヘッドランプ
・フロント&バックソナー
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・インテリジェントキー
・プッシュエンジンスターター
・本革巻ステアリングホイール
・本革巻セレクターノブ
・ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロール
・ステアリングスイッチ
・インテリジェントクルーズコントロール
・インテリジェントペダル
・ECOペダル
・HEVパワー計
・クリーンフィルター付オートエアコン
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・スカイラインホログラフィックサウンドシステム
・アクティブ・サウンド・コントロール
・アクティブ・ノイズ・コントロール
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・運転席手動ランバーサポート
・ソフトジャカード織物/ネオソフィールコンビシート生地
・デュアルエキゾースト
・ダブルピストンショックアブソーバー
・17インチ×7.5J 切削光輝アルミホイール
・225/55RF17サイズ ランフラットタイヤ
・インテリジェント LI
・インテリジェント BSI
・インテリジェント BUI
・インテリジェント FCW
・インテリジェントエマージェンシーブレーキ
・ブレーキアシストエマージェンシーストップシグナル
・イモビライザー
・車両接近通報装置

など

●「350GT HYBRID Type P・350GT HYBRID FOUR Type P」グレードの主な装備

「350GT HYBRID・350GT HYBRID FOUR」グレードの装備に加えて

・ハイビームアシスト
・アクティブAFS
・リバース連動下向ドアミラー
・インテリジェントエアコンシステム
・パーソナルドライビングポジションメモリーシステム
・運転席電動ランバーサポート
・本革シート生地
・18インチ×7.5 Jアルミホイール
・225/50RF18サイズ ランフラットタイヤ

が追加されています。

●「350GT HYBRID Type SP・350GT HYBRIDT FOUR Type SP」グレードの主な装備
「350GT HYBRID Type P・350GT HYBRID FOUR Type P」グレードの装備に加えて

・パドルシフト
・アルミペダル
・専用フロントバンパー
・19インチ×8.5J切削光輝アルミホイール
・245/40RF19サイズ ランフラットタイヤ
・スポーツチューンドブレーキ

が追加されています。

日産・スカイラインに搭載されるパワーユニットと動力性能

スカイライン 動力性能 パワーユニット
日産・スカイラインには 種類のパワーユニットが設定されています。

●2リッターターボエンジン

・エンジン型式:274A型
・エンジン排気量:1991cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:211ps/5500rpm
・最大トルク:35.7kgf・m/1250~3,500rpm

・1リッターあたりのパワー:約105.5ps
・パワーウェイトレシオ:約8.0kg/ps

このパワーユニットは2リッターターボエンジンモデル

・「200GT-t」グレード
・「200GT-t Type P」グレード
・「200GT-t Type SP」グレード

に搭載されているものです。

このエンジンは日産のエンジンではなく、ドイツの自動車メーカーグループ、ダイムラーで開発された274930型エンジンの供給を受けたもので、メルセデスベンツでもM274型エンジンと呼ばれて使われています。

いわゆる「ダウンサイジングターボエンジン」と呼ばれるもので、エンジン排気量を小さくして燃費性能を向上させ、エンジン排気量を小さくしたことでパワーダウンした分をターボチャージャーで稼ぐという理念で作られているものです。

なので、ランサーエボリューションXやWRX STIなどに搭載されているハイパワーを狙った2リッターターボエンジンとはちょっと性質が違うため、パワースペック自体もかなり抑え気味となっています。

スカイラインぐらいのサイズの車体を持つ車でこのパワーはちょっと厳しいかもしれません。

※パワーユニットの評価:★★☆☆☆(2)

●エンジン
・最大出力:306ps/6,800rpm
・最大トルク:35.7kgf・m/5,000rpm

●電気モーター
・最大出力:68ps
・最大トルク:29.6kgf・m

●システムパワー:364ps

●3.5リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム

○エンジン
・エンジン型式:VQ35HR型
・エンジン排気量:3,498cc
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:ポート噴射

○電気モーター
・電気モーター形式:HM34型

○ハイブリッドシステム:インテリジェント デュアルクラッチ コントロール ハイブリッドシステム
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

○エンジン
・最大出力:306ps/6,800rpm
・最大トルク:35.7kgf・m/5,000rpm

○電気モーター
・最大出力:68ps
・最大トルク:29.6kgf・m

○システムパワー:364ps

・1リッターあたりのパワー:約104ps
・パワーウェイトレシオ:約4.9kg/ps

このパワーユニットはハイブリッドモデルの

・「350GT HYBRID」グレード
・「350GT HYBRID FOUR」グレード
・「350GT HYBRID Type P」グレード
・「350GT HYBRID FOUR Type P」グレード
・「350GT HYBRID Type SP」グレード
・「350GT HYBRIDT FOUR Type SP」グレード

に搭載されているものです。

このハイブリッドモデルに搭載されているハイブリッドシステムは、トランスミッションケース内に内蔵された電気モーターとその前後に入れられた2つのクラッチで構成されており、その2つのクラッチを巧みに操作して、EV走行からエンジンだけでの走行、2つのパワーをあわせた走行を切り替えながら走るようになっています。

パワー的にも申し分なく、ハイブリッドシステムの制御も適切であるため、燃費性能を高めながらもパワフルな運転を楽しむことができます。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

日産・スカイラインに採用されているトランスミッション

スカイライン 日産 トランスミッション
スカイラインには全モデルにおいて7速オートマチックトランスミッションが採用されていることになっていますが、2リッターターボエンジンモデルとハイブリッドモデルとでは構造が違います。

●オートマチックトランスミッション(2リッターターボエンジンモデル用)

2リッターターボエンジンモデルに搭載されているのは日産名「7M-ATx」と呼ばれるごく普通の7段変速の多段式オートマチックトランスミッションです。
構造的にもトルクコンバーターと遊星ギヤを使ったギヤボックス、そしてその2つの間に入れられたクラッチといったごく一般的なもので、マニュアルモードも採用されています。
マニュアルモードは、「Type SP」系グレードであればパドル操作で変速が可能となります。

※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)

●オートマチックトランスミッション(ハイブリッドモデル用)

ハイブリッドモデルに与えられている7速オートマチックトランスミッションはハイブリッドシステムの関係上、専用品が与えらています。
スカイラインに採用されているハイブリッドシステムではトランスミッションケース内に駆動用の電気モーターを備えることになっているため、どうしても専用のトランスミッションが必要になってしまうのです。

このオートマチックトランスミッションはジャトコ製の「JR712E」型と呼ばれるもので、ジャトコは日産グループの企業ですので内製ということになります。

構造としては通常のFR向け7速オートマチックトランスミッションを改造して、トルクコンバーターの部分に駆動用電気モーターと乾式単板クラッチを詰め込んだ形で作られています。
なので見た目はごく普通のFR用のオートマチックトランスミッションでしかありません。

このトランスミッションにもマニュアルモードが採用されていて「Type SP」系グレードであればパドルによるマニュアル操作が可能となります。

※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)

日産・スカイラインの走行性能を決める構造

日産・スカイラインのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

このモデルは日産の大型FRレイアウト用として開発された「FR-Lプラットフォーム」を使って作られています。
FR-Lプラットフォームは国内向けモデルだけでなく、海外向けモデルや高級モデルを扱うインフィニティで販売するモデルにも使われているため、作りは世界的に通用するようなものとされており、シャシーだけの剛性もかなり高められています。

更にスカイラインでは、高速走行時の直進安定性を高めるためにフレームの剛性もかなり高くされていることから、かなり優れたボディ剛性を持たされているといっていいでしょう。

実際に運転してみるとよくわかるのですが、ボディが激しく揺れるような舗装が波打っているところを走ってもボディから異音1つ聞こえることもなく、ボディの捻じれを感じることもありません。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

日産・スカイラインの走りの質を決めるサスペンション構造

スカイラインのサスペンション構造は日産では定番の

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・リヤサスペンション:マルチリンク

が採用されています。
これらのサスペンション構造は、長年いろいろなモデルの使われてきたもので実績が高く、各サスペンションアーム、サスペンションの土台となるシャシー部分の剛性もかなり高められているため非常によく動きます。

コイルスプリングとショックアブソーバーのセッティングが若干、柔らかめなのはちょっと気になりますが、スピードレンジが高まってもフワフワ、フラフラといったことはなく不安を感じることもありません。

※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)

日産・スカイラインのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

スカイラインは重量がちょっと重たいモデルですので、標準装備でもかなり性能のいいブレーキシステムが採用されています。

前後ともベンチレーテッドディスクを使用したディスクブレーキとなっており、ブレーキキャリパーも

・フロント:4ポット対向ピストンキャリパー
・リヤ:2ポット対向ピストンキャリパー

とどちらも対向ピストンキャリパーが採用されています。
ディスクローターも

・フロント:φ355mm
・リヤ:φ350mm

とノーマルにしては大きめのものが付けられています。

V37型になってよりラグジュアリー性が高められてしまったのでこの車でスポーツ走行をガンガンするということもないかと思いますので、このノーマルのブレーキシステムで十分ではないかと思います。
もし不安であれば、ブレーキパッドを対フェード性の高いものに交換するといいでしょう。

※ブレーキシステムの評価:★★★★☆(4)

日産・スカイラインに搭載されている4WDシステム

ハイブリッドモデルに用意されている4WDモデルには「ATTESA E-TS」という4WDシステムが採用されています。
この4WDシステムは、いわゆるスタイバイ4WDと呼ばれる類のもので通常は後輪駆動で走り、リヤタイヤの空転を検知した時だけフロントタイヤにも駆動力を与え、一時的に4WD状態にするというものです。

構造としてはトランスファー内に内蔵された湿式多板クラッチを油圧で操作し、そのクラッチの結合力の強さで0:100から50:50の範囲で前後トルク配分を調整します。

いわゆる生活四駆に近いものですので、悪路など滑りやすいところでのトラクション性能が劇的に向上するというものではありません。

※4WDシステムの評価:★★☆☆☆(2)

日産・スカイラインの燃費性能

日産 スカイライン 燃費性能

日産・スカイラインのカタログ燃費と実燃費

●2リッターターボエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大13.0km/L
・実燃費:約9km/L

一応は、燃費のことを考えたダウンサイジングターボエンジンなのですが、そもそもが燃費性能を気にしないドイツのエンジンであるため、潜在能力的に燃費性能はあまり良くなく、それを補助する低燃費装備もたいしたものが付けらえていないのでどうしてもこういった数字になってしまいます。

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

●ハイブリッドモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.8km/L
・実燃費:約12km/L

スカイラインに搭載されているハイブリッドシステムはどちらかというとエンジンでの走行をメインとするものであるため、ハイブリッドモデルといってもトヨタのTHS-IIのようにはいきません。
これには3.5リッターという大排気量エンジンを搭載しているのも手伝っています。

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

日産・スカイラインに採用されている低燃費装備

●2リッターターボエンジンモデル

・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン
・可変バルブタイミング機構
・電動油圧パワーステアリング機構
・オルタネーター制御

●ハイブリッドモデル
・ハイブリッドシステム
・可変バルブタイミング機構
・電動油圧パワーステアリング機構

日産・スカイラインのライバルモデル比較

日産・スカイラインのライバルとなるのはトヨタ・GS

スカイラインは大型ラグジュアリーセダンモデルでありながら少しだけスポーティーなイメージを持つモデルです。
それに該当するモデルといえば、いろいろなモデルがありますが、FRレイアウトを持つことを踏まえると

・トヨタ マークX
・トヨタ クラウン
・トヨタ GS

といったモデルに絞られてきます

ただこの中で、マークXは2019年いっぱいで生産終了となってしまいますので今さら比較しても意味がありませんし、クラウンは現行モデルになってLSの流用モデルとなり、車格が上がってしまったことから比較対象として適切ではありません。
そうなると残りのGSということになりますが、GSはもともとはクラウンベースの高額モデルでクラウンの兄弟車にあたります。
そして現在のGSはちょうどクラウンの先代モデルを流用したモデルですのでライバルとしてが適当ではないかと思います。

トヨタのGSは、トヨタ・レクサス店専売モデルで現行モデル(2019年6月現在)は2012年から発売されているL10系型モデルとなります。
このモデルはS210型クラウンの流用モデルでほとんどの部分を同じとします。

モデルのバリエーションもスカイラインにとても良く似ており、ダウンサイジングターボエンジンを搭載した2リッターターボエンジンモデル、3.5リッターエンジンを搭載したハイブリッドモデルが含まれています。
(それ以外にも2.5リッターNAエンジンモデル、2.5リッターハイブリッドモデル、3.5リッターNAエンジンモデルなどもある)

●日産・スカイラインの概要
・カテゴリー:FRスポーティーセダン
・車格:大型大衆モデル
・エンジン排気量:3,498cc
・パワーユニット形式:VQ35HR型+HM34型
・比較対象グレード:「350GT HYBRID」グレード

●トヨタ・GSの概要
・カテゴリー:FRスポーティーセダン
・車格:大型高額大衆モデル
・エンジン排気量:3,456cc
・パワーユニット形式:2GR-FXE型+1KM型
・比較対象グレード:「GS450h」グレード

日産・スカイラインとトヨタ・GSのパワースペック比較

●日産・スカイライン

・システムパワー:364ps

●トヨタ・GS

・システムパワー:348ps

※パワースペック比較結果

エンジンパワーはスカイラインの方が上、電気モーターのパワーはGSの方が上ですが、GSは燃費性能にこだわりすぎて電気モーターだけでの走行を多くなるような制御が取られていることからシステムパワーが若干劣ることになっています。
まさにトヨタらしいことです。

日産・スカイラインとトヨタ・GSの燃費性能比較

●日産・スカイライン
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.8km/L
・実燃費:約12km/L

●トヨタ・GS
・カタログ燃費:最大18.2km/L
・実燃費:約9km/L

※燃費性能比較結果

これもよくあるパターンになってしまいました。
カタログ燃費上はトヨタの車であるGSの方が優れているのですが、実燃費になるとそれが逆転するといったものです。

実際に車を購入してそれを乗り回した時の燃費性能は実燃費に近いものとなるわけですから、いくら燃費性能のテストの時だけいい数字が出てもスカイラインの方がわずかに燃費性能が優れていることになります。

日産・スカイラインとトヨタ・GSの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●日産・スカイライン

約417万円~約585万円

●トヨタ・GS

約579万円~約1,119万円

※販売価格帯比較結果

これはもう明らかでしょう。
そもそもGSは、トヨタの高額車両を更に高額で販売するに作られた販売チャネルである「トヨタ・レクサス店」で販売されている車ですので価格が高いのも当たり前です。

その点、日産のスカイラインはほぼ同じ性能でもっと安く買えます。

まとめ

スカイライン 日産 まとめ
売れないといわれているスカイライン、こうしてみると決して悪い車ではないことがわかります。
むしろ走行性能や価格面などほめるべき車です。

このような車が売れないのは冒頭でも言いましたとおり、ルノーがあまりにも旧日産時代のスカイラインを無視した形の車作りをしてしまったこと、無理やりルノー流で売り始めてしまったこともありますが、それと同じくらい影響を受けているのが、現在の日本の自動車市場の動きでしょう。

現在の日本の自動車市場は、低価格・低維持費の軽自動車やトールワゴン、クロスオーバーSUV風自動車、ファミリーカーとして定番となったミニバンなどばかりがバンバン売れている状態です。
そういった中で4ドアセダンモデルはどの車格のものでも売れ行きが悪く、そのなかでも大型セダンは特に売るのが難しい車です。

こういった状況になってしまってはいくらいい車を作っても、安い車を作っても売れなくなるのは当然だと思います。
たぶんここしばらくはこういった4ドアセダンモデルが売れない状況が続くと思いますが、それでも負けずにスカイラインを作り続けていってもらいたいと思います。

※総合評価:★★★★☆(4)

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