「日本で一番売れたミニバン」として有名だったC25型、中型ミニバンで初めてのハイブリッドモデルとなったC26型、常に日本の自動車界において注目を集めてきた日産の大衆中型ミニバンのセレナ、2016年に発売されたC27型でまたもや注目を集めています。
注目を集めている理由はe-POWERモデルが発売されたことです。
ここではそのe-POWERモデルも含めて、日産のセレナが自動車として、また中型ミニバンとしてどれだけの性能を持っているのかという点を検証していきたいと思います。
※ご注意
ここでは、個人の好みやセンスによって評価が大きく変わるボディのデザインやエクステリアデザイン、インテリアデザインなどには一切触れていません。
そういったことを知りたい方は、自動車メーカーのWebカタログを参考にしてください。
目次
日産の稼ぎ頭であるセレナには積極的に新たな技術が搭載される
日産のセレナは、1978年に発売された小型ワンボックスカーのサニーバネット・チェリーバネット兄弟車の系統を受け継ぐモデルとして発売されているものです。
モデルの系統をさかのぼってみると、サニーバネット・チェリーバネット兄弟車がのちに「バネット」と改名して発売され、そのモデルにもワゴンモデルが作られました。
そのワゴンモデルの「バネット・コーチ」(日産ではワンボックスワゴンモデルのことを「コーチ」と呼びます)の中の上級グレードのみを独立させた形としたのが「バネット・セレナ」で、実はこのモデルがセレナの初代モデルとなります。
バネット・セレナは1991年に発売されたモデルだったのですが、モデル途中の1994年に行われたマイナーチェンジの際に「バネット・セレナ」から「セレナ」に改名したことで生み出されたモデルですので、このモデルが「バネット・セレナ」でもあり、「セレナ」の初代モデルなるわけです。
現在までセレナは5台のモデルが作られてきたのですが、当初は時代の流れに乗るかのように
・ワンボックス形状から1.5ボックス形状へ(初代モデル)
・FRレイアウトからFFレイアウトへ(2代目モデル)
・キャビンサイズの拡大、シートアレンジの改善(3代目モデル)
などを行ってきました。
その結果、3代目モデルの途中にあたる2007年から2010年にかけて「日本で一番、販売台数が多いミニバン」としての称号を得ることができたわけですが、それを見た日産は
「セレナで儲けられる!」
と思ったようで、そこからセレナに惜しみなく新しい技術を採用するようになったのです。
4代目モデルとなるC26型では
・直噴エンジンの採用
・ECOモーター式のアイドリングストップ機構の採用
・スマートシンプルハイブリッド「S-HYBRID」の採用
などといったことが施されました。
特に「S-HYBRID」の採用は、簡易型ハイブリッドシステムながら中型ミニバンで初となるハイブリッドモデルの発売ということで少し落ちてきた販売台数を再び上昇させることにもなりました。
その後、ライバルモデルであるノア・ヴォクシー兄弟車にプリウスのハイブリッドシステムをそっくりそのまま移植した形で作られた本格的なハイブリッドモデルが作られたり、新たな兄弟車としてエスクァイアが登場して3兄弟体制となったことから人気も注目度もそれらのモデルに持っていかれてしまいました。
しかし、日産も黙ってはいません、2016年に通常サイクルで行われてモデルチェンジで発売された5代目モデルのC27型で、当初こそ前モデル同様の2リッターNAガソリンエンジンモデルとS-HYBRIDモデルの二本立てとなっていましたが、2018年には2つのモデルに加えて本格的なハイブリッドモデルとなるe-POWERモデルが追加されることになりました。
このモデルの登場によってセレナの注目度を飛躍的にあがり、このモデル当初から採用されていた安全装備の「プロパイロット」の影響もあって、販売台数がまたぐっと上がることになったのです。
日産・セレナのこれまでの出来事
●初代モデル C23型 1991年6月発売(バネット・セレナとして)
・1993年8月 マイナーチェンジ ディーゼルエンジンモデルの廃止
・1994年5月 マイナーチェンジ 車名が「セレナ」に変更される
・1997年1月 マイナーチェンジ 1.6リッターエンジンモデルの廃止
●2代目モデル C24型 1999年6月発売
・2000年6月 ハイルーフモデルの追加 「ライダー」モデル追加 「Kid'sバージョン」追加
・2001年5月 「コールマンバージョン」追加
・2001年12月 マイナーチェンジ ディーゼルエンジンモデルの廃止 デザイン小変更
・2002年5月 「コールマンバージョンII」追加
●3代目モデル C25型 2005年5月発売
・2006年6月 「ハイウェイスター」モデルの追加 「アクシス」モデルの追加
・2007年12月 マイナーチェンジ
・2007年12月 「ライダー パフォーマンススペック」「ライダー ハイパフォーマンススペック」の追加
●4代目モデル C26型 2010年11月発売
・2011年10月 3種類の「ライダー」モデルの追加
・2012年8月 S-HYBRID搭載モデルの発売 「クロスギア」の追加
・2013年12月 マイナーチェンジ デザイン小変更 「エマージェンシーブレーキ」「LDW」の採用
●5代目モデル C27型 2016年8月発売
・2017年11月 「NISMO」モデルの追加
・2018年1月 「AUTECH」モデルの追加
・2018年2月 e-POWERモデルの追加
日産・セレナが属するカテゴリー
●車格:大衆中型ファミリーカー
●用途・目的:生活車、家族の移動用
●車両カテゴリー:中型ミニバン
●エンジン排気量クラス:1.2リッタークラス、2リッタークラス
日産・セレナのオーナー層
●年齢層:25歳ぐらいから50歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:大衆層
●その他:子供のいる家族に好まれる
日産・セレナの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム
●トランスミッション
・CVT
・なし
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FF
・スタンバイ式4WD
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム(コイルスプリング) 4WD=マルチリンク(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:FF=ソリッドディスク ディスクブレーキ 4WD=ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
●ベースモデル
・なし
●兄弟車
・なし
日産・セレナのモデル構成とグレード構成
C27型セレナには5つのモデルが用意されています。
2リッターNAエンジンモデル
このモデルは最廉価グレードといった位置づけになるためものグレードとなります。
・S グレード(2WD)
このモデルは最廉価グレードであることから装着されている装備も非常に簡素なものとなっています。
●「S」グレードの主な装備
・ハロゲンヘッドライト
・織物・トリコットコンビシート生地
・ビニールレザー・樹脂インテリア
・助手席側のみのパワースライドドア
・オートエアコン
・リヤクーラー
・195/65サイズ タイヤ
・15インチ×5.5JJ スチールホイール
など
S-HYBRIDモデル
S-HYBRIDモデルには6グレードの設定があります。
・X グレード(2WD・4WD)
・X VセレクションII グレード(2WD・4WD)
・G グレード(2WD・4WD)
・ハイウェイスター グレード(2WD・4WD)
・ハイウェイスターVセレクションII グレード(2WD・4WD)
・ハイウェイスターG グレード(2WD)
●「X」グレードの主な装備
・ハロゲンヘッドライト
・織物・トリコットコンビシート生地
・オートエアコン(2WD)
・リヤクーラー(2WD)
・オートデュアルエアコン(4WD)
・195/65サイズ タイヤ
・15インチ×5.5JJ スチールホイール
・アイドリングストップ
など
●「X VセレクションII」グレードの主な装備
「X」グレードの装備に加えて
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・両側ワンタッチオートスライドドア
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
・専用デザインホイールキャップ
が追加されています。
●「G」グレードの主な装備
「X」グレードの装備に加えて・・・
・LEDヘッドランプ
・ハロゲンフォグランプ風タウンランプ
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・本革巻3本スポークステアリング
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・両側ワンタッチオートスライドドア
・ピアノ調パワーウインドウスイッチフィニッシャー
・プラズマクラスター搭載オートエアコン(2WD)
・リヤクーラー(2WD)
・プラズマクラスター搭載オートデュアルエアコン(4WD)
・15インチ×5.5J アルミホイール
が追加されています。
●「ハイウェイスター」グレードの主な装備
「X」グレードの装備に加えて
・専用ハロゲンヘッドライト
・ハロゲンフォグランプ風タウンランプ
・本革巻3本スポークステアリング
・ジャカード織物・トリコットコンビシート生地
・ハイウェイスター専用フロントグリル
・ハイウェイスター専用フロントバンパー
・ハイウェイスター専用リヤバンパー
・ハイウェイスター専用サイドシルプロテクター
・ハイウェイスター専用エンブレム
・ハイウェイスター専用サスペンション
・15インチ×5.5J アルミホイール
が追加されています。
●「ハイウェイスターVセレクションII」グレードの主な装備
「ハイウェイスター」グレードの装備に加えて
・LEDヘッドランプ
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・両側ハンズフリーオートスライドドア
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
・195/60サイズ タイヤ(2WD)
・16インチ×6.0J アルミホイール(2WD)
・195/65サイズ タイヤ(4WD)
・15インチ×5.5J アルミホイール(4WD)
が追加されています。
●「ハイウェイスターG」グレードの主な装備
「ハイウェイスター」グレードの装備に加えて
・LEDヘッドランプ
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・両側ハンズフリーオートスライドドア
・ピアノ調パワーウインドウスイッチフィニッシャー
・プラズマクラスター搭載オートエアコン
・リヤクーラー
・195/60サイズ タイヤ
・16インチ×6.0J アルミホイール
が追加されています。
e-POWERモデル
e-POWERモデルには4つのグレードが用意されています。
・e-POWER X グレード(2WD)
・e-POWER XV グレード(2WD)
・e-POWER ハイウェイスター グレード(2WD)
・e-POWER ハイウェイスターV グレード(2WD)
●「e-POWER X」グレードの主な装備
・ハロゲンヘッドライト
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・電制シフト
・アドバンスドドライブアシストディスプレイ
・織物・トリコットコンビシート生地
・キャプテンシート型セカンドシート
・e-POWER専用フロントブルーグリル
・e-POWER専用リヤサイドスポイラー
・e-POWER専用e-POWERエンブレム
・フロントセンタートレイ
・195/65サイズ タイヤ
・e-POWER専用デザイン15インチ×5.5J アルミホイール
・アイドリングストップ
・車両接近通報装置
・オートエアコン
・リヤクーラー
など
●「e-POWER XV」グレードの主な装備
「e-POWER X」グレードの装備に加えて
・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・両側ワンタッチオートスライドドア
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
が追加されています。
●「e-POWER ハイウェイスター」グレードの主な装備
「e-POWER X」グレードの装備に加えて
・専用ハロゲンヘッドライト
・ハロゲンフォグランプ風タウンランプ
・本革巻3本スポークステアリング
・ジャカード織物・トリコットコンビシート生地
・ハイウェイスター専用フロントグリル
・ハイウェイスター専用フロントバンパー
・ハイウェイスター専用リヤバンパー
・ハイウェイスター専用サイドシルプロテクター
・ハイウェイスター専用エンブレム
・ハイウェイスター専用サスペンション
が追加されています。
●「e-POWER ハイウェイスターV」グレードの主な装備
「e-POWER ハイウェイスター」グレードの装備に加えて
・LEDヘッドランプ
・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・両側ハンズフリーオートスライドドア
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
が追加されています。
AUTECH(オーテック)モデル
このモデルには3つのグレードと2つのサブグレードが用意されています。
・AUTECH グレード(2WD・4WD)
・AUTECH Vパッケージ グレード(2WD・4WD)
・AUTECH セーフティーパッケージ グレード(2WD・4WD)
・AUTECH スポーツスペック グレード(2WD)
・e-POWER AUTECH Vパッケージ グレード(2WD)
・e-POWER AUTECH セーフティーパッケージ グレード(2WD)
●「AUTECH」グレードの主な装備
・ハロゲンヘッドライト
・LEDフォグランプ風タウンランプ
・専用LEDリヤコンビネーションランプ
・専用サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・専用本革巻3本スポークステアリング
・ピアノ調センタークラスターフィニッシャー
・ピアノ調パワーウインドウスイッチフィニッシャー
・専用センタークラスターエンブレム
・オートエアコン(2WD)
・リヤクーラー(2WD)
・オートデュアルエアコン(4WD)
・専用インテリアパーツ
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・AUTECH専用フロントグリル
・AUTECH専用フロントバンパー
・AUTECH専用フロントプロテクター
・AUTECH専用サイドシルプロテクター
・AUTECH専用リヤバンパー
・AUTECH専用リヤプロテクター
・AUTECH専用エンブレム
・左側ハンズフリーオートスライドドア
・ハイウェイスター専用サスペンション
・195/60サイズ タイヤ(2WD)
・16インチ×6.0J アルミホイール(2WD)
・195/65サイズ タイヤ(4WD)
・15インチ×5.5J アルミホイール(4WD)
など
●「AUTECH Vパッケージ」グレードの主な装備
「AUTECH」グレードの装備に加えて
・LEDヘッドランプ
・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
・両側ハンズフリーオートスライドドア
が追加されています。
●「AUTECH セーフティーパッケージ」グレードの主な装備
「AUTECH」グレードの装備に加えて
・LEDヘッドランプ
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・オートデュアルエアコン
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
・専用テールフィニッシャー
・専用マフラー
・両側ハンズフリーオートスライドドア
・インテリジェントパーキングアシスト
・インテリジェント LI
・インテリジェント DA
・踏み間違い衝突防止アシスト
・標識検知機能
・フロント&バックソナー
・SRSカーテンエアバッグシステム&サイドエアバッグシステム
が追加されています。
●「AUTECH スポーツスペック」グレードの主な装備
「AUTECH」グレードの装備に加えて
・LEDヘッドランプ
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・インテリジェントルームミラー
・プロパイロット・オーディオ機能付ステアリングスイッチ
・電動パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド
・オートデュアルエアコン
・専用テールフィニッシャー
・専用マフラー
・両側ハンズフリーオートスライドドア
・プロパイロット
・インテリジェントパーキングアシスト
・インテリジェント LI
・インテリジェント DA
・踏み間違い衝突防止アシスト
・標識検知機能
・フロント&バックソナー
・SRSカーテンエアバッグシステム&サイドエアバッグシステム
・205/50サイズ タイヤ MICHELIN PILOT SPORT 4
・専用デザイン17インチ×6.5Jアルミホイール
・専用ボディ補強パーツ
・専用サスペンション(コイルスプリング、ショックアブソーバー、リヤ強化スタビライザー)
・専用ECU
・専用車速感応式電動パワーステアリング
・専用VDC
が追加されています。
●「e-POWER AUTECH Vパッケージ」グレードの主な装備
・LEDヘッドランプ
・LEDフォグランプ風タウンランプ
・e-POWER専用LEDリヤコンビネーションランプ
・専用サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・スーパーUVカット断熱グリーンフロントドアガラス
・専用本革巻3本スポークステアリング
・オートエアコン
・リヤクーラー
・日産オリジナルナビ取付パッケージ
・専用インテリアパーツ
・キャプテンシート型セカンドシート
・超ロングスライド+横スライド機能付セカンドシート
・スライド機能付サードシート
・セカンドシート後方シートバックフック
・AUTECH専用フロントグリル
・AUTECH専用フロントバンパー
・AUTECH専用フロントプロテクター
・AUTECH専用サイドシルプロテクター
・AUTECH専用リヤバンパー
・AUTECH専用リヤプロテクター
・AUTECH専用エンブレム
・e-POWER専用リヤサイドスポイラー
・e-POWER専用e-POWERエンブレム
・195/65サイズ タイヤ
・15インチ×5.5J アルミホイール
・アイドリングストップ
・車両接近通報装置
など
●「e-POWER AUTECH セーフティーパッケージ」グレードの主な装備
「e-POWER AUTECH Vパッケージ」グレードの装備に加えて
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・ステアリングヒーター
・オートデュアルエアコン
・前席クイックコンフォートヒーター付シート
・インテリジェントパーキングアシスト
・インテリジェント LI
・インテリジェント DA
・踏み間違い衝突防止アシスト
・標識検知機能
・フロント&バックソナー
・SRSカーテンエアバッグシステム&サイドエアバッグシステム
が追加されています。
NISMOモデル
このモデルはモノグレードとなります。
・NISMO グレード(2WD)
●「NISMO」グレードの主な装備
このグレードの装備は、S-HYBRIDモデルに用意されている「ハイウェイスター」グレードをベースとしており、それに以下のような専用の装備を追加した形で作られています。
NISMO専用LEDハイパーデイライト
NISMO専用サイドターンランプ付電動格納式リモコンブラックドアミラー
NISMO専用車速感応式電動パワーステアリング
NISMO専用本革・アルカンターラ巻3本スポークステアリング
NISMO専用本革巻セレクターノブ
NISMO専用コンビメーター
NISMO専用アドバンスドドライブアシストディスプレイ
NISMO専用センタークラスター
NISMO専用エンブレム
NISMO専用レッドフィニッシャー
NISMO専用スエード調インストパッド
NISMO専用ブラックインテリアトリム
NISMO専用スエード調シート生地
NISMO専用スエード調ドアトリムクロス
NISMO専用フロントグリル
NISMO専用エクステリアフロントバンパー
NISMO専用アウトサイドドアハンドル
NISMO専用バックドアフィニッシャー
NISMO専用リヤバンパー
NISMO専用サイドシルプロテクター
NISMO専用リヤスポイラー
NISMO専用エンブレム
NISMO専用スポーツマフラー
205/50サイズ タイヤ POTENZA Adrenalin RE003
NISMO専用17インチ×6.5Jアルミホイール
NISMO専用ボディ補強パーツ
NISMO専用サスペンション(コイルスプリング、ショックアブソーバー、リヤ強化スタビライザー)
NISMO専用ECU
NISMO専用VDC
など
日産・セレナに搭載されるパワーユニットと動力性能
日産・セレナには 3種類のパワーユニットが設定されています。
●2リッターNAエンジン
・エンジン型式:MR20DD型
・エンジン排気量:1,997cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:ミラーサイクル
◆スペック
・最大出力:150ps/6,000rpm
・最大トルク:20.4kgf・m/4,400rpm
・1リッターあたりのパワー:約75ps
・パワーウェイトレシオ:約10.8kg/ps
いわゆるごく普通の実用型エンジンです。
直噴エンジンですので長く乗り続けるには相当なメンテナンス費用が掛かります。
このパワーユニットは
・S グレード
に採用されています。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
●2リッターNAエンジン+S-HYBRID
○エンジン
・エンジン型式:MR20DD型
・エンジン排気量:1,997cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:ミラーサイクル
○電気モーター
・電気モーター形式:SM24型
○ハイブリッドシステム:S-HYBRID(簡易型ハイブリッドシステム)
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー
◆スペック
○エンジン
・最大出力:150ps/6,000rpm
・最大トルク:20.4kgf・m/4,400rpm
○電気モーター
・最大出力:2.6ps
・最大トルク:4.9kgf・m
○システムパワー:約150ps
・1リッターあたりのパワー:約75ps
・パワーウェイトレシオ:約11kg/ps
電気モーターによるアシストがあってもあまり頼りになりません。
このシステムに採用されているエンジンも直噴エンジンですので、メンテナンスを忘れてはいけません。
このパワーユニットは
・X グレード
・X VセレクションII グレード
・G グレード
・ハイウェイスター グレード
・ハイウェイスターVセレクションII グレード
・ハイウェイスターG グレード
・AUTECH グレード
・AUTECH Vパッケージ グレード
・AUTECH セーフティーパッケージ グレード
・AUTECH スポーツスペック グレード
・NISMO グレード
に採用されています。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
●1.2リッターNAエンジン+e-POWER
○エンジン
・エンジン型式:HR12DE型
・エンジン排気量:1198cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOH12Cバルブ
・燃料供給:ポート内噴射
・特別な機能:ミラーサイクル
○電気モーター
・電気モーター形式:EM57型
○ハイブリッドシステム:e-POWER(シリーズハイブリッドシステム)
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー
◆スペック
○エンジン
・最大出力:84ps/6,000rpm
・最大トルク:10.5kgf・m/3,200~5,200rpm
○電気モーター
・最大出力:136ps/2,985-8,000rpm
・最大トルク:32.6kgf・m/0-2,985rpm
○システムパワー:約136ps
・1リッターあたりのパワー:約113ps
・パワーウェイトレシオ:約12.7kg/ps
シリーズハイブリッドモデルといってもさすがに136ps程度では快適な走りなどできません。
このパワーユニットは
・e-POWER X グレード
・e-POWER XV グレード
・e-POWER ハイウェイスター グレード
・e-POWER ハイウェイスターV グレード
・e-POWER AUTECH Vパッケージ グレード
・e-POWER AUTECH セーフティーパッケージ グレード
に採用されています。
※パワーユニットの評価:★★☆☆☆(2)
日産・セレナに採用されているトランスミッション
セレナには3つのパワーユニットが用意されていますが、ガソリンエンジンモデルとS-HYBRIDモデルは同じトランスミッション、e-POWERモデルはファイナルギヤだけでトランスミッションを持たないことから、トランスミッションは1つだけとなります。
●CVT
ガソリンエンジンモデルとS-HYBRIDモデルに採用されているのがこのCVTです。
日産名でいうところの「エクストロニックCVT」といったものですが、なんてことはないただのCVTです。
トルクコンバーターと1ペアのプーリー、金属製のベルトで構成されている低燃費を実現するためのトランスミッションです。
なので、高く見積もってみてもこれで走りを楽しめるといったような強さではありません。
※トランスミッションの評価:★☆☆☆☆(1)
日産・セレナの走行性能を決める構造
日産・セレナのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
C27型セレナに採用されているプラットフォームは実は2005年に発売された3代目モデルのC25型で使われていたものと全く同じアライアンスのCプラットフォームです。
要するにC25型のプラットフォームをC26型、C27型とずっと使い続けているということになるということです。
ずっと同じものを使い続けていることは特に悪いことではありませんが、さすがに10年以上も前に開発されたものを現在のモデルに使っているという点はやはりデメリットになると思います。
特に車両重量が極端に増えてしまったe-POWERモデルでは、シャシーやフレームにかなりの負担がかかっていて走っていてもボディが大きく捻じれていることを感じてしまうぐらいの剛性感しかありません。
そもそもCプラットフォームはもっと軽い車用として設計されたものでそれに補強をする形で重量があるモデルにも対応できるようにしたものですから、トータルで見てしまうとどうしても軟さが出てきてしまうのです。
それにトールミニバンというボディ形状はそもそもボディ剛性を確保しにくいものですのでそれとの相乗効果でかなり軟なつくりになってしまっています。
※ボディ剛性の評価:★☆☆☆☆(1)
日産・セレナの走りの質を決めるサスペンション構造
セレナに与えられているサスペンション構造には2つのものがあります。
FFモデル用
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:トーションビーム
4WDモデル用
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:マルチリンク
この使い分けは日産ではよくあることなのですが、FFモデルは低コストのためにトーションビームを使う、4WDモデルはリヤアクスルがあるため仕方なくマルチリンクを使うといった感じです。
走りに関してはトーションビームは最悪、マルチリンクは最高といった感じの両極端なもので、できればFFモデルもリヤサスペンションにマルチリンクを採用してほしかったと思うぐらいです。
ただ、そもそもセレナは大衆ファミリーカーであるわけですから安全に道路を走れればいいだけですのでこれで十分なのかもしれません。
ちなみにハイウェイスターには専用のサスペンションセットが、AUTECHモデル、NISMOモデルにも専用のサスペンションセットとスタビライザーが採用されていますが、ちょっと高く感じるだけで走行性能が格段と良くなるということは絶対にありません。
実際に乗り比べたことがある人間が言うのですから間違いありません。
※サスペンション構造の評価:FFモデル=★☆☆☆☆(1)4WDモデル=★★☆☆☆(2)
日産・セレナのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
セレナは全モデルにおいて4輪ともディスクブレーキが採用されています。
フロントは2ポットのフローティングキャリパーでリヤはシングルポットのフローティングキャリパーとなります。
ディスクローターは基本的にフロントがベンチレーテッドディスク、リヤがソリッドディスクとなるのですが、4WDモデルは重量が重くブレーキにかかる負担が大きいため、リヤブレーキにもベンチレーテッドディスクが使われています。
どちらにしてもセレナの走りに対しては十分な制動力を持っているので特に問題はありません。
山道を良く走るのであれば、ブレーキパッドを対フェード性の高いものに交換してもいいでしょう。
※ブレーキシステムの評価:★★★★☆(4)
日産・セレナに搭載されている4WDシステム
S-HYBRIDモデルに用意されている4WDモデルには、「オートコントロール4WDシステム」が搭載されています。
このシステムは、いわゆる「スタンバイ4WD」と呼ばれるものでフロントタイヤとリヤタイヤに大きな回転差が生まれた時だけ結合するカップリング(受動的に機能するクラッチみたいなもの)を用いた生活四駆用のものです。
トラクション性能としては必要最低限であって、まさに日常生活の中で時々あるスリッピーな路面での走行に向いています。
FF状態から4WD状態に移り変わるまでにちょっと時間がかかるのが難点です。
もちろんこれがついているからといって走行性能が向上するといったこともありません。
※4WDシステムの評価:★☆☆☆☆(1)
日産・セレナの燃費性能
日産・セレナのカタログ燃費と実燃費
●2リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.0km/L
・実燃費:約12km/L
2リッターのNAエンジンでこれだけの数字が出ればOKではないでしょうか。
※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)
●S-HYBRIDモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.2km/L
・実燃費:約14km/L
ハイブリッドモデルとしてみると期待外れですが、簡易型ハイブリッドであることを踏まえていみればこんなものではないでしょうか。
※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)
●e-POWERモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大26.2km/L
・実燃費:約22km/L
電気モーターだけで走るシリーズハイブリッドシステムを搭載しているだけあってカタログ燃費も実燃費もかなり優れているといっていいでしょう。
※燃費性能の評価:★★★★☆(4)
日産・セレナに採用されている低燃費装備
●2リッターNAエンジンモデル
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・直噴エンジン
●S-HYBRIDモデル
・簡易型ハイブリッドシステム
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン
●e-POWERモデル
・シリーズハイブリッドシステム
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
日産・セレナのライバルモデル比較
日産・セレナのライバルとなるのはトヨタ・ノア
セレナは2リッターエンジンクラスの大衆中型ミニバンです。
この車のライバルモデルとなるのは、日産の永遠のライバルであるトヨタから発売されているノアでしょう。
トヨタのノアは、ノア、ヴォクシー、エスクァイアといった3兄弟モデルの中の1モデル、その中でも一番まともなファミリーカーとして作られているのがノアです。
現在のノアには2リッターNAエンジンモデルとプリウスのハイブリッドシステムを完全移植して作られたハイブリッドモデルがあります。
ここではそのハイブリッドモデルとセレナのe-POWERモデルを比較してみたいと思います。
●日産・セレナの概要
・カテゴリー:中型ミニバン
・車格:大衆ファミリーカー
・パワーユニット:1.2リッター+e-POWER
・パワーユニット形式:HR12DE型+EM57型
●トヨタ・ノアの概要
・カテゴリー:中型ミニバン
・車格:大衆ファミリーカー
・パワーユニット:1.8リッターエンジン+リダクション機構付きTHS-II
・パワーユニット形式:2ZR-FXE型+5JM型
日産・セレナとトヨタ・ノアのパワースペック比較
●日産・セレナ
・システムパワー:136ps
●トヨタ・ノア
・システムパワー:136ps
※パワースペック比較結果
見事に両車とも同じ数字になりましたが、同じパワーを1.2リッターエンジンと1.8リッターエンジンで発揮する形になっているのはそれだけハイブリッドシステムの構造や制御が違うということです。
1.8リッターエンジンを搭載しているノアはちょっともったいない気がします。
日産・セレナとトヨタ・ノアの燃費性能比較
●日産・セレナ(e-POWERモデル)
・カタログ燃費(JC08モード):最大26.2km/L
・実燃費:約22km/L
●トヨタ・ノア(HYBRID Gグレード)
・カタログ燃費(JC08モード):最大23.8km/L
・実燃費:約16km/L
※燃費性能比較結果
カタログ燃費比較ではセレナの方が2.4km/Lほど優れた数字になっているだけですが、実燃費で比較するとその差が8km/Lぐらいにひろがってしまっています。
ノアの完敗です。
日産・セレナとトヨタ・ノアの販売価格帯比較
ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。
●日産・セレナ
約244万円~約382万円
●トヨタ・ノア
約251万円~約325万円
※販売価格帯比較結果
低額側は似たような金額となっていますが、高額側は圧倒的にセレナの方が高くなっています。
セレナの高額側が高くなっているのはドレスアップモデルのAUTECHモデルの価格が高いからです。
対してノアにも「GRスポーツ」というドレスアップモデルがありますが、そのモデル自体にはほとんどお金がかけられていないので、標準モデルレベルの価格でおさまっています。
こういった特別なモデルを除いてみると高額側は
セレナ:約291万円
ノア:329万円
と逆転します。
標準モデルを買うのであればセレナの方が安く変える、ドレスアップモデルを買うのであればノアの方が安く変えるという結果になります。
まとめ
セレナは大衆ファミリーミニバンですので、走りに関わる性能を見て良し悪しを評価するのはちょっとかわいそうですが、「走ること」が最大の目的であるため、それを見ないで車の評価をすることはできません。
そういったことを踏まえて見てみると
ファミリーカーとしてはいいが、走りの性能は平凡
といったところでしょう。
※総合評価:★★☆☆☆(2)