スポーツ車 GT-R 日産
日産・GT-R=本車種
ホンダ・NSX=ライバル

日本のモデルの中で世界に通用する初めてのスーパースポーツモデルといえば日産のGT-Rでしょう。
ではこのGT-Rのどの部分が世界に通用するスーパースポーツモデルなのか、GT-Rとはどんな車なのかを検証していきたいと思います。

※ご注意
ここでは日産・GT-Rの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わるボディ形状やエクステリアデザイン、インテリアデザインなどには一切触れていません。

ルノー日産が精魂込めて作り上げたスーパースポーツ、日産・GT-R

NISSAN GT-R ルノー
日産にはかなり昔からスカイラインGT-Rというスポーツモデルがありました。
このモデルは大衆セダンモデルだったスカイラインに専用の競技用パーツを取り付け、クローズドサーキットで行うモータースポーツにも対応できるようにしたものです。

初代モデルとなったのは4ドアセダンモデルのPGC10型とすぐ後に発売された2ドアハードトップモデルのKPGC10型で、このモデルには当時では最先端技術を使って作られたエンジンとされていた2リッター直列6気筒DOHCという構造をもつS20型を搭載されていました。
このモデルは当時、モータースポーツにおいても公道においても負けなしといえるほどの優れた性能を持っていて、若年層が憧れるスポーツモデルでした。

しかし、2代目モデルのKPGC110型にモデルチェンジした際に、のちに厳しい基準で有名となった「昭和48年排出ガス規制」が施行され、KPGC110型にも搭載されていたS20型エンジンがそれに適合できないということからスカイラインはそのまま継続的に発売され続けましたがS20型エンジンを搭載するスカイラインGT-R・KPGC110型は200台の生産台数も満たさないうちに生産終了となってしまいました。

その後、スカイラインはC210型、R30型、R31型と複数回のモデルチェンジを経て、進化していくことになるのですが、排ガス規制に適合させる技術が未完成であったため、パワースペックの優れたエンジンを搭載することがかなわなかったことからスポーツモデルのスカイラインGT-Rは作られない形となっていました。

しかし1989年にそれが大きく動きました。
1989年に発売されたR32型の時にとうとうスカイラインGT-Rが復活をしたのです。
この頃にはインジェクションによる燃料供給技術もかなり進み、EGRやキャタライザーなどの排気ガス清浄装置の開発もあって、スカイラインGT-Rに搭載するハイパワーエンジンでも排ガス基準をクリアすることができるようになったのです。
そのモデルが第二世代スカイラインGT-Rなどと呼ばれるBNR32型です。

その後もスカイラインGT-Rは、1995年発売のBCNR33型、1999年発売のBNR34型まで作られますが、エコブームや自動車界における低燃費競争の激化、景気の低迷などが影響していわゆる「余計な車」としてみられてしまうようになったスポーツモデルは軒並み販売台数が低迷し、生産終了となるモデルが多くなってきたこと、日産が経営破綻寸前となりコストのかかるスポーツモデルを作り続けることができなくなったこと、そして極めつけはその経営状態の悪化を救うべく介入してきたルノーによって車種整理の対象になったことから2002年をもってスカイラインGT-Rは再び生産終了となってしまいました。

しかし、ルノーはスカイラインGT-Rを生産終了にするだけではありませんでした。
なんとそのスカイラインGT-Rの代わりとなるようなスポーツモデル、それも普通のスポーツモデルではなく、世界も通用するようなスーパースポーツモデルを発売したのです。

それがこのGT-Rです。
GT-RというととかくスカイラインGT-Rと混同してしまう方が多いようですが、このGT-RはスカイラインGT-Rとは全く無関係で系統的にも別の全く新しいモデルとなります。
間違えないようにしましょう。

・2002年まで発売されていたのは「スカイラインGT-R」
・2007年に発売されたのは「GT-R」

です。

日産・GT-Rのこれまでの出来事

GT-Rは2007年に発売以来、2019年時点で一度もモデルチェンジを行っていません。
ただそのかわりといっては何ですが、数年ごとに「年次改良」などといった国産モデルらしく言うのであれば「ビッグマイナーチェンジ」を行うことで進化してきました。

●初代モデル R35型 2007年年12月発売

・2008年7月 「NISMOクラブスポーツパッケージ」の追加
・2008年12月 2009年モデル発売
・2009年2月 「SpecV」の追加
・2010年11月 ビッグマイナーチェンジ 2011年モデル発売
・2011年11月 ビッグマイナーチェンジ 2012年モデル発売
・2012年11月 ビッグマイナーチェンジ 2013年モデル発売
・2013年12月 ビッグマイナーチェンジ 2014年モデル発売 「NISMO」モデルの追加
・2014年11月 ビッグマイナーチェンジ 2015年モデル発売
・2015年2月 「45th Anniversary」の追加
・2016年7月 ビッグマイナーチェンジ 2017年モデル発売
・2016年8月 「Track edition engineered by nismo」の追加
・2017年11月 ビッグマイナーチェンジ 2018年モデル発売
・2019年1月 「大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル」の発売
・2019年4月 ビッグマイナーチェンジ 2020年モデル発売 「50th Anniversary」の発売

日産・GT-Rが属するカテゴリー

●車格:大型スーパースポーツモデル
●用途・目的:スポーツ走行用、競技車両
●車両カテゴリー:スーパースポーツモデル
●エンジン排気量クラス:3.8リッターターボエンジンクラスクラス

日産・GT-Rのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから50歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:富裕層 高収入層、大衆層(中古車)
●その他:経済的に余裕のある方でスポーツモデルに対する理解がある方

日産・GT-Rの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・ガソリンエンジン

●トランスミッション
・DCT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・スポーツ4WD(FRベース)

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル
・なし

●兄弟車
・なし

日産・GT-Rのモデル構成とグレード構成

NISSAN GT-R 構成
GT-Rには2つのモデルが設定されています。(2019年6月時点)

標準モデル

このモデルには3つのグレードが用意されています。(2019年6月時点)

・Pure edition(ピュア・エディション) グレード
・Black edition(ブラック・エディション) グレード
・Premium edition(プレミアム:エディション) グレード

●「Pure edition(ピュア・エディション)」グレードの主な装備

・LEDスーパーワイドビームヘッドランプ
・LEDハイパーデイライト
・ブラック本革巻ステアリングホイール
・ブラックディンプル付本革巻シフトノブ
・パドルシフト
・ステアリングスイッチ
・ディンプル付本革巻パーキングブレーキレバー
・ブラックドアグリップ
・インテリジェントキー
・カーボン製センターコンソールフィニッシャー
・アルミ調フィニッシャー
・カーボン調コンビメーター
・独立温度調整機能オートエアコン
・20インチ×9.5J フロント レイズ製鍛造アルミホイール
・20インチ×10.5J リヤ レイズ製鍛造アルミホイール
・255/40ZRF20サイズ フロント ランフラットタイヤ DUNLOP SP SPORT MAXX GT 600 DSST CTT
・285/35ZRF20サイズ リヤ ランフラットタイヤ DUNLOP SP SPORT MAXX GT 600 DSST CTT
・クルーズコントロール
・タイヤ空気圧警報システム
・国土交通省認可サッチャム欧州カテゴリーII準拠車両防盗システム
・CDプレーヤー一体型AM・FMラジオ
・6スピーカー
・NissanConnectナビゲーションシステム
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・前席本革・パールスエードコンビシート生地
・アルミ製エンジンフード
・リヤスポイラー
・サイドシルプロテクター
・フェンダープロテクター
・ステンレス製デュアルエキゾースト
・アルミ製トランクリッド

など

●「Black edition(ブラック・エディション)」グレードの主な装備

「Pure edition(ピュア・エディション)」グレードの装備に加えて

・バックビューモニター
・レッドステッチ入りブラック本革巻ステアリングホイール
・レッドステッチ入りブラックディンプル付本革巻シフトノブ
・レッドステッチ入りブラックドアグリップ
・エキゾースト・サウンド・コントロール
・BOSEサウンドシステム
・11スピーカー
・アクティブ・ノイズ・コントロール
・アクティブ・サウンド・コントロール
・専用RECAROシート
・前席ヒーター付シート
・藤壺製電子制御バルブ付チタン合金製マフラー

が追加されています。

●「Premium edition(プレミアム:エディション)」グレードの主な装備
「Black edition(ブラック・エディション)」グレードの装備に加えて

・ブラック本革巻ステアリングホイール
・ブラックディンプル付本革巻シフトノブ
・ブラックドアグリップ
・前席本革・パールスエードコンビシート生地
・ファッショナブルインテリアのメーカーオプション設定

が追加されています。

NISMOモデル

NISMOモデルは日産のモータースポーツ部門であるNISMOが手掛けたGT-Rで一番スパルタンで豪華なモデルです。
ここでは2019年10月に発売の2020年モデルを見てみます。

グレード構成はなくモノグレードです。

・NISMO グレード

NISMOモデルは標準モデルをベースに、NISMOモデルならでは部品をつけた形で構成されています。

●「NISMO」モデルに追加される部品や装備

・NISMO専用カーボンルーフ
・NISMO専用カーボンフロントバンパー
・NISMO専用アンダーカバー
・NISMO専用カーボンサイドシルプロテクター
・NISMO専用カーボンリヤバンパー
・NISMO専用カーボンリヤスポイラー
・NISMO専用ドライカーボン製トランクリッド
・NISMO専用カーボンボンネットフード
・NISMO専用カーボンフロントフェンダー
・NISMO専用高剛性ボンディングボディ
・NISMO専用GT3タービン
・NISMO専用チューニングエンジン
・NISMO専用チューニングコンピュータ
・NISMO専用カーボンセラミックブレーキローター
・NISMO専用ブレーキキャリパー
・NISMO専用ブレーキパッド
・NISMO専用強化サスペンション
・NISMO専用強化スタビライザー
・NISMO専用レイズ製20インチアルミ鍛造ホイール(フロント:10J、リヤ:10.5J)
・NISMO専用ランフラットタイヤ
・NISMO専用RECARO製カーボンバックバケットシート

など

日産・GT-Rに搭載されるパワーユニットと動力性能

日産 GT-R 性能
日産・GT-Rにはパワーユニットの選択肢は用意されておらず全モデルで同じ形式のエンジンが採用されている形になっていますが、ターボチャージャーやECU内の制御プログラム、エンジンの内部の構造、補機類などといったものが違うチューニングエンジン的なものも用意されています。

●3.8リッターツインターボエンジン(標準モデル用)

・エンジン型式:VR38DETT型
・エンジン排気量:3,799リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ(ツインタイミングチェーン)
・燃料供給:ポート噴射
・過給器:ツインターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:570ps/6,800rpm
・最大トルク:65.0kgf・m/3,300~5,800rpm

・1リッターあたりのパワー:約150ps
・パワーウェイトレシオ:約3.1kg/ps

このエンジンは標準モデルの全グレードに採用されているものです。
パワーを削ってでも燃費性能を向上させるという手段が大衆モデルの中で当たり前の要に行われている昨今の中で、3.8リッターという大排気量にV型6気筒というバランスの優れたシリンダー配置、片バンクに1つずつ合計2つの大容量タービンを備えたツインターボという構成を取ったこのエンジンはまさに世界が認めるスーパースポーツモデルにふさわしいエンジンといえるでしょう。

このエンジンも他の部品と同様にこのGT-Rのために作られたもので、どこかの自動車メーカーでよく使われる手段の既存モデルからの流用エンジンではありません。

それにしてもリッターあたり150psとパワーウェイトレシオ3.1kg/psという数字は圧巻です。

※パワーユニットの評価:★★★★★(5)

●3.8リッターツインターボエンジン(NISMOモデル用)

・エンジン型式:VR38DETT型
・エンジン排気量:3,799リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ(ツインタイミングチェーン)
・燃料供給:ポート噴射(大吐出量インジェクター)
・過給器:ツインターボチャージャー(GT3タービン)

◆スペック

・最大出力:600ps/6,800rpm
・最大トルク:66.5kgf・m/3,600~5,600rpm

・1リッターあたりのパワー:約157ps
・パワーウェイトレシオ:約2.9kg/ps

標準モデルのエンジンにモータースポーツのGT3クラスに参戦するGT-Rと同じタイプのターボチャージャーをつけ、それに合わせてシリンダーブロックもクローズドデッキとして強度をアップ、燃料噴射システムも燃料ポンプやインジェクターを大容量化し、冷却系も加圧式リザーバータンクを採用するなどして公道用モデルのエンジンとして最大限のメーカーチューンを施したのがこのNISMOモデル専用のVR38DETT型エンジンです。

パワースペックもさることながら車体全体の軽量化も相まってパワーウェイトレシオもとうとう3kg/psを切ることになりました。

※パワーユニットの評価:★★★★★(5)

日産・GT-Rに採用されているトランスミッション

●DCT

GT-Rには全モデル共通でDCTが搭載されています。
DCTとは「デュアル・クラッチ・トランスミッション」の略で、湿式クラッチとギヤボックスをセットしたものをクラッチを繋ぎ変える形で交互に使うことで変速を行うものです。

クラッチ操作は自動化されているので、日本の法律上ではオートマチックトランスミッションに該当します。

このトランスミッションはGR6型と呼ばれているもので日産純正とされていますが内部の一部にはボルグワーナー社の部品が使われています。

このトランスミッションで最大の特徴となるのが車体に搭載されている位置です。
このモデルはFRベースのスポーツ4WDモデルなので、エンジンレイアウトはエンジン縦置きで後ろにプロペラシャフトが伸びるFRレイアウトと同じようなスタイルを持ちます。

通常のFRレイアウトではエンジンのすぐ後ろにトラスミッションが一体となる形で付けられ、そこからまっすぐ後ろにプロペラシャフトを伸ばしてリヤアクスルにあるデファレンシャルギヤに繋がるという形になるものですが、このGT-Rではエンジンとトラスミッションを切り離し、トラスミッションをリヤアクスルにあるリヤデファレンシャルギヤと一体型としたのです。

これによって車の中で一番の重量物となるエンジンとトランスミッションの組み合わせを分離することができ、それを前後に分けておくことで前後の重量バランスを良くすることができるのです。

ちなみにこのモデルは4WDモデルですのでリヤアクスルにあるトランスミッションからフロント駆動用のプロペラシャフトが前に向かって伸びる形となるため、プロペラシャフトが2本通っている形となります。

運転した感想はまさに激速、この変速スピードはきっとプロのレーシングドライバーでも真似をすることができないでしょう。
時々大きな変速ショックが出るのはご愛敬でしょうか。

※トランスミッションの評価:★★★★★(5)

日産・GT-Rの走行性能を決める構造

GT-R 性能 構造

日産・GT-Rのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

GT-Rはまさにこの車のために設計図を引き、この車のために部品を作り、この車のために専用の組み立てラインを作るといった形で作られたオリジナル性の高い車です。
これはどの自動車メーカーも見習ってもらいたい部分(特にトヨタ)でもあるのですが、当然ながらプラットフォームもGT-R専用のPMプラットフォームとなります。

このプラットフォームはGT-Rで採用しているトランスアクスル(エンジンとトランスミッションを分離した形)に対応できるように、ハイパワーに対応できるように開発されたもので、シャシー自体の剛性もかなり高められています。

対してモノコックフレームにおいても、剛性・強度の高い鋼材を使ったしっかり厚みのある鋼板を使って作られているだけでなく、構造用接着剤を充填したボンディングボディという手段を使って更にボディ剛性を高めています。

GT-Rも一応量産車ですので言いますが、国産オンロード乗用モデルの中で一番高いボディ剛性を持つモデルといっていいでしょう。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

日産・GT-Rの走りの質を決めるサスペンション構造

走行性能を決めるといってもサスペンション構造、スポーツモデルやスーパースポーツモデルにとっては特に重要です。
そのような重要な部分においてもGT-Rは抜かりはありません。

構造的にも

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・リヤサスペンション:マルチリンク

といったように最高の組み合わせとなっていますし、ショックアブソーバーに関しても室内のスイッチで減衰力を調整できるビルシュタイン製のダンプトロニックが採用されていて様々なシチュエーションで最高のセッティングを得ることができるようになっています。

サスペンション構造においても文句なしですが、街乗りですと少々硬く感じるかもしれません。

※サスペンション構造の評価:★★★★★(5)

日産・GT-Rのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

ハイパワーなエンジンを搭載する車にはそれを受け止めることができるだけの強大なストッピングパワーを発揮できるブレーキシステムが必要です。
この点もGT-Rではきちんと考えらえています。

それは構造を見れば一目瞭然です。

まずブレーキ構造ですが、当たり前のように前後ともディスクブレーキです。
次にブレーキローターですがこちらは

フロント:φ390mmフルフローティングドリルドローター
リヤ:φ380mmフルフローティングドリルドローター

とまさにレーシングモデル並みのスペックです。

それから肝心のブレーキキャリパーですが、こちらは前後ともイタリアの自動車部品メーカーであるブレンボ製のもので、ブレーキキャリパーの「開き」が少ないモノブロック型のものが採用されています。
ブレーキキャリパーの構成も

・フロント:対向6ポッドキャリパー
・リヤ:対向4ポッドキャリパー

といったように国産モデルでは稀に見るハイスペックぶりです。

これだけいいブレーキシステムを持っているのであれば効きが悪いわけがないでしょう。

※ブレーキシステムの評価:★★★★★(5)

日産・GT-Rに搭載されている4WDシステム

GT-RはFRベースのスポーツ4WDモデルですので全モデルに4WDシステムが採用されています。
その名も「ATTESA E-TS」と呼ばれているもので、制御としてはGセンサーやステアリング舵角センサーなどから得たデータを解析して、前後のトルク配分を完全なリヤ駆動となる0:100からセンターデフ直結状態と同じ50:50まで間から最適と思われる状態に調整します。

ただ、実際にはほとんどの時間はリヤ駆動状態となっており、リヤタイヤが空転した時、コーナーリングを脱出する時などといったフロントタイヤにトラクションが必要と思われる状況の時だけフロントタイヤに駆動力を伝える形なります。

構造的にはリヤアクスルにあるトランスミッションケースの中にある湿式多板式クラッチの結束力を調整することでフロントアクスルへの駆動力を調整しています。

スポーツ4WDシステムとしては申し分ないものだと思います。

※4WDシステムの評価:★★★★★(5)

日産・GT-Rの燃費性能

日産・GT-Rのカタログ燃費と実燃費

スーパースポーツモデルの燃費性能を見るというのもなんだか筋違いのような気がしますが、街乗りに使う方もいるかもしれませんので一応見ていきたいと思います。

・カタログ燃費(WLTCモード):最大7.8km/L
・実燃費:約5km/L

スーパースポーツモデルに燃費性能を求めてはいけません。
これで「良し」とするだけに経済力を持つ方だけに買っていただきたいと思います。

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

日産・GT-Rに採用されている低燃費装備

・可変バルブタイミング機構

低燃費装備もたったこれだけですが、これで十分です。

日産・GT-Rのライバルモデル比較

日産・GT-Rのライバルとなるのはホンダ・NSX

国産モデルで初となるスーパースポーツモデル、それも完全オリジナルのスーパースポーツモデルとして発売されたGT-Rのライバルにふさわしいのは、国産モデルで2番目の完全オリジナルのスーパースポーツモデルとなるホンダのNSXとなります。

NSXは1990年にミッドシップレイアウトを持つスポーツモデルとして発売されたのち2006年まで発売されました。
そしてその2代目モデルとして2016年に発売されたのがハイブリッドモデルとなったNC型NSXで、このGT-Rの最大のライバルとなるモデルです。

●日産・GT-Rの概要
・カテゴリー:スーパースポーツモデル
・車格:スーパースポーツモデル
・エンジン排気量:約3.8リッター
・エンジン形式:VR38DETT型
・比較対象モデル:標準モデル

●ホンダ・NSXの概要
・カテゴリー:スーパースポーツモデル
・車格:スーパースポーツモデル
・エンジン排気量:約3.5リッター
・パワーユニット形式:JNC型+H3型+H2型
・比較対象モデル:標準モデル

日産・GT-Rとホンダ・NSXのパワースペック比較

●日産・GT-R

・最大出力:570ps/6,800rpm
・最大トルク:65.0kgf・m/3,300~5,800rpm

●ホンダ・NSX
・システムパワー:581ps

※パワースペック比較結果

パワースペック的には両車ともほぼ同じぐらいといえますが、NSXは前後に3つの電気モーターを持つハイブリッドモデルですので数字は似たような感じでも実際に乗ると全く違う感覚になるのではないかと思います。
残念ながら2代目NSXを運転したことがないので細かいことは言えないのですが、多分電気モーターによるトルク感がNSXにはあるのではないかと思います。

日産・GT-Rとホンダ・NSXの燃費性能比較

●日産・GT-R
・カタログ燃費(JC08モード):最大8.8km/L
・実燃費:約5km/L

●ホンダ・NSX
・カタログ燃費(JC08モード):最大12.4km/L
・実燃費:約12km/L

※燃費性能比較結果

NSXはハイブリッドモデルですのでやはり燃費性能は優れているようです。
それよりも驚くのが、NSXの実燃費です。
通常はカタログ燃費を大きく下回ることが当たり前の実燃費がNSXはほぼ同じではないですか。

聞くところによると運転の仕方次第ではカタログ燃費を上回る実燃費を発揮させることができるようです。

日産・GT-Rとホンダ・NSXの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●日産・GT-R

約1,064万円~約1,870万円

●ホンダ・NSX

2370万円

※販売価格帯比較結果

NSXはハイブリッドモデルですし、後発モデルとなるためどうして販売価格はこれくらいになってしまいます。
それにしてもGT-Rの「ピュア・エディション」グレードが2台も買えてしまうNSXの価格には驚いてしまいます。

まとめ

日産 GT-R まとめ
何でもかんでも既存のモデルの部品を使いまわしして作られることが多くなってしまった国産モデルにおいて、このGT-Rはすべての部品がこのGT-Rのために作られ、そしてそれらを組み上げた形で製造するという形を取った珍しいモデルです。
珍しいだけでなくすべてを専用設計としたことで優れたパフォーマンスを発揮することができているのも見逃がせないところでしょう。

スポーモデルなんて無駄なもの、ましてやスーパースポーツモデルなんて夢のまた夢…そう思っている方も多いかと思いますが、「自動車を運転する楽しみ」というものをGT-Rのような車で味わうのもこれまた一興ではないでしょうか。

※総合評価:★★★★★(5)

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