日産 フェアレディZ スポーツカー
「スポーツモデル、スポーツカーが売れない」などと言われ続けていますが、そんな中でも生産終了にならず、はるか昔から発売され続けているのが日産・フェアレディZです。

長年、発売されて続けているはやはりこの車が優れているということ、ではここで日産・フェアレディZがどれだけ優れているのかを検証していきたいと思います。

※ご注意
ここでは日産・フェアレディZの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わるボディ形状やエクステリアデザイン、インテリアデザインなどには一切触れていません。

日本国内だけではない、世界で人気がある日産・フェアレディZ

NISSAN フェアレディZ 人気
現在でこそ、ハイブリッドカーだ、EVだ、エコカーだといって海外でも人気になっていて、生意気にも自動車先進国の仲間入りをしている日本車ですが、1960年代当時は、「安くて、小さいだけで走りが悪い、パワーがない車ばかり…」などと言われ、ほとんど人気がありませんでした。

そんな中で唯一、アメリカで初めてとなる大ヒットを飛ばした日本車がありました。それがこの日産・フェアレディZです。

アメリカで大ヒットしたモデルは、ダットサン・フェアレディの後継モデルとして初めて「フェアレディZ」という名前を名乗るようになったS30型です。

このモデルは1969年に発売されたモデルでスポーツモデルの定番ともいえる「ロングノーズ・ショートデッキ」スタイルのボディに直列6気筒のエンジンを搭載、そして足周りも当時としては珍しく特別な車にしか与えられることがなかった四輪独立懸架のサスペンションを持っていました。

価格的に安いこともあったのですが、そもそも日産が北米市場での売れ行きを狙って開発したモデルだったのでアメリカで大ヒットするのもおかしいことではありませんでした。

このS30型は1978年まで販売され、その後はS130型というモデルが発売されました。
フェアレディZとしての2代目モデルということになりますが、このモデルはかなりかわいそうなモデルとなってしまったのです。
その理由は日本の排ガス規制がどんどん厳しくなったことで、それに適合させるために「スポーツモデルの要」といっていい「優れたエンジンパワー」を捨て去ることになってしまったのです。
見た目こそS30型の面影を色濃く残し、スポーツモデルらしさを持たされていたのですが、パワースペックが大衆セダンモデルレベルまでに落とされてしまったことから「スポーツモデル」ではなく「GTカー(グランツーリスモ)」となってしまいました。

この傾向は後継モデルのZ31型まで続きますが、1990年のモデルチェンジによって発売されたZ32型で大きな変化を遂げます。
Z31型時代の途中あたりから日本の経済はどんどんよくなり、自動車の技術開発にもそれなりのお金をかけることができるようになりました。
それによってキャタライザーやEGR、インジェクション式の燃料供給装置などといった排気ガスをきれいにする技術、きれいな排気ガスを出すエンジンの技術が大幅にグレードアップされ、パワーを維持しながらも排ガス規制をクリアすることができるようなったのです。

それを活用して作られたのがZ32型で、当時はまだあった馬力の自主規制値である280psを発生させルことができる3リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載しての発売となりました。
このモデルは日本国内のみならず海外でも大人気となり、とりわけ北米エリアではS30型の人気に迫るほどの高い人気を持っていました。

しかし、良いことは長くは続かないもので、その後のバルブ景気の崩壊によっていわゆる「非現実的な車」となるスポーツモデルの販売台数の低迷に習う形でZ32型の売れ行きも悪くなり、そして更に景気の低迷の影響による日産の経営状態の悪化によってモデルチェンジする機会を失い、約11年間という非常に長い間作られ続けることになってしまったのです。
このモデルの生産終了はルノー日産によるもので、後継モデルの計画がないまま行われましたので、事実上、フェアレディZのモデル系統が一時的に途切れることになりました。

ただ、その後に行われたルノーによる車種整理に引っかからなかったことから、後継モデルの開発が始めれら、2002年にルノー日産としては初めてとなるZ33型が発売されたのでした。
Z33型では低燃費ブームや似非エコブームの影響からZ32型で使われていたターボエンジンではなく、NAエンジン搭載モデルとなり、NAエンジンによるパワーダウンをカバーするためにエンジン排気量を3.5リッターまで拡大することになりました。

Z33型は2008年まで発売され、その後のモデルチェンジで現行モデル(2019年6月時点)のZ34型となりました。
このモデルでは更なるパワーアップを求めるためにエンジン排気量を3.7リッターまで拡大されることになりました。

日産・フェアレディZのこれまでの出来事

●初代モデル S30型 1969年10月発売

・1971年 マイナーチェンジ 「240Z」シリーズの追加
・1973年 マイナーチェンジ
・1974年 「2by2」モデルの追加
・1975年 EFI(電子制御燃料噴射システム)の採用

●2代目モデル S130型 1978年8月発売

・1980年 Tバールーフモデルの追加
・1981年10月 マイナーチェンジ
・1982年10月 ターボエンジンモデルの追加

●3代目モデル Z31型 1983年月9発売

・1984年2月 Tバールーフモデルの追加
・1985年10月 直列6気筒ターボエンジン搭載モデルの追加
・1986年10月 ビッグマイナーチェンジ ボディのデザインの大幅変更

●4代目モデル Z32型 1989年7月発売

・1992年8月 「コンバーチブル」モデルの追加
・1994年10月 「バージョンS」の追加
・1997年1月 「バージョンR」の追加
・1998年10月 マイナーチェンジ

●5代目モデル Z33型 2002年7月発売

・2003年10月 「ロードスター」モデルの追加
・2004年1月 NISMOモデル「S-tune GT」の追加
・2004年9月 一部改良
・2005年9月 マイナーチェンジ
・2007年1月 一部改良 「Version NISMO」「Version NISMO Type 380RS-Competition」の追加
・2007年6月 「Version NISMO Type 380RS」の追加
・2008年3月 「Version NISMO Type 380RS-Competition」2008年モデルの発売

●6代目モデル Z34型 2008年12月発売

・2009年6月 「Version NISMO」の追加
・2009年10月 「ロードスター」モデルの追加
・2012年7月 マイナーチェンジ
・2013年6月 「NISMO」モデルの追加

日産・フェアレディZが属するカテゴリー

●車格:大型スポーツモデル
●用途・目的:スポーツ走行用 競技車両
●車両カテゴリー:スポーツモデル
●エンジン排気量クラス:2リッターオーバークラス、3.7リッタークラス

日産・フェアレディZのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから50歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:富裕層(新車) 高収入層(新車) 大衆層(中古車)
●その他:スポーツ走行やチューニングに理解がある方、知識を持つ方

日産・フェアレディZの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・ガソリンエンジン

●トランスミッション
・6速マニュアルトランスミッション
・7速オートマチックトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FR

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル
・なし

●兄弟車
・なし

日産・フェアレディZのモデル構成とグレード構成

日産 フェアレディZ 構成
日産・フェアレディZには2つのモデルが用意されています。

標準モデル

標準モデルには 4つのグレードが用意されています。

・ベースグレード(6速MT・7速AT)
・Version S グレード(6速MTのみ)
・Version T グレード(7速ATのみ)
・Version ST グレード(6速MT・7速AT)

●「ベースグレード」の主な装備

・リヤフォグランプ
・LEDハイパーデイライト
・リヤ間欠式ワイパー
・ヒーター付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・ディンプル付本革巻ステアリングホイール
・マグネシウム製パドルシフト(オートマチックトランスミッションモデル)
・車速感応式パワーステアリング
・本革巻シフトノブ(マニュアルトランスミッションモデル)
・本革巻セレクターノブ(オートマチックトランスミッションモデル)
・本革巻パーキングブレーキレバー
・プッシュエンジンスターター
・インテリジェントキー
・アルミ製アクセルペダル・ブレーキペダル・クラッチペダル、フットレスト
・クリーンフィルターオートエアコン
・4スピーカー
・スクラッチシールド
・ユーロチューンドサスペンション
・MTシンクロレブコントロール(マニュアルトランスミッションモデル)
・225/50R18サイズ フロントタイヤ
・245/45R18サイズ リヤタイヤ
・18インチ×8J フロント アルミホイール
・18インチ×9J リヤ アルミホイール
・リヤビスカスLSD
・エンジンイモビライザー

など

●「Version S」グレードの主な装備

「ベースグレード」グレードの装備に加えて
・バックビューモニター
・ステアリングスイッチ
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・ETCユニット
・245/40R19サイズ フロントタイヤ
・275/3R195サイズ リヤタイヤ
・19インチ×9J レイズ製アルミ鍛造 フロントホイール
・19インチ×10J レイズ製アルミ鍛造 リヤホイール
・4ポッドアルミ製対向ピストン フロントブレーキキャリパー
・2ポッドアルミ製対向ピストン リヤブレーキキャリパー

が追加されています。

●「Version T」グレードの主な装備
「ベースグレード」グレードの装備に加えて

・バックビューモニター
・ヒーター付本革・スエード調ファブリックコンビシート
・運転席・助手席パワーシート
・運転席ランバーサポート
・ステアリングスイッチ
・BOSEサウンドシステム
・8スピーカー
・アクティブ・サウンド・コントロール
・アクティブ・ノイズ・コントロール
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・ETCユニット

が追加されています。

●「Version ST」グレードの主な装備
「ベースグレード」グレードの装備に加えて

・バックビューモニター
・ヒーター付本革・スエード調ファブリックコンビシート
・運転席・助手席パワーシート
・運転席ランバーサポート
・ステアリングスイッチ
・BOSEサウンドシステム
・8スピーカー
・アクティブ・サウンド・コントロール
・アクティブ・ノイズ・コントロール
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・ETCユニット
・245/40R19サイズ フロントタイヤ
・275/3R195サイズ リヤタイヤ
・19インチ×9J レイズ製アルミ鍛造 フロントホイール
・19インチ×10J レイズ製アルミ鍛造 リヤホイール
・4ポッドアルミ製対向ピストン フロントブレーキキャリパー
・2ポッドアルミ製対向ピストン リヤブレーキキャリパー

が追加されています。

NISMOモデル

このモデルは日産のモータースポーツ、スポーツパーツ部門であるNISMOがチューニングしたモデルです。
標準モデルとの違いは装備だけでなく、動力性能、走行性能ともに向上しています。
グレードはなくモノグレード構成となります。

・NISMO グレード

●「NISMO」グレードの主な装備

標準モデルの「ベースグレード」グレードの装備に加えて

・NISMO専用チューニングエンジン(VQ37VHR型)
・NISMO専用LEDハイパーデイライト
・バックビューモニター
・NISMO専用ヒーター付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・NISMO専用チューニングRECARO製スポーツシート
・NISMO専用本革・アルカンターラ巻3本スポークステアリングホイール
・NISMO専用車速感応式パワーステアリング
・NISMO専用本革巻シフトノブ(マニュアルトランスミッションモデル)
・NISMO専用本革巻セレクターノブ(オートマチックトランスミッションモデル)
・NISMO専用コンソールブーツ
・NISMO専用ブラックアウト加飾インテリア
・NISMO専用インテリアエンブレム
・NISMO専用レッドステッチ付ドアトリム
・NISMO専用本革巻パーキングブレーキレバー
・NISMO専用プッシュエンジンスターター
・ステアリングスイッチ
・NISMO専用コンビメーター
・NISMO専用運転席・助手席ニーパッド(レッドステッチ付)
・BOSEサウンドシステム
・8スピーカー
・アクティブ・サウンド・コントロール
・アクティブ・ノイズ・コントロール
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・ETCユニット
・NISMO専用サイドシルプロテクター
・NISMO専用リヤバンパー
・NISMO専用リヤスポイラー
・NISMO専用フェンダーモール
・NISMO専用エンブレム
・NISMO専用テールパイプフィニッシャー
・NISMO専用サスペンション(コイルスプリング)
・NISMO専用サスペンション(ショックアブソーバー)
・NISMO専用サスペンション(スタビライザー)
・NISMO専用高剛性コンプレッションロッドブッシュ
・NISMO専用YAMAHA製パフォーマンスダンパー
・NISMO専用ストラットタワーバー
・NISMO専用フロントメンバーブレース
・NISMO専用ラゲッジアンダーブレース
・NISMO専用リヤアンダーフロアVバー
・NISMO専用等長フルデュアルエキゾーストシステム
・NISMO専用チューニングECU
・NISMO専用エンジンカバー
・NISMO専用245/40R19サイズ フロントタイヤ ダンロップ SP SPORT MAXX GT600
・NISMO専用285/35R19サイズ リヤタイヤ ダンロップ SP SPORT MAXX GT600
・NISMO専用19インチ×9.5J レイズ製アルミ鍛造 フロントホイール
・NISMO専用19インチ×10.5J レイズ製アルミ鍛造 リヤホイール
・4ポッドアルミ製対向ピストン フロントブレーキキャリパー
・2ポッドアルミ製対向ピストン リヤブレーキキャリパー
・NISMO専用高剛性ブレーキホース高性能ブレーキフルード

が追加されています。

日産・フェアレディZに搭載されるパワーユニットと動力性能

日産・フェアレディZには 同型式ながら2種類のパワーユニットが設定されています。

●標準モデル用エンジン

・エンジン型式:VQ37VHR型
・エンジン排気量:3,696cc
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:336ps/7,000rpm
・最大トルク:37.2kgf・m/5,200rpm

・1リッターあたりのパワー:約90.8ps
・パワーウェイトレシオ:約4.46kg/ps

このエンジンはNISMOモデル以外のすべてのモデルに採用されているものです。
日産のエンジン名はエンジン排気量を表す数字の後ろにそのエンジンの構造や特性を示すアルファベットが付けられることになっているのですが、「VQ37VHR型」エンジンでは「VHR」がそれに該当します。

そのVHRは

・「V」:VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)
・「HR」:High Response High Revolution

という2つの意味のあるアルファベットを並べたもので、意味合いとしては

「バルブ作動角・リフト量連続可変システムをつかったレスポンスの良い、高回転型エンジン」

となります。

それが示すように実際に運転してみるとアクセルペダルの動きにリニアに反応しますし、レッドゾーンが始まる7,500rpmまでスムーズに回ります。
NAエンジンなのでトルクは全体的に細いですが、エンジン回転数を高めて走ればかなり過激な走りができます。

※パワーユニットの評価:★★★★☆(4)

●NISMOモデル用エンジン

●標準モデル用エンジン

・エンジン型式:VQ37VHR型
・エンジン排気量:3,696cc
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:355ps/7,400rpm
・最大トルク:38.1kgf・m/5,200rpm

・1リッターあたりのパワー:約95.9ps
・パワーウェイトレシオ:約4.33kg/ps

このエンジンはNISMOモデルだけに搭載されているものです。
エンジンの型式的には標準モデルのエンジンと全く同じですが、専用の排気系とECUによって19psのパワーアップが施されています。

更に過激なスポーツ走行を楽しめるは必至です。

※パワーユニットの評価:★★★★★(5)

日産・フェアレディZに採用されているトランスミッション

日産 フェアレディZ トランスミッション
●6速マニュアルトランスミッション

スポーツモデルならやはりマニュアルトランスミッションがなければいけません。
Z34型フェアレディZに採用されているマニュアルトランスミッションは6速変速のもので、日産グループの愛知機械工業が作った「FS6R31」型と呼ばれるものが使われています。
クラッチには「エクセディ」製のものが使われていますが、実はこのエクセディという会社は何とトヨタグループの息がかかった企業であることがわかっています。
日産の車の一部分にライバルのトヨタの息がかかった会社のものが使われているとはちょっと驚いてしまいます。

性能面としてはスポーツモデルのフェアレディZにピッタリといっていいぐらい良くできたもので、シフトストロークも短く、手首の動きだけでシフトチェンジが可能ですし、シフトのタッチもカチカチ決まるので非常に気持ちよく、シフトミスも少なくなりそうな感じがします。
疑似的にヒール・アンド・トゥーをする「シンクロレブコントロール」機能も付けられていて、初心者でもそれなりのスポーツ走行ができるようにもなっています。

※トランスミッションの評価:★★★★★(5)

●7速オートマチックトランスミッション

フェアレディZにはAT限定免許しか持っていない方向けにオートマチックトランスミッションも用意しています。
使われているオートマチックトランスミッションは日産グループの一員であるジャトコによって作られたもので、「JR710E/JR711E」型が採用されています。
構造的にはごく普通の7速変速のトルクコンバーターを使った多段式オートマチックトランスミッションです。
マニュアル操作機能も付けられていて、セレクターレバー操作の他にステアリングコラムに付けられているパドルでもシフトアップ・シフトダウンの操作ができるようになっています。

フェアレディZはスポーツモデルですからマニュアルトランスミッションモデルを選ぶのがまっとうな選び方だと思うのですが、何か特別な理由があってオートマチックトランスミッションを選んだとしてもそこそこ満足はできると思います。

※トランスミッションの評価:★★★★☆(4)

日産・フェアレディZの走行性能を決める構造

日産・フェアレディZのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

フェアレディZにはFR-Lプラットフォームと呼ばれるプラットフォームが採用されています。
このプラットフォームはルノー日産が大型FRモデルを作る時に使うものでこのフェアレディZ以外にもスカイラインシリーズやフーガ、シーマ、ちょっと昔のものですとステージアなどにも使われていました。
Z34型フェアレディZのものは2007年に発売されたスカイラインクーペのものを流用した形になっていますが、実際のシャシーの作りはほぼオリジナルといっていいぐらいZ34型ならではの作りがされています。
シャシー剛性はかなり高く、フレームもしっかりと頑丈な鋼材を使って作られているので、車体全体の剛性もかなりよいといっていいでしょう。

剛性が高すぎてノーマルのサスペンションでもむしろ乗り心地が悪く感じるぐらいです。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

日産・フェアレディZの走りの質を決めるサスペンション構造

フェアレディZのサスペンション構造は日産の高額車両で定番となる

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・リヤサスペンション:マルチリンク

といった形式の四輪独立懸架が採用されています。
サスペンション構造自体の剛性は高く、そのサスペンションを支える部分の剛性も高い、そしてサスペンションストロークも豊富に取られていることからかなり動きが良いようです。
サスペンションの動きが良いということは路面追従性が高いということで、かなり踏ん張りの効く足周りになっているといえます。

標準モデルでこれだけの性能を持っているのですから、専用のセッティングがされ、ボディ剛性も更に高められたNISMOモデルでは更なる高次元の走りができそうです。

一般の方がこの車でパワーオーバーステアに持ち込むのはかなり難しいと思います・・・それだけ粘る足周りを持っているのです。

※サスペンション構造の評価:★★★★★(5)

日産・フェアレディZのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

Z34型フェアレディZには二組のブレーキが用意されています。

構造的にはどのモデル、どのグレードにおいても、四輪ディスクブレーキ、ブレーキローターもすべてベンチレーテッドディスクになっているのですが、ブレーキキャリパーがベースグレードとそれ以外のグレードで違いが設けられています。

・ベースグレード
フロント=2ポットフローティングキャリパー
リヤ=1ポットフローティングキャリパー

・ベースグレード以外
フロント=4ポット対向ピストンキャリパー
リヤ=2ポット対向ピストンキャリパー

となっています。

性能的にはやはり対向ピストンキャリパーを用いている方が断然効きが良いですが、街乗りだけであればフローティングキャリパーでも十分いけます。

※ブレーキシステムの評価:★★★★☆(4)

日産・フェアレディZの燃費性能

日産・フェアレディZのカタログ燃費と実燃費

●標準モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.2km/L
・実燃費:約7km/L

NAエンジンとはいえ3.7リッターもの大排気量エンジンを搭載しているのでどうしても1桁にはなってしまいます。
しかし、フェアレディZはスポーツモデルです…これでいいのです。
燃費性能が気になるぐらいならフェアレディZではなく、ノートe-POWERに乗ってください。

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

●NISMOモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.2km/L
・実燃費:約5.5km/L

標準モデルのエンジンに比べてパワーアップされている分だけ燃費性能の悪くなってしまいます…でもフェアレディZはこれでいいのです。

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

日産・フェアレディZに採用されている低燃費装備

●標準モデル・NISMOモデル

・可変バルブタイミング機構
・オルタネーター制御

フェアレディZならこれだけで十分です。

日産・フェアレディZのライバルモデル比較

フェアレディZ ライバル 比較

日産・フェアレディZのライバルとなるのはトヨタ・スープラ

フェアレディZのライバルといえば、Z31型時代からトヨタのスープラと相場が決まっています。

トヨタのスープラは2002年に制裁終了されて以来、しばらくの間作られていませんでしたが2019年になって他社モデルの流用モデルとして生産されることになりました。

「共同開発」などと世間体を気にした言葉で包み隠していますが結局はBMWのZ4を流用してそれにクローズドボディを載せただけのものです。

開発・設計・生産・部品調達のすべてがBMWの手によって行われ、トヨタはボディの設計と販売を行っているだけに過ぎません。

●日産・フェアレディZの概要
・カテゴリー:FRスポーツモデル
・車格:大型スポーツモデル
・エンジン排気量:約3.7リッターNA
・エンジン形式:VQ37VHR型
・比較対象グレード:「NISMO」グレード

●トヨタ・スープラの概要
・カテゴリー:FRスポーツモデル
・車格:大型スポーツモデル
・エンジン排気量:約3リッターターボ
・エンジン形式:B58型(BMW製)
・比較対象グレード:「RZ」グレード

日産・フェアレディZとトヨタ・スープラのパワースペック比較

●日産・フェアレディZ

・最大出力:355ps/7,400rpm
・最大トルク:38.1kgf・m/5,200rpm

●トヨタ・スープラ
・最大出力:340ps/5,000rpm
・最大トルク:51.0kgf・m/1,600rpm~4,500rpm

※パワースペック比較結果

エンジン排気量的にはフェアレディZの方が有利ですが、スープラは3リッターのターボエンジンですのでこれは互角とみるべきでしょう。
そして肝心のパワースペックですが、最大出力においてはだいたい似たような感じとなりますが、トルクに関してはやはり過給器付きエンジンの方に分があります。

日産・フェアレディZとトヨタ・スープラの燃費性能比較

●日産・フェアレディZ
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.2km/L
・実燃費:約5.5km/L

●トヨタ・スープラ
・カタログ燃費(JC08モード換算):最大13.2km/L
・実燃費:約8km/L

※燃費性能比較結果

フェアレディZのほうがNAエンジンということで燃費性能的には有利になるかと思いがちですが、3.7リッターというエンジン排気量が災いしています。
対してスープラは、3リッターというフェアレディZよりエンジン排気量の少ないエンジンを搭載していますが、BMW製のエンジンであることとターボエンジンであることからこちらもあまり良くありません。
カタログ燃費も実燃費もスープラの方が優れていることになっていますが、実際にはたいした違いはないものと思われます。

ちなみにカタログ燃費と実燃費の乖離が大きいことで有名なトヨタの燃費性能がこのモデルに限ってそれ程離れていないのはエンジンも何もかもすべてがBMWのものだからです。

日産・フェアレディZとトヨタ・スープラの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●日産・フェアレディZ

約391万円~約641万円

●トヨタ・スープラ

490万円~690万円

※販売価格帯比較結果

スープラの価格は2リッターターボエンジンモデルを含めた金額なのですが、それでも全体的にフェアレディZより高くなっています。

これはBMWから半ばOEM供給されるようになっていることとで生産工場がオーストリアにあることが原因となっています。

まとめ

日産 フェアレディZ まとめ
無難な大衆車、燃費性能の良いハイブリッドカー、経済的な軽自動車がもてはやされている時代のなかで今でも現役バリバリのスポーツモデルとして売られているフェアレディZ、確かに高額な車ですし燃費が悪くガソリン代がかかる、自動車税もかなり高いということで維持するだけでも大変ですが、自動車の本当の魅力を味わうにはやっぱりフェアレディZのようなスポーツモデルの乗るのが一番適していると思います。

ルノー日産になってからヨーロッパ風の作りが取り入れられたり、NAエンジン搭載モデルとなったことで若干ですが魅力が失われてしまいましたが、生産終了にならず、更に他社モデルを流用することなくオリジナルモデルとして作られているところに私は大変魅力を感じます。

※総合評価:★★★★★(5)

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