日産 エルグランド 走り
国産モデルにおいて一番高額なモデルとなるのがミニバンと呼ばれるモデルの中での最大級のボディを持つ大型トールミニバンと呼ばれるものです。
その大型トールミニバンとして日産から発売されているのがエルグランドというモデルです。
このモデルは実際に運転してみてわかったことなのですが、大衆ファミリーカーのわりに意外と走りが良かったりします。
その走りの良さはどこからくるのか、そしてエルグランドという車はどういった構造を持つのか、といったところを検証していきたいと思います。

※ご注意
ここでは日産・エルグランドの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わるボディ形状やエクステリアデザイン、インテリアデザインなどには一切触れていません。
そういったことを知りたい方は、自動車メーカーを参考にしてください。

目次

走りも侮れない日産・エルグランド

日産 エルグランド 走りが良い
大型トールミニバンといえば、大きなボディにスライドドア、その自動車メーカーが持ちうる快適装備のすべてを搭載し、エンジンも無駄に大きなエンジンを搭載する割にはパワーがないといった性質を持つ車ですが、私が乗ってわかった限りではこの車はそういった印象を上回る走行性能の持ち主であるといえるでしょう。

日産のエルグランドが発売されたのは1997年のこと、まだ日産が純粋な国産自動車メーカーだったころのことで、大型ミニバンが作られるようになった成り行きの定説どおりである、ワンボックスカーベースのグレードアップモデル的な形で発売されました。

ベースとなったのは今でもNV350キャラバンとして発売されている「キャラバン」と「ホーミー」、この両車はいわゆる販売チャネル違いの兄弟モデルとなるもので、構造は全く同じです。
このキャラバン・ホーミー兄弟車に設定されていたワゴンモデル(日産では“コーチ”と呼びます)、とりわけ上級グレードとなる「GT」系のワゴンモデルに衝突安全性を持たせるためのわずかに出っ張ったボンネットをつけた形で発売されました。

当時はあくまでもキャラバン・ホーミー兄弟車の派生モデルとしての位置づけがなされていたため、車名にもこの名前が残り、「キャラバン・エルグランド」「ホーミー・エルグランド」として複数の販売チャネルで販売される形を取っていました。

この当時は、ライバルモデルとなるアルファードはまだ存在しておらず、もっぱらライバルとして比較されることが多かったのはアルファードの前身モデルであるハイエース・レジアスだったのですが、このハイエース・レジアスを代表とするトヨタの大型ミニバンは、ワゴンとしての性能である居住性や快適性、乗り心地の良さ、快適装備に充実といった点に重点を置いて作られていたのに対して、「キャラバン・エルグランド」「ホーミー・エルグランド」は、快適性やラグジュアリー性を持たせながらも走りの性能にも力を入れて開発されていて、ここで同じ大型トールミニバンでも方向性の違いが作られた形になります。

この違いはアルファードが発売されてからも崩されることなく、アルファード・ヴェルファイアは高級感と快適性を求める大型トールミニバン、エルグランドは走りも行ける大型トールミニバンといった形で作られることになったわけです。

私が運転したことがあるのは、2019年時点では既に生産が終了となっている「ライダー ハイパフォーマンススペック」で、2019年6月時点で現行型となっているE52型の中でも飛び切り「走り」の良いモデルで、この車で東京の外れにある某峠を含めた約200kmぐらいの道のりを走ったのですが、この時に峠で少しばかり攻めてみたのですが、意外と安心してコーナーを攻めることができたのに驚いた記憶があります。

だいたいこういった車というのは、恐怖を感じるほどの強烈なロールが発生するのと同時にイン側のリヤタイヤがグリップを失い、リヤタイヤが限界を超えてリバース、そしてそれに至るまでのハンドリングにおいてもアンダーステアがかなりきつくなる傾向になるものですが、エルグランドは重たいボディを持つためそれなりには大きなロールが襲ってきますが、全高や重心が低いせいかステアリングホイールを回してすぐにフロントが方向を変えはじめるといった反応を見せ、ハンドリングも弱アンダーステア傾向を維持していきます。

この挙動にはちょっと驚きました。
テレビCMではレーシングマシンとバトルするような映像が流されていますがそこまでは無理としても大型大衆セダンと同レベルの走りができるといってもいいぐらいの走りの良さを体感できました。

ただ、ボディが重たいためか、ちょっと攻めるだけでもブレーキが音を上げてしまうので長時間その走りを楽しむことはできませんが、それはどのミニバンでも同じですので、比較対象にはなりません。

同じ大型トールミニバンでもトヨタのアルファード・ヴェルファイア兄弟車とは走りが全く違うといっていいでしょう。
多分ですが、腕のある人が運転したらきっとトヨタの86なんてカモられてしまうと思います。

日産・エルグランドのこれまでの出来事

●初代モデル E50型 1997年5月発売

・1998年1月 「ハイウェイスター」モデルの追加
・1999年8月 マイナーチェンジ 車名を「エルグランド」に統一
・2000年8月 マイナーチェンジ VQ35DE型エンジンの採用
・2000年10月 「Kid'sバージョン」の追加
・2001年5月 「コールマンバージョン」の追加

●2代目モデル E51型 2002年5月発売

・2002年10月 「ライダー」モデルの追加
・2002年12月 「VIP仕様車」の追加
・2004年8月 マイナーチェンジ
・2004年12月 2.5リッターエンジンモデルの追加
・2007年10月 マイナーチェンジ
・2007年10月 「ライダー パフォーマンススペック」「ライダー ハイパフォーマンススペック」の追加
・2009年7月 「350ハイウェイスター ブラックレザーアーバンセレクション ハイパフォーマンススペック」の追加

●3代目モデル E52型 2010年8月発売

・2011年10月 「ライダー ハイパフォーマンススペック」の追加
・2011年11月 「移動物検知」機能付アラウンドビューモニターの採用
・2014年1月 マイナーチェンジ
・2018年12月 先進安全装備の標準装備

日産・エルグランドが属するカテゴリー

●車格:大衆大型ファミリーカー
●用途・目的:生活車、家族の移動用
●車両カテゴリー:大型トールミニバン
●エンジン排気量クラス:2リッターオーバークラス

日産・エルグランドのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから60歳ぐらいまで
●性別:女性
●経済力:富裕層 高収入層、大衆層
●その他:人数の多い家族に好まれる(小さな子供がいる家族には敬遠される)

日産・エルグランドの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・ガソリンエンジン

●トランスミッション
・CVT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FF
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル
・なし

●兄弟車
・なし

日産・エルグランドのモデル構成とグレード構成

NISSAN エルグランド 構成
エルグランドには4つのモデルが設定されています。

・2.5リッターエンジンモデル
・3.5リッターエンジンモデル
・ライダーモデル
・VIPモデル

2.5リッターエンジンモデル

このモデルには5つのグレードが用意されています。

・250XG グレード(8人乗りのみ)(2WD・4WD)
・250ハイウェイスターS グレード(7人乗り・8人乗り)(2WD・4WD)
・250ハイウェイスターS アーバンクロム グレード(7人乗り・8人乗り)(2WD・4WD)
・250ハイウェイスタープレミアム グレード(7人乗りのみ)(2WD・4WD)
・250ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム グレード(7人乗りのみ)(2WD・4WD)

●「250XG」グレードの主な装備

・キセノンヘッドランプ
・ハイビームアシスト
・ハロゲンフォグランプ風タウンランプ
・本革巻ステアリングホイール
・本革巻きセレクターノブ
・インテリジェントキー
・プッシュエンジンスターター
・インテリジェントエアコンシステム
・6スピーカー
・ロールサンシェード
・スエード調クロスシート生地
・助手席オットマン
・6:4分割ベンチ型セカンドシート
・ストラップ式可倒型サードシート
・助手席側ワンタッチオートスライドドア
・バックドアオートクロージャー
・リヤエアロバンパー
・リヤスポイラー
・スクラッチシールド
・215/65サイズ タイヤ
・16インチ×7J アルミホイール
・インテリジェントエマージェンシーブレーキ
・クルーズコントロール
・インテリジェント LI
・LDW
・踏み間違い衝突防止アシスト
・進入禁止標識検知
・フロント&バックソナー
・フロントスタビライザー
・リヤスタビライザー
・イモビライザー
など

●「250ハイウェイスターS」グレードの主な装備

「250XG」グレードの装備に加えて

・LEDヘッドランプ
・クリアタイプLEDハイマウントストップランプ
・ハイウェイスター専用フロントエアロバンパー
・ハイウェイスター専用フロントグリル
・ハイウェイスター専用サイドシルプロテクター
・ハイウェイスター専用リヤコンビネーションランプ
・切削光輝18インチ×7.5Jアルミホイール
・225/55サイズ タイヤ
・インテリジェントクルーズコントロール
・ネオソフィール/ジャカード織物シート生地
・コンフォータブルキャプテンシートタイプ セカンドシート(7人乗りのみ)

が追加されています。

●「250ハイウェイスターS アーバンクロム」グレードの主な装備

「250ハイウェイスターS」グレードの装備に加えて

・本革巻・木目調コンビステアリングホイール
・本革巻セレクターノブ
・両側ワンタッチオートスライドドア
・アーバンクロム専用ダーククロムグリル
・アーバンクロム専用ダーククロムフォグランプフィニッシャー
・アーバンクロム専用リヤコンビネーションランプ
・アーバンクロム専用エンブレム
・アーバンクロム専用フロントクロームプロテクター
・LEDバンパーイルミネーション
・グラファイトフィニッシュ18インチ×7.5Jアルミホイール

が追加されています。

●「250ハイウェイスター プレミアム」グレードの主な装備

「250ハイウェイスターS」グレードの装備に加えて

・両側ワンタッチオートスライドドア
・リバース連動下向ドアミラー
・高性能フィルター付インテリジェントエアコンシステム
・カップホルダー付シートサイドテーブル
・ダイヤモンドキルトブラックレザーシート生地
・パーソナルドライビングポジションメモリーシステム付フロントシート
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・前席クイックコンフォートシートヒーター

が追加されています。

●「250ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム」グレードの主な装備

「250ハイウェイスター プレミアム」グレードの装備に加えて

・本革巻・木目調コンビステアリングホイール
・アーバンクロム専用ダーククロムグリル
・アーバンクロム専用ダーククロムフォグランプフィニッシャー
・アーバンクロム専用リヤコンビネーションランプ
・アーバンクロム専用エンブレム
・アーバンクロム専用フロントクロームプロテクター
・LEDバンパーイルミネーション
・グラファイトフィニッシュ18インチ×7.5Jアルミホイール

が追加されています。

3.5リッターエンジンモデル

このモデルには4つのグレードが用意されています。

・350ハイウェイスター グレード(7人乗り・8人乗り)(2WD・4WD)
・350ハイウェイスター アーバンクロム グレード(7人乗り・8人乗り)(2WD・4WD)
・350ハイウェイスタープレミアム グレード(7人乗りのみ)(2WD・4WD)
・350ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム グレード(7人乗りのみ)(2WD・4WD)

●「350ハイウェイスター」グレードの主な装備

・LEDヘッドランプ
・クリアタイプLEDハイマウントストップランプ
・ハイビームアシスト
・ハロゲンフォグランプ風タウンランプ
・ハイウェイスター専用フロントエアロバンパー
・ハイウェイスター専用フロントグリル
・ハイウェイスター専用サイドシルプロテクター
・ハイウェイスター専用リヤコンビネーションランプ
・ハイウェイスター専用18インチ×7.5Jアルミホイール
・225/55サイズ タイヤ
・本革巻ステアリングホイール
・本革巻きセレクターノブ
・インテリジェントキー
・プッシュエンジンスターター
・高性能フィルター付インテリジェントエアコンシステム
・6スピーカー
・ロールサンシェード
・ネオソフィール/ジャカード織物シート生地
・助手席オットマン
・コンフォータブルキャプテンシートタイプセカンドシート(7人乗りのみ)
・6:4分割ベンチ型セカンドシート(8人乗りのみ)
・ストラップ式可倒型サードシート
・両側ワンタッチオートスライドドア
・バックドアオートクロージャー
・リヤエアロバンパー
・リヤスポイラー
・スクラッチシールド
・インテリジェントエマージェンシーブレーキ
・インテリジェントクルーズコントロール
・インテリジェント LI
・LDW
・踏み間違い衝突防止アシスト
・進入禁止標識検知
・フロント&バックソナー
・フロントスタビライザー
・リヤスタビライザー
・イモビライザー

など

●「350ハイウェイスター アーバンクロム」グレードの主な装備

「350ハイウェイスター」グレードの装備に加えて

・本革巻・木目調コンビステアリングホイール
・アーバンクロム専用ダーククロムグリル
・アーバンクロム専用ダーククロムフォグランプフィニッシャー
・アーバンクロム専用リヤコンビネーションランプ
・アーバンクロム専用エンブレム
・アーバンクロム専用フロントクロームプロテクター
・LEDバンパーイルミネーション
・グラファイトフィニッシュ18インチ×7.5Jアルミホイール

が追加されています。

●「350ハイウェイスター プレミアム」グレードの主な装備

「350ハイウェイスター」グレードの装備に加えて

・リバース連動下向ドアミラー
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・NissanConnect カーウイングス ナビゲーションシステム
・後席エンターテイメントシステム
・エルグランド専用チューニング地デジ4ダイバーシティアンテナ
・ETCユニット
・ダイヤモンドキルトブラックレザーシート生地
・パーソナルドライビングポジションメモリーシステム付フロントシート
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・前席クイックコンフォートシートヒーター

が追加されています。

●「350ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム」グレードの主な装備

「350ハイウェイスター プレミアム」グレードの装備に加えて

・本革巻・木目調コンビステアリングホイール
・アーバンクロム専用ダーククロムグリル
・アーバンクロム専用ダーククロムフォグランプフィニッシャー
・アーバンクロム専用リヤコンビネーションランプ
・アーバンクロム専用エンブレム
・アーバンクロム専用フロントクロームプロテクター
・LEDバンパーイルミネーション
・グラファイトフィニッシュ18インチ×7.5Jアルミホイール

が追加されています。

ライダーモデル

このモデルはオーテックジャパンが手掛けたドレスアップモデルで、現在は2つのグレードが用意されています。
過去にはECUチューンを施し300psを発生させたパワーユニットを積む「ライダー ハイパフォーマンススペック」と呼ばれるチューニングモデルがあったのですが、現在は廃止となりドレスアップだけがされたモデルが発売されているのにとどまっています。

2.5リッターエンジンモデル
・ライダー グレード(7人乗り・8人乗り)(2WD・4WD)
・ライダーブラックライン グレード グレード(7人乗りのみ)(2WD・4WD)

3.5リッターエンジンモデル
・ライダー グレード(7人乗り)(2WD・4WD)
・ライダーブラックライン グレード(7人乗りのみ)(2WD・4WD)

このモデルのグレードは2グレードですが、搭載されているエンジンが違うことで実質的には4グレードとなります。

装備に関しては

・2.5リッターエンジンモデル:「250ハイウェイスターS」グレード
・3.5リッターエンジンモデル:「350ハイウェイスター」グレード

といったグレードをベースにしているためそれに準ずる形なり、その装備にライダーモデルならでは装備やパーツが付けられることで構成されています。

●「250ライダー」グレードの主な装備

「250ハイウェイスターS」グレードの装備に加えて

・リバース連動下向ドアミラー
・ライダー専用杢目金調フィニッシャー
・ライダー専用ブラック・合皮専用ドアトリム
・ライダー専用ブラックレザーシート生地(7人乗り)
・ライダー専用ブラッククロスシート生地(8人乗り)
・パーソナルドライビングポジションメモリーシステム付フロントシート
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・前席クイックコンフォートシートヒーター
・両側ワンタッチオートスライドドア
・ライダー専用フロントバンパー
・ライダー専用タウンランプ組込みバンパーグリル
・ライダー専用フロントグリル
・ライダー専用ヘッドランプフィニッシャー
・ライダー専用リヤバンパー
・ライダー専用エンブレム
・ライダー専用スポーツマフラー
・ライダー専用18インチ×7.5J光輝アルミホイール
・225/55サイズ タイヤ
・ライダー専用ローダウンサスペンション

が追加されています。

●「350ライダー」グレードの主な装備

「350ハイウェイスター」グレードの装備に加えて

・リバース連動下向ドアミラー
・ライダー専用杢目金調フィニッシャー
・ライダー専用ブラック・合皮専用ドアトリム
・ライダー専用ブラックレザーシート生地(7人乗り)
・ライダー専用ブラッククロスシート生地(8人乗り)
・パーソナルドライビングポジションメモリーシステム付フロントシート
・運転席パワーシート
・助手席パワーシート
・前席クイックコンフォートシートヒーター
・ライダー専用フロントバンパー
・ライダー専用タウンランプ組込みバンパーグリル
・ライダー専用フロントグリル
・ライダー専用ヘッドランプフィニッシャー
・ライダー専用リヤバンパー
・ライダー専用エンブレム
・ライダー専用スポーツマフラー
・ライダー専用18インチ×7.5J光輝アルミホイール
・225/55サイズ タイヤ
・ライダー専用ローダウンサスペンション

が追加されています。

●「250ライダーブラックライン」グレードの主な装備

「250ライダー」グレードの装備に加えて

・ライダー専用ダーククロムフロントグリル
・ライダー専用タウンランプ組込みダーククロムバンパーグリル
・ライダー専用ダーククロムヘッドランプフィニッシャー
・ライダー専用ダークエンブレム

が追加されています。

●「350ライダーブラックライン」グレードの主な装備

「350ライダー」グレードの装備に加えて

・ライダー専用ダーククロムフロントグリル
・ライダー専用タウンランプ組込みダーククロムバンパーグリル
・ライダー専用ダーククロムヘッドランプフィニッシャー
・ライダー専用ダークエンブレム

が追加されています。

VIPモデル

VIPモデルはいわゆる「重役専用車両」「VIPカー」などとして使われるもので、「350ハイウェイスター プレミアム」グレードをベースにした特別なモデルです。

このモデルにはセカンドシート、サードシートのシートレイアウトによって2つのグレードが用意されています。

・VIP 3列仕様7人乗り グレード(2WD・4WD)
・VIP 2列仕様4人乗り後席パワーシートパッケージ グレード(2WD・4WD)

●「VIP 3列仕様7人乗り」グレードの主な装備

「350ハイウェイスター プレミアム」グレードの装備に加えて

・VIP専用読書灯
・後席用100V電源
・助手席コントロールスイッチ
・VIP専用本革シート生地
・ツインサンルーフ
・助手席ドア・オートスライドドア連動ステップ
・VIP専用エンブレム
・VIP専用225/55R18サイズ コンフォートタイヤ ブリヂストン REGNO

が追加されています。

●「VIP 2列仕様4人乗り後席パワーシートパッケージ」グレードの主な装備

「350ハイウェイスター プレミアム」グレードの装備に加えて

・VIP専用LED読書灯
・後席用100V電源
・VIP専用フロアカーペット
・VIP専用アシストストラップ
・VIP専用ハンガーフック
・VIP専用コンフォタブルキャプテンシート型リヤシート
・VIP専用リヤシート大型アームレスト
・VIP専用本革シート生地
・ツインサンルーフ
・助手席ドア・オートスライドドア連動ステップ
・VIP専用エンブレム
・VIP専用225/55R18サイズ コンフォートタイヤ ブリヂストン REGNO

が追加されています。

日産・エルグランドに搭載されるパワーユニットと動力性能

日産 エルグランド 動力性能
日産・エルグランドには 2種類のパワーユニットが設定されています。

●2.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:QR25DE型
・エンジン排気量:2,488cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:170ps/5,600rpm
・最大トルク:25.0kgf・m/3,900rpm

・1リッターあたりのパワー:約68ps
・パワーウェイトレシオ:約11.4kg/ps

このエンジンは2.5リッターエンジンモデルとライダーモデルの一部に搭載されているものです。

2.5リッターエンジンとして見ても2トン近い重量がある車に搭載されているエンジンとして見てもかなりパワーが低いことがわかります。

はっきり言ってこのエンジンを搭載する2.5リッターエンジンモデルは、経済的にかなり背伸びをしてしまった方向けの車であるため、どうしてもこういったところにしわ寄せがきてしまうようです。

運転した感じとしては加速感は2リッターNAエンジンを搭載した中型ミニバンと同レベルといえます。

※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)

●3.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:VQ35DE型
・エンジン排気量:3,498cc
・シリンダー配列:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:280ps/6,400rpm
・最大トルク:35.1kgf・m/4,400rpm

・1リッターあたりのパワー:約80ps
・パワーウェイトレシオ:約7.28kg/ps

このエンジンは3.5リッターエンジンモデルとライダーモデルの一部、VIPモデルに搭載されているものです。

大型トールミニバンのエルグランドはやはりこれくらいのパワーがあるエンジンが必要でしょう。
NAエンジンで280psというパワーを発揮させても2トンと超える重量があるため、「ドカン!」といったような加速はできませんが、高速走行での伸びややはり大排気量エンジンならではの特徴です。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

日産・エルグランドに採用されているトランスミッション

●CVT
エルグランドの車の構造において一番ガッカリさせられたのがトランスミッションとして搭載されるCVTです。

CVTは確かに燃費性能では有利かもしれませんが、非常にもっさりとした走りしかできず、更に重量級モデルに搭載されているCVTではよくあるベルトの滑りをかなり感じることがあり、思ったような走りができない場合があります。

構造としてごく普通のトルクコンバーターとベルト変速機を組み合わせたもので、日産で「エクストロニックCVT-M6」と呼んでいるものです。

「M6」という文字が含まれていることから疑似有段変速機能の6速マニュアルモードが付けられていることになっていますが、エンジンブレーキを得ること以外は特に使い道がありません。
マニュアル操作で走っていても少しでも負荷がかかるとまるで古いマニュアルトランスミッションモデルでクラッチが滑りまくっているかのようにエンジン回転数だけが高まるといった症状を出してしまうのでは使いたくはありません。

所詮はCVTですので、いくら褒めたたえてもそれが限界です。
理想は多段式オートマチックトランスミッションではないでしょうか。

※トランスミッションの評価:★☆☆☆☆(1)

日産・エルグランドの走行性能を決める構造

日産・エルグランドのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

エルグランドは前モデルまではラダーフレームを使って作られていたモデルでしたがこのE52型になった時に初めてモノコックフレームが使われるようになりました。

使用されているプラットフォームはDプラットフォーム、これはルノー日産において、過去にFFレイアウトを持つ大型モデル用に開発したもので、最近ではこのエルグランドと大衆大型セダンモデルのティアナぐらいにしか使われていません。

このプラットフォームのシャシーは比較的頑丈な作りがされていて、ティアナ程度のパワー、重量、フレームの形状であれば十分な剛性を確保できますが、エルグランドぐらいのパワーと重量、そして広いキャビン空間を生み出すために四隅に柱が追いやられてしまったフレーム形状ではちょっとばかり剛性感が弱いような気がします。

ただ、トヨタの車のようにサスペンションより先にボディが捻じれて衝撃を吸収するといったほどひどくはなく、サスペンションもしっかりと動いているのを運転していても感じるぐらいですので、最低限の剛性は持っていると思われます。

大型ミニバンにしてはかなりいいプラットフォームとシャシー、フレームを持つといっていいでしょう。

※ボディ剛性の評価:★★★☆☆(3)

日産・エルグランドの走りの質を決めるサスペンション構造

エルグランドには、日産の最上級ミニバンらしく豪華なサスペンション構造が採用されています。

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:マルチリンク

どちらのサスペンション構造も2代目モデルとなるE51型から採用されているものですが、E51型とはプラットフォームが違い、シャシー形状も全く違うことから同じサスペンション構造といっても作りは別物です。

とりあえず乗り心地が良い四輪独立懸架となっていますが、これがこのエルグランドの優れた走行性能を生み出すことになっています。
とかくテールハッピーになりがちな重量級のFFモデルにおいて、コーナーリング中にリヤタイヤをしっかりと路面の喰いつかせているのがマルチリンクで、そのおかげで大型ミニバンとは思えないような限界の高いコーナーリングを行うことができます。

意外とサスペンションストロークが長いのもこのモデルの特徴といえるでしょう。
アルファードとは大違いです。

※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)

日産・エルグランドのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

2トンもあるボディを確実に安全に停止させるにはブレーキに相当な負担がかかります。
そのためこのモデルでは前後ともベンチレーテッドディスクを使用したディスクブレーキが採用されています。

ブレーキキャリパーは

・フロント:2ポットフローティングキャリパー
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー

と大衆車らしいものですが、日常的使うのであればこれで十分かと思われます。

ただ、高速道路を多用するとか峠道を日常的に走るといった環境にある場合はブレーキパッドだけは対フェード性の高いもの交換しておいた方がいいかもしれません。

標準装備のブレーキパッドは意外とすぐに壊れてしまいます。

※ブレーキシステムの評価:★★☆☆☆(2)

日産・エルグランドに搭載されている4WDシステム

エルグランドにはFFモデル以外にも4WDモデルがあります。
その4WDモデルには「ALL MODE 4×4」と呼んでいるスタンバイ4WDシステムが搭載されています。

スタンバイ4WDといってもこの「ALL MODE 4×4」は、前輪が空転した時だけでなく、ステアリング操作や加速度に反応して随時リヤタイヤにも駆動力を与えるような制御がされているので、トヨタやダイハツのスタンバイ4WDのように普段は完全なFF状態であるということではなく、スタンバイ4WDとセンターデフ付きのフルタイム4WDの中間的な位置にあるものといえます。

スポーツモデル以外のオンロードモデルに採用される4WDシステムにしてなかなかよくできているものといえるでしょう。

※4WDシステムの評価:★★☆☆☆(2)

日産・エルグランドの燃費性能

日産・エルグランドのカタログ燃費と実燃費

●2.5リッターエンジン搭載モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大10.8km/L
・実燃費:約7km/L

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

●3.5リッターエンジン搭載モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.4km/L
・実燃費:約5km/L

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

2.5リッターエンジンモデル、3.5リッターエンジンモデルのどちらにおいてもこれだけ大きく重たいボディを持ち、2.5リッターオーバーの大排気量エンジンを搭載していれば、どんなに頑張ってもこれぐらいが精一杯なのではないでしょうか。

燃費性能が悪いのは大型トールミニバンの性です。

日産・エルグランドに採用されている低燃費装備

●2.5リッターエンジン搭載モデル・3.5リッターエンジン搭載モデル 共通

・CVTC(連続可変バルブタイミング機構)
・電動油圧パワーステアリング機構
・CVT
・オルタネーター制御

燃費性能を狙うような車ではないのでこんなものです。

日産・エルグランドのライバルモデル比較

日産・エルグランドのライバルとなるのはトヨタ・アルファード

エルグランドの先代モデルはキャラバン・ホーミー兄弟車、キャラバン・ホーミー兄弟車の当時のライバルはトヨタのハイエース、そしてハイエースを先祖とする大型トールミニバンはアルファードということで、エルグランドのライバルはトヨタのアルファード以外には考えられません。

2019年6月現在、アルファードは2015年に発売されたH30系型が現行モデルとなります。
アルファードにはエルグランドと同じように3.5リッターエンジンモデルと2.5リッターエンジンモデルがありますが、このモデルには更に2.5リッターエンジンとTHS-IIを組み合わせたハイブリッドモデルあります。

ここではどちらにも共通して用意されている3.5リッターエンジンモデル同士で比較してみたいと思います。

●日産・エルグランドの概要
・カテゴリー:大型トールミニバン
・車格:大衆ファミリーカー
・エンジン排気量:3.5リッター
・エンジン形式:VQ35DE型

●トヨタ・アルファードの概要
・カテゴリー:大型トールミニバン
・車格:大衆ファミリーカー
・エンジン排気量:3.5リッター
・エンジン形式:2GR-FKS型

日産・エルグランドとトヨタ・アルファードのパワースペック比較

●日産・エルグランド

・最大出力:280ps/6,400rpm
・最大トルク:35.1kgf・m/4,400rpm

●トヨタ・アルファード

・最大出力:301ps/6,600rpm
・最大トルク:36.8kgf・m/4,600rpm~4,700rpm

※パワースペック比較結果

エルグランドは2010年に発売されたモデル、アルファードは2015年に発売されたモデルということでアルファードの方が5年も遅れて発売されたことで技術的に有利であることから301psというパワーを発揮できています。
ただ、実際にシャシーダイナモでパワーを測ったところエルグランドが約270psぐらいまでパワーがあったのに対して2GR-FKS型エンジンとなったアルファードでは260psも出ていないことがわかっていることから実際の走りはほぼ同じぐらいといっていいと思います。

日産・エルグランドとトヨタ・アルファードの燃費性能比較

●日産・エルグランド
・カタログ燃費(JC08モード):最大9.4km/L
・実燃費:約5km/L

●トヨタ・アルファード
・カタログ燃費(JC08モード):最大10.8km/L
・実燃費:約5km/L

※燃費性能比較結果

カタログ燃費ではアルファードの方が優勢となっていますが、実燃費では同じぐらいとなるようです。

日産・エルグランドとトヨタ・アルファードの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●日産・エルグランド

約332万円~約788万円

●トヨタ・アルファード

約338万円~751万円

※販売価格帯比較結果

エルグランドはVIPモデルも含めての価格帯、アルファードはハイブリッドモデルの「エグゼクティブラウンジ」を含めた価格帯となります。

どちらも似たような価格帯となっていることがわかります。

まとめ

日産 エルグランド まとめ
大型トールミニバンというと「ウドの大木」ではありませんが大きく重たいボディを持ち、鈍重で緩慢な走りしかできないというイメージがありますが、実際に乗ってみて、あるいはこうしていろいろなデータや構造を見るとどうやらエルグランドだけは違うようです。

結構走りますし、コーナーリングも楽しむというところまではいきませんが気持ちよくクリアしていくことができるぐらいの性能は持っています。

「国産大型ミニバンで一番走りがいいモデル」といっても過言ではないと思います。

総合評価:★★★★☆(4)

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