新車レビュー 日産・ジューク
日産 ジューク 3大醜車
1999年にフランスの自動車メーカーグループであるルノーの傘下におさまった日産、その頃からかなり個性のきついモデルが続々と発売され始めました。
その中でも特に個性がきついのがこのジュークです。

それでは日産のジュークがどういった経緯で作られた車なのか、車としての性能をどれだけ持っているのか、といったことを見てみましょう。

※ご注意
ここでは日産・ジュークの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わるボディ形状やエクステリアデザイン、インテリアデザインなどには一切触れていません。
そういったことを知りたい方は、自動車メーカーのWebカタログやウィキペディアを参考にしてください。

「日産3大醜車」に数えられるほど癖が強い日産・ジューク

日産 ジューク 醜
日産のジュークは2010年に発売されたクロスオーバーSUVです。
2010年ぐらいになるとルノーもだんだんと日本人の好みや車の使い方などがわかってきたころですが、それでもルノーの日産の車作りに口出しをするようになってからわずか10年足らずということで、まだまだ完璧に「日本車」というものをわかっていませんでした。

そういったことはルノー日産になってから発売された車の作りを見ればよくわかります。
特にボディのデザインはフランス人の好みがバリバリに出ているところですので、パッと見ただけでその車が旧日産時代に設計されたものなのか、ルノー日産になってから設計されたものなのかがすぐにわかるぐらいです。
マーチ、キューブ、ノート、ティーダ、ブルーバードシルフィ、ティアナ、フーガ、ムラーノなどは特にその特徴が出ているモデルといって言っていいでしょう。

これらのモデルは現在のように「日産主導」の車作りがされていたのではなく、ルノーの技術者、開発陣が日産の車作りのほとんどの権限を牛耳っていた形の「ルノー主導」の車作りがされていた頃のモデルばかりなので、どうしても日本人が作るような、好むような車とはちょっと乖離したモデルばかりとなってしまったわけです。

その中には、特にフランス人のセンス、ルノーのセンスが出ているモデルもあり、そのデザインが強く出過ぎたことで、日本人のドライバーから購入を敬遠されるようなモデルもありました。

それが、K12型マーチZ50型ムラーノ、そしてF15型ジュークです。

これらのモデルは、特にボディのデザインがフランス流、ルノー流であって、日本人にとってみれば良く言えば「新鮮」、悪く言えば「不格好」といえるようなボディデザインが取られていました。
あたかもルノーが日本人の好みやセンスを無視してフランス流を押し付けているのかのように思えます。

実際にルノーのマーケティングリサーチが失敗、ルノー陣営がフランス流の車作りをどんどん進めていったことによるのですが、上記の3モデルがその傾向が非常に強く出ていてあまりにも日本の市場傾向から乖離していることにより「裏・自動車界」から発信された形で「日産3大醜車」などと呼ばれるようになったのです。

当然ですが、販売台数は伸びません。
K12型マーチは一部の女性ドライバーから「見た目がカエルに似ているから」ということで好まれた時期がありましたがそれ以外は思ったほど人気はなく、日本人好みのK13型が出るまで耐え忍ぶ形になりました。
ムラーノは2代目モデルを発売して起死回生を狙いましたがその2代目モデルもデザインが悪いとされ結局は日本国内での販売は終了になりました。
そしてジュークですがこのモデルは2019年6月時点で発売されていますが日本国内での人気は散々なものでいつ生産終了になってもおかしくないとずっと言われて続けてきたのですが、EUでそこそこの人気があるため生産終了にはならず、そのついでに日本でもクロスオーバーSUVブームに期待をかける形で販売が続けられています。

ただし、全体的に大きな売り上げを期待できないことがわかっているため、2010年に初代モデル発売されて以来一度もモデルチェンジされることなく、初代モデルが販売され続けています。

日産・ジュークのこれまでの出来事

●1999年 日産がルノーグループの傘下となる

●初代モデル F15型 2010年6月発売

・2010年11月 1.6リッターエンジンモデルの追加
・2011年5月 「アーバンセレクション」グレード追加
・2013年2月 NISMOモデルの追加
・2013年8月 マイナーチェンジ 「パーソナライゼーション」グレード追加
・2014年7月 マイナーチェンジ エクステリアデザイン小変更
・2014年11月 NISMOモデル「NISMO RS」グレード、「15RX Vセレクション」グレード追加
・2018年8月 「15RX VセレクションStyle NISMO」グレード追加

日産・ジュークが属するカテゴリー

●車格:大衆コンパクトカー
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:クロスオーバーSUV
●エンジン排気量クラス:1.5リッタークラス、1.6リッタークラス

日産・ジュークのオーナー層

●年齢層:18歳ぐらいから60歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:大衆層 低収入層
●その他:クロスオーバーSUVというものを理解していない方

日産・ジュークの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・1.5リッターNAエンジン
・1.6リッターターボエンジン

●トランスミッション
・CVT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FF
・センターデフ付きフルタイム4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム(コイルスプリング) 4WD=マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク・ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング・ドラムブレーキ、ソリッドディスク・ディスクブレーキ、ベンチレーテッドディスク・ディスクブレーキ

●ベースモデル
・あり…キューブ

●兄弟車
・なし

日産・ジュークのモデル構成とグレード構成

日産 ジューク 構成
ジュークには3つモデルが用意されています。

1.5リッターNAエンジンモデル

このモデルには4つのグレードと4つのサブグレードが用意されています。

・15RX グレード(2WD)
・15RX シンプルパッケージ グレード(2WD)
・15RX Vセレクション グレード(2WD)
・15RX Vセレクション パーソナライゼーション グレード(2WD)
・15RX Vセレクション ドレスアップ グレード(2WD)
・15RX Vセレクション Style NISMOグレード(2WD)
・15RX Vセレクション Style NISMO アラウンドビューモニターパッケージ グレード(2WD)
・15RX V アーバンセレクション グレード(2WD)
・15RX V アーバンセレクション パーソナライゼーション グレード(2WD)

●「15RX」グレードの主な装備

・ハロゲンヘッドランプ
・インテリジェントオートライトシステム
・本革巻3本スポークステアリング
・リモートコントロールエントリーシステム
・オートエアコン
・2スピーカー
・スエード調トリコットシート生地
・205/60サイズタイヤ
・16インチ×6.5JJスチールホイール
・ホイールキャップ
・アイドリングストップ
・インテリジェントエマージェンシーブレーキ
・LDW
など

●「15RX シンプルパッケージ」グレードの主な装備

「15RX」グレードの装備に
・インテリジェントオートライトシステムの廃止
・ウレタン3本スポークステアリングへ変更
・マニュアルエアコンへ変更
・インテリジェントコントロールディスプレイの廃止
・インテリジェントエマージェンシーブレーキの廃止
・LDWの廃止

を行ったものとなります。

●「15RX Vセレクション」グレードの主な装備

「15RX」グレードの装備に加えて

・ハイビームアシスト
・フォグランプ風タウンランプ
・サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードアミラー
・本革巻3本スポークステアリング
・プッシュエンジンスターター
・インテリジェントキー
・スエード調トリコットシート生地
・215/55サイズタイヤ
・17インチ×7Jアルミホイール
・イモビライザー

が追加されています。

●「15RX Vセレクション パーソナライゼーション」グレードの主な装備

「15RX」グレードの装備に加えて

・パーソナライゼーション専用カラー塗装フロントアウトサイドドアハンドル
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ドアミラー
・パーソナライゼーション専用カラー塗装フロントセンターコンソール
・パーソナライゼーション専用カラー塗装シート
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ウインドウスイッチフィニッシャー
・パーソナライゼーション専用カラー塗装セレクターノブ
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ステアリングステッチ

が追加されています。

●「15RX Vセレクション ドレスアップ」グレードの主な装備

「15RX」グレードの装備に加えて

・ドレスアップサブグレード専用デザイン17インチ×7Jアルミホイール

が追加されています。

●「15RX Vセレクション Style NISMO」グレードの主な装備
「15RX Vセレクション」グレードの装備に加えて

・NISMO専用サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・NISMO専用フロントグリル
・NISMO専用フロントバンパー
・NISMO専用オーバーフェンダー
・NISMO専用サイドシルプロテクター
・NISMO専用リヤバンパー
・NISMO専用ルーフスポイラー
・NISMO専用エキゾーストフィニッシャー
・NISMO専用LEDハイパーデイライト
・215/55サイズタイヤ
・ブラック塗装17インチ×7Jアルミホイール

の追加と

・フォグランプ風タウンランプの廃止

を行ったものです。

●「15RX Vセレクション Style NISMO アラウンドビューモニターパッケージ」グレードの主な装備
「15RX Vセレクション Style NISMO」グレードの装備に加えて

・HIDヘッドライト
・インテリジェントアラウンドビューモニター
・ディスプレイ付自動防眩式ルームミラー

が追加されています。

●「15RX V アーバンセレクション」グレードの主な装備

「15RX Vセレクション」グレードの装備に加えて

・HIDヘッドライト
・アルミ製スポーツペダル
・シルバーステッチ入り本革巻3本スポークステアリング
・アーバンセレクション専用クールブラックフロントグリル
・アーバンセレクション専用クールブラックバックドアモール
・エキゾーストフィニッシャー
・215/55サイズタイヤ
・アーバンセレクション専用クールブラック塗装17インチ×7Jアルミホイール
・アーバンセレクション専用ローダウン用コイルスプリング

が追加されています。

●「15RX V アーバンセレクション パーソナライゼーション」グレードの主な装備

「15RX V アーバンセレクション」グレードの装備に加えて

・パーソナライゼーション専用カラー塗装フロントアウトサイドドアハンドル
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ドアミラー
・パーソナライゼーション専用カラー塗装フロントセンターコンソール
・パーソナライゼーション専用カラー塗装シート
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ウインドウスイッチフィニッシャー
・パーソナライゼーション専用カラー塗装セレクターノブ
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ステアリングステッチ

が追加されています。

1.6リッターターボエンジンモデル

このモデルには2つのグレードと2つのサブグレードが用意されています。

・16GT グレード(2WD)
・16GT パーソナライゼーション グレード(2WD)
・16GT ドレスアップ グレード(2WD)
・16GT FOUR グレード(4WD)
・16GT FOUR パーソナライゼーション グレード(4WD)
・16GT FOUR ドレスアップ グレード(4WD)

●「16GT」「16GT FOUR」グレードの主な装備

両グレードは駆動方式が違うだけのもの同士であるため、装備はほぼ同じものとなります。
その装備においても1.5リッターNAエンジンモデルの「15RX Vセレクション」グレード相当のものとなりますが、1.6リッターNAエンジンモデルだけのものとして

・4スピーカー
・215/55サイズタイヤ
・シルバー塗装17インチ×7Jアルミホイール

といった装備の追加と

・アイドリングストップ

の廃止が行われています。

「パーソナライゼーション」グレード、「ドレスアップ」グレードにおいても同様で

「16GT パーソナライゼーション」グレード
「16GT FOUR パーソナライゼーション」グレード

には

・パーソナライゼーション専用カラー塗装フロントアウトサイドドアハンドル
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ドアミラー
・パーソナライゼーション専用カラー塗装フロントセンターコンソール
・パーソナライゼーション専用カラー塗装シート
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ウインドウスイッチフィニッシャー
・パーソナライゼーション専用カラー塗装セレクターノブ
・パーソナライゼーション専用カラー塗装ステアリングステッチ

が追加され、

「16GT ドレスアップ」グレード
「16GT FOUR ドレスアップ」グレード

には

・ドレスアップサブグレード専用デザイン17インチ×7Jアルミホイール

が追加される形となります。

NISMOモデル

このモデルは、ジュークのスポーティーモデルとなるもので1.6リッターNAエンジンモデルにある「16GT FOUR」グレードをベースにして作られたものです。

2つのグレードが用意されています。

・NISMOグレード
・NISMO RSグレード

装備に関してはベースモデルとなっている「16GT FOUR」グレードのものとほぼ同じでそれに更にNISMOモデルならではの装備が追加される形となっています。

●「NISMO」グレードの主な装備

「16GT FOUR」グレードの装備に加えて

・LEDハイパーデイライト
・NISMO専用レッド塗装サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・NISMO専用車速感応式電動パワーステアリング
・NISMO専用本革・アルカンターラ巻3本スポークステアリング
・NISMO専用本革セレクターノブ
・NISMO専用タコメーター
・NISMO専用プッシュエンジンスターター
・NISMO専用フィニッシャー
・NISMO専用スエード調シート
・NISMO専用エンブレム
・NISMO専用フロントグリル
・NISMO専用フロントバンパー
・NISMO専用オーバーフェンダー
・NISMO専用サイドシルプロテクター
・NISMO専用リヤバンパー
・NISMO専用ルーフスポイラー
・NISMO専用エキゾーストフィニッシャー
・225/45サイズタイヤ
・NISMO専用18インチ×7Jアルミホイール
・NISMO専用サスペンション

が追加されたもので、更に「NISMO RS」グレードには

・NISMO RS専用車速感応式電動パワーステアリング
・NISMO RS専用スピードメーター
・NISMO RS専用パドルシフト
・NISMO RS専用スエード調メーターフードカバー
・NISMO RS専用フィニッシャー
・NISMO RS専用チューニングRECARO製スポーツシート
・NISMO RS専用サスペンション・コイルスプリング
・NISMO RS専用サスペンション・ショックアブソーバー
・NISMO RS専用大径フロントブレーキ・ディスクローター
・NISMO RS専用リヤブレーキ・ベンチレーテッドディスクローター
・NISMO RS専用赤塗装ブレーキキャリパー
・NISMO RS専用エキゾーストシステム
・NISMO RS専用ECU
・NISMO RS専用CVT制御

が追加されています。

日産・ジュークに搭載されるパワーユニットと動力性能

日産 ジューク 性能
日産・ジュークには 3種類のパワーユニットが設定されています。

●1.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:HR15DE型
・エンジン排気量:1498cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOH16Cバルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:114ps/6,000rpm
・最大トルク:15.3kgf・m/4,000

・1リッターあたりのパワー:約76ps
・パワーウェイトレシオ:約10.6kg/ps

このエンジンは日産のコンパクトカーの主力エンジンとなるもので、いわゆる実用型エンジンと呼ばれるものす。
特にこれといった特徴はなく、無難走るためのエンジンといえるでしょう。

※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)

このパワーユニットは

・15RX グレード
・15RX シンプルパッケージ グレード
・15RX Vセレクション グレード
・15RX Vセレクション パーソナライゼーション グレード
・15RX Vセレクション ドレスアップ グレード
・15RX Vセレクション Style NISMOグレード
・15RX Vセレクション Style NISMO アラウンドビューモニターパッケージ グレード
・15RX V アーバンセレクション グレード
・15RX V アーバンセレクション パーソナライゼーション グレード

に採用されています。

●1.6リッターターボエンジン

・エンジン型式:MR16DDT型
・エンジン排気量:1618cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:190ps/5,600rpm
・最大トルク:24.5kgf・m/1,600-5,200rpm

・1リッターあたりのパワー:約118ps
・パワーウェイトレシオ:約6.8kg/ps

低燃費エンジンがはびこる中、ジュークには発売してからすぐに燃費性能とは正反対の位置にいるターボエンジンを採用してきました。
スポーツモデルをうたって発売されても燃費性能を向上するために半直噴エンジンを採用したり、ローパワーのNAエンジンを搭載している大衆車を無理やりスポーティーモデルとして作りかえて販売するということがよく行われている中で、パワーを狙ったターボエンジンを搭載したというのは評価に値します。
スペック的にも十分でしょう。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

このパワーユニットは

・16GT グレード
・16GT パーソナライゼーション グレード
・16GT ドレスアップ グレード
・16GT FOUR グレード
・16GT FOUR パーソナライゼーション グレード
・16GT FOUR ドレスアップ グレード
・NISMO グレード

に採用されています。

●1.6リッターターボエンジン NISMO RS専用

・エンジン型式:MR16DDT型
・エンジン排気量:1,618cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:214ps/6,000rpm
・最大トルク:25.5kgf・m/2,400-6,000rpm

・1リッターあたりのパワー:約133ps
・パワーウェイトレシオ:約6.49kg/ps

このエンジンは「16GT」グレードや「NISMO」グレードに搭載されているMR16DDT型エンジンと構造的には全く同じものですが、ECU内のプログラムデータ…ブーストマップ、燃調マップ、点火タイミングマップ、バルブタイミングマップなどが変更されているのと排気系が見直されていることによってパワーアップを実現したものです。
1.6リッターエンジンながらリッターあたり100psを軽く超える数字をたたき出し、パワーウェイトレシオもスポーツモデル並みです。

※パワーユニットの評価:★★★★☆(4)

このパワーユニットは「NISMO RS」グレード専用となります。

日産・ジュークに採用されているトランスミッション

●CVT
ジュークの構造の中で、デザインの次に残念なのがトランスミッションとして与えられているCVTです

例えばこれが1.5リッターNAエンジンモデルだけに設定されているというのであればそれはそれでいいのですが、1.6リッターターボエンジンモデルやスポーティーモデルとして作られたNISMOモデルにまで全く同じものが使われているのはかなりガッカリします。

構造的にはごく普通のCVTで、トルクコンバーターと1対のプーリー、金属ベルトで構成されているものです。
なので、加速時にはベルトがずるずる滑り、思ったような加速ができません。

1.6リッターエンジンに搭載されているものには疑似有段変速制御のマニュアルモードが備えられていて・・・

・16GT グレード
・16GT パーソナライゼーション グレード
・16GT ドレスアップ グレード
・NISMO グレード

には7速マニュアルモードとブリッピング機能のシンクロレブコントロールが、

・NISMO RS グレード

には8速マニュアルモードとシンクロレブコントロールが制御として採用されています。

とはいっても結局は低燃費のためのトランスミッション、CVTでしかないので雰囲気だけは楽しめますが、214psのパワーを活かした走りはできません。
かなりもったいないです。

※トランスミッションの評価:★☆☆☆☆(1)

日産・ジュークの走行性能を決める構造

NISSAN ジューク 構造

日産・ジュークのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

ジュークには日産とルノーでは開発し、両社のモデルでよく使われているBプラットフォームが使われています。
このプラットフォームは、ベースモデルのキューブの他にもK12型マーチやC11型ティーダ、E11型ノートなどといったコンパクトカークラスのモデル以外にもブルーバードシルフィやウィングロード、ADバンなどといったちょっと大きめのサイズを持つモデルにも使われていました。

ここからいえることはプラットフォームとしてのシャシーとしての剛性は高いということです。
特にADバンといった丈夫さと耐久性が求められるライトバンにも使われているところを見るとやはり国産車レベルのものではなく、EUでも通用するような剛性の高いものを持っているということになります。

ジューク自体はコンパクトカークラスのモデルですので、ボディサイズが小さいことからより一層、剛性感が増しており、ちょっとハードな走りをしてもそう簡単にはボディやフレームが変形することはないでしょう。
ただしそれはオンロードモデルとしての目線での話です。
このモデルはあくまでもクロスオーバーSUVで、多少のオフロード走行もできなければならない車ですのでそういった面でみるとやはりコンパクトカー用のプラットフォームという性質が出てきてしまいます。

※ボディ剛性の評価:★★☆☆☆(2)

日産・ジュークの走りの質を決めるサスペンション構造

ジュークにはFFモデルと4WDモデルでリヤサスペンションの構造が違うものとされています。
フロントサスペンションは共通のマクファーソンストラットとなりますが、リヤサスペンションはFFモデルが定番のトーションビームで、4WDモデルがマルチリンクとされています。

トーションビームは生産コストを下げるためのサスペンション構造、マルチリンクは優れた走行性能をひきだすことができる独立懸架のサスペンション構造と全く性質の違うもの同士が駆動方式の違いだけで同じモデルに使われているというもの面白いものですが、オンロードでの走行性能、多少のオフロードでの走行性能どちらにおいてもマルチリンク採用したモデルの方が抜群にいいです。

実際に乗り比べたことがあるのですが、オンオフ問わずトーションビームの方は常にバタバタする感覚があってリヤタイヤのグリップ感を得ることができないのに対して、マルチリンクの方は若干動き重たさを感じますが乗り心地も路面追従性もよくグリップ感もしっかり得ることができていました。

※サスペンション構造の評価(FFモデル):★☆☆☆☆(1)
※サスペンション構造の評価(4WDモデル):★★★★☆(4)

日産・ジュークのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

ジュークのブレーキには3つの組み合わせがあります。

1…
フロント:ディスクブレーキ(ベンチレーテッドディスク)
リヤ:ドラムブレーキ(リーディングトレーリング)

2…
フロント:ディスクブレーキ(ベンチレーテッドディスク)
リヤ:ディスクブレーキ(ソリッドディスク)

3…
フロント:ディスクブレーキ(ベンチレーテッドディスク)
リヤ:ディスクブレーキ(ベンチレーテッドディスク)

フロントブレーキはすべてにおいて同じでリヤだけが違うといった形ですが、リヤドラムブレーキ(リーディングトレーリング)は1.5リッターNAエンジンに採用されているもの、ソリッドディスクのディスクブレーキは1.6リッターターボエンジンモデルとNISMOモデルの「NISMO」グレードに、ベンチレーテッドディスクのディスクブレーキはNISMOモデルの「NISMO RS」グレードだけに採用されています。

どのブレーキも必要最低限の性能はクリアしているので不満はないでしょう。

ちなみにNISMOモデルの「NISMO RS」に使われている赤いブレーキキャリパーは色が違うだけで作りや性能は他のものと同じです。

※ブレーキシステムの評価:★★★★☆(4)

日産・ジュークに搭載されている4WDシステム

通常、ジュークのようなコンパクトカークラスのモデル、コンパクトカークラスのクロスオーバーSUVでは低コストを最優先するためにスタンバイ4WDを採用するのが定説なのですが、このジュークにはフルタイム4WDながらもセンターデフを持つ4WDシステムが採用されています。

その名も「トルクベクトル付インテリジェント 4×4」と呼ばれるものです。

これはセンターデフとして電子制御カップリングと呼ばれるクラッチを持っていて、そのクラッチの締結力を調整することでリヤタイヤのトラクションを調整するという構造になっています。
制御もスタンバイ4WDのようにフロントタイヤが空転した時だけ4WD状態になるのでなく、車輪速センサーやステアリング舵角センサー、ヨーレートセンサー、アクセルセンサーなどからの信号を用いて常に前後トルク配分やリヤアクスルでは左右のタイヤのトラクションを変化させるようになっています。

コンパクトカークラスの車にしてはかなり贅沢でうれしい機能だと思います。

※4WDシステムの評価:★★★★☆(4)

日産・ジュークの燃費性能

日産・ジュークのカタログ燃費と実燃費

●1.5リッターNAエンジンモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大18.0km/L
・実燃費:約14km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

●1.6リッターターボエンジン
・カタログ燃費(JC08モード):最大14.2km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

●1.6リッターターボエンジン (NISMO RSグレードのみ)
・カタログ燃費(JC08モード):最大12.6km/L
・実燃費:約10km/L

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

日産・ジュークに採用されている低燃費装備

●1.5リッターNAエンジンモデル

・アイドリングストップ機構
・連続可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング
・オルタネーター制御
・CVT

●1.6リッターターボエンジン

・連続可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング
・オルタネーター制御
・CVT
・直噴エンジン

日産・ジュークのライバルモデル比較

日産・ジュークのライバルとなるのはホンダ・ヴェゼル

ジュークは1.5リッターエンジンクラスのクロスオーバーSUVですので、これと同じような作りがされているモデルといえば、ホンダのヴェゼルでしょう。

ホンダ・ヴェゼルは、2013年に発売されたモデルでフィットのクロスオーバーSUV転用モデルとして作られたモデルです。
ここでは両車ともターボエンジン搭載モデルで比較してみましょう。

●日産・ジュークの概要
・カテゴリー:クロスオーバーSUV
・車格:コンパクトカー
・エンジン排気量:約1.6リッター
・エンジン形式:MR16DDT型
・比較対象グレード:「16GT FOUR」グレード

●ホンダ・ヴェゼルの概要
・カテゴリー:クロスオーバーSUV
・車格:コンパクトカー
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形式:L15B型
・比較対象グレード:「TOURING Honda SENSING」グレード

日産・ジュークとホンダ・ヴェゼルのパワースペック比較

●日産・ジューク

MR16DDT型(1.6リッター直列4気筒DOHC ターボエンジン)

・最大出力:190ps/5,600rpm
・最大トルク:24.5kgf・m/1,600-5,200rpm

●ホンダ・ヴェゼル

L15B型(1.5リッター直列4気筒DOHC VTEC ターボエンジン)

・最大出力:172ps/5,500rpm
・最大トルク:22.4kgf・m/1,700rpm~5,500rpm

※パワースペック比較結果

エンジン排気量に100ccの違いがありますがパワー、トルク共にジュークの勝ちとなります。

日産・ジュークとホンダ・ヴェゼルの燃費性能比較

●日産・ジューク
・カタログ燃費(JC08モード):最大14.2km/L
・実燃費:約11km/L

●ホンダ・ヴェゼル
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.6km/L
・実燃費:約15km/L

※燃費性能比較結果

エンジン排気量の優位性とVTECの効果が高いことからカタログ燃費、実燃費両方でヴェゼルの方が燃費性能がよい形となりました。

日産・ジュークとホンダ・ヴェゼルの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●日産・ジューク

約198万円~約347万円

●ホンダ・ヴェゼル

約208万円~約293万円

※販売価格帯比較結果

ジュークの高額側の金額はNISMOモデルの「NISMO RS」グレードといったちょっと特殊なモデルのものですので、かなり高くなるのは当然としてみるべきです。
それを除いた標準モデルの最高額約283万円で比較してみると両社ともほぼ同じ程度となります。

まとめ

日産 ジューク まとめ
この車はクロスオーバーSUVに分類されるものですから、クロスオーバーSUVとしての目線で評価をしなければいけません。
クロスオーバーSUVの最低条件である

・ある程度のオフロード走行性能
・ラゲッジスペースの積載能力

を見ると、性能の良いエンジン(ターボエンジンのみ)と優れたトラクション性能を発揮するフルタイム4WDシステムはいいのですが、デザイン優先のボディ形状が災いしてほとんど荷物が積めないようになってしまっています。

なので、クロスオーバーSUVとしてはあまり高い点数をつけることはできません

一方で、この車を単なるコンパクトカーとしてみたとしたらこれほど魅力のある車はないでしょう。
もちろん「日産3大醜車」に挙げられるほどかなり個性的なボディのデザインと低コスト策として用いられているCVTは別として、なかなかいい足周り(4WDモデルのみ)とパワーのあるターボエンジンは走りを楽しめます
その点はかなり評価が高いといっていいでしょう。

※総合評価
クロスオーバーSUVとして:★☆☆☆☆(1)
オンロード向けのコンパクトカーとして:★★★★☆(4)

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