過去にはファミリーカーとして大人気だったステーションワゴン、ミニバンが出始めたことで一気に人気がなくなってしまいました。
販売台数も確実に減っていますがそんな中でもステーションワゴンを求める声がある以上、自動車メーカーは作り続けなければなりません。

そんな感じでホンダが発売しているのが、ホンダ・シャトルです。
ここではシャトルがどういう車で、車としてどれくらいの走りの性能を持っているのかを検証してみたいと思います。

※ご注意
ここではホンダ・シャトルの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

ホンダ・シャトルはフィット・シャトルの2代目モデル

シャトルは2015年5月に新規モデルとして発売され、2019年11月現在でその初代モデルが発売されている形になっていますが、現実的には2011年6月に発売された「フィット・シャトル」の後継モデルとして作られている形になっているため、1代だけのフィット・シャトルをあわせて、2代目モデルと見ることができます。

それは何も車名の一部に同じだからではなく、作り方がフィット・シャトルの時代と全く同じだからです。

フィット・シャトルはフィットベースのステーションワゴン

フィット・シャトルは2011年に発売されたモデルで、当時ホンダの大衆コンパクトカーとして発売されていたフィット(2代目モデル・GE6/7/8/9型)をベースにして作られた小型ステーションワゴンモデルでした。

フィットのプラットフォームを使い、シャシーのリヤオーバーハングをわずかに伸ばし、フロントオーバーハングも樹脂バンパーの形状を変更することでわずかに延長、ボディもすべて新規でなく、フィットのリヤドア以降とルーフ後端を伸ばしてステーションワゴンらしい形状にした・・・という形で骨格が形成され、パワーユニットも1.3リッターNAエンジンを除いた1.5リッターNAエンジンと1.3リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム(IMA)といったフィットと全く同じものが搭載されていました。

要するにフィットのほとんどを使って作られたステーションワゴンモデル、「フィット・ステーションワゴン」というべきモデルだったのです。

シャトルもフィットベースのステーションワゴン

一方、このシャトルはどうかといいますと、まずはベースとなるモデルですがこちらもフィットでありますが、フィットはフィットでも2代目モデルではなく、2013年にフルモデルチェンジして、まったく新しいモデルとなった3代目モデルです。

このフィットの3代目モデルのプラットフォームを使い、フロントバンパー形状の違いだけでフロントオーバーハングをわずかに延長し、リヤオーバーハングはシャシーごと伸ばしてリヤラゲッジスペースを確保するといったフィット・シャトルと同じ手法で作られています。
パワーユニットも同様にフィットの3代目モデルで採用されているものの一部だけを採用するといったフィット・シャトルの時代と同じやり方で、シャトルも「フィット・ステーションワゴン」であることに違いはないのです。

名称から「フィット」という言葉が抜けただけで、作られ方、カテゴリー、ホンダの中での位置関係はフィット・シャトルとシャトルとで全く同じ、といったことから2019年11月現在で発売されているモデルは、「フィット・シャトルの2代目モデル」「2代目シャトル」といえることになります。

ホンダ・シャトルのこれまでの出来事(2019年11月現在)

●初代モデル GG7/GG8/GP2型 2011年6月発売

※「フィット・シャトル」時代

・2012年6月 一部改良
・2012年10月 「15X ファインライン」「15X・Sパッケージ ファインライン」「HYBRID ファインライン」「HYBRID・スマートセレクション ファインライン」の追加
・2013年8月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2013年12月 「クールエディション」の追加
・2015年3月 生産終了

●2代目モデル GK8/GK9/GP7/GP8型 2015年5月発売

※「シャトル」時代

・2015年12月 「HYBRID X STYLE EDITION」「HYBRID Z STYLE EDITION」の追加
・2016年8月 一部改良 インテリアパーツの小変更 ボディカラーの変更
・2017年9月 一部改良 「Honda SENSING」の標準装備化 グレード名の変更
・2018年8月 仕様変更 ボディカラーの変更
・2019年5月 マイナーチェンジ デザインの小変更

ホンダ・シャトルが属するカテゴリー

●車格:小型大衆モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:小型ステーションワゴン
●エンジン排気量クラス:1.5リッタークラス、1.5リッターハイブリッドクラス

ホンダ・シャトルのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから70歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:ステーションワゴンというより積載能力のたかいハッチバックモデルとして購入されている

ホンダ・シャトルの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン
・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム

●トランスミッション

・CVT
・7速DCT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FF
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム(コイルスプリング) 4WD=ド・ディオン(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル

・フィット

●兄弟車

・あり・・・フィット、フリード、ヴェゼル、グレイス、ジェイド

ホンダ・シャトルのモデル構成とグレード構成

シャトルにはパワーユニット違いのモデルが2つ用意されています。

ガソリンエンジンモデル

このモデルはモノグレードとなります。

・G Honda SENSING グレード(2WD・4WD)

●「G Honda SENSING」グレードの主な装備

・HondaSENSING 衝突軽減ブレーキ
・HondaSENSING 誤発進抑制機能
・HondaSENSING 歩行者事故低減ステアリング
・HondaSENSING 路外逸脱抑制機能
・HondaSENSING アダプティブ・クルーズ・コントロール
・HondaSENSING 車線維持支援システム
・HondaSENSING 先行車発進お知らせ機能
・HondaSENSING 標識認識機能
・プロジェクタータイプ ハロゲンヘッドライト
・エコアシスト
・運転席用 i-SRSエアバッグシステム
・助手席用 SRSエアバッグシステム
・VSA
・EBD付ABS
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト機能
・頚部衝撃緩和フロントシート
・アイドリングストップシステム
・ダブルホーン
・イモビライザー
・セキュリティーアラーム
・電波式キーレスエントリーシステム
・2スピーカー
・アレルフリー高性能脱臭フィルター付フルオート・エアコンディショナー
・タコメーター
・ワンタッチウインカー
・ヘッドライトオートオフ機能
・DC12V アクセサリーソケット
・テレスコピック&チルトステアリング調整機構
・運転席ドアワンタッチ式パワーウインドウ
・リアヒーターダクト
・パワードアロック
・マルチインフォメーション・ディスプレイ
・イルミネーションコントロールスイッチ
・運転席ハイトアジャスター
・ダークブルー インストルメントパネルガーニッシュ
・ダークブルー ドアライニングガーニッシュ
・高輝度シルバー塗装 インナードアハンドル
・防眩ルームミラー
・ドリンクホルダー/大型アームレスト付コンソールボックス付ハイデッキセンターコンソール
・LED照明付 フロントコンソールポケット
・ソフトパッドパネル
・運転席/助手席 バニティーミラー付サンバイザー
・リクライニング/チップアップ&ダイブダウン機構付6:4分割可倒式リアシート
・クロームメッキ エアコンアウトレットノブ
・運転席/助手席/リヤ左右席 グラブレール
・リヤ右席 コートフック
・LEDフロントマップランプ
・LEDルームランプ
・LEDラゲッジルームランプ
・タイダウンフック
・ラゲッジルームアンダーボックス
・助手席 シートバックポケット
・コンフォートビューパッケージ:親水/ヒーテッドドアミラー(4WDモデルのみ)
・コンフォートビューパッケージ:フロントドア撥水ガラス(4WDモデルのみ)
・コンフォートビューパッケージ:熱線入りフロントウインドウ(4WDモデルのみ)
・ハーフシェード/UVカット機能付フロントウインドウガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付 フロントドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付 フロントコーナーガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアクォーターガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー テールゲートガラス
・カラード アウタードアハンドル
・フロアアンダーカバー(2WDモデルのみ)
・クロームメッキ リアバンパーモール
・サイドスポイラー付 大型テールゲートスポイラー
・LEDリアコンビネーションランプ
・LEDリアライセンスランプ
・シャークフィンアンテナ
・ミスト機構付車速連動間欠/バリアブル間欠フロントワイパー
・フロントウインドウウオッシャー
・リバース連動ウオッシャー付間欠リアワイパー
・熱線式リアウインドウデフォッガー
・LEDウインカー付オートリトラミラー電動格納式リモコンカラードドアミラー
・カラード サイドシルガーニッシュ
・185/60R15 84Hサイズ タイヤ
・15インチ×6J スチールホイール
・樹脂製フルホイールキャップ

など

ハイブリッドモデル

このモデルには3つのグレードが用意されています。

・HYBRID Honda SENSING グレード(2WD・4WD)
・HYBRID X Honda SENSING グレード(2WD・4WD)
・HYBRID Z Honda SENSING グレード(2WD・4WD)

●「HYBRID Honda SENSING」グレードの主な装備

・HondaSENSING 衝突軽減ブレーキ
・HondaSENSING 誤発進抑制機能
・HondaSENSING 歩行者事故低減ステアリング
・HondaSENSING 路外逸脱抑制機能
・HondaSENSING アダプティブ・クルーズ・コントロール
・HondaSENSING 車線維持支援システム
・HondaSENSING 先行車発進お知らせ機能
・HondaSENSING 標識認識機能
・プロジェクタータイプ ハロゲンヘッドライト
・車両接近通報装置
・ティーチング 機能付エコアシスト
・運転席用 i-SRSエアバッグシステム
・助手席用 SRSエアバッグシステム
・VSA
・EBD付ABS
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト機能
・頚部衝撃緩和フロントシート
・アイドリングストップシステム
・ダブルホーン
・イモビライザー
・セキュリティーアラーム
・Hondaスマートキーシステム&パワースイッチ
・2スピーカー
・アレルフリー高性能脱臭フィルター付プラズマクラスター技術搭載フルオート・エアコンディショナー
・ワンタッチウインカー
・ヘッドライトオートオフ機能
・DC12V アクセサリーソケット
・テレスコピック&チルトステアリング調整機構
・運転席ドアワンタッチ式パワーウインドウ
・リアヒーターダクト
・パワードアロック
・マルチインフォメーション・ディスプレイ
・イルミネーションコントロールスイッチ
・運転席ハイトアジャスター
・ダークブルー インストルメントパネルガーニッシュ
・ダークブルー ドアライニングガーニッシュ
・ハイブリッド専用セレクターレバー
・高輝度シルバー塗装 インナードアハンドル
・防眩ルームミラー
・ドリンクホルダー/大型アームレスト付コンソールボックス付ハイデッキセンターコンソール
・LED照明付 フロントコンソールポケット
・ソフトパッドパネル
・運転席/助手席 バニティーミラー付サンバイザー
・リクライニング/チップアップ&ダイブダウン機構付6:4分割可倒式リアシート
・クロームメッキ エアコンアウトレットノブ
・運転席/助手席/リヤ左右席 グラブレール
・リヤ右席 コートフック
・LEDフロントマップランプ
・LEDルームランプ
・LEDラゲッジルームランプ
・タイダウンフック
・ラゲッジルームアンダーボックス
・助手席 シートバックポケット
・コンフォートビューパッケージ:親水/ヒーテッドドアミラー(4WDモデルのみ)
・コンフォートビューパッケージ:フロントドア撥水ガラス(4WDモデルのみ)
・コンフォートビューパッケージ:熱線入りフロントウインドウ(4WDモデルのみ)
・ハーフシェード/遮音/IR カット/UVカット機能付フロントウインドウガラス
・IRカット/スーパーUVカット機能付 フロントドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付 フロントコーナーガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアクォーターガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー テールゲートガラス
・カラード アウタードアハンドル
・フロアアンダーカバー(2WDモデルのみ)
・クロームメッキ リアバンパーモール
・サイドスポイラー付 大型テールゲートスポイラー
・LEDリアコンビネーションランプ
・LEDリアライセンスランプ
・シャークフィンアンテナ
・ミスト機構付車速連動間欠/バリアブル間欠フロントワイパー
・フロントウインドウウオッシャー
・リバース連動ウオッシャー付間欠リアワイパー
・熱線式リアウインドウデフォッガー
・LEDウインカー付オートリトラミラー電動格納式リモコンカラードドアミラー
・カラード サイドシルガーニッシュ
・185/60R15 84Hサイズ タイヤ
・15インチ×6J スチールホイール
・樹脂製フルホイールキャップ
・電動サーボブレーキシステム
・Sモードスイッチ

など

●「HYBRID X Honda SENSING」グレードの主な装備

「HYBRID Honda SENSING」グレードの装備に加えて・・・

・オートハイビーム
・インラインタイプLEDヘッドライト
・LEDフォグライト風タウンランプ
・前席用 i-サイドエアバッグシステム
・サイドカーテンエアバッグシステム
・ナビ装着用スペシャルパッケージ
・ETC車載器
・4スピーカー
・運転席/助手席 シートヒーター
・アレルフリー高性能脱臭フィルター付プラズマクラスター技術搭載左右独立温度コントロール式フルオート・エアコンディショナー
・コンソールボックス内DC12Vアクセサリーソケット
・プライムスムース×ファブリック コンビシート生地
・本革巻ステアリングホイール
・高輝度シルバー塗装&ダークブルー ドアライニングガーニッシュ
・リアシートバック マルチユースバスケット
・ステンレス製スポーツペダル
・自動防眩ルームミラー
・ドリンクホルダー付リアセンターアームレスト
・吸音タイプ フロアアンダーカバー(2WDモデルのみ)
・クロームメッキ フロントバンパーロアーガーニッシュ
・振幅感応型ショックアブソーバー
・パドルレバー

が追加されています。

●「HYBRID Z Honda SENSING」グレードの主な装備

「HYBRID X Honda SENSING」グレードの装備に加えて・・・

・ダブルステッチ プライムスムース(合成皮革)×ファブリック コンビシート生地
・スムースレザー 本革巻ステアリングホイール
・木目調 インストルメントパネルガーニッシュ
・ピアノブラック&ダークグレー ドアライニングガーニッシュ
・プライムスムース(合成皮革) ドアアームレストパッド
・ピアノブラック ハイブリッド専用セレクターレバー
・クロームメッキ インナードアハンドル
・トノカバー
・コンフォートビューパッケージ:親水/ヒーテッドドアミラー
・コンフォートビューパッケージ:フロントドア撥水ガラス
・コンフォートビューパッケージ:熱線入りフロントウインドウ
・クロームメッキ アウタードアハンドル
・クロームメッキ サイドシルモール
・ルーフレール
・185/55R16 83Vサイズ タイヤ
・16インチ×6J アルミホイール
・ピアノブラック パドルレバー

が追加されています。

ホンダ・シャトルに搭載されるパワーユニットと動力性能

ホンダ・シャトルには2種類のパワーユニットが設定されています。

●1.5リッターNAエンジン

・エンジン型式:L15B型
・エンジン排気量:1496cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:可変バルブタイミング機構によるミラーサイクル制御

◆スペック

・最大出力:129ps/6600rpm
・最大トルク:15.6kgf・m/4600rpm

・1リッターあたりのパワー:約86ps
・パワーウェイトレシオ:約9.3kg/ps

このパワーユニットは1.5リッターNAエンジンを搭載する「G HondaSENSING」グレードに採用されているものです。
ホンダの主力エンジンL型エンジンの1.5リッターNA仕様のもので、ベース車両のフィットやそれ以外のフィット兄弟モデルに採用されています。
フィットのものよりパワーもトルクも低くなっていますが微々たるものですので実際に運転しても気がつかない程度です。

このクラスに搭載されるエンジンにしては中々元気がよく、空荷であれば結構な走りをします。

※パワーユニットの評価:★★★★☆(4)

●1.5リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム

○エンジン
・エンジン型式:LEB型
・エンジン排気量:1496cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・特別な機能:可変バルブタイミング機構によるミラーサイクル制御

○電気モーター
・電気モーター形式:H1型

○ハイブリッドシステム:SPORT HYBRID i-DCD
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

○エンジン
・最大出力:110ps/6000rpm
・最大トルク:13.7kgf・m/5000rpm

○電気モーター
・最大出力:29.5ps
・最大トルク:16.3kgf・m

○システムパワー:約140ps

・1リッターあたりのパワー:約93.3ps
・パワーウェイトレシオ:約9.28kg/ps

この組み合わせはベースモデルのフィットやその兄弟モデルに採用されているハイブリッドシステムと全く同じもので、フィットとはパワースペックも同じです。

7速デュアルクラッチトランスミッションに内蔵したH1型電気モーターをEV走行やアシストに使うことで低燃費を目指した「SPORT HYBRID i-DCD」と呼ばれるシステムで、燃費性能が良いのもさることながら、モアパワーとしても電気モーターを活用しているのでこのクラスのハイブリッドモデルにしては動力性能にもたけています。

1.5リッターハイブリッドクラスのアクアのシステムパワー100ps、1.8リッターハイブリッドクラスのプリウス兄弟モデルのシステムパワー122psを軽く超えるパワーを持ちます。

7速デュアルクラッチトランスミッションのおかげで走りもかなり良いため、燃費性能のためではなく走りを求めるだけでもこのハイブリッドモデルを選びたいぐらいです。

※パワーユニットの評価:★★★★☆(4)

ホンダ・シャトルに採用されているトランスミッション

●CVT

1.5リッターNAエンジンを搭載するモデルに採用されているトランスミッションがこのCVTです。
これはフィットやその兄弟モデルなどに採用されているものと全く同じもので、要するにフィット兄弟モデルにおけるガソリンエンジンモデルの標準トランスミッションとなります。

構造はいたって普通でトルクコンバーターにを金属ベルト式のベルト変速機を組み合わせただけのものです。
性能に関してもCVT特有のベルト滑りによる加速不良やフィーリングの悪化、ダルな走りしかできないという感じです。
ガソリンエンジンモデルを購入すれば、否応もなくこのCVTがついてきてしまうため避けようがありませんが、逆にいえばCVTを搭載する1.5リッターNAエンジンモデル自体を避けたいところです。

※トランスミッションの評価:★☆☆☆☆(1)

●7速デュアルクラッチトランスミッション

これはハイブリッドモデルに採用されているハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」の一部となっているもので、トランスミッションの選択肢はなく、ハイブリッドモデルを選ぶと必ず付いてきます。

基本構造は、1速、3速、5速、7速といった奇数段を担当するギヤボックスと2速、4速、6速といった偶数段を担当するギヤボックスをそれぞれにギヤボックスに付けられている乾式クラッチで交互につなぎ変えることでスピーディーなシフトチェンジを可能としたもので、スポーツモデルの日産のGT-Rや三菱のランサーエボリューションXなどに搭載されているものと基本を同じとします。
ただ、このハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」ではこの7速デュアルクラッチトランスミッションの一部に電気モーターを組み込んでいて、動力の分割や切り替えを行う機能もこのトランスミッションに持たせているのがスポーツモデルに採用されているものと大きく違う部分です。

性能に関してはパワーロスが少なくシフトチェンジも確実で速い、少々変速ショックは大きいですが、大衆モデルに採用するのももったいないぐらい優れた性能を持つトランスミッションといっていいでしょう。

※トランスミッションの評価:★★★★☆(4)

ホンダ・シャトルの走行性能を決める構造

ホンダ・シャトルのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

シャトルのプラットフォームやシャシーはベースモデルのフィットが3代目モデルへとモデルチェンジした際に新たに開発し採用したものと全く同じです。

リヤラゲッジスペースを確保するためにフィットのものよりリヤオーバーハングが延長されて、全長が長くなっていますが、ホイールベースは全く同じですので全長が伸びたことでボディ剛性が低下しているといったことはありません。

それにそもそもホンダのプラットフォーム、シャシー、フレームは剛性が高いことで有名なぐらいですから仮にもっとボディが延長されたとしてもそのがっちり感は変わらないでしょう。

とにかくよくできた車体です。

※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)

ホンダ・シャトルの走りの質を決めるサスペンション構造

シャトルではベースモデルのフィットと同じシャシーを使っているためサスペンション構造も同じものとなり、2WDモデルと4WDモデルとで違うサスペンション構造が採用されています。

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム 4WD=ド・ディオン

駆動方式で違いがあるのはリヤサスペンション構造だけで、フロントサスペンションのマクファーソンストラットは同じです。

マクファーソンストラットは、いろいろなモデルに採用されていて実績も性能も申し分ないものを持つ独立懸架ですのでいいでしょう。

対して駆動方式によって違いがあるリヤサスペンションですが2WDモデルでは車軸式・・・いわゆるトーションビームが採用となっています。
これは左右のタイヤをコの字型のビームで固定し、その動きをコイルスプリングとショックアブソーバーで支えるといったもので、低コストを狙って作られた最悪なサスペンション構造です。

4WDモデルのド・ディオン式は、2WDモデルのトーションビームと同じ部類のリジットサスペンションですが、こちらはデファレンシャルギヤケースがあることによってちょっと違った構造が用いられています。

デファレンシャルギヤは鉄の塊ですので重量があります。
その重量があるデファレンシャルギヤケースをサスペンション構造としてぶら下げてしまうとバネ下重量が極端に重たくなってしまうため、それによって路面追従性の悪化、乗り心地の悪化を起こすことが懸念されます。

そこでデファレンシャルギヤケースは独立懸架と同じようにシャシー側に固定して、そこからドライブシャフトを左右に伸ばしてタイヤを回すという形にし、その左右のタイヤを一本のシャフトで繋げて、シャシーから伸びる複数のリンクで保持することでバネ下重量の低下、サスペンション構造の強度アップ、低コストを実現した・・・というのがド・ディオン式リジットサスペンションです。

こちらは非常に強度があり、オンロードでもオフロードでも無難な性能を持っています。
少なくともトーションビームよりはましです。

※サスペンション構造の評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・シャトルのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

ブレーキシステムも基本的にはベースモデルのフィットの標準モデルに採用されているものと同じで・・・

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

といったものになっているですが、このシステムはハッチバックモデルのフィットだからよかったのに、それよりも車両重量もそう重量も重たくなるステーションワゴンのシャトルにそのまま流用してはいけません。

せめてフィットの「RS HondaSENSING」グレードだけに採用されているリヤブレーキもディスクブレーキにしなければいけません。
空荷状態が多い方であれば、リヤがドラムブレーキでもいいですが、荷物を常に積んでいる、荷物を積むことが多い方の場合はブレーキのグレードアップが必要かもしれません。

※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・シャトルに搭載されている4WDシステム

4WDシステムもベースモデルのフィットと全く同じ、スタンバイ4WDシステムのホンダ名「リアルタイムAWD」が採用されています。
このシステムは早い話が電気ポンプ式油圧クラッチを用いたスタンバイ4WDで、フロントタイヤが空転してリヤタイヤとの回転差が大きくなった時とGセンサーで加速状態を検知した時だけ油圧クラッチ(カップリング」を圧着して一時的に4WD状態にするといった「生活四駆」です。

スタンバイ4WDであることかオンロード、オフロードともに劇的なトラクション性能の向上は見られず、スリッピーな路面に突然、出くわしてしまった時の緊急脱出程度の機能しか持っていません。

まあ、ステーションワゴンでオフロードをガンガン走ることはないと思いますので、それくらいの性能でも良いのかもしれませんが4WDシステムとしてはビスカスカップリングを用いたスタンバイ4WDの次に性能が悪いものといえます。

※4WDシステムの評価:★☆☆☆☆(1)

ホンダ・シャトルの燃費性能

ホンダ・シャトルのカタログ燃費と実燃費

●1.5リッターNAエンジンモデル(2WDモデル)

・カタログ燃費(WLTCモード):最大19.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大14.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大20.3km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大22.1km/L

・実燃費:約18km/L

※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)

●1.5リッターNAエンジンモデル(4WDモデル)

・カタログ燃費(WLTCモード):最大17.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大13.1km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大17.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大19.4km/L

・実燃費:約14km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

●1.5リッターNAエンジン+ハイブリッドモデル(2WDモデル)

・カタログ燃費(WLTCモード):最大25.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大20.6km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大27.1km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大26.8km/L

・実燃費:約26km/L

※燃費性能の評価:★★★★☆(4)

●1.5リッターNAエンジン+ハイブリッドモデル(4WDモデル)

・カタログ燃費(WLTCモード):最大22.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大18.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大23.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大23.4km/L

・実燃費:約22km/L

※燃費性能の評価:★★★★☆(4)

ホンダ・シャトルに採用されている低燃費装備

●1.5リッターNAエンジンモデル

・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン

●1.5リッターNAエンジン+ハイブリッドモデル

・ハイブリッドシステム
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構

ホンダ・シャトルのライバルモデル比較

ホンダ・シャトルのライバルとなるのはトヨタ・カローラ・フィールダー

1.5リッタークラスのステーションワゴンといえば、このシャトル以外にはトヨタのカローラ・フィールダーしかありません。
カローラ・フィールダーはカローラシリーズのステーションワゴンモデル、カローラ・ワゴンの後継モデルとして作られている車で、当初は1.5リッターモデルと1.8リッターモデルの2種類があったのですが、2019年11月現在で発売されているモデルでは1.5リッターNAエンジンモデルとアクアのハイブリッドシステムを移植して作られた1.5リッターハイブリッドモデルの2種類となります。

このモデルに事実上の後継モデルとなるカローラ・ツーリングというモデルが販売されていますが、そのモデルは1つ格上のクラスのとなっているため、それが発売されている現在でも併売されています。

ここでは両車に共通してある1.5リッターハイブリッドモデル同士で比較してみたいと思います。

●ホンダ・シャトルの概要

・カテゴリー:小型ステーションワゴン
・車格:小型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形式:LEB型+H1型 「SPORT HYBRID i-DCD」
・比較対象グレード:「HYBRID X Honda SENSING」グレード

●トヨタ・カローラ・フィールダーの概要

・カテゴリー:小型ステーションワゴン
・車格:小型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.5リッター
・パワーユニット形式:1NZ-FXE型+1LM型 「リダクション機構付きTHS-II」
・比較対象グレード:「ハイブリッドEX」グレード

ホンダ・シャトルとトヨタ・カローラ・フィールダーのパワースペック比較

●ホンダ・シャトル

・システムパワー:約140ps

●トヨタ・カローラ・フィールダー

・システムパワー:100ps以下

※パワースペック比較結果
カローラ・フィールダーのハイブリッドシステムは「プアマンズ・プリウス」と呼ばれているアクアのものを移植したもので、アクアという車の性格上、「パワーよりも燃費性能」「走りよりも低コスト」といった部分を重視して作られたものとなるため、パワーユニットとしてのパワーはかなり貧弱な100ps以下となっています。

その点、シャトルは走りの面もしっかりと考えられているので、アクアをはるかに上回る140ps程度のシステムパワーを持っています。

ホンダ・シャトルとトヨタ・カローラ・フィールダーの燃費性能比較

●ホンダ・シャトル

・カタログ燃費(JC08モード):最大33.2km/L
・実燃費:約26km/L

●トヨタ・カローラ・フィールダー

・カタログ燃費(JC08モード):最大34.4km/L
・実燃費:約20km/L

※燃費性能比較結果

鳴り物入りで登場したトヨタのハイブリッドシステムであるリダクション機構付THS-II、このハイブリッドシステムを搭載したモデルの実燃費はどうしてこんなにカタログ燃費からかけ離れた数字になるのでしょう。
JC08モード燃費だからといったもこれはひどすぎます。

その点、ホンダのハイブリッドモデルはカタログ燃費との乖離があまりありません。
よって、ホンダの大逆転です。

ホンダ・シャトルとトヨタ・カローラ・フィールダーの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●ホンダ・シャトル

約181万円~約277万円

●トヨタ・カローラ・フィールダー

約169万円~約228万円

※販売価格帯比較結果

かたやこれからもバンバン売っていこうという車、かたやじんわりとカローラ・ツーリングにスイッチしていこうともくろんでいるもう終わっている車です。
これくらいの差額がついても仕方ないでしょう。

まとめ

ステーションワゴンといっても小型モデルですのでそれほどたくさんの荷物を積めるわけではありませんが、その「中途半端さ」が日本人に生活にはちょうど良く、「ちょっと荷物が詰めるコンパクトカー」として大人気になるのもわかる気がします。

ホンダの車らしく動力性能も走行性能もこのクラスのモデルとしては優れているといってよく、燃費性能もなかなかといった感じで意外とよくできたステーションワゴンであることがわかりました。

※総合評価:★★★★☆(4)

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