ホンダの大衆モデルにおけるフラッグシップモデルとなるのがこのホンダ・レジェンド、フラッグシップモデルといわれるだけあって、外観やインテリア、快適装備だけでなく自動車の根幹となる部分にまでかなり贅沢な装備が採用されているようです。
ここではそんなホンダ・レジェンドがどういう車なのか、自動車としての走りの性能をどれくらい持っているのかを検証したいと思います。

※ご注意
ここではホンダ・レジェンドの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

ホンダ初の3ナンバーセダンとなったホンダ・レジェンド

ホンダが自動車生産に乗り出したのは1963年のこと、最初は軽商用トラックのT360と当時に規格では小型モデル扱いとされていたオープンスポーツのS500から始まり、その後も軽自動車や小型モデルを作り続けてきましたが、ホンダとしては自動車産業にあまり力を入れていなかった時代でもっぱらオートバイが主力となっていました。
本格的に自動車を作るようになったのは1972年のこと、排ガス規制が厳しくなり各自動車メーカーが排ガス規制対策に躍起になっていた中、1から排ガス規制に対応できるというメリットを持ちつつシビックを発売しました。
このシビックは1.2リッターエンジン(のちに1.5リッターエンジンも追加される)を搭載した登録車として発売されました。
登録車といえばホンダ・1300がすでに発売されていましたが、これが大失敗に終わったことでこのシビックがホンダの登録車で初めて成功を収めたモデルとなりました。

このシビックを皮切りにホンダは軽自動車と共に登録車の生産にも力を入れてきました。
シビック、シティ、アコード、クイント、プレリュードと続々と発売していったのですが、当時のホンダは軽自動車から小型モデル、中型モデルまでのモデルを得意としていたので、どのモデルもエンジン排気量2リッター以下のものばかりで大型モデルがありませんでした。

そんな中で景気がどんどん上向きになり、より贅沢な車が求められるようになったことからホンダも2リッターオーバーのエンジンを搭載し、3ナンバーボディを持つ大型モデルを作らざるを得なくなっていったのです。
そこで開発されたのがこのレジェンドでした。

ただ初代レジェンドは、ホンダに大型セダンをつくる完全なる技術がまだなかったことからローバーの前身となるイギリスの自動車メーカー「ブリティッシュ・レイランド」との共同開発(といってもほとんどがブリティッシュ・レイランドによって作られていますが・・・)によって日英合作のモデルとなったのでした。

この初代モデルから2代目モデルまでは、バブル景気に影響を受けてよく売れたのですが、今度はそのバブル景気が崩壊した逆の影響を受けて3代目モデル、4代目モデルはほとんど売れず、モデルチェンジサイクルも3代目モデルは約9年、4代目モデルは約8年と乗用モデルにしては比較的長い期間、販売が続けられてきました。

そして2015年になって5代目となるモデルが発売されたのです。
このモデルでは先代モデルまでと打って変わって時代背景にあわせた形でハイブリッド専用モデルとなりました。
3.5リッターのV型6気筒エンジンと3つの電気モーターそして電気式4WDシステムを組み合わせた「SPORT HYBRID SH-AWD」というハイブリッドシステムを搭載し、快適装備もまさにフラッグシップモデルらしい贅沢なものとなっています。

ホンダ・レジェンドのこれまでの出来事(2019年12月現在)

●初代モデル KA1/2/3/4/5/6型 1985年10月発売

・1987年2月 2ドアクーペモデルの追加
・1988年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更 2リッターターボエンジンモデルの追加 セダンモデルのリヤサスペンション構造がダブルウィッシュボーンに変更

●2代目モデル KA7/8型 1990年4月発売

・1992年9月 「α Touring」モデルの追加
・1993年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更 「Touring」グレードの廃止

●3代目モデル KA9型 1996年2月発売

・1997年10月 一部変更 「ユーロ エクスクルーシブ」グレードの追加
・1998年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・1999年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2003年6月 マイナーチェンジ デザインの小変更

●4代目モデル KB1/2型 2004年10月発売

・2005年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2006年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2008年9月 マイナーチェンジ デザインの変更 エンジンの仕様変更 「ユーロ」モデルの追加
・2010年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更 6速オートマチックトランスミッションの採用

●5代目モデル KC2型 2015年2月発売

・2017年7月 仕様変更 ボディカラーの変更
・2018年2月 マイナーチェンジ デザインの小変更 ボディカラーの変更

ホンダ・レジェンドが属するカテゴリー

●車格:大型高額モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:4ドアノッチバックセダン
●エンジン排気量クラス:3.5リッターハイブリッドクラス

ホンダ・レジェンドのオーナー層

●年齢層:40歳ぐらいから70歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:富裕層(新車購入)、高収入層(新車購入)、大衆層(中古車購入)
●その他:ほとんど売れていない

ホンダ・レジェンドの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム

●トランスミッション

・DCT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・電気式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:ウィッシュボーン(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ソリッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル

・なし

●兄弟車

・なし

ホンダ・レジェンドのモデル構成とグレード構成

レジェンドは単一モデル構成となっています。

ベースモデル

グレード構成もモノグレードとなります。

・Hybrid EX グレード(4WD)

●「Hybrid EX」グレードの主な装備

・HondaSENSING:衝突軽減ブレーキ
・HondaSENSING:誤発進抑制機能
・HondaSENSING:歩行者事故低減ステアリング
・HondaSENSING:路外逸脱抑制機能
・HondaSENSING:渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロール
・HondaSENSING:LKAS(車線維持支援システム)
・HondaSENSING:渋滞運転支援機能トラフィックジャムアシスト
・HondaSENSING:先行車発進お知らせ機能
・HondaSENSING:標識認識機能
・HondaSENSING:オートハイビーム
・運転席/助手席E-プリテンショナー
・ブラインドスポットインフォメーション
・マルチビューカメラシステム
・後退出庫サポート
・パーキングセンサーシステム
・アジャイルハンドリングアシスト
・モーションアダプティブEPS
・VSA
・EBD)付ABS
・オートレベリング機構/オートライトコントロール機構/デフォルトオートスイッチ付ジュエルアイLEDヘッドライト
・導光タイプLEDポジションランプ
・LEDフォグライト風タウンランプ
・タイヤ空気圧警報システム
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト機能
・車両接近通報装置
・運転席用i-SRSエアバッグシステム
・助手席用i-SRSエアバッグシステム
・前席用i-サイドエアバッグシステム
・サイドカーテンエアバッグシステム
・運転席用SRSニーエアバッグシステム
・前後調節機構付フロントヘッドレスト
・リアクティブフォースペダル
・電子制御パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド機能
・イモビライザー
・超音波センサー付セキュリティーアラーム
・エレクトリックギアセレクター
・SPORTモードスイッチ
・ヘッドアップディスプレイ
・マルチインフォメーション・ディスプレイ
・オンデマンド・マルチユース・ディスプレイ
・Hondaインターナビ+リンクアップフリー
・ETC2.0対応車載器
・Krellオーディオシステム
・アクティブサウンドコントロール
・プログレッシブコマンダー
・リアアームレスト内蔵コントロールパネル
・アレルフリー高性能脱臭フィルター付プラズマクラスター技術搭載トリプルゾーンコントロール・フルオートエアコンディショナー
・リアベンチレーション
・リアドアクォーターガラス連動式リアドアサンシェード
・リバース連動式リヤ電動サンシェード
・チルトアップ機構付フロント電動スモークドガラス・サンルーフ
・Hondaスマートキーシステム
・スマートウエルカムランプ
・ドライビングポジション・メモリー
・オートアウェイ機構付電動テレスコピック&チルトステアリング調整機能
・全ドアワンタッチ式パワーウインドウ
・パワードアロック
・車速連動オートドアロック
・ワンタッチウインカー
・USBジャック
・HDMI入力端子
・AUX端子
・DC12V アクセサリーソケット
・パワースイッチ
・ヘッドライトオートオフ機能
・レザーインテリア
・本革シート生地
・運転席/助手席 ベンチレーション機能付スポーティープレミアムシート
・運転席/助手席 8ウェイパワーシート
・運転席/助手席 4ウェイ電動ランバーサポート
・運転席/助手席/リヤ左右席 シートヒーター
・助手席シートリモートコントロールスイッチ
・ステアリングヒーター付スムースレザー本革巻ステアリングホイール
・スリーアクセスコンソール
・木目調 インストルメントパネル
・木目調 センターコンソールパネル
・木目調 ドアガーニッシュパネル
・インストルメントパネル リアルステッチソフトパッド
・ドアライニング リアルステッチソフトパッド
・ステップガーニッシュオーナメントパネル
・自動防眩ルームミラー
・照明付運転席用/助手席用バニティーミラー付サンバイザー
・LED インナードアハンドルイルミネーション
・LED 前席/後席フットランプ
・LED アンビエントランプ
・コンソールボックス LED照明
・LED カーテシーランプ
・LED フロントマップランプ
・LED リアマップランプ
・LED トランクランプ
・LED照明付電気式ロックリリースグローブボックス
・透過式メッキLEDイルミネーション付フロントドリンクホルダー
・透過式メッキLEDイルミネーション付センターホルダー
・LED照明付フロントドアポケット
・運転席/助手席 シートバックポケット
・運転席/助手席/リヤ左右席 グラブレール
・リヤ左右席 コートフック
・パワートランク
・セルフオープン式トランクリッド
・トランクネット
・トランクアンダーボックス
・コンビニフック
・高熱線吸収/UVカット機能/ハーフシェード付 フロントウインドウガラス
・IRカット/UVカット機能付 フロントドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアクォーターガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアガラス
・熱線入りフロントウインドウ
・フロントドア撥水ガラス
・メモリー/ヒーテッド/リバース連動/自動防眩機能付オートリトラミラー電動格納式リモコンカラードドアミラー
・LEDドアミラーウインカー
・ミスト機構付雨滴検知式車速連動間欠/バリアブル間欠フロントワイパー()
・プリントアンテナ
・シャークフィンアンテナ
・リアツインフィニッシャー
・熱線式リアウインドウデフォッガー
・19インチ×8J ノイズリデューシングアルミホイール
・245/40R1994Yサイズ タイヤ
・振幅感応型ダンパー
・パドルレバー
・電動サーボブレーキシステム
・VGR(可変ステアリングギアレシオ)電動パワーステアリング機構

など

ホンダ・レジェンドに搭載されるパワーユニットと動力性能

ホンダ・レジェンドには1種類のパワーユニットが設定されています。

●3.5リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム

○エンジン
・エンジン型式:JNB型
・エンジン排気量:3471cc
・シリンダー配列:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:SOHC24バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:可変シリンダーシステム

○電気モーター
・電気モーター形式:フロント用=H2型×1 リヤ用=H3型×2

○ハイブリッドシステム:SPORT HYBRID SH-AWD
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

○エンジン
・最大出力:314ps/6500rpm
・最大トルク:37.8kgf・m/4700rpm

○電気モーター
・フロント用=最大出力:48ps 最大トルク:15.1kgf・m
・リヤ用=最大出力:37ps 最大トルク:7.4kgf・m

○システムパワー:382ps

・1リッターあたりのパワー:約109.1ps
・パワーウェイトレシオ:約5.2kg/ps

このパワーユニットは「SPORT HYBRID SH-AWD」と呼ばるハイブリッドシステムで、このレジェンドの他にはスーパースポーツモデルのNSXにしか採用されていません。
このハイブリッドシステムの構成は・・・

・フロント駆動用または発電用エンジン
・フロント駆動用電気モーター
・リヤ駆動用電気モーター×2基

といったもので構成されているもので、リヤ駆動用電気モーターは左右のタイヤを別々に駆動させるために独立制御の電気モーターが2つ付けられています。

前後のドライブトレーンは物理的に独立しており、フロントタイヤを回すのはエンジンとフロント用電気モーター、リヤタイヤを回すのはリヤ用の電気モーターといった形になり、制御も独立して行われています。

エンジンは3.5リッターのV型6気筒NAエンジンで、バルブ機構としてi-VTECが組み込まれています。
このi-VTECは、シビック・タイプRなどに採用されているプロフィールの違うカムを物理的に切り替えるタイプのモアパワーのためのVTECとは全くの別物で、よくあるカムスプロケットとカムシャフトの位相を変更するタイプの連続可変バルブタイミング機構とSOHCですのでロッカーアームがついているのですが、そのロッカーアームの支点の位置を変えることで可能とした可変バルブリフト機構を併せ持ったものです。
要するにこちらのi-VTECはパワーのためではなく、燃費性能のための機構であるというわけです。

それともう1つ、燃費性能を向上させるための機能としてVCMというものも採用されています。
VCMとは「可変シリンダーシステム」と呼ばれているもので、V型エンジンの片側バンクだけの機能を停止(燃料噴射、点火の停止)させ、一時的に1.75リッター3気筒エンジンとして稼働させて燃料消費量を減らそうというものです。
当然ながらこの状態ですとパワーが出ませんので、高速道路で一定のスピードで走行するといったような状況でのみに機能するようになってします。

ハイブリッドシステムとしては4WDであるメリットを活かしていろいろな走行パターンを切り替えながら走るようになっています。
走行パターンとして用意されているのは以下のようなものです。

●リヤ駆動用電気モーターを使っての走行パターン(リヤ駆動)
・・・クリープ現象や通常の発進加速時、低中速域での走行で使用

●エンジンを使っての走行パターン(フロント駆動)
・・・強めの加速時、高速域での定速走行で使用、負荷の少ない時はVCMによって3気筒化されることもある

●エンジンによるフロント駆動とリヤ駆動用電気モーターによるリヤ駆動の両方を使う走行パターン(4WD状態)
・・・急加速やタイヤにスリップを検知した時に使用

これ以外にも減速時の回生エネルギーで発電したり、エンジンが稼働している時に同時に発電をしたりという制御も行われています

パワー的には382psと大型セダンとしても十分すぎるパワーで、パワー不足を感じることはまずないかと思います。

※パワーユニットの評価:★★★★★(5)

ホンダ・レジェンドに採用されているトランスミッション

●7速DCT

ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」に組み合わされているトランスミッションはフィットなどでもおなじみの7速デュアルクラッチトランスミッション、DCTです。
もちろんフィット兄弟モデルに使われているものとは全くの別物ですが基礎となる構造は同じで、1速、3速、5速、7速を受け持つギヤボックスと2速、4速、6速、リバースを受け持つギヤボックスをそれぞれのギヤボックスに付けられている湿式多板クラッチを繋ぎ変えることによって変速していく自動変速機です。

このトランスミッションの良いところは構造がマニュアルトランスミッションとそれほど違いがないところです。
もちろんDCTは自動変速機ですからマニュアルトランスミッションにように人間が変速作業をしなければならないということではありませんが、構造がクラッチと金属ギヤで構成されたギヤボックスの組み合わせというところが同じなのです。

通常はオートマチックトランスミッションとかCVTというと必ず大きなパワーロスを伴う構造がつくもので、それがトルクコンバーターであったり、ベルト式無段変速機であったりということになるのですが、DCTはそれが全くないのでフリクションロス以外のパワーロスがないのです。
そしてそういったものがないということで走行フィーリングの向上にもつながります。

自動変速機の中では一番優れたトランスミッションといっていいでしょう。

※トランスミッションの評価:★★★★★(5)

ホンダ・レジェンドの走行性能を決める構造

ホンダ・レジェンドのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

レジェンドのプラットフォームやシャシーはこのモデルだけのために設計されたもので、ホンダらしく非常に強固で剛性の高いものとなっています。
384psものパワーにも負けず、2トン近い重量にもびくともしません。

ボディフレームに関しても、あちこちにアルミ製のボディパネルが使われているのですが、それを全く感じさせないぐらいの強度を持っています。

これらのものが合わさってレジェンドを形作っているわけですので、軟な車でないないことは確実です。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

ホンダ・レジェンドの走りの質を決めるサスペンション構造

レジェンドのサスペンション構造はフラッグシップモデルらしく非常に贅沢なものが採用されています。

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:ウィッシュボーン(コイルスプリング)

四輪独立懸架ということで全く申し分のないものですが、リヤサスペンションのウィッシュボーンというのは、フロントサスペンションに使われているもののようなダブルウィッシュボーンと構造的に違いはないのですが、レジェンドのリヤサスペンションでは、ダブルウィッシュボーンのロアーアームにあたる部分が一体式のアームではなく、複数のアームやシャフトで構成されているので、下側の「ウィッシュボーン(V型の骨組み)」がないため「ダブル」ではなくシングルの「ウィッシュボーン」サスペンションということなのですが、一般的に「マルチリンク」と呼ばれるものと解釈すればいいでしょう。

サスペンションセッティングはホンダらしく少々硬めですが、スピードレンジを挙げていくとそれが見事に「踏ん張り」に変化していくのが不思議です。
直進安定性もバツグン、コーナーリングはもはやスポーツモデル並みです。

※サスペンション構造の評価:★★★★★(5)

ホンダ・レジェンドのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

レジェンドぐらいの車格になれば四輪ディスクブレーキは当たり前でしょう。

・フロント:2ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ

ただ、残念ながらNSXのような対向ピストンキャリパーではなく、コスト重視の片押しのフローティングキャリパーになっています。
2トン近くなる重量と382psにもなるパワースペックを考えたらやはり対向ピストンキャリパーは必要かと思います。

※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・レジェンドに搭載されている4WDシステム

レジェンドは標準で4WDモデルとなっており、逆に2WDモデルがありません。
これは搭載されているハイブリッドシステムが4WDシステムを含めた構造となっているためです。

ハイブリッドシステムから4WDシステムだけを抜き出した形で考えると、時にフロント駆動、時にリヤ駆動、特に4輪駆動と走行中にころころと駆動輪を変えていきますので一概には言えませんが、常に4WD状態であるわけではないところを見るとスタンバイ4WDとしてみてもいいでしょう。

しかし、ビスカスカップリングや電磁クラッチを使ったスタンバイ4WD、他のホンダのモデルに使われている「リアルタイムAWD」のようなスタンバイ4WDと全く違い、トラクション性能のなかなかのものを持っているので、「スタンバイ4WD」と一言でくくるのもちょっと違うと思います。

それにリヤ駆動においては左右の電気モーターのトルクに差をつけることでヨーコントロールも行っていますので、より高度な4WDシステムであるといえます。

※4WDシステムの評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・レジェンドの燃費性能

ホンダ・レジェンドのカタログ燃費と実燃費

●全モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大16.4km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能の評価:★★★★☆(4)

ホンダ・レジェンドに採用されている低燃費装備

●全モデル
・ハイブリッドシステム
・可変シリンダーシステム
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン

ホンダ・レジェンドのライバルモデル比較

ホンダ・レジェンドのライバルとなるのはトヨタ・LS

3.5リッターNAエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたハイブリッドモデル、それもその自動車メーカーのフラッグシップモデルとして発売されているモデルというレジェンドと全く同じ境遇にあるのがトヨタのLSです。

LSはトヨタの高額モデル専用販売店であるトヨタ・レクサス店で販売されているモデルで、トヨタのフラッグシップモデルとなります。
LSにはハイブリッドモデル以外にも3.5リッターターボエンジンモデルがありますが、ここでは両車で共通してある3.5リッターハイブリッドモデル同士で比較してみたいと思います。

●ホンダ・レジェンドの概要
・カテゴリー:4ドアノッチバックセダン
・車格:大型高額モデル
・エンジン排気量:約3.5リッター
・パワーユニット形式:JNB型+H2型+H3型+H3型 SPORT HYBRID SH-AWD
・比較対象グレード:「Hybrid EX」グレード

●トヨタ・LSの概要
・カテゴリー:4ドアノッチバックセダン
・車格:大型高額モデル
・エンジン排気量:約3.5リッター
・パワーユニット形式:8GR-FXS型+2NM型 マルチステージハイブリッドシステム(FR用THS-II)
・比較対象グレード:「LS500h」モデルベースグレード

ホンダ・レジェンドとトヨタ・LSのパワースペック比較

●ホンダ・レジェンド

・システムパワー:382ps

●トヨタ・LS

・システムパワー:359ps

※パワースペック比較結果

効率よくパワーを犠牲にしないような形で設計されているSPORT HYBRID SH-AWDの圧倒的な勝利です。

ホンダ・レジェンドとトヨタ・LSの燃費性能比較

●ホンダ・レジェンド

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.4km/L
・実燃費:約11km/L

●トヨタ・LS

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.4km/L
・実燃費:約9km/L

※燃費性能比較結果

偶然にもカタログ燃費が同じとなりましたが、実燃費はレジェンドの方がわずかに優れている形となりました。
やはりこちらもSPORT HYBRID SH-AWDの良さが出たようです。
そもそもLSのマルチステージハイブリッドシステムはプリウスに搭載されているリダクション機構付THS-IIをFRレイアウト用に改良しただけのもので基本設計が非常に古いことから実は思ったほど良い燃費性能を持っていないのです。

ホンダ・レジェンドとトヨタ・LSの販売価格帯比較

●ホンダ・レジェンド

約720万円

●トヨタ・LS(ハイブリッドモデルのみ)

約1142万円~約1711万円

※販売価格帯比較結果

パワーも低い、燃費性能も悪い、走りも悪い、それなのに400万円から1000万円も高いトヨタのLSを買う人の気が知れません。
よっぽどのトヨタ信者なのでしょうか。

まとめ

フラッグシップモデルとなるとかなりお金をかけて贅沢に作ることができるものですが、それまでは見た目の良さとかインテリアの良さとか快適装備やそれ以外の「走り」とは全く関係の無い部分にばかりお金をかけて、エンジンやサスペンションなどにはあまりお金をかけずに性能も悪いわけではないが価格に見合うほどのものではないというのが一般的でした。

しかし、ホンダ・レジェンドは違います。
フラッグシップモデルらしい面持ちや高級感を持ちながらも走りの面にもしっかりとお金をかけてずば抜けた動力性能、走行性能を発揮させています。

非常のホンダらしい車で、まさにホンダのフラッグシップモデルにふさわしい車だと思います。

※総合評価:★★★★☆(4)

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