ホンダのインサイトといえば、トヨタのプリウスに惨敗し生産終了に追い込まれたというホンダからすれば苦い思い出のあるモデルですが、それが2018年になって突然に3代目モデルとなるモデルが発売されました。
ただ、失敗作である初代・2代目とは少々毛色が違うようでどうやら新たな需要を求めたモデルであるようです。
ここではそんなホンダ・インサイトがどういう車なのか、乗用モデルとしてどれくらいの走りの性能を持っているのかといったところを検証してみたいと思います。

※ご注意
ここではホンダ・インサイトの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

ターゲットをプリウスからカローラに移行したホンダ・インサイト

1990年代後半、地球環境を良くしようということで持ち上がった「エコロジー思想」、実はそれはあくまでも表向きのきれいごとで実際には商用目的のひとつのブームを作るために考えられたものでした。
いわゆる「エコブーム」といわれるものですが、この真実を知る者はそうは呼ばず「似非エコブーム」と呼んでいます。

その似非エコブームを最初に自動車界に持ちこんだのがトヨタです。
巧みな販売戦略を持つトヨタですから特にこれといって驚くことはありませんでしたが、いち早く似非エコブームを商売に活用し、「低燃費ブーム」にすり替えるということまで行ったのです。
その低燃費ブームを引き下げてさっそうと販売を開始したのが世界で初めての量産ハイブリッドカーのプリウスでした。

そしてそのブームのメリットを「トヨタだけのものにしておくのはいかん!」ということで同じように低燃費ブームに乗る形で、プリウスのライバルモデルという形で発売されたのがこのホンダ・インサイトだったのです。

発売当初はまだ「エコブーム(似非エコブーム)」とか低燃費ブームというものが根付いておらず、トヨタの売り付け方がえげつないということから逆に偽善者が買う「偽善・車」などいわれる始末で、両車とも行政関係やガソリン代をケチりたいと思っていた方のみに買われる不人気モデルでした。

しかし、そのトヨタのえげつない洗脳ともいえるような販売戦略を取り続けたことから、だんだんと「エコブーム(似非エコブーム)」も浸透していき、誰もが燃費性能の良い車を求めるようになったのです。

ちなみに・・・燃費性能の良い車を求める理由は今も昔も変わらず「地球環境の保全」ではなく、「ガソリン代の節約」「出費の低減」です。

これによってプリウスはバンバン売れていくことになるのですが2009年にモデルチェンジを行い、新しいモデルを発売したインサイトは逆にどんどん販売台数を減らしていってしまったのです。
その原因はIMAというハイブリッドシステムがもたらす燃費性能があまり良くなかったからです。

これによって2代目インサイトは2014年に生産終了とされ、当時は「これでインサイトも終わるだろう」といわれるぐらいの大失敗作として幕を引いたのでした。

しかし、なんとそれから4年半以上がたった2018年12月に3代目モデルを発売したのです。
今度はプリウスのような「ハイブリッドモデルのパイロットモデル」という形ではなく、アコードとグレイスの間を埋める中型セダンモデルとして、そして日本国内でシビックにハイブリッドモデルがないことを穴埋めするためのレギュラーモデルとして作られるようになりました。

といっても先代モデルの系統を継承する形でハイブリッド専用モデルとして作られていますが、今回のモデルは「バリバリのハイブリッドモデル」といってイメージではなく、単なるハイブリッド専用の4ドアノッチバックセダンといったイメージを強く押し出したモデルとなっています。

ホンダ・インサイトのこれまでの出来事(2019年11月現在)

●初代モデル ZE1型 1999年9月発売

・2003年11月 一部改良
・2004年10月 一部改良
・2006年8月 生産終了

●2代目モデル ZE2/3型 2009年2月発売

・2009年10月 仕様変更 ボディカラーの変更
・2010年4月 「G HDDナビ スペシャルエディション」の追加
・2010年10月 一部改良
・2011年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更 1.5リッターハイブリッドモデル「インサイト・エクスクルーシブ」の追加
・2013年5月 一部改良
・2014年3月 生産終了

●3代目モデル ZE4型 2018年12月発売

・2019年9月 仕様変更 ボディカラーの変更

ホンダ・インサイトが属するカテゴリー

●車格:中型大衆モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:中型4ドアノッチバックセダン
●エンジン排気量クラス:1.5リッターハイブリッドクラス

ホンダ・インサイトのオーナー層

●年齢層:40歳ぐらいから70歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:どちらかというと高齢者ドライバー向けの無難な大衆セダンとして受け入れられている

ホンダ・インサイトの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム

●トランスミッション

・なし(諸元表では「電気式CVT」)

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FF

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ソリッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル

・あり・・・FC1系型シビック

●兄弟車

・あり・・・FC1系型シビック

ホンダ・インサイトのモデル構成とグレード構成

このモデルは単一モデルとなります。

標準モデル

インサイトには2つのグレードとサブグレードが1つ用意されています。

・「LX」グレード(2WD)
・「EX」グレード(2WD)
・「EX ブラックスタイル」サブグレード(2WD)

●「LX」グレードの主な装備

・Honda SENSING:衝突軽減ブレーキ(CMBS)
・Honda SENSING:誤発進抑制機能
・Honda SENSING:歩行者事故低減ステアリング
・Honda SENSING:路外逸脱抑制機能
・Honda SENSING:渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロール
・Honda SENSING:LKAS(車線維持支援システム)
・Honda SENSING:先行車発進お知らせ機能
・Honda SENSING:標識認識機能
・Honda SENSING:後方誤発進抑制機能
・Honda SENSING:オートハイビーム
・ブラインドスポットインフォメーション
・パーキングセンサーシステム
・ドライバー注意力モニター
・アジャイルハンドリングアシスト
・デュアルピニオンアシストEPS
・運転席/助手席 i-SRSエアバッグシステム
・前席用 i-サイドエアバッグシステム
・サイドカーテンエアバッグシステム
・ポップアップフードシステム
・LEDヘッドライト
・LEDフォグランプ風タウンランプ
・電子制御パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド機能
・エコアシスト
・VSA
・EBD付ABS
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト機能
・車両接近通報装置
・イモビライザー
・セキュリティーアラーム
・ダブルホーン
・エレクトリックギアセレクター
・インターナビ
・ETC2.0車載器
・8スピーカー
・マルチインフォメーションディスプレイ
・アレルフリー高性能脱臭フィルター付プラズマクラスター内蔵左右独立温度コントロール式フルオートエアコン
・SPORTモードスイッチ
・ECONモードスイッチ
・EVスイッチ
・Hondaスマートキーシステム
・テレスコピック&チルトステアリング調整機能
・エアコン電動コンプレッサー
・リヤベンチレーション
・リヤヒーターダクト
・全ドアワンタッチ式パワーウィンドウ
・車速連動オートドアロック
・パワードアロック
・ヘッドライトオートオフ機能
・ワンタッチウィンカー
・USB端子
・DC12V アクセサリーソケット
・ファブリックシート生地
・フロントシート シートヒーター
・本革巻きステアリングホイール
・防眩ルームミラー
・助手席インストルメントパネル部 プライムスムース(合成皮革)ソフトパッドパネル
・ドアアームレスト
・フロントセンターアームレスト
・トランクスルー機能付6:4分割可倒式リヤシート
・センターコンソールボックス
・ドリンクホルダー付リアセンターアームレスト
・運転席/助手席 バニティミラー付サンバイザー
・サングラスホルダー
・運転席ハイトアジャスター
・運転席/助手席/リヤ左右席 グラブレール
・照明付きグローブボックス
・リヤ左右席 コートフック
・助手席 シートバックポケット
・運転席/助手席 シートバックスマートフォンポケット
・LEDフロントマップランプ
・LEDルームランプ
・LEDアンビエントランプ
・トランクランプ
・トランクアンダーボックス
・ハーフシェイド/IR・UVカット機能付フロントウィンドウガラス
・撥水/IR・スーパーUVカット機能付フロントドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤクォーターガラス
・UVカット機能付ソフトプライバシー リヤウィンドウガラス
・車速連動間欠・バリアブル間欠機能付フロントワイパー
・電動格納式リモコンカラードドアミラー
・シャークフィンアンテナ
・フラットアンダーカバー
・減速セレクター
・215/55R16サイズ タイヤ
・16インチ×7J アルミホイール
・VGR電動パワーステアリング機構
・電動サーボブレーキシステム

など

●「EX」グレードの主な装備

「LX」グレードの装備に加えて・・・

・・

・スマートウェルカムランプ
・合成皮革・ファブリックコンビシート生地
・運転席8ウェイ・助手席4ウェイ パワーシート
・自動防眩ルームミラー
・フロントドア/リヤドア プライムスムース(合成皮革)ソフトパッド
・プライムスムース(合成皮革) ドアアームレスト
・プライムスムース(合成皮革) フロントセンターアームレスト
・雨滴検知式車速連動間欠・バリアブル間欠機能付フロントワイパー
・トランクスポイラー
・215/50R17サイズ タイヤ
・17インチ×7J マットグレー塗装 アルミホイール

が追加されています。

●「EX ブラックスタイル」サブグレードの主な装備

「EX」グレードの装備に加えて・・・

・本革・ウルトラスエード(合成皮革)コンビシート生地
・ブラック加飾インテリア
・ブラックルーフライニング
・助手席インストルメントパネル部 ウルトラスエード(合成皮革)ソフトパッドパネル
・フロントドア/リヤドア ウルトラスエード(合成皮革)ソフトパッド
・「EX ブラックスタイル」グレード専用フロントグリル
・「EX ブラックスタイル」グレード専用リヤバンパーロアガーニッシュ
・17インチ×7J マットブラック塗装 アルミホイール

が追加されています。

ホンダ・インサイトに搭載されるパワーユニットと動力性能

ホンダ・インサイトには1種類のパワーユニットが設定されています。

●1.5リッターNAエンジン+ハイブリッドシステム

○エンジン
・エンジン型式:LEB型
・エンジン排気量:1496cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHCバルブ
・燃料供給:ポート噴射
・特別な機能:可変バルブタイミング機構によるミラーサイクル制御

○電気モーター
・電気モーター形式:H4型

○ハイブリッドシステム:SPORT HYBRID i-MMD
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

○エンジン
・最大出力:109ps/6000rpm
・最大トルク:13.7kgf・m/5000rpm

○電気モーター
・最大出力:131ps
・最大トルク:27.2kgf・m

○システムパワー:131ps

・1リッターあたりのパワー:約87.3ps
・パワーウェイトレシオ:約10.6kg/ps

このパワーユニットは、「SPORT HYBRID i-MMD」と呼ばれるもので、アコードやオデッセイ、ステップワゴン・スパーダ、CR-Vなどにも採用されています。
このハイブリッドシステムは、フィット兄弟モデルに採用されている「SPORT HYBRID i-DCD」と違ってエンジンと電気モーターの2つ動力源から発生する動力を混合して・・・要するにエンジン走行に電気モーターがアシストするといった走行パターンを取るものではなく・・・

・バッテリーを電源とした電気モーターだけでの走行パターン
・エンジンよって発電される電気を電源として電気モーターだけでの走行パターン
・エンジンだけでの走行パターン

を切り替えながら走るもので、ほとんど場合が「バッテリーを電源とした電気モーターだけでの走行パターン」で走り、バッテリーの充電量が少なかったり、パワーを必要とする時は「エンジンよって発電される電気を電源として電気モーターだけでの走行パターン(同時に充電もする)で走る、そして高速道路などある程度のスピード以上では効率の良い「エンジンだけでの走行パターン」で走るといった形になります。

従って、システムパワーはエンジンのパワースペックと電気モーターのパワースペックで、どちら高い方になるということでこのインサイトの場合は電気モーターのパワースペックの方が高いということから131psということになります。

燃費性能面では優れているようですが、限りなく大型セダンに違いサイズのボディを持つ中型セダンのインサイトに格下モデルのフィット兄弟モデルよりも低いシステムパワーというのは考え物です。
このへんが高齢者ドライバー向けの車になってしまう最大の理由なのだと思いますが、せめてリッターあたり100psの150ps程度のパワーは欲しかったです。

走りは決してよくありません、電気モーターの低回転トルクで騙されてしまいがちですが、フィットの方が良く走ります。

※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)

ホンダ・インサイトに採用されているトランスミッション

●電気式CVT

インサイトは電気モーターで走る時もエンジンで走る時も一切、トランスミッションを介さずに走ります。
従ってこのモデルにはトランスミッションというものが必要ないのですが、動力源の切り替えや発電機(発電用モーター)を回すためのギヤボックスがありますのでそれを「電気式CVT」として扱っているようです。

※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(評価なし)

ホンダ・インサイトの走行性能を決める構造

ホンダ・インサイトのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

このモデルは、アコードをベースにして作られたFC1系型シビックのプラットフォームをそのまま利用して作られたモデルで、ホイールベースすらも全く同じです。
FC1系型シビックのプラットフォームは320psのエンジンを搭載するスポーツモデルのシビック・タイプRのパワーにも負けることがない剛性を持っていることからたった132psしかパワーがないインサイトでシャシーが負けるわけがありません。
ボディフレームに関してもトヨタやダイハツのように安物の鋼材で作るのではなく、質の良い鋼材を適切な厚みにして作ったものですので、かなり剛性があります。

高齢者ドライバー向けの車にはもったいないぐらいです。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

ホンダ・インサイトの走りの質を決めるサスペンション構造

サスペンション構造もFC1系型シビックに使われているものと全く同じ・・・

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンションは:マルチリンク

といったような四輪独立懸架が採用されています。
ホンダのサスペンション構造らしくサスペンションストロークが豊富で乗り心地にも走行性能にも良い影響を与えています。

サスペンションセッティングは、ホンダにしては柔らかめですが、これは多分、主力オーナー層となる高齢者ドライバーにあわせたのでしょう。
柔らかめですがコーナーリングではバチッっと姿勢が安定するというホンダらしいセッティングがされています。

※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)

ホンダ・インサイトのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

ブレーキシステムも他のシャシーがらみの構造と同じようにベースモデルとなったFC1系型シビックと同じ・・・
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ)

といった四輪ディスクブレーキとなります。

インサイトはボディサイズが大きく、重量も約1.4トンとこのクラスの大衆モデルにしては重めですので、万全を期してこういった形を取ったのだと思いますが、パワーがないためこのブレーキが音を上げることはまずありません。
それこそ下りの峠道などで大衆セダンモデルには似合わないようなスピードで走ればすぐにフェードしてしまいますが、普通に走る程度のスピードレンジではまずそういったことはありません。
大衆セダンモデルとしては贅沢なつくりにされているといっていいでしょう。

※ブレーキシステムの評価:★★★★☆(4)

ホンダ・インサイトの燃費性能

ホンダ・インサイトのカタログ燃費と実燃費

・カタログ燃費(WLTCモード):最大28.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大25.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大29.7km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大28.8km/L

・実燃費:約27km/L

一部でカタログ燃費を上回る実燃費を発揮しています。
この燃費性能で文句を言う人はいないでしょう。

※燃費性能の評価:★★★★★(5)

ホンダ・インサイトに採用されている低燃費装備

・ハイブリッドシステム
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構

ホンダ・インサイトのライバルモデル比較

ホンダ・インサイトのライバルとなるのはトヨタ・カローラ

インサイトのライバルモデルといえば、昔からトヨタのプリウスということになりますが、インサイトは3代目モデルになってから車格が上り、依然としてパイロットモデルとして発売されているプリウスとは違う世界の車となってしまいました。

そこで新たなるライバルモデルとなったのは、インサイトと同じように3ナンバーボディに小排気量エンジンとハイブリッドシステムを搭載する大衆セダンモデルのトヨタのカローラです。

カローラは2019年にカローラ・アクシオの後継モデルでサブネームのないカローラとして久しぶりの復活となります。
復活といってもプリウス兄弟モデルの中の1台として作られているので中身はZVW50型プリウスとほぼ同じで、エンジン排気量も1.8リッターへと拡大された形になります。
ボディサイズも大きくなってカローラ・アクシオよりも格がひとつ上のモデルとなり、プリウスよりも実用性が高いので、現在でも高齢者ドライバー向けの大衆セダンモデルとして販売されています。

インサイトにはハイブリッドモデルしかありませんのでハイブリッドモデル同士で比較してみたいと思います。

●ホンダ・インサイトの概要
・カテゴリー:中型4ドアノッチバックセダン
・車格:中型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.5リッター
・パワーユニット形式:LEB型+H4型 SPORT HYBRID i-MMD
・比較対象グレード:「EX」グレード

●トヨタ・カローラの概要

・カテゴリー:中型4ドアノッチバックセダン
・車格:中型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.8リッター
・パワーユニット形式:2ZR-FXE型+1NM型 リダクション機構付きTHS-II
・比較対象グレード:「ハイブリッドS」グレード

ホンダ・インサイトとトヨタ・カローラのパワースペック比較

●ホンダ・インサイト

・システムパワー:131ps

●トヨタ・カローラ

・システムパワー:122ps

※パワースペック比較結果

カローラの方が300ccもエンジン排気量が大きく、パワースペック的にかなり有利なのに、生産コストを下げてガッポリ儲けたいことからプリウス兄弟モデルのパワーユニットをそっくり移植したこと、燃費性能が悪くなることが相当怖いことからパワーを犠牲にして燃費性能を高める手段を取ったことからこのありさまとなってしまいました。
多分、これが1.8リッターエンジンを用いたハイブリッドシステム「リダクション機構付きTHS-II」の限界なのかもしれません。

その点、インサイトは燃費性能も動力性能もバランスよく持っています。

ホンダ・インサイトとトヨタ・カローラの燃費性能比較

●ホンダ・インサイト

・カタログ燃費(WLTCモード):最大28.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大25.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大29.7km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大28.8km/L

・実燃費:約27km/L

●トヨタ・カローラ

・カタログ燃費(WLTCモード):最大29.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大27.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大32.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大27.7km/L

・実燃費:約18km/L

※燃費性能比較結果

実燃費もインサイトの方が優れているとは驚きです。
トヨタが取った「パワーを犠牲にして燃費性能を向上させる」という考え方も全く意味がないことになっています。
それに・・・いつになったらトヨタグループのカタログ燃費は実燃費に近い数字になるのでしょうか。

ホンダ・インサイトとトヨタ・カローラの販売価格帯比較

ここではハイブリッドモデル、全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●ホンダ・インサイト

約332万円~約369万円

●トヨタ・カローラ

約241万円~約295万円

※販売価格帯比較結果

エンジン排気量はカローラより下のクラスとなりますが、車全体を見た車格はインサイトの方が上ですので、同してもインサイトの方が価格が高くなってしまいます。

まとめ

同じ「インサイト」という名称で販売されていてもここまで前のモデルから大きな違いがあるのであれば、もはや別モデルとしてみてもいいかと思います。

このインサイトをこうしてみていて気が付いたことは、ホンダは高齢者向け大衆モデルでも決して手抜きをしないこと、そして「SPORT HYBRID i-MMD」というハイブリッドモデルが燃費性能も動力性能も犠牲にしない優れたハイブリッドシステムであること・・・といった2点です。

それに意外と走りがいいのも高得点です。

※総合評価:★★★★☆(4)

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