国産モデルの中でいち早く水素燃料電池車、通称FCVの可能性に気が付き、積極的に開発を続けてきたホンダ、そのホンダが量産FCVとして発売しているのがクラリティFUEL CELLと呼ばれるモデルです。

ここではホンダ・クラリティFUEL CELLがどういう車なのか、水素燃料電池車とは何なのか、走りの性能はどうなのかなどといったところを検証してみたいと思います。

※ご注意
ここではホンダ・クラリティFUEL CELLの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

長年の研究の集大成となったホンダ・クラリティFUEL CELL

ホンダは他の自動車メーカーが電気自動車とか、その妥協策であるハイブリッドモデルの開発に躍起なっていた1997年あたりから水素を使った水素燃料電池車に興味を持ち、それを実用化できないかということで開発を続けてきました。
ある意味で日本の国産自動車界における「水素燃料電池車の先駆者」といえるでしょう。

最初は当時発売されていたオデッセイのシャシーに大きな燃料電池スタックを搭載するところから始まり、2002年にリース販売ではありますが、初めて水素燃料電池車FCVのFCXを発売することになりました。
このモデルは、3ドアハッチバックスタイルのコンパクトカークラスのボディを使い作られていて・・・

・フロントのエンジンルーム:制御システムと駆動用電気モーター
・ホイールベース内フロア下:燃料電池スタック
・リヤアクスル直前:水素タンク
・リヤアクスル真上:ウルトラキャパシタ(バッテリー代わり)

といったレイアウトで構成されていました。
パワースペックは・・・

・最大出力:80ps
・最大トルク:27.7kgf・m

といった現在のコンパクトカーレベルのもので、航続距離と水素の補充のことさえ考えなければ十分使える車になっていました。

更に開発を続けるホンダは2002年に次なるFCVとしてFCXクラリティを発売します。
このモデルはFCXと打って変わって、FCXクラリティ専用プラットフォームの「Vフロー FCプラットフォーム」を持つ大型4ドアセダンモデルとして作られました。
FCXに比べてスペースに余裕があるため、レイアウトもそれぞれの部品のサイズも大きくすることができました。
レイアウトは・・・

・フロントのエンジンルーム:制御システムと駆動用電気モーター
・ホイールベース内フロア下:センタートンネル形状にあわせた燃料電池スタック
・リヤアクスル直前:リチウムイオンバッテリー
・リヤアクスル真上:水素タンク

といった形でFCXとはちょっと違う形を取っています。

大きく変わったのは燃料電池スタックの置き方と余剰電気を蓄える部品です。
燃料電池スタックは、FCXではコンパクトカー用のボディということもあって、ホイールベース内フロア下のほぼ全面を覆う大きなものが搭載されていて、それによってキャビンが底上げされた形になり、狭さを感じることがあったのですが、FCXクラリティになってからはちょうどFRモデルのセンタートンネルの部分だけに燃料電池スタックを収めることができたため、フロア下の底上げがほとんどなく、室内高を高く取ることができました。
ただ、フロント駆動でありながら幅が広く高さのあるセンタートンネルは少々邪魔に感じたことを覚えています。

そしてもう1つの大きな違いは発電した電気を蓄える媒体がキャパシタからリチウムイオンバッテリーに変更になったことです。
キャパシタとは要するにコンデンサのこと、電気の基板などに付けられている電気を蓄えるための電子部品のコンデンサです。
コンデンサをリチウムイオンバッテリーに変更することでより多くの電気を蓄えることができ、それがゆくゆくは航続距離の延長に繋がります。

この2つの大きな変化を取り入れたFCXクラリティのパワースペックは・・・

・最大出力:136ps
・最大トルク:26.1kgf・m

とトルクはわずかに低下しているもののパワーはFCXと比べて50ps以上ものパワーアップを果たしています。

このモデルは2011年までリース販売されていましたが、それでホンダの水素燃料電池車の進化が止まったわけではありませんでした。

そこで登場するのがこのクラリティFUEL CELLです。
2016年3月に発売されたクラリティFUEL CELLは、新たに設計されたプラットフォームに小型燃料電池スタックを搭載された形で作られました。

車格やスタイルはFCXクラリティと同様の大型4ドアセダンとなりますが、レイアウトに違いがあります。

・フロントのエンジンルーム:制御システム、駆動用電気モーター、燃料電池スタック
・ホイールベース内フロア下:リチウムイオンバッテリー
・リヤアクスル直前:小型水素タンク
・リヤアクスル真上:大型水素タンク

といったように小型化に成功したことによって燃料電池スタックをエンジンルームに収めることができ、それによって余裕が出たホイールベース内に小型の水素タンクを備えることができたわけです。
これによって水素タンクの容量増やすことができ、それが航続距離の延長に繋がりました。

これが2019年12月現在、発売されているホンダのFCV、クラリティFUEL CELLです。

ホンダ・クラリティFUEL CELLのこれまでの出来事(2019年12月現在)

●初代モデル ZC1型 2002年12月発売

※「FCX」時代

・2002年12月 リース販売開始
・2006年某月 水素タンクまわりの改良によって航続距離が延長

●2代目モデル ZC3型 2008年7月発売

※「FCXクラリティ」時代

・2008年7月 アメリカでリース販売開始
・2008年11月 環境省での導入

●3代目モデル ZC5型 2016年3月発売

・2018年7月 プラグインハイブリッド転用モデルの「クラリティFUEL CELL」の発売

ホンダ・クラリティFUEL CELLが属するカテゴリー

●車格:大型大衆モデル
●用途・目的:生活用
●車両カテゴリー:4ドアファストバックセダン・水素燃料電池モデル
●エンジン排気量クラス:FCVクラス

ホンダ・クラリティFUEL CELLのオーナー層

●年齢層:特になし
●性別:男性
●経済力:富裕層(新車購入)
●その他:環境保護団体、行政、イメージアップの道具として使う企業以外はほとんど売れていない

ホンダ・クラリティFUEL CELLの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・水素燃料電池+電気モーター

●トランスミッション

・なし

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FF

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ソリッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル

・なし

●兄弟車

・あり・・・クラリティPHEV

ホンダ・クラリティFUEL CELLのモデル構成とグレード構成

クラリティFUEL CELLは単一モデル構成となります。

ベースモデル

このモデルはモノグレードとなります。

・ベースグレード(2WD)

●ベースグレードの主な装備

・HondaSENSING:衝突軽減ブレーキ
・HondaSENSING:誤発進抑制機能
・HondaSENSING:歩行者事故低減ステアリング
・HondaSENSING:路外逸脱抑制機能
・HondaSENSING:渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロール
・HondaSENSING:車線維持支援システム
・HondaSENSING:先行車発進お知らせ機能
・HondaSENSING:標識認識機能
・LaneWatch
・アジャイルハンドリングアシスト
・モーションアダプティブEPS
・インラインタイプ 9灯式フルLEDヘッドライト
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト機能
・車両接近通報装置
・運転席用i-SRSエアバッグシステム
・助手席用i-SRSエアバッグシステム
・前席用i-サイドエアバッグシステム
・全席用サイドカーテンエアバッグシステム
・運転席用SRSニーエアバッグシステム
・電子制御パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド機能
・エレクトリックギアセレクター
・ヘッドアップディスプレイ
・デジタルグラフィックメーター
・リンクアップフリー付Hondaインターナビ
・ナビゲーション連動ETC車載器
・8スピーカー
・アクティブノイズコントロール
・アレルフリー高性能脱臭フィルター/左右独立温度/GPS制御偏日射コントロール式/プラズマクラスター技術搭載/排出ガス検知式オート内外気切替機構付インテリジェント・デュアル・フルオートエアコンディショナー
・Hondaスマートキーシステム
・テレスコピック&チルトステアリング調整機構
・全ドアワンタッチ式パワーウインドウ
・USBジャック
・HDMI入力端子
・DC12V アクセサリーソケット
・ヘッドライトオートオフ機能
・Honda Remote App対応
・本革×プライムスムース コンビシート生地
・全席シートヒーター
・運転席8ウェイパワーシート
・助手席4ウェイパワーシート
・本革巻ステアリングホイール
・ブラックウッド調パネル
・ウルトラスエード インパネミドルパッド
・ウルトラスエード ドアライニング
・自動防眩ルームミラー
・LED前席フットランプ
・照明付運転席用&助手席用バニティーミラー付サンバイザー
・運転席/助手席 シートバックポケット
・運転席/助手席 スマートフォンポケット
・ドリンクホルダー/大型アームレスト付コンソールボックス付ハイデッキセンターコンソール
・トランクスポイラー
・ハーフシェード/遮音機能/高熱線吸収/UVカット機能付 フロントウインドウガラス
・遮音機能付高熱線吸収/UVカット機能付 フロントドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付 フロントドアコーナーガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアドアガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアクォーターガラス
・高熱線吸収/UVカット機能付プライバシー リアガラス
・シャークフィンアンテナ
・車速連動間欠/バリアブル間欠/ウオッシャーノズル内蔵/ミスト機構付/雨滴検知式スマートクリアワイパー
・ヒーテッド機能/LEDウインカー付、オートリトラミラー電動格納式リモコンカラードドアミラー
・アクセサリーランプ機能付LEDポジションランプ
・フロントフェンダーガーニッシュ
・CHAdeMOコネクター型リッド式外部給電ポート
・235/45R18 94Wサイズ タイヤ
・18インチ×8J アルミホイール
・SPORTモードスイッチ
・電動サーボブレーキシステム

など

ホンダ・クラリティFUEL CELLに搭載されるパワーユニットと動力性能

ホンダ・クラリティFUEL CELLには1種類のパワーユニットが設定されています。

●水素燃料電池システム

・燃料電池スタック形式:固体高分子形
・駆動用電気モーター形式: MCF4型
・駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

・最大出力:177ps/4501rpm~9028rpm
・最大トルク:30.6kgf・m/0rpm~3500rpm

・パワーウェイトレシオ:約10.6kg/ps

このパワーユニットは水素と大気中の酸素を化学的に反応させて発電する水素燃料電池からもたらされる電気で電気モーターを回して走るという構造のもので、動力的には電気モーターで走りますので、EVと同じです。
ただ、EVは全ての電気を外部からの充電に頼るのに対して、このシステムは全ての電気を搭載している燃料電池スタックによって発電したものでまかないのが大きな違いです。

しいて言えば、エンジンを一部、発電機として利用するハイブリッドモデルやエンジンを発電機として歯科使わない「レンジエクステンダーEV」に近いものともいえます。
そのレンジエクステンダーEVのエンジンを水素の燃料電池スタックに置き換えたものと思うといいでしょう。

パワー的は2リッターNAエンジンや1.5リッターターボエンジンレベルのもので、大衆セダンモデルとしてはまあまあなものを持っているといえます。
ただ、1.89トンの重たい巨大ボディを持つこのモデルのパワーユニットとしては少々貧弱でしょう。

私が試乗した時に急加速したら同乗したホンダの方に起こられてしまったの1回しか経験していませんが、アクセルペダルを結構深く踏んでも電気モーター特有の「ドスン!」という加速がなかったような気がします。

街乗りレベルの走りや高速道路である程度のスピードで巡行するといった走り方ならば問題ないかと思いますが、急加速・急減速を繰り替えすような峠道のようなところは苦手のようです。

水素燃料電池スタック内での発電の仕組み

ここでどうして水素と酸素をあわせることで電気が発電されるのかを見ていきましょう。

水素燃料電池スタックに必要な物質は水素と酸素です。
水素は水素ステーションで水素タンクの充填したものを使い、酸素はポンプで吸い込んだ大気の中に含まれているものを使います。
この2つの物質を「イオン交換膜」と呼ばれているもので仕切られた燃料電池スタック内の片側に水素、もう片側に酸素を取り込みます。
水素と酸素を化合させると水(H2O)が出来上がるわけですが、そうなる瞬間にあることが起こるのです。
それが「イオン化」です。

燃料電池スタック内でのイオン化とは?

水素と酸素を化学的に見ると・・・

・水素(H)は原子番号1番の元素
・酸素(O)は原子番号8番の元素

となります。
原子番号とはその元素が持つ電子の数で、水素は電子を1つだけ持ち、酸素は8個の電子を持つということになります。
元素は中心にある核がプラス(+)の電荷を帯びていて、その周りにマイナス(-)の電荷を持つ電子が取り巻く形となっていて、水素の核のまわりには1つの電子が張り付いていて、酸素の核のまわりには8個の電子がまとわりついているわけです。

ただ、その電子はやみくもに核のまわりにくっついているのではなく、ある一定の法則に沿って存在しているのです。
その法則というのは、核を中心とした同心円上に乗っかる形となり、一番内側の円上には2つまで、それよりも外側の円上には8個まで収まるというものです。
この法則に沿って内側から順番に電子が埋まっていくことになります。

これを水素と酸素にあてはめてみると・・・

・水素は電子が1つだけだから・・・一番内側の円上に1つだけ電子が置かれる
・酸素は電子が8個あるので・・・一番内側の円上に2つ、残りの6個はその外側の2列目に円上に置かれる

という形になるわけです。
これが基本となる形となるのですが、実は円上に置かれた電子はその円上全てに電子が置かれてないと落ち着かないという性質があって、水素の場合は2つの電子が入って安定する一番内側の円上にあるので1つの電子はフラフラと不安定になり、酸素も1列目は2つの電子が入っているので安定していますが8個の電子が入って安定する2列目の円上には6個の電子しかないのでこちらに不安定になります。

この電子が不安定なもの同士を隣り合わせるとどうなるか、H2O(水)になる一瞬前に、1個でフラフラとしていた水素の電子が酸素の2列目の空いている場所に移動しようとするのです。
水素は電子が1つですから、酸素の空いているスペース、2個分を埋めるためには2つの水素から1つずつの電子が必要となり、それが・・・

H(水素)+H(水素)+O(酸素)=H2O

といったように水を形成するのに2つの水素が必要になる理由なのですが、こういったように本来その元素が持っている電子が少なくなる状態、多くなる状態のことを「イオン化」するというのです。

そしてそのイオン化をする際に本来あるべき元素から違う元素へと電子が移動する際の電子の動きが実は「電気」で、「電気を発電した」ということになるのです。

クラリティFUEL CELLでは、その電気を使って電気モーターを回して走ったり、余剰の電気をリチウムイオンバッテリーに蓄えて電装品やシステムの稼働などに使っています。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・クラリティFUEL CELLの走行性能を決める構造

ホンダ・クラリティFUEL CELLのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

クラリティFUEL CELLのプラットフォームは、このモデル専用のものとしてつくられたものです。

クラリティFUEL CELLのようなFCVは非常に危険な水素を扱う車です。

水素というものは大気圧の中では気体の状態になるもので、においもない、色もない、味もないということから仮に漏れてしまったとしてもガソリンのように液体のシミやにおいで漏れを発見することができません。
そういったものを大量に載せた形で走るFCVで、交通事故などを起こした時や荒々しい運転をしてボディが捻じれ水素タンクに亀裂が入ったり、水素が流れる経路が破損してしまったり、パイプが抜けてしまったりしてはかなり危険な車となってしまいます。

そこでホンダではこのモデル用に通常のモノコックフレームに更なる強度と剛性を加えるためにトラック使うようなラダーフレーム状のサブフレームを追加したシャシーを開発することになったのです。

モノコックフレームだけでもかなり頑丈だといわれているホンダのフレームに更にサブフレームが追加されているのなら強度、剛性、耐久性は一切問題ないかと思われます。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

ホンダ・クラリティFUEL CELLの走りの質を決めるサスペンション構造

クラリティFUEL CELLのサスペンション構造は・・・

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンションは:マルチリンク

といった四輪独立懸架になっています。
これは同社のアコードやインサイト、CR-Vなどといったモデルに使われているものとほぼ同形状のもので、抜群のロードホールディング性能と乗り心地を発揮しています。

更にこの車は比較的ホイールベースが長く、曲がりにくい性質を持っているのですが、それをまったく意識させないほどの回頭性の良さを見せるのはさすがホンダです。

※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)

ホンダ・クラリティFUEL CELLのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

クラリティFUEL CELLの走行性能における最大の弱点がこのブレーキシステムです。

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ

大衆セダンモデル用のブレーキシステムとしてはよくあるタイプのものでそれ自体には何ら問題はありませんが、クラリティFUEL CELLではパワーはないものの重量が約1.9トンもあるため、このブレーキシステムですと効き目はそこそこいいのですが負担が非常に多くなるため、すぐにフェードによるブレーキ性能の低下、ブレーキペダルのタッチの悪化などを引き起こしてしまいます。

試乗した際にちょっとした山道を走ったのですが、行きと帰りとでは明らかに効き目が違っていました。
改良の余地がありそうです。

※ブレーキシステムの評価:★☆☆☆☆(1)

ホンダ・クラリティFUEL CELLの燃料費

燃費性能という概念がないFCVですのでここでは、1kmの距離を走るのにどれくらいに燃料費が掛かるのかを算出してみたいと思います。

まずクラリティFUEL CELLのスペックからですが・・・

●航続距離

・カタログ値(JC08モード):約750km
・実際値:約600km

●水素タンク容量

・カタログ値:141リットル
・kg換算(圧力=70Mpa):約8.98kg

となります。

燃料費は一般的な水素ステーションで燃料単価・・・

・1kg=約1000円

となっていますので・・・

・水素単価1000円×満充填容量8.98kg=約8980円

水素タンクを満タンすると約8980円かかることになります。

満タンで走れる距離が約600kmとなっていますので・・・

・約8980円÷実航続距離600km=約14.96円

となり、1kmを走るのに「14.96円」の費用が掛かることになります。

ちなみにハイブリッドモデルのZVW50型プリウスの実燃費で計算した1kmあたりの費用は約6円となり、FCVが燃料代を節約するための車でないことがわかりました。

※燃料費の評価:☆☆☆☆☆(0)

ホンダ・クラリティFUEL CELLのライバルモデル比較

ホンダ・クラリティFUEL CELLのライバルとなるのはトヨタ・MIRAI

国産モデルの中でFCVとして販売されているのはこのクラリティFUEL CELLとトヨタのMIRAIだけです。

●ホンダ・クラリティFUEL CELLの概要

・カテゴリー:4ドアファストバックセダン・水素燃料電池モデル
・車格:大型大衆モデル
・電気モーター形式:MCF4型
・比較対象グレード:ベースグレード

●トヨタ・MIRAIの概要

・カテゴリー:ハッチックセダンモデル・水素燃料電池モデル
・車格:大型大衆モデル
・電気モーター形式:4JM型
・比較対象グレード:ベースグレード

ホンダ・クラリティFUEL CELLとトヨタ・MIRAIのパワースペック比較

●ホンダ・クラリティFUEL CELL

・最大出力:177ps
・最大トルク:30.6kgf・m

●トヨタ・MIRAI

・最大出力:154ps
・最大トルク:34.2kgf・m

※パワースペック比較結果

電気モーターの性能の違いによって23psほどの差がついています。
速さを競う車ではありませんが、それでもパワーはないよりあった方がいいです。

ホンダ・クラリティFUEL CELLとトヨタ・MIRAIの航続距離比較

●クラリティFUEL CELL

・カタログ値(JC08モード):約750km
・実際値:約600km

●トヨタ・MIRAI

・カタログ値(JC08モード):約650km
・実際値:約400km

※航続距離比較結果

水素タンクの容量の違い(クラリティFUEL CELL=141リットル MIRAI=122.4リットル)の違いが出たものと思われます。

ホンダ・クラリティFUEL CELLとトヨタ・MIRAIの1kmあたりの燃料費比較

●クラリティFUEL CELL

・1kmあたりの燃料費:約14.96円(実航続距離での計算)

●トヨタ・MIRAI

・1kmあたりの燃料費:約19.75円(実航続距離での計算)

※1kmあたりの燃料費比較結果

水素タンクの容量だけではなく、どうやらクラリティFUEL CELLの方が効率よく発電しているようです。

ホンダ・クラリティFUEL CELLとトヨタ・MIRAIの販売価格帯比較

●ホンダ・クラリティFUEL CELL

約781万円

●トヨタ・MIRAI

約741万円

※販売価格帯比較結果

どちらも似たような金額になっていますが・・・FCVだからといっても大衆大型4ドアセダンにこれだけのお金を出すことができますか?
私は無理です、費用対効果が低すぎます。

まとめ

FCVは確かに似非エコブームによるところの大気汚染や二酸化炭素の排出量の削減には効果があるようですが、だからといってこのような車がこれから先、発展していくことは全く考えられません。
なぜなら水素といった非常に危険な燃料を使う車の進化よりもリチウムイオンバッテリーの進化の方が速く、それこそ1充電で1000kmを走ることができるというのも夢ではないからです。

そんな中であえて「走る水素爆弾」のFCVを買う人もいなくなるでしょうし、このクラリティFUEL CELLも全く売れなくなってしまうのではないかと思います。

・・・買う価値はないようです。

※総合評価:★☆☆☆☆(1)

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