ホンダの代表的な自動車といえば今やフィットですが、ホンダが自動車販売に本格的に力を入れた1970年代当時はこのシビックシリーズがそれでした。
そんなシビックシリーズの中において一番シビックらしいともいえるハッチバックモデルのシビック・ハッチバックの性能を検証したり、どういった経緯がこれまであったのかといったところを見てみたいと思います。

※ご注意
ここではホンダ・シビック・ハッチバックの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

フィットによって不人気モデルとなってしまったホンダ・シビック・ハッチバック

シビックの始まりは2ボックスセダンだった

シビックが発売されたのは史実上では1972年の7月、ちょうど排ガス規制が厳しくなった時のことですが、その時に発売されたのは当時としては珍しかった2ボックススタイルを持つ小型モデルでした。
2ボックススタイルを持つ小型モデルというと現在ではハッチバックモデルになるというのが当たり前のようになっており、当時のシビックもそういった車ではないかということになりがちですが実はまったく違います。
シビックにハッチバックモデルが追加されたのは発売から約1か月後の1972年8月末のことで、それまでのモデルはハッチバックモデルではなく、2ボックスセダンモデルでした。

発売当初のシビックは、2ボックススタイルのボディに2枚のドア、そしてリヤにはリヤウィンドウの下部に「下から上に持ちあげるような形で開くトランクリッド」を持ち、内部はキャビンとは独立したトランクルームを持っていました。
セダンというと3ボックススタイルのノッチバックセダンを想像してしまいますが、「キャビンと完全独立したラゲッジスペースを持つ」というセダンの定義を満たしていますし、リヤハッチを持っていないので2ドアセダンとか、ショートファストバックセダンモデルなどといったモデルに該当するモデルだったのです。

なので、シビックの始まりは1972年の7月となりますが、シビック・ハッチバックの始まりは1972年の8月からということになるわけです。

フィットが発売される前までは売れていたシビック・ハッチバック

2ボックスセダンモデルに遅れて発売されたシビックのハッチバックモデルは、1979年のモデルチェンジで2代目モデルとなった時からシビックの主力モデルとなりました。
その後のモデルチェンジにおいてもまずはハッチバックモデルのモデルチェンジを行い、少し遅れて4ドアセダンやステーションワゴンなどといったモデルのモデルチェンジを行うといったようにハッチバックモデルがシビックにおいて欠かせないモデルとなったのです。
この時に既に「シビック=ハッチバックモデル」という概念が強く世間に広がっていました。

そのシビックはモデルチェンジを繰り返し、手ごろ価格と「Si」グレードといったスポーツグレードの設定や「タイプR」といったスポーツモデルの発売によって若年層に大人気となり、モータースポーツ用のマシンとしても使われるぐらいのいかにもホンダらしいスポーティーさを持つ車となっていったのです。
この人気はバブルの崩壊もなんとか乗り越えることができたぐらいでした。

しかし、そういった人気傾向は長くは続かず、1995年に発売された6代目モデルEK型を最後に2000年に発売された7代目モデルEU型から衰退の一途をたどることになったのです。
その理由は世の中が「動力性能」とか「走行性能」といったものよりも似非エコブームから生まれた「低燃費ブーム」によって「燃費性能」を重視するようになっていったからです。

当時のシビックも決して燃費性能が悪い車ではなかったのですが、それまで「低燃費」とは全く正反対な位置にある「スポーティー」なイメージで売っていたモデルだったことから敬遠される傾向が出てしまったのです。
実は理由はそれだけではありません、もっと大きな影響を与えた理由もありました。

それがフィットの発売です。
2001年に発売されたフィットは、設計段階で低燃費を目指す作りが取られていて、更に経済的にもメリットが出るような低価格大衆コンパクトカーとして作られました。
小さいボディで取り回しも楽で、小さいながらも使い勝手の良さもあったことから空前の大ヒットモデルとなったのです。

その大ヒットモデルのフィットがシビックと同じクラスにいるということは・・・それすなわちシビックが売れなくなるということになります。
当時のフィットは1.3リッターNAエンジンと1.5リッターNAエンジンを搭載するモデル、対してシビックは1.5リッターNAエンジンと1.7リッターNAエンジンを搭載するモデルということで1ランクほど車格がずれているものの、同じ「2ボックスハッチバックの大衆コンパクトカー」ということで同一視されることになり、それによってシビックがほとんど売れなくなってしまったのです。

それによって、シビックのハッチバックモデルは7代目モデルまでで生産終了となり、2005年に発売された8代目モデルでは4ドアセダンモデルだけの発売となりました。

ちなみに4ドアセダンモデルだけとなった8代目モデルもフィットの影響を強く受けてしまい、2010年9月に販売が中止となり、日本国内でシビックが売られないという事態にもなりました。

12年ぶりに復活したシビック・ハッチバック

ハッチバックモデルの販売が中止され、さらに5年後にセダンモデルが販売中止となっていてもそれは日本国内だけで、EU圏や北米エリア、チャイナなどでは継続して発売されていました。
なのでシビックというモデルが消滅してわけではなく、あくまでも日本で売っていないだけです。

しかし、2015年に発売された10代目モデルにおいて日本での発売が再開することになったのです。
これに対する明確な理由はわかりませんが、たぶん日本国内において似非エコブームが去り、同時に低燃費ブームも下火になり、車を選ぶ目が「低燃費性能」ではなく「見た目」で選ぶような傾向になったことからということなのではないかと思います。

そして2017年7月に発売されたのが「シビック・セダン」「シビック・ハッチバック」「シビック・タイプR」の3車種でした。
今回からはセダンモデルやハッチバックモデルは「シビックの中のセダンモデル」「シビックの中のハッチバックモデル」という形ではなく、セダンモデルは「シビック・セダン」という車名で、ハッチバックモデルは「シビック・ハッチバック」という車名で売られることになりました。

シビック・ハッチバックとしては2005年に販売終了になってから約12年ぶりの再販となったわけです。

ホンダ・シビック・ハッチバックのこれまでの出来事(2019年12月現在)

●初代モデル SB1/SG/SE/VB型 1972年8月発売

・1972年7月 シビックシリーズの発売
・1972年8月 3ドアハッチバックモデルの追加
・1974年10月 「1200RS」モデルの追加

●2代目モデル SL/SS/SR/ST/VC/WD型 1979年7月発売

・1979年7月 3ドアハッチバックモデルのみモデルチェンジ
・1981年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・1982年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更

●3代目モデル AG/AH/AJ/AK/AT型 1983年9月発売

・1983年9月 3ドアハッチバックモデルのみモデルチェンジ
・1984年10月 「Si」グレードの追加
・1985年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更

●4代目モデル EF型 1987年9月発売

・1988年8月 一部改良 オートマチックトランスミッションにシフトロックを採用
・1989年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更 1.6リッターエンジンモデル「SiR」の追加

●5代目モデル EG型 1991年9月発売

・1992年9月 「ML」グレードの追加
・1992年10月 「SIR・S」の追加
・1993年2月 「EL・X」の追加
・1993年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・1994年5月 「MX Limited」の追加

●6代目モデル EK型 1995年9月発売

・1996年1月 「EL・II」グレード、「Ri・II」グレードの追加
・1997年7月 「タイプR」モデルの追加
・1998年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・1999年12月 「タイプR・X」グレードの追加

●7代目モデル EU型 2000年9月発売

・2001年2月 「日本カー・オブ・ザ・イヤー/RJCカーオブザイヤー受賞記念特別仕様車」の追加
・2001年5月 「クオリティ エディション」の追加
・2001年6月 「スタイルエディション」の追加
・2001年10月 一部改良
・2001年12月 「タイプR」モデルの追加
・2002年10月 一部改良
・2003年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2004年1月 一部改良
・2004年4月 一部改良
・2004年1月 一部改良 ボディカラーの変更
・2005年2月 「X スペシャルエディション」「X4 スペシャルエディション」の追加

●8代目モデル  FD型 
※日本国内未発売

●9代目モデル FB型

※日本国内未発売

●10代目モデル FK7型 2017年9月発売

・2016年3月 北米エリアで発売開始
・2017年9月 日本国内での販売開始
・2018年10月 ボディカラーの変更

ホンダ・シビック・ハッチバックが属するカテゴリー

●車格:小・中型大衆モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:5ドアハッチバック
●エンジン排気量クラス:、1.5リッターターボエンジンクラス

ホンダ・シビック・ハッチバックのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから50歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:あまり売れていないが「プアマンズ・タイプR」としての受け皿となっている

ホンダ・シビック・ハッチバックの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン

●トランスミッション

・CVT
・6速マニュアルトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FF

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ソリッドディスク ディスクブレーキ

●ベースモデル

・なし

●兄弟車

・あり・・・シビック・セダン、シビック・タイプR、インサイト

ホンダ・シビック・ハッチバックのモデル構成とグレード構成

シビック・ハッチバックは単一モデル構成となります。

ベースモデル

このモデルはモノグレードとなります。

・ベースグレード(2WD)

●ベースグレードの主な装備

・Honda SENSING:衝突軽減ブレーキ
・Honda SENSING:渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロール
・Honda SENSING:LKAS(車線維持支援システム)
・Honda SENSING:路外逸脱抑制機能
・Honda SENSING:オートハイビーム
・Honda SENSING:標識認識機能
・アジャイルハンドリングアシスト
・VSA
・EBD付ABS
・デュアルピニオンアシストEPS
・LEDヘッドライト
・LEDフォグランプ風タウンランプ
・導光タイプLEDポジションライプ
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルスタートアシスト機能
・運転席/助手席 i-SRSエアバッグシステム
・前席用 i-サイドエアバッグシステム
・サイドカーテンエアバッグシステム
・ポップアップフードシステム
・電子制御パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド機能
・エコアシスト
・アイドリングストップシステム
・イモビライザー
・セキュリティーアラーム
・ダブルホーン
・エンジンスタートボタン付Hondaスマートキーシステム
・プッシュエンジンスタート・ストップスイッチ
・テレスコピック&チルトステアリング調整機構
・ナビ装着用スペシャルパッケージ
・ETC車載器
・オーディオレス
・8スピーカー
・アレルフリー高性能脱臭フィルター付フルオート・エアコンディショナー
・リアヒーターダクト
・リヤベンチレーション
・運転席/助手席 シートヒーター
・運転席ハイトアジャスター
・全ドアワンタッチ式パワーウィンドウ
・車速連動オートドアロック
・パワードアロック
・マルチインフォメーションディスプレイ
・ヘッドライトオートオフ機能
・ワンタッチウィンカー
・DC12V アクセサリーソケット
・スムースレザー本革巻きステアリングホイール
・本革巻シフトレバー(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・本革巻セレクターレバー(CVTモデルのみ)
・スポーツペダル
・自動防眩ルームミラー
・ハイデッキセンターコンソール
・ピアノブラック調コンソールガーニッシュ
・アームレスト付コンソールボックス
・インストルメントパネル ソフトパッド
・フロントドア ソフトパッド
・6:4分割可倒式リアシート
・ドリンクホルダー付リアセンターアームレスト
・運転席/助手席 照明付バニティミラー付サンバイザー
・メタリック塗装 インナードアハンドル
・運転席/助手席/リヤ左右席 グラブレール
・照明付きグローブボックス
・照明付きセンターポケット
・フロントコンソールトレイ
・助手席 シートバックポケット
・ドリンクホルダー付ドアポケット
・リヤ左右席 コートフック
・フロントマップランプ
・LEDアンビエントランプ
・ルームランプ
・ラゲッジルームランプ
・ヒーテッド機能/LEDウインカー付オートリトラミラー電動格納式リモコンカラードドアミラー
・ハーフシェイド/遮音/IR・UVカット機能付フロントウィンドウガラス
・撥水/IR・スーパーUVカット機能付フロントドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤクォーターガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤウィンドウガラス
・車速連動間欠・バリアブル間欠機能付フロントワイパー
・リバース連動ウォッシャー付き間欠リヤワイパー
・シャークフィンアンテナ
・VGR電動パワーステアリング機構
・パドルレバー(CVTモデルのみ)
・ピアノブラック フロントグリル
・フロントスポイラー
・センターデュアルエキゾースト
・ダイレクトフューエルシステム
・カーゴエリアカバー
・タイダウンフック
・ラゲッジスペース コンビニフック
・235/40R18 95Yサイズ タイヤ
・18インチ×8J アルミホイール

など

ホンダ・シビック・ハッチバックに搭載されるパワーユニットと動力性能

ホンダ・シビック・ハッチバックには1種類のパワーユニットが設定されています。

●1.5リッターターボエンジン

・エンジン型式:L15B型
・エンジン排気量:1496cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:マニュアルトランスミッションモデル=182ps/5500rpm CVTモデル=182ps/6000rpm
・最大トルク:マニュアルトランスミッションモデル=24.5kgf・m/1900rpm~5000rpm CVTモデル=22.4kgf・m/1700rpm~5500rpm

・1リッターあたりのパワー:マニュアルトランスミッションモデル=約121ps CVTモデル=約121ps
・パワーウェイトレシオ:マニュアルトランスミッションモデル=約7.25kg/ps CVTモデル=約7.41ps

このパワーユニットは、同じシビックシリーズのシビック・セダンはもちろんのこと、それ以外にもフィット兄弟モデルのジェイドや小型なんちゃってクロスオーバーSUVのヴェゼル、中型大衆トールミニバンのステップワゴン、中型なんちゃってクロスオーバーSUVのCR-Vにも採用されています。

いろいろなモデルに採用されているエンジンですが、このエンジンはそのモデルによって全く違う扱われ方がされています。
フィット兄弟モデルのヴェゼルやジェイドでは、小型モデルということもあって、1.5リッターNAエンジンにさらなるパワーを持たせるためのモアパワー型のターボエンジンとして扱われているのに対して、このシビック・ハッチバックを含めたシビックシリーズやステップワゴン、CR-Vは中型クラスとなるため2リッターNAエンジンに対するダウンサイジングターボエンジンとして扱います。

ダウンサイジングターボエンジンとは、低燃費技術のひとつとなるもので、エンジン排気量に比例して使用する燃料の量が違うということを利用し、燃料の使用量をより減らすためにエンジン排気量を小さく(ここでいうところの500cc)し、それによってダウンしたパワーやトルクを過給器(ここではターボチャージャー)で補うという考え方のものです。
過給器で過給してパワーを引き出すとなるとモアパワー用のターボエンジンと同じようにNA状態より多くの燃料が必要になりますが、基準となるエンジン排気量(ここでは2リッターNAエンジン)と同等レベルのパワーが出せる程度の低い過給圧で過給するため、基準となるエンジンよりは使用する燃料が少なくなります。

それにしてもこのダウンサイジングターボエンジンはかなりパワーがあります。
2リッターNAエンジンを基準とするのであれば、大衆モデルということを踏まえて考えれば150ps程度のパワーが出ればそれでいいはずなのに、なんと2リッターNAエンジンを搭載するスポーツモデルに匹敵する182psというパワーを出しています。

このパワースペックは、同じシビックシリーズでもハッチバックモデルだけのもので、セダンモデルではオーナー層を考えて173ps(これでも十分なパワー)に抑えられています。

それと設定されているトランスミッションによってもパワースペックに違いが持たされていて、マニュアルトランスミッションモデルでは低回転域での運転のしやすさを考慮して、CVTモデルよりも最大出力発生回転数を500rpmほど低くし、トルクも最大トルクの発生回転数を200rpm~500rpmほど低くするのと同時に最大トルクも2.4kgf・mほど高めています。

どちらにしてもこのクラスの車に搭載されるパワーユニットとしてはかなりパワフルといっていいでしょう。

※パワーユニットの評価:★★★★★(5)

ホンダ・シビック・ハッチバックに採用されているトランスミッション

●CVT

大衆モデルの割にはすごいエンジンが搭載されている・・・このシビック・ハッチバックの最大の良い部分のほとんどをダメにしているのがこのトランスミッション、CVTです。

どの自動車メーカーにもあるような2つのプーリーと金属ベルトで構成されるベルト式無段変速機とトルクコンバーターを組み合わせただけのもので特にこれといって目立つ機能、性能は持っていません。

それよりもCVT特有の性能の悪さがあり、ベルト滑りによる加速不良やパワーロス、無段変速ゆえのメリハリの無い走り、燃費性能を高めるための制御としてエンジン回転数を抑え込むことによるピックアップの悪さなどといったことが非常に目立ちます。

感覚的に速く走れていると錯覚させる「G-Design Shift」制御やパドルレバーによるパドルシフトもついていますが、「だからなんだ!」といった具合で走行性能の向上に何一つ貢献していません。

私だったら絶対に選ばないトランスミッションです。

※トランスミッションの評価:★☆☆☆☆(1)

●6速マニュアルトランスミッション

シビックシリーズでもタイプRとこのシビック・ハッチバックにだけ用意されているトランスミッションが6速マニュアルトランスミッションです。

このマニュアルトランスミッションは基本的な構造はタイプRに採用されているもので、FFモデルのマニュアルトランスミッションによくありがちなグニャグニャしたメリハリのないシフトフィーリングではなく、FRレイアウトのマニュアルトランスミッションのようなカチッと決まるような操作性を持っています。

ギヤの入りもいいですしシフトストロークも短いため、大衆モデルとは思えないような楽しいシフトチェンジが行えます。

どうせ買うならやっぱりマニュアルトランスミッションでしょう。

※トランスミッションの評価:★★★★★(5)

ホンダ・シビック・ハッチバックの走行性能を決める構造

ホンダ・シビック・ハッチバックのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

このモデルのプラットフォームもシビック・セダンと同じようにCR系アコードのものを改良して作られたもので、非常に優れた剛性、強度、耐久性を持ちます。

大衆モデルのプラットフォーム、シャシー、フレームにしておくのがもったいないぐらいです。

※ボディ剛性の評価:★★★★★(5)

ホンダ・シビック・ハッチバックの走りの質を決めるサスペンション構造

サスペンション構造もアコードやシビック・セダンと共通の・・・

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンションは:マルチリンク

が採用されています。

ホンダの独立懸架サスペンションは全く持って非の打ち所がないほど優れた性能を持ちます。
それは剛性の高いサスペンション構造、的確なアームの取り付け位置、オンロードモデルとは思えないほど余裕のあるサスペンションストロークとといった構造的な部分だけでなく、大衆モデルとしては少々硬く感じるサスペンションセッティングにおいてもそれが言えます。

スピードが高まるほどしっくりとくるセッティングはまるでレーシングマシンか、チューニングモデルです。

※サスペンション構造の評価:★★★★★(5)

ホンダ・シビック・ハッチバックのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

ブレーキシステムもシビック・セダンと全く同じものが採用されています。

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ)

が採用されています。

日常的な使い方、大衆車として乗る分には全く問題ありませんが、プアマンズ・タイプRとしてこのモデルを購入してスポーツ走行まがいのことをするとなると少々容量不足を感じることになります。
峠道のダウンヒル1本で、ブレーキパッドが熱で音を上げてしまい、効き目が急激に悪くなります。

そういった使い方をするのであれば社外品のブレーキパッドやブレーキローター、対向ピストンキャリパーなどを使ってグレードアップする必要があると思います。

※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・シビック・ハッチバックの燃費性能

ホンダ・シビック・ハッチバックのカタログ燃費と実燃費

●CVTモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大18.0km/L
・実燃費:約12km/L

※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)

●マニュアルトランスミッションモデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大17.4km/L
・実燃費:約13km/L

※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)

ホンダ・シビック・ハッチバックに採用されている低燃費装備

●CVTモデル

・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン

●マニュアルトランスミッションモデル

・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン

ホンダ・シビック・ハッチバックのライバルモデル比較

ホンダ・シビック・ハッチバックのライバルとなるのはトヨタ・カローラ・スポーツ

シビック・ハッチバックは「おじさんセダン」のハッチバックモデルという形で作られているものですのでライバルもそういったいったモデルとなります。
シビック・ハッチバック以外のモデルでそういったモデルは?・・・といいますとトヨタのカローラ・ハッチバックがそれに該当します。

トヨタのカローラ・ハッチバックは、表面的にはセダンモデルのカローラをベースにして作られたハッチバックモデルという形になりますが、実際にはそうではなく、同じおじさんセダンではありますがZVW50型プリウスのハッチバックモデルとして作られています。

プリウスと同じプラットフォームに同じハイブリッドシステム、サスペンションもブレーキシステムもドライブトレーンも全く同じで、違うところといえばボディ形状とインテリア形状、そしてカローラ・ハッチバックに1.2リッターダウンサイジングターボエンジンを搭載したモデルがあることぐらいです。

むしろセダンモデルのカローラがカローラ・ハッチバックをベースにして作られたといっていいぐらいで、それは発売時期を見れば一目瞭然です。

ここでは同じターボエンジンモデルとしてハイブリッドモデルではなく1.2リッターターボエンジンモデルと比較してみたいと思います。

●ホンダ・シビック・ハッチバックの概要

・カテゴリー:5ドアハッチバック
・車格:小・中型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形式:L15B型
・比較対象グレード:ベースグレード(マニュアルトランスミッションモデル)

●トヨタ・カローラ・スポーツの概要

・カテゴリー:5ドアハッチバック
・車格:小・中型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.2リッター
・エンジン形式:8NR-FTS型
・比較対象グレード:「G Z」グレード(マニュアルトランスミッションモデル)

ホンダ・シビック・ハッチバックとトヨタ・カローラ・スポーツのパワースペック比較

●ホンダ・シビック・ハッチバック

・最大出力:182ps/5500rpm
・最大トルク:24.5kgf・m/1900rpm~5000rpm

●トヨタ・カローラ・スポーツ

・最大出力:116ps/5200rpm~5600rpm
・最大トルク:18.9kgf・m/1500~4000rpm

※パワースペック比較結果

エンジン排気量が300ccほど違いますが、それでも66psの違いはエンジン排気量だけのことではありません。
ホンダはパワー重視、トヨタは燃費重視、そういった自動車メーカーの考え方がはっきりと出たもの言えます。
それにしても116psに6速マニュアルトランスミッションというのも笑ってしまいます。

ホンダ・シビック・ハッチバックとトヨタ・カローラ・スポーツの燃費性能比較

●ホンダ・シビック・ハッチバック

・カタログ燃費(JC08モード):最大17.4km/L
・実燃費:約13km/L

●トヨタ・カローラ・スポーツ

・カタログ燃費(JC08モード換算):最大15.4km/L
・実燃費:約9km/L

※燃費性能比較結果

燃費重視のはずのトヨタ・カローラ・ハッチバックが、パワー重視のシビック・ハッチバックの実燃費に負けているどころか1.2リッターエンジンなのに、まるで3リッターオーバーの高額モデルのような1桁の実燃費になっています。

恐ろしや、トヨタのカタログ燃費と燃費テスト専門のテストドライバーのテクニック・・・です。

ホンダ・シビック・ハッチバックとトヨタ・カローラ・スポーツの販売価格帯比較

●ホンダ・シビック・ハッチバック

約278万円~約285万円

●トヨタ・カローラ・スポーツ(1.2リッターターボエンジンモデルのみ)

約217万円~約275万円

※販売価格帯比較結果

価格的にはだいぶシビック・ハッチバックの方が高いことになっていますが、明らかにパワーもあって燃費も良い部分を踏まえてみれば決して高い車ではないことがわかります。

まとめ

シビックのスポーツモデルであるシビック・タイプRと全く同じボディを持っているためか、経済的にシビック・タイプRが買えない方が妥協してこのシビック・ハッチバックを「プアマンズ・タイプR」として購入することがあるようで、中にはシビック・タイプRのような過激な走りをして、いい気になっている方もいるようですが、この車は大衆モデルにしては中々優れた性能を持つ車となってはいるものの所詮は大衆ハッチバックモデル、生活の足として使う車であるため、そういった走りに対応していません。

中々の走りができるためついついそんな気になってしまうのもわかりますが、自動車にはそれぞれに用途というものがあって、このシビック・ハッチバックは生活用に車であるためスポーツ走行には向かない点もあちこちにあるわけです。
その車を最初からスポーツ走行のために作ったシビック・タイプRと同じような扱いをしてはいけません。

性能は優れているといえますがそれはあくまでも大衆車の中での話で、それイコールスポーツ走行が楽しめるのとは違います。
ここのところだけはきちんと理解しておきましょう。

※総合評価:★★★★☆(4)

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