流行り廃りが激しい軽自動車の中でも長く幅広い需要を持つ軽ワンボックスワゴン、スバルからも軽ワンボックスワゴンとしてスバル・ディアス・ワゴンというモデルが発売されています。
残念ながらオリジナルモデルではないようですが、ここではディアス・ワゴンがどういう車なのか、どれだけの性能を持っているのかなどといったところを実際に運転した時の感想も踏まえて検証してみたいと思います。

※ご注意
ここではスバル・ディアス・ワゴンの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

スバル・ディアス・ワゴンはダイハツ・アトレーワゴンのOEM供給モデルだ

今でこそ全ての軽自動車をOEM供給でまかなっていますが昔はスバルもオリジナルで軽自動車を生産していました。
その中で長年コンスタントな売れ行きを示していたのが軽商用モデルのサンバーというモデルです。

サンバーは1961年に軽ワンボックスバン、軽トラックとして作られたのを始まりとするモデルで、1999年に発売された6代目モデルを最後にオリジナルモデルとしての販売を終了しています。

その最後の6代目モデルの際に軽ワンボックスバンモデルの最上級グレードとして用意された乗用モデル風バンモデル「ディアス」をクラシカルにドレスアップし、4ナンバーではなく、本当の意味での乗用モデルとして5ナンバーをつけたモデル「ディアス・ワゴン・クラシック」を発売しました。

その後、マイナーチェンジの際に「ディアス・ワゴン・クラシック」が廃止され、そのかわりとしてドレスアップされていないワンボックスバンモデルと共通の外観を持つ「ディアス・ワゴン」を発売したのです。
これが、スバルのディアス・ワゴンの初代モデルとなります。

しかし、ここでトヨタとその子会社であるダイハツとの間で業務提携を締結したことによって、スバルが軽自動車を作り続けることがダイハツの販売台数を減らすことになるということで業務提携のひとつの条件として軽自動車の自社生産を取りやめることになってしまったのです。
要するにスバルの軽自動車はすべてダイハツからのOEM供給モデルになるということです。

業績があまり良くなかったスバルにおいて、トヨタから申し出を断ることはできず泣く泣く軽自動車の生産を取りやめ、このディアス・ワゴンもOEM供給モデルの販売に切り替えることになったのです。

OEM供給の元モデルとなったのは、ダイハツの軽ワンボックスワゴンモデルのアトレーワゴンでした。

アトレーワゴンのOEM供給モデルとなったのは2009年のことで、そのモデルがディアス・ワゴンとしての2代目モデルとなります。
そして2020年2月現在もOEM供給元モデルのアトレーワゴンがモデルチェンジをしないことからディアス・ワゴンもその当時のモデルを発売する形になっています。

ディアス・ワゴンとアトレーワゴンの違い

ではここでOEM供給モデルのディアス・ワゴンとOEM供給元モデルのアトレーワゴンの違いを見ておきましょう。

●ディアス・ワゴンとアトレーワゴンで同じところ

・プラットフォーム
・ボディ形状
・シャシー形状
・エンジン
・トランスミッション
・サスペンション構造
・ブレーキ構造
・エクステリアデザイン
・インテリアデザイン
・グレード構成

など

●ディアス・ワゴンとアトレーワゴンで違うところ

・自動車メーカー名、モデル名、グレード名などを表すエンブレムやステッカー
・ボディカラー設定
・グレード名

など

こうして見るとよくわかると思いますがディアス・ワゴンは、アトレーワゴンのバッジエンジニアリングモデルであるということ・・・要するにほとんど同じということです。

スバル・ディアス・ワゴンのこれまでの出来事(2020年2月現在)

●初代モデル TW1/TW2型 1999年10月発売

※スバルオリジナルモデル時代

・1999年10月 「ディアス・ワゴン・クラシック」という名称で発売
・2001年8月 一部改良 デザインの小変更 エンジンの仕様変更 マニュアルトランスミッションモデルの追加
・2002年9月 マイナーチェンジ デザインの変更 「ディアス・ワゴン・クラシック」の廃止 「ディアス・ワゴン」の追加
・2003年11月 一部改良
・2005年11月 マイナーチェンジ デザインの変更
・2007年6月 一時生産中止
・2007年12月 生産の再開 マイナーチェンジ デザインの変更
・2008年7月 一部改良 デザインの小変更 ボディカラーの追加
・2008年8月 「SUBARU発売50周年記念特別仕様車」の追加

●2代目モデル S321/331系型 2009年9月発売

※OEM供給モデル時代

・2010年8月 一部改良
・2011年12月 一部改良
・2012年4月 一部改良
・2012年12月 一部改良
・2015年4月 一部改良
・2015年11月 一部改良 ボディカラーの変更
・2017年11月 マイナーチェンジ デザインの変更 「スマートアシストIII」の採用 ボディカラーの変更 グレード名の変更
・2019年11月 一部改良 ボディカラーの変更

スバル・ディアス・ワゴンが属するカテゴリー

●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車、業務用
●車両カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス

スバル・ディアス・ワゴンのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから80歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:大衆層(新車購入)低収入層(中古車購入)
●その他:商用目的として使われることも多々ある

スバル・ディアス・ワゴンの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン

●トランスミッション

・4速オートマチックトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FR
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:トレーリングリンクコイルリジット(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル

・あり・・・ダイハツ・アトレーワゴン(OEM供給元モデル)

●兄弟車

・あり・・・ダイハツ・アトレーワゴン、ダイハツ・ハイゼットカーゴ、スバル・サンバー・バン

スバル・ディアス・ワゴンのモデル構成とグレード構成

ディアス・ワゴンは単一モデル構成となります。

ベースモデル

このモデルには2つのグレードが用意されています。

・RS スマートアシスト グレード(2WD・4WD)
・RS Limited スマートアシスト グレード(2WD・4WD)

●「RS スマートアシスト」グレードの主な装備

・電動格納式リモコンカラードドアミラー
・六連星オーナメント付ウレタンステアリングホイール
・リヤシートアンダーボックス
・LEDハイ&ロービームランプ
・LEDクリアランスランプ
・メッキ フロントグリル
・サイドシルスポイラー
・メッキ リヤライセンスガーニッシュ
・UV&IRカット機能/トップシェード付 フロントウインドウガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・UVカット機能付濃色 スライドドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤクォーターガラス
・UVカット機能付濃色 リヤゲートガラス
・カラード フロントバンパー
・カラード リヤバンパー
・カラード ドアハンドル
・Cピラーブラックアウト
・リヤウインドゥデフォッガー
・ヘッドランプ自動消灯システム
・クリア LEDテール&ストップランプ内蔵 リヤコンビネーションランプ
・車速感応式フロント間欠ワイパー
・リバース連動リヤワイパー
・電動パワーステアリング
・マルチインフォメーションディスプレイ
・クリーンエアフィルター付プッシュ式オートエアコン
・リヤヒーター
・オーディオレス
・16cmフロント 2スピーカー
・純正ナビ装着用プリワイヤーハーネス
・エコインジケーター
・ATセレクトインジケーター
・インパネセンター セレクターレバー
・ハンドレバー式パーキングブレーキ
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・集中ドアロック
・フューエルリッドオープナー
・方向指示器のワンタッチ機能
・盗難警報装置
・ブラック ファブリックシート生地
・ヘッドレスト分割 フロントセパレートシート
・左右独立リクライニング&格納機構付リヤシート
・左右独立180mmロングスライド機能付リヤシート
・カップホルダー付リヤシートセンターアームレスト
・ソフトフラットシート
・助手席シートバックポケット
・ピアノブラック調 インパネセンタークラスター加飾
・DC12V インパネアクセサリーソケット
・LED 大型カーゴルームランプ
・オーバーヘッドシェルフ
・成形天井
・生地織込み成形フロントドアトリム
・生地織込みリヤドアトリム
・室内フルトリム
・運転席 バニティミラー/チケットホルダー付きサンバイザー
・助手席 サンバイザー
・フロントルームランプ
・運転席&助手席&後席 乗降用グリップ
・助手席&後席 アシストグリップ
・リヤゲートストラップバンド
・運転席&助手席 カップホルダー
・運転席&助手席 ドアポケット
・助手席 トレイ&センタートレイ
・大型グローブボックス
・運転席 ロアポケット
・コンソールトレイ
・マルチユーティリティフック
・カードホルダー
・ペンホルダー
・リヤクォーターポケット
・サイドシルプレート
・防水/防汚カーゴルーム&リヤシートバックカーペット
・ユースフルナット
・ユースフルホール
・13インチ×4.5J アルミホイール
・165/65R13 78Sサイズ タイヤ
・スマートアシストIII:衝突回避支援ブレーキ機能
・スマートアシストIII:衝突警報機能
・スマートアシストIII:車線逸脱警報機能
・スマートアシストIII:AT誤発進抑制制御機能
・スマートアシストIII:先行車発進お知らせ機能
・スマートアシストIII:ハイビームアシスト
・コーナーセンサー
・デュアルSRSエアバッグ
・VDC
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルホールドシステム
・EBD付ABS
・ハイマウントストップランプ
・寒冷地仕様注

など

●「RS Limited スマートアシスト」グレードの主な装備

「RS スマートアシスト」グレードの装備に加えて・・・

・ルーフスポイラー
・サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・LEDフォグランプ風タウンランプ
・シルバー加飾/六連星オーナメント付ウレタンステアリングホイール
・タコメーター付ルミネセントメーター
・シルバー加飾付メッキシフトリング
・シルバー加飾付メッキセレクターノブ
・メッキセレクターレバーボタン
・メッキパーキングレバーボタン
・左側 パワースライドドア
・左側 スライドドアイージークローザー
・シルバー インパネセンタークラスターエッジ加飾
・センターエアベントグリル メッキノブ
・メッキ フロントインナードアハンドル
・メッキ ドアロックノブ
・DC12V カーゴソケット

が追加されています。

スバル・ディアス・ワゴンに搭載されるパワーユニットと動力性能

スバル・ディアス・ワゴンには1種類のパワーユニットが用意されています。

●ターボエンジン

・エンジン型式:KF-DET型
・エンジン排気量:0.658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:64ps/5700rpm
・最大トルク:9.3kgf・m/2800rpm

・1リッターあたりのパワー:約96ps
・パワーウェイトレシオ:約14.1kg/ps

現行モデルのディアス・ワゴンは、2009年に発売されたモデルで、その時にダイハツから販売されていたアトレーワゴンのOEM供給モデルです。
そしてこのモデルは発売以来一度もモデルチェンジを行っていないので車体自体は基本的にその時のままで、エンジンに関してもその時に最新型であったものが搭載されていることになります。

エンジンの型式から言えば現在もダイハツの軽自動車の主力エンジンとして使われているKF-DET型ということになりますが、現在のこのエンジンは改良に改良を加えた新しいエンジンとなっており「第4世代のKF型エンジン」などと言われるものであるのに対して、このディアス・ワゴンのKF-DET型エンジンは、2009年当時に最新型とされていたいわゆる「初期型のKF型エンジン」ということになっています。

エンジンブロックや腰下、基本設計などは初期型も第4世代もほとんど変わりはありませんが、初期型には現在使われている第4世代のエンジンのように可変バルブタイミング機構がバル部構造として採用されていたり、ミラーサイクル制御をとったり、高圧縮比としたりといった改良はされていません。
ただそれらの装備は基本的に燃費性能を向上を目的としたものばかりですので、性能が低下しているといってもそれは燃費性能だけであって、動力性能が低いということはありません。

スペック的にも軽自動車の自主規制値である64psまできっちりと出していますし、トルクも10kgf・mには届きませんがターボエンジンならでは太いトルクを持ちます。

自動車全体で見ればたった64psですが軽自動車としてみれば満足のいくパワーだと思います。

※パワーユニットの評価:★★☆☆☆(2)

スバル・ディアス・ワゴンに採用されているトランスミッション

●4速オートマチックトランスミッション

ディアス・ワゴンはダイハツの軽商用バンであるハイゼット・カーゴをベースとするアトレーワゴンのOEM供給モデルです。
そのため基本的な構造は商用モデルと同じものとなっており、トランスミッションにおいても軽乗用モデルで多用されているCVTではなく、昔ながらのオートマチックトランスミッションになっています。

どうしてこのモデルにはCVTではなくオートマチックトランスミッションが採用されているのかというと、それはCVTというトランスミッションが高トルクに対応できない構造を持っているからです。
オートマチックトランスミッションはクラッチ代わりとしてトルクコンバーターをもっており、その部分はCVTも同じです。
しかし、変速機としての構造がオートマチックトランスミッションでは遊星ギヤ(プラネタリーギヤ)を利用し、がっちりと金属製のギヤとギヤとがかみ合っているので、商用モデルらしくたくさんの荷物を積んで重量が重たくなった車体を高トルクのターボエンジンで走らせてもギヤが欠けることがない限り、無理なくちゃんと走ることができのです。

しかし、CVTは金属製の2つのプーリーに金属製のベルトをかけた形になっており、変速時にベルトがプーリー上を滑ることを許容した設計なっているため、先ほどのような無理がかかるような運転をするとベルトがすぐに滑ってしまい、まともな加速ができなかったり、必要以上のベルト滑りの頻発によってCVT内部の摩耗が極端に進み、故障につながってしまうこともあるのです。
要するにCVTでもダメなわけではないですが耐久性とドライブフィールが著しく低下してしまうということです。

そこでこのディアス・ワゴンでは(アトレーワゴンやハイゼット・カーゴもそうですが・・・)はそういった憂いを晴らすために燃費性能の向上と部品流用による生産コストの低下にメリットがあるCVTではなく、あえて古典的で丈夫な構造を持つオートマチックトランスミッションを採用しました。
変速段数は軽自動車としては一般的な4速で、変速比も商用モデルベースならではのワイドレシオになっています。

実際に運転をした時の感想を言えば、はっきり言ってCVTと比べて「月とすっぽん」、非常に快適に走ることができます。
フル定員で荷物満載でもしっかりとギヤ同士がかみ合っているのを感じることができ、かなり安心できます。

ただ、運転席周りの使い勝手をよくするためにセレクターレバーをセンターコンソールではなく、インパネにもっていってしまったのはいただけません。
センターコンソールにセレクターレバーを置くと操作としては「前・後」といった動きになり、無駄な力も入れずにスムーズな操作が可能ですが、インパネにセレクターレバーを置くと「上・下」の動きとなり、特にセレクターレバーを下げようとする操作は力の入れ加減を調整しつつの作業となるため、車庫入れなど前進・後退を繰り返すように時ですと結構気を使います。
これだけが難点です。

※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)

スバル・ディアス・ワゴンの走行性能を決める構造

スバル・ディアス・ワゴンのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

ディアス・ワゴンは商用モデルベースのワゴンモデルですので車体は乗用車のものというより商用車のものとなります。
例えばタントやムーヴといった完璧な乗用モデルでは鉄板を折り曲げて作ったシャシー、ボディフレーム一体型のモノコックフレームを使って作られるものですが、このディアス・ワゴンはラダーフレームという強度に優れたシャシーにモノコックボディを載せた形といいますか、溶接でくっつけたような形のビルトインラダーフレームを用いて作られています。

この作り方は軽商用バンやトラックと同じ作り方で、乗り心地に関しては少々難がありますが、シャシーの強度や車体全体の耐久性を高めることができます。
ボディ剛性においてもダイハツの通常のモノコックフレームよりかなり丈夫であるといっていいでしょう。

※ボディ剛性の評価:★★★☆☆(3)

スバル・ディアス・ワゴンの走りの質を決めるサスペンション構造

サスペンション構造においても商用モデルに使われるようなものが採用になっています。

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:トレーリングリンクコイルリジット(コイルスプリング)

フロントサスペンションは定番のマクファーソンストラットとなりますが、リヤサスペンションはいわゆるコイルリジットサスペンションと呼ばれる強度重視のものが採用されています。
もっと詳しくいえばトレーリングリンク・コイルリジットサスペンションということになりますが、これはリヤアクスルを前から後ろに向かって伸びる2本のトレーリングアームで保持するといったもので、優れた耐久性と強度、そして意外とサスペンションの動きもいいため走行性能にも良い影響を与えます。
軽自動車のリヤサスペンションとしてよく使われる軟なトーションビームより断然いい走りができることでしょう。

※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)

スバル・ディアス・ワゴンのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

ブレーキシステムも商用モデル然としたものです。

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

商用バンベースということで重量が重たくなるのを踏まえてフロントブレーキはソリッドディスクではなく放熱性に優れたベンチレーテッドディスクとされているの特徴といえば特徴でしょう。
リヤブレーキは効き目重視のドラムブレーキとなります。

※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)

スバル・ディアス・ワゴンに搭載されている4WDシステム

ディアス・ワゴンにはすべてのグレードに4WDモデルが用意されています。
いつ何時でも走らなければならない商用モデルベースならではのものといえます。

4WDシステムとしてはビスカスカップリングを用いたスタンバイ4WDということになりますが、軽自動車によく使われているものとはちょっと違う構造を持ちます。

1つは、このモデルがFRレイアウトを持つということ、最近の一般的な軽自動車はエンジン横置きのFFレイアウトを持つものが多くなっているのですが、このディアス・ワゴンは商用モデルがベースとなっているためトラクション性能に優れたリヤ駆動となっています。
そのため、通常はリヤ駆動で4WD状態の時だけフロントタイヤにも動力が伝わるような形となります。

2つ目は、直結状態になる機能があること、ビスカスカップリングを用いたFRベースのスタンバイ4WDの場合、前後トルク配分が「フロント約:0 リヤ:約100」から「フロント約:50 リヤ:約50」の間で変化するものですが、「フロント約:50 リヤ:約50」となったとしてもあくまでも「約」であって完全に前後のドライブトレーンが直結状態になるわけではありません。
これにはタイトブレーキング現象を防ぐ意味と技術的にそうなってしまうからという理由があるのですが、それですと4WD状態になった時のトラクションが低下してしまうため、このディアス・ワゴンではビスカスカップリングを直結状態にするロックアップ機能がつけられています。

直結状態になるのは完全にリヤタイヤが空転状態にあるときだけですが、それだけでも通常のスタンバイ4WDよりは高いトラクション性能を持つことができます。
といっても所詮はスタンバイ4WDですので、あまり期待はしない方がよいでしょう。

※4WDシステムの評価:★★☆☆☆(2)

スバル・ディアス・ワゴンの燃費性能

スバル・ディアス・ワゴンのカタログ燃費と実燃費

●全モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.2km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

スバル・ディアス・ワゴンに採用されている低燃費装備

●全モデル

・アイドリングストップ機構
・電動パワーステアリング機構

スバル・ディアス・ワゴンのライバルモデル比較

スバル・ディアス・ワゴンのライバルとなるのは三菱・タウンボックス

ディアス・ワゴンはダイハツのアトレーワゴンのOEM供給モデルです。
そのアトレーワゴンのライバルといえば、今では同族となってしまいましたがスズキから発売されているエブリイ・ワゴンです。
エブリイ・ワゴンにはこのディアス・ワゴンのようなOEM供給モデルがあり、それがディアス・ワゴンのライバルとして適当ではないでしょうか。
それが三菱のタウンボックスです。

●スバル・ディアス・ワゴンの概要

・カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:KF-DET型
・比較対象グレード:「RSリミテッド スマートアシスト」グレード

●三菱・タウンボックスの概要

・カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:R06A型
・比較対象グレード:「G」グレード

スバル・ディアス・ワゴンと三菱・タウンボックスのパワースペック比較

●スバル・ディアス・ワゴン

・最大出力:64ps/5700rpm
・最大トルク:9.3kgf・m/2800rpm

●三菱・タウンボックス

・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3000rpm

※パワースペック比較結果

どちらも軽自動車の自主規制値いっぱいまでパワーを出していますのでどちらも同じくらいのパワーを持っているといえます。
ただ、実際に乗り比べてみた感想としては、過給圧制御の違いからでしょうか、ディアス・ワゴンの方がパンチがあるように感じました。

スバル・ディアス・ワゴンと三菱・タウンボックスの燃費性能比較

●スバル・ディアス・ワゴン
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.2km/L
・実燃費:約11km/L

●三菱・タウンボックス
・カタログ燃費(JC08モード):最大16.2km/L
・実燃費:約13km/L

※燃費性能比較結果

軽自動車とはどちらもターボエンジンを搭載しているモデルですのでどうしても燃費性能は低めになってしまいます。
ただ、どちらもこれくらい走れば十分ではないでしょうか。

スバル・ディアス・ワゴンと三菱・タウンボックスの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●スバル・ディアス・ワゴン

約160万円~約185万円

●三菱・タウンボックス

約171万円~約192万円

※販売価格帯比較結果

軽ワンボックスワゴンは昔から軽自動車の中でも比較的高い価格がつけられることが多いといわれていますが、確かにどちらのモデルもなかなかいい価格で販売されています。
ただ、汎用性高く、長い期間使えますのでそういった意味では思ったほど高くないのかもしれません。
若干ですがタウンボックスの方が高くなっているのも大した理由はないと思われます。

まとめ

軽自動車というと小さくて狭くて使いにくいなどと言う方がいますが、確かに登録車のワンボックスカーなどと比べてしまうとそうだと思います。
しかし軽乗用モデルという枠の中だけで言えば、ディアス・ワゴンのような軽ワンボックスワゴンは非常に広いキャビンスペースを持ち、定員は4人と軽自動車規格で決められてしまっているのでどうすることもできませんが、荷物は意外とたくさん積むことができ、ちょっとした旅行などにも使えて非常に便利です。
最近ではオートキャンプや車中泊などにも使われることも多くなってきたようで、ますます利用価値が高くなるのではないかと思います。

性能としては、やはり軽自動車、それも商用モデルベースのワゴンモデルということで何かとハンデがありますが、それでも64psを発生させるターボエンジンとオートマチックトランスミッション、リジットながらしっかりと路面をとらえるサスペンションは、軽乗用モデルを超えるものを持っているといってもいいでしょう。

※総合評価:★★★★☆(4)

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