スバルのオリジナルモデルの中で唯一、4WDモデルを持たないモデルとして発売されているのがスポーツモデルのスバル・BRZです。
このモデルは何やら表向きでは「トヨタとの共同開発」で作られたとされていますがどうやら表向きと実情は違うようです。
そういった点を掘り下げてみるのと同時にこの車がどういう車なのか、スポーツモデルとしてどれくらいの性能を持っているのかというところを検証してみたいと思います。
※ご注意
ここではスバル・BRZの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
共同開発?いえいえスバル・BRZはスバルに丸投げで作られた車です
スバルのBRZは、スバルの十八番であるAWD(4WD)システムが採用されていない唯一の2WDだけのモデルとなるもので、WRX STIに続いて2車種目のスポーツモデルとなります。
WRX STIはDCCD-AWDというスポーツ4WDシステムと308psの2リッターターボエンジン、6速マニュアルトランスミッションを備えたハイパワー・ハイトラクションの守備範囲の広いスポーツセダン、それに対してBRZはFRレイアウトをもち、リッターあたり約103psというスポーツモデルとしてはギリギリのパワーで、トータルでも207psしか出せない2リッターNAエンジンを搭載したFRスポーツクーペとして作られています。
スバルの中では両車ともきちんと住み分けができているのでお互いがお互いを食いあってしまうということはありません。
なので、販売面からみたデメリットというのはスバルにおいてはないのですが、実はスバルに取ってこのBRZという車は全く必要のないモデルだったようです。
これはスバルの開発部門に非常に近い方から発売当時に聞いた話なのですが、スバルはOEM供給モデル以外のモデルはすべてAWDを搭載したモデルか、そこから仕方なく「低燃費信者」のために作ったFFモデルだけしか作らないといった長期計画があったようです。
しかしそこで筆頭株主(議決権をもつ主要株主)であるトヨタがとんでもない案件を持ち込んできたとのこと・・・それがこのBRZとトヨタの86の案件でした。
トヨタ曰く、「現在(その当時の“現在”)まったく作られていないスポーツモデルを作りたい・・・しかし需要があまり期待できないので少しでも生産コストを下げたい、そこでスバルにも手を貸してもらって開発をお願いできないだろうか」ということだったらしいです。
更には「開発費は両社の折半ということで半分出すので、“スバル開発の車”ではなく、“トヨタ発案のトヨタとスバルとの共同開発”という形にしてもらいたい」ということと「“エコな自動車メーカー”という印象を弱めたくないのでエンジンは燃費性能に優れたNAエンジンとし、共同開発の証しとして我が社の直噴技術であるD-4Sをつかってもらいたい」ということが言い渡された(というか筆頭株主様からのご命令)そうです。
その割には資本提携が決まった時のセリフ「これ以上、円に入ってくれば即座にたたきつぶしますから、そのつもりで」はつじつまが合わない、トヨタから「自分の低燃費技術を採用しろ」といってきたのにおかしな話です。
それによって開発がすすめられやむなく4WDモデルを持たないFRレイアウトモデルだけの低燃費型スポーツモデルを作ったのがスバルではBRZ、トヨタでは86となるこのモデルだったわけです。
確かに車体の99%はスバル設計・スバルの部品で固められておりあちこちに「富士重工業」の名前と六連星が表示されています。
トヨタの色が見えるのはトヨタ様のご指示とおり燃料供給装置として採用した半直噴技術のD-4Sだけでそれも内部ものですからわからないので、あえてエンジンカバーに書かれているだけといった具合です。
これを「共同開発」とするにはいささか無理があるようで、裏・自動車界や自動車評論家の本音(表向きでそんなことをいったらトヨタ主催のイベントなどに参加できなくなってしまう)、スバリストの中では・・・
「トヨタの86はスバルのBRZのOEM供給モデルである」
と結論付けられています。
スバルBRZとトヨタ・86の違い
表向き共同開発車のBRZと86ですが、両車に違いはあるのでしょうか?
ここで違いをはっきりとさせておきましょう。
・フロントバンパー形状
・インテリアパーツの一部の、デザイン
・ボディカラー設定
・サスペンションセッティング
・販売面(グレード構成やオプション設定)
・販売戦略(BRZ:スバルで初のFRスポーツ 86:AE86の再来)
こうしてみると安く作れて簡単に交換できる樹脂製のフロントバンパーとサスペンションセットのコイルスプリングのスプリングレートとショックアブソーバーの減衰力のセッティグが違うだけということになります。
サスペンションのセッティングに付いては一般的には「BRZはグリップ志向、86はドリフト志向」とされています。
トヨタがそうした理由は販売戦略として今でも大人気のドリフト志向のスポーツモデル「AE86」を強くイメージさせたからで、そういった売り方をしているのに「ドリフトしても安定しない」「ドリフトの持ちこみにくい」セッティングになっていては評判が悪くなるからで、意図的にリヤタイヤの限界が低くなるようなセッティングにしたことでそういった言われ方をされるようになったのです。
BRZと86にどうしてNAエンジン採用されたのか
BRZと86にはスバルの開発設計によって作られたFA20型エンジンが採用されているのですが、このエンジンはスポーツモデルとしてあろうことかパワーのないNAエンジンとなっています。
やはりスポーツモデルというのはパワーがあってナンボのものですから、通常はWRX STIとかランサーエボリューションシリーズのように2リッターターボエンジンを搭載して300ps前後のパワーを持たせるのが当たり前なのですが、このモデルは最大で207psしか出せないNAエンジンが搭載されてしまったのです。
実はこうなったのはスバルのせいではありません。
すべてトヨタの作戦です。
トヨタはリーマンショックによる危機からハイブリッドモデルで復活した自動車メーカーです。
いわば「エコカー」「ハイブリッドカー」の恩恵を受けて今があるわけですので、そのイメージを崩すことは避けなければならないのです。
それがハイパワーを必要とするスポーツモデルでも・・・です。
今でこそBMWのZ4の事実上のOEM供給モデル(この場合もトヨタは“共同開発”としている)であるスープラや一部のトヨタ・レクサス店専売モデルではターボエンジンを搭載したモデルがありますが、当時は燃費性能が悪くなるためターボエンジンを極力避ける傾向があったのです。
それによってBRZと86を作る時にトヨタから「NAエンジンにしろ!」「我が社のD-4Sを使え!」といわれて作ったのがFA20型の半直噴NAエンジンだったのです。
要するにトヨタの「エコ」のイメージを崩さないために半直噴のNAエンジンになったということです。
スバル・BRZのこれまでの出来事(2020年1月現在)
●初代モデル ZC6型 2012年3月発売
・2013年8月 一部改良 STIモデル「tS」の限定発売
・2013年10月 「Premium Sport Package」の追加
・2014年4月 一部改良 デザインの小変更 ショックアブソーバーの仕様変更 ボディカラーの変更
・2015年2月 一部改良 「RA」グレードの廃止 「R Customize Package」グレードの追加 デザインの小変更 ボディカラーの変更
・2015年6月 「tS」の限定発売
・2016年7月 マイナーチェンジ デザインの小変更 エンジンの仕様変更(207ps) ショックアブソーバーの仕様変更 「Yellow Edition」の限定発売
・2016年10月 「GT」グレードの追加
・2017年9月 一部改良 補強パーツの追加
・2017年10月 「STI Sport」グレードの追加
・2018年9月 一部改良 デザインの小変更 ショックアブソーバーの仕様変更
・2019年4月 一部改良 デザインの小変更 ボディカラーの変更
スバル・BRZが属するカテゴリー
●車格:中型スポーツモデル
●用途・目的:生活車 スポーツ走行用 競技車両
●車両カテゴリー:2ドアファストバッククーペ
●エンジン排気量クラス:2リッタークラス
スバル・BRZのオーナー層
●年齢層:18歳ぐらいから40歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車/中古車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:若年層がメインだがパワーの無さからすぐに売りに出されることが多い
スバル・BRZの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
●トランスミッション
・6速マニュアルトランスミッション
・6速オートマチックトランスミッション
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FR
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
●ベースモデル
・なし
●兄弟車
・あり・・・トヨタ・86(事実上のOEM供給モデル)
スバル・BRZのモデル構成とグレード構成
BRZには仕様違いのモデルが2種類用意されています。
標準モデル
このモデルには4つのグレードが用意されています。
・R グレード(2WD)(6速MT/6速AT)
・S グレード(2WD)(6速MT/6速AT)
・GT グレード(2WD)(6速MT/6速AT)
・STI Sport グレード(2WD)(6速MT/6速AT)
●「R」グレードの主な装備
・215/45R17サイズ タイヤ
・17インチ×7J ガンメタリック塗装+切削光輝 アルミホイール
・専用フロントブレーキパッド
・トルクセンシングLSD
・Vタワーバー
・ロアメンバーブレース
・アダプティブ制御付トランスミッション(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・ダウンシフトブリッピングコントロール付アダプティブ制御付トランスミッション(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・フロント/リヤ スタビライザー
・サウンドクリエータ
・ヒルスタートアシスト
・フルLEDヘッドランプ
・電動格納式リモコンカラードドアミラー
・フルLEDリヤコンビランプ
・マルチ拡散式ウォッシャー連動間欠調整式フロントワイパー
・タイマー付リヤウインドゥデフォッガー
・高触感革、赤ステッチ、サテン調シルバー加飾付本革巻ステアリングホイール
・高触感革 赤ステッチ 本革巻セレクターノブ(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・高触感革 赤ステッチ 本革巻シフトノブ(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・赤ステッチ ハンドブレーキレバーブーツ
・パドルレバー(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・ATスポーツ/スノーモードスイッチ(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・VSC(VDC)TRACKモードスイッチ
・アルミパッド付スポーツペダル
・クリーンフィルター付マニュアルエアコン
・デジタルスピードメーター内蔵レッドスポーツメーター
・インフォメーションメーター
・イモビライザー
・電動パワーステアリング
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・方向指示器のワンタッチ機能
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・集中ドアロック
・リモコントランクオープナー
・REVインジケーター
・シフトアップインジケーター(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・シフトポジションインジケーター
・デジタル時計
・イグニッションキー照明
・メーターイルミネーションコントロール
・フロント×2 2スピーカー
・シャークフィンタイプ ルーフアンテナ
・トリコット シート生地
・フロントシート スライド&リクライニング機構
・助手席ウォークインスライド機構
・運転席 レバー式シートリフター
・一体可倒式リヤシート
・上下調整式フロントシートヘッドレスト
・カーボン調インパネパネル
・サテン調シルバー加飾インパネセンターサイド
・サテン調シルバー加飾シフトパネル
・サテン調シルバー加飾ドアグリップ
・シルバー加飾エアベントグリル
・シルバー加飾アルミセンターベンチルーバーノブ
・メッキインナードアハンドル
・赤ステッチ ドアトリム
・ステンレス製アシストパッド付サイドシルプレート
・脱着式前席カップホルダー
・運転席/助手席 バニティミラー付サンバイザー
・DC12V/120W電源ソケット
・トランクルームランプ
・トランクトリム
・トランクマット
・グローブボックス
・ドアボトルホルダー
・インパネポケット
・スイッチ付オフディレイルームランプ
・フロントフェンダーガーニッシュ
・リヤアーチフィン
・大型マフラーカッター付デュアルテールパイプ
・フロアサイレンサー
・カラード アウトサイドドアハンドル
・UVカット機能付 フロントガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・UVカット機能付濃色 リヤクォーターガラス
・UVカット機能付濃色 リヤガラス
・インテークマニホールドカバー(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・カラード フロント&リヤバンパー
・リヤガーニッシュ
・リヤディフューザー
・チッピングプロテクター
・アルミ製エンジンアンダーカバー
・トランスミッションアンダーカバー
・フロント/リヤ エアフラップ
・トーボードインシュレーター
・フードインシュレーター
・赤チヂミ塗装インテークマニホールド(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・EBD付4センサー4チャンネルABS
・VDC
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・エマージェンシーストップシグナル
・ハイマウントストップランプ
・セイフティペダル
・セイフティフットレスト(ブレーキ操作優先制御)
・クラッチスタートシステム(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・デュアルSRSエアバッグ
など
●「S」グレードの主な装備
「R」グレードの装備に加えて・・・
・マルチリフレクター式LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・ヒーテッドドアミラー
・ウェルカムライティング
・オートライト
・クルーズコントロール
・左右独立温度調整機能、クリーンフィルター付フルオートエアコン
・TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ付メーター
・キーレスアクセス&プッシュスタート
・アラーム機能付イモビライザー
・フロント6+リヤ2 8スピーカー
・ファブリック/トリコット コンビシート生地
・運転席前倒しストラップ付フロントシート スライド&リクライニング機構
・助手席シートバックポケット
・赤ステッチ レザー調素材巻インパネパネル
・レザー調素材巻、赤ステッチ メーターバイザー
・サテン調シルバー加飾 フロントドアスピーカーリング
・レザー調素材巻、赤ステッチ 運転席/助手席 ニーパッド
・バニティミラー+照明付 運転席/助手席サンバイザー
・フレームレスインナーミラー
・ドアカーテシーランプ
・トランクリッドトリム
・フルフロアアンダーカバー
・トップシェード/UVカット機能付 フロントガラス
が追加されています。
●「GT」グレードの主な装備
「S」グレードの装備に加えて・・・
・ZF製SACHS ショックアブソーバー
・17インチ×7J スーパーブラックハイラスター アルミホイール
・ブレンボ製ブレーキシステム
・アルカンターラ/本革 コンビシート生地
・フロントシートヒーター付フロントシート
・リヤスポイラー
が追加されています。
●「STI Sport」グレードの主な装備
「GT」グレードの装備に加えて・・・
・STIチューニング ZF製SACHS ショックアブソーバー
・STIチューニング コイルスプリング
・215/40R18サイズ ハイパフォーマンスタイヤ
・18インチ×7J ブラック塗装 アルミホイール
・STI製フレキシブルVバー
・STI製フレキシブルドロースティフナーフロント
・ブラックカラード 電動格納式リモコンカラードドアミラー
・高触感革、赤ステッチ、ダークキャストメタリック加飾付本革巻ステアリングホイール
・STIロゴ入りTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ付メーター
・ブラックカラード シャークフィンタイプルーフアンテナ
・ブラック/ボルドーカラー アルカンターラ/本革 コンビシート生地
・グランリュクス、赤ステッチ メーターバイザー
・ピアノブラック調加飾 エアコンスイッチパネル
・ピアノブラック調加飾 パワーウインドウスイッチパネル
・STIロゴ入り アシストパッド付ステンレス製サイドシルプレート
・SUBARU BRZ STI Sportエクステリア:フロントバンパー
・SUBARU BRZ STI Sportエクステリア:STIエンブレム
・SUBARU BRZ STI Sportエクステリア:BRZエンブレム
・STIロゴ入りフロントフェンダーガーニッシュ
が追加されています。
モータースポーツ向けモデル
このモデルには2つのグレードが用意されています。
・R Customize Package グレード(2WD)(6速MT)
・RA Racing グレード(2WD)(6速MT)
●「R Customize Package」グレードの主な装備
・205/55R16サイズ タイヤ
・17インチ×7J スチールホイール
・専用フロントブレーキパッド
・トルクセンシングLSD
・Vタワーバー
・ロアメンバーブレース
・フロント/リヤ スタビライザー
・サウンドクリエータ
・ヒルスタートアシスト
・フルLEDヘッドランプ
・電動格納式リモコンカラードドアミラー
・フルLEDリヤコンビランプ
・マルチ拡散式ウォッシャー連動間欠調整式フロントワイパー
・タイマー付リヤウインドゥデフォッガー
・VSC(VDC)TRACKモードスイッチ
・クリーンフィルター付マニュアルエアコン
・デジタルスピードメーター内蔵レッドスポーツメーター
・インフォメーションメーター
・イモビライザー
・電動パワーステアリング
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・方向指示器のワンタッチ機能
・パワーウインドウ
・アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック
・集中ドアロック
・リモコントランクオープナー
・REVインジケーター
・シフトアップインジケーター
・シフトポジションインジケーター
・デジタル時計
・イグニッションキー照明
・メーターイルミネーションコントロール
・スピーカーレス
・シャークフィンタイプ ルーフアンテナ
・トリコット シート生地
・フロントシート スライド&リクライニング機構
・運転席 レバー式シートリフター
・一体可倒式リヤシート
・上下調整式フロントシートヘッドレスト
・運転席/助手席 バニティミラー付サンバイザー
・DC12V/120W電源ソケット
・トランクトリム
・トランクマット
・グローブボックス
・ドアボトルホルダー
・インパネポケット
・スイッチ付オフディレイルームランプ
・フロントフェンダーガーニッシュ
・リヤアーチフィン
・デュアルテールパイプ
・フロアサイレンサー
・カラード アウトサイドドアハンドル
・UVカット機能付 フロントガラス
・UVカット機能付 フロントドアガラス
・カラード フロント&リヤバンパー
・リヤガーニッシュ
・リヤディフューザー
・チッピングプロテクター
・アルミ製エンジンアンダーカバー
・トランスミッションアンダーカバー
・フロント/リヤ エアフラップ
・トーボードインシュレーター
・フードインシュレーター
・赤チヂミ塗装インテークマニホールド(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・EBD付4センサー4チャンネルABS
・VDC
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・エマージェンシーストップシグナル
・ハイマウントストップランプ
・セイフティペダル
・セイフティフットレスト(ブレーキ操作優先制御)
・クラッチスタートシステム(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・デュアルSRSエアバッグ
など
●「RA Racing」グレードの主な装備
「R Customize Package」グレードの装備に加えて・・・
・フロントブレーキダクト
・ブレーキバックプレート
・空冷式エンジンオイルクーラー
・フロント×2 2スピーカー
・専用フロアマット
・サイドバー付ロールケージ
・フロントトランスポートフック
・リヤトランスポートフック
・FIA公認4点式シートベルト
・4点シートベルト用アンカーボルト
が追加されています。
スバル・BRZに搭載されるパワーユニットと動力性能
スバル・BRZには1種類のパワーユニットが用意されています。
●2リッターNAエンジン
・エンジン型式:FA20型
・エンジン排気量:1998cc
・シリンダー配列:水平対向
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC 16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射+ポート噴射
◆スペック
○マニュアルトランスミッションモデル
・最大出力:207ps/7000rpm
・最大トルク:21.6kgf・m/6400rpm~6800rpm
・1リッターあたりのパワー:約103.5ps
・パワーウェイトレシオ:約6.03kg/ps
○オートマチックトランスミッションモデル
・最大出力:200ps/7000rpm
・最大トルク:20.9kgf・m/6400rpm~6600rpm
・1リッターあたりのパワー:約100ps
・パワーウェイトレシオ:約6.35kg/ps
BRZでは、トランスミッションによってエンジン出力の違うFA20型エンジンを与える形となっていますが、その違いはECU内の燃調マップ、点火タイミングマップ、バルブタイミングマップといった制御によってもたらされていますので、エンジン構造自体は全く同じです。
このエンジンはスバルのエンジンFB型を改良した形で作られたものですが、スバルオリジナルでスバルから発売されているモデルの中でこのエンジンを搭載したものはなく、このBRZとその兄弟モデル(事実上のOEM供給モデル)であるトヨタの86だけに採用されている形となります。
FA20型エンジンと呼ばれるエンジンはスバルでも採用されていますが、それはNAエンジンではなくターボエンジンだけとなりNAエンジンは使用されていません。
実はBRZや86に採用されているFA20型エンジンは、スバルにも直噴技術があるのにもかかわらず、トヨタから「D-4Sを使え」といわれたことから無理矢理FA20型にD-4Sを取り込んだ形で作られたため、トヨタの技術と商標があるため、いくら事実上の子会社だからといって勝手に使うことができないのです。
要するにこのFA20型のNAエンジンはBRZと86専用のエンジンということになります。
構造的にもBRZと86専用のFA20型NAエンジンとスバルで使っているFA20型ターボエンジンとではエンジン自体の作りが違っています。
パワースペックはマニュアルトランスミッションモデルで207ps(実馬力160psという記録もある)ととりあえずは「リッターあたり100ps」をクリアしていますが、NAエンジンとはいえたった207psのスポーツモデルというのも魅力が大きく欠けます。
「NAエンジンだから仕方がない」
それならNAエンジンではなく、ターボエンジンを使えばいいだけのことです。
要するにトヨタの「エコ」のイメージを壊したくないだけのことでそれによってターボエンジンを使うことができず燃費性能に有利なNAエンジンを使っただけのことなのです。
それにトヨタに半直噴技術のD-4S、トラブルが多過ぎます。
※パワーユニットの評価:★★☆☆☆(2)
スバル・BRZに採用されているトランスミッション
スバル・BRZには2種類のトランスミッションが用意されています。
●6速オートマチックトランスミッション
標準モデルの・・・
・「Rグレード
・「S」グレード
・「GT」グレード
・「STI Sport」グレード
には後述する6速マニュアルトランスミッションの他に「E-6AT」と呼ばれる6速オートマチックトランスミッションが用意されています。
このトランスミッションはレガシィシリーズなどに過去に搭載されていた「E-5AT」を多段化した形で作られたもので、特にスポーツ走行にあわせて作り変えたというものではなく、ごく普通のオートマチックトランスミッションです。
トルクコンバーターとプラネタリーギヤを使った有段変速機を組み合わせただけのものです。
スバルでは現在、どのモデルもすべてCVTのリニアトロニックを採用しているためオートマチックトランスミッションを採用しているのはこのBRZだけとなりました。
良くも悪くもないオートマチックトランスミッションですが、DCTならまだしもスポーツモデルでオートマチックトランスミッションを用意するとはちょっと疑問が残ります。
そんなにAT免許取得者に期待をしているのでしょうか。
※トランスミッションの評価:★★☆☆☆(2)
●6速マニュアルトランスミッション
BRZでメインのトランスミッションとなるのがこの6速マニュアルトランスミッションです。
構造はいたって普通の乾式単板クラッチと常時噛み合い式の6速ギヤボックスを組み合わせただけのものです。
操作性は1速から3速というストリートで多用するギヤポジションにトリプルコーンシンクロを採用しているためかギヤの入りが非常によく、シフトストロークも比較的短いため、スピーディーなシフトチェンジが可能です。
ただ、シフトリンクの強度があまりないのか、時折グニャグニャしたシフトフィーリングを感じることがあるのが残念です。
※トランスミッションの評価:★★★★☆(4)
スバル・BRZの走行性能を決める構造
スバル・BRZのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
BRZのプラットフォームは同時期に発売された先代となるGP/GJ系インプレッサシリーズで使われたものをBRZ・86用に改良したものです。
中型大衆モデルに使われたプラットフォームですがシャシーもフレームもスバルらしく非常に強固に作られていてボディ剛性もスポーツモデルに十分対応できるほどのものを持っています。
※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)
スバル・BRZの走りの質を決めるサスペンション構造
BRZはGP/GJ系型インプレッサシリーズと全く同じシャシーを持つのでサスペンション構造も同じ・・・
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン
が採用されています。
トヨタの86ではAE86のイメージを残すためにあえてリヤサスペンションの限界を落として弱い横Gでもすぐにドリフトに持ち込めるようなセッティングにされていますがこのBRZは本格的なスポーツ走行、タイムアタック用のグリップ走行のセッティングがされています。
確かに乗り比べてみると86はリヤタイヤがムズムズするタイミングが早く、安心してコーナーを攻めることができませんした。
がしかし、同じ車体でもBRZは常にリヤタイヤがしっかりとグリップしている感覚が強く、安心して攻めることができました。
グレード別の装備として「GT」グレードには「ZFザックス」社製のショックアブソーバーが前後に採用されており、更に「STI Sport」グレードではSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)がチューニングを行った「ZFザックス」社製のショックアブソーバーとコイルスプリングが採用されています。
どちらもノーマル以上に安定した走りができるようになっていますが、「STI Sport」グレードのものはまるで社外品のサスペンションセットを取り付けたぐらいの違いがあります。
確実にタイヤのグリップ力が活かされており、コーナーリングスピードも上がります。
※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)
スバル・BRZのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
BRZには2種類のブレーキシステムが用意されています。
1つは「R」グレード、「S」グレード、「R Customize Package」グレード、「RA Racing」グレードに採用されているもので・・・
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+16インチ ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+15インチ ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
といったものです。
こちらは最低限の装備ということでブレーキキャリパーも1ポットのフローティングキャリパーでブレーキキャリパーのサイズもそれほど大きくはありません。
このブレーキシステムがモータースポーツ向けのグレードに採用されているのは「どうせ社外品に交換するんでしょ!」ということが含まれているからです。
それからもう1つは「GT」グレードと「STI Sport」グレードに採用されているもので・・・
・フロント:ブレンボ製4ポット対向ピストンキャリパー+17インチ ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ブレンボ製2ポット対向ピストンキャリパー+17インチ ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
といったもので、すぐにでもサーキット走行ができるぐらいの贅沢な装備となっています。
もちろん効き目はブレンボ製のブレーキの方がいいに決まっています。
ブレンボ製ではない方は街乗り程度なら十分ですが、峠を攻めたりサーキット走行をするには少々厳しいでしょう。
※ブレーキシステムの評価:★★★★★(5)
スバル・BRZの燃費性能
スバル・BRZのカタログ燃費と実燃費
●マニュアルトランスミッションモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大12.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大8.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大13.7km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大15.1km/L
・実燃費:約6km/L
※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)
●オートマチックトランスミッションモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大11.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大7.5km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大12.5km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):14.9最大km/L
・実燃費:約5km/L
※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)
スバル・BRZに採用されている低燃費装備
●全モデル
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・半直噴エンジン
スバル・BRZのライバルモデル比較
スバル・BRZのライバルとなるのはマツダ・ロードスターRF
スポーツモデル自体があまりないので、更にFRスポーツとなるとマツダのロードスターRFしかありません。
●スバル・BRZの概要
・カテゴリー:2ドアファストバッククーペ
・車格:中型スポーツモデル
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形式:FA20型
・比較対象グレード:「GT」グレード
●マツダ・ロードスターRFの概要
・カテゴリー:2ドアロードスター
・車格:中型スポーツモデル
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形式:PE-VPR [RS] 型
・比較対象グレード:「RS」グレード
スバル・BRZとマツダ・ロードスターRFのパワースペック比較
●スバル・BRZ
・最大出力:207ps/7000rpm
・最大トルク:21.6kgf・m/6400rpm~6800rpm
●マツダ・ロードスターRF
・最大出力:184ps/7000rpm
・最大トルク:20.9kgf・m/4000rpm
※パワースペック比較結果
スペック的にはBRZの方が勝っていますが、BRZのFA20型エンジンはちょっとピーキーな特性を持っているので街乗りなど低回転域を多用するステージではロードスターRFの方が運転がしやすいかもしれません。
スバル・BRZとマツダ・ロードスターRFの燃費性能比較
●スバル・BRZ
・カタログ燃費(WLTCモード):最大12.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大8.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大13.7km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大15.1km/L
・実燃費:約6km/L
●マツダ・ロードスターRF
・カタログ燃費(WLTCモード):最大15.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大11.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大16.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大18.3km/L
・実燃費:約11km/L
※燃費性能比較結果
パワースペックが低い分だけ燃費性能が優れているといったところでしょうか。
スバル・BRZとマツダ・ロードスターRFの販売価格帯比較
ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。
●スバル・BRZ
約248万円~約366万円
●マツダ・ロードスターRF
約343万円~約390万円
※販売価格帯比較結果
BRZは大多数の装備が省略されているモータースポーツ向けモデルも含めての価格となりますので低額側がかなり安くなっていますが、トータルで見てもBRZの方が安いのは、トヨタが安く売れる車を作ることをスバルに発注したからです。
まとめ
車体も技術も99%がスバルのものであっても事実上の親会社であるトヨタのご命令には背くことができないため、スバルが求めるものとは全く違う車になってしまったといった感じです。
それにスポーツモデルにNAエンジンを搭載して「ハンドリングマシン」的な売り方をしてもいまどき誰が騙されるでしょうか。
もしスバルがオリジナルでBRZのような車を作ったらもっと良いスポーツモデルになったのではと思います。
スバルもかわいそうな自動車メーカーです。
※総合評価:★★☆☆☆(2)