軽自動車の中でも汎用性、優れた居住性、積載能力を持つということで人気が高い軽ワンボックスワゴン、そのほとんどがスズキやダイハツが作るモデルとなっているのが現状です。

三菱のタウンボックスも現在はそういった形で売られているものですが、実は昔は違いました。
ここではそういった歴史的背景も含めて、三菱・タウンボックスがどういう車なのか、車としての性能はどうなのかといったところを検証してみたいと思います。

三菱・タウンボックス=本車種
スバル・ディアスワゴン=ライバル

※ご注意
ここでは三菱・タウンボックスの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

三菱オリジナルの時代があった三菱・タウンボックス

三菱 タウンボックス 歴史
三菱のタウンボックスは、2015年に発売された3代目モデル、DS17W型が現行モデルとなっていますが、実はこのモデルはスズキが製造販売する「エブリイ・ワゴン」のOEM供給モデルとして販売されているものなのです。

ご存じの通り、三菱も古くから軽自動車を作ってきており、様々なモデルを輩出してきた自動車メーカーで軽ワンボックスカーも作ってきたので、OEM供給モデルを売っているとは思えないのですが、もろもろの事情であまり売り上げがよくなかったことから、軽自動車の新型モデル開発を行うことができなくなりました。

しかし、開発ができないからといって確実に利益を得ることができる人気の高い軽自動車を売らないという手はありませんので、何とかして他の手段を取るしかなかったのです。

その頃、三菱から発売されていた軽自動車には、軽乗用モデルのミニカ、eKシリーズ、トッポ、i(アイ)、タウンボックスなど、軽商用モデルのミニキャブシリーズなどがあったわけですが、そのうち軽乗用モデルとして発売されているミニカは生産終了、eKシリーズとトッポも生産終了後、日産との間で設立して新しい開発専用の自動車メーカーであるNMKVによって開発されたモデルをOEM供給を受けてそれを発売、i(アイ)は、ベースモデルとなる電気自動車i-MiEVが生産されている都合上、生産が継続される(2015年に生産終了)といった形になり、三菱が開発費のすべてを負担して軽乗用モデルを作る必要をなくしたのです。

同じ軽乗用モデルとなるタウンボックスはどうかといいますと、そもそもタウンボックスは軽商用バンのミニキャブの派生モデルであるため、軽乗用モデルでありながら軽商用モデルの流れを受けます。

では、その軽商用モデルはどうしたのかというと、NMKVはあくまでも軽乗用モデルだけを取り扱う企業であるため、軽商用モデルは一切扱いません。
そこで三菱は昔ながらの方法である「OEM供給」という手段を取ったのです。

OEM供給契約を結んだのは当時はまだ「日産寄り」だったスズキで、スズキで製造販売されていたエブリイシリーズのOEM供給を受けることになりました。

ミニキャブ・バンはエブリィ・バンのOEM供給モデル、ミニキャブ・トラックはエブリィ・トラックのOEM供給モデル、そして軽乗用モデルですがミニキャブ・バンの派生モデルであるタウンボックスもエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルとなったのです。

これでi(アイ)とi-MiEV(当時は軽自動車扱いだった)、ミニキャブ・ミーブ、ミニキャブ・ミーブ・トラックなどのEVがらみのモデル以外のすべての軽自動車をOEM供給モデルとして販売するようにし、実質的に三菱が軽自動車の独自生産から手を引いたことになったのです。

この形になったのはNMKVが設立された2005年あたりからで、NMKVとは関係ない軽商用モデルも生産ラインの縮小もあって、同時期にOEM供給モデル化されていきました。

タウンボックスは現行モデルが3代目モデルとなっていますが、OEM供給モデルとされたのは2014年に発売され、エブリイ・ワゴンのモデルチェンジサイクルの都合上、たった1年しか販売されなかった2代目モデルからとなります。

では、それ以前の三菱オリジナル時代のタウンボックスはどういうモデルかといいますと、その当時のモデルは1999年に発売された軽商用バンであるミニキャブ(もちろん三菱オリジナル)の6代目モデルの派生モデルとして、ミニキャブシリーズで初となるフロント部にクラッシャブルゾーンを持つボディ形状を持ち、フロントシートの下に三菱のエンジンを縦置きにしたFRレイアウトを持つモデルの派生モデルとされていました。

そのモデルは1999年から2011年まで長く販売されていましたが、三菱自動車が軽自動車の独自生産から手を引くことが決まった際に一時期、生産終了になり、この時が三菱オリジナルのタウンボックスの最後となったわけです。

三菱・タウンボックスには兄弟車がたくさんある

三菱 タウンボックス 兄弟車
三菱・タウンボックスはスズキのエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルとなりますが、実は他の自動車メーカーにも同じようにスズキからエブリイ・ワゴンのOEM供給を受けているところがあるのです。

まずは日産、現在では三菱自動車の親会社となっていますが、この日産でもエブリイ・ワゴンを「NV100クリッパーリオ」として販売しています。
実はNV100クリッパーリオの前身であるクリッパーリオは、三菱オリジナル時代のタウンボックスのOEM供給モデルだったのですが、三菱自体がスズキからエブリイ・ワゴンのOEM供給を受ける形になったことからその流れで日産もスズキのエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルになったといういきさつを持ちます。

三菱オリジナルのタウンボックスのOEM供給モデルとして発売されたのは2007年のこと、スズキのエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルとなったのは2013年のこととなります。

それからもう一社はマツダです。
マツダは1999年に発売されたエブリイ・ワゴンとしては初代モデルとなるモデル時代からエブリイ・ワゴンのOEM供給を受けて、「スクラム・ワゴン」として販売を続けています。

これらのOEM供給モデルによってタウンボックス自体もOEM供給モデルですが、エブリイ・ワゴン、タウンボックス、NV100クリッパーリオ、スクラム・ワゴンといった4つのモデルが4つの自動車メーカーから発売されていることになるといった非常に珍しい状況になりました。

ただ、OEM供給元であるスズキが2017年あたりから急激にトヨタ自動車に近づくようになり、2019年においては資本提携を行うといった蜜月ぶりを見せつけていることからこの関係性、特にトヨタのライバルグループである日産と三菱との関係がいつまで継続されるのかわかりません。

三菱・タウンボックスのこれまでの出来事(2019年10月時点)

●初代モデル U61W系型 1999年4月発売

※三菱オリジナルモデル時代

・2000年1月 「セレクト」「セレクトターボ」の追加
・2000年11月 マイナーチェンジ デザインの変更
・2002年8月 一部エンジンの仕様変更(4A30T型から3G83T型へ変更) 4WDシステムがフルタイム4WDシステムへ変更
・2004年10月 一部改良 サンルーフの廃止
・2005年12月 「SX」グレードの廃止
・2006年12月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2007年6月 日産へOEM供給開始
・2007年12月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2008年12月 一部改良
・2009年8月 マニュアルトランスミッションモデルの廃止
・2009年12月 一部改良 インテリアデザインの小変更 「エクシードパッケージ」の廃止
・2010年8月 一部改良 仕様変更 「キャンパー」の追加

●2代目モデル DS64W型 2014年2月発売

※スズキ・エブリィ・ワゴンのOEM供給モデル時代

●3代目モデル DS17W型 2015年3月発売

※スズキ・エブリィ・ワゴンのOEM供給モデル時代

・2019年7月 一部改良

三菱・タウンボックスが属するカテゴリー

●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車、業務用
●車両カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス

三菱・タウンボックスのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから80歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:大衆層(新車購入)低収入層(中古車購入)
●その他:商用目的として使われることも多い

三菱・タウンボックスの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・ガソリンエンジン

●トランスミッション
・4速オートマチックトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FR
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:I.T.L「アイソレーテッド・トレーリング・リンク」(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル
・あり…スズキ・エブリィ・ワゴン

●兄弟車
・あり…スズキ・エブリィ・ワゴン、日産・NV100クリッパーリオ、マツダ・スクラム・ワゴン

三菱・タウンボックスのモデル構成とグレード構成

三菱 タウンボックス 構成
三菱・タウンボックスは単一モデルとなっています。

ベースモデル

このモデルには2つのグレードが用意されています。

・G グレード(2WD・4WD)
・Gスペシャル グレード(2WD・4WD)

●「G」グレードの主な装備

・フロントエアロバンパー
・サイドアンダースポイラー
・リヤエアロバンパー
・ルーフエンドスポイラー
・メッキフロントグリル
・ディスチャージヘッドランプ
・電動格納式リモコンカラードドアミラー
・ルーフアンテナ
・メッキベゼル付きフォグランプ風タウンランプ
・Bピラー/Cピラー ブラックアウト
・メッキフロントフードガーニッシュ
・スライドドアレールガーニッシュ
・UVカット フロントウィンドシールドガラス
・UVカット フロントドアガラス
・UVカット機能付プライバシー スライドドアガラス
・UVカット機能付プライバシー クォーターガラス
・UVカット機能付プライバシー テールゲートガラス
・熱線入りテールゲートガラス
・フルオートエアコン
・ECOドライブアシスト照明
・ステアリングオーディオスイッチ
・6スピーカー
・チルトステアリング調整機能
・タコメーター
・ウレタン ステアリングホイール
・マルチインフォメーションディスプレイ
・リヤヒーター
・スライド/リクライニング調整機能付ベンチタイプ フロントシート
・フロントヘッドレスト
・フロントセンターアームレスト
・左右独立式スライド/リクライニング調整機能付分割可倒式リヤシート
・ファブリック シート生地
・乗車グリップ
・アクセサリーソケット
・オーバーヘッドコンソール
・リヤドアボトルポケット
・センターミドルトレイ
・運転席/助手席 チケットホルダー付きバニティミラー
・ルームランプ
・乗降ステップ
・シルバー インサイドドアハンドル
・助手席アシストグリップ
・後席アシストグリップ
・ドアトリムクロス
・テールゲートインサイドグリップ
・助手席インパネトレイ
・グローブボックス
・運転席 インパネアッパーポケット
・センター インパネアンダーボックス
・インパネ カップホルダー
・助手席 シートバックポケット
・ラゲッジサイドポケット
・カードケース
・コンビニフック
・フロアカーペット
・ラゲッジルームマット
・フロントドアポケット
・フューエルリッドオープナー
・ラゲッジサイドアッパーポケット
・e-Assist:衝突被害軽減ブレーキシステム
・e-Assist:ハイビームアシスト
・e-Assist:後退時ブレーキサポート
・e-Assist:リヤパーキングセンサー
・e-Assist:後方誤発進抑制機能
・e-Assist:前進時誤発進抑制機能
・e-Assist:車線逸脱警報機能
・e-Assist:ふらつき警報機能
・e-Assist:先行車発進お知らせ機能
・アクティブスタビリティコントロール
・EDB付ABS
・エマージェンシーストップシグナルシステム
・運転席/助手席SRSエアバッグ
・ヒルスタートアシスト
・ブレーキペダル後退抑制機構
・ハイマウントストップランプ
・電動パワーステアリング機構
・パワードアロック機構
・エンジンスイッチ+キーレスオペレーションシステム
・両側スライドドアイージークローザー
・助手席側ワンタッチ電動スライドドア
・イモビライザー
・165/60R14サイズ タイヤ
・14インチ×4.5J アルミホイール
・セキュリティーアラーム
・足踏み式パーキングブレーキ
・フットレスト
・オートライトコントロール
・全席パワーウィンドウ
・ウォッシャー付き間欠式フロントワイパー
・ウォッシャー付きリヤワイパー
・車速連動オートドアロック
・フロント スタビライザー

など

●「Gスペシャル」グレードの主な装備

「G」グレードの装備に加えて

・助手席側 電動オートステップ
・助手席側ワンタッチ電動スライドドア

が追加されています。

三菱・タウンボックスに搭載されるパワーユニットと動力性能

三菱 タウンボックス 動力性能
三菱・タウンボックスには 種類のパワーユニットが設定されています。

●ターボエンジン

・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3,000rpm

・1リッターあたりのパワー:約96.9ps
・パワーウェイトレシオ:約15.1kg/ps

R06A型エンジンは現在のスズキの軽自動車において主力エンジンとして使われているもので、スズキの軽自動車のすべてに採用されています。
NAエンジンとターボエンジンが用意されていますが、このタウンボックスにはターボエンジンのみの設定となります。

軽自動車の自主規制値である64psのパワーを持っていますので軽自動車としてはパワフルなエンジンといえるでしょう。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

三菱・タウンボックスに採用されているトランスミッション

●オートマチックトランスミッション

タウンボックスはエブリイ・ワゴンのOEM供給モデル、エブリイ・ワゴンは商用モデルのエブリィ・バンの流用モデルということで、基本は商用モデルです。
商用モデルは、日常的に酷使されることが多いので、車の作りも耐久性を考えたつくりになっています。

それはボディとかフレームとかいったところだけではなく、ドライブトレーンにおいても同様でとかく負担がかかりやすいトランスミッションにもその考え方が反映されています。

軽自動車のトランスミッションといえば、今やどの自動車メーカーもベルト式無段変速機のCVTを採用するのが当たり前のようになっていますが、CVTはベルト式ということでとかくトラブルが多く、耐久性が低いとされています。
そのため、酷使されることがわかっている商用モデルでは、CVTを使わずに耐久性が高いプラネタリーギヤを使ったオートマチックトランスミッションを採用することが多く、タウンボックスにおいてもそれが採用されています。

タウンボックスには4速式のオートマチックトランスミッションが採用されています。
CVTのようにベルトの滑りがないので、パワーロスの少ない比較的ダイレクトな走りができますし、長年使い続けていてもオートマチックトランスミッションオイルを定期的に交換していれば早々壊れることもないといったメリットがあります。

※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)

三菱・タウンボックスの走行性能を決める構造

三菱 タウンボックス 構造

三菱・タウンボックスのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

タウンボックスはもともと商用バンモデルですので、フレームの作りなども商用モデルならではものとなります。
軽乗用モデルとなるとここ最近ではジムニーなどといって特別なモデルを除いたすべてのモデルにおいて鉄板を組み合わせて作ったモノコックフレームを使って作られるのが普通となっています。

しかし、モノコックフレームは耐久性や強度が劣り、商用モデルで必要となる耐久性の高いしっかりとしたフレームを作るとなるとかなりの量の鉄板を使用しなければならないため、重量が増し、生産コストも高くなってしまいます。
そこで商用モデルではラダーフレームという今でもトラックなどに使われている強度も耐久性もすこぶる高いフレーム構造を使って作ることが多いのです。

タウンボックスにおいてもそうなのですが、このモデルにおいてはモノコックフレームのシャシーにラダーフレームを埋め込んだ形のビルトインラダーフレームが採用されています。
ラダーフレームだけでなく、モノコックフレームも併用したことで乗り心地や静寂性の向上、そして更なる強度アップに貢献しています。

もちろん走行性能にもサスペンション構造をしっかり支えて、「サスペンションにサスペンションの仕事をさせる」ことができます。

※ボディ剛性の評価:★★★☆☆(3)

三菱・タウンボックスの走りの質を決めるサスペンション構造

タウンボックスにはOEM供給元であるスズキならではの特殊なサスペンション構造が採用されています。

フロントサスペンションは、マクファーソンストラットということでよくあるものなのですが、リヤサスペンションにはI.T.L(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)と呼ばれる構造が使われています。

I.T.Lとは、スズキオリジナルのリジットサスペンションでトレーリングアーム式サスペンションをさらに進化させたようなもので、デフハウジングを日本のトレーリングアームと1本のラテラルロッドで保持するといった構造を持ちます。

リジットサスペンションですので乗り心地やコーナーリング性能にウィークポイントを持ちますが、丈夫で壊れにくく、多少のオフロード走行も対応できるといって懐の深い性質を持ちます。

リヤ駆動ですので構造的に使えませんが、FFの軽自動車でよく使われるトーションビームでなくてよかったと思います。

※サスペンション構造の評価:★★★☆☆(3)

三菱・タウンボックスのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

タウンボックスには必要最低限といえるブレーキシステムが採用されています。

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング式 ドラムブレーキ

乗用モデル、商用モデル問わず、軽自動車では標準的なブレーキシステムとなるものですので、特にこれといっていいところ、悪いところは見つかりません。

ただ、やはり重量が増してくると効き目の弱さとフェードしやすさを感じることから最低限でもブレーキパッドやブレーキシューをグレードアップした方がよさそうです。

※ブレーキシステムの評価:★★☆☆☆(2)

三菱・タウンボックスに搭載されている4WDシステム

タウンボックスには4WDモデルの設定もあります。
この4WDモデルに使われている4WDシステムは、スズキがいうところの「オンデマンド式4WDシステム」というものです。
これは動力を前後に分けるトランスファーとフロントデファレンシャルギヤの間にビスカスカップリングを割り込ませた形にしたもので、前後のタイヤの回転数…すなわちビスカスカップリングを挟んだ前後の回転数の差が大きくなって時だけビスカスカップリングの作用によってビスカスカップリングがほぼ貯血状態になることでフロントタイヤにもトラクションを与えることができます。

4WD状態になるのはその時だけで、通常はビスカスカップリングがほぼフリーの状態になっているため、リヤ駆動状態、2WD状態となります。
構造的に違いはありますが要するに大衆車などによく使われているスタンバイ4WDということです。

スタンバイ4WDは、滑りやすい道や軽い悪路などでスタックしてしまったといったような緊急事態の時のための4WDシステムで、オンロードでの走行性能やオフロード走行性能を高めるようなものではありません。

そういった路面を走ることが多い方には必要かと思いますが、オンロードでの走行性能やオフロード走行性能を狙う方には無意味でしょう。

※4WDシステムの評価:★☆☆☆☆(1)

三菱・タウンボックスの燃費性能

三菱 タウンボックス 燃費

三菱・タウンボックスのカタログ燃費と実燃費

●2WDモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.2km/L
・実燃費:約13km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

●4WDモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大14.6km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

スズキの軽自動車だからといってエネチャージや簡易型ハイブリッドシステムが採用されているわけではなく、エンジン単体と低燃費装備によってだけもたらされている燃費性能であるため、ワゴンRやアルトのようなずば抜けた優れた燃費性能を持ってはいません。

三菱・タウンボックスに採用されている低燃費装備

●全モデル共通

・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構

三菱・タウンボックスのライバルモデル比較

三菱・タウンボックスのライバルとなるのはスバル・ディアスワゴン

タウンボックスはスズキのエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルですので、スズキのライバルであるダイハツから発売されているアトレー・ワゴンのOEM供給モデルであるスバルのディアス・ワゴンをライバルモデルとして設定してみました。

スバルのディアス・ワゴンは1999年にスバルの軽商用モデルであったサンバーのバンモデルを流用した形で作られた軽ワンボックスワゴンで2009年まで発売されていました。
しかし、スバルが軽自動車の生産から撤退したことから2代目となるモデルは同じトヨタグループの企業であるダイハツで作られていたアトレー・ワゴンのOEM供給モデルとして販売だけするようになりました。

幸いにもこのディアス・ワゴンもタウンボックス同様にターボエンジンモデルしかありませんので、そのモデルで比較してみたいと思います。

●三菱・タウンボックスの概要

・カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:R06A型
・比較対象グレード:「G」グレード

●スバル・ディアスワゴンの概要

・カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:KF-DET型
・比較対象グレード:「RSリミテッド スマートアシスト」グレード

三菱・タウンボックスとスバル・ディアスワゴンのパワースペック比較

●三菱・タウンボックス

・最大出力:64ps/6,000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3,000rpm

●スバル・ディアスワゴン
・最大出力:64ps/5,700rpm
・最大トルク:10.5kgf・m/2,800rpm

※パワースペック比較結果

軽自動車ですのでマックスの64psを出せていれば問題はないでしょう。

三菱・タウンボックスとスバル・ディアスワゴンの燃費性能比較

●三菱・タウンボックス(2WD)
・カタログ燃費(JC08モード):最大16.2km/L
・実燃費:約13km/L

●スバル・ディアスワゴン(2WD)
・カタログ燃費(JC08モード):最大15.2km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能比較結果

たいした違いはありませんが、エンジン設計の年代による違いがわずかに数字に出ているようです。

三菱・タウンボックスとスバル・ディアスワゴンの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●三菱・タウンボックス

約171万円~約192万円

●スバル・ディアスワゴン

約156万円~約182万円

※販売価格帯比較結果

どちらもOEM供給モデルで、OEM供給元モデルよりも若干割高になっていますが、良し悪しがはっきりとするような価格差はないようです。

まとめ

三菱 タウンボックス まとめ
全く同じモデルが4台も売られている中で、おおもととなるスズキのエブリイ・ワゴンを差し置いて、あえて三菱のタウンボックスを購入する必要もないかと思いますが、仮にタウンボックスだとしても現在の軽ワンボックスワゴンとして目一杯の作りが与えられているので、それはそれでいいと思います。

スリーダイヤが好きな方はぜひどうぞ、決して悪い車ではありません。

※総合評価:★★★☆☆(3)

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