途中、生産されていない期間がありましたが、2019年10月時点で6代目モデルが発売されています。
昔から小型モデルとして発売されてきているわけですが、現在では三菱で唯一のガソリンエンジン搭載のコンパクトハッチバックモデルとして作られています。
ここではそんな三菱・ミラージュがどういった車なのか、走りの性能をどれだけ持っているのかを検証して行きたいと思います。
※ご注意
ここでは三菱・ミラージュの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
完全エコカーになっても走りを忘れない三菱・ミラージュ
三菱のミラージュは、現在では1.2リッターガソリンエンジンを搭載した低燃費を狙ったコンパクトカーとして発売されています。
しかし、これは実際に運転をして見るとよくわかることなのですが、例えば他メーカーのエコを狙ったコンパクトカーでは、それこそ走行性能など二の次として見ているような、いわば「普通に走るだけの車」としての作りしか与えられていない車とこのミラージュを比べてみると明らかに「つまらないエコカー」で終わってはいないことがわかります。
パワースペックこそそれほどではありませんが、コーナーリング性能や機敏な動きができるといった点は他の自動車メーカーが作る同クラスのモデルとは一線を画します。
これは多分、三菱の車に対する考え方と歴代ミラージュに与えられてきたキャラクターによるものだと思います。
ミラージュは1978年に当時、どの自動車メーカーも積極的に行っていた「FRレイアウトからの脱却」そして「FFレイアウト化」の中の1つの流れとして、初のFFレイアウトモデルとして発売されました。
当時は同時にコンパクトカー…というよりもそれまで国産モデルにはあまり採用されてこなかった「ハッチバック」ボディを使うことが流行り始めた時でもあったため、FFレイアウトのハッチバックモデルを発売したという形になりました。
当初は1.2リッターエンジン、1.4リッターエンジンだけでしたが、後に1.6リッターエンジンモデルが追加されました。
ボディバリエーションは、このモデルを作るきっかけになった3ドアハッチバックモデル、5ドアハッチバックモデルを筆頭にカローラやサニーなどに対抗すべく、4ドアノッチバックセダンも用意され、モデルバリエーションも豊富に用意されていました。
このモデルまではごく普通の大衆モデルだったのですが、1983年に発売された2代目モデルから少しずつ三菱らしさを出すようになってきました。
2代目モデルは、初代モデル同様にハッチバックモデル、セダンモデルを発売しましたが、このモデルからは更にステーションワゴンとライトバンも作られるようになりました。
エンジンは前モデルよりもグレードアップされ1.3リッターエンジン、バルブ休止機構付きの1.5リッターエンジン、1.8リッターディーゼルエンジンが採用されましたが、このモデルでは1.6リッターターボエンジンというパワーのあるエンジンも採用されました。
これはコンパクトカーという車が当初は「経済性だけを狙ったつまらない車」とされていたものが、その優れた経済性から収入の乏しい若年層ドライバーに受け入れられ、コンパクトカークラスの中で車の良し悪し、性能の優劣を競う評価をするようになり、若年層を中心にもてはやされるようになったことから、より若年層ウケを狙ったハイパワーエンジンを搭載したスポーティーなコンパクトカーが作られるようになったのです。
これによって他の自動車メーカーからもマーチターボやマーチR、スターレット、カローラII、ターセル、コルサ、シティなどといった若年層向けのモデル、スポーティーなモデルが続々と発売され、「コンパクトカーブーム(当時はホットハッチなどといた言葉はなかった)」が巻き起こりました。
この状況はミラージュが3代目モデルとなった1987年以降も続き、3代目モデルではミラージュの中で一番過激なモデル、「サイボーグ」が発売されました。
このモデルは当時としてはまだまだ贅沢装備であったDOHCのバルブ構造と更にインタークーラー、三菱製ターボチャージャーを採用した1.6リッターDOHCターボエンジンが搭載されていました。
そのパワーは当時ではまだ珍しかった「リッターあたり100ps」となる160psを発生することができました
これを機にコンパクトカークラスは「ハイパワー競争」に突入していくことになったのですが、皆さんもご存じのように1990年ごろにいわゆる「バブルの崩壊」があったことから日本全体が節約傾向に走り、自動車に関してもパワーよりも燃費、速さよりも経済性を強く求めるようになったことから、これまであったパワフルなコンパクトカーの需要は低迷したのです。
これによって1991年に発売された4代目モデルはランサーの兄弟モデルとして大衆小型モデルといった形で販売されることになりました。
1995年に発売された5代目モデルも4代目を受け継ぐような形で発売されることになったのですが、より優れた経済性を求める傾向やセダンモデル離れなどが影響して、売れ行きが低迷したことから2000年に生産終了となってしまったのです。
そしてその12年後となる2012年、低燃費をねらったエコカーとして、新しいモデルとして発売されたのが6代目モデルとなるA05A系型です。
このモデルは、当初は1リッターNAエンジンを搭載するリッターカーとして発売されていましたが、後に1.2リッターNAエンジンモデルが追加され2モデル展開で販売されていたのですが、軽自動車人気もあって1リッターエンジンモデルの販売台数が伸びなくなったことから1リッターエンジンモデルは廃止され、現在は1.2リッターエンジンモデルだけとなっています。
1.2リッターエンジンといっても低燃費型のNAエンジンですのでパワーはたったの78psと至って低パワーなのですが、三菱の車らしく優れたボディ剛性、強度を持つフレーム、シャシーに低コストコンパクトカーとは思えないほどの剛性の高いサスペンション構造を持つため、走行性能は中々のものを持ちます。
峠のダウンヒルなら格上モデルをカモることができるぐらいで、非常に三菱の車らしいところだと思います。
三菱・ミラージュのこれまでの出来事(2019年10月時点)
●初代モデル A151系型 1978年3月発売
・1978年9月 5ドアハッチバックモデルの追加
・1979年3月 1.6リッターエンジンモデルの追加
・1980年2月 一部改良
・1980年7月 1.6リッターエンジンモデルにガラスサンルーフの採用
・1980年10月 マイナーチェンジ デザインの一部変更
・1980年11月 「UCLAバージョン」の追加
・1982年2月 マイナーチェンジ デザインの一部変更 「ミラージュII」へ改名 4ドアノッチバックセダンモデルの追加 2ドアハッチバックモデルに1.4リッターターボエンジンの採用
・1982年8月 4ドアノッチバックセダンモデル、5ドアハッチバックモデルに1.4リッターターボエンジンの採用
・1982年10月 廉価グレード「1200EXスペシャル」の追加
・1982年12月 「1200ミッシー」「1400スーパーエディション」の追加
●2代目モデル C12W/C34W系型 1983年10月発売
・1984年2月 「エアロボーイ」の追加
・1984年9月 マイナーチェンジ デザインの一部変更 スーパーシフトの廃止
・1984年12月 「GT」グレードの追加
・1985年2月 ステーションワゴンモデル、ライトバンモデルの追加
・1985年7月 グレード構成の変更
・1986年2月 4ドアノッチバックセダン、ハッチバックモデルのマイナーチェンジ デザインの小変更
・1986年5月 1.5リッターエンジンモデルにサイクロンECIマルチエンジンの採用
・1986年8月 ステーションワゴンモデル、ライトバンモデルのマイナーチェンジ デザインの小変更
・1986年9月 フルタイム4WDモデルの追加
・1986年10月 一部改良 「ミラージュ・NOW」へ改名
・1987年10月 3ドアハッチバックモデルのみモデルチェンジ
・1988年1月 4ドアノッチバックセダンモデルのみモデルチェンジ
・1989年10月 ステーションワゴンモデル、ライトバンモデルのマイナーチェンジ デザインの小変更
●3代目モデル C51A/C61A/C72A/C82A系型 1987年10月発売
・1988年1月 4ドアノッチバックセダンモデルのモデルチェンジ
・1988年11月 3ドアハッチバックモデルの一部改良
・1989年2月 マイナーチェンジ デザインの一部変更 「CYBORG」に4WD・オートマチックトランスミッションモデルの設定
・1989年9月 マイナーチェンジ デザインの一部変更 「CYBORG」のターボエンジンが160psにパワーアップ
・1990年10月 一部改良
●4代目モデル CA1A/CB1A/CC3A/CD3A系型 1991年10月発売
・1992年2月 V6エンジン搭載モデル「ミラージュ6」の追加
・1992年10月 一部変更 1.6リッターエンジンにMIVEC搭載175psエンジンの採用
・1993年5月 2ドアクーペモデル「アスティ」の追加 「サイボーグRS」の追加
・1994年1月 マイナーチェンジ デザインの一部変更 「スーパーアスティ」の追加
・1994年10月 一部改良
・
●5代目モデル CJ1A/CK1A系型 年月発売
・1995年12月 「アスティ」のフルモデルチェンジ
・1996年10月 一部改良
・1997年7月 「モダーク」の追加
・1997年8月 マイナーチェンジ デザインの一部変更
●6代目モデル A05A/A03A系型 2012年3月発売
・2013年10月 一部改良 「S」グレードの追加
・2014年8月 一部改良 アクティブスタビリティコントロール、ヒルスタートアシスト、ブレーキアシストの標準装備化
・2014年12月 一部改良 1.2リッターエンジンモデルの追加
・2015年12月 マイナーチェンジ デザインの一部変更 1リッターエンジンモデルの廃止 グレード構成の変更 「e-Assist」の標準装備化
・2018年12月 「BLACK Edition」の追加
・2019年6月 一部改良
三菱・ミラージュが属するカテゴリー
●車格:小型大衆モデル
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:小型ハッチバック
●エンジン排気量クラス:1.2リッタークラス
三菱・ミラージュのオーナー層
●年齢層:18歳ぐらいから70歳ぐらいまで
●性別:特になし
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(新車購入)
●その他:比較的女性オーナーが多い
三菱・ミラージュの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
●トランスミッション
・CVT
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FF
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:トーションビーム(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ
●ベースモデル
・なし
●兄弟車
・なし
三菱・ミラージュのモデル構成とグレード構成
ミラージュは単一モデル構成となっています。
ベースモデル
このモデルには2つのグレードが用意されています。
・M グレード(2WD・4WD)
・G グレード(2WD・4WD)
●「M」グレードの主な装備
・ハロゲンヘッドライト
・フロント エアダム
・サイド エアダム
・ルーフスポイラー
・フロアアンダーカバー
・UVカット フロントウインドシールドガラス
・99%UVカット フロントドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシー テールゲートガラス
・電動格納式リモコン カラードドアミラー
・カラード ドアアウターハンドル
・カラード テールゲートドアハンドル
・LEDリヤコンビランプ
・メッキ フロントグリル
・メッキ フロントアンダーグリル
・カラードフロントバンパー
・カラードリヤバンパー
・ドアサッシュブラックアウト
・シルバー加飾付ウレタンステアリングホイール
・チルトステアリング調整機能
・メッキ加飾付高輝度常時透過照明点灯メーター
・タコメーター
・マルチインフォメーションディスプレイ
・ECOドライブアシスト機能
・エアコンパネルメッキ加飾付・クリーンエアフィルター付フルオートエアコン
・ピアノブラック調インパネセンターパネル
・ブラック&アイボリーファブリック シート生地
・運転席ダイヤル調整式ハイトアジャスター機能
・フロントシート上下調整式ヘッドレスト
・ヘッドレスト付6:4分割可倒式リヤシート
・シルバー インパネアクセント エアコン吹き出し口
・ピアノブラック 照明付シフトレバーパネル
・ピアノブラック調パワーウインドウスイッチパネル
・助手席/後席 格納式アシストグリップ
・カーゴフロアボックス
・運転席インパネアンダートレイ
・コンソールトレイ
・カップホルダー
・防眩ルームミラー
・運転席/助手席サンバイザー
・チケットホルダー付運転席バニティミラー
・ルームランプ
・DC12Vアクセサリーソケット
・グローブボックス
・助手席コンビニエントフック
・フロントドアポケット
・助手席シートバックポケット
・オープントレイ
・メッキインナードアハンドル
・可倒式ルーフアンテナ
・2スピーカー
・e-Assist:低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム
・e-Assist:前進時誤発進抑制機能
・LEDクリアレンズハイマウントストップランプ
・エマージェンシーストップシグナルシステム
・ASC(アクティブスタビリティコントロール)
・ヒルスタートアシスト
・ブレーキアシスト
・EBD付ABS
・コーストストップ機能付オートストップ&ゴー
・減速エネルギー回生システム
・キーレスオペレーションシステム+エンジンスイッチ
・イモビライザー
・ヘッドライトオートカット
・オートライトコントロール
・175/55R15サイズ タイヤ
・15インチ×5Jアルミホイール
・リヤヒーターダクト
・寒冷地対応バッテリー
・運転席セーフティ機構付ワンタッチ式全席パワーウインドウ
・車速感応タイプフロント可変間欠ワイパー
・リバース連動リヤオートワイパー
・センタードアロック
・リヤウインドウデフォッガー
・コンフォートフラッシャー
など
●「G」グレードの主な装備
「M」グレードの装備に加えて
・省電力ディスチャージヘッドライト
・LEDポジションランプ
・ターンランプ付電動格納式リモコン カラードドアミラー
・フェンダーガーニッシュ
・メッキ&ピアノブラックアクセント付本革巻ステアリングホイール
・本革巻セレクターノブ
・ステッチ付ブラックファブリック シート生地
・ステアリングオーディオリモコンスイッチ
が追加されています。
三菱・ミラージュに搭載されるパワーユニットと動力性能
三菱・ミラージュには 1種類のパワーユニットが設定されています。
●2リッターターボエンジン
・エンジン型式:3A92型
・エンジン排気量:1,192cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・特別な機能:MIVEC
◆スペック
・最大出力:78ps/6,000rpm
・最大トルク:10.2kgf・m/4,000rpm
・1リッターあたりのパワー:約65ps
・パワーウェイトレシオ:約11.5kg/ps
このエンジンは、モデル初期から2015年11月まで存在した1リッターエンジンモデルに搭載されていた3A90型エンジンのストロークを14.6mmほど伸ばして1193ccにまでエンジン排気量を増加させたものです。
可変バルブタイミング機構として吸気側のみだけにMIVECが搭載されています。
パワー的にははっきり言って物足りなさを感じます。
ただ、車両重量が900kgとかなり軽いので、動き自体は結構機敏に動けるのですが、加速性能は軽自動車レベルです。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
三菱・ミラージュに採用されているトランスミッション
●CVT
ミラージュに採用されているトランスミッションはCVTのみとなります。
このCVTは「INVECS-III CVT」と呼ばれるもので、基本構造はエクリプス・クロスやRVRなどに搭載されているものと同じもので、日産グループのジャトコ製のものです。
アウトプットシャフトに二段切り替えのギヤ式副変速機が付けられている副変速機CVTと呼ばれるもので、小さい筐体ながらも広い変速幅を持つことができています。
しかしその反面、構造が複雑になるため故障が多く、同じCVTを採用していた日産のモデルも同様にモデルチェンジを機に副変速機のないCVTに変更されることが多くなっています。
トランスミッションとしての性能は、決して褒められるものはなくベルトが滑ることを原因とする様々な症状、加速不良、エンジン回転数の上昇などといったCVTによくあるものがでます。
エンジンにパワーがない分、せめてトランスミッションだけでもパワーを無駄にしないものになっていればもっとしっかりとした走りができると思うのですが…残念です。
※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(0)
三菱・ミラージュの走行性能を決める構造
三菱・ミラージュのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
ミラージュは登録車の中で一番下のクラスに属するモデルで、とかく低コストを求められるため、消費者の目に触れないところ、素人が運転してもわからない部分は、ある意味で手抜きをして安く作ろうとするジャンルの車なのですが、このミラージュは格上モデルをしのぐ以上の頑丈なボディを持ちます。
特にAピラーからリヤハッチに至るまでのいわゆる「キャビン」と呼ばれる部分の剛性は非常に高く、もしもの時の安全性も然りですが、そんなことよりもシャシーもしっかりとしていることからサスペンションがよく動き、チープなサスペンションですが1ランク上のロードホールディングを発揮することができているといってもいいぐらいです。
もちろんサスペンションがよく動くということは乗り心地もよくなるということで、走行性能だけでなく快適性もグレードアップさせています。
フレームを構成している鋼材も分厚くってしっかりとしたものですし、シャシーの構造もあちこちに補強が入れられていることからこのようなコンパクトカーとは思えないほどの優れた剛性を持つ車体を手に入れることができているようです。
ぜひともトヨタやダイハツ、マツダにも見習ってもらいたいものです。
※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)
三菱・ミラージュの走りの質を決めるサスペンション構造
ミラージュのサスペンション構造は
・フロント:マクファーソンストラット
・リヤ:トーションビーム
といった昨今のコンパクトカーによく使われているチープなもので、特にリヤサスペンションは、「最悪のサスペンション構造」といわれているトーションビームになっています。
しかし、これが意外にも良く、そこそこスピードが出ていてもしっかりとタイヤをグリップさせるではありませんか。
フロントは独立懸架のマクファーソンストラットですので構造的には何ら問題なく、ロアアームが付けられるシャシーやストラットの取り付け位置であるストラットタワーもコンパクトカーとは思えないほどの頑丈さがあるため、マクファーソンストラットの性能をフルに発揮することができているといっていいでしょう。
スプリングやショックアブソーバーのセッティングも若干柔らかさを感じますが、なかなかいいと思います。
リヤはあのトーションビームですが、フロントサスペンション同様にビームが固定される部分のシャシーがしっかりしていますし、ビーム自体も剛性が高いのでサスペンションがよく動きますし、スタビライザーとしての機能が自然と高まっていることからコーナーリング中のロールも抑え込まれているようです。
ただやはりトーションビームならではの「直線でのバタつき」傾向は高く、短いホイールベースも手伝って直進安定性はあまり良くありません。
※サスペンション構造の評価:★★☆☆☆(2)
三菱・ミラージュのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
ブレーキシステムもこのクラスならではの・・・
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ
といった最低限のものとなっています。
まあ、パワーもありませんし、車両重量も900kgとかなり軽いのでこれでも意外と十分だったりします。
※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)
三菱・ミラージュの燃費性能
三菱・ミラージュのカタログ燃費と実燃費
●全モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大23.8km/L
・実燃費:約19km/L
※燃費性能の評価:★★★★☆(4)
1.2リッターのNAエンジン搭載でこれくらいの実燃費であれば、かなり満足が行くと思います。
やはり車両重量が軽いのは燃費性能にとってはかなりいいことであるようです。
三菱・ミラージュに採用されている低燃費装備
●全モデル
・可変バルブタイミング機構(MIVEC)
・CVT(INVECS-III CVT)
・電動パワーステアリング機構
・充電制御(減速エネルギー回生システム)
・アイドリングストップ機構(オートストップ&ゴー)
●
三菱・ミラージュのライバルモデル比較
三菱・ミラージュのライバルとなるのはスズキ・スイフト
ミラージュは1.2リッターNAエンジンを搭載する大衆コンパクトカーです。
その条件に合致するのは、スズキのスイフト以外にはありません。
スイフトは、スズキのコンパクトカーであったカルタスの後継モデルとなるもので、2000年に初代モデルが発売され、2019年10月時点では2016年に発売された4代目モデルが現行モデルとなっています。
そのモデルのバリエーションは、1リッターターボエンジンモデル、1.2リッターNAエンジンモデル、1.2リッター簡易型ハイブリッドモデルの3つとなっていますが、ここでは同じクラスのエンジンを搭載する1.2リッターNAエンジンモデル同士で比較してみましょう。
●三菱・ミラージュの概要
・カテゴリー:小型ハッチバックモデル
・車格:小型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.2リッター
・エンジン形式:3A92型
・比較対象グレード:「G」グレード
●スズキ・スイフトの概要
・カテゴリー:小型ハッチバックモデル
・車格:小型大衆モデル
・エンジン排気量:約1.2リッター
・エンジン形式:K12C型
・比較対象グレード:「XL」グレード
三菱・ミラージュとスズキ・スイフトのパワースペック比較
●三菱・ミラージュ
・最大出力:78ps/6,000rpm
・最大トルク:10.2kgf・m/4,000rpm
●スズキ・スイフト
・最大出力:91ps/6,000rpm
・最大トルク:12.0kgf・m/4,400rpm
※パワースペック比較結果
パワーにして13ps、トルクにして1.8kgf・mほどスイフトの方が勝っている形になっていますが、1.2リッター程度の小さなエンジンでこれだけの差というのは意外と大きいもので、実際に乗り比べて見るとスイフトの方がパワフルであることを確実に実感することができます。
やっぱり78psはちょっと非力すぎるのか?
三菱・ミラージュとスズキ・スイフトの燃費性能比較
●三菱・ミラージュ
・カタログ燃費(JC08モード):最大23.8km/L
・実燃費:約19km/L
●スズキ・スイフト
・カタログ燃費(JC08モード):最大24.0km/L
・実燃費:約16km/L
※燃費性能比較結果
似たようなエンジン排気量でもスイフトのエンジンはパワーを絞り出しているようなセッティングになっているためどうしても実燃費が悪くなってしまうようです…といってもたいした違いはありませんので燃費性能は互角とみていいでしょう。
三菱・ミラージュとスズキ・スイフトの販売価格帯比較
ここでは1.2リッターエンジンモデルだけの販売価格で比較してみたいと思います。
●三菱・ミラージュ
約141万円~約152万円
●スズキ・スイフト
約138万円~約195万円
※販売価格帯比較結果
スイフトの高額側の金額はミラージュには存在しない4WDモデルの価格で、その分だけどうしても割高に感じてしまいますが、FFモデルだけを見ても一番高いのが約179万円とミラージュより25万円ぐらい高くなってしまています。
このクラスの車は価格も重視されるためそういった面ではミラージュの方がメリットがあるということになります。
まとめ
ボディ剛性が意外と高く、足まわりもこのクラスのモデルにしてはなかなか良い…走行性能だけをみれば結構褒めるところがあるのですが、いかんせん78psという軽自動車レベルのパワーとトランスミッションがCVTだけというのはいただけません。
まあ三菱もこの車にそういったものを求めていないと思いますので仕方がないのかもしれませんが、なまじっか走りがいいのでそれ以上を期待してしまいたくなってしまうのです。
※総合評価:★★☆☆☆(2)