三菱 eKワゴン 軽自動車
一時期、業績の悪化から大得意としていた軽自動車の開発する資金すらもままならなかった三菱自動車、だからといって軽自動車の販売をやめるわけにはいかないためいろいろと考えた結果、出した答えがNMKVでした。
このeKワゴンもそのNMKVで作られたモデルです。
ここでは、NMKVのこともあわせてeKワゴンがどんな車なのか、自動車としての性能はどうなのかというところを検証していきたいと思います。

※ご注意
ここでは三菱・eKワゴンの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

現在の三菱・eKワゴンは純粋な三菱製ではない

三菱 eKワゴン 分類
三菱のeKワゴンは2001年に三菱で初となる軽トールワゴンとして発売されたモデルです。
当時は、三菱による開発、三菱による設計、大部分に三菱製の部品を使い、三菱の生産ラインで作られ、三菱のディーラーで販売されるという完全なる三菱の車でした。

このモデルには基本モデルのeKワゴンの他にスポーティードレスアップモデル(スポーツモデルではない)であるeKスポーツ、どちらかといえば女性向けとして作られたクラシカルなドレスアップがされたeKクラッシィ、今でいうところの「なんちゃってクロスオーバーSUV」のeKアクティブなどといったモデルも用意され、幅広いユーザー層を持っていました。

この状況は、派生モデルの数は少なくなったものの2006年に発売された2代目モデルまで続きます。
この時代のモデルでは、軽トールワゴンで初となるスライドドアを左リヤドアに採用したモデルを選ぶことができ、それまでの若年層や高齢者の需要に加えて、子育て中のママさんにも高い人気を持つようになりました。

しかし、このモデルの晩年あたりになると軽自動車界においても「低燃費ブーム」となり「燃費性能が優れた車が良い車」という概念が広まったことで、スズキやダイハツから続々といわゆるエコカーとなる軽自動車が発売されるようになりました。
ここで三菱もその流れに乗る形で低燃費だけを売りにした軽自動車を作ればよかったのですが、そもそも三菱という自動車メーカーは「低燃費」などよりも動力性能、走行性能を重視した車を作ることが好きな企業だったため、そういったことには目もくれずそれまでとおりeKシリーズを販売し続けたわけです。
残念ながらそれが世の中には受け入れられずに、スズキやダイハツの軽自動車ばかりが売れて、三菱の軽自動車、eKシリーズの販売台数が激減してしまったのです。

このモデルは軽自動車としては比較的長めの約7年という期間、作り続けられたのですがモデルチェンジサイクルが遅れた理由のひとつがその販売台数の激減であって、それに三菱自動車全体の業績悪化が加わったことでなかなか新しいモデルを作ることができないということもあったのです。

だからといってずっと同じモデルを売り続けることもできませんし、稼ぎ頭の軽乗用モデルを売るのをやめるわけにはいかなかったので、三菱はいろいろな面でつながりを持っていた日産に話を持ちかけたのです。

一方、日産も軽自動車に対する将来性を持っていて、いつかは軽自動車の自社生産をしたいと思っていたところに三菱から軽自動車に関する話が入ってきたことで一大決心をしました。

それが日産と三菱の共同で軽自動車を開発設計する会社の設立でした。
三菱は、開発資金はありませんが、軽自動車を作る技術と生産ライン、部品があります。
日産には開発資金は豊富にありますが、軽自動車を作る技術や知識、具体的な部品や生産ラインを持ちません。

この2つの企業が力を合わせる形で軽自動車を作れば、お互いの良いところを活かせますし、お互いに不足している部分も補い合うことができますので、ウィンウィンの関係を持つことができるわけです。
これが合弁企業のNMKVです。

NMKVの設立によって三菱としては新しいeKワゴンを作ることが可能になりました。
eKシリーズとしては3代目モデルとなるわけですが、この3代目モデルは2代目モデルまでのような三菱オリジナルの軽自動車ではなくなりました。

この辺りを誤解している方が非常に多く、3代目eKシリーズも三菱自動車の完全オリジナルモデルであって、そのOEM供給モデルが日産のデイズであると思われてしまっていますが、実は違います。

先ほども言いましたとおり、3代目モデルは三菱自動車とは別企業体となるNMKVで開発設計がされています。
NMKVで開発設計が行われているということはこのモデルをつくった張本人はNMKVであって、三菱自動車ではないのです。

ただ、NMKVは開発設計だけをする企業で実際の生産は三菱自動車で作られた軽自動車用の部品を使って、軽自動車用の生産ラインを使って作られているため、見た目的には三菱自動車の部品だらけということになります。
実はこれが勘違いされる大きな原因で、浅はかで知識のない人間が部品のあちこちにスリーダイヤのマークが入っているところを見て「この車は三菱自動車の車である」と間違った解釈をしてしまったのです。

実際には3代目モデルはNMKVが作った車とされ、それを三菱と日産がOEM供給を受けて販売しているだけのことなのです。

現時点で三菱自動車は日産の子会社となってしまい、それまでの関係とは違うものとなってしまいましたが、NMKVは継続して運営されており、2019年に発売された4代目eKワゴンもNMKVで開発設計が行われたものを三菱がOEM供給を受ける形となっています。

4代目モデルでは、2019年10月時点、3代目モデルにまであったスポーティードレスアップモデルのeKカスタムやeKスポーツなどは作られていませんが、そのかわりに派生モデルとしてクロスオーバーSUVのeKクロスというモデルが作られています。

三菱・eKワゴンのこれまでの出来事(2019年10月時点)

●初代モデル H81W型 2001年10月発売

・2002年5月 「ブラックインテリアエディション」の追加
・2002年9月 スポーティードレスアップモデル「eKスポーツ」の追加
・2003年1月 「ブルースタイルエディション」の追加
・2003年2月 「eKスポーツ」に「RS」グレードの追加
・2003年5月 「M20 サンクスエディション」「M20G サンクスエディション」の追加
・2003年5月 クラシカルドレスアップモデル「eKクラッシィ」の追加
・2003年8月 一部改良 eKワゴンに「G」グレードの追加 eKスポーツ「Z」「RS」グレードの廃止 「サウンドビートエディション」シリーズの追加
・2003年8月 eKクラッシィベースの「阪神タイガースエディション」の追加
・2003年11月 eKスポーツベースの「阪神タイガースエディション」の追加
・2004年1月 「Bloom Edition」の追加
・2004年5月 一部改良 eKスポーツに「プレミアムエディション」「レカロエディション」の追加
・2004年5月 クロスオーバーSUVモデル「eKアクティブ」の追加
・2004年12月 一部改良 eKスポーツとeKアクティブに「リミテッドエディション」の追加
・2005年10月 「eK倉敷」の追加
・2005年12月 一部改良 「eKクラッシィ」の生産終了
・2006年9月 「eKアクティブ」の生産終了

●2代目モデル H82W型 2006年9月発売

・2006年12月 「Marble Edition」の追加
・2007年6月 「Sound Beat Edition」の追加
・2007年9月 eKスポーツにスライドドアモデルの追加
・2007年12月 「Bloom Edition」の追加
・2008年8月 一部改良 デザインの小変更
・2009年8月 一部改良 eKワゴンに「Limited」の追加
・2010年1月 eKワゴンに「Joy Field」の追加
・2010年8月 一部改良
・2010年12月 eKワゴンに「Navi Collection」の追加
・2011年11月 仕様変更 グレード構成の変更
・2012年7月 一部改良
・2013年2月 ドレスアップモデル「ロアコンプリート」の生産終了

●3代目モデル B11W型 2013年6月発売

・2014年6月 一部改良 「アシストバッテリー」の採用
・2014年12月 「e-Assist」シリーズの追加
・2015年10月 マイナーチェンジ デザインの小変更 グレード構成の変更
・2017年1月 一部改良
・2017年10月 一部改良 「M PLUS Edition」「M e-Assist PLUS Edition」の追加
・2017年12月 eKカスタムに「ACTIVE GEAR」の追加
・2018年5月 一部改良

●4代目モデル B33W/B36W系型 2019年3月発売

三菱・eKワゴンが属するカテゴリー

●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:ハッチバック
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス

三菱・eKワゴンのオーナー層

●年齢層:特になし
●性別:特になし
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)

三菱・eKワゴンの車体の構成・選択肢

●パワーユニット
・ガソリンエンジン

●トランスミッション

・CVT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FF
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム(コイルスプリング) 4WD=リンク式コイルリジット(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ソリッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル

・なし

●兄弟車(2019年7月時点)

・あり…eKクロス、日産・デイズ

三菱・eKワゴンのモデル構成とグレード構成

三菱 eKワゴン 構成
eKワゴンは単一モデル構成となります。

ベースモデル

このモデルには2つのグレードが用意されています。

・M グレード(2WD・4WD)
・G グレード(2WD・4WD)

●「M」グレードの主な装備

・ハロゲンヘッドライト
・LEDストップランプ付リヤコンビネーションランプ
・テールゲートガーニッシュ
・電動格納式カラードヒーテッドドアミラー
・LEDハイマウントストップランプ
・バータイプ アウタードアハンドル
・UVカット フロントウインドシールドガラス)
・UVカット フロントドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシー リヤウインドウガラス
・UVカット&プライバシー リヤドアガラス
・UVカット&プライバシー リヤウインドウガラス
・ドアサッシュブラックアウト
・リヤデフォッガー
・リヤワイパー&ウォッシャー
・ルーフアンテナ
・カラー液晶マルチインフォメーションディスプレイ
・ウレタン ステアリングホイール
・ステアリングスイッチ
・コンビメーター
・チルトステアリング調整機能
・運転席カードホルダー付バニティミラー
・ラゲッジアンダーボックス
・ラゲッジフロアボード
・運転席側アンダートレイ
・センター&助手席側アッパーオープントレイ
・センタートレイ
・センターロアボックス
・助手席側アッパーグローブボックス
・助手席側ロアグローブボックス
・コンビニエントフック
・ドリンクホルダー
・ボトルホルダー
・車検証入れ
・DC12Vアクセサリーソケット
・マップランプ
・ラゲッジルームランプ
・6スピーカー
・TVアンテナ
・GPSアンテナ
・ピアノブラック 7インチ用ナビパネル
・ファブリック シート生地
・フロントシート(スライド機構付ベンチシートタイプ フロントシート
・運転席ハイトアジャスター
・フロントシート センターアームレスト
・フロントシートシートヒーター
・フロントシート 高さ調節機能付ヘッドレスト
・スライド機構・分割可倒・フォールド・リクライニング機構付 リヤシート
・リヤシート 高さ調節機能付ヘッドレスト
・イモビライザー
・e-Assist:衝突被害軽減ブレーキシステム
・e-Assist:踏み間違い衝突防止アシスト
・e-Assist:車線逸脱警報システム
・e-Assist:車線逸脱防止支援機能
・e-Assist:オートマチックハイビーム
・オートライトコントロール
・ソナー
・運転席&助手席SRSエアバッグ
・SRSサイドエアバッグ
・SRSカーテンエアバッグ
・エマージェンシーストップシグナルシステム
・アクティブスタビリティコントロール
・フロントスタビライザー
・ヒルスタートアシスト
・ブレーキアシスト
・EBD付ABS
・チャイルドプロテクション
・キーレスエントリーシステム
・マニュアルエアコン
・155/65R14サイズ タイヤ
・14インチ×4.5J スチールホイール
・樹脂製フルホイールキャップ
・グリップコントロール
・センタードアロック
・リヤヒーターダクト
・オートストップ&ゴー(AS&G)
・寒冷地仕様
・減速エネルギー回生システム
・ヘッドライトオートカット
・コンフォートフラッシャー
・全席パワーウインドウ
・車速感応フロント可変間欠ワイパー&ウォッシャー
・リバース連動機能付リヤ間欠ワイパー&ウォッシャー

など

●「G」グレードの主な装備

「M」グレードの装備に加えて

・IRカット/99%UVカット フロントドアガラス
・助手席 下側シートバックポケット
・助手席 シートアンダートレイ
・リヤシート スライドレバー
・キーレスオペレーションシステム&エンジンスイッチ
・タッチパネル式フルオートエアコン

が追加されています。

三菱・eKワゴンに搭載されるパワーユニットと動力性能

三菱 eKワゴン 性能
三菱・eKワゴンには1種類のパワーユニットが設定されています。

●NAエンジン

・エンジン型式:BR06型
・エンジン排気量:659cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:52ps/6,400rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/3,600rpm

・1リッターあたりのパワー:約78ps
・パワーウェイトレシオ:約15.2kg/ps

このエンジンは、ルノー日産が開発したBR08型エンジンのエンジン排気量を660ccにダウンさせる形で、NMKVが開発設計を行い、三菱で作ったエンジンです。
事実上、3代目モデルに使われていた3B20型エンジンの後継エンジンとなります。

4代目モデルではターボエンジンを搭載したモデルがないため、このNAエンジンを搭載したモデルだけとなります。
パワースペック的には52psと昨今のNAエンジンを搭載する軽自動車の標準的なものとなっていますが、やっぱり52psではまともな走りをすることはできません。

せいぜい街乗り用、買い物用といった程度でしょうか。
高速道路、アップダウンの激しい道路には向きません。

※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)

三菱・eKワゴンに採用されているトランスミッション

●CVT

eKワゴンではすべてのモデルに新しく開発したCVTが搭載されています。

このCVTは前モデルで採用されていた副変速機付CVTではなく、副変速機のない普通のCVTにされています。
副変速機付のCVTは変速幅を広くとることができる、プーリーを小さくすることができることからCVT自体のサイズも小さくすることができるといったメリットがあるのですが、その反面で構造が複雑になるため、そうでなくても故障が多いCVTなのにさらに故障しやすくなってしまいます。

実際にも前モデルのeKワゴンではCVTの故障に悩みました。
今回のモデルではその反省も含めてごく普通の電子制御・油圧稼働のCVTにしたというわけです。

性能的にもごく普通です。
加速や負担がかかる時はベルトが滑りますし、アクセルペダルを緩めるとすぐに変速比を高くしてエンジン回転数を落とされてしまうという非常に運転のしにくいものとなっています。
当然ながら走行性能を高める要素は1つもありません。

※トランスミッションの評価:★☆☆☆☆(1)

三菱・eKワゴンの走行性能を決める構造

三菱・eKワゴンのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

このモデルにはCMF-Aプラットフォームと呼ばれるものが採用されています。

これはルノー日産がアジア向けコンパクトカーに採用するために作ったもので、それを流用した形になります。

コンパクトカー用のプラットフォームといっても耐久性が求められるアジア向けモデルですので、強度や剛性は非常に高く、軽自動車の車体とは思えないほど強固なものとなっています。

サスペンションもよく動きますし、乗り心地に対しても良い影響を与えています。

※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)

三菱・eKワゴンの走りの質を決めるサスペンション構造

eKワゴンのサスペンション構造は前モデルと違って…

・フロント:マクファーソンストラット
・リヤ:FFモデル=トーションビーム 4WDモデ=トルクアーム式3リンクリジットサスペンション

となっています。
フロントサスペンションのマクファーソンストラットは前モデルと同じですし、実績もあるのでいいとは思いますが、今回のモデルで変更になったリヤサスペンションはちょっと問題有りです。

FFモデルと4WDモデルで違う構造のものが与えられているのですが、4WDモデルのトルクアーム式3リンクリジットサスペンションは前モデルの全モデルと同じものです。
いわゆる「コイルリジット」と呼ばれるもので、前後方向の保持をトレーリングアームで行い、左右の保持をトルクアームと称するラテラルロッドで行う、ごく普通のリジットサスペンションです。
性能的には可もなく不可もなしですが、サスペンション構造の剛性が高く、更にオフロードでのトラクション性能の向上に一役買っています。

一方、FFモデルに新たに採用されたトーションビームはいただけません。
コーナーリングではで全く踏ん張りませんし、直線ではどういうわけか常にバタついてしまい直進安定性も悪い、もちろん乗り心地もリヤ周りを中心に跳ねるような感じになってしまいます。

これはeKワゴンのサスペンションセッティングが悪いというわけではなく、トーションビームを採用した如何なる車でも見られる傾向ですので、トーションビームというサスペンション構造がいけないのです。

FFモデルもトルクアーム式3リンクリジットサスペンションの方がよかったのではないかと思います。

※サスペンション構造の評価:2WD=★☆☆☆☆(1) 4WD=★★☆☆☆(2)

三菱・eKワゴンのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

eKワゴンのブレーキシステムはいかにも軽自動車らしいものとなっています。

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク
・リヤ:リーディングトレーリング式ドラムブレーキ

軽自動車でも最近はフロントブレーキに放熱性の高いベンチレーテッドディスクを使ったディスクブレーキが採用されることが多い中で、このeKワゴンでは標準でソリッドディスクとなっています。

ただ、メーカーオプションとして用意されている「先進快適パッケージ」を同時購入するとMI-PILOTや電動パーキングブレーキと共にフロントブレーキにベンチレーテッドディスクローターが付けられます。

パワーがないのでソリッドディスクでも十分なのかもしれませんが、汎用性を考えるのであればやはりベンチレーテッドディスクが標準装備で欲しかったところです。

※ブレーキシステムの評価:★☆☆☆☆(1)

三菱・eKワゴンに搭載されている4WDシステム

このモデルには全グレードに4WDモデルの設定があります。
この4WDモデルに採用されている4WDシステムは、FFベースのスタンバイ4WD、いわゆる「生活四駆」と呼ばれる類のものです。

フロントタイヤとリヤタイヤとで回転差が激しくなった時、要するにメインの駆動輪となるフロントタイヤが空転した時だけトランスファーに組み込まれたビスカスカップリングが圧着してリヤタイヤにも動力を与えるといった簡素な4WDシステムです。

FFモデルよりはスタックした時などに頼りになりますが、この4WDシステムがついているからといってオフロード走行性能や滑りやすい路面での走りがよくなるわけではありません。

※4WDシステムの評価:★☆☆☆☆(1)

三菱・eKワゴンの燃費性能

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三菱・eKワゴンのカタログ燃費と実燃費

●2WDモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大21.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大18.6km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大22.3km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大21.7km/L

・実燃費:約20km/L

※燃費性能の評価:★★★★☆(4)

●4WDモデル
・カタログ燃費(WLTCモード):最大18.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大15.6km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大19.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大18.8km/L

・実燃費:約17km/L

※燃費性能の評価:★★★★☆(4)

軽自動車においてこれだけの実燃費なら文句のつけようはありません。

三菱・eKワゴンに採用されている低燃費装備

●全モデル

・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御
・アイドリングストップ機構

三菱・eKワゴンのライバルモデル比較

三菱・eKワゴンのライバルとなるのはホンダ・N-WGN

いろいろな自動車メーカーから軽トールワゴンが発売されていますが、ここではホンダのN-WGNと比較してみましょう。

ホンダのN-WGNはホンダの軽自動車シリーズである「Nシリーズ」の第3弾モデルとして、軽スーパーハイトワゴンのN-BOX、軽ハッチバックセダンのN-ONEに続いて軽トールワゴンの役目を担って発売されました。

2013年に初代モデルが発売され、2019年10月時点では2019年7月に発売された2代目モデルが現行モデルとなっています。

●三菱・eKワゴンの概要
・カテゴリー:軽トールワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:BR06型
・比較対象グレード:「G」グレード

●ホンダ・N-WGNの概要
・カテゴリー:軽トールワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:S07B型
・比較対象グレード:「L」グレード

三菱・eKワゴンとホンダ・N-WGNのパワースペック比較

●三菱・eKワゴン

・最大出力:52ps/6,400rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/3,600rpm

●ホンダ・N-WGN
・最大出力:58ps/7,300rpm
・最大トルク:6.6kgf・m/4,800rpm

※パワースペック比較結果

同じ660ccのNAエンジン搭載モデルなのですが、ホンダのエンジンの方が6ps、0.5kgf・mほどスペックが上回っています。
そして更に7300rpmで最大出力を発生させるという高回転型エンジンとなっているのも特徴的です。

もともとホンダの軽自動車用のエンジンは、昔からNAでもかなりパワーがあり、そのパワーを高回転で絞り出すといった傾向が強いのですが、このエンジンもそういった傾向が非常によく出ているものといえます。

NAでここまでパワーがあればひょっとしたらターボエンジンモデルはいらないかもしれません。

三菱・eKワゴンとホンダ・N-WGNの燃費性能比較

●三菱・eKワゴン(2WDモデル)

・カタログ燃費(WLTCモード):最大21.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大18.6km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大22.3km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大21.7km/L

・実燃費:約20km/L

●ホンダ・N-WGN(2WDモデル)

・カタログ燃費(WLTCモード):最大23.2km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大20.1km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大25.1km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大23.6km/L

・実燃費:約22km/L

※燃費性能比較結果

パワーがあるエンジンはとかく燃費性能が悪くなるものですが、N-WGNのエンジンは燃費性能もeKワゴンよりよくなっているようです。

やはりエンジンを作らせたらホンダが一番です。

三菱・eKワゴンとホンダ・N-WGNの販売価格帯比較

●三菱・eKワゴン

約132万円~約154万円

●ホンダ・N-WGN(NAエンジン・標準モデルのみ)

約130万円~約150万円

※販売価格帯比較結果

販売価格帯にそれほど大きな違いはありませんが、逆にいえばパワーがあって燃費性能も良いN-WGNが、eKワゴンと同じぐらいの価格帯というのはN-WGNの方がお得感があるということになりそうです。

まとめ

三菱 eKワゴン まとめ
NMKVの開発設計になってから2代目モデルとなりましたが、前モデルと同様に思い切った作りを避けた無難路線になってしまっている気がします。
エンジンパワーもそこそこですし、ターボエンジンの設定もない、サスペンション構造も現実的にはグレードダウンといった感じで、現在のモデルになってグレードアップしたのは「e-Assist」という先進安全装備の進化と「MI-PILOT」と呼ばれる高速道路同一車線運転支援技術が採用といった、現在の流行や風潮にあわせたものだけです。

純粋な三菱の車ではなくなったものの、それでも三菱から販売しているのですから軽自動車だからといって気を抜かずに三菱らしい過激なモデルも用意してもらいたかったと思います。

※総合評価:★★☆☆☆(2)

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