2019年11月現在、全ての軽自動車をスズキに頼っているマツダ、その中で一度もマツダオリジナルモデルとして作ったことがないモデルに軽ワンボックスワゴンがあります。
軽ワンボックスワゴンは現在「スクラム・ワゴン」として発売されていますが、当然ながらスズキからOEM供給を受ける形で発売されています。

ここではスクラム・ワゴンがどういう車なのか、軽ワンボックスワゴンとしてどれくらいの性能を持っているのかを検証してみたいと思います。

※ご注意
ここではマツダ・スクラム・ワゴンの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

マツダ・スクラム・ワゴンはスズキ・エブリイ・ワゴンのOEM供給モデル

古くは自社生産の軽自動車を販売していたマツダ、そのマツダが今まで一度もマツダオリジナルモデルとして販売したことがないのが軽ワンボックスカーと呼ばれる類のモデルです。
軽商用モデルは作ったことがあるのですが、それらは軽トラックであったり、軽ライトバンであったりとワンボックス形状ではありませんでした。

マツダがはじめて軽ワンボックスカーを発売したのは1989年のこと、当初より自社生産をあきらめてスズキからOEM供給を受ける形で軽商用ワンボックスバンモデル、軽トラックモデルとして「スクラム」シリーズを販売したのが始まりです。

このスクラムシリーズは、スズキの軽商用ワンボックスバンシリーズである「エブリイ」と同社の軽トラックシリーズの「キャリイ」のOEM供給モデルで、軽ワンボックスバンの「スクラム・バン」はエブリイの2代目モデルのOEM供給モデル、軽トラックの「スクラム・トラック」はキャリイの8代目モデルのOEM供給モデルとなっていました。

発売以降は、全ての動向をスズキのエブリイシリーズ、キャリイシリーズに同調する形となり、若干の遅れはあったもののモデルチェンジもマイナーチェンジも仕様変更などもほぼ同時期に行われていた中で、スクラム・バンが3代目モデルになろうとした時、スズキでいうところのエブリイ・バンが4代目モデルになろうとした時のモデルチェンジの際に、軽自動車関連の法律が変わったこともあってワゴンモデルが発売されたのです。

それがスクラム・ワゴンです。
当然ですがこのモデルはスズキのエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルであってマツダオリジナルモデルではありませんし、発売以降の動向もエブリイ・ワゴンと同じものとなります。

2019年11月現在での現行モデルは3代目モデルとなり、OEM供給元のスズキでも3代目エブリイ・ワゴンとなっています。

マツダ・スクラム・ワゴンとスズキ・エブリイ・ワゴンの違い

スクラム・ワゴンはエブリイ・ワゴンのバッジエンジニアリングで作られたモデルですので、車体の基本的な構造は全く同じです。

ただ、販売面に関わる部分に若干の違いが持たされており、エブリイ・ワゴンでは標準ルーフとハイルーフが選択できるのに対して、スクラム・ワゴンはハイルーフモデルだけとなっています。
それからグレード構成、こちらもほぼ同じなのですが一部のグレード名が改名されています。

エブリイ・ワゴンでは・・・

・「JPターボ」グレード:廉価グレード
・「PZターボ」グレード:標準グレード
・「PZターボスペシャル」グレード:最上級グレード

となっていますがスクラム・ワゴンでは・・・

・「PXターボ」グレード:廉価グレード
・「PZターボ」グレード:標準グレード
・「PZターボスペシャル」グレード:最上級グレード

と最廉価グレードのグレード名が変更されています。

マツダ・スクラム・ワゴンにはたくさんの兄弟モデルがある

マツダのスクラム・ワゴンはスズキのエブリイ・ワゴンのOEM供給モデルであるわけですが、ここ最近いろいろな自動車メーカーで、マツダのように軽自動車の自社生産をやめて軽自動車のすべて、あるいは一部をOEM供給でまかなおうとするようになってきました。

そうなると結局は軽自動車をメインとしているスズキとダイハツに頼るような形となり、同じモデルをいろいろな自動車メーカーでOEM供給モデルとして販売することになってしまうのです。

スクラム・ワゴンのOEM供給元モデルであるスズキのエブリイ・ワゴンもこのスクラム・ワゴン以外に、日産のNV100クリッパーリオ、三菱のタウンボックスといった、スズキがまだトヨタグループの一員になる前に仲が良かった日産系自動車メーカーにOEM供給されていました。
その結果、スズキのエブリイ・ワゴンは最近でも珍しい4兄弟モデルとなったのです。

マツダ・スクラム・ワゴンのこれまでの出来事(2019年11月現在)

●初代モデル DG52系型 1999年12月発売

※エブリイ・ワゴンのOEM供給モデル時代

・2000年5月 一部改良 デザインの小変更 ターボチャージャー周りの仕様変更
・2001年9月 一部改良 K6A型エンジンの採用 デザインの小変更

●2代目モデル DG64系型 2005年9月発売

※エブリイ・ワゴンのOEM供給モデル時代

・2007年7月 一部改良
・2010年5月 一部改良 デザインの小変更 NAエンジンモデルの廃止
・2014年10月 仕様変更 ボディカラーの変更

●3代目モデル DG17系型 2015年3月発売

※エブリイ・ワゴンのOEM供給モデル時代

・2019年7月 一部改良 先進安全装備の改良 ロールーフモデルの廃止

マツダ・スクラム・ワゴンが属するカテゴリー

●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車、業務用
●車両カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス

マツダ・スクラム・ワゴンのオーナー層

●年齢層:30歳ぐらいから80歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:大衆層(新車購入)低収入層(中古車購入)
●その他:商用目的として使われることも多い

マツダ・スクラム・ワゴンの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン

●トランスミッション

・4速オートマチックトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FR
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:コイルリジット(コイルスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル

・あり・・・スズキ・エブリィ・ワゴン

●兄弟車
・あり・・・スズキ・エブリィ・ワゴン、日産・NV100クリッパーリオ、三菱・タウンボックス

マツダ・スクラム・ワゴンのモデル構成とグレード構成

このモデルは単一モデル構成となっています。

標準モデル

このモデルには3つのグレードが用意されています。

・PXターボ グレード(2WD・4WD)
・PZターボ グレード(2WD・4WD)
・PZターボスペシャル グレード(2WD・4WD)

●「PXターボ」グレードの主な装備

・頭部衝撃軽減構造インテリア
・頸部衝撃緩和フロントシート
・運転席/助手席SRSエアバッグシステム
・ブレーキペダル後退抑制機構
・上下可動式ヘッドレスト
・エマージェンシーストップシグナル
・ブレーキアシスト
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・デュアルセンサーブレーキサポート
・前進時 誤発進抑制機能
・後退時ブレーキサポート
・後退時 誤発進抑制機能
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・ハイビームアシスト機能
・リアパーキングセンサー
・ヒルホールドコントロール
・LEDハイマウントストップランプ
・間欠式&ミスト付フロントワイパー
・リアワイパー&ウォッシャー
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・UVカット機能付熱線吸収グリーン フロントガラス
・UVカット機能付熱線吸収グリーン フロントドアガラス
・UVカット機能付ダークティンテッド リアドアガラス
・UVカット機能付ダークティンテッド リアクォーターガラス
・UVカット機能付ダークティンテッド バックドアガラス
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ
・オートライトシステム
・ロック機構/運転席オート&挟み込み防止機構付パワーウインドウ
・ボディ同色 サイドアンダーミラー付電動格納リモコン式カラードドアミラー(2WDモデルのみ)
・ボディ同色 ヒーテッド機能/サイドアンダーミラー付電動格納リモコン式カラードドアミラー(4WDモデルのみ)
・サイドアンダースポイラー
・センターピラーブラックアウト
・メッキ フロントフードガーニッシュ
・両側スライドドアイージークロージャー
・フロント マッドフラップ
・常時照明式自発光式メーター
・タコメーター
・ウレタン ステアリングホイール
・フロント/リヤ 残照式3ポジションルームランプ
・運転席/助手席 サンバイザー
・インパネ/ラゲッジサイド・助手席側 アクセサリーソケット
・バックドア インサイドグリップ
・フットレスト
・フューエルリッドオープナー
・メッキ メーターリング
・シルバー エアコンサイドルーバーリング
・シルバー オーディオガーニッシュ
・シルバー センターガーニッシュ
・マルチインフォメーションディスプレイ
・エコドライブアシスト照明
・エアコンパネル内外気温度計
・チルトステアリング調整機構
・シフトポジションインジケーター
・運転席 バニティミラー
・助手席/後席両側 アシストグリップ
・乗降グリップ
・乗降ステップ
・シルバー フロント インサイドドアハンドル
・ベージュ リア インサイドドアハンドル
・ブラウン ドアトリムクロス
・運転席側/助手席側インパネドリンクホルダー
・オーバーヘッドコンソール
・インパネセンターミドルトレイ
・インパネセンターアンダーボックス
・フロント ドアポケット
・フロントドア/リアドア ボトルホルダー
・ラゲッジサイドポケット
・助手席 インパネトレイ
・ショッピングフック
・グローブボックス
・運転席 インパネアッパーポケット
・カードケース
・助手席 シートバックポケット
・ユーティリティナット
・運転席側 ラゲッジサイドアッパーポケット
・スライド&リクライニング機構/センターアームレスト付ベンチタイプ フロントシート
・助手席前倒し機構
・左右独立スライド&リクライニング機構/センターアームレスト/分割可倒式 リアシート
・ブラウン ファブリックシート生地
・運転席シートヒーター(4WDモデルのみ)
・エアフィルター付フルオートエアコン
・リアヒーター
・オーディオレス
・2スピーカー
・可倒式ルーフアンテナ
・フットパーキングブレーキ
・電動パワーステアリング機構
・フロント スタビライザー
・155/70R13 75Sサイズ タイヤ
・13インチ×4.50B スチールホイール
・樹脂製フルホイールキャップ
・セキュリティアラームシステム
・車速連動式オートドアロック
・バックドア連動 パワードアロック
・アドバンストキーレスエントリー&キーレスプッシュボタンスタートシステム
・イモビライザー

など

●「PZターボ」グレードの主な装備

「PXターボ」グレードの装備に加えて・・・

・ディスチャージヘッドランプ
・マルチリフレクターフロントフォグランプ風タウンランプ
・ルーフエンドスポイラー
・メッキ フロントグリル
・メッキ フォグランプベゼル
・左側 ワンアクション電動スライドドア
・ステアリング オーディオリモートコントロールスイッチ
・助手席 バニティミラー
・ベージュ ドアトリムクロス
・ベージュ ファブリックシート生地
・6スピーカー
・165/60R14 75Hサイズ タイヤ
・14インチ×4.5J アルミホイール

が追加されています。

●「PZターボスペシャル」グレードの主な装備

「PZターボ」グレードの装備に加えて・・・

・LEDサイドターンランプ付オート格納機能
・ボディ同色 LEDサイドターンランプ/サイドアンダーミラー/オート格納機能付電動格納リモコン式カラードドアミラー(2WDモデルのみ)
・ボディ同色 ヒーテッド機能/LEDサイドターンランプ/サイドアンダーミラー/オート格納機能付電動格納リモコン式カラードドアミラー(4WDモデルのみ)
・両側 ワンアクション電動スライドドア
・左側 電動オートステップ

が追加されています。

マツダ・スクラム・ワゴンに搭載されるパワーユニットと動力性能

マツダ・スクラム・ワゴンには1種類のパワーユニットが設定されています。

●ターボエンジン

・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3000rpm

・1リッターあたりのパワー:約96.9ps
・パワーウェイトレシオ:約15.7kg/ps

このエンジンはスクラム・ワゴンの全モデルに採用されているものです。

車体同様、スズキ製のエンジンで、スズキの軽自動車における主力エンジンとなるもので、スズキの軽自動車やそのOEM供給モデルのすべてに採用されています。

パワーとしては軽自動車の自主規制値である64psまでだしていますのでパワフルなエンジンというしかないでしょう。

ただ、やはりフル定員で荷物も満載となるとかなり苦しい走りを強いられ、高速道路でも快適に走れるのは90km/h程度ぐらいまででしょう。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・スクラム・ワゴンに採用されているトランスミッション

●4速オートマチックトランスミッション

スクラム・ワゴン(エブリイ・ワゴン)では全モデルにおいてこの4速オートマチックトランスミッションが採用されています。

軽自動車のトランスミッションというと昨今ではベルト式無段変速機のCVTを使うのが当たり前のようになっていますが、このモデルはもともとは商用バンで「重たい荷物を積んで走ること」「年間何万キロも走ること」「頻繁なゴーストップを繰り返すこと」といった自動車において過酷な環境下で使われることを想定して作られているモデルですので、故障が非常に多く、耐久性も低い、ベルトが滑ってなかなか前に出ていかないようなCVTでは役に立たないのです。

そこで耐久性も強度も実績もある通常のトルクコンバーター式オートマチックトランスミッションを採用したというわけです。

※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・スクラム・ワゴンの走行性能を決める構造

マツダ・スクラム・ワゴンのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

スクラム・ワゴン(エブリイ・ワゴン)は商用バンベースのワゴンモデルですので、その車体は商用バンのものになっています。

プラットフォームは、このモデル専用のもので、他のスズキの軽自動車に使われているような純粋な門コックフレームを使ったものではありません。
商用モデルとして強度、剛性、耐久性を高めるためにモノコックボディのフロア下にラダーフレームを収めるような形になっているビルトインラダーフレームを持ちます。

モノコックフレームの乗り心地の良さとラダーフレームの強靭さを兼ね備えた形にされたこのシャシーはまさに商用モデルらしいものといえます。

走行性能に与える影響はほとんどありませんが、耐久性が高いので長い期間乗りまわしてもガタが出にくいというメリットがあります。

※ボディ剛性の評価:★★★☆☆(3)

マツダ・スクラム・ワゴンの走りの質を決めるサスペンション構造

スクラム・ワゴン(エブリイ・ワゴン)にはスズキならでは特別なサスペンション構造が採用されています。

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:I.T.L(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)

フロントサスペンションは今やいろいろなモデルに使われているフロントサスペンションとしては定番のマクファーソンストラットとなります。
一方、リヤサスペンションにはI.T.L(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)という、あまり聞きなれない名所のサスペンション構造が用いられています。

これはスズキが独自に開発したコイルリジットサスペンションで、太いトレーリングアームを用いたトレーリングサスペンションです。
このモデルは今や貴重な存在となったFRレイアウトを持つモデルでリヤタイヤがメインの駆動輪となるわけですが、リヤ駆動であれば(4WDも同じ)デファレンシャルギヤがリヤアクスルにあるわけで、そのデファレンシャルギヤを内蔵したホーシングを前方向から太い2本のトレーリングアームで支え、更にケーシングの後ろ側にあるラテラルロッドで補強するといった形を持ちます。

この構造はサスペンション構造自体にかなりの強度を持たせることができ、商用モデルに適しています。

性能的には若干乗り心地が悪くなりますが、FFモデルでよく使われているトーションビームよりは全てにおいて優れていると思います。

※サスペンション構造の評価:★★★☆☆(3)

マツダ・スクラム・ワゴンのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

軽自動車といってもスクラム・ワゴンは、商用モデルベースの派生モデルですし、ワゴンとしても荷物をたくさん積んで走ることが想定されていることから、ブレーキシステムはそこそこいいものが使われています。

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング式 ドラムブレーキ

さすがに前後ドラムブレーキというモデルはありませんが、そこまでいかなくても低価格を目指したモデルですとフロントブレーキにソリッドディスクを用いたディスクブレーキを採用することがある中で、ベンチレーテッドディスクを用いたのはやはり重量が増える可能性が高いからでしょう。

性能としてはまずまずの効き目ですが、ベンチレーテッドディスクを使っていてももともとのブレーキ容量の低さと車体の重量が重たくなりがちなことからブレーキに負担のかかる走りをするとフェード気味となってしまい、とたんにブレーキの効き目が弱くなってしまいます。

※ブレーキシステムの評価:★★☆☆☆(2)

マツダ・スクラム・ワゴンに搭載されている4WDシステム

軽商用モデルの4WDというと昔はトランスファー式、今は電磁クラッチ式のパートタイム4WDシステムを使うのが定番となっていました。
現にスクラム・ワゴンのOEM供給元モデルのエブリイ・ワゴン、その更にベースモデルとなるエブリイ・バンの一部のグレードを除いては電磁クラッチ式のパートタイム4WDシステムが採用されています。

しかしこのスクラム・ワゴンでは、他の軽乗用車と同じようなスタンバイ4WDが採用されています。
スズキやマツダのいうところの「フルタイム4WD」ですが厳密にいえばフルタイムではなく、リヤタイヤが空転した時だけ自動的にフロントタイヤにも動力が伝わるようになるスタンバイ4WDシステムです。

フロントタイヤへの動力の伝達方法はビスカスカップリングによるもので、ビスカスカップリングの作用によってもたらさせるものですので、前後トルク配分を調整することはできません。

スタンバイ4WDはあくまでも生活圏内にありそうなスリッピーな路面を脱出するためのものですからこれが採用されているからといってオンロードでの走行性能が高まるわけでもありませんし、オフロードでの走破性が劇的によくなるわけでもありません。

※4WDシステムの評価:★☆☆☆☆(1)

マツダ・スクラム・ワゴンの燃費性能

マツダ・スクラム・ワゴンのカタログ燃費と実燃費

●2WDモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.2km/L
・実燃費:約13km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

●4WDモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大14.6km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能の評価:★★☆☆☆(2)

マツダ・スクラム・ワゴンに採用されている低燃費装備

●全モデル共通

・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構

マツダ・スクラム・ワゴンのライバルモデル比較

マツダ・スクラム・ワゴンのライバルとなるのはスバル・ディアスワゴン

このスクラム・ワゴンのライバルとなる車は、OEM供給元モデルとなるスズキのエブリイ・ワゴンのライバルモデルのダイハツ・アトレー・ワゴンというのが妥当かと思います。
しかし、アトレー・ワゴンにもOEM供給モデルがありますので、ここはOEM供給モデル同士の比較ということでスバルのディアス・ワゴンをライバルモデルとしたいと思います。

スバルのディアス・ワゴンはもともとはスバルの軽商用バンであった「サンバー」のワゴンモデルとして作られていたものでしたが、スバルが軽自動車の自社生産を取りやめたことから同族の自動車メーカーであるダイハツで作られていたアトレー・ワゴンのOEM供給を受けて販売することになりました。

●マツダ・スクラム・ワゴンの概要

・カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:R06A型
・比較対象グレード:「PZターボスペシャル」グレード

●スバル・ディアスワゴンの概要

・カテゴリー:軽ワンボックスワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・エンジン形式:KF-DET型
・比較対象グレード:「RSリミテッド スマートアシスト」グレード

マツダ・スクラム・ワゴンとスバル・ディアスワゴンのパワースペック比較

●マツダ・スクラム・ワゴン

・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:9.7kgf・m/3000rpm

●スバル・ディアスワゴン

・最大出力:64ps/5700rpm
・最大トルク:9.3kgf・m/2800rpm

※パワースペック比較結果

どちらも64psまで出ているので両社引き分けとしましょう。

マツダ・スクラム・ワゴンとスバル・ディアスワゴンの燃費性能比較

●マツダ・スクラム・ワゴン

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.2km/L
・実燃費:約13km/L

●スバル・ディアスワゴン(2WD)

・カタログ燃費(JC08モード):最大15.2km/L
・実燃費:約11km/L

※燃費性能比較結果

これは前々から言われていたことなのですがダイハツのKF型エンジンで優れた燃費性能を発揮させるのは至難の業であるようです。
それにディアス・ワゴンは全てにおいて設計が古すぎます。

マツダ・スクラム・ワゴンとスバル・ディアスワゴンの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●マツダ・スクラム・ワゴン

約152万円~約187万円

●スバル・ディアスワゴン

約160万円~約185万円

※販売価格帯比較結果

どちらも同じような金額ですが、設計の古さを踏まえるとディアス・ワゴンは少々高すぎるでしょう。

まとめ

スクラム・ワゴンはスズキのエブリイ・ワゴンそのものですのでこのモデルの評価はすなわちエブリイ・ワゴンの評価ということになりますが、さすがスズキの軽自動車です、どこにも抜け目はありません。
軽ワンボックスワゴンとしては優れたモデルといっていいかと思います。
買って損はしないでしょう。

ただ、あえてマツダのスクラム・ワゴンを買う必要はないでしょう。

※総合評価:★★★★☆(4)

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