日本国内ではとんと人気のないスポーツモデルですが、マツダはあえてそのスポーツモデルをオープンモデルのライトウェイトスポーツとして発売しています。
それがこのマツダのロードスターです。
ここではロードスターがどういう車か、そしてスポーツモデルとしてどれくらいの性能を持っているのかを検証してみたいと思います。
※ご注意
ここではマツダ・ロードスターの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
特別な国産車唯一のオープンライトウェイトスポーツモデル、マツダ・ロードスター
現在の日本の自動車界の中で一番需要が少なく、衰退の一途をたどっているのが「スポーツモデル」「スポーツカー」などと呼ばれるカテゴリーの車です。
こうなった理由として・・・
・「エコブームだから」
・「若者が車に興味を示さなくなったから」
などと表向きは言われていますが、実際の国内の自動車界では・・・
・「トヨタがハイブリッドカーを売るために低燃費を強く押し出し過ぎたから」
・「スポーツモデルや高性能エンジンを作ることが苦手なトヨタが、それらを作ることを避けたかったため」
・「儲けを多くするために若年層が変えるような手ごろなスポーツモデルを作らなくなったため」
などといった国内の自動車のシェアのほとんどとなるトヨタの販売戦略や自動車メーカー側の「大人の事情」によるものである、とするのが裏の自動車界では通例となっています。
しかし、そういった中でもこのマツダ・ロードスターは、バブル景気に沸く1989年以来、4代にわたりずっと発売され続けています。
ロードスターもスポーツモデルの中の1台ですから、こういった状況下では生産を続けることもそう容易ではないはず・・・なのにどうして生産を続けることができているのでしょうか、それだけの人気を得ることができているのでしょうか。
実は、これにもちゃんとした理由があるのです。
マツダ・ロードスターの生産が続けられている理由~小排気量・NAエンジンだから
マツダ・ロードスターは初代モデルから見てもだいたい1.6リッターから最大で2リッターというエンジン排気量を持つ比較的小さなエンジンを採用し、更にターボチャージャーやスーパーチャージャーなどといった過給器が一切付けられていない自然吸気エンジン、いわゆる「NA(ナチュラル・アスピレーション)エンジン」が搭載されています。
実はこのことが「似非エコブーム」によって引き起こされた自動車界における「低燃費ブーム」に適応させることができたことから少ないながらもそれなりの需要を得ることができたのです。
エンジンというものはそのエンジンが持つ排気量にあわせて燃料噴射量を決めるようになっており、エンジン排気量が小さければ小さいほど、1回に噴射する燃料の量が少なくて済みます。
要するにエンジン排気量が小さい方が燃費性能がいいということです。
スポーツモデルというとどうしても強大なエンジンパワーが必要となり、それによってエンジン排気量を大きくしがちとなり、どうしてもたくさんの燃料が必要になってしまうのですが、マツダ・ロードスターではパワーを狙わず1.6リッターから2リッターという少ないエンジン排気量を持つエンジンを採用していたために「燃費性能が良い車(正しくは『比較的』ですが・・・)」ということが言えるわけです。
これは「NAエンジンである」ということにも言えることで、シリンダー内にシリンダー容量以上の空気を無理やり押し込むターボチャージャーエンジンやスーパーチャージャーエンジンでは燃料もそれに比例して多くの量が必要となり燃費性能が悪くなりますが、マツダ・ロードスターでは全てのモデルに過給器のないNAエンジンを搭載しているので、その部分でも「燃費の良さ」を前面に押し出して販売することができるのです。
マツダ・ロードスターの生産が続けられている理由~ハンドリング重視としたこと
これは前項で触れた部分にも関係することなのですが、マツダ・ロードスターは初代モデルからずっと「ハンドリング重視のスポーツモデル」「コーナーリングマシン」といった形で作られ、売られてきています。
実はこれらの言葉は、非力なエンジンしか搭載しないマツダ・ロードスターにとって非常に都合の良い言葉であって、スポーツモデルであれば大排気量のエンジンや過給器付きエンジンなどといった大パワーを発生させるパワーユニットが必要になることをバッサリと切り捨てることができるのです。
要するに・・・
「ハンドリングを楽しむスポーツモデルに大パワーはいらない」
「大パワーは持て余してしまう」
「その大パワーを有効に使うテクニックを持っているのか?」
「コーナーリング重視のスポーツモデルに大パワーは邪魔」
などといってパワーの無い部分を「マイナス要素」としてではなく「プラス要素」として扱うことができるというわけです。
いわゆる「恥を恥と感じない」昨今の風潮と同じで「妥協」を「妥協」と見ない、実はもっとパワーが欲しいと思っているのに、こういった「コーナーリングマシン」「ハンドリング重視」と言うことでパワーの無い車でも立派なスポーツモデルとして扱うことができるというわけです。
スポーツモデルにおいてパワーがなくてもいいのであれば、エンジン排気量を大きくする必要はありませんし、ターボチャージャーなどをつける必要もないことから車両価格を安く設定することができ、若年層や経済的に厳しい方でも自動車ローンを使えさえすれば購入することができ、その分だけ需要を確保することができます。
マツダ・ロードスターの生産が続けられている理由~オープンモデルだから
マツダ・ロードスターは、その名称が表すように「ロードスター」と呼ばれるオープンボディを持つスポーツモデルです。
「ロードスターボディ」とは、オープンの状態を基本形とし、雨が降ってきた時や寒い時などに一時的にソフトトップを閉じてクローズとするという使い方をするものです。
残念ですが日本ではロードスターボディに限らずいわゆる「オープンカー」と呼ばれる類のモデルはあまり需要がありません。
なぜなら日本には四季があり、その季節ごとに気温が全く違いますし、更に雨や雪が多いという気候風土を持つからで、オープン状態にすることが最大のメリットであるオープンカーを有効に使うことができないからです。
そのため、これまでにもオープンカーとして発売されたモデルはごくわずかであって、2019年11月現在でも明確にオープンカーと呼べるのはわずか数台しかありません。
となると普通であれば販売台数は低迷し、すぐに生産終了になるわけですが、マツダ・ロードスターにとってはじつはそれが好都合だったわけです。
要するに「希少な国産オープンモデル」というキャッチフレーズを使うことができるということです。
そして更にそもそもマツダ・ロードスターは大衆的なモデルではなく、ごく一部の特別な趣向性を持つ人間にだけ買われる車として作られているモデルですので、ロードスタータイプのボディを持つということ自体が特別な趣向性を生み出すことができているわけです。
逆にこのモデルが普通のクローズドボディを持つモデルであったとしたらきっとマツダ・ロードスターは過去のモデルとなっていたことでしょう。
マツダ・ロードスターのこれまでの出来事(2019年11月現在)
●初代モデル NA系型 1989年9月発売
※「ユーノス・ロードスター」時代
・1990年3月 オートマチックトランスミッションモデルの追加
・1990年8月 「Vスペシャル」の追加
・1991年7月 「J LIMITED」の追加
・1991年8月 「Vスペシャル」モデルにブラックのボディカラーを追加
・1991年12月 「M2 1001」の追加
・1992年8月 一部改良 安全装備の追加
・1992年9月 「Sスペシャル」の追加
・1992年11月 「M2 1002」の追加
・1992年12月 「S LIMITED」の追加
・1993年7月 マイナーチェンジ 1.8リッターDOHCエンジンモデルの採用 「VスペシャルタイプII」の追加
・1993年11月 「TOKYO LIMITED」の追加
・1993年12月 「J LIMITED II」の追加
・1994年2月 「M2 1028」の追加
・1994年7月 「RS LIMITED」の追加
・1994年12月 「G LIMITED」の追加
・1995年2月 「R LIMITED」の追加
・1995年8月 マイナーチェンジ 軽量フライホイールの採用
・1995年12月 「VR LIMITED コンビネーションA / B」の追加
・1996年12月 「R2 LIMITED」の追加 「B2 LIMITED」の追加
・1997年8月 「SR LIMITED」の追加
●2代目モデル NB系型 1998年1月発売
※「マツダ・ロードスター」時代
・1999年1月 「10周年記念車」の追加
・2000年1月 「NR リミテッド」の追加
・2000年7月 マイナーチェンジ ベースモデルの廃止
・2000年12月 「YS リミテッド」の追加
・2001年2月 「ウェブチューンドロードスター」の追加
・2001年5月 「マツダスピード ロードスター」の追加
・2001年12月 「NR-A」グレードの追加 「MVリミテッド」の追加
・2002年7月 マイナーチェンジ
・2002年12月 「SGリミテッド」の追加
・2003年9月 マイナーチェンジ
・2003年10月 「ロードスター クーペ」モデルの追加
・2003年12月 「ロードスターターボ」モデルの追加
●3代目モデル NC系型 2005年8月発売
※「マツダ・ロードスター」時代
・2005年8月 「3rd Generation Limited」の追加
・2005年12月 「日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞記念車」の追加
・2006年3月 「NR-A」グレードの追加
・2006年4月 「ウェブチューンドロードスター」の追加
・2006年8月 パワーリトラクタブルハードトップ仕様の追加
・2006年12月 「Blaze Edition」の追加
・2007年4月 「マツダスピードM'z Tune」の追加
・2007年10月 「Prestige Edition」の追加
・2008年12月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2009年7月 「20周年記念車」の追加
・2011年10月 「BLACK TUNED」の追加
・2012年7月 マイナーチェンジ デザインの小変更 保安基準に適合させるための改良
・2013年6月 一部改良
・2013年12月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・2014年5月 「25周年記念車」の追加
●4代目モデル ND系型 2015年5月発売
※「マツダ・ロードスター」時代
・2015年9月 「NR-A」グレードの追加
・2015年10月 「RS」グレードの追加
・2017年1月 ボディカラー「クラシックレッド」の追加
・2017年11月 マイナーチェンジ デザインの小変更 「RED TOP」の追加
・2018年6月 マイナーチェンジ デザインの小変更 「Caramel Top」の追加 安全装備の追加
・2019年3月 「ロードスター30周年記念車」の追加
マツダ・ロードスターが属するカテゴリー
●車格:小型スポーツモデル
●用途・目的:スポーツ走行用 競技車両
●車両カテゴリー:小型オープンモデル(ロードスター)
●エンジン排気量クラス:1.5リッタークラス
マツダ・ロードスターのオーナー層
●年齢層:20歳ぐらいから50歳ぐらいまで
●性別:男性
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、 低収入層(中古車購入)
●その他:スポーツモデルとしてよりも注目を浴びたい方や「デートカー」として好まれる
マツダ・ロードスターの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン
●トランスミッション
・6速マニュアルトランスミッション
・6速オートマチックトランスミッション
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FR
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:マルチリンク(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:ソリッドディスク ディスクブレーキ
●ベースモデル
・なし
●兄弟車
・あり・・・フィアット・124スパイダー、アバルト・124スパイダー
マツダ・ロードスターのモデル構成とグレード構成
マツダ・ロードスターには用途によって2つのモデルが用意されています。
ベースモデル
このモデルには4つのグレードが用意されています。
・S グレード(2WD)
・Sスペシャルパッケージ グレード(2WD)
・Sレザーパッケージ グレード(2WD)
・RS グレード(2WD)
●「S」グレードの主な装備
・シート一体式ヘッドレスト
・頸部衝撃緩和シート
・衝撃吸収ステアリングシステム
・後退抑制ブレーキペダル
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・ブレーキアシスト
・エマージェンシー・シグナル・システム
・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
・リアパーキングセンサー
・ハイ・ビーム・コントロールシステム
・ブラインド・スポット・モニタリング
・車線逸脱警報システム
・ヒル・ローンチ・アシスト
・ハイマウントストップランプ
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・UVカット フロントガラス
・UVカット フロントドアガラス
・パワーウインドウ
・LEDヘッドランプ
・LEDポジションランプ
・LEDリアコンビネーションランプ
・ピアノブラック 手動可倒式電動リモコン式ドアミラー
・オートライトシステム
・ピアノブラック フロントピラー
・ボディ同色 アウタードアハンドル
・ボディ同色 ハイマウントストップランプカバー
・ガラス製リアウインドー付クロス ソフトトップ
・パネルライトコントローラー
・ルームランプ
・トランクルームランプ
・運転席フットレスト
・脱着式エアロボード
・キー付リアコンソールボックス
・リッド付リアストレージボックス・
・インテリジェント・ドライブ・マスター
・セグメント液晶オーディオディスプレイ
・垂直指針タコメーター
・マルチインフォメーションディスプレイ
・本革巻シフトノブ
・本革巻パーキングブレーキレバー
・サテンクロームメッキ シフトノブブーツリング
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・サテンクロームメッキベゼル付き本革巻ステアリングホイール
・オーディオリモートコントロール ステアリングスイッチ
・脱着式カップホルダー
・ボディ同色 ドアアッパートリム
・合成皮革 ドアトリム
・樹脂 インパネデコレーションパネル
・樹脂 センターコンソールボックス
・バニティミラー+チケットホルダー付フロントヘッダー内蔵サンバイザー
・サテンクロームメッキ インナードアハンドル
・ブラック エアコンルーバーベゼル
・ピアノブラック シートバックガーニッシュ
・ブラック ファブリック シート生地
・運転席チルト機構
・マニュアルエアコン
・4スピーカー
・外部接続ハブ
・デュアルピニオン式電動パワーステアリング
・アルミ製パワー・プラント・フレーム
・大径電子スロットル
・アルミ製フロントサスペンションアーム
・アルミ製ボンネットフード
・アルミ製トランクリッド
・アルミ製フロントフェンダーパネル
・トンネルメンバー
・鍛造クランクシャフト
・軽量フライホイール
・フロント スタビライザー
・195/50R16 84Vサイズ タイヤ
・16インチ×6.5J ブラックメタリック塗装アルミホイール
・イモビライザー
・イルミネーテッドエントリーシステム
・パワードアロック
・サテンクロームメッキリング付プッシュボタンスタートシステム
・電波式キーレスエントリーシステム
など
●「Sスペシャルパッケージ」グレードの主な装備
「S」グレードの装備に加えて・・・
・サイド SRSエアバッグシステム
・前進時 AT誤発進抑制制御(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・後退時 AT誤発進抑制制御(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・自動防眩ルームミラー
・リア タイヤディフレクター
・バックランプベゼル
・シフトポジションインジケーター(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・7インチWVGAセンターディスプレイ&コマンダーコントロール
・本革巻セレクターノブ(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・シフトステアリングスイッチ(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・フルオートエアコン
・6スピーカー
・自車位置演算ユニット
・Bluetooth機能
・i-ELOOP(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・i-stop(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・ドライブセレクション(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・トルクセンシング式スーパーLSD(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・軽量フライホイール(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・リア スタビライザー(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・トンネルブレースバー(マニュアルトランスミッションモデルのみ)
・ボンネットインシュレーター
・アドバンストキーレスエントリーシステム
が追加されています。
●「Sレザーパッケージ」グレードの主な装備
「Sスペシャルパッケージ」グレードの装備に加えて・・・
・クルーズコントロール
・ドライバー・アテンション・アラート
・交通標識認識システム
・アダプティブ・LED・ヘッドライト
・インシュレーター付ガラス製リアウインドー付クロス ソフトトップ
・TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
・本革巻セレクターノブ(オートマチックトランスミッションモデルのみ)
・合成皮革 インパネデコレーションパネル
・合成皮革 センターコンソールボックス
・表皮巻タイプ バニティミラー+チケットホルダー付フロントヘッダー内蔵サンバイザー
・ブラック 本革 シート生地
・シートヒーター
・CD/DVDプレーヤー+フルセグ地上デジタルTVチューナー
・ボーズサウンドシステム
・9スピーカー
が追加されています。
●「RS」グレードの主な装備
「S」グレードの装備に加えて・・・
・サイド SRSエアバッグシステム
・クルーズコントロール
・ドライバー・アテンション・アラート
・交通標識認識システム
・アダプティブ・LED・ヘッドライト
・自動防眩ルームミラー
・リア タイヤディフレクター
・バックランプベゼル
・7インチWVGAセンターディスプレイ&コマンダーコントロール
・TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
・表皮巻タイプ バニティミラー+チケットホルダー付フロントヘッダー内蔵サンバイザー
・サテンクロームメッキ エアコンルーバーベゼル
・ブラック アルカンターラ/ナッパレザー シート生地
・RECARO社製シート
・シートヒーター
・フルオートエアコン
・CD/DVDプレーヤー+フルセグ地上デジタルTVチューナー
・ボーズサウンドシステム
・9スピーカー
・自車位置演算ユニット
・Bluetooth機能
・ハンズフリーマイク
・トルクセンシング式スーパーLSD
・リア スタビライザー
・ビルシュタイン社製ショックアブソーバー
・インダクションサウンドエンハンサー
・トンネルブレースバー
・ボンネットインシュレーター
・フロントサスタワーバー
・アドバンストキーレスエントリーシステム
が追加されています。
モータースポーツ向けモデル
このモデルは単一グレードとなります。
・NR-A グレード(2WD)
●「NR-A」グレードの主な装備
・シート一体式ヘッドレスト
・頸部衝撃緩和シート
・衝撃吸収ステアリングシステム
・後退抑制ブレーキペダル
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・ブレーキアシスト
・エマージェンシー・シグナル・システム
・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
・リアパーキングセンサー
・ハイ・ビーム・コントロールシステム
・ブラインド・スポット・モニタリング
・車線逸脱警報システム
・ヒル・ローンチ・アシスト
・ハイマウントストップランプ
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・UVカット フロントガラス
・UVカット フロントドアガラス
・パワーウインドウ
・LEDヘッドランプ
・LEDポジションランプ
・LEDリアコンビネーションランプ
・ピアノブラック 手動可倒式電動リモコン式ドアミラー
・オートライトシステム
・ピアノブラック フロントピラー
・ボディ同色 アウタードアハンドル
・ブラック ハイマウントストップランプカバー
・リア タイヤディフレクター
・ガラス製リアウインドー付クロス ソフトトップ
・パネルライトコントローラー
・ルームランプ
・トランクルームランプ
・運転席フットレスト
・脱着式エアロボード
・キー付リアコンソールボックス
・リッド付リアストレージボックス・
・インテリジェント・ドライブ・マスター
・セグメント液晶オーディオディスプレイ
・垂直指針タコメーター
・マルチインフォメーションディスプレイ
・本革巻シフトノブ
・本革巻パーキングブレーキレバー
・シルバー シフトノブブーツリング
・チルト&テレスコピックステアリング調整機構
・サテンクロームメッキベゼル付き本革巻ステアリングホイール
・オーディオリモートコントロール ステアリングスイッチ
・脱着式カップホルダー
・ボディ同色 ドアアッパートリム
・合成皮革 ドアトリム
・樹脂 インパネデコレーションパネル
・樹脂 センターコンソールボックス
・バニティミラー+チケットホルダー付フロントヘッダー内蔵サンバイザー
・シルバー インナードアハンドル
・ブラック エアコンルーバーベゼル
・ブラック シートバックガーニッシュ
・ブラック ファブリック シート生地
・運転席チルト機構
・マニュアルエアコン
・4スピーカー
・外部接続ハブ
・トルクセンシング式スーパーLSD
・デュアルピニオン式電動パワーステアリング
・アルミ製パワー・プラント・フレーム
・大径電子スロットル
・アルミ製フロントサスペンションアーム
・アルミ製ボンネットフード
・アルミ製トランクリッド
・アルミ製フロントフェンダーパネル
・トンネルメンバー
・鍛造クランクシャフト
・軽量フライホイール
・フロント スタビライザー
・リア スタビライザー
・車高調整機能付ビルシュタイン社製ショックアブソーバー
・トンネルブレースバー
・フロントサスタワーバー
・195/50R16 84Vサイズ タイヤ
・16インチ×6.5J ブラックメタリック塗装アルミホイール
・イモビライザー
・イルミネーテッドエントリーシステム
・パワードアロック
・ブラックリング付プッシュボタンスタートシステム
・電波式キーレスエントリーシステム
など
マツダ・ロードスターに搭載されるパワーユニットと動力性能
マツダ・ロードスターには2種類のパワーユニットが設定されています。
●1.5リッターガソリンエンジン(標準仕様)
・エンジン型式:P5-VP(RS)型
・エンジン排気量:1496cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:可変バルブタイミング機構によるミラーサイクル制御
◆スペック
・最大出力:132ps/7000rpm
・最大トルク:15.5kgf・m/4500rpm
・1リッターあたりのパワー:約88ps
・パワーウェイトレシオ:約7.72kg/ps
このパワーユニットはこのモデルで基本となるエンジンです。
基本的にはMAZDA2(デミオ)に搭載されているP5-VPS型と全く同じものですが、鍛造クランクシャフトや大径スロットルボディ、軽量フライホイールの採用などによって高回転・ハイパワー化されています。
それによってP5-VPS型と比べてパワーで22ps、トルクで1.1kgf・mほど動力性能がアップしています。
ボディが軽量であるためパワーウェイトレシオで見れば約7.72kg/psと中々いい数字をたたき出していますが、やはりスポーツモデルのエンジンとして1.5リッターNAエンジンはパワー不足で、気持ちの良いコーナーリングをするにはいいのかもしれませんが、コーナーリングスピードやコーナーからの立ち上がり、直線での絶対的なスピード、加速力は大衆コンパクトカーレベルのものとなります。
はっきり言って、決して速いエンジンではなく、大衆車のハイブリッドモデルに道を譲ることになるでしょう。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
●1.5リッターガソリンエンジン(低燃費仕様)
・エンジン型式:P5-VP(RS)型
・エンジン排気量:1496cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:筒内直接噴射
・特別な機能:可変バルブタイミング機構によるミラーサイクル制御 i-ELOOP
◆スペック
・最大出力:132ps/7000rpm
・最大トルク:15.5kgf・m/4500rpm
・1リッターあたりのパワー:約88ps
・パワーウェイトレシオ:約7.95kg/ps
このパワーユニットは標準仕様の1.5リッターNAエンジンに回生エネルギー回収システムのi-ELOOPを追加したもので、若干構造が違うことから型式番号的には違うものとされます。
ただ、違いはi-ELOOP関連の構造だけとなりますので、パワースペックは標準仕様のエンジンと全く同じです。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
マツダ・ロードスターに採用されているトランスミッション
●6速マニュアルトランスミッション
マツダ・ロードスターにおいて標準となるトランスミッションが、「SKYACTIV-MT」と呼ばれているこの6速マニュアルトランスミッションです。
このトランスミッションは、MAZDA2(デミオ)やMAZDA3(アクセラ)、MAZDA6(アテンザ)、CX-3、CX-30、CX-5などに搭載されているマニュアルトランスミッションと基本的な設計は同じで、これらのモデル用としてエンジン横置きのFFレイアウト用に作られているものを、ロードスター用にエンジン縦置きのFRレイアウトにあわせた作りに作り替えられているだけです。
マニュアルトランスミッションとしての性能がごく普通ですが、シフトレバーのストロークは短くされ、タッチもグニャグニャ感が少なく操作性は快適です。
※トランスミッションの評価:★★★★☆(4)
●6速オートマチックトランスミッション
マツダ・ロードスターではAT限定免許取得者のために「Sスペシャルパッケージ」グレードと「Sレザーパッケージ」グレードにのみオートマチックトランスミッションの設定をしています。
このオートマチックトランスミッションは「SKYACTIV-DRIVE」と呼ばれているもので、MAZDA2(デミオ)やMAZDA3(アクセラ)、MAZDA6(アテンザ)、CX-3、CX-30、CX-5、CX-8などに採用されているものと同じ設計のもので、マニュアルトランスミッション同様にFFレイアウト用のものをFRレイアウト用に作り替えただけのものです。
こちらもマニュアルトランスミッション同様にごく普通のもので取り立てて目立った部分はありません。
※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)
マツダ・ロードスターの走行性能を決める構造
マツダ・ロードスターのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
マツダ・ロードスターは、マツダが作る乗用モデルの中で唯一FRレイアウトモデルということになっていますが、基本となるプラットフォームは、MAZDA2(デミオ)やMAZDA6(アテンザ)、CX-3、CX-30、CX-5、CX-8などに採用されている「SKYACTIVシャシー」技術によって作られたマツダの共通プラットフォームをベースとするもので基本的な設計は同じです。
そのプラットフォームはFFレイアウト用ですので、それをFRレイアウトにした形で作られたのがこのモデルのシャシーとなります。
もともとこの時代の共通プラットフォームで用いられているシャシーは意外と剛性が高く、ちょっとした補強さえすれば、大衆モデルであれば十分な剛性、強度を保つことができるものです。
しかし、このロードスターはパワーはなくても一応、スポーツモデルとされているモデルですのでそれに見合った補強がされています。
特にエンジンとトランスミッションが一体化した部分とリヤにあるデファレンシャルギヤケースを繋ぐパワー・プラント・フレームの効果は絶大です。
パワー・プラント・フレームとはこのロードスター以外にも既に生産終了となっているRX-7やRX-8などにも採用されていたもので、トランスミッションケースとデファレンシャルギヤケースをアルミ製の太い鉄骨のようなもので繋ぐことで、アクセルペダルのオンオフで起こるエンジン+トランスミッションとデファレンシャルギヤの捻じれを防ぐことができ、アクセルペダルの動きに忠実な挙動を得ることができるようになります。
無論それだけではなく、オープンボディにされたことで著しく低下したボディ剛性の補強材としての機能もあります。
このモデルが作られた時代のマツダは、まだトヨタに侵されていなかった時代で、多少生産コストが高くなってもボディ剛性のしっかりとした車を作ろうという考え方を持っていました。
その考えがあったことからこういった部分にもしっかりと対策を取り、それがボディ剛性、シャシー強度、耐久性に繋がっているわけです。
多分、今後のマツダではできないと思います。
※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)
マツダ・ロードスターの走りの質を決めるサスペンション構造
共通プラットフォームながらロードスターように改良されたシャシーを使っているため、サスペンション構造もロードスター専用のものとなります。
・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・リヤサスペンション:マルチリンク
さすがに「コーナーリングマシン」をうたっている車であるだけはあります。
マツダの四輪独立懸架というとフロントにマクファーソンストラット、リヤにマルチリンクという組み合わせが多いのですが、このロードスターではリヤはマルチリンクで同じですが、フロントに贅沢にもダブルウィッシュボーンを採用してマツダで一番優れたサスペンション構造とされています。
ストロークも豊富、組み合わされているコイルスプリングのスプリングレートやショックアブソーバーの減衰力のセッティングも見事です。
ド・ノーマルでも峠を攻めるぐらいであれば十分です。
「RS」グレードとモータースポーツ向けモデルの「NR-A」グレードにはビルシュタイン製のショックアブソーバー(「NR-A」グレードのものは車高調)が採用されていていますが、それ程ハードな仕上げにはなっておらず、路面をしっかりと捉えながらも乗り心地も決して悪くはありません。
※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)
マツダ・ロードスターのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
ロードスターはエンジンパワーがないところを除けば、非常によくできたスポーツモデルだと言えるのですが、残念ながらこのブレーキシステムだけはいただけません。
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ
一応、四輪ディスクブレーキとなっているのでそれはいいのですが、リヤのブレーキローターがベンチレーテッドディスクではなくソリッドディスクになっているのはかなり残念です。
効き目は十分なのですが、峠を何本も攻めると軽量ボディであってもソリッドディスクですとすぐに熱を持ってしまい音を上げてしまいます。
「RS」グレードとモータースポーツ向けモデルの「NR-A」グレードには、アメリカ仕様の外径がひと回り大きなブレーキローターとそれに対応させたブレーキキャリパーが採用されているようですが、それでも不安は残ります。
スポーツモデル、それもコーナーリングマシンとして売っているぐらいなのですから、コーナーリングを左右するといってもいいブレーキにももう少しお金をかけてもらいたいと思います。
峠を攻めたり、スポーツ走行をしたり、ということであればすぐにでもグレードアップしたい部分です。
※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)
マツダ・ロードスターの燃費性能
マツダ・ロードスターのカタログ燃費と実燃費
●標準仕様
・カタログ燃費(WLTCモード):最大16.8km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大12.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大17.7km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大19.5km/L
・実燃費:約10km/L
※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)
●i-ELOOP仕様
・カタログ燃費(WLTCモード):最大17.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・市街地):最大13.4km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・郊外):最大18.0km/L
・カタログ燃費(WLTCモード・高速道路):最大19.7km/L
・実燃費:約11km/L
※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)
スポーツモデルに燃費性能を求めること自体が大きな間違いです。
マツダ・ロードスターに採用されている低燃費装備
●標準仕様
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・直噴エンジン
●i-ELOOP仕様
・ミラーサイクル制御
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構
・直噴エンジン
・回生エネルギー回収システム(i-ELOOP)
マツダ・ロードスターのライバルモデル比較
マツダ・ロードスターのライバルとなるのはアバルト・124スパイダー
国産モデルにおいてマツダ・ロードスターと同じような車は残念ながら存在しません。
そこでここではこのロードスターの兄弟モデルとなるアバルト・124スパイダーと比較してみたいと思います。
アバルト・124スパイダーは、ロードスターの直接的な兄弟モデルとなるフィアット・124スパイダーをフィアットのチューニング部門であるアバルトが手を加えてチューニングモデルとして発売しているもので、ロードスターとの共通部分も多いですが、このモデルならでは部分もたぶんにあります。
●マツダ・ロードスターの概要
・カテゴリー:小型オープンモデル(ロードスター)
・車格:小型スポーツモデル
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形式:P5-VP(RS)型
・比較対象グレード:「RS」グレード
●アバルト・124スパイダーの概要
・カテゴリー:小型オープンモデル(ロードスター)
・車格:小型スポーツモデル
・エンジン排気量:約1.4リッター
・エンジン形式:3268型
・過給器:ターボチャージャー
・比較対象グレード:ベースグレード
マツダ・ロードスターとアバルト・124スパイダーのパワースペック比較
●マツダ・ロードスター
・最大出力:132ps/7000rpm
・最大トルク:15.5kgf・m/4500rpm
●アバルト・124スパイダー
・最大出力:170ps/5500rpm
・最大トルク:25.5kgf・m/2500rpm
※パワースペック比較結果
ロードスターは1.5リッターNAエンジン、アバルト・124スパイダーは1.4リッターターボエンジンとエンジンのスペックが全く違いますので、これくらいの差が出ても当然なのですが、ロードスターもアバルト・124スパイダーぐらいのパワーがあればもっと楽しめる車になるのではないかと思います。
マツダ・ロードスターとアバルト・124スパイダーの燃費性能比較
●マツダ・ロードスター
・カタログ燃費(JC08モード換算):約18.5km/L
・実燃費:約10km/L
●アバルト・124スパイダー
・カタログ燃費(JC08モード):最大13.8km/L
・実燃費:約8km/L
※燃費性能比較結果
NAエンジンとターボエンジンに違いといったところでしょうか。
マツダ・ロードスターとアバルト・124スパイダーの販売価格帯比較
ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。
●マツダ・ロードスター
約261万円~約332万円
●アバルト・124スパイダー
約406万円~約417万円
※販売価格帯比較結果
アバルト・124スパイダーは輸入車ですのでどうしても高額になってしまいます。
ただ、それでも走りのことを考えるとマツダ・ロードスターよりアバルト・124スパイダーを選びたくなります。
まとめ
いろいろな理由でなんとか継続して作られているマツダのロードスターですが、スポーツモデルであることを考えるとやはりパワー不足は否めません。
それにいつまでも「コーナーリングマシン」マジックが効いているわけがありませんで、化けの皮が剥がれる前にパワーアップなど何か手を打った方が良いと思います。
それからこの車をこれから買おうとしている方に一言、この車はスポーツモデルですがはっきり言ってかなり遅いです。
スポーツモデルらしい走りを求めるのであれば、多少お金はかかっても兄弟モデルのアバルト・124スパイダーを買うか、いっそのこと全く違う日産のGT-RやフェアレディZ、WRX STIなどにした方がいいかもしれません。
それからこの車で「モテよう」と思っている方にも一言、この車に乗っていい気分でいられるのは、車に対して何の知識もない方たちの前だけです。
使い方によっては大恥をかくのでTPOを考えて乗り回しましょう。
※総合評価:★★☆☆☆(2)