今やすべての軽自動車をOEM供給モデルでまかなっているマツダ、そのマツダの軽自動車における主力モデルとなるのがこのフレアというモデルです。
ここでは、フレアが自動車としてどれだけの性能を持っているのか、どういう車なのかというところを検証していきたいと思います。
※ご注意
ここではマツダ・フレアの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。
目次
マツダ・フレアはスズキ・ワゴンRのOEM供給モデル
今でこそ全ての軽自動車がOEM供給モデルとなっていますが、少し前まではマツダオリジナルとなるモデルを発売していました。
軽ハッチバックセダンのキャロル、軽トラックのポーターキャブ、ちょっと変わったデザインの軽スポーツモデルのオートザムAZ-1といったモデルがそれに該当します。
しかし、軽自動車の世界は登録車の世界より競争が激しくなっており、スズキや三菱、ダイハツ、ホンダに加えて、マツダと同じように過去にはオリジナルモデルを発売していたスバルなどもいてかなりの激戦区となっていました。
その中でもスズキ、ダイハツ、三菱の人気は高く、軽自動車に関してはあまり技術を持っていなかったマツダがそれらの自動車メーカーに対抗することができなかったのです。
そしてその結果となったのが・・・「軽自動車の自社生産終了」でした。
これによって1995年まで生産されていたオートザムAZ-1を最後に軽自動車の自社生産を終了したわけですが、軽自動車を自社で作らないといって行っても当時も軽自動車は人気モデルで、利益を上げるのにかなり重要なモデルだったので、マツダでは作らないものの他社のモデルのOEM供給をうけてそれをマツダの軽自動車として販売することにしたのです・・・要するにOEM供給モデルの販売です。
OEM供給の相手となったのは、既にキャロルの生産で協力関係にあったスズキ(キャロルの2代目、3代目はスズキ・アルトがベース)で・・・
・商用ワンボックスバン/トラックの「スクラム」(スズキ・エブリイ・バン/トラックのOEM供給モデル)」
・軽トールワゴンの初代「AZ-ワゴン」(スズキ・ワゴンRのOEM供給モデル)
・軽ハッチバックセダンの4代目「キャロル」(スズキ・アルトのOEM供給モデル)
・軽クロスカントリー4WDモデルの初代「AZ-オフロード」(スズキ・ジムニーのOEM供給モデル)
・軽ワンボックスワゴンの初代「スクラム・ワゴン」(スズキ・エブリイ・ワゴンのOEM供給モデル)
・女性向け軽トールワゴンの初代「スピアーノ」(スズキ・アルト・ラパンのOEM供給モデル)
などをスズキからのOEM供給を受けて販売することになりました。
この中にある1994に初代モデルが発売されたスズキ・ワゴンRのOEM供給モデルであったAZ-ワゴンが、ワゴンRと時を同じくして3回のモデルチェンジを行い、4代目モデルから5代目モデルになろうとしている時にマツダにおける軽自動車の新たなるシリーズとして「フレア」シリーズを展開することになり、それに合わせて車名が変更されることになりました。
それが2012年に発売されたこの「フレア」なのです。
フレアは、それまで販売されてきたAZ-ワゴン同様にスズキ・ワゴンRのOEM供給モデルとして販売されるモデルです。
ですので、フレアとしてみれば初代モデルということになりますが、AZ-ワゴン時代から見ると5代目モデルという見方もできます。
2012年に発売された初代モデルは、スズキでいうところのワゴンRの5代目モデルとなります。
その後、2017年にワゴンRがモデルチェンジを行い、6代目モデルとなったことで、マツダのフレアも2代目モデルとなりました。
マツダ・フレアとスズキ・ワゴンRとの違い
フレアはスズキ・ワゴンRのOEM供給モデルですが、この両車に違いはほとんどありません。
一言でいえば、「バッジエンジニアリング」・・・要するに自動車メーカー名や車種名、グレード名などに関わるエンブレムやステッカーなどがスズキのものからマツダのものに変更されているだけ、それ以外の部分は何から何まで全く同じです。
商標的な面も自動ブレーキシステムの「デュアルセンサーブレーキサポート」や低燃費装備の「エコクール」などはそのまま使われています。
唯一違うのは、グレード構成です。
スズキのワゴンRは・・・
・ガソリンエンジンモデルの「FA」グレード
・ハイブリッドモデルの標準グレードとなる「HYBRID FX」グレード
・ハイブリッドモデルの最上級グレードとなる「HYBRID FZ」グレード
の3グレードとなりますが、マツダのフレアでは・・・
・ハイブリッドモデルの標準グレードとなる「HYBRID XG」グレード
・ハイブリッドモデルの最上級グレードとなる「HYBRID XS」グレード
の2グレード構成となり、それぞれ・・・
・「HYBRID XG」グレードはワゴンRの「HYBRID FX」グレード相当
・「HYBRID XS」グレードはワゴンRの「HYBRID FZ」グレード相当
となっています。
早い話が、ワゴンRのハイブリッドモデルだけを販売しているということです。
マツダ・フレアのこれまでの出来事(2019年11月現在)
●初代モデル MJ34S/44S系型 2012年10月発売
※スズキ・ワゴンR、5代目モデルのOEM供給モデル
・2012年12月 「XG」グレードに5速マニュアルトランスミッションの設定
・2013年7月 一部改良 エンジン/CVTの改良 安全装備の充実 ボディカラーの追加
・2014年5月 仕様変更 一部ボディカラーの廃止
・2014年8月 マイナーチェンジ デザインの小変更 S-エネチャージモデルの追加 ボディカラーの変更
・2015年9月 一部改良 ターボエンジンモデルにS-エネチャージの採用 ボディカラーの変更
●2代目モデル MJ55S型 2017年2月発売
※スズキ・ワゴンR、6代目モデルのOEM供給モデル
・2018年7月 仕様変更 「全方位モニター用カメラパッケージ」のオプション設定の追加
・2018年3月 「HYBRID XS」グレードに「セーフティパッケージ」が標準装備
マツダ・フレアが属するカテゴリー
●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:軽トールワゴン
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス
マツダ・フレアのオーナー層
●年齢層:特になし
●性別:特になし
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:基本的にワゴンRを差し置いてこのモデルを買う人はほとんどいない
マツダ・フレアの車体の構成・選択肢
●パワーユニット
・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム
●トランスミッション
・CVT
●エンジン・ドライブトレーンレイアウト
・FF
・スタンバイ式4WD
●サスペンション構造
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:FF=トーションビーム(コイルスプリング) 4WD=コイルリジット(コイルスプリング)
●ブレーキシステム
・フロント:ソリッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ
●ベースモデル
・あり・・・スズキ・ワゴンR
●兄弟車
・あり・・・スズキ・ワゴンR
マツダ・フレアのモデル構成とグレード構成
マツダ・フレアは単一モデル構成となります。
ベースモデル
このモデルには2つのグレードが用意されています。
・HYBRID XG グレード(2WD・4WD)
・HYBRID XS グレード(2WD・4WD)
●「HYBRID XG」グレードの主な装備
・上下可動式 全席ヘッドレスト
・軽量衝撃吸収ボディ
・歩行者傷害軽減ボディ
・頭部衝撃軽減構造インテリア
・頸部衝撃緩和フロントシート
・後退抑制ブレーキペダル
・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・エマージェンシーストップシグナル
・ヒルホールドコントロール
・車両接近通報装置
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・ブレーキアシスト
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・LEDストップランプ付リアコンビネーションランプ
・LEDハイマウントストップランプ
・間欠式&ミスト付フロントワイパー
・リアワイパー&ウォッシャー
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・全面UVカットガラス
・熱線吸収グリーン フロントガラス
・熱線吸収グリーン フロントクォーターガラス
・熱線吸収グリーン フロントドアガラス
・ダークティンテッド リアドアガラス
・ダークティンテッド リアクォーターガラス
・ダークティンテッド バックドアガラス
・パワーウインドウ
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ
・ヒーテッドドアミラー(4WDモデルのみ)
・ボディ同色 電動格納リモコン式カラードドアミラー
・ボディ同色 アウタードアハンドル
・上端部ブラックアウト センターピラー
・ステータスインフォメーションランプ
・常時照明式自発光式メーター
・タコメーター
・運転席/助手席サンバイザー
・フロント/リヤ 残照式3ポジションルームランプ
・助手席/後席左右 可倒式アシストグリップ
・バックドアインサイドグリップ
・アクセサリーソケット
・フットレスト
・マルチインフォメーションディスプレイ
・ホワイト インパネデコレーションパネル
・シルバーベゼル付き ウレタンステアリングホイール
・運転席 チケットホルダー付バニティミラー
・運転席 インパネアッパートレイ
・運転席 カードホルダー
・グローブボックス
・運転席 インパネアンダートレイ
・フロント/リア ドリンクホルダー付ドアポケット
・助手席 シートアンダーボックス
・助手席 オープントレイ
・運転席/助手席 インパネドリンクホルダー
・ショッピングフック
・助手席 シートバックポケット
・リアドア両側 アンブレラホルダー
・ラゲッジアンダーボックス
・ファブリック シート生地
・センターアームレスト付ベンチタイプフロントシート
・助手席 前倒し機構
・フルフラットシート機構
・左右独立シートスライド&リクライニング機構/分割可倒式ワンタッチダブルフォールディング機構付リアシート
・運転席 シートヒーター
・助手席 シートヒーター(4WDモデルのみ)
・抗菌処理タイプ/エアフィルター付フルオートエアコン
・エコクール
・リアヒーターダクト
・2スピーカー
・可倒式ルーフアンテナ
・フットパーキングブレーキ
・フロント スタビライザー(4WDモデルのみ)
・155/65R14 75Sサイズ タイヤ
・14インチ×4.5J スチールホイール
・フルホイールキャップ
・バックドア連動パワードアロック
・イモビライザー
・セキュリティアラームシステム
・電波式キーレスエントリーシステム
など
●「HYBRID XS」グレードの主な装備
「HYBRID XG」グレードの装備に加えて・・・
・デュアルセンサーブレーキサポート
・前進時 誤発進抑制機能
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・ハイビームアシスト機能
・LEDヘッドランプ
・オートライトシステム
・IRカット機能付 フロントガラス
・スーパーUV&IRカット フロントドアガラス
・ボディ同色 LEDサイドターンランプ付電動格納リモコン式カラードドアミラー
・エアロフロントバンパー
・エアロリアバンパー
・ルーフエンドスポイラー
・ヘッドアップディスプレイ
・ダークブルー インパネデコレーションパネル
・シルバーベゼル/オーディオリモートコントロールスイッチ付き 本革巻ステアリングホイール
・チルトステアリング調整機構
・助手席 チケットホルダー付バニティミラー
・シルバー塗装 インサイドドアハンドル
・運転席シートリフター
・フロント スタビライザー
・リア スタビライザー(2WDモデルのみ)
・14インチ×4.5J アルミホイール
・アドバンストキーレスエントリー
が追加されています。
マツダ・フレアに搭載されるパワーユニットと動力性能
マツダ・フレアには1種類のパワーユニットが設定されています。
●660ccNAエンジン+ハイブリッドシステム
○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
○電気モーター
・電気モーター形式:WA05A型
○ハイブリッドシステム:マイルドハイブリッド(簡易型ハイブリッドシステム)
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー
◆スペック
○エンジン
・最大出力:52ps/6500rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/4000rpm
○電気モーター
・最大出力:3.1ps
・最大トルク:5.1kgf・m
○システムパワー:約52ps
・1リッターあたりのパワー:約78.7ps
・パワーウェイトレシオ:約16.1kg/ps
このパワーユニットはワゴンRのみならず、スズキの軽ハイブリッドモデルの多くに採用されているものと全く同じです。
スズキの軽自動車の主力エンジンとなるR06A型エンジンとスターターモーター機能、発電機機能、アシストモーター機能を一つにまとめたISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター」モーターを組み合わせた簡易型ハイブリッドシステムです。
このハイブリッドシステムはエンジンで走ることをメインとして、加速した時のみにISG(電気モーター)によるアシストが入るといった形のものです。
ISG(電気モーター)だけで走行することは基本的にはできませんが、アクセルペダルを踏んでいない状態でのクリープ現象のみ、短時間だけISG(電気モーター)で走ることができるようになっています。
パワーとしてはISG(電気モーター)によるモアパワーは期待できないのでエンジンパワーの52psはシステムパワーとなりますので、軽自動車の中でもかなり鈍重な走りしかできません。
まさに「燃費のためにパワーを捨てた」といえるパワーユニットです。
※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)
マツダ・フレアに採用されているトランスミッション
●CVT
フレアでは全モデルにCVTを採用しています。
このCVTはNMKV製の日産や三菱の軽自動車でも過去に使っていたこともあるジヤトコ製のもので、アウトプットシャフト上に2段変速のギヤボックスをもつ副変速機付きCVTとなります。
副変速機付きCVTのメリットは同じプーリーのサイズでも変速幅を広くとることができ、それによって燃費性能を向上させることですが、その反面で構造が通常のCVTより複雑になるため故障が多くなることがデメリットとなります。
既にNMKVや日産、三菱では、新型モデルの発売のタイミングで順次、副変速機付きではないCVTを使うようにしているぐらいです。
フレアもフレアのベースモデルであるワゴンRも2017年に発売されたモデルでその当時では副変速機付きCVTがスズキでは全盛であったことから現在もそれが使われているわけですが、次期モデルからはきっと副変速機付きではなくなるでしょう。
性能はいたって普通のCVTで、ベルト滑りによる走りに悪さは天下一品です。
この構造も燃費性能のために本来の性能をかなぐり捨てた形で作られたものといっていいでしょう。
※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(0)
マツダ・フレアの走行性能を決める構造
マツダ・フレアのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー
スズキの軽自動車のプラットフォーム、シャシーは軽自動車の中では比較的しっかりしていて、通常の使い方であれば全く問題ありません。
このフレアのシャシーもなだらかなラインを持つラダーフレームが内蔵されているようなものとなっており、なかなかの剛性を持ちます。
それにそもそも52ps程度のエンジンパワーしか持っていないので、ダイハツのタントのようにボディが捻じれて、スライドドアが開かなくなる、ボディがきしむ、まっすぐ走れないなどといったことはまずないと思います。
フレームも意外としっかりとしているので軽自動車としては十分ではないでしょうか。
※ボディ剛性の評価:★★★☆☆(3)
マツダ・フレアの走りの質を決めるサスペンション構造
軽自動車だから仕方ないのかもしれませんが、サスペンション構造は残念の一言に尽きます。
FFの2WDモデルには・・・
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:トーションビーム
4WDモデルには・・・
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)
となっています。
フロントサスペンションはどちらも共通のマクファーソンストラットとなっており、こちらは独立懸架ですし動きも良いので問題はないでしょう。
残念としか言えないのが2WDモデルのリヤサスペンションとして与えられているトーションビームです。
軽自動車ですので安く作らなければならないのはわかりますが、だからといってトーションビームはあり得ません。
トーションビームというサスペンション構造は、とにかく生産コストを安くするためにFFモデルのリヤサスペンション用に開発されたものです。
そのため部品点数を少なくする必要があり、サスペンションアームは一体式の「コの字ビーム」として、リジットサスペンションでありながらそれを大きく捻じらせる形で機能させます。
それによってもたらされるサスペンションとしての性能も最悪で、ビームの強度不足から直進安定性が悪く、コーナーリングもリヤタイヤの限界がすこぶる低い、ビームがバタバタと暴れる癖があることから乗り心地も最悪です。
フレアのような52psのNAエンジンを搭載した生活車ならいいですが、それ以上のパワーを持つモデルには絶対に採用してもらいたくないサスペンション構造です。
これなら4WDモデルに採用されているI.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)の方が優れたサスペンション構造といえます。
I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)はスズキ独自のリジットサスペンションで、トレーリングアーム式コイルリジットサスペンションと解釈すればいいでしょう。
リジットサスペンションですので乗り心地はイマイチですが、サスペンション構造に強度があるためトーションビームのようにフラフラすることもなく、オフロードでもわずかながらにもトラクション性能を向上させるので、FFモデルにもぜひともこのI.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)を採用してもらいたかったです。
※サスペンション構造の評価:2WDモデル=★☆☆☆☆(1) 4WDモデル=★★★☆☆(3)
マツダ・フレアのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム
こちらも軽自動車らしい装備となっています。
・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ
エンジンパワーも52psしかありませんし、生活用の車ですのでこれで十分かと思います。
※ブレーキシステムの評価:★★☆☆☆(2)
マツダ・フレアに搭載されている4WDシステム
フレアに用意されている4WDモデルに搭載されている4WDシステムは、いかにも軽自動車らしいビスカスカップリング式のスタンバイ4WDシステムとなります。
前後のタイヤの回転数が大きく違う時にビスカスカップリング内のオイルが熱を持ち、それによって内部の多板クラッチを締結させてリヤタイヤにもトラクションを与える・・・といった非常に単純な構造を持つものです。
フロントタイヤが空転した時だけ4WD状態なるものですので、これによって劇的にトラクション性能が向上したり、オンロードでの走りがよくなるわけではありません。
※4WDシステムの評価:☆☆☆☆☆(0)
マツダ・フレアの燃費性能
マツダ・フレアのカタログ燃費と実燃費
●2WDモデル(FF)
・カタログ燃費(JC08モード):最大33.4km/L
・実燃費:約28km/L
※燃費性能の評価:★★★★☆(4)
●4WDモデル(スタンバイ4WD)
・カタログ燃費(JC08モード):最大30.4km/L
・実燃費:約26km/L
※燃費性能の評価:★★★★☆(4)
燃費性能の向上を狙った車ですので、これくらいの数字は当たり前です。
マツダ・フレアに採用されている低燃費装備
●全モデル
・ハイブリッドシステム
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構
マツダ・フレアのライバルモデル比較
マツダ・フレアのライバルとなるのはスバル・ステラ
マツダ・フレアはスズキのワゴンRのOEM供給モデルです。
ワゴンRのライバルといえばダイハツのムーヴとなりますので、ここではOEM供給モデル同士の比較ということでムーヴのOEM供給モデルとなるスバルのステラをライバルモデルとして比較してみたいと思います。
ここでは、フレアがNAエンジンモデルしかないことからNAエンジンモデル同士の比較とします。
●マツダ・フレアの概要
・カテゴリー:軽トールワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:0.66約リッター
・エンジン形式:R06A型
・比較対象グレード:「HYBRID XS」グレード
●スバル・ステラの概要
・カテゴリー:軽トールワゴン
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:0.66約リッター
・エンジン形式:KF-VE型
・比較対象グレード:「Gスマートアシスト」グレード
マツダ・フレアとスバル・ステラのパワースペック比較
●マツダ・フレア
・システムパワー:52ps
●スバル・ステラ
・最大出力:52ps/6800rpm
・最大トルク:6.1kgf・m/5200rpm
※パワースペック比較結果
フレアは一応はハイブリッドモデルとなりますのでシステムパワーとしますが、電気モーターでのアシストによるパワーアップはないのでエンジンのパワースペックと同じとなります。
どちらも軽自動車のNAエンジンで標準となる52psにあわせてきています。
マツダ・フレアとスバル・ステラの燃費性能比較
●マツダ・フレア
・カタログ燃費(JC08モード):最大33.4km/L
・実燃費:約28km/L
●スバル・ステラ
・カタログ燃費(JC08モード):最大31.0km/L
・実燃費:約23km/L
※燃費性能比較結果
カタログ燃費もさることながら実燃費も大幅にフレアの方が優れているようです。
腐ってもハイブリッドモデルであるようです。
マツダ・フレアとスバル・ステラの販売価格帯比較
ここではNAエンジンモデルだけでの販売価格で比較してみたいと思います。
●マツダ・フレア
約120万円~約156万円
●スバル・ステラ
約113万円~約142万円
※販売価格帯比較結果
全体的にフレアの方が高いことになっていますが、この差額はハイブリッドシステムの値段と見ればいいと思います。
まとめ
自社生産をやめても利益のことを考えて軽自動車を売らなければならないのが現在の日本の自動車界ですが、だからといって何でもかんでもOEM供給モデルでごまかすというのもちょっと違うように思えます。
マツダとスズキは古くから付き合いがあり、最近になってスズキも事実上のトヨタグループの一員となったことでより一層、つながりは強くなると思いますが、ぜひともマツダオリジナルの軽トールワゴンも作ってもらいたいと思います。
突拍子もない車を作ることが得意なマツダですからさぞかし楽しい車ができることでしょう。
現在のこのモデルは・・・特に面白みも何も感じませんし、何も無理してスズキのワゴンRをのけてマツダのフレアを購入する必要もないでしょう。
※総合評価:★★☆☆☆(2)