軽自動車の自社生産を取りやめてから新たにスタートしたマツダの軽自動車シリーズの「フレア」シリーズ、その第三弾モデルとして発売されたのが軽クロスオーバーSUVのフレア・クロスオーバーです。

ここではフレア・クロスオーバーがどういった車なのか、クロスオーバーSUVとして性能は銅なのかといったところを検証してみたいと思います。

※ご注意
ここではマツダ・フレア・クロスオーバーの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

スズキのハスラーのOEM供給モデルのマツダ・フレア・クロスオーバー

3代目キャロルを最後に軽自動車の販売をすべてOEM供給モデルに頼るようになったマツダ、2019年11月現在では、そのすべてをスズキからのOEM供給でまかなっています。
その1台となるのがこのフレア・クロスオーバーで、スズキのハスラーのOEM供給を受けての販売となっています。
スズキのハスラーは、クロスカントリー4WDモデルのジムニーを除いた1世代前のスズキのすべての軽自動車に採用されている共通プラットフォームを使って作られているモデルです。

この共通プラットフォームはモノコックフレームのプラットフォームであるため、このハスラーもモノコックフレームを使ったモデルであるため、「SUV」ではなく「クロスオーバーSUV」です。
クロスオーバーSUVでも便宜上、「SUV」と呼ぶことがありますが、「SUV」と呼ぶにはラダーフレームを使って作る必要がありますので正しくは「クロスオーバーSUV」と呼びます。
しかし、このハスラー、構造的に「クロスオーバーSUV」と呼ぶのも難しい車であることがわかっています。

そもそも「クロスオーバーSUV」というのはラダーフレームを使って作られた「SUV」を「ラダーフレーム」ではなく「モノコックフレーム」で作ったモデルです。
従って、両車の違いは単にフレーム構造だけであって、オンロードだけではなく、オフロードを走るための性能やそれをもたらす構造を持っていなければなりません。
しかし、このハスラーを含めた最近の「クロスオーバーSUV」は、車高を上げて、大径タイヤを履かせて、それらしいエクステリアパーツをつけただけで、中身はいたって普通のオンロード向け大衆車であって、「SUV(クロスオーバーSUV)」らしいオフロードを走るための構造、性能を持っていないのです。

グニャグニャなフレームにトランスミッションはCVT、サスペンションはトーションビーム(ハスラーは違うが・・・)、4WDシステムはスタンバイ4WDでは、SUV(クロスオーバーSUV)に求められるオフロード走行など絶対にできるわけがありません。
オフロード走行ができないばかりか一発で壊れてしまいます。

こういったSUV(クロスオーバーSUV)に求められるレベルのオフロード走行性能を持たず、既存のオンロードモデルの部品をそっくりそのままつかってつくられたクロスオーバーSUVのことを、自動車界のダークサイドでは「クロスオーバーSUVみたいな車」ということで「なんちゃってクロスオーバーSUV」と呼んで、「SUV」とも「クロスオーバーSUV」とも差別して扱っています。

残念ながらハスラーもこの「なんちゃってクロスオーバーSUV」に該当しますし、そのモデルのOEM供給を受けて販売されているフレア・クロスオーバーも当然ながら「なんちゃってクロスオーバーSUV」となります。

もっと正確にいえば「ワゴンRベースのなんちゃってクロスオーバーSUV」です。

マツダ・フレア・クロスオーバーとスズキ・ハスラーの違い

フレア・クロスオーバーは、ハスラーのいわゆる「バッジエンジニアリング」モデルという形で作られているモデルですので、エンブレムやステッカーなど以外に構造的な違いはありません。

違いとして設けられているのはグレード構成とトランスミッションの設定だけとなります。

グレード構成はハスラーでは・・・

・「A」グレード:NAエンジン(2WD・4WD)(5速マニュアルトランスミッション・CVT)
・「G」グレード:NAエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(5速マニュアルトランスミッション・CVT)
・「Gターボ」グレード:ターボエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(CVT)
・「J」グレード:NAエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(CVT)
・「Jターボ」グレード:ターボエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(CVT)

の5グレード(2019年11月現在)と特別仕様車の「タフワイルド」となっていますが、フレア・クロスオーバーでは・・・

・「XG」グレード:NAエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(CVT)
・「XS」グレード:NAエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(CVT)
・「XT」グレード:ターボエンジン+ハイブリッド(2WD・4WD)(CVT)

の3グレードと特別仕様車の「XGスペシャル」グレードとなり、それぞれ・・・

・「XG」グレード:ハスラーの「G」グレード相当
・「XS」グレード:ハスラーの「J」グレード相当
・「XT」グレード:ハスラーの「Jターボ」グレード相当
・「XGスペシャル」グレード:ハスラーの特別仕様車「タフワイルド」相当

となります。

トランスミッションの違いは、ハスラーの「G」グレードにはCVTの他に、5速マニュアルトランスミッションが用意されていますが、「G」グレード相当の「XG」グレードではCVTのみとなります。

マツダ・フレア・クロスオーバーのこれまでの出来事(2019年11月現在)

●初代モデル MS31S/MS41S型 2013年12月発売

・2015年5月 一部改良 NAエンジンモデルに「S-エネチャージ」の採用 ボディカラーの変更
・2015年12月 一部改良 ターボエンジンモデルに「S-エネチャージ」の採用 ボディカラーの変更 先進安全装備の追加
・2017年5月 仕様変更 ボディカラーの変更
・2018年11月  一部改良 「XGスペシャル」の追加

マツダ・フレア・クロスオーバーが属するカテゴリー

●車格:軽自動車
●用途・目的:生活車
●車両カテゴリー:軽クロスオーバーSUV(なんちゃってクロスオーバーSUV)
●エンジン排気量クラス:軽自動車クラス

マツダ・フレア・クロスオーバーのオーナー層

●年齢層:18歳ぐらいから40歳ぐらいまで
●性別:特になし
●経済力:高収入層(新車購入)、大衆層(新車購入)、 低収入層(新車購入・中古車購入)
●その他:クロスオーバーSUVとしてではなく、軽トールワゴンとして購入されている

マツダ・フレア・クロスオーバーの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム

●トランスミッション

・CVT

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FF
・スタンバイ式4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット(コイルスプリング)
・リヤサスペンション:コイルリジット(コイルスプリング)

●ブレーキシステム
・フロント:ソリッドディスク/ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル

・あり・・・ワゴンR

●兄弟車

・あり・・・フレア、フレア・ワゴン、スペーシア、ワゴンR、アルト、アルト・ラパン

マツダ・フレア・クロスオーバーのモデル構成とグレード構成

フレア・クロスオーバーにはパワーユニット違いのモデルが2つ用意されています。

NAエンジン+ハイブリッドモデル

このモデルには3つのグレードが用意されています。

・XG グレード(2WD・4WD)
・XS グレード(2WD・4WD)
・XGスペシャル グレード(2WD・4WD)

●「XG」グレードの主な装備

・頭部衝撃軽減構造インテリア
・頸部衝撃緩和フロントシート
・上下可動式 フロントシートヘッドレスト
・上下可動式 リアシートヘッドレスト
・ブレーキペダル後退抑制機構
・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・ヒルホールドコントロール
・前進時 誤発進抑制機能
・エマージェンシーストップシグナル
・ブレーキアシスト
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・デュアルカメラブレーキサポート
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・ヒルディセントコントロール(4WDモデルのみ)
・グリップコントロール(4WDモデルのみ)
・LEDハイマウントストップランプ
・LEDハイマウントストップランプ
・間欠式&ミスト付フロントワイパー
・リアワイパー&ウォッシャー
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・ヒーテッドドアミラー
・UVカット 熱線吸収グリーン フロントガラス
・UVカット 熱線吸収グリーン フロントドアガラス
・UVカット ダークティンテッド リアドアガラス
・UVカット ダークティンテッド バックドアガラス
・パワーウインドウ
・ディスチャージヘッドランプ
・LEDポジションランプ
・オートライトシステム
・LEDストップランプ内蔵リアコンビネーションランプ
・ルーフ同色 オート格納機能付電動格納リモコン式カラードドアミラー
・メッキ フロントグリルガーニッシュ
・スキッドプレート
・フェンダーアーチモール
・サイドスプラッシュガード
・シルバー塗装 フロント/リア バンパーガーニッシュ
・A/Bピラー ブラックアウト(2トーンカラー車のみ)
・ボディ同色 アウタードアハンドル
・ボディ同色 バックドア ハンドル
・常時照明式盤面発光メーター
・エアコンパネル内外気温度計
・チルトステアリング調節機能
・フロント/リヤ 残照式3ポジションルームランプ
・運転席/助手席 サンバイザー
・助手席/後席左右 可倒式アシストグリップ
・バックドアインサイドグリップ
・フロントドアトリムクロス
・インパネ/ラゲッジ アクセサリーソケット
・運転席 フットレスト
・シルバーガーニッシュ/オーディオリモートコントロールスイッチ付ウレタン ステアリングホイール
・マルチインフォメーションディスプレイ
・ステータスインフォメーションランプ
・シルバー エアコンガーニッシュ&ルーバーリング
・インパネセンタースイッチ(4WDモデルのみ)
・シルバー スピーカーリング
・運転席 バニティミラー
・フロント ドアポケット
・リア ドリンクホルダー付ドアポケット
・助手席 ドアアームレストポケット
・ドリンクホルダー付 センターロアポケット
・運転席/助手席 インパネドリンクホルダー
・グローブボックス
・助手席 テーブル機能付インパネボックス
・フロント アームレストボックス
・助手席 シートアンダーボックス
・ラゲッジアンダーボックス
・インパネ ショッピングフック
・助手席 シートバックテーブル
・ラゲッジユーティリティナット
・センターアームレスト付 フロントシートベンチタイプ
・運転席シートリフター
・運転席&助手席シートヒーター
・助手席前倒し機構
・左右独立スライド&リクライニング機構/分割可倒式ワンタッチチルトダウン リアシート
・フルフラットシート機構
・パイピング加飾付ファブリック シート生地
・エコクール
・リアヒーターダクト
・カテキン成分配合・エアフィルター付フルオートエアコン
・6スピーカー
・可倒式ルーフアンテナ
・電動パワーステアリング
・フロント スタビライザー
・フットパーキングブレーキ
・アイドリングストップシステム
・S-エネチャージ
・165/60R15 77Hサイズ タイヤ
・15インチ×4.5J スチールホイール
・ホイールセンターキャップ
・イモビライザー
・セキュリティアラームシステム
・バックドア連動パワードアロック
・アドバンストキーレスエントリー&キーレスプッシュボタンスタートシステム

など

●「XS」グレードの主な装備

「XG」グレードの装備に加えて・・・

・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・UV/IRカット フロントガラス
・スーパーUV/IRカット フロントドアガラス
・LEDサイドターンランプ付ルーフ同色 オート格納機能付電動格納リモコン式カラードドアミラー
・専用デザイン/シルバー塗装 フロント/リア バンパーガーニッシュ
・A/Bピラー ブラックアウト
・メッキ アウタードアハンドル
・シルバーガーニッシュ/オーディオリモートコントロールスイッチ付本革巻 ステアリングホイール
・運転席 照明付バニティミラー
・助手席 照明付バニティミラー
・15インチ×4.5J アルミホイール

が追加されています。

●「XGスペシャル」グレードの主な装備

「XG」グレードの装備に加えて・・・

・全方位モニター用カメラ
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・スーパーUV/IRカット フロントドアガラス
・LEDサイドターンランプ付ルーフ同色 オート格納機能付電動格納リモコン式カラードドアミラー
・ボディ同色 フロント/リア バンパーガーニッシュ
・ブラック塗装 フロントピラー&リアクォーターパネル
・ブラック アウタードアハンドル
・ブラック バックドア ハンドル
・ガンメタリックガーニッシュ/オーディオリモートコントロールスイッチ付ウレタン ステアリングホイール
・ガンメタリック エアコンガーニッシュ&ルーバーリング
・USBソケット
・メッキ インサイドドアハンドル
・ガンメタリック スピーカーリング
・一部レザー調ファブリック シート生地
・ナノイー機能
・フルセグTVアンテナ用ハーネス
・GPSアンテナ
・15インチ×4.5J アルミホイール

が追加されています。

ターボエンジン+ハイブリッドモデル

このモデルは単一グレードとなっています。

・XT グレード(2WD・4WD)

●「XT」グレードの主な装備

・頭部衝撃軽減構造インテリア
・頸部衝撃緩和フロントシート
・上下可動式 フロントシートヘッドレスト
・上下可動式 リアシートヘッドレスト
・ブレーキペダル後退抑制機構
・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・ヒルホールドコントロール
・前進時 誤発進抑制機能
・エマージェンシーストップシグナル
・ブレーキアシスト
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・デュアルカメラブレーキサポート
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・全方位モニター用カメラ
・ヒルディセントコントロール(4WDモデルのみ)
・グリップコントロール(4WDモデルのみ)
・クルーズコントロール
・LEDハイマウントストップランプ
・LEDハイマウントストップランプ
・間欠式&ミスト付フロントワイパー
・リアワイパー&ウォッシャー
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・ヒーテッドドアミラー
・UV/IRカット フロントガラス
・スーパーUV/IRカット フロントドアガラス
・UVカット ダークティンテッド リアドアガラス
・UVカット ダークティンテッド バックドアガラス
・パワーウインドウ
・ディスチャージヘッドランプ
・LEDポジションランプ
・オートライトシステム
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・LEDストップランプ内蔵リアコンビネーションランプ
・LEDサイドターンランプ付ルーフ同色 オート格納機能付電動格納リモコン式カラードドアミラー
・メッキ フロントグリルガーニッシュ
・スキッドプレート
・フェンダーアーチモール
・サイドスプラッシュガード
・専用デザイン/シルバー塗装 フロント/リア バンパーガーニッシュ
・A/Bピラー ブラックアウト
・メッキ アウタードアハンドル
・ボディ同色 バックドア ハンドル
・常時照明式盤面発光メーター
・エアコンパネル内外気温度計
・チルトステアリング調節機能
・フロント/リヤ 残照式3ポジションルームランプ
・運転席/助手席 サンバイザー
・助手席/後席左右 可倒式アシストグリップ
・バックドアインサイドグリップ
・フロントドアトリムクロス
・インパネ/ラゲッジ アクセサリーソケット
・運転席 フットレスト
・シルバーガーニッシュ/オーディオリモートコントロールスイッチ/シフトスイッチ付本革巻 ステアリングホイール
・マルチインフォメーションディスプレイ
・ステータスインフォメーションランプ
・シルバー エアコンガーニッシュ&ルーバーリング
・インパネセンタースイッチ(4WDモデルのみ)
・USBソケット
・シルバー スピーカーリング
・運転席 照明付バニティミラー
・助手席 照明付バニティミラー
・フロント ドアポケット
・リア ドリンクホルダー付ドアポケット
・助手席 ドアアームレストポケット
・ドリンクホルダー付 センターロアポケット
・運転席/助手席 インパネドリンクホルダー
・グローブボックス
・助手席 テーブル機能付インパネボックス
・フロント アームレストボックス
・助手席 シートアンダーボックス
・ラゲッジアンダーボックス
・インパネ ショッピングフック
・助手席 シートバックテーブル
・ラゲッジユーティリティナット
・センターアームレスト付 フロントシートベンチタイプ
・運転席シートリフター
・運転席&助手席シートヒーター
・助手席前倒し機構
・左右独立スライド&リクライニング機構/分割可倒式ワンタッチチルトダウン リアシート
・フルフラットシート機構
・パイピング加飾付ファブリック シート生地
・エコクール
・リアヒーターダクト
・カテキン成分配合・エアフィルター付フルオートエアコン
・6スピーカー
・可倒式ルーフアンテナ
・フルセグTVアンテナ用ハーネス
・GPSアンテナ
・電動パワーステアリング
・フロント スタビライザー
・フットパーキングブレーキ
・アイドリングストップシステム
・S-エネチャージ
・165/60R15 77Hサイズ タイヤ
・15インチ×4.5J アルミホイール
・イモビライザー
・セキュリティアラームシステム
・バックドア連動パワードアロック
・アドバンストキーレスエントリー&キーレスプッシュボタンスタートシステム

など

マツダ・フレア・クロスオーバーに搭載されるパワーユニットと動力性能

マツダ・フレア・クロスオーバーには2種類のパワーユニットが設定されています。

●660ccNAエンジン+S-エネチャージ

○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射

○電気モーター
・電気モーター形式:WA04A型

○ハイブリッドシステム:S-エネチャージ(簡易型ハイブリッドシステム)
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

○エンジン
・最大出力:52ps/6500rpm
・最大トルク:6.4kgf・m/4000rpm

○電気モーター
・最大出力:2.2ps
・最大トルク:4.1kgf・m

○システムパワー:約52ps

・1リッターあたりのパワー:約78.7ps
・パワーウェイトレシオ:約16.3kg/ps

このパワーユニットは、標準モデルの全グレード、「XG」グレード、「XS」グレード、「XGスペシャル」グレードに採用されています。
スズキの軽自動車の標準エンジンとなるR06A型のNAエンジンに回生エネルギー回収システムである「エネチャージ」を改良してスターターモーター兼発電機を短時間のアシストモーターとしても利用する「S-エネチャージ」を追加したものです。
一応、ハイブリッドシステムのひとつとして扱われていますが、主な機能は回生エネルギーの回収によって発電し、その電気を小さなリチウムイオンバッテリーに蓄えてからその電気をアイドリングストップしている時に使うといったことで、電気モーターで走る、電気モーターでアシストするという機能は二の次として考えられています。
実際の電気モーターの動きも加速する時に短時間(最大で30秒ぐらい)だけアシストが入るといっただけで、EV走行は全くできません。

なので、燃費性能に与える影響はわずかで、動力性能としては全く影響を与えず、「中間加速がわずかに良い」といったぐらいにとどまります。

スズキには似たようなハイブリッドシステムがもう一つあって、そちらはワゴンR(フレア)やスペーシア(フレア・ワゴン)などに採用されていますが、こちらはわずかながらにもEV走行ができるようになっていることからスズキでは「マイルドハイブリッド」などと言っていますが、違いはあまりなくこのS-エネチャージと同じように「簡易型ハイブリッドシステム」として扱われています。

ハイブリッドモデルといってもエンジンで走ることがほとんどで、パワースペック的にもNAエンジンのそれと同じという形なることから、軽自動車としてみたとしてもパワーの無さを感じます。

※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)

●660ccターボエンジン+S-エネチャージ

○エンジン
・エンジン型式:R06A型
・エンジン排気量:658cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:3気筒
・バルブ構造:DOHC12バルブ
・燃料供給:ポート噴射
・過給器:ターボチャージャー

○電気モーター
・電気モーター形式:WA04A型

○ハイブリッドシステム:S-エネチャージ(簡易型ハイブリッドシステム)
○ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

◆スペック

○エンジン
・最大出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:10.0kgf・m/3000rpm

○電気モーター
・最大出力:2.2ps
・最大トルク:4.1kgf・m

○システムパワー:約64ps

・1リッターあたりのパワー:約96.9ps
・パワーウェイトレシオ:約14.8kg/ps

このパワーユニットは「XT」グレードにだけ採用されています。

NAエンジン+S-エネチャージの組み合わせのエンジンをターボエンジンにしたもので、こちらもエンジンのパワースペックがシステムパワーとなります。
とりあえずは軽自動車の自主規制値まで出ているので、良しとしておきましょう。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・フレア・クロスオーバーに採用されているトランスミッション

●CVT

OEM供給元モデルのスズキのハスラーでは、CVTの他に一部のグレードにだけ5速マニュアルトランスミッションの設定がされていますが、OEM供給モデルのフレア・クロスオーバーでは、このCVTだけとなります。

このCVTはスズキにおいて一世代前のもので、ジャトコ製の副変速機付きCVTが採用されています。
変速幅が広くなるので燃費性能によい影響を与えることができるのですが、構造が少々複雑になることから故障が多い(特に副変速機のギヤボックス)ため、スズキではモデルチェンジを迎えたモデルから順次、副変速機のないタイプを採用するようにしています。

性能的には変速幅が広いだけですのでたいした影響はなく、ごく普通のCVTと同じようにベルトが滑ることで加速が鈍くなったり、フィーリングが悪い、思ったように変速してくれないなどと言った悪い部分だけが目立ちます。
※トランスミッションの評価:☆☆☆☆☆(0)

マツダ・フレア・クロスオーバーの走行性能を決める構造

マツダ・フレア・クロスオーバーのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

フレア・クロスオーバーのプラットフォーム、シャシーは5代目ワゴンR、初代スペーシアといったスズキの軽自動車の中でひと世代前のモデルに採用されていたスズキの軽自動車の共通プラットフォームを使って作られています。
このプラットフォーム、シャシーは現在の共有プラットフォームとなる「HEARTECT」ほどではありませんが、軽自動車用のものとしては意外と頑丈で強固なもので、「なんちゃってクロスオーバーSUV」でも十分対応できています。
軽自動車としてはまあまあのシャシーを持っているといっていいでしょう。

※ボディ剛性の評価:★★☆☆☆(2)

マツダ・フレア・クロスオーバーの走りの質を決めるサスペンション構造

軽自動車のサスペンションというとフロントにマクファーソンストラット、リヤにトーションビームという組み合わせが定番となっていますが、このフレア・クロスオーバー(ハスラー)では、クロスオーバーSUVらしいサスペンションを選んだのでしょう、2WDモデルも4WDモデルもリヤサスペンションにチープなトーションビームではなく、スズキオリジナルのリジットサスペンション、I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)が採用されています。

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)

I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)は、いわゆるコイルリジットと呼ばれる部類のものですが、サスペンション構造を頑丈なトレーリングアームで支えているのが特徴で、オンロードよりもオフロード走行をした時のトラクション性能に優位性を持ちます。
オンロード走行においてもトーションビームよりは優れているので、オンもオフも両方対応できる軽自動車向けサスペンションといえます。

※サスペンション構造の評価:★★★★☆(4)

マツダ・フレア・クロスオーバーのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

フレア・クロスオーバーには2パターンのブレーキの組み合わせが用意されています。

1つは、NAエンジンが搭載されているモデルに採用されているもので・・・

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ソリッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ 

となります。
そしてもう1つはターボエンジンを搭載するモデルに採用されているもので・・・

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ 

となります。
要するにNAエンジン搭載で52psという低いパワーしか持っていないモデルにはフロントにソリッドディスクのディスクブレーキで十分だろう、対してターボエンジンを搭載するモデルではそれなりのブレーキに負担がかかるのでベンチレーテッドディスクを使ってフェード対策を取っておこうといった感じであるということです。

どちらも効き目は十分ですのでその点は心配いらないと思いますが、ソリッドディスクでは心配という方は、ターボエンジンモデルに使われているブレーキ周りの部品を補修パーツとして取り寄せてもらい、それをつけるといいでしょう。
後、ブレーキパッドとブレーキシューも変えておきましょう。

※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・フレア・クロスオーバーに搭載されている4WDシステム

フレア・クロスオーバー(ハスラー)は、一応は「クロスオーバーSUV」として作られているモデルです。
クロスオーバーSUVというのはそれが軽自動車であったとしてもある程度のオフロード走行ができなければならず、それに伴ってオフロード走行性能を向上させるような4WDシステムも必要になります。

しかし、残念ながらこのモデルには「生活四駆」と呼ばれているビスカスカップリング式のスタンバイ4WDが採用されてしまっています。
この部分はまさに低コストが求められる軽自動車ならではのものですが、クロスオーバーSUVならばもう少しまともな4WDシステムを採用しても良かったのではないかと思います。
とても残念です。
こういった部分があるから「なんちゃってクロスオーバーSUV」などと呼ばれてしまうのです。

※4WDシステムの評価:☆☆☆☆☆(0)

マツダ・フレア・クロスオーバーの燃費性能

マツダ・フレア・クロスオーバーのカタログ燃費と実燃費

●NAエンジン搭載モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大32.0km/L
・実燃費:約25km/L

※燃費性能の評価:★★★★☆(4)

●ターボエンジン搭載モデル
・カタログ燃費(JC08モード):最大27.8km/L
・実燃費:約20km/L

※燃費性能の評価:★★★☆☆(3)

マツダ・フレア・クロスオーバーに採用されている低燃費装備

●全モデル

・ハイブリッドシステム(S-エネチャージ)
・可変バルブタイミング機構
・CVT
・電動パワーステアリング機構
・充電制御
・アイドリングストップ機構

マツダ・フレア・クロスオーバーのライバルモデル比較

マツダ・フレア・クロスオーバーのライバルとなるのは三菱・eKクロス

フレア・クロスオーバーは軽クロスオーバーSUVモデル、それと全く同じカテゴリーのモデルといえば三菱のeKクロスでしょう。

eKクロスはNMKVで開発されたモデルで、eKワゴンのクロスオーバーSUVモデルとして作られています。
このモデルにもS-エネチャージと同等レベルの簡易型ハイブリッドシステムが搭載されていて、優れた燃費性能と三菱のモデルらしい優れた走行性能を持っています。

ここではターボエンジンにハイブリッドシステムを搭載したモデル同士で比較してみたいと思います。

●マツダ・フレア・クロスオーバーの概要

・カテゴリー:軽クロスオーバーSUV(なんちゃってクロスオーバーSUV)
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・パワーユニット形式:R06A型+WA04A型 S-エネチャージ
・比較対象グレード:「XT」グレード

●三菱・eKクロスの概要
・カテゴリー:軽クロスオーバーSUV(なんちゃってクロスオーバーSUV)
・車格:軽自動車
・エンジン排気量:約0.66リッター
・パワーユニット形式:BR06DET型+SM21型 簡易型ハイブリッドシステム
・比較対象グレード:「T」グレード

マツダ・フレア・クロスオーバーと三菱・eKクロスのパワースペック比較

●マツダ・フレア・クロスオーバー

・システムパワー:64ps

●三菱・eKクロス

・システムパワー:64ps

※パワースペック比較結果

まあ、軽自動車同士の比較となりますのでパワースペックはほぼ同じといっていいでしょう。

マツダ・フレア・クロスオーバーと三菱・eKクロスの燃費性能比較

●マツダ・フレア・クロスオーバー
・カタログ燃費(JC08モード):最大27.8km/L
・実燃費:約20km/L

●三菱・eKクロス
・カタログ燃費(JC08モード):最大25.2km/L
・実燃費:約18km/L

●スズキ・ハスラー
・カタログ燃費(JC08モード):最大27.8km/L
・実燃費:約20km/L

※燃費性能比較結果

燃費性能に関してもどちらも同じような仕様となっていることから似たり寄ったりの数字になりました。

マツダ・フレア・クロスオーバーと三菱・eKクロスの販売価格帯比較

ここでは全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●マツダ・フレア・クロスオーバー

約142万円~約180万円

●三菱・eKクロス

約144万円~約180万円

※販売価格帯比較結果

販売価格もほぼ同じといっていいでしょう。

まとめ

軽クロスオーバーSUVとしては思ったほど良い車ではありませんが、「なんちゃってクロスオーバーSUV」としてオンロードで乗りまわすのであれば楽しい車だと思います。

ただ、このモデルも他のフレアシリーズ同様にあえてスズキのモデルを避けてマツダのOEM供給モデルを買うメリットはないでしょう。

※総合評価:★★★☆☆(3)

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