2010年で生産を取りやめていたマツダのボンゴ・ブローニイ・バンが約9年ぶりに復活したようです。
といってもマツダオリジナルモデルではなく、OEM供給モデルでのことのようです。
ここでは復活したマツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンがどういったモデルなのか、自動車としてどれくらいの性能を持っているのかを検証してみたいと思います。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バン=本車種
日産・NV350キャラバン=ライバル

※ご注意
ここではマツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンの自動車としての具体的な性能(動力性能や走行性能など)とこの車を自動車メーカーがどういう風に作り、どういった形で販売しているのかということについてだけ書かれており、個人の好みやセンスによって評価が変わる見た目のエクステリアデザインやインテリアデザイン、使い勝手などには一切触れていません。

目次

今度のマツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンはハイエース・バンだった

まだ日本で「ミニバン」という言葉がなかったワンボックスカーが全盛だった時代には大手国産自動車メーカーには必ず1台はワンボックスカー、ワンボックスバンがあったものでした。
スズキやダイハツは軽自動車・小型モデル専門の自動車メーカー、ホンダとスバルは登録車における商用モデルにあまり興味を持たない自動車メーカーでしたのでワンボックスバンを作ることはしませんでしたが、それ以外の自動車メーカーでは・・・

・日産:キャラバン、ホーミー、バネットなど
・三菱:デリカ
・トヨタ:ハイエース、ライトエース、タウンエースなど
・いすゞ:ファーゴ

といったモデルを販売していました。

マツダにおいても同様で、ライトバンのファミリア・バンの他にワンボックスカーシリーズとして「ボンゴ」というモデルが作られていました。

このボンゴは小・中型ワンボックスカーという車格に属するモデルで他社のモデルで例えて言いますと、日産のバネットやトヨタのライトエース・タウンエース兄弟モデルと同じ位置にいたモデルです。
しかし、商用モデルに需要がより大型ものを求めるようになったことから、その1つ上のクラスの大型ワンボックスカークラスのバンモデルが必要となり、その需要に対応する形で作られたのがこのボンゴ・ブローニイ・バンなのです。

作られていた・・・といっても全く新しいモデルでなく、実は小・中型ワンボックスバンとして作られていたボンゴ・バンのホイールベースを伸ばした「ホイールベース・ストレッチモデル」として改良されただけのもので、ホイールベース以外の基本的な構造はボンゴ・バンと同じとします。
この部分が専用設計として作られていた日産のキャラバン・ホーミー兄弟モデルやライトエース・タウンエース兄弟モデルと違うところです。
要は長さが違うだけのことですから・・・。

このモデルは1983年に発売されたボンゴ・バンの3代目モデルと同時に発売されたモデルを初代モデルとして、その後はマツダオリジナルの最後のボンゴシリーズとなる4代目ボンゴの発売とほぼ同時に2代目モデルとなりました。
しかし、あまりにも売れなかったことからボンゴ・バンのマイナーチェンジをきっかけに生産終了となり、2010年にこの世から消えてしまったのです。

そして2019年4月、突然に何の前触れもなく3代目モデルが発売されたのでした。

今回のモデルは、マツダが商用モデルの生産を取りやめているため、マツダオリジナルモデルではなく、OEM供給モデルとして発売されました。
そのOEM供給元モデルとなったのは、事実上の親会社となるトヨタのハイエース・バンです。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンとハイエース・バンの違い

ボンゴ・ブローニイ・バンはハイエース・バンにバッジエンジニアリングをしたもの・・・要するに自動車メーカー名や車種名、グレード名などのエンブレムやステッカーが違うだけの車です。
そのため構造的な違いは全くありません。

ただ、モデル構成やグレード構成、わずかな装備といった販売面での違いがあります。

まずモデル構成ですが、ハイエース・バンでは・・・

・全長:ロングボディ、スーパーロングボディ
・全幅:標準幅、ワイド幅
・ルーフ高:標準ルーフ、ミドルルーフ、ハイルーフ
・フロア形状:標準フロア、ジャストローフロア
・ドア枚数:4ドア、5ドア
・定員:3人乗り、5人乗り、6人乗り、9人乗り
・エンジン:2リッターガソリンエンジン、2.7リッターガソリンエンジン、2.8リッターディーゼルターボエンジン
・トランスミッション:5速マニュアルトランスミッション、6速オートマチックトランスミッション

といった選択肢がたくさん用意されていますが、ボンゴ・ブローニイ・バンでは・・・

・全長:ロングボディのみ
・全幅:標準幅のみ
・ルーフ高:標準ルーフのみ
・フロア形状:標準フロアのみ
・ドア枚数:5ドアのみ
・定員:6人乗りのみ
・エンジン:2リッターガソリンエンジン、2.8リッターディーゼルターボエンジン
・トランスミッション:6速オートマチックトランスミッションのみ

とかなりバリエーションが狭められています。

グレード構成はハイエースでは・・・

・「DX」グレード:標準グレード
・「DX GLパッケージ」グレード:標準グレードの装備を少し高級化したグレード
・「スーパーGL」グレード:最上級グレード

となりますが、ボンゴ・ブローニイ・バンでは・・・

・「DX」グレード:標準グレード
・「GL」グレード:最上級グレード

と2グレードとなり、それぞれに・・・

・「DX」グレード:ハイエース・バンの「DX」グレード相当
・「GL」グレード:ハイエース・バンの「DX GLパッケージ」グレード相当

の装備が与えられています。

標準装備についてはホイールキャップのデザインやヘッドライト、寒冷地仕様、ボディカラーなどにわずかに違いがあります。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのこれまでの出来事(2019年11月現在)

●初代モデル SR/SD型 1983年6月発売

※マツダオリジナルモデル時代

・1985年11月 4WDモデルの追加、2リッターガソリンエンジンの採用
・1987年9月 マイナーチェンジ デザインの小変更 ディーゼルエンジン搭載モデルの拡大
・1990年2月 マイナーチェンジ デザインの小変更
・1992年4月 3リッターディーゼルエンジンの採用、「GLスーパー」グレードの追加
・1997年5月 マイナーチェンジ デザインの変更 2.5リッターディーゼルエンジンの採用

●2代目モデル SK型 1999年6月発売

※マツダオリジナルモデル時代

・2004年12月 2リッターディーゼルターボエンジンの採用
・2005年11月 仕様変更 保安基準に対応するための改良
・2007年8月 4WDモデルの廃止、「GLスーパー」グレードの廃止
・2010年8月 生産終了

●3代目モデル H200系型 2019年5月発売

※ハイエース・バンのOEM供給モデル時代

・2019年5月 3代目モデルの発売

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンが属するカテゴリー

●車格:大型商用バン
●用途・目的:生活車 業務用
●車両カテゴリー:大型ワンボックスバン
●エンジン排気量クラス:2リッターガソリンエンジンクラス、2.8リッターディーゼルエンジンクラス

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのオーナー層

●年齢層:特になし
●性別:特になし
●経済力:大衆層(新車購入)、低収入層(中古車購入)
●その他:主に業務用として買われるがドキュン系やブルーカラーの方にマイカーとして買われることもある

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンの車体の構成・選択肢

●パワーユニット

・ガソリンエンジン
・ディーゼルエンジン

●トランスミッション

・6速オートマチックトランスミッション

●エンジン・ドライブトレーンレイアウト

・FR
・センターデフ付きフルタイム4WD

●サスペンション構造

・フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン(トーションバー)
・リヤサスペンション:リジットサスペンション(リーフスプリング)

●ブレーキシステム

・フロント:ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

●ベースモデル

・あり・・・トヨタ・ハイエース・バン

●兄弟車

・あり・・・トヨタ・ハイエース・ワゴン、トヨタ・ハイエース・コミューター、トヨタ・レジアスエース

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのモデル構成とグレード構成

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンにはパワーユニットの違いによるモデルが2つ用意されています。

2リッターガソリンエンジンモデル

このモデルには2つのグレードが用意されています。

・2.0GE DX グレード(2WD)
・2.0GE GL グレード(2WD)

●「2.0GE DX」グレードの主な装備

・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・一体式 フロントシートヘッドレスト
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・ブレーキアシスト
・緊急ブレーキシグナル
・Toyota Safety Sense(Toyota Safety Sense P):プリクラッシュセーフティ
・Toyota Safety Sense(Toyota Safety Sense P):レーンディパーチャーアラート
・Toyota Safety Sense(Toyota Safety Sense P):オートマチックハイビーム
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・ヒルスタートアシストコントロール
・LEDハイマウントストップランプ
・防眩式インナーミラー
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ
・ウォッシャー連動間欠式フロントワイパー
・間欠式リヤワイパー
・運転席側ドアミラー
・助手席側フェンダーミラー
・フロントアンダーミラー
・パワーウインドウ
・UVカット機能付ウインドシールド グリーンガラス
・UVカット機能付フロントドア グリーンガラス
・UVカット機能付両側スライド式リヤサイド グリーンガラス
・UVカット機能付両側固定式リヤクォーター グリーンガラス
・UVカット機能付バックドア グリーンガラス
・ステップ付リヤバンパー
・ボディ同色 スライドドアレール
・シルバー塗装フロントグリル
・チルトステアリング調整機能
・センターポケット
・フロント カップホルダー
・ボトルホルダー付きフロントドアポケット
・グローブボックス
・助手席 アンダートレイ
・タイダウンフック
・照明付き灰皿
・助手席 アシストグリップ
・フットレスト
・ルームセパレーターバー
・バックドアインナーハンドル
・バックドアストラップ
・フロント ピラーガーニッシュ
・フロント 成型天井
・オレフィン フロアカーペット
・12V アクセサリーソケット
・フューエルリッドオープナー
・オプティトロンメーター
・エコドライブインジケーター
・スライドドア全開ストッパー
・ベゼル付ウレタン 4本スポークステアリングホイール
・マルチユースシートバックコンソール
・運転席/助手性 ファブリックサンバイザー
・運転席 カードホルダー
・フロント/リヤ/バックドア ルームランプ
・成型フロントドアトリム
・ボード式スライドドアトリム
・ボード式リヤクォータートリム
・ボード式バックドアトリム
・フルリクライニング・運転席シートスライド機能付 運転席・助手席用シート
・フロントマニュアルエアコン
・AM/FMラジオ
・2スピーカー
・ピラーアンテナ
・フロントスタビライザー
・ステッキ式パーキングブレーキ
・195/80R15 107/105L LTサイズ タイヤ
・15インチ×6J スチールホイール
・フルホイールキャップ
・電波式キーレスエントリーシステム
・イモビライザー
・セキュリティアラームシステム
・パワードアロック
・イルミネーテッドエントリーシステム
・ダークグレー ジャージ シート生地

など

●「2.0GE GL」グレードの主な装備

「2.0GE DX」グレードの装備に加えて・・・

・LEDヘッドランプ
・電動格納式リモコンドアミラー
・UVカット機能付両側スライド式ダークティンテッド リヤサイドガラス
・UVカット機能付両側固定式ダークティンテッド リヤクォーターガラス
・UVカット機能付ダークティンテッド バックドアガラス
・ボディ同色 カラードバンパー
・メッキ フロントグリル
・メッキ バックドアガーニッシュ
・センターピラーアッパーガーニッシュ
・リヤホイールハウスカバー
・リヤクーラー

が追加されています。

2.8リッターディーゼルエンジンモデル

このモデルには2つのグレードが用意されています。

・2.8DE DX グレード(4WD)
・2.8DE GL グレード(4WD)

●「2.8DE DX」グレードの主な装備

・運転席/助手席 SRSエアバッグシステム
・一体式 フロントシートヘッドレスト
・4輪アンチロック・ブレーキ・システム
・電子制御制動力配分システム
・ブレーキアシスト
・緊急ブレーキシグナル
・Toyota Safety Sense(Toyota Safety Sense P):プリクラッシュセーフティ
・Toyota Safety Sense(Toyota Safety Sense P):レーンディパーチャーアラート
・Toyota Safety Sense(Toyota Safety Sense P):オートマチックハイビーム
・ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム
・トラクション・コントロール・システム
・ヒルスタートアシストコントロール
・LEDハイマウントストップランプ
・防眩式インナーミラー
・熱線プリント式リアウインドーデフォッガー
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ
・ウォッシャー連動間欠式フロントワイパー
・間欠式リヤワイパー
・電動格納式リモコンドアミラー
・フロントアンダーミラー
・パワーウインドウ
・UVカット機能付ウインドシールド グリーンガラス
・UVカット機能付フロントドア グリーンガラス
・UVカット機能付両側スライド式リヤサイド グリーンガラス
・UVカット機能付両側固定式リヤクォーター グリーンガラス
・UVカット機能付バックドア グリーンガラス
・ステップ付リヤバンパー
・ボディ同色 スライドドアレール
・シルバー塗装フロントグリル
・チルトステアリング調整機能
・センターポケット
・フロント カップホルダー
・ボトルホルダー付きフロントドアポケット
・グローブボックス
・助手席 アンダートレイ
・タイダウンフック
・照明付き灰皿
・助手席 アシストグリップ
・フットレスト
・ルームセパレーターバー
・バックドアインナーハンドル
・バックドアストラップ
・フロント ピラーガーニッシュ
・フロント 成型天井
・オレフィン フロアカーペット
・12V アクセサリーソケット
・フューエルリッドオープナー
・オプティトロンメーター
・エコドライブインジケーター
・排出ガス浄化スイッチ
・スライドドア全開ストッパー
・ベゼル付ウレタン 4本スポークステアリングホイール
・マルチユースシートバックコンソール
・運転席/助手性 ファブリックサンバイザー
・運転席 カードホルダー
・フロント/リヤ/バックドア ルームランプ
・成型フロントドアトリム
・ボード式スライドドアトリム
・ボード式リヤクォータートリム
・ボード式バックドアトリム
・フルリクライニング・運転席シートスライド機能付 運転席・助手席用シート
・フロントマニュアルエアコン
・リヤヒーター
・AM/FMラジオ
・2スピーカー
・ピラーアンテナ
・フロントスタビライザー
・ステッキ式パーキングブレーキ
・195/80R15 107/105L LTサイズ タイヤ
・15インチ×6J スチールホイール
・フルホイールキャップ
・寒冷地仕様
・電波式キーレスエントリーシステム
・イモビライザー
・セキュリティアラームシステム
・パワードアロック
・イルミネーテッドエントリーシステム
・ダークグレー ジャージ シート生地

など

●「2.8DE GL」グレードの主な装備

「2.8DE DX」グレードの装備に加えて・・・

・LEDヘッドランプ
・ヒーテッド機能付電動格納式リモコンドアミラー
・UVカット機能付両側スライド式ダークティンテッド リヤサイドガラス
・UVカット機能付両側固定式ダークティンテッド リヤクォーターガラス
・UVカット機能付ダークティンテッド バックドアガラス
・ボディ同色 カラードバンパー
・メッキ フロントグリル
・メッキ バックドアガーニッシュ
・センターピラーアッパーガーニッシュ
・リヤホイールハウスカバー
・リヤクーラー

が追加されています。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンに搭載されるパワーユニットと動力性能

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンには2種類のパワーユニットが設定されています。

●2リッターNAガソリンエンジン

・エンジン型式:1TR-FE型
・エンジン排気量:1998cc
・シリンダー配列:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:ポート噴射

◆スペック

・最大出力:136ps/5600rpm
・最大トルク:18.6kgf・m/4000rpm

・1リッターあたりのパワー:約68ps
・パワーウェイトレシオ:約14.3kg/ps

このパワーユニットは、2WDモデルにだけ採用されているものです。

このエンジンはトヨタの商用モデル用のエンジンで、OEM供給元モデルのハイエース・バン以外にもレジアスエースやトヨエース、ダイナといったトヨタの中型以上の商用モデルにも使われています。

いわゆる実用型エンジンということで、特にパワーがあるわけでもなく、燃費性能が優れているわけでもなく、何か特別な装備が採用されているわけでもないいたって普通のガソリンエンジンです。

パワーもトルクもコンパクトカークラスといった感じで走りもあまりよくありません。
街乗り専用といったところでしょうか。

※パワーユニットの評価:★☆☆☆☆(1)

●2.8リッターディーゼルターボエンジン

・エンジン型式:1GD-FTV型
・エンジン排気量:2754cc
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:コモンレール筒内直接噴射
・過給器:ターボチャージャー

◆スペック

・最大出力:151ps/3600rpm
・最大トルク:30.6kgf・m/1000rpm~3400rpm

・1リッターあたりのパワー:約53.9ps
・パワーウェイトレシオ:約13.5kg/ps

このパワーユニットは、4WDモデルだけに採用されているものエンジンです。

このエンジンはディーゼルターボエンジンですが、高圧燃料噴射を行うコモンレール式燃料噴射装置やDPR、尿素SCRシステムといった排気ガス浄化装置を採用している「クリーンディーゼル」などと呼ばれるもので、昔のディーゼルエンジンよりは排気ガスがきれいで臭くありません。
ハイエース・バンやレジアスエース、ランドクルーザー・プラド、海外向けハイラックス、フォーチュナーなどにも採用されています。

ディーゼルエンジンらしく低回転トルクは頼もしく、満載状態でも軽々と発進させます。
ただ、ディーゼルエンジンであることには違いはないので、高速走行は苦手です。

それとスラッジによるトラブルが多発することでも有名なエンジンでもありますので、メンテナンス費用は通常のガソリンエンジンの倍以上かかると思っておいた方がいいでしょう。

※パワーユニットの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンに採用されているトランスミッション

●6速オートマチックトランスミッション

ハイエース・バンでは、5速マニュアルトランスミッションを選択することができますが、OEM供給モデルのボンゴ・ブローニイ・バンではこの6速オートマチックトランスミッションのみの設定となります。
このトランスミッションは、トヨタの中型モデル以上のモデルの多くに使われている汎用オートマチックトランスミッションでトヨタでは「6 Super ECT」と呼ばれています。

構造的にはよくあるオートマチックトランスミッションそのもので、ロックアップクラッチ内蔵のトルクコンバーターとギヤボックスを組み合わせたものを電子制御・油圧作動で動かしているだけのものです。

「シーケンシャルシフトマチック」と呼ばれているマニュアル制御モードも採用されていますが、このモデルは商用バンですのでエンジンブレーキ以外に用途がありません。

※トランスミッションの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンの走行性能を決める構造

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのボディ剛性を決めるプラットフォーム・シャシー

このモデルのプラットフォーム、シャシーには重たい荷物を積んだり、長時間・長距離運転、頻度の高い運転をしたり、長い間乗り続けることができるようにとラダーフレームを内蔵したビルトインラダーフレームが採用されています。

ラダーフレームの強靭さとモノコックボディの快適性を兼ね備えているようです。
トヨタやマツダの車の中でも1、2を争うほどの強度、剛性、耐久性を持ちます。

※ボディ剛性の評価:★★★★☆(4)

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンの走りの質を決めるサスペンション構造

このモデルのサスペンション構造は国産ワンボックスカーならではの・・・

・フロントサスペンション:トーションバースプリング式ダブルウィッシュボーン
・リヤ:リーフリジット

といった構造が与えられています。

フロントサスペンションのダブルウィッシュボーンは、スポーツモデルや高額モデルなどに採用されているダブルウィッシュボーンとはちょっと性格が違うもので、リンクの構造は似たようなものですが、コイルスプリングを使用するのでなく、アッパーアームの付け根のシャフトを後ろ方向に延長し、その端をシャシーに固定した形となるトーションバースプリング(棒の捻じれをスプリングとするもの)を使ったものとなっています。
これは走行性能を高めるためにとられた構造ではなく、キャブオーバーという車体の構造によってフロントサスペンションまわりのスペースをあまり確保できないことをカバーする意味で付けられているものです。
なので、高額車両などと同じダブルウィッシュボーンといってもそれが走行性能の向上、コーナーリング性能の向上につながることはありません。

対して、リヤサスペンションのリーフリジットはいわゆる「トラック用の板ばねサスペンション」というもので、まさに商用バンらしいものとなります。

※サスペンション構造の評価:★★★☆☆(3)

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのストッピングパワーを生み出すブレーキシステム

このモデルに採用されているブレーキシステムは・・・

・フロント:1ポットフローティングキャリパー+ベンチレーテッドディスク ディスクブレーキ
・リヤ:リーディングトレーリング ドラムブレーキ

といった非常に無難なものとなっています。

荷物をたくさん積んで重量が増えることを踏まえて効き目だけを追求したら前後ともドラムブレーキにするべきですが、ドラムブレーキだと熱がこもり、すぐに効き目が落ちてしまうので、フロントブレーキだけ放熱性の高いベンチレーテッドディスクを使用したディスクブレーキにした・・・こんな形で採用されたようなものです。

効き目は十分ですが、特にこれといって優れた部分ありません。

※ブレーキシステムの評価:★★★☆☆(3)

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンに搭載されている4WDシステム

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンでは、2.7リッターのディーゼルターボエンジンを搭載したモデルを4WD専用モデルとしています。
その4WDモデルに採用されている4WDシステムは何とフルタイム4WDシステムとなっています。

通常、マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのようなFRレイアウトを持つワンボックスバンでは、インパネにあるスイッチを操作して電磁クラッチを制御するパートタイム4WDを用いることが多いのですが、このモデルではベースモデルのハイエース・バンと同様にセンターデフ式のフルタイム4WDを採用しているのです。

構造的にはトランスミッションとリヤデファレンシャルギヤの途中にビスカスカップリングとセンターデフを内蔵したトランスファーを置き、そのビスカスカップリングとセンターデフの作用によって常に4つのタイヤにトラクションを与えながら走ることができます。

ビスカスカップリングは内部に専用のオイルが封入されているもので、入力側と出力側で大きな回転差が生まれた時だけ内部のオイルの熱膨張によって多板クラッチが密着してほぼ直結状態になるといったもので、一種のLSD(リミテッド・スリップ・デフ)として見ることができます。

なので、例えばリヤタイヤの片方が滑りやすい路面で空転したとしてもビスカスカップリング入りのセンターデフがほぼ直結状態になるためトラクションが抜けずにフロントタイヤに送られるようになるのです。

「フルタイム4WD」と呼ばれることが多い「スタンバイ4WD」とは全く違うもので、トラクション性能もかなり高いといっていいでしょう。

※4WDシステムの評価:★★★★☆(4)

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンの燃費性能

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのカタログ燃費と実燃費

●2リッターNAガソリンエンジンモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大10.4km/L
・実燃費:約6km/L

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

●2.8リッターディーゼルターボエンジンモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大12.0km/L
・実燃費:約8km/L

※燃費性能の評価:★☆☆☆☆(1)

この車はエコカーでも何でもなく、単なる中・大型商用ワンボックスバンですので、これくらいの数字になるのは当たり前と思わなければいけません。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンに採用されている低燃費装備

●ガソリンエンジンモデル

・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御

●ディーゼルターボエンジンモデル

・コモンレール式燃料噴射システム
・可変バルブタイミング機構
・電動パワーステアリング機構
・オルタネーター制御

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのライバルモデル比較

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンのライバルとなるのは日産・NV350キャラバン・バン

2019年現在、国産モデルの中で、大型ワンボックスバンとなるのはこのモデルとそのOEM供給元モデルのハイエース・バン、そして日産のNV350キャラバン・バンしかありません。
そうなるとライバルモデルとなるのは自然と日産のNV350キャラバン・バンということになるでしょう。

NV350キャラバン・バンは、日産が古くから作っているキャラバン・ホーミー兄弟モデルの後継モデルとして作られたもので、ルノー日産になった時にこの名称に改名されました。

バリエーションは2リッターガソリンエンジンモデル、2.5リッターガソリンエンジンモデル、2.5リッターディーゼルターボエンジンモデルも3つとなります。
ここでは両車に共通して存在する2リッターガソリンエンジンモデル同士で比較してみたいと思います。

●マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンの概要

・カテゴリー:大型ワンボックスバン
・車格:大型商用バン
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形式:1TR-FE型
・比較対象グレード:「GL」グレード

●日産・NV350キャラバン・バンの概要

・カテゴリー:大型ワンボックスバン
・車格:大型商用バン
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形式:QR20DE型
・比較対象グレード:「VX」グレード

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンと日産・NV350キャラバン・バンのパワースペック比較

●マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バン

・最大出力:136ps/5600rpm
・最大トルク:18.6kgf・m/4000rpm

●日産・NV350キャラバン・バン
・最大出力:130ps/5600rpm
・最大トルク:18.1kgf・m/4400rpm

※パワースペック比較結果

わずかにボンゴ・ブローニイ・バンのほうがパワフルであるということになっていますが、その差は誤差レベルでほぼ同じといっていいでしょう。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンと日産・NV350キャラバン・バンの燃費性能比較

●マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バン

・カタログ燃費(JC08モード):最大10.4km/L
・実燃費:約6km/L

●日産・NV350キャラバン・バン

・カタログ燃費(JC08モード):最大9.8km/L
・実燃費:約8km/L

※燃費性能比較結果

燃費性能もほとんど違いがないといえる程度の性しかありませんが、やはりトヨタのカタログ燃費と実燃費の乖離が大きいのが非常に気になります。

マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バンと日産・NV350キャラバン・バンの販売価格帯比較

ここではドラスアップモデルなど特別なモデルを除いた標準モデルの全モデルの販売価格で比較してみたいと思います。

●マツダ・ボンゴ・ブローニイ・バン

約247万円~約367万円

●日産・NV350キャラバン・バン

約218万円~約388万円

※販売価格帯比較結果

NV350キャラバンは、複数のボディパリ―ションやとかく生産コストが高くついてしまうディーゼルエンジンモデルを含めた金額となっていますので若干高めになっていますが、価格の安いモデルの金額が安いのは日産のNV350キャラバンの方となります。

まとめ

2019年現在の大型ワンボックスバンクラスは、日産のNV350キャラバン・バンとトヨタのハイエース・バン(レジアスエースの含む)の二車種で埋まっているような形で、それ以外のモデルが後から割って入ってこようとすることは非常に難しい中で、今さらながらOEM供給モデルといってもボンゴ・ブローニイ・バンとしてこのクラスに入ってくるのは不思議に思えます。

売れると思っているのでしょうか?
それともトヨタの営業方法にならってこのモデルを餌にしてマツダの他のモデルに乗り換えさせようとでもしているのでしょうか?
はっきり言って存在価値がわかりません。

車としてはトヨタの車ですから無難なつくりになっていて申し分ないと思うのですが、この車の発売がどうして「今」なのか?が理解不能です。

※総合評価:★★☆☆☆(2)

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