自賠責保険の補償範囲が最低限なため、結局追加のお金を払って自動車保険に加入しなければならないわけですが、例えば新たに新車を買ったといった形で車を乗り換えた場合、この自動車保険はどういった扱いになるのでしょうか。

保険 乗り換え

車を乗り換えるということは自動車保険にとってどういうことになる?

まず自動車保険というものがどういうものであるのかということをざっとおさらいしておきましょう。
自動車保険 内容 基本

自動車保険の基本的な部分

自動車保険とは、基本的に自動車を運転した時に交通事故などによって受けた人的損害、物的損害を補償するための損害保険で、通常は年単位で、複数台まとめて加入する時などは1年以上の複数年単位で加入します。

加入対象となるのは、自賠責保険のように「車両」だけを対象とするのではなく、「車両」と「人間」の2つを対象にします
そして更にその対象となる「人間」を表すのに3つの名義が存在します。

1つ目は契約者です。
これは自動車保険に加入する方を示しており、実際に損害保険会社との間で自動車保険の契約を締結する人のことを言います。
そして自動車保険の保険料を払う義務もこの契約者に課されます。

2つ目は被保険者です。
これは実際に車を運転し、何かあった時に自動車保険の契約内容に則って補償を受けることができる人のことを言います。
本人限定など運転者の限定を行わない限り、被保険者は複数になる場合もあります。

そして最後の3つ目ですが、車両所有者です。
これはこれから加入しようとしている自動車保険を適用される車の持ち主、登録上の「所有者」、名義人となる人のことです。

通常、個人的な車であればこれら3つの名義は全て同じであることが多く、例外としては信販系の自動車ローンを使って車を購入した場合では「契約者」と「被保険者」は同じであっても「車両所有者」だけが信販会社や自動車販売店といった違う名義なることもありますし、企業が所有する営業車などは「契約者」と「車両所有者」は同じですが、「被保険者」だけが違うということもあります。

これら3つの名義と「車両」といった4つの要素が1つになって、それに対して損害保険を掛けるという形なるのが自動車保険なのです。

自動車を乗り換えるということは

こういった形で自動車保険を契約している中で、自動車を乗り換えるということは契約の1つの条件要素である「車両」が変更になるわけですから、契約自体がなりたたなくなってしまうということになります。

現に車を乗り換えたのにもかかわらず、手続きなど何もしないままで運転を続け、のちに交通事故を起こしてしまい、相手に大けがを負わせてしまったとなっても損害保険会社からは1円たりとも賠償金は支払われません。
契約違反によって契約が成り立たなくなっているのですから、こうなるのも当然です。

では、どうしたらいいのか?ということになりますが、車を乗り換えたからといって何も契約を破棄する必要はありません。
損害保険会社に対して変更手続きを申し立ててればいいのです。

車を乗り換えたら自動車保険も切り替える必要がある

自動車保険 契約 変更手続き
車を乗り換えたらまずは「車両変更手続き」を行わなければなりません。

車両変更手続きに必要なもの

車両変更手続きをするにはいくつか用意しておくべきものがあります。

●車検証

これはこれから乗り換える車の車検証となります。

車両変更手続きが遅れてしまった方で既に車も車検証も手元のある場合はそれを用意しておきます。

新車を購入した場合はディーラーに連絡を入れて新車登録と新規車検が終わっていれば車検証がありますので、コピーを取ってもらってそれを取りに行くかFAXで流してもらえばいいでしょう。
まだ、新車登録も新規車検も終わっておらず車検証がない場合はでき次第、送ってもらう手筈を整えておき、送られてくるのを待ちましょう。

中古車を中古車販売店で購入した場合も同様に、名義変更手続きが済んだ車検証が出来上がり次第コピーしたものを取りに行くか、FAXしてもらいましょう。

ここで重要なのは、自分の名義になっている車検証であるということです。

●積算距離数(総走行距離数)

これはいわゆる「オドメーター」の数字です。

この数字は、乗り換える前の車のものと乗り換える新しい車の両方のものが必要です。
既に乗り換えてしまって前の車の走行距離がわからない場合は、わかる範囲のものとし、どうしてもわからない場合はその旨を損害保険会社につたえます。

新しい車の方は、中古車の場合は中古車販売店に電話を入れて走行距離を聞き出すといいでしょう。
新車に乗り換える場合は、総走行距離「0km」でOKです。

これらは正式な書類があるわけではありませんので、わかりやすいようにどこかに書き留めておきましょう。

●返金先の銀行口座データ

これは車両変更手続きをしたことで保険料が一部返金になることあるため、その振込先となるものです。
損害保険会社によっては自動車保険の契約者と同じ名義の銀行口座でないと受け付けてくれない場合があります。

車両変更手続きの方法

車両保険 変更手続き 方法
車両変更手続きを行うにはいくつかの方法があります。

一番手っ取り早いのが、担当となっている代理店や通販型自動車保険であれば直接、損害保険会社に電話連絡を入れてその指示に従ってやる方法です。
電話の中で口頭で済む場合もありますし、書類が送られてきて記入した書類と車検証のコピーなどと一緒に返信する方法と取る場合もありますし、インターネットの手続き用のWebページに誘導されるだけで何もしてくれない場合もあります。

それから最近の主流となっているのがインターネット上に置かれた損害保険会社のWebサイト内に設けられた変更手続き用のWebページにアクセスする方法です。
Webページにあるフォームにデータを埋めていく形を取りますので、指示に従ってやっていけば問題なく車両変更手続きを行うことができるでしょう。

車両変更手続きのタイミング

損害保険の自動車保険では、契約期間というものが非常に大事となります。
例え多額の保険料を払い続けてきたとしても、自動車保険の契約期間を1秒でも外れてしまうと全く無の状態となってしまい、その時に交通事故を起こして補償を求めても損害保険会社は何もしてくれません。

それだけ契約期間というものは大事なものなのです。

車両変更手続きを行う時に特に気をつけていただきたいのが「空白の期間」です。
これは車両変更手続きをするタイミングによって発生するもので、その間は一切の補償が受けられません。
空白の期間が発生することになるのは、車両変更手続きをするのが遅れた場合…といいますが既に車が手元にある場合です。

冒頭でも申し上げました通り、「車」自体も自動車保険の契約の要素のひとつであるため、これが違う車になってしまっては自動車保険自体が成り立たないことになるため、たとえ何があっても補償は一切されないのです。
まさにこの状態が車両変更手続きをするのが遅れて、新しい車が来ている状態で、その状態はもはや自動車保険に加入していない状態、補償能力が非常に低い自賠責保険だけに守られているだけの状態となります。

この状態になったらその車に乗ることをとりあえずやめて、すぐに損害保険会社に連絡を入れて車両変更手続きを行いましょう。
そして正式に車両変更手続きが終わり、対象車両が新しい車に変更されたことを確認できるまでその車を運転してはいけません。

このような非常に危険な状態にならないためにも車両変更手続きは早めに行います。

新車を買った場合は車検証が発行になった段階ですぐに、中古車を買った場合は名義変更手続きが終わった段階ですぐに行います。
その時に新しい車がいつ手元に来るのか、納車されるのかといった情報をきちんと伝えておきます。
そうすることで、その日に自動的に古い車から乗り換えた新しい車へと対象が移動しますので、新たなる契約期間が始まることを待たずにしてすぐに乗り始めることができます。

車を乗り換えると自動車保険の保険料が変わる場合がある

自動車保険 保険料 変動
車両変更手続きを行うと前に乗っていた車と新しく乗り換えた車によっては保険料が変更されることがあります。
特に車両保険に加入している場合では万単位で保険料が変動することがあります。

これは自動車保険全体が車種ごとに設定した保険料率クラス…要するにその車がどれだけ事故を起こしやすいのか、車両保険のおいてはどれだけ故障しやすいのかといったことも加わる、いわゆる危険性をはかり知る数字によって左右されているからであって、その危険性が高い車は保険料は高く、危険性が低い車は保険料が安くなります。

一般的には車格やエンジン排気量、パワースペックなどによってその値が決められますが、スポーツモデルやクロスカントリー4WDモデル、SUV(本当のSUVだけ)などといった過激な運転がされるような車やプリウスやC-HR、アクアなどといったような非常に事故率が高く、更に故障件数が半端ないぐらいに多い車は保険料が高くなります。

なので、軽自動車からコンパクトカーへ乗り換えたとか、フィットから交通事故件数が多いプリウスへ乗り換えたといった場合は保険料が高くなります。
逆に大型ミニバンから小型クロスオーバーSUVへ乗り換えたとか、故障が頻発しているC-HRからヴェゼルへ乗り換えたといった場合は保険料が安くなります。

乗り換えで自動車保険の保険料が高くなった場合

保険料が高くなった場合で契約途中での変更手続きの場合は、月割で差額を算出したのちに請求されることになります。
たいがいの場合その差額が支払われたのが確認された後に乗り換え手続きが完了する形になるため、早々の支払いが必要となります。

契約更新時に同時に車種変更手続きを行った場合は次回の保険料の請求額が高くなるだけですのでそれに従って支払えばいいのです。

乗り換えで自動車保険の保険料が安くなった場合

保険料が安くなった場合で契約途中の出の変更手続きを行った場合は、契約満了までの期間の月割で過剰となっている分の保険料が返金されます。
返金の際は銀行口座が必要となります。

契約更新時に同時に車種変更手続きを行った場合は次回の保険料の請求額が安くなるだけです。

まとめ

自動車保険 保険料 乗り換え
損害保険というものは何かと契約に縛られるもので、ちょっとでも契約と事実が違いだけで賠償金や保険金の支払いを拒まれるものです。
確かに保険金を支払う側からすればドブに捨てるような形になることが多いわけですので、たった数万円の保険料でも多額の支払いをしているように思えますが、損害保険会社側からすれば年間でたった数万円しか払っていないのに何かあれば何百万円、何千万円、場合によっては億単位の支払いをしなければならないわけですから、詳細に契約内容を遵守するのは当然といえば当然です。

しかし、やはり何かあった時は気持ちよくスパッと支払ってもらいたいものですので、損害保険会社が躊躇するようなことをなくしておく必要があります。
その1つが車を乗り換えた時の車種変更手続きで、この場合は手続きをしていないと完璧に保険料や賠償金の支払いは断られてしまいますが、他の変更手続きも含めて損害保険会社側にグウの音も言わせいなように何か変更された事実があるのであれば、素直に即刻、変更手続きを行ったおいた方がいいでしょう。

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